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  • 特開-コンデンサ冷却構造及び電力変換装置 図1
  • 特開-コンデンサ冷却構造及び電力変換装置 図2
  • 特開-コンデンサ冷却構造及び電力変換装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043987
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】コンデンサ冷却構造及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H01G 2/10 20060101AFI20240326BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20240326BHJP
   H01G 4/32 20060101ALI20240326BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01G2/10 600
H01G4/224 200
H01G4/32 540
H01G4/38 A
H01G4/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149266
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 優
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AA11
5E082BC25
5E082CC06
5E082FG06
5E082HH08
5E082HH48
(57)【要約】
【課題】コンデンサ素子の冷却性能を向上させることでコンデンサの小型化及び冷却構造の簡略化を図る。
【解決手段】コンデンサ冷却構造1は、コンデンサケース30にて並列に配置された複数のコンデンサ素子2をモールドしたコンデンサモジュール3と、電力変換装置10の部品としてコンデンサモジュール3を収納する電力変換装置10のケース12を有する。コンデンサモジュール3のコンデンサケース30の底部には、隣接のコンデンサ素子2間に対応してコンデンサ素子2の長さ方向に沿う窪み部31が形成されている。電力変換装置10のケース12の内面には、コンデンサケース30の窪み部31と嵌合する突起部13が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサケースにて並列に配置された複数のコンデンサ素子をモールドしたコンデンサモジュールと、
電力変換装置の部品として前記コンデンサモジュールを収納する当該電力変換装置のケースと、
を有し、
前記ケースの内面には、隣接の前記コンデンサ素子間に対応した前記コンデンサケースの窪み部と嵌合する突起部が設けられたこと
を特徴とするコンデンサ冷却構造。
【請求項2】
前記突起部は、前記コンデンサケースと同一の材料からなること
を特徴とする請求項1に記載のコンデンサ冷却構造。
【請求項3】
前記突起部は、樹脂または金属からなることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ冷却構造。
【請求項4】
前記窪み部と前記突起部との間に熱伝導シートが配されることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ冷却構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のコンデンサ冷却構造を有する電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサ冷却構造としては、例えば特許文献1のケースモールド型コンデンサのように、複数のコンデンサ素子から成るコンデンサモジュールを収納するケースの底部を介して当該コンデンサモジュールの放熱を行う。
【0003】
また、特許文献2に開示のコンデンサ冷却構造は、前記コンデンサモジュールを収納する電力変換装置のケースの面を介して当該コンデンサモジュールの放熱を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-55095号公報
【特許文献2】特開2019-41482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インバータ等の電力変換装置の平滑コンデンサとして適用されるフィルムコンデンサのポリプロピレン製のフィルムは使用上限温度が低いため当該コンデンサの内部の熱が高くなる場合には冷却が必要となる。
【0006】
特許文献1,2のコンデンサ冷却構造は、図2のように複数のコンデンサ素子2を備えたコンデンサモジュール3のコンデンサケース30の底部や、コンデンサモジュール3を収容する電力変換装置のケース12の底部を介して放熱を行う。そして、自然冷却のみでコンデンサモジュール3の冷却が不十分である場合にはコンデンサケース30やケース12に水冷方式の冷却機構が適用される。
【0007】
しかしながら、水冷方式による冷却構造はコンデンサやこれを備えた電力変換装置の小型化及び低コスト化の妨げとなる。
【0008】
本発明は、以上の事情を鑑み、コンデンサ素子の冷却性能を向上させることでコンデンサ冷却構造の簡略化及びコンデンサの小型化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の一態様は、コンデンサケースにて並列に配置された複数のコンデンサ素子をモールドしたコンデンサモジュールと、電力変換装置の部品として前記コンデンサモジュールを収納する当該電力変換装置のケースと、を有し、前記ケースの内面には、隣接の前記コンデンサ素子間に対応した前記コンデンサケースの窪み部と嵌合する突起部が設けられたコンデンサ冷却構造である。
【0010】
本発明の一態様は、前記コンデンサ冷却構造において、前記突起部は、前記コンデンサケースと同一の材料からなる。
【0011】
本発明の一態様は、前記コンデンサ冷却構造において、前記突起部は、樹脂または金属からなる。
【0012】
本発明の一態様は、前記コンデンサ冷却構造において、前記窪み部と前記突起部との間に熱伝導シートが配される。
【0013】
本発明の一態様は、上記のコンデンサ冷却構造を有する電力変換装置である。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明によれば、コンデンサ素子の冷却性能が向上し、コンデンサ冷却構造の簡略化及びコンデンサの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一態様であるコンデンサ冷却構造の断面図。
図2】従来のコンデンサ冷却構造の断面図。
図3図1のコンデンサ冷却構造が適用される電力変換装置の基本回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1に示された本発明の一態様であるコンデンサ冷却構造1は、コンデンサケース30にて複数のコンデンサ素子2をモールドしたコンデンサモジュール3と、このコンデンサモジュール3を収容する電力変換装置10のケース12を有する。
【0018】
コンデンサモジュール3は、例えば図3の電力変換装置10のパワーモジュール11に接続されるコンデンサCとして適用され、パワーモジュール11、抵抗(図示省略)等の電力変換装置10の部品と共に電力変換装置10のケース12内に収容される。
【0019】
コンデンサモジュール3は、同図のように例えば三つのコンデンサ素子2がコンデンサケース30に並列に格納され、さらに、モールドされて成る。電力変換装置10のケース12内面に配置されるコンデンサケース30の底部には、隣接のコンデンサ素子2間に対応してコンデンサ素子2の長さ方向に沿う窪み部31が形成されている。
【0020】
コンデンサ素子2は、誘電体フィルムの片面または両面に金属を蒸着させた一対の金属化フィルムが誘電体フィルムを介して対向した状態で巻回されて、両端面が小判型の直胴部20を有する。そして、この直胴部20の両端面には図示省略の電極が形成される。
【0021】
そして、このコンデンサ素子2は、一端面の電極にバスバーPの接続端子P1が接続される一方で他端面の電極にバスバーNの接続端子N1が接続された状態で、コンデンサケース30内に収納され、エポキシ樹脂等によりモールドされる。
【0022】
電力変換装置10のケース12の内面(例えば底部内面)には、コンデンサケース30の窪み部31と嵌合する突起部13が設けられる。突起部13は、接着剤によりケース12の内面に固定される。突起部13の材料としてはコンデンサケース30と同一の周知の樹脂または金属が挙げられる。さらに、窪み部41と突起部13との間には熱伝導シート4が適宜に配置される。熱伝導シート4としては周知の熱伝導性の樹脂が適用される。
【0023】
以上のコンデンサ冷却構造1によれば、電力変換装置10のケース12内の突起部13がコンデンサケース30の窪み部31と嵌合することで、コンデンサ素子2の熱が突起部13を介してケース12に伝達し、コンデンサ素子2が冷却される。
【0024】
特に、コンデンサ素子2の熱が滞留しやすいコンデンサケース30の窪み部31とケース12の内面との空隙が突起部13により密閉されるので、コンデンサ素子2の冷却効率が高まる。
【0025】
また、突起部13がコンデンサケース30と同一の材料から構成されることで、突起部13を介したコンデンサ素子2からケース12への伝熱効果が高まり、コンデンサ素子2の冷却効果がさらに向上する。そして、突起部13と窪み部31との間に熱伝導シート4が配置されることで前記伝熱効果がさらに高まる。
【0026】
よって、以上のコンデンサ冷却構造1によれば、水冷構造を要することなくコンデンサ素子2の冷却効果が高まるので、コンデンサ冷却構造の簡略化が可能となる。したがって、複数のコンデンサ素子2を有するコンデンサの小型化及び高密度化が可能となり、コンデンサ冷却構造1とこれを備えた電力変換装置10の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0027】
1…コンデンサ冷却構造
2…コンデンサ素子、20…直胴部
3…コンデンサモジュール、30…コンデンサケース、31…窪み部
4…熱伝導シート
P,N…バスバー、P1,N1…接続端子
10…電力変換装置、11…パワーモジュール、12…ケース、13…突起部
図1
図2
図3