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特開2024-43976光空間通信制御システム、光空間通信制御装置および光空間通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043976
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】光空間通信制御システム、光空間通信制御装置および光空間通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/112 20130101AFI20240326BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240326BHJP
【FI】
H04B10/112
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149250
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高田 紘也
(72)【発明者】
【氏名】鴨居 敦
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】相薗 正樹
【テーマコード(参考)】
5H301
5K102
【Fターム(参考)】
5H301BB02
5H301BB03
5H301KK03
5H301KK10
5K102AA21
5K102AA23
5K102AL23
5K102RD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】移動ルートが設定された移動体の移動に起因する光空間通信の遮断を避ける。
【解決手段】光空間通信制御システムは、光空間通信ネットワーク(11)の通信エリア(11a)内を移動する移動体(15)の移動ルート(16)を示す移動ルート情報に基づいて、光空間通信ネットワーク(11)上の光空間通信の遮断を推定する遮断推定手段と、遮断推定手段の推定結果に応じて、光空間通信経路(12)を変更する経路変更手段と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光空間通信ネットワークの通信エリア内を移動する移動体の移動ルートを示す移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信ネットワーク上の光空間通信の遮断を推定する遮断推定手段と、
前記遮断推定手段の推定結果に応じて、前記光空間通信の経路を変更する経路変更手段と、を備える、光空間通信制御システム。
【請求項2】
前記遮断推定手段は、前記移動体の移動予定時間を示す時間情報と前記移動ルート情報とに基づいて、前記光空間通信の遮断を推定する、請求項1に記載の光空間通信制御システム。
【請求項3】
前記遮断推定手段は、前記移動体の位置を示す位置情報と前記移動ルート情報とに基づいて、前記光空間通信の遮断を推定する、請求項1に記載の光空間通信制御システム。
【請求項4】
前記移動体は、前記光空間通信ネットワークに含まれる光空間通信装置を備えており、
前記光空間通信ネットワークにおける光空間通信装置間の光軸合わせに基づく各光空間通信装置の位置情報に基づいて、前記移動体の位置情報を取得する位置取得手段を更に備える、請求項3に記載の光空間通信制御システム。
【請求項5】
前記遮断推定手段は、前記移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信の経路上に前記移動体が移動するか否かを判定することにより、前記光空間通信の遮断を推定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光空間通信制御システム。
【請求項6】
前記移動体は、前記光空間通信ネットワークに含まれる光空間通信装置を備えており、
前記遮断推定手段は、前記通信エリア内に設置された物体を示す設置情報にさらに基づいて、前記光空間通信のうち前記光空間通信装置を一端とする光空間通信が前記物体により遮断されるか否かを判定することにより、前記光空間通信の遮断を推定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光空間通信制御システム。
【請求項7】
前記通信エリア内を表す画像に基づいて前記設置情報を生成する生成手段と、を更に備える、請求項6に記載の光空間通信制御システム。
【請求項8】
光空間通信ネットワークの通信エリア内を移動する移動体の移動ルートを示す移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信ネットワーク上の光空間通信の遮断を推定する遮断推定部と、
前記遮断推定部の推定結果に基づいて、前記光空間通信の経路を変更する経路変更部と、を備える、光空間通信制御装置。
【請求項9】
前記遮断推定部は、前記移動体の移動予定時間を示す時間情報と前記移動ルート情報とに基づいて、前記光空間通信の遮断を推定する、請求項8に記載の光空間通信制御装置。
【請求項10】
光空間通信ネットワークの通信エリア内を移動する移動体の移動ルートを示す移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信ネットワーク上の光空間通信の遮断を推定し、
当該光空間通信の遮断の推定結果に応じて、前記光空間通信の経路を変更する、光空間通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光空間通信制御システム、光空間通信制御装置および光空間通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空間内を伝搬する光を用いた通信である光空間通信(光無線通信)は、光の経路上に物体が存在すると通信が遮断されてしまう。このような通信の遮断を避けるため、例えば、特許文献1には、無人航空機が、周囲の物体を検知して、当該物体の位置情報を含む物体情報を光無線通信又は電波通信によって他の無人航空機と共有し、共有情報に基づいて、無人航空機と他の無人航空機との間の光無線通信の光軸に物体が位置しないように、無人航空機の移動を制限することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-047818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、無人航空機の移動ルートが予め決められている場合、適用することはできない。
【0005】
本発明の一つの目的は、移動ルートが設定された移動体の移動に起因する光空間通信の遮断を防止することができる光空間通信制御システム、光空間通信制御装置および光空間通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光空間通信制御システムの一態様は、光空間通信ネットワークの通信エリア内を移動する移動体の移動ルートを示す移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信ネットワーク上の光空間通信の遮断を推定する遮断推定手段と、前記遮断推定手段の推定結果に応じて、前記光空間通信の経路を変更する経路変更手段と、を備える。
【0007】
本発明の光空間通信制御装置の一態様は、光空間通信ネットワークの通信エリア内を移動する移動体の移動ルートを示す移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信ネットワーク上の光空間通信の遮断を推定する遮断推定部と、前記遮断推定部の推定結果に応じて、前記光空間通信の経路を変更する経路変更部と、を備える。
【0008】
本発明の光空間通信制御方法の一態様は、光空間通信ネットワークの通信エリア内を移動する移動体の移動ルートを示す移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信ネットワーク上の光空間通信の遮断を推定し、当該光空間通信の遮断の推定結果に応じて、前記光空間通信の経路を変更する。
【発明の効果】
【0009】
移動ルートが設定された移動体の移動に起因する光空間通信の遮断を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る光空間通信制御システムの構成の例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態における光空間通信ネットワーク11の構成の例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る光空間通信制御システムの動作の例を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る光空間通信制御装置の構成の例を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態に係る光空間通信制御システムの構成の例を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態に係る光空間通信制御システムが制御する光空間通信ネットワークの通信エリア内の構成の例を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る光空間通信制御システムが使用する情報の例を示す図である。
図8】第2の実施形態に係る光空間通信制御システムが使用する情報の例を示す図である。
図9】第3の実施形態に係る光空間通信制御システムの構成の例を示すブロック図である。
図10】第3の実施形態に係る光空間通信制御システムが制御する光空間通信ネットワークの例を示す図である。
図11】第3の実施形態に係る光空間通信制御システムが使用する情報の例を示す図である。
図12】第4の実施形態に係る光空間通信制御システムの構成の例を示すブロック図である。
図13】光空間通信装置による光軸合わせの一例を説明する図である。
図14】光空間通信装置による光軸合わせの一例を説明する図である。
図15】第5の実施形態に係る光空間通信制御システムの構成の例を示すブロック図である。
図16】実施の形態に係るコンピュータのハードウェアの概要を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
(光空間通信制御システム)
以下、本発明の第1の実施形態に係る光空間通信制御システム100について、図面を参照して説明する。光空間通信制御システム100は、光空間通信ネットワーク上の光空間通信経路を制御するシステムである。光空間通信ネットワークとは、複数の光空間通信装置によって構成され、光空間通信装置間に設定された光空間通信経路を介して光空間通信を行うネットワークである。
【0012】
光空間通信とは、空間を伝搬する光を用いた通信である。光空間通信に用いられる光には、ミリ波、サブミリ波、赤外光、可視光、紫外光等が含まれ得る。なお、二つの光空間通信装置間に光空間通信経路を設定するためには、当該二つの光空間通信装置同士において光空間通信のための光軸合わせを行う必要がある。光空間通信のための光軸合わせとは、一方の光空間通信装置の送受光部の光軸と、他方の光空間通信装置の送受光部の光軸とを一致させることを指す。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光空間通信制御システム100の構成の例を示す機能ブロック図である。図1において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、図1に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。光空間通信制御システム100は遮断推定手段101および経路変更手段102を備える。
【0014】
また、光空間通信制御システム100は、光空間通信ネットワーク11に接続している。図2は、光空間通信ネットワーク11の構成の例を示す図である。図2の上段は、光空間通信ネットワーク11の一例を示し、下段は、上段に示す例から時間が経過した例を示す。光空間通信ネットワーク11は、光空間通信装置10a、10bおよび10cによって構成されている。なお、光空間通信装置10a、10bおよび10cを総称して光空間通信装置10と呼ぶこともある。
【0015】
光空間通信装置10aと光空間通信装置10bとは光空間通信経路12abによって接続されている。光空間通信装置10bと光空間通信装置10cとは光空間通信経路12bcによって接続されている。光空間通信経路12ab、光空間通信経路12bc等、光空間通信装置10間の光空間通信経路を総称して光空間通信経路12と呼ぶこともある。
【0016】
光空間通信ネットワーク11には、通信エリア11aが設定されている。光空間通信ネットワーク11の通信エリア11aとは、光空間通信ネットワーク11の光空間通信が行われ得るエリアを指しており、光空間通信ネットワーク11を構成する全ての光空間通信装置10を包含する領域である。
【0017】
ここで、通信エリア11a内を移動体15が移動ルート16に沿って移動するものとする。移動体15は、通信エリア11a内を移動する物体であれば特に限定されないが、クレーン、バックホウ、フォークリフト、ブルドーザ、トラック、AGV(無人搬送車)等が挙げられる。移動ルート16は、移動体15が移動する道筋であり、例えば、通信エリア11a内において移動体15が移動可能な道や道順であってもよく、事前に計画された移動体15の走行の道筋であってもよい。移動ルート16は、移動ルート情報によって規定されていてもよい。移動ルート情報は、移動体15の移動ルート16を示す情報であり、例えば、移動ルートを示すマップであってもよいし、移動体を示す座標群であってもよい。
【0018】
遮断推定手段101は、移動体15の移動ルート16を示す移動ルート情報に基づいて、光空間通信ネットワーク11における光空間通信経路12上の光空間通信の遮断を推定する。すなわち、遮断推定手段101は、移動ルート情報に基づいて、移動体15の移動後の位置を推定し、推定した移動体15の移動後の位置によって、光空間通信装置10間のいずれの光空間通信が遮断されるのかを推定する。遮断推定手段101はまた、推定した移動体15の移動後の位置によって光空間通信装置10間のいずれの光空間通信が遮断されない状態になるのかを併せて推定してもよい。
【0019】
例えば、図1に示す位置の移動体15は、光空間通信装置10aと光空間通信装置10cとの間に位置しており、光空間通信装置10aと光空間通信装置10cとの間の光空間通信を遮断しているが、光空間通信装置10bと光空間通信装置10cとの間の光空間通信は遮断しない。
【0020】
一方、図2に示す位置の移動体15は、光空間通信装置10bと光空間通信装置10cとの間に位置しており、光空間通信装置10bと光空間通信装置10cとの間の光空間通信を遮断しているが、光空間通信装置10aと光空間通信装置10cとの間の光空間通信は遮断しない。
【0021】
遮断推定手段101は、移動ルート情報に基づいて、移動体15が、図1に示す位置から図2に示す位置に移動することによって、光空間通信装置10bと光空間通信装置10cとの間の光空間通信経路12bc上の光空間通信が遮断されることを推定する。遮断推定手段101はまた、移動ルート情報に基づいて、移動体15が、図1に示す位置から図2に示す位置に移動することによって、光空間通信装置10aと光空間通信装置10cとの間の光空間通信が遮断されない状態になり、光空間通信経路12ac上の光空間通信が可能になることを併せて推定してもよい。
【0022】
経路変更手段102は、遮断推定手段101の推定結果に応じて、光空間通信経路12を変更する。例えば、経路変更手段102は、遮断が推定される光空間通信経路12での通信を止め、通信を止めた光空間通信経路12の起点と終点とを結ぶ、新たな光空間通信経路12を構成してもよい。また、このとき、経路変更手段102は、遮断されない状態となったと推定される光路を含む光空間通信経路12で通信をすることにより、上述した新たな光空間通信経路12を構成してもよい。
【0023】
例えば、遮断推定手段101が、上述したように、移動体15が、図1に示す位置から図2に示す位置に移動することによって、光空間通信装置10bと光空間通信装置10cとの間の光空間通信経路12bc上の光空間通信が遮断されることを推定した場合、遮断推定手段101は、光空間通信が遮断される光空間通信経路12bcでは光空間通信を行わないようにしてもよい。そして、遮断推定手段101は、替わりの光空間通信経路12として、光空間通信経路12bcの起点である光空間通信装置10bと光空間通信経路12bcの起点である光空間通信装置10cとを結ぶ、新たな光空間通信経路として、光空間通信経路12abと光空間通信経路12acとによって構成される光空間通信経路を構成してもよい。
【0024】
以上の構成によれば、光空間通信制御システム100は、光空間通信ネットワーク11の通信エリア11a内に移動ルートが設定された移動体の移動に起因する光空間通信の遮断を避けることができる。
【0025】
(光空間通信制御方法)
第1の実施形態に係る光空間通信制御システムの動作(光空間通信制御方法)について、図面を用いて説明する。図3は光空間通信制御システム100の動作の例を示すフローチャートである。
【0026】
ステップS301において、遮断推定手段101は、光空間通信ネットワーク11の通信エリア11a内を移動する移動体15の移動ルート16を示す移動ルート情報に基づいて、光空間通信ネットワーク11上の光空間通信経路12上の光空間通信の遮断を推定する。
【0027】
ステップS302において、経路変更手段102は、ステップS301において遮断推定手段101が推定した推定結果に応じて、光空間通信経路12を変更する。
【0028】
(光空間通信制御装置)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る光空間通信制御装置400の構成の例を示すブロック図である。遮断推定部401は遮断推定手段101と同等の機能を備え、光空間通信ネットワーク11の通信エリア11a内を移動する移動体15の移動ルート16を示す移動ルート情報に基づいて、光空間通信ネットワーク11における光空間通信経路12上の光空間通信の遮断を推定する。経路変更部402は、経路変更手段102と同等の機能を備え、遮断推定部401が推定した推定結果に応じて、光空間通信経路12を変更する。
【0029】
遮断推定部401および経路変更部402はプロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるコンピュータ装置であってもよい。遮断推定部401および経路変更部402の一部または全部は、光空間通信装置10に備えられていてもよく、光空間通信装置10と通信するコンピュータ装置であってもよい。例えば、遮断推定部401および経路変更部402は、単一のコンピュータ装置であってもよく、複数のコンピュータ装置が連携して動作するコンピュータ装置群もしくは複数のサーバ装置が連携して動作するサーバ装置群であってもよい。光空間通信制御装置400によれば、光空間通信制御システム100と同等の効果を得ることができる。
【0030】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る光空間通信制御システム500について説明する。以下、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る光空間通信制御システム500の構成の例を示すブロック図である。図5において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、図5に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。図5に示すように、光空間通信制御システム500は、遮断推定手段501、経路変更手段502および情報取得手段503を備えている。
【0032】
また、光空間通信制御システム500は、光空間通信ネットワーク51に接続している。図6は、光空間通信ネットワーク51の構成の例を示す図である。光空間通信ネットワーク51は、光空間通信装置50a、50b、50c、50d、50e、50f、50g、50hおよび50iによって構成されている。なお、光空間通信装置50a、50b、50c、50d、50e、50f、50g、50hおよび50iを総称して光空間通信装置50と呼ぶこともある。
【0033】
光空間通信装置50aと光空間通信装置50bとは光空間通信経路52abによって接続されている。光空間通信装置50bと光空間通信装置50cとは光空間通信経路52bcによって接続されている。同様に、光空間通信装置50xと光空間通信装置50yとを接続する光空間通信経路を、光空間通信経路52xyと記載する。光空間通信経路52ab、光空間通信経路52bc等、光空間通信装置50間の光空間通信経路を総称して光空間通信経路52と呼ぶこともある。
【0034】
光空間通信ネットワーク51には、通信エリア51aが設定されている。光空間通信ネットワーク51の通信エリア51aとは、光空間通信ネットワーク11の光空間通信が行われ得るエリアを指しており、光空間通信ネットワーク11を構成する全ての光空間通信装置10を包含する領域である。以下では、通信エリア51aが工場の構内である例について説明するが、本実施形態はこれに限定されない。
【0035】
通信エリア51a内には、クレーン車、バックホウ、フォークリフト、ブルドーザ等の重機である移動体55、工場内を撮像するためのカメラ57aおよび57b、工場内の作業者が使用するタブレット端末57c、ロボット装置57d等が配置されている。但し、移動体55は、必ずしも重機等の大型装置に限定されず、トラック、AGV等、様々な移動可能な装置が対象となる。一般に光空間通信に用いられる光路の幅は非常に狭いため、小型装置であっても十分に光空間通信経路上の光空間通信を遮断する可能性があるためである。移動体55は、通信エリア51a内を移動ルート56に沿って移動する。
【0036】
光空間通信装置50fは、カメラ57aが撮像したデータを送受信するために、カメラ57aに備えられている。光空間通信装置50gは、カメラ57bが撮像したデータを送受信するために、カメラ57bに備えられている。光空間通信装置50hは、タブレット端末57cがデータを送受信するために、タブレット端末57cに備えられている。光空間通信装置50iは、ロボット装置57dが制御信号を送受信するために、ロボット装置57dに備えられている。
【0037】
情報取得手段503は、例えば、情報を記憶するストレージを備えており、移動ルート情報および時間情報を記憶している。これにより、情報取得手段503は、移動ルート情報および時間情報を取得し、遮断推定手段501および経路変更手段502に提供することができる。なお、情報取得手段503は、移動ルート情報および時間情報を格納している外部のデータベースにアクセスして、移動ルート情報および時間情報を取得し、遮断推定手段501および経路変更手段502に提供する構成であってもよい。
【0038】
移動ルート情報は、通信エリア51a内において移動体55が移動する経路である移動ルートを示す情報である。図7は、移動ルート情報の一例を示す図である。図7には、移動体55が、地点56aから地点56bおよび56cを経由して地点56dに到達し、その後地点56bおよび56cを経由して地点56aに戻る移動ルートが示されている。
【0039】
時間情報は、移動体55の移動予定時間(スケジュール)を示す情報である。図8は、時間情報の一例を示す図である。図8には、地点56aから地点56bおよび56cを経由して地点56dに到達し、その後地点56bおよび56cを経由して地点56aに戻る移動ルートの各地点を出発する時刻および次の地点に到達する時刻が示されている。
【0040】
遮断推定手段501は、移動体55の移動ルート56を示す移動ルート情報、および、移動体55の移動予定時間を示す時間情報に基づいて、光空間通信ネットワーク51上の光空間通信経路52上の光空間通信の遮断を推定する。
【0041】
そして、遮断推定手段501は、移動ルート情報および時間情報に基づいて、光空間通信経路52上に移動体55が移動するか否かを判定することにより、光空間通信経路52上の光空間通信の遮断を推定する。
【0042】
すなわち、遮断推定手段501は、移動ルート情報および時間情報に基づいて、移動体55がこれからどの位置に移動するかを推定することができる。そのため、遮断推定手段501は、推定した移動後の位置が、光空間通信経路52上であるか否かを判定することにより、光空間通信経路52上の光空間通信が遮断されるか否か、遮断される場合には、どの光空間通信経路52上の光空間通信が遮断されるかを推定することができる。
【0043】
図6に示す例では、遮断推定手段501は、移動体55が地点56cと地点56dとの間を移動中に、光空間通信経路52ch上の光空間通信を遮断すると推定することができる。遮断推定手段501は、例えば、直近所定時間に生じえる遮断について推定してもよいし、今後起こり得る全ての遮断について推定してもよい。
【0044】
また、遮断推定手段501は、第1の実施形態における遮断推定手段101と同様に、任意の光空間通信が遮断されない状態になったことについても併せて推定してもよい。
【0045】
そして、経路変更手段502は、遮断推定手段501の推定結果に応じて、光空間通信経路52を変更する。例えば、経路変更手段502は、遮断が推定される光空間通信経路52上の光空間通信を止め、止めた光空間通信経路52の起点と終点とを結ぶ、新たな光空間通信経路52を構成してもよい。また、このとき、経路変更手段502は、遮断されない状態になったと推定される光空間通信経路52上の光空間通信を可能とすることにより、上述した新たな光空間通信経路52を構成してもよい。
【0046】
図6に示す例では、経路変更手段502は、移動体55が地点56cと地点56dとの間を移動中に、光空間通信経路52ch上の光空間通信を止め、替りに、例えば、光空間通信経路52bhを構成してもよい。
【0047】
以上の構成によれば、光空間通信制御システム500は、光空間通信ネットワーク51の通信エリア51a内に移動ルートが設定された移動体の移動に起因する光空間通信の遮断を避けることができる。
【0048】
以上、第2の実施形態を光空間通信制御システム500として説明したが、第2の実施形態に係る光空間通信制御システム500を1つの装置に搭載した光空間通信制御装置としてもよい。また、第2の実施形態に係る光空間通信制御方法は、第2の実施形態に係る光空間通信制御システム500の動作であってよい。
【0049】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る光空間通信制御システム900について説明する。以下、第1または第2の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る光空間通信制御システム900の構成の例を示すブロック図である。図9において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、図9に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。図9に示すように、光空間通信制御システム900は、遮断推定手段901、経路変更手段502および情報取得手段903を備えている。
【0051】
また、光空間通信制御システム900は、光空間通信ネットワーク51に接続している。図10は、本実施形態における光空間通信ネットワーク51の構成の例を示す図である。光空間通信ネットワーク51の構成は、以下の点を除き、第2の実施形態と同様である。すなわち、移動体55が、移動体55に関するデータを送受信するために、光空間通信ネットワーク51に含まれる光空間通信装置50jを備えている。移動体55に関するデータとしては、移動ルート情報や時間情報、移動体を制御するための情報が挙げられる。移動体を制御するための情報としては、移動体の移動速度、回転速度、姿勢、移動スケジュール等が挙げられ、より詳細には、移動体の移動速度、回転速度、姿勢、移動スケジュール等を実現するための車輪の回転速度や旋回角度などが挙げられる。また、通信エリア51aには、物体98が配置されている。物体98は、光空間通信経路52上の光空間通信を遮断するおそれのある物体が含まれ、例えば、壁、棚、配送品、机、各種装置、柱等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0052】
情報取得手段903は、例えば、情報を記憶するストレージを備えており、移動ルート情報、時間情報および設置情報を記憶している。これにより、情報取得手段903は、移動ルート情報、時間情報および設置情報を取得し、遮断推定手段901および経路変更手段502に提供することができる。なお、情報取得手段903は、移動ルート情報、時間情報および設置情報を格納している外部のデータベースにアクセスして、移動ルート情報、時間情報および設置情報を取得し、遮断推定手段901および経路変更手段502に提供する構成であってもよい。
【0053】
設置情報は、通信エリア51a内に設置された物体98を示す情報である。「通信エリア51a内に設置された物体」とは、当該物体が固定されているか、動くとしても、一定の範囲内に収まることを意味している。図10は、設置情報の一例を示す図である。図10には、物体98が設置されている位置、物体98の水平方向の大きさ、物体98の鉛直方向の高さが示されている。
【0054】
なお、情報取得手段903が取得する設置情報は、予め入力されたものであってもよいが、少なくとも一部は、情報取得手段903が生成したものであってもよい。すなわち、情報取得手段(生成手段)903は、通信エリア51a内を表す画像に基づいて、設置情報を生成してもよい。情報取得手段903は、撮像画像に基づいて撮像領域に存在する物体の位置およびサイズを検出する公知の技術を用いて、設置情報を生成してよい。通信エリア51a内を表す画像は、通信エリア51a内を撮像する撮像手段であるカメラ57aおよび57bが撮像した撮像画像であってもよいし、情報取得手段903に対して外部から入力されたものであってもよい。また、情報取得手段903がより正確な設置情報を生成できるように、カメラ57aおよび57bは、深度情報を取得可能なカメラであってもよい。
【0055】
情報取得手段903が撮像画像に基づいて設置情報を生成することにより、通信エリア51a内の物体98の設置状況が変化することに対応することができる。例えば、棚や配送物などは時間によっては移動されていたり、搬出されていたりする場合があるが、そのような場合でも、情報取得手段903は正確な設置情報を提供することができる。
【0056】
遮断推定手段901は、移動体55の移動ルート56を示す移動ルート情報、移動体55の移動予定時間を示す時間情報、および、通信エリア51a内に設置された物体98を示す設置情報に基づいて、光空間通信ネットワーク51における光空間通信経路52上の光空間通信の遮断を推定する。
【0057】
遮断推定手段901は、第2の実施形態における遮断推定手段501と同様に、移動ルート情報および時間情報に基づいて、移動体55がこれからどの位置に移動するかを推定することができる。そして、遮断推定手段901は、光空間通信経路52のうち、移動体55に備えられた光空間通信装置50jを一端とする経路上の光空間通信が、設置情報が示す物体により遮断されるか否かを判定することにより、光空間通信経路52上の光空間通信の遮断を推定する。
【0058】
図10に示す例では、遮断推定手段901は、移動体55が地点56aと地点56cとの間を移動中は、光空間通信装置50jと光空間通信装置50eとの間に光空間通信経路52ej上の光空間通信は遮断されていないが、移動体55が地点56cと地点56dとの間を移動中は、光空間通信経路52ej上の光空間通信が遮断されると推定することができる。遮断推定手段501は、例えば、直近所定時間に生じえる遮断について推定してもよいし、今後起こり得る全ての遮断について推定してもよい。
【0059】
また、遮断推定手段901は、第1の実施形態における遮断推定手段101と同様に、任意の光空間通信が遮断されない状態になったことについても併せて推定してもよい。
【0060】
そして、経路変更手段502は、遮断推定手段901の推定結果に応じて、光空間通信経路52を変更する。図10に示す例では、経路変更手段502は、移動体55が地点56cと地点56dとの間を移動中に、光空間通信経路52ej上の光空間通信を止め、替りに、例えば、光空間通信経路52bjを構成してもよい。
【0061】
以上の構成によれば、光空間通信制御システム900は、光空間通信ネットワーク51の通信エリア51a内に移動ルートが設定された移動体の移動に起因する光空間通信の遮断を避けることができる。
【0062】
以上、第3の実施形態を光空間通信制御システム900として説明したが、第3の実施形態に係る光空間通信制御システム900を1つの装置に搭載した光空間通信制御装置としてもよい。また、第3の実施形態に係る光空間通信制御方法は、第3の実施形態に係る光空間通信制御システム900の動作であってよい。
【0063】
[第4の実施形態]
第4の実施形態に係る光空間通信制御システム1200について説明する。以下、第1~第3の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図12は、本発明の第4の実施形態に係る光空間通信制御システム1200の構成の例を示すブロック図である。図12において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、図12に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。図12に示すように、光空間通信制御システム1200は、遮断推定手段1201、経路変更手段502および情報取得手段1203を備えている。
【0065】
また、光空間通信制御システム1200は、光空間通信ネットワーク51に接続している。光空間通信ネットワーク51の構成は、第2の実施形態と同様である。但し、第3の実施形態のように、移動体55は、光空間通信ネットワーク51に含まれる光空間通信装置50jを備えている。
【0066】
情報取得手段1203は、例えば、情報を記憶するストレージを備えており、移動ルート情報を記憶している。これにより、情報取得手段1203は、移動ルート情報を取得し、遮断推定手段1201および経路変更手段502に提供することができる。なお、情報取得手段1203は、移動ルート情報を格納している外部のデータベースにアクセスして、移動ルート情報を取得し、遮断推定手段1201および経路変更手段502に提供する構成であってもよい。
【0067】
また、情報取得手段1203は、移動体55の位置を示す位置情報を取得し、遮断推定手段1201および経路変更手段502に提供する。一例において、情報取得手段(位置取得手段)1203は、光空間通信ネットワーク51における光空間通信装置50間の光軸合わせに基づく各光空間通信装置50の位置情報に基づいて、移動体55の位置情報を取得してもよい。
【0068】
光空間通信ネットワーク51において、光空間通信装置50間の光空間通信を行うためには、当該光空間通信装置50間の光軸合わせが行われている必要がある。図13は、光空間通信装置50による光軸合わせの一例を説明する図である。以下では、一例として、光空間通信装置50aがスキャンを行い、光空間通信装置50bとの光軸合わせを行うながれについて説明するが、任意の光空間通信装置間の光軸合わせも同様に行うことができる。なお、「スキャン」は、「サーチ」と言い換えてもよい。
【0069】
図13に示すように、光空間通信装置50aおよび50bは、送受光部131および光軸合わせ部132を備えている。
【0070】
送受光部131は、光空間通信に用いる光を送光し、受光する。一例として、光空間通信装置50aの送受光部131は、光を所定の角度範囲内に向き付けて送出し、光空間通信装置50bの送受光部131によって受光されることによって、光空間通信を行うことができる。ここで、送受光部131が光の向きを付けるための具体的構成はこれらに限定するものではないが、一例として、送受光部131は、
・ミリ波やサブミリ波を所定の角度範囲内に向き付けて送出するビームフォーミングアンテナ
・赤外光、可視光、又は紫外光をコリメートするコリメータ
・赤外光、可視光、又は紫外光のレーザを生成するレーザ発振器
・液晶の位相を変更することによりレーザを変調する変調器
などを備える構成とすることができる。
【0071】
光軸合わせ部132は、送受光部131を制御して光軸合わせを行う。光軸合わせ部132は、光軸を合わせるために、送受光部131に、方向を変えながら走査光133を送出させる(走査光133によるスキャン)。そして、光空間通信装置50aの送受光部131から正しい方向に送出された走査光133が、光空間通信装置50bの送受光部131によって受光される。
【0072】
ここで、走査光134によるスキャンとは、一例として、光空間通信装置50bの位置を特定するために実行される探索のことを指している。スキャンとの文言により、特定のスキャン順序等を規定しようとするものではない。走査光134には、光空間通信装置50aを特定する識別情報と、どの方向に送出されたのかの方向情報(方位角、仰角及び俯角)が含まれている。
【0073】
光空間通信装置50bの送受光部131が走査光133を受光できた場合、すなわち送受光部131間の光軸が一致した場合、光空間通信装置50bの光軸合わせ部132は、走査光133に含まれる識別情報および方向情報を取得し、光空間通信装置50aの方向を特定する。また、光空間通信装置50bの光軸合わせ部132は、走査光133の減衰に基づき、光空間通信装置50aまでの距離を特定する。これにより、光空間通信装置50bの光軸合わせ部132は、光空間通信装置50aの相対的な位置を特定することができる。
【0074】
そして、図14に示すように、光空間通信装置50bの光軸合わせ部132は、送受光部131に、光空間通信装置50aの送受光部131に向けて応答光144を送光させる。応答光144には、光空間通信装置50bを特定する識別情報と、走査光133から取得した方向情報と、光空間通信装置50bの光軸合わせ部132が特定した光空間通信装置50aまでの距離情報が含まれている。光空間通信装置50aの送受光部131が、応答光144を受光すると、光空間通信装置50bの光軸合わせ部132は、走査光133に含まれる識別情報、方向情報および距離情報を取得し、光空間通信装置50bの方向および距離を特定し、光空間通信装置50bの相対的な位置を特定することができる。以上により、光軸合わせが完了する。
【0075】
以上のように、光空間通信装置50間において双方向に光の送光および受光を行なうことによって、精度高く光軸合わせを行なうことができる。また、光軸合わせ部132は、他方の光空間通信装置50から受光した光の減衰に基づき、他方の光空間通信装置50までの距離を推定することもできるが、特に屋外環境では、大気や気象に起因する減衰が大きく影響するため、光信号(走査光、応答光)に含まれた、他方の光空間通信装置50が保有する位置情報に基づいて距離を推定するようにしてもよい。
【0076】
なお、以下のような仕組みにより、各光空間通信装置の絶対的な位置情報を取得することも可能である。例えば、ある固定された光空間通信装置(以下、光空間通信装置Aと記載する。)が、例えば、緯度および経度を示す情報や、光空間通信ネットワーク51の通信エリアに対応するマップ上の座標を示す情報など、光空間通信装置Aの絶対的な位置情報を保持している場合、光空間通信装置Aは、光軸合わせによって取得した光空間通信装置Aと周囲の光空間通信装置の相対的な位置情報と、光空間通信装置Aの絶対的な位置情報とから、周囲の光空間通信装置の絶対的な位置情報を推定することができる。
【0077】
また、光空間通信装置Aが、自らが保持する光空間通信装置Aの絶対的な位置情報を他の光空間通信装置と共有することで、光空間通信装置以外の光空間通信装置も各光空間通信装置の絶対的な位置情報を推定することができる。これにより、任意のタイミングにおける各光空間通信装置の絶対的な位置を把握することができ、移動ルート情報と比較することにより、光空間通信の遮断を推定することができる。
【0078】
以上のように、光空間通信ネットワーク51における光空間通信装置50間の光軸合わせに基づいて、各光空間通信装置50の位置情報が特定されている。情報取得手段1203は、光空間通信装置50jの位置情報を、移動体55の位置情報として取得することができる。
【0079】
なお、情報取得手段1203が位置情報を取得する方法は上記に限定されず、公知の様々な手法を用いることができる。例えば、カメラ57aおよび57bの撮像画像に写った移動体55の画像に基づいて移動体55の位置を算出してもよいし、通信エリア51aに配置された図示しないビーコン装置と移動体55の間でビーコンを送受信することによって、移動体55の位置を算出してもよい。但し、情報取得手段1203が、光空間通信ネットワーク51における光空間通信装置50間の光軸合わせに基づく各光空間通信装置50の位置情報に基づいて、移動体55の位置情報を取得することにより、移動体55の正確な位置情報を提供することができる。光軸合わせにおける方向の精度は非常に厳格であるため、光軸合わせに基づく各光空間通信装置50の位置情報は非常に正確であるためである。
【0080】
そして、遮断推定手段1201は、移動体55の移動ルート56を示す移動ルート情報、および、移動体55の位置を示す位置情報に基づいて、光空間通信ネットワーク51上の光空間通信経路52上の光空間通信の遮断を推定する。例えば、遮断推定手段1201は、移動ルート情報および位置情報に基づいて、光空間通信経路52上に移動体55が移動するか否かを判定することにより、光空間通信経路52上の光空間通信の遮断を推定する。
【0081】
すなわち、遮断推定手段1201は、移動ルート情報および位置情報に基づいて、移動体55が移動ルートにおけるどの段階にあるかを推定し、移動体55がこれからどの位置に移動するかを推定することができる。そのため、遮断推定手段501は、推定した移動後の位置が、光空間通信経路52上であるか否かを判定することにより、光空間通信経路52が遮断されるか否か、遮断される場合には、どの光空間通信経路52上の光空間通信が遮断されるかを推定することができる。なお、遮断推定手段1201は、移動ルート情報が示す移動ルートにおいて、位置情報が示す位置からの移動先が複数ある場合には、いずれかの移動先について、遮断される場合には、遮断が生じると推定してもよい。
【0082】
また、遮断推定手段1201は、第1の実施形態における遮断推定手段101と同様に、任意の光空間通信が遮断されない状態になったことについても併せて推定してもよい。
【0083】
そして、経路変更手段502は、遮断推定手段1201の推定結果に応じて、光空間通信経路52を変更する。例えば、経路変更手段502は、遮断が推定される光空間通信経路52上の光空間通信を止め、止めた光空間通信経路52の起点と終点とを結ぶ、新たな光空間通信経路52を構成してもよい。また、このとき、経路変更手段502は、遮断されない状態になったと推定される光空間通信経路52上の光空間通信を可能とすることにより、上述した新たな光空間通信経路52を構成してもよい。
【0084】
以上の構成によれば、光空間通信制御システム1200は、光空間通信ネットワーク51の通信エリア51a内に移動ルートが設定された移動体の移動に起因する光空間通信の遮断を避けることができる。
【0085】
以上、第4の実施形態を光空間通信制御システム1200として説明したが、第4の実施形態に係る光空間通信制御システム1200を1つの装置に搭載した光空間通信制御装置としてもよい。また、第4の実施形態に係る光空間通信制御方法は、第4の実施形態に係る光空間通信制御システム1200の動作であってよい。
【0086】
[第5の実施形態]
第5の実施形態に係る光空間通信制御システム1500について説明する。以下、第1~第4の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
図15は、本発明の第5の実施形態に係る光空間通信制御システム1500の構成の例を示すブロック図である。図15において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、図15に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置に実装されてもよい。また、一部または全部のブロックは、クラウド等で機能として実装されてもよい。図15に示すように、光空間通信制御システム1500は、遮断推定手段1501、経路変更手段502および情報取得手段1503を備えている。
【0088】
また、光空間通信制御システム1500は、光空間通信ネットワーク51に接続している。光空間通信ネットワーク51の構成は、第3の実施形態と同様である。すなわち、移動体55は、光空間通信ネットワーク51に含まれる光空間通信装置50jを備えている。また、通信エリア51aには、物体98が配置されている。
【0089】
情報取得手段1503は、例えば、情報を記憶するストレージを備えており、移動ルート情報および設置情報を記憶している。これにより、情報取得手段1503は、移動ルート情報および設置情報を取得し、遮断推定手段1501および経路変更手段502に提供することができる。なお、情報取得手段1503は、移動ルート情報および設置情報を格納している外部のデータベースにアクセスして、移動ルート情報および設置情報を取得し、遮断推定手段1501および経路変更手段502に提供する構成であってもよい。
【0090】
なお、情報取得手段1503が取得する設置情報は、予め入力されたものであってもよいが、少なくとも一部は、情報取得手段1503が生成したものであってもよい。すなわち、情報取得手段(生成手段)1503は、通信エリア51a内を撮像する撮像手段であるカメラ57aおよび57bが撮像した撮像画像に基づいて、設置情報を生成してもよい。情報取得手段1503は、撮像画像に基づいて撮像領域に存在する物体の位置およびサイズを検出する公知の技術を用いて、設置情報を生成してよい。また、情報取得手段1503がより正確な設置情報を生成できるように、カメラ57aおよび57bは、深度情報を取得可能なカメラであってもよい。
【0091】
また、情報取得手段1503は、移動体55の位置を示す位置情報を取得し、遮断推定手段1501および経路変更手段502に提供する。一例において、情報取得手段(位置取得手段)1503は、第4の実施形態において説明したように、光空間通信ネットワーク51における光空間通信装置50間の光軸合わせに基づく各光空間通信装置50の位置情報に基づいて、移動体55の位置情報を取得してもよい。
【0092】
そして、遮断推定手段1501は、移動体55の移動ルート56を示す移動ルート情報、および、移動体55の位置を示す位置情報、および、通信エリア51a内に設置された物体98を示す設置情報に基づいて、光空間通信ネットワーク51上の光空間通信経路52上の光空間通信の遮断を推定する。
【0093】
遮断推定手段1501は、第4の実施形態における遮断推定手段1201と同様に、移動ルート情報および位置情報に基づいて、移動体55がこれからどの位置に移動するかを推定することができる。そして、遮断推定手段1501は、第3の実施形態における遮断推定手段901と同様に、光空間通信経路52のうち、移動体55に備えられた光空間通信装置50jを一端とする経路が、設置情報が示す物体により遮断されるか否かを判定することにより、光空間通信経路52上の光空間通信の遮断を推定する。
【0094】
また、遮断推定手段1501は、第1の実施形態における遮断推定手段101と同様に、任意の光空間通信が遮断されない状態になったことについても併せて推定してもよい。
【0095】
そして、経路変更手段502は、遮断推定手段1501の推定結果に応じて、光空間通信経路52を変更する。
【0096】
以上の構成によれば、光空間通信制御システム1500は、光空間通信ネットワーク51の通信エリア51a内に移動ルートが設定された移動体の移動に起因する光空間通信の遮断を避けることができる。
【0097】
以上、第5の実施形態を光空間通信制御システム1500として説明したが、第5の実施形態に係る光空間通信制御システム1500を1つの装置に搭載した光空間通信制御装置としてもよい。また、第5の実施形態に係る光空間通信制御方法は、第5の実施形態に係る光空間通信制御システム1500の動作であってよい。
【0098】
[適用例]
第2~第5の実施形態では、通信エリア51aが工場の構内である例について説明したが、通信エリア51aは、光空間通信ネットワーク51の光空間通信が行われ得るエリアを指しており、光空間通信ネットワーク51を構成する全ての光空間通信装置50を包含する領域であれば特に限定されない。通信エリア51aは、屋内であってもよいし、屋外であってもよい。通信エリア51aは、例えば、工場やその他建築物の構内、屋外の製鉄所やその他の施設の構内、ライブ会場や駐車場等の構内など、特定の構内であってもよい。また、通信エリア51aは、特定の構内ではなく、たとえば道路において、光空間通信ネットワーク51が構築された範囲のようなエリアであってもよい。
【0099】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された構成、動作、処理を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0100】
第1の実施形態から第5の実施形態に係る各構成は、1つのハードウェアによって構成されてもよい。また、第1の実施形態から第5の実施形態に係る各構成は、1つのソフトウェアから構成されてもよい。また、第1の実施形態から第5の実施形態に係る各構成は、複数のハードウェアによって構成されてもよい。また、第1の実施形態から第5の実施形態に係る各構成は、複数のソフトウェアから構成されてもよい。また、第1の実施形態から第4の実施形態とは、ハードウェアとソフトウェアとの組合せによって実現されてもよい。また、第1の実施形態から第5の実施形態に係る各機能は、クラウド上で実装されてもよい。各装置、各機能及び各処理を、図16に示すようなプロセッサ1601及びメモリ1602を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、メモリ1602に第1の実施形態から第5の実施形態に記載の光空間通信制御方法を実施するためのプログラムを格納し、メモリ1602に格納されたプログラムをプロセッサ1601が読み取って実行することにより、第1の実施形態から第5の実施形態に記載の各機能を実現してもよい。
【0101】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、第1の実施形態から第5の実施形態に記載の1またはそれ以上の機能をコンピュータに実行させるさめの命令群を含む。プログラムは、メモリ1602に格納される。プロセッサ1601はとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を用いることができる。メモリ1602としては、例えば、Read Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)、フラッシュメモリ、Solid State Drive(SSD)等を用いることができる。
【0102】
本開示は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本開示のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。なお、上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0103】
[付記1]
光空間通信ネットワークの通信エリア内を移動する移動体の移動ルートを示す移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信ネットワーク上の光空間通信の遮断を推定する遮断推定手段と、
前記遮断推定手段の推定結果に応じて、前記光空間通信の経路を変更する経路変更手段と、を備える、光空間通信制御システム。
【0104】
[付記2]
前記遮断推定手段は、前記移動体の移動予定時間を示す時間情報と前記移動ルート情報とに基づいて、前記光空間通信の遮断を推定する、付記1に記載の光空間通信制御システム。
【0105】
[付記3]
前記遮断推定手段は、前記移動体の位置を示す位置情報と前記移動ルート情報とに基づいて、前記光空間通信の遮断を推定する、付記1に記載の光空間通信制御システム。
【0106】
[付記4]
前記移動体は、前記光空間通信ネットワークに含まれる光空間通信装置を備えており、
前記光空間通信ネットワークにおける光空間通信装置間の光軸合わせに基づく各光空間通信装置の位置情報に基づいて、前記移動体の位置情報を取得する位置取得手段を更に備える、付記3に記載の光空間通信制御システム。
【0107】
[付記5]
前記遮断推定手段は、前記移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信経路上に前記移動体が移動するか否かを判定することにより、前記光空間通信の遮断を推定する、付記1~4のいずれか一つに記載の光空間通信制御システム。
【0108】
[付記6]
前記移動体は、前記光空間通信ネットワークに含まれる光空間通信装置を備えており、
前記遮断推定手段は、前記通信エリア内に設置された物体を示す設置情報にさらに基づいて、前記光空間通信のうち前記光空間通信装置を一端とする光空間通信が前記物体により遮断されるか否かを判定することにより、前記光空間通信の遮断を推定する、付記1~4のいずれか一つに記載の光空間通信制御システム。
【0109】
[付記7]
前記通信エリア内を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像画像に基づいて前記設置情報を生成する生成手段と、を更に備える、付記6に記載の光空間通信制御システム。
【0110】
[付記8]
前記通信エリアは、特定の構内である、付記1に記載の光空間通信制御システム。
【0111】
[付記9]
光空間通信ネットワークの通信エリア内を移動する移動体の移動ルートを示す移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信ネットワーク上の光空間通信の遮断を推定する遮断推定部と、
前記遮断推定部の推定結果に応じて、前記光空間通信の経路を変更する経路変更部と、を備える、光空間通信制御装置。
【0112】
[付記10]
前記遮断推定部は、前記移動体の移動予定時間を示す時間情報と前記移動ルート情報とに基づいて、前記光空間通信の遮断を推定する、付記9に記載の光空間通信制御装置。
【0113】
[付記11]
前記遮断推定部は、前記移動体の位置を示す位置情報と前記移動ルート情報とに基づいて、前記光空間通信の遮断を推定する、付記9に記載の光空間通信制御装置。
【0114】
[付記12]
前記移動体は、前記光空間通信ネットワークに含まれる光空間通信装置を備えており、
前記光空間通信ネットワークにおける光空間通信装置間の光軸合わせに基づく各光空間通信装置の位置情報に基づいて、前記移動体の位置情報を取得する位置取得部を更に備える、付記11に記載の光空間通信制御装置。
【0115】
[付記13]
前記遮断推定部は、前記移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信経路上に前記移動体が移動するか否かを判定することにより、前記光空間通信の遮断を推定する、付記9~12のいずれか一つに記載の光空間通信制御装置。
【0116】
[付記14]
前記移動体は、前記光空間通信ネットワークに含まれる光空間通信装置を備えており、
前記遮断推定部は、前記通信エリア内に設置された物体を示す設置情報にさらに基づいて、前記光空間通信のうち前記光空間通信装置を一端とする光空間通信が前記物体により遮断されるか否かを判定することにより、前記光空間通信の遮断を推定する、付記9~12のいずれか一つに記載の光空間通信制御装置。
【0117】
[付記15]
前記通信エリア内を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した撮像画像に基づいて前記設置情報を生成する生成部と、を更に備える、付記14に記載の光空間通信制御装置。
【0118】
[付記16]
前記通信エリアは、特定の構内である、付記9に記載の光空間通信制御装置。
【0119】
[付記17]
光空間通信ネットワークの通信エリア内を移動する移動体の移動ルートを示す移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信ネットワーク上の光空間通信の遮断を推定し、
当該光空間通信の遮断の推定結果に応じて、前記光空間通信の経路を変更する、光空間通信制御方法。
【0120】
[付記18]
前記遮断を推定することでは、前記移動体の移動予定時間を示す時間情報と前記移動ルート情報とに基づいて、前記光空間通信の遮断を推定する、付記17に記載の光空間通信制御方法。
【0121】
[付記19]
前記遮断を推定することでは、前記移動体の位置を示す位置情報と前記移動ルート情報とに基づいて、前記光空間通信の遮断を推定する、付記17に記載の光空間通信制御方法。
【0122】
[付記20]
前記移動体は、前記光空間通信ネットワークに含まれる光空間通信装置を備えており、
前記光空間通信ネットワークにおける光空間通信装置間の光軸合わせに基づく各光空間通信装置の位置情報に基づいて、前記移動体の位置情報を取得する、付記19に記載の光空間通信制御方法。
【0123】
[付記21]
前記遮断を推定することでは、前記移動ルート情報に基づいて、前記光空間通信経路上に前記移動体が移動するか否かを判定することにより、前記光空間通信の遮断を推定する、付記17~20のいずれか一つに記載の光空間通信制御方法。
【0124】
[付記22]
前記移動体は、前記光空間通信ネットワークに含まれる光空間通信装置を備えており、
前記遮断を推定することでは、前記通信エリア内に設置された物体を示す設置情報にさらに基づいて、前記光空間通信のうち前記光空間通信装置を一端とする光空間通信が前記物体により遮断されるか否かを判定することにより、前記光空間通信の遮断を推定する、付記17~20のいずれか一つに記載の光空間通信制御方法。
【0125】
[付記23]
前記通信エリア内を撮像した撮像画像に基づいて前記設置情報を生成する、付記22に記載の光空間通信制御方法。
【0126】
[付記24]
前記通信エリアは、特定の構内である、付記17に記載の光空間通信制御方法。
【符号の説明】
【0127】
10、50 光空間通信装置
11、51 光空間通信ネットワーク
11a、51a 通信エリア
12、52 光空間通信経路
15、55 移動体
16、56 移動ルート
98 物体
100、500、900、1200、1500 光空間通信制御システム
101、501、901、1201、1501 遮断推定手段
102、502 経路変更手段
503、903、1203、1503 情報取得手段
131 送受光部
132 光軸合わせ部
133 走査光
144 応答光
400 光空間通信制御装置
401 遮断推定部
402 経路変更部
1601 プロセッサ
1602 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
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図16