(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043990
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240326BHJP
H01L 23/40 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149271
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 新一郎
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136CB06
5F136HA10
(57)【要約】
【課題】電流センサを含んで薄型化する。
【解決手段】筐体20は、平面視で枠型を成し、開口されたユニット収納部21gに絶縁回路基板を収納して天板31に配置され、W相出力端子24cとユニット収納部21gから挿通されて外部に延伸される枠部21と枠部21に埋設されて、W相出力端子24cを通電する出力電流を検出する電流センサ40とを含んでいる。電流センサ40は、電流センサ40の外形寸法の最も短い部分である高さbが天板31に対する鉛直方向に平行を成して枠部21に埋設されている。電流センサ40を含む枠部21を薄く構成することができるため、筐体20の薄型化を図り、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おもて面に出力電極を備える半導体チップと、
前記半導体チップが配置される絶縁回路基板と、
前記出力電極に電気的に接続される出力端子と、
前記絶縁回路基板が設けられる冷却面を備える天板を含む冷却装置と、
平面視で枠型を成し、開口された収納領域に前記絶縁回路基板を収納して前記天板に配置され、前記出力端子が前記収納領域から挿通されて外部に延伸される枠部と前記枠部に埋設されて、前記出力端子を通電する出力電流を検出する電流検出部とを含む筐体と、
を含み、
前記電流検出部は、前記電流検出部の外形寸法の最も短い部分が前記天板に対する鉛直方向に平行を成して前記枠部に埋設されている、
半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁回路基板は、前記半導体チップが配置される第1配線板と前記半導体チップの前記出力電極が電気的に接続される第2配線板とをおもて面に含み、
前記出力端子の一端部が前記第2配線板に接続されて、前記出力端子の他端部は、前記枠部から前記鉛直方向に対する直交方向に外部に延伸している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電流検出部は、平面視でC字状を成し隙間を空けて前記鉛直方向に貫通された貫通部を含む磁気コアと前記隙間に設けられたホール素子とを含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記出力端子は、前記磁気コアの前記貫通部を前記鉛直方向に挿通される中間部分を含む、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記出力端子は、前記電流検出部の前記天板に対向する下面の反対側の上面側を延伸し、前記出力端子の前記中間部分は前記上面から前記下面に向かって挿通し、前記出力端子の他端部は前記下面側を外部に向かって延伸する、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記冷却装置は、
前記天板の前記冷却面の反対側に対向配置され、前記枠部に対応する箇所に冷媒の流入口及び流出口が形成された冷却底板と、
平面視で前記冷却面の前記絶縁回路基板が配置される領域に対応して前記天板及び前記冷却底板の間に設けられた複数の放熱フィンと、
前記天板及び前記冷却底板の間に設けられ、平面視で、前記複数の放熱フィン及び前記流入口及び前記流出口を取り囲む側壁と、
をさらに含む、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記天板の前記冷却面の反対側に対向配置され、平面視で前記冷却面の前記絶縁回路基板が配置される領域に対応して、冷媒の流入口及び流出口が形成された冷却底板と、
平面視で前記冷却面の前記絶縁回路基板が配置される領域に対応して前記天板及び前記冷却底板の間に設けられた複数の放熱フィンと、
をさらに含み、
前記天板は、前記複数の放熱フィンが設けられている冷却領域と前記冷却領域の周りであって、前記冷却領域よりも下位に位置し、前記枠部が配置される枠部領域とを含む、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記電流検出部は、前記天板の前記枠部領域の上部に配置されている、
請求項7に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、半導体モジュールと冷却装置とを含む。半導体モジュールは、パワーデバイスを含み、例えば、インバータを構成する。パワーデバイスは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が挙げられる。半導体モジュールは、パワーデバイスを含む半導体チップと半導体チップが配置された絶縁回路基板とを含み、これらがケースに収納されている。冷却装置は、内部に冷媒が流通する。これにより、冷却装置は、発熱する半導体モジュールを冷却して半導体モジュールの信頼性を保つ(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、半導体モジュールのケース内に電流センサ(電流検出部)が含まれている。電流センサは、半導体チップに電気的に接続されて、半導体チップから出力される出力電流が通電される外部端子から当該出力電流を検出する(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-092250号公報
【特許文献2】特開2018-121418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置の小型化を図るために、例えば、半導体モジュールの薄型化を要する。しかし、半導体モジュールのケースは電流検出部を含んでいるため、薄型化が制限されてしまう。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、電流検出部を含んで薄型化された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、おもて面に出力電極を備える半導体チップと、前記半導体チップが配置される絶縁回路基板と、前記出力電極に電気的に接続される出力端子と、前記絶縁回路基板が設けられる冷却面を備える天板を含む冷却装置と、平面視で枠型を成し、開口された収納領域に前記絶縁回路基板を収納して前記天板に配置され、前記出力端子が前記収納領域から挿通されて外部に延伸される枠部と前記枠部に埋設されて、前記出力端子を通電する出力電流を検出する電流検出部とを含む筐体と、を含み、前記電流検出部は、前記電流検出部の外形寸法の最も短い部分が前記天板に対する鉛直方向に平行を成して前記枠部に埋設されている、半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、電流検出部を含んで薄型化を図り、半導体装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態の半導体装置の平面図である。
【
図2】第1の実施の形態の半導体装置の側面図である。
【
図3】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの平面図である。
【
図4】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの断面図(その1)である。
【
図5】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの断面図(その2)である。
【
図6】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる冷却装置の斜視図(その1)である。
【
図7】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる冷却装置の斜視図(その2)である。
【
図8】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる冷却装置の天板の裏面図である。
【
図9】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる冷却装置における冷媒の流れを説明する図である。
【
図10】第1の実施の形態の半導体装置の断面図である。
【
図11】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる電流センサを示す図である。
【
図13】第2の実施の形態の半導体装置の断面図である。
【
図14】第2の実施の形態の半導体装置に含まれる冷却装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、
図1の半導体装置1において、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、
図1の半導体装置1において、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、
図1の半導体装置1において、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、
図1の半導体装置1において、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。また、「略同一」とは、±10%以内の範囲であればよい。また、「垂直」、「平行」とは、±10°以内の範囲であればよい。
【0011】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の半導体装置1について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図2は、第1の実施の形態の半導体装置の側面図である。なお、
図2は、
図1においてX-Z面を+Y方向に見た側面図である。
【0012】
半導体装置1は、半導体モジュール2と冷却装置3とを含む。また、半導体モジュール2は、半導体ユニット10a,10b,10cと半導体ユニット10a,10b,10cを収納する筐体20とを含んでいる。筐体20に収納される半導体ユニット10a,10b,10cは封止部材(図示を省略)により封止される。なお、半導体ユニット10a,10b,10cは、いずれも同様の構成を成している。半導体ユニット10a,10b,10cは、区別しない場合には、半導体ユニット10として説明する。半導体ユニット10の詳細については後述する。
【0013】
まず、筐体20は、枠部21と第1接続端子22a,22b,22cと第2接続端子23a,23b,23cとU相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cと制御端子25a,25b,25cとを含んでいる。
【0014】
枠部21は、平面視で略矩形状を成しており、四方が外壁21a,21b,21c,21dにより囲まれている。なお、外壁21a,21cは、枠部21の長辺に対応し、外壁21b,21dは、枠部21の短辺に対応する。また、外壁21a,21b,21c,21dの接続箇所である角部は、必ずしも直角でなくてもよく、
図1に示されるように、R面取りされていてもよい。枠部21のおもて面の角部に枠部21を貫通する貫通孔21iがそれぞれ形成されている。なお、枠部21のこのような角部に形成されている貫通孔21iは、枠部21のおもて面よりも下位に形成されてよい。
【0015】
枠部21は、おもて面に外壁21a,21cに沿って、ユニット収納部21e,21f,21gを含んでいる。ユニット収納部21e,21f,21gは、平面視で、矩形状を成して開口されている。ユニット収納部21e,21f,21gには、半導体ユニット10a,10b,10cがそれぞれ収納されている。枠部21は、半導体ユニット10a,10b,10cがそれぞれ配置された冷却装置3の天板31に取り付けられる。取り付けの際には、枠部21のユニット収納部21e,21f,21gが冷却装置3に配列された半導体ユニット10a,10b,10cをそれぞれ取り囲む(収納する)。なお、冷却装置3の底面33d(半導体ユニット10が取り付けられた天板31の反対面)には、流入口33a及び流出口33bが形成されている。冷却装置3の詳細については後述する。
【0016】
枠部21は、平面視で、ユニット収納部21e,21f,21gを±Y方向に挟んで外壁21a側に第1接続端子22a,22b,22c及び第2接続端子23a,23b,23cを備えている。第1接続端子22a,22b,22c及び第2接続端子23a,23b,23cの一方の外端部は外壁21a側のおもて面に表出されている。他方の内端部は、ユニット収納部21e,21f,21g内に表出して半導体ユニット10a,10b,10cに電気的に接続される。外壁21c側にU相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとがそれぞれ備えられている。U相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとの一方の外端部は外壁21cから表出している。他方の内端部はユニット収納部21e,21f,21g内に表出して半導体ユニット10a,10b,10cに電気的に接続される。なお、枠部21の外壁21c側には、U相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとにそれぞれ対応する電流センサ40が内部に埋設されている。なお、
図1には、枠部21に埋設されている電流センサ40の箇所を破線で示している。電流センサ40は、U相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとに対して一直線状を成すように設けられている。なお、電流センサ40の詳細については後述する。
【0017】
また、枠部21のおもて面の第1接続端子22a,22b,22c及び第2接続端子23a,23b,23cの開口に対向する領域には、当該開口に対向したナットが収納されている。
【0018】
さらに、枠部21は、平面視で、ユニット収納部21e,21f,21gの+Y方向側の辺(外壁21c側)に沿ってそれぞれ制御端子25a,25b,25cを備えている。制御端子25a,25b,25cは、それぞれ、2つに分かれて備えられている。制御端子25a,25b,25cは、J字状(またはU字状)を成しており、一端部が枠部21の外壁21c側から鉛直上方(+Z方向)に延伸している。他端部は、ユニット収納部21e,21f,21gの外壁21c側から鉛直上方(+Z方向)を向いて表出されている。なお、制御端子25a,25b,25cの形状、配置数は、これに限らず適宜変更が可能である。
【0019】
このような枠部21は、第1接続端子22a,22b,22cと第2接続端子23a,23b,23cとU相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cと制御端子25a,25b,25cとを含み、熱可塑性樹脂を用いて射出成形により一体成形される。この際、電流センサ40も一体成形されてよい。これにより、筐体20が構成される。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリアミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂である。
【0020】
また、第1接続端子22a,22b,22cと第2接続端子23a,23b,23cとU相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cと制御端子25a,25b,25cとは、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。第1接続端子22a,22b,22cと第2接続端子23a,23b,23cとU相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cと制御端子25a,25b,25cとの表面に対して、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0021】
筐体20のユニット収納部21e,21f,21gを封止する封止部材(図示を省略)は、シリコーンゲルや熱硬化性樹脂であってよい。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、ポリエステル樹脂である。好ましくは、エポキシ樹脂である。さらに、封止部材は、フィラーが添加されていてもよい。フィラーは、絶縁性で高熱伝導を有するセラミックスである。
【0022】
次に、半導体ユニット10a,10b,10cについて、
図3~
図5を用いて説明する。
図3は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの平面図である。
図4及び
図5は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる半導体ユニットの断面図である。なお、
図4は、
図3の一点鎖線X-Xにおける断面図であり、
図5は、
図3の一点鎖線Y-Yにおける断面図である。
【0023】
半導体ユニット10は、絶縁回路基板11と2つの半導体チップ12とリードフレーム13a,13bと、を含んでいる。半導体チップ12は接合部材14aにより絶縁回路基板11に接合されている。また、リードフレーム13a,13bは接合部材14bにより半導体チップ12のおもて面の主電極に接合されている。なお、リードフレーム13a,13bは、絶縁回路基板11に対しては、接合部材14bに代えて、超音波接合により接合してもよい。
【0024】
絶縁回路基板11は、絶縁板11aと配線板11b1,11b2,11b3と金属板11cとを含んでいる。絶縁板11a及び金属板11cは、平面視で矩形状である。また、絶縁板11a及び金属板11cは、角部がR面取り、C面取りされていてもよい。金属板11cのサイズは、平面視で、絶縁板11aのサイズより小さく、絶縁板11aの内側に形成されている。
【0025】
絶縁板11aは、絶縁性を備え、熱伝導性に優れた材質により構成されている。このような絶縁板11aは、セラミックスにより構成されている。セラミックスは、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素である。
【0026】
配線板11b1,11b2,11b3は、絶縁板11aのおもて面に形成されている。配線板11b1,11b2,11b3は、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。また、配線板11b1,11b2,11b3の厚さは、0.1mm以上、2.0mm以下である。配線板11b1,11b2,11b3の表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0027】
配線板11b1は、絶縁板11aのおもて面の+X方向の辺側の半分の領域であって、-Y方向の辺から+Y方向の辺に至る全体を占めている。配線板11b1に示される破線で囲まれた領域は、第1接続端子22a,22b,22cの端部が接合される。この際、配線板11b1に示される破線で囲まれた領域と第1接続端子22a,22b,22cの端部とが導電性のブロック体を介して接合されてもよい。
【0028】
配線板11b2は、絶縁板11aのおもて面の-X方向側の半分を占めている。さらに、配線板11b2は、絶縁板11aのおもて面の+Y方向の辺から-Y方向の辺の手前までを占めている。配線板11b2に示される破線で囲まれた領域は、U相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとのそれぞれの端部がそれぞれ接合される。配線板11b2に示される破線で囲まれた領域と、U相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとは導電性のブロック体を介して接合されてもよい。
【0029】
配線板11b3は、絶縁板11aのおもて面の配線板11b1,11b2で囲まれた領域を占めている。配線板11b3に示される破線で囲まれた領域は、第1接続端子22a,22b,22cの端部が接合される。配線板11b3に示される破線で囲まれた領域と第1接続端子22a,22b,22cの端部とは導電性のブロック体を介して接続されてもよい。
【0030】
このような配線板11b1,11b2,11b3は、以下のようにして絶縁板11aのおもて面に形成される。絶縁板11aのおもて面に金属層を形成し、この金属層に対してエッチング等の処理を行って所定形状の配線板11b1,11b2,11b3が得られる。または、あらかじめ金属層から切り出した配線板11b1,11b2,11b3を絶縁板11aのおもて面に圧着させてもよい。なお、配線板11b1,11b2,11b3は一例である。必要に応じて、配線板11b1,11b2,11b3の個数、形状、大きさ、位置を適宜選択してもよい。
【0031】
金属板11cは、絶縁板11aの裏面に形成されている。金属板11cは、矩形状を成している。金属板11cの平面視の面積は、絶縁板11aの面積よりも小さく、配線板11b1,11b2,11b3が形成されている領域の面積よりも広い。金属板11cの角部は、R面取り、C面取りされていてもよい。金属板11cは、絶縁板11aのサイズより小さく、絶縁板11aの縁部を除いた全面に形成されている。この金属は、例えば、銅、アルミニウムまたは、少なくともこれらの一種を含む合金である。金属板11cの表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0032】
このような構成を有する絶縁回路基板11として、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板を用いてもよい。絶縁回路基板11は、冷却装置3のおもて面に接合部材(図示を省略)を介して取り付けてもよい。半導体チップ12で発生した熱を配線板11b1,11b2、絶縁板11a及び金属板11cを介して、冷却装置3に伝導させて放熱することができる。
【0033】
接合部材14a,14bは、はんだである。はんだは、鉛フリーはんだが用いられる。鉛フリーはんだは、例えば、錫、銀、銅、亜鉛、アンチモン、インジウム、ビスマスの少なくとも2つを含む合金を主成分とする。さらに、はんだには、添加物が含まれてもよい。添加物は、例えば、ニッケル、ゲルマニウム、コバルトまたはシリコンである。はんだは、添加物が含まれることで、濡れ性、光沢、結合強度が向上し、信頼性の向上を図ることができる。
【0034】
また、半導体ユニット10と冷却装置3とを接合する接合部材(図示を省略)は、ろう材、サーマルインターフェースマテリアルであってよい。ろう材は、例えば、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金、ジルコニウム合金、シリコン合金の少なくともいずれかを主成分とする。サーマルインターフェースマテリアルは、例えば、エラストマーシート、RTV(Room Temperature Vulcanization)ゴム、ゲル、フェイズチェンジ材などを含む接着材である。このようなろう材またはサーマルインターフェースマテリアルを介して冷却装置3に取り付けることで、半導体ユニット10の放熱性を向上させることができる。
【0035】
半導体チップ12は、シリコンから構成されるパワーデバイス素子を含んでいる。半導体チップ12の厚さは、例えば、40μm以上、250μm以下である。なお、半導体装置1に含まれる半導体チップ12の線膨張係数は、封止部材及び冷却装置3の線膨張係数よりも小さい。パワーデバイス素子は、RC(Reverse-Conducting)-IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。RC-IGBTは、スイッチング素子であるIGBTとダイオード素子であるFWD(Free Wheeling Diode)との機能を合わせ持つ。このような半導体チップ12のおもて面には制御電極12a(ゲート電極)及び主電極12bである出力電極(エミッタ電極)を備えている。このような半導体チップ12の裏面には主電極である入力電極(コレクタ電極)を備えている。なお、制御電極12aは、半導体チップ12のおもて面の一辺側に沿って(または一辺側の中央部に)設けられている。出力電極は、半導体チップ12のおもて面の中央部に設けられている。
【0036】
また、半導体チップ12は、RC-IGBTに代わり、一組のスイッチング素子及びダイオード素子をそれぞれに用いてもよい。スイッチング素子は、例えば、IGBT、パワーMOSFETである。このような半導体チップ12は、例えば、裏面に主電極として入力電極(ドレイン電極、または、コレクタ電極)を、おもて面に、制御電極12a(ゲート電極)及び主電極12bである出力電極(ソース電極、または、エミッタ電極)をそれぞれ備えている。ダイオード素子は、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、PiN(P-intrinsic-N)ダイオード等のFWDである。このような半導体チップ12は、裏面に主電極として出力電極(カソード電極)を、おもて面に主電極として入力電極(アノード電極)をそれぞれ備えている。
【0037】
また、半導体チップ12は、パワーMOSFETからなるスイッチング素子を含んでよい。このような半導体チップ12は、おもて面に、制御電極12a(ゲート電極)、及び、主電極12bである出力電極(ソース電極)をそれぞれ備えている。半導体チップ12は、裏面に主電極である入力電極(ドレイン電極)を備えている。このような半導体チップ12は、好ましくは炭化シリコンで構成されていてよい。
【0038】
リードフレーム13a,13bは、半導体チップ12及び配線板11b1,11b2,11b3の間を電気的に接続して配線している。半導体ユニット10は、1相分のインバータ回路を構成する装置であってよい。リードフレーム13aは、(配線板11b2上の)半導体チップ12の主電極12bと配線板11b3とを直接接続している。リードフレーム13bは、(配線板11b1の)半導体チップ12の主電極12bと配線板11b2とを直接接続している。
【0039】
リードフレーム13a,13bは、主電極接合部13a1,13b1と第1鉛直連係部13a2,13b2と水平連係部13a3,13b3と第2鉛直連係部13a4,13b4と配線接合部13a5,13b5とを一体的に含んでいる。なお、リードフレーム13a,13bは、全体的に同じ厚さであって、平板状を成している。リードフレーム13a,13bは、これらの各部が折り曲げられて構成されてもよい。リードフレーム13a,13bは、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。また、リードフレーム13a,13bの厚さは、0.3mm以上、2.0mm以下である。リードフレーム13a,13bの表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0040】
主電極接合部13a1,13b1は平板状を成している。主電極接合部13a1,13b1は(配線板11b2,11b1の)半導体チップ12の主電極12bに接合部材14aにより接合されている。なお、主電極接合部13a1,13b1の平面視の形状は主電極12bと同様に矩形状を成している。
【0041】
第1鉛直連係部13a2,13b2は、その下端部が主電極接合部13a1,13b1の端部に一体的に接続されて、その上端部が主電極接合部13a1,13b1に対して鉛直上方(+Z方向)に延伸している。第1鉛直連係部13a2は、半導体チップ12に接合されている主電極接合部13a1の配線板11b3(-Y方向)側の端部に接合されている。第1鉛直連係部13b2は、半導体チップ12に接合されている主電極接合部13b1の配線板11b2(-X方向)側であって、-Y方向側の端部に接合されている。
【0042】
水平連係部13a3,13b3は、第1鉛直連係部13a2,13b2の上端部に一体的に接続されて、配線板11b3,11b2上までそれぞれ延伸している。この際、水平連係部13a3,13b3は、配線板11b2と11b3及び配線板11b1と11b2のそれぞれの隙間を跨いでいる。水平連係部13a3,13b3は、絶縁回路基板11に対して平行を成している。また、水平連係部13a3,13b3は同一の高さを成していてもよい。このように水平連係部13a3,13b3が成すように、第1鉛直連係部13a2,13b2及び第2鉛直連係部13a4,13b4の高さが適宜選択される。
【0043】
第2鉛直連係部13a4,13b4は、その上端部が水平連係部13a3,13b3の端部に一体的に接続されて、その下端部が鉛直下方(-Z方向)に延伸して、配線接合部13a5,13b5に一体的に接続されている。
【0044】
配線接合部13a5,13b5は、配線板11b3,11b2にそれぞれ接合され、第2鉛直連係部13a4,13b4の下端部に一体的に接続されている。配線接合部13a5,13b5の配線板11b3,11b2に対する接合は、既述の接合部材でもよく、また、超音波接合でもよい。
【0045】
リードフレーム13aの第1鉛直連係部13a2と水平連係部13a3と第2鉛直連係部13a4と配線接合部13a5とは同一の幅を成している。この幅とは、リードフレーム13aの配線方向(±Y方向)に対して直交する方向(±X方向)の長さである。リードフレーム13bの第1鉛直連係部13b2と水平連係部13b3と第2鉛直連係部13b4との幅は同一の幅を成している。この幅とは、リードフレーム13bの配線方向(±X方向)に対して直交する方向(±Y方向)の長さである。
【0046】
また、筐体20のユニット収納部21e,21f,21gに収納された半導体ユニット10a,10b,10cの半導体チップ12の制御電極12aと、制御端子25a,25b,25cの他端部とがワイヤ26により機械的かつ電気的に接続されている。ワイヤ26は、導電性に優れた材質を主成分としている。このような材質は、例えば、金、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの1種を含む合金により構成されている。好ましくは、ワイヤ26は、シリコンを微量含むアルミニウム合金であってよい。また、ワイヤ26の径は、例えば、100μm以上、400μm以下である。
【0047】
次に、冷却装置3について、
図6~
図8を用いて説明する。
図6及び
図7は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる冷却装置の斜視図である。
図8は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる冷却装置の天板の裏面図である。なお、
図7は、冷却装置3の天板31の裏面側の斜視図である。
図8は、冷却装置3の天板31の裏面の平面図である。
【0048】
冷却装置3は、冷媒を内部に流入する流入口33aと内部を流通した冷媒を外部に流出する流出口33bとを備えている。冷却装置3、半導体ユニット10からの熱を冷媒を介して流出することで、半導体ユニット10を冷却する。なお、冷媒は、例えば、水、不凍液(エチレングリコール水溶液)、ロングライフクーラント(LLC)が用いられる。
【0049】
このような冷却装置3は、平面視で、長辺30a,30c及び短辺30b,30dを含む矩形状を成している。また、冷却装置3は、平面視で、少なくとも、四隅に貫通された貫通孔30eがそれぞれ形成されている。
【0050】
このような冷却装置3のおもて面の中央部に長辺30a,30cに沿って、3つの半導体ユニット10a,10b,10cが(X方向に沿って)搭載される。なお、
図8には、半導体ユニット10a,10b,10cの配置領域を破線で示している。半導体ユニット10の個数は、3つに限らない。また、半導体ユニット10は冷却装置3の中央部(後述する冷却領域31b)に配置されるのであれば、半導体ユニット10の配置位置並びにサイズは、本実施の形態の場合に限らない。また、冷却装置3は、ポンプと放熱装置(ラジエータ)とを備えてもよい。ポンプは、冷却装置3の流入口33aに冷媒を流入し、流出口33bから流出した冷媒を再び流入口33aに流入して冷媒を循環させる。放熱装置は、半導体ユニット10からの熱が伝導された冷媒の熱を外部に放熱させる。
【0051】
このような冷却装置3は、天板31と、天板31の裏面に環状に接続された側壁32と、天板31に対向し、側壁32の裏面に接続された冷却底板33と、を有している。天板31は、平面視で長辺30a,30c及び短辺30b,30dで四方が囲まれた矩形状を成し、四隅に貫通孔30eがそれぞれ形成されている。平面視で天板31の角部は、R面取りされていてもよい。
【0052】
また、天板31は、
図8に示されるように、流路領域31aと外縁領域31e,31fとに区分される。なお、後述するように、天板31の裏面に側壁32が接続される。流路領域31aは、側壁32で囲まれる領域である。流路領域31aは、さらに、長辺30a,30cに平行に、冷却領域31bと、連通領域31c,31dとに区分される。冷却領域31bは、天板31の長辺30a,30c(長手方向)に平行な中央の矩形状の領域である。天板31のおもて面である冷却面31gの冷却領域31bに複数の半導体ユニット10がX方向に沿って一列に配置されている。天板31の半導体ユニット10が搭載される冷却面31gは、厚さ方向(Z方向)に段差がなく平坦面で形成され、同一平面を成している。
【0053】
天板31の裏面の冷却領域31bには、複数の放熱フィン34が形成されている。天板31の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば、0.5mm以上、5.0mm以下である。複数の放熱フィン34は、天板31の裏面の冷却領域31bと冷却底板33との間を接続するように延在する。複数の放熱フィン34の高さ(Z方向の長さ)は、天板31と冷却底板33との隙間に対応しており、1.5mm以上、15.0mm以下である。好ましくは、2.0mm以上、12.0mm以下である。なお、
図8では、放熱フィン34の平面を示し、後述する
図9では、放熱フィン34の側面を示している。但し、
図8では、放熱フィン34を模式的に示しており、必ずしも
図8に一致するものではない。冷却領域31bにおいて、長辺30a,30c方向に配置された放熱フィン34の数は、短辺30b,30dの方向に配置された放熱フィン34の数よりも多い。冷却領域31bは、放熱フィン34が設けられた領域と、放熱フィン34の間の流路とが含まれる。なお、隣接する放熱フィン34同士の間隔は、放熱フィン34自体の幅よりも狭くてもよい。放熱フィン34は、±Z方向における上端と下端とを有する。放熱フィン34の上端は、天板31の裏面に熱的及び機械的に接続される。放熱フィン34の下端は、冷却底板33のおもて面(冷却装置3の内側)に熱的及び機械的に接続される。放熱フィン34の上端は、天板31と一体的に構成されていてよい。すなわち、放熱フィン34は天板31の裏面から一体的に-Z方向に突出していてよい。他方、放熱フィン34の下端は、冷却底板33のおもて面(冷却装置3の内側)にろう付け等で固着されていてよい。また、放熱フィン34のZ方向に対する延伸方向は、天板31及び冷却底板33のそれぞれの主面と略直交する。放熱フィン34は、それぞれピンフィンであってよい。また、複数の放熱フィン34は、それぞれ、天板31の主面に平行な断面の形状が矩形である。
図8では、菱形を成している。これにより、放熱フィン34の当該断面形状が円形の場合に比べて、冷媒に接触する放熱フィン34の表面積を大きくすることができ、放熱効率を高めることができる。なお、天板31及び放熱フィン34の寸法は、必要な冷却性能等に基づき、適宜設定されてよい。
【0054】
また、複数の放熱フィン34は、冷却領域31bに冷媒が流入された場合に、冷却領域31bにおける冷媒の主たる流通方向に対して当該矩形のいずれの辺も直交しないように、天板31の冷却面31gの冷却領域31bに配置されてもよい。本実施の形態では、冷却領域31bにおける冷媒の主たる流通方向は、Y方向(短辺30b,30dに平行方向)である。複数の放熱フィン34は、当該矩形の何れの辺もY方向に直交しないように、冷却領域31bに配置されている。より具体的には、複数の放熱フィン34は、当該矩形のどの辺もY方向に直交せず、1つの対角線がX方向(長辺30a,30c)に平行になり、他の1つの対角線がY方向に平行になるように配置されている。または、複数の放熱フィン34は、当該矩形の何れの辺もY方向に直交せず、1つの対角線がX方向に対して傾斜して、他の1つの対角線がY方向に対して傾斜するように配置されてもよい。複数の放熱フィン34が、上記の流通方向に対して上記の矩形のいずれかの辺が直交するように冷却領域31bに配置されている場合に比べて、上述したいずれかの構成によっても、冷却領域31bを流通する冷媒の流速損失を小さくすることができ、放熱効率を高めることができる。
【0055】
また、放熱フィン34は、
図8に示されるX-Y面において、長辺30a,30cの方向よりも短辺30b,30dの方向に短い菱形を成す。なお、複数の放熱フィン34は、それぞれ、当該断面形状が多角形であってもよく、例えば、正方形であってもよい。または、複数の放熱フィン34は、それぞれ、当該断面形状が円形であってもよく、例えば、真円であってよい。また、複数の放熱フィン34は、冷却領域31bにおいて、所定のパターンを形成するように配列されていてもよい。複数の放熱フィン34は、
図8に示すように千鳥配列されている。複数の放熱フィン34は、冷却領域31bにおいて、正方配列されていてもよい。また、放熱フィン34はピンフィンに限らず、例えば、ストレートフィンであってもよい。
【0056】
連通領域31c,31dは、天板31の冷却面31gにおいて冷却領域31bの両側に隣接し、冷却領域31bに沿った領域である。よって、連通領域31c,31dは、冷却領域31bから(長辺30a,30c側の)側壁32までの領域である。
図8の場合、連通領域31c,31dは、台形状を成している。なお、側壁32の囲む範囲によっては、連通領域31c,31dは、例えば、矩形状、半円形状、複数のピークを備える山なり状であってもよい。また、平面視で、連通領域31c,31dの角部は、曲率を持つようにR面取りされていてもよい。これは、連通領域31c,31dを構成する側壁32のつなぎ目がR面取りされる。連通領域31c,31dを流通する冷媒が滑らかな角部に留まらずに流れやすくなる。これにより、このような角部の腐食の発生を防止することができる。また、連通領域31c,31dは、必ずしも、対称な形状でなくてもよい。また、詳細は後述するものの、流出口33b及び流入口33aは連通領域31c,31dに対応して、それぞれ、短辺30d,30b寄りに形成される。また、流出口33b及び流入口33aは、連通領域31c,31dのY方向に対して中心部に形成される。連通領域31c,31dは、流出口33b及び流入口33aに対して冷媒の流出並びに流入が容易となるような形状であってもよい。例えば、連通領域31cは、流出口33bに対して冷媒を追い込むように、流出口33bに近づくに連れて狭まるような形状でもよい。
【0057】
外縁領域31e,31fは、天板31において流路領域31a(冷却領域31b及び連通領域31c,31d)の外側の領域である。すなわち、外縁領域31e,31fは、平面視で天板31の側壁32から天板31の外縁までの領域である。既述の貫通孔30e及び補強部30e1は、外縁領域31e,31fに形成されている。
【0058】
側壁32は、天板31の裏面に、冷却領域31b及び連通領域31c,31dを囲んで連続して環状に形成されている。側壁32の+Z方向の上端は、天板31の裏面に固着されている。また、側壁32の-Z方向の下端は、冷却底板33のおもて面に固着されている。側壁32は、
図8の場合では、冷却領域31bに沿った短辺30b,30dに平行な部分と、連通領域31c,31dに沿った長辺30a,30cに平行な部分と、これらの部分を接続する部分とを含む8つの辺を備えている。環状の側壁32の内側のつなぎ目の角部はR面取りされていてもよい。側壁32は、平面視で矩形状の冷却領域31bを含み、冷却領域31bの両側に連通領域31c,31dを含めば、8つの辺で構成されていなくてもよい。また、側壁32の高さ(Z方向の長さ)は、複数の放熱フィン34の高さに対応しており、例えば、1.5mm以上、15.0mm以下である。好ましくは、2.0mm以上、12.0mm以下である。また、側壁32の厚さ(Y方向の長さ)は、後述するように天板31と冷却底板33とに挟持されて、冷却装置3の強度を保ちつつ、冷却性能を低下させない程度の幅であって、例えば、1.0mm以上、3.0mm以下である。なお、側壁32の寸法は、必要な冷却性能等に基づき、適宜設定されてよい。
【0059】
また、天板31の裏面(冷却装置3の内側)には、貫通孔30eの周囲に形成された補強部30e1が形成されていてよい。補強部30e1は、貫通孔30eに対応して貫通されており、ねじ枠である。側壁32は、天板31と冷却底板33とに挟持されて、冷却装置3の強度を保つ。そのため、補強部30e1の高さは、側壁32の高さと略同一である。
【0060】
冷却底板33は、平板状を成し、平面視で、天板31と同一の形状を成している。すなわち、冷却底板33は、平面視で長辺及び短辺で四方が囲まれた矩形状を成し、四隅に天板31に対応した締結孔がそれぞれ形成されている。また、冷却底板33の角部もまたR面取りされていてもよい。また、冷却底板33は、おもて面及び底面33dが平行な面を成している。または、冷却底板33のおもて面及び底面33dは、それぞれ半導体ユニット10a,10b,10cが搭載されている配置領域に対向する部分であってよい。本実施の形態では、冷却底板33の底面33dは、段差がなく平坦面で形成され、同一平面を成している。さらに、冷却底板33の底面33dと天板31の冷却面31gも、平行であってよい。冷却底板33の底面33dは、冷媒が流入し、流出される流入口33a及び流出口33bがそれぞれ形成されている。なお、冷却底板33の底面33dの流入口33a及び流出口33bを囲んで流入口33a及び流出口33bの周囲にシール領域が設けられている。流入口33aは、連通領域31dに対応して、長辺30c側であって、短辺30d側に形成されている。流出口33bは、連通領域31cに対応して、長辺30a側であって、短辺30b側に形成されている。すなわち、流入口33a及び流出口33bは冷却底板33の底面33dの中心点に対して点対称となる位置にそれぞれ形成されている。このような冷却底板33が側壁32に接続されると、補強部30e1が冷却底板33の締結孔の周りに接続される。冷却底板33は、冷却装置3の全体の強度を保ちつつ、冷却性能を低下させない程度の厚さを要する。また、冷却底板33は、後述するように流入口33a及び流出口33bに配水管が取り付けられるための強度を要する。このため、冷却底板33の厚さは、天板31の厚さの1.0倍以上、5.0倍以下である。より好ましくは、2.0倍以上、3.0倍以下である。冷却底板33の厚さは、例えば、2.0mm以上、10.0mm以下であることが好ましい。なお、冷却底板33の寸法は、必要な冷却性能等に基づき、適宜設定されてよい。
【0061】
このように構成される冷却装置3の内部は、天板31と側壁32と冷却底板33とで囲まれる流路領域31aが構成される。流路領域31aは、さらに、冷却領域31bと連通領域31c,31dとに分けられる。冷却領域31bには、天板31と冷却底板33とを接続する複数の放熱フィン34が延在している。連通領域31c,31dは、天板31、側壁32、冷却底板33で構成されている。連通領域31dは冷却領域31bに接続されている。流入口33aから流入された冷媒が連通領域31dから冷却領域31bに流通する。連通領域31cは冷却領域31bに接続されている。冷却領域31bからの冷媒が、連通領域31cに流れ込み、流出口33bから流出する。なお、冷却装置3における冷媒の流れについては後述する。また、冷却装置3は、天板31の外縁領域31e,31fと側壁32の外側と冷却底板33と外縁領域31e,31fが構成される。
【0062】
冷却装置3は、それぞれ、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を含む合金である。冷却装置3の耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。また、複数の放熱フィン34が形成された天板31は、例えば、鍛造、鋳造(ダイカスト)により形成される。鍛造の場合、ブロック状の上記金属を主成分とする部材を金型を用いて加圧し、塑性変形させることで、複数の放熱フィン34及び側壁32が形成された天板31が得られる。ダイカストの場合、溶融したダイカスト材を所定の鋳型に流し込み、冷却した後、鋳型から取り出すことで、複数の放熱フィン34及び側壁32が形成された天板31が得られる。また、この際のダイカスト材は、例えば、アルミニウム系の合金である。または、複数の放熱フィン34や側壁32が形成された天板31は、ブロック状の上記金属を主成分とする部材を切削加工により形成してもよい。
【0063】
天板31の複数の放熱フィン34及び側壁32に対して冷却底板33を接合する。この際の接合は、ろう付け加工によりそれぞれ行われる。したがって、天板31の主面(裏面)から延伸した側壁32の端部である裏面、及び放熱フィン34の端部がそれぞれろう材を介して、冷却底板33のおもて面に接合される。なお、このような冷却装置3は、いわゆる、クローズ構造と呼ばれる。ろう付け加工で用いられるろう材は、天板31が鋳造により形成された場合には、ダイカスト材よりも融点が低い材料が用いられる。このようなろう材は、例えば、アルミニウムを主成分とする合金である。
【0064】
なお、天板31に対して補強部30e1も別途形成しておき、冷却底板33にろう付け加工により接合してもよい。また、本実施の形態では、複数の放熱フィン34が天板31に接続している場合を示している。この場合に限らず、複数の放熱フィン34を冷却底板33の冷却領域31bに対応する領域に形成してもよい。以上により、冷却装置3が得られる。
【0065】
次に、冷却装置3における冷媒の流れについて、
図9(並びに
図8)を用いて説明する。
図9は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる冷却装置における冷媒の流れを説明する図である。なお、
図9は、
図8の一点鎖線Y-Yにおける断面図である。
図9では、半導体ユニット10が配置された冷却装置3のみを示しており、筐体20の記載は省略している。
【0066】
冷却装置3の内部は、既述の通り、ポンプにより冷媒が循環される。冷媒を循環させるにあたり、流入口33aには、流入口33aの周りを取り囲むシール領域に環状のゴムパッキン35aを介して、配水ヘッド36aが取り付けられる。配水ヘッド36aには配水管37aが取り付けられている。また、流出口33bにも、流出口33bの周りを取り囲むシール領域に環状のゴムパッキン35bを介して、配水ヘッド36bが取り付けられる。配水ヘッド36bには配水管37bが取り付けられている。ポンプは配水管37a,37bに接続されている。シール領域は、平面視で、流入口33a及び流出口33bの外縁から、流入口33a及び流出口33bの幅の0.2倍以上、2.0倍以下離れた位置までの領域であってよい。ここで、流入口33a及び流出口33bの幅とは、流入口33a及び流出口33bの重心を通る最短距離の長さであってよい。例えば、流入口33a及び流出口33bの幅とは、流入口33a及び流出口33bが、矩形状または長穴形状であるときの長辺間の距離であってよく、楕円における短径、円における直径であってよい。また、シール領域は、平面視で、流入口33a及び流出口33bの外縁から20mmまでの領域であってよく、好ましくは、流入口33a及び流出口33bの外縁から10mmまでの領域であってよい。
【0067】
流入口33aから流入された冷媒は、
図8に示されるように、連通領域31dに流入し、連通領域31d内に広がる。連通領域31d内に流入した冷媒は短辺30b,30d(X方向)側に広がりつつ、長辺30a(-Y方向)側にも広がる。また、冷媒は、流入口33aから流入されると、直接、長辺30a(-Y方向)側に広がる。このようにして、冷却領域31bの長辺30cに対向する側部全体に冷媒が流入する。
【0068】
冷却領域31bの(長辺30c側の)側部に流入した冷媒は、
図9に示されるように、複数の放熱フィン34の間を長辺30a(-Y方向)側に流通する。発熱した半導体ユニット10からの熱が天板31を介して複数の放熱フィン34に伝導する。冷媒は、複数の放熱フィン34の間を流通する際に、複数の放熱フィン34から受熱する。このため、半導体ユニット10の熱が複数の放熱フィン34に対して伝導しやすくなる。放熱フィン34同士の隙間を流通する冷媒に対して多くの熱を伝導させることができるようになり、冷却性能が向上する。
【0069】
このように受熱した冷媒は、
図8(並びに
図9)に示されるように、冷却領域31bの長辺30aに対向する側部から連通領域31cに流入して、流出口33bから外部に流出する。この際、冷媒は複数の放熱フィン34から伝導された熱を含んで流出される。流出した冷媒は放熱装置で冷却されて再びポンプにより流入口33aから冷却装置3に流入される。冷却装置3に対する冷媒の循環により、半導体ユニット10の熱が外部に流出されることで半導体ユニット10が冷却される。
【0070】
次に、半導体モジュール2に含まれる電流センサ40について、
図10及び
図11を用いて説明する。
図10は、第1の実施の形態の半導体装置の断面図である。
図11は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる電流センサを示す図である。なお、
図10は、
図1の一点鎖線X-Xにおける断面図である。また、
図11は、筐体20に含まれている電流センサ40の模式図を示している。
【0071】
電流センサ40は、磁気コア41とホール素子42とを含んでいる。磁気コア41は、平面視でC字状を成し、計測口41bとして隙間を空けて、中央部で上面40aから下面40bを貫通する端子口41aを含んだ直方体を成している。
【0072】
磁気コア41は、磁性材料を主成分として構成されている。磁性材料は、例えば、フェライトである。磁気コア41は、端子口41aと計測口41bとを含んでいる。磁気コア41は、平面視でC字状を成している上面40aと上面40aの反対側の下面40bとを含んでいる。
【0073】
端子口41aは、上面40a及び下面40bの中央部であって、上面40aから下面40bに向かって(貫通方向)、磁気コア41の高さbに対して平行に貫通している。すなわち、端子口41aは、天板31に対する鉛直方向に貫通された貫通部である。端子口41aは、U相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとのそれぞれの中間部分が、貫通方向に平行を成して挿通されている。
図10及び
図11では、W相出力端子24cの場合を例示している。
【0074】
このような磁気コア41は平面視でC字状を成していれば、平面視で、矩形状でも円形状でもよい。本実施の形態では、矩形状の場合を例示している。端子口41aの平面視の形状も同様に、矩形状または円形状のいずれでもよく、本実施の形態では、矩形状である場合を例示している。平面視で矩形状の磁気コア41は縦a、高さb、横cであってよい。上面40a及び下面40bは縦a及び横cにより構成される。高さbは、上面40aと下面40bとの間隔でもある。この際、磁気コア41の外形寸法は、高さbが最も短い。縦a、横cの寸法は、高さbよりも長ければ、特に限定されない。すなわち、磁気コア41は、W相出力端子24cの中間部分が挿通される端子口41aの貫通方向に平行を成す部分が最も短くなる。例えば、磁気コア41が平面視で円形である場合には、縦aと横cとは同じ長さであって直径となる。
【0075】
計測口41bは、C字状を成す磁気コア41の隙間である。計測口41bは、当該隙間を構成する、対向する一対の対向面を含む。当該一対の対向面は、互いに平行を成し、平坦であってよい。計測口41bの±X方向の幅(一対の対向面の間隔)は、後述するホール素子42の幅程度であってよい。
【0076】
このような磁気コア41は、天板31に設けられた筐体20の枠部21内(外壁21c側)に、上面40aが枠部21のおもて面側に、下面40bが天板31側をそれぞれ向いて設けられている。磁気コア41は、このような枠部21に対して、高さbが天板31の冷却面31gに対する鉛直方向に平行を成して設けられている。また、本実施の形態では、磁気コア41の計測口41bは外壁21c側を向いている。なお、計測口41bは、後述するホール素子42に対する配線に応じて、外壁21cに限らず、外壁21a,21b,21dのいずれを向いていてもよい。このような磁気コア41は、外形寸法の最も短い部分が天板31に対する鉛直方向(Z方向)に平行となるように枠部21に埋設されている。すなわち、磁気コア41は、端子口41aの貫通方向が天板31の冷却面31gに対して鉛直を成すように枠部21に埋設されている。
【0077】
このような磁気コア41に対して、例えば、W相出力端子24cは、ユニット収納部21gから枠部21内を外壁21cに向かって、磁気コア41の上面40a側を上面40aに平行に延伸している。W相出力端子24cの中間部分は-Z方向に折れ曲がって、磁気コア41の端子口41aを上面40aから下面40bに通過する。W相出力端子24cの他端部が下面40bから突出する部分から外壁21cに向かって、磁気コア41の下面40b側を下面40bに平行に通過して、外壁21cから外側に延伸している。
【0078】
ホール素子42は、磁気コア41の計測口41bに設けられている。なお、図示を省略するものの、ホール素子42には、電圧を供給する電流源が電気的に接続され、また、発生した電流を外部に出力する配線が電気的に接続されている。ホール素子42は、外部から磁束が通過されることで電流が流れる素子である。すなわち、ホール素子42は、電圧が印加されている間に、外部から磁束が通過されると、電圧方向及び磁界方向にそれぞれに垂直な方向に電流が発生するというホール効果に基づき、電流を流す。このようなホール素子42は、例えば、インジウムアンチモン、インジウムヒ素、ガリウムヒ素のいずれかを主成分として構成されている。なお、枠部21には、計測口41bに配置するホール素子42を搭載するためのスリット(図示なし)が設けられている。
【0079】
磁気コア41の端子口41aを挿通するW相出力端子24cを出力電流が-Z方向に通電する。これにより、磁気コア41内を磁気コア41に沿って磁束が発生する。磁束が計測口41bを通過する際に、ホール素子42も通過する。ホール素子42は、電圧が印加されている間に、このような磁束が通過すると、ホール効果により電流が流れる。このような電流に基づいて、W相出力端子24cを通電する電流量が検出される。
【0080】
ここで第1の実施の形態の半導体装置1に対する参考例について、
図12を用いて説明する。
図12は、参考例の半導体装置の断面図である。
図12に示す半導体装置100は、第1の実施の形態の半導体装置1において、電流センサ40を端子口41aの貫通方向が天板31の冷却面31gに平行になるように枠部21に埋設されている。このため、U相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとはユニット収納部21e,21f,21gから天板31の冷却面31gに平行を成して外壁21cに向けて延伸し、端子口41a内を挿通している。半導体装置100のその他の構成については、半導体装置1と同様である。
【0081】
このような半導体装置100の枠部21の±Z方向の高さは、第1の実施の形態の半導体装置1の枠部21の同方向の高さよりも大きくなっている。すなわち、半導体装置100は、第1の実施の形態の半導体装置1よりも厚さが大きくなっている。
【0082】
上記の半導体装置1は、おもて面に主電極12bである出力電極を備える半導体チップ12と、半導体チップ12が配置される絶縁回路基板11と、主電極12bに電気的に接続されるU相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cと、絶縁回路基板11が設けられる天板31を含む冷却装置3と、筐体20とを含む。筐体20は、平面視で枠型を成し、開口されたユニット収納部21e~21gに絶縁回路基板11を収納して天板31に配置され、U相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとユニット収納部21e~21gから挿通されて外部に延伸される枠部21と枠部21に埋設されて、U相出力端子24aとV相出力端子24bとW相出力端子24cとを通電する出力電流を検出する電流センサ40とを含んでいる。電流センサ40は、電流センサ40の外形寸法の最も短い部分が天板31に対する鉛直方向に平行を成して枠部21に埋設されている。電流センサ40を含む枠部21を薄く構成することができるため、筐体20の薄型化を図り、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0083】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態の半導体装置1aについて、
図13及び
図14を用いて説明する。
図13は、第2の実施の形態の半導体装置の断面図である。
図14は、第2の実施の形態の半導体装置に含まれる冷却装置の斜視図である。
【0084】
半導体装置1aは、第1の実施の形態の半導体装置1に含まれる冷却装置3の天板31において、冷却領域31b(側壁32の内側)の外側の枠部領域(後述する外枠部31h)が冷却領域31bよりも-Z方向に窪んでいる。
【0085】
すなわち、半導体装置1aに含まれる冷却装置3aの天板31は、冷却部31iと側部32aと外枠部31hとを含んでいる。冷却部31iは、第1の実施の形態の天板31の側壁32で囲まれる流路領域31aに対応している。冷却部31iのおもて面は平坦である冷却面31gであって、半導体ユニット10a,10b,10cが配置される。冷却部31iの裏面(冷却底板33に対向する面)には、第1の実施の形態と同様に複数の放熱フィン34が設けられる。
【0086】
外枠部31hは、側面視で、冷却部31iよりも-Z方向に窪んで、平坦を成している。したがって、外枠部31hは、平面視で、冷却部31iに対向する領域は開口している。側部32aは冷却部31iの外周と外枠部31hの開口とを連続して接続する。すなわち、冷却部31iの裏面に形成された複数の放熱フィン34は、側部32aにより囲まれている。側部32aは冷却部31i及び外枠部31hに対して直角を成している。冷却部31iと外枠部31hとの段差の高さは、側部32aの高さに対応する。したがって、第2の実施の形態の天板31の流路領域31aは冷却部31iと側部32aとで画定される。このように画定される流路領域31aは、第1の実施の形態と同様に、冷却領域31bと連通領域31c,31dを含む。また、平面視で冷却部31i及び外枠部31hの開口の形状は、
図8で示したような8角形を成してもよい。この場合は、側部32aもまた平面視で冷却部31i及び外枠部31hの開口の形状に沿って8角形を成す。
【0087】
また、冷却底板33は、このような天板31に取り付けられる。これにより、流路領域31aは冷却部31i及び側部32aと、さらに、冷却底板33により囲まれる。なお、冷却底板33は、天板31に取り付けられた際に冷却領域31bに含まれる連通領域31c,31dに対応するように流出口33b及び流入口33aがそれぞれ形成される。
【0088】
このような冷却装置3aの冷却部31iの冷却面31g上に半導体ユニット10a~10cが、第1の実施の形態と同様に取り付けられている。また、半導体モジュール2の筐体20に含まれる枠部21のユニット収納部21e,21f,21gの裏側は、天板31の冷却部31i及び側部32aが嵌合するように窪ませている。このような筐体20の枠部21の裏側に、冷却装置3aの突出した冷却部31iが嵌る。したがって、枠部21は天板31の外枠部31h上に配置されて、側部32aを取り囲む。また、枠部21に埋設されている電流センサ40は、天板31の外枠部31hに対する鉛直方向の上部に配置されている。
【0089】
このような半導体装置1aの筐体20もまた、第1の実施の形態と同様に、電流センサ40の端子口41aが天板31の鉛直方向に平行を成して埋設されている。このため、電流センサ40を含む枠部21を薄く構成することができる。さらに、半導体装置1aの冷却装置3aでは、天板31の筐体20が配置される外枠部31hが冷却部31iよりも下位に窪んでいる。このため、筐体20及び冷却装置3aの厚さを、第1の実施の形態の場合よりも薄くすることができる。したがって、半導体装置1aに対して、第1の実施の形態の半導体装置1の場合よりもさらに小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0090】
1,1a 半導体装置
2 半導体モジュール
3,3a 冷却装置
10,10a,10b,10c 半導体ユニット
11 絶縁回路基板
11a 絶縁板
11b1,11b2,11b3 配線板
11c 金属板
12 半導体チップ
12a 制御電極
12b 主電極
13a,13b リードフレーム
13a1,13b1 主電極接合部
13a2,13b2 第1鉛直連係部
13a3,13b3 水平連係部
13a4,13b4 第2鉛直連係部
13a5,13b5 配線接合部
14a,14b 接合部材
20 筐体
21 枠部
21a,21b,21c,21d 外壁
21e,21f,21g ユニット収納部
21i 貫通孔
22a,22b,22c 第1接続端子
23a,23b,23c 第2接続端子
24a U相出力端子
24b V相出力端子
24c W相出力端子
25a,25b,25c 制御端子
26 ワイヤ
30a,30c 長辺
30b,30d 短辺
30e 貫通孔
30e1 補強部
31 天板
31a 流路領域
31b 冷却領域
31c,31d 連通領域
31e,31f 外縁領域
31g 冷却面
31h 外枠部
31i 冷却部
32 側壁
32a 側部
33 冷却底板
33a 流入口
33b 流出口
33d 底面
34 放熱フィン
35a,35b ゴムパッキン
36a,36b 配水ヘッド
37a,37b 配水管
40 電流センサ
40a 上面
40b 下面
41 磁気コア
41a 端子口
41b 計測口
42 ホール素子