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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043997
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20240326BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B60H1/00 102S
B62D25/06 Z
B60H1/00 102F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149285
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】越智 孝司
(72)【発明者】
【氏名】萩山 丈士
(72)【発明者】
【氏名】梶原 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】河本 創
【テーマコード(参考)】
3D203
3L211
【Fターム(参考)】
3D203AA23
3D203BB59
3D203DA18
3D203DA23
3D203DA64
3L211AA09
3L211BA52
3L211DA03
3L211DA95
3L211DA96
(57)【要約】
【課題】 簡素な構成のエアコンを搭載した作業車両を提供する。
【解決手段】 キャビン16のルーフ22の空間部に、後部には複数の空気導入ブロア34,35を設け、前部にはエアコン本体31を設けた作業車両において、一方の空気導入ブロア34は、ルーフ22の左右一側に形成する外気導入口36に一端が接続された外気導入ダクト37の他端に接続されて外気を導入できる構成とし、他方の空気導入ブロア35は、キャビン天井27に開口する内気吸込口39からのキャビン16内気を吸込みエアコン本体31を経てキャビン16内を循環できる構成とし、外気取り込み運転を実行する場合は、外気導入ブロア34を駆動し、内気循環運転を実行する場合は、外気導入ブロア34を駆動せず、内気導入ブロア35を駆動するよう構成する。
【選択図】 図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビン(16)のルーフ(22)の空間部に、後部には複数の空気導入ブロア(34,35)を設け、前部にはエアコン本体(31)を設けた作業車両において、一方の空気導入ブロア(34)は、ルーフ(22)の左右一側に形成する外気導入口(36)に一端が接続された外気導入ダクト(37)の他端に接続されて外気を導入できる構成とし、他方の空気導入ブロア(35)は、キャビン天井(27)に開口する内気吸込口(39)からのキャビン(16)内気を吸込みエアコン本体(31)を経てキャビン(16)内を循環できる構成とし、外気取り込み運転を実行する場合は、外気導入ブロア(34)を駆動し、内気循環運転を実行する場合は、外気導入ブロア(34)を駆動せず、内気導入ブロア(35)を駆動するよう構成したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
外気導入ダクト(37)はルーフ(22)の内面に一体成型する構成とした請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
エアコン本体(31)と複数の空気導入ブロア(34,35)を接続する空気導入ダクト(32)を備え、空気導入ダクト(32)の途中を分岐して後部に空気導入ブロア(34、35)を接続する構成とし、空気導入ダクト(32)を前記ルーフ(22)の内面に一体成型し、空気導入ダクト(32)の分岐部に対応する箇所にキャビン(16)内照射用のルームランプ(40)を配設した請求項1又は請求項2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用トラクタのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビンのルーフを中空状に形成して後部にブロアモータを備え、前部にエアコン装置を備えた作業車両が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2986307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエアコンシステムは1つのモーターで空気の吸入および排出を行っており、外気取り込み運転と内部循環運転を切り替えるにはシャッタを動かす必要があった。しかし、シャッタは操作部からの連結や開閉のためのアクチュエータが必要になるなど、組立が難しく、また部品点数が増える要因となっていた。
【0005】
本発明は、簡素な構成のエアコンを搭載した作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、キャビン16のルーフ22の空間部に、後部には複数の空気導入ブロア34,35を設け、前部にはエアコン本体31を設けた作業車両において、一方の空気導入ブロア34は、ルーフ22の左右一側に形成する外気導入口36に一端が接続された外気導入ダクト37の他端に接続されて外気を導入できる構成とし、他方の空気導入ブロア35は、キャビン天井27に開口する内気吸込口39からのキャビン16内気を吸込みエアコン本体31を経てキャビン16内を循環できる構成とし、外気取り込み運転を実行する場合は、外気導入ブロア34を駆動し、内気循環運転を実行する場合は、外気導入ブロア34を駆動せず、内気導入ブロア35を駆動するよう構成した。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、外気導入ダクト37はルーフ22の内面に一体成型する構成とした。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
エアコン本体31と複数の空気導入ブロア34,35を接続する空気導入ダクト32を備え、空気導入ダクト32の途中を分岐して後部に空気導入ブロア34、35を接続する構成とし、空気導入ダクト32を前記ルーフ22の内面に一体成型し、空気導入ダクト32の分岐部に対応する箇所にキャビン16内照射用のルームランプ40を配設する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、外気取り込み運転を実行する場合は、外気導入ブロア34を駆動し、内気循環運転を実行する場合は、外気導入ブロア34を駆動せず、内気導入ブロア35を駆動するものである。したがって、エアコン装置30の構成内にシャッタ等の切替部材を設けなくても外気取込み運転と内気循環運転とに切り替えることができる。なお、シャッタを設ける必要がないため、部品点数が減少し、組み立て容易性を向上できる。
【0010】
請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載の効果に加え、外気導入ダクト37はルーフ22の内面に一体成型される構成としている。したがって、部品点数が減少し、組み立て容易性を向上できる。
【0011】
請求項3に記載の発明によると、請求項1又は請求項2に記載の効果に加え、空気導入ダクト32をルーフ22の内面に一体成型することで部品点数が減少し、組み立て容易性を向上できる。空気導入ダクト32の分岐部に対応してルームランプ40を配置することで空気導入ダクト32内の抵抗を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明における実施の形態の農用トラクタの側面図である。
図2】本発明における実施の形態の農用トラクタのキャビンルーフ内部のエアコン装置の底面図である。
図3】本発明における実施の形態の農用トラクタのキャビンルーフ内部のエアコン装置の斜視図である。
図4】本発明における実施の形態の農用トラクタのキャビンルーフの底面図である。
図5】本発明における実施の形態の農用トラクタのラジエータ周辺構成の斜視図である。
図6】本発明における実施の形態の農用トラクタのエアコンホースステーの斜視図である。
図7】本発明における実施の形態の農用トラクタのエアコンホースステー及びその周辺の斜視図である。
図8】本発明における実施の形態の農用トラクタのキャビンの前方斜視図である。
図9】本発明における実施の形態の農用トラクタのキャビンの側面図である。
図10】本発明における実施の形態の農用トラクタのサブステップの斜視図である。
図11】本発明における実施の形態の農用トラクタのサブステップの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、トラクタを示すものであり、この走行車体1前部のボンネット2内部にディーゼルエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5に伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。ミッションケース3の後上部には油圧シリンダケース8を備え、このシリンダケース8の左右両側には、油圧昇降機構の一部を構成するリフトアーム9が回動自在に取り付けられている。リフトアーム9は昇降用油圧シリンダ10の伸縮作動により上下動する。車体後部には、トップリンク11と左右のロアーリンク12からなる3点リンク機構を設け、同リンク機構にロータリ作業機Rを装着し、リフトロッド13を介してロアーリンク12をリフトアーム9に連結することにより、作業機Rを昇降可能に構成している。
【0015】
前記ハンドル6や運転席7等は、キャビン16によって覆われている。キャビン16は、例えば防振ゴム等の弾性部材を介して車体に固定されてあり、車体の振動がキャビン16に伝達されにくくしている。
【0016】
尚キャビン16は、フロア17と、フロア17左右前部に立設した前部支柱18と、運転席7の後部左右に立設した後部支柱19と、前後中間部に立設する中間支柱20と、これら支柱上端同士を接続する上フレーム21とによって一体化した枠組み構成とし、ルーフ22で覆われている。そして、前記運転席7を支持するボックス状のシートフレーム23、運転席7後面を囲う後部プレート24、後輪5の上部を覆う左右フェンダ25等を剛体化して強度を確保し、さらに、前後側面にはガラス窓部を構成し、左右開閉ドア26部から昇降できる。
【0017】
図2から図4に基づいて、キャビン16のエアコン装置(空調装置とも呼ばれる)30について説明する。空調装置30は、前記キャビン16のルーフ22の空間部、即ちルーフ22天板部とキャビン天井27部との間の空間部に収容されるもので、図外コンプレッサと接続された前方のエアコン本体31、このエアコン本体31の後部に接続した空気導入ダクト32、エアコン本体31に接続され複数の吹出口を有した吹出ダクト33、空気導入ダクト32の後部に接続する左右一対の空気導入ブロア34,35等を備えている。なお、エアコン本体31内にはエバポレータを備えている。
【0018】
前記空気導入ダクト32の後部は二又に分岐し、その後端に空気導入ブロア34又は35を接続している。空気導入ブロア34,35は同様構成でモータを備え駆動回転によって空気を導入し吹出し得る構成である。そして前記空気導入ダクト32の分岐2か所の後端開放部に接続され、それぞれ駆動によって導入空気が空気導入ダクト32本体を通してエアコン本体31に供給される構成としている。
【0019】
空気導入ブロア34,35の一方の空気導入ブロア34は、ルーフ22の左右一側に形成する外気導入口36に一端が接続された外気導入ダクト37の他端に接続されていて外気用フィルタ38で清浄化された外気を導入できる外気導入ブロア34とされる。他方の空気導入ブロア35は、キャビン天井27に開口する内気吸込口39からのキャビン16内気を吸込みエアコン本体31を経てキャビン16内を循環させる内気導入ブロア35とされる。なお、上記の内気吸込口39は内気導入ブロア35の空気導入部付近に配設している。
【0020】
このように構成されたエアコン装置30であるから、外気取り込み運転を実行する場合は、外気導入ブロア34を駆動し、内気循環運転を実行する場合は、外気導入ブロア34を駆動せず、内気導入ブロア35を駆動するものである。したがって、エアコン装置30の構成内にシャッタ等の切替部材を設けなくても外気取込み運転と内気循環運転とに切り替えることができる。なお、シャッタを設ける必要がないため、部品点数が減少し、組み立て容易性を向上できる。
【0021】
前記外気取込み運転において、外気はルーフ22の左右一側に形成する外気導入口36から導入され外気導入ダクト37を介して導入される構成であるが、この外気導入ダクト37はルーフ22の内面に一体成型される構成としている。したがって、部品点数が減少し、組み立て容易性を向上できる。
【0022】
エアコン本体31と2つのブロア34,35を接続する空気導入ダクト32は、前記ルーフ22の内面に一体成型されている。そしてこの空気導入ダクト32は前記のように途中分岐して後部にブロア34、35を接続する構成としている。この分岐部に対応する箇所に、キャビン16内照射用のルームランプ40を配設している。従って、空気導入ダクト32をルーフ22の内面に一体成型することで部品点数が減少し、組み立て容易性を向上できる。空気導入ダクト32の分岐部に対応してルームランプ40を配置することで空気導入ダクト32内の抵抗を少なくできる。
【0023】
エアコン本体31内による空調空気は、前記吹出ダクト33を経由し複数の吹出口からキャビン16室内に吹き出されるものであるが、吹出ダクト33はエアコン本体31の前方から左右側方に延びる平面視U型に形成される。専用のダクト構成としてもよく、前記外気導入ダクト37や空気導入ダクト32のようにルーフ22部材に一体成型されてもよく、あるいはキャビン天井27部材と一体成型される構成としてもよい。吹出口はキャビン前方上部の吹出口33a、側方上部の吹出口33bを備えている。
【0024】
図5から図7に基づき、エアコン装置30の構成一部であるコンデンサ41、レシーバドライヤ42等を設けるエンジンE周辺の冷媒循環経路構成について説明する。エンジンE補器のコンプレッサとラジエータ44の前部に配設するコンデンサ41をディスチャージホース45で接続し、ラジエータ44前部に配設するレシーバドライヤ46と前記エアコン本体31をリキッドホース47で接続するものであるが、これらディスチャージホース45とリキッドホース47を安定保持するためのエアコンホースステー48を構成している。
【0025】
ラジエータ44のブラケットから前方にエアクリーナ用ブラケット49を突出しエアクリーナ50を支持している。そしてこのエアクリーナ用ブラケット49を介して前記エアコンホースステー48を固定するものであり、ゴム付クランプ51を使用し、前記ディスチャージホース45を該エアコンホースステー48にボルト52にて固定すると共に、ワイヤバンド53を使用し、前記リキッドホース47を該エアコンホースステー48にクランプ固定する構成である。
【0026】
なお、エアコンホースステー48には、前記ボルト52締結用のウエルドナット54とフラットボタン55を溶接している。そして、このフラットボタン55をラジエータ44のブラケットに形成した図外の孔に通すと共に、エアクリーナ用ブラケット49に対しエアコンホースステー48とエアクリーナ50をボルト56にて共締めする構成としている。
【0027】
エンジンE周辺において、リキッドホース47は、上記のほか、油圧配管60及びサクションホース61とワイヤバンド62で共締めし、ホースクリーナ63及びサクションホース61とワイヤバンド64で共締めし、さらにサクションホース61とワイヤバンド65にてそれぞれクランプ固定している。
【0028】
また、エアコンホースステー48にディスチャージホース45をワイヤバンド66にてクランプ固定している。
【0029】
図8図9において、キャビン16の左右の前部支柱18に対するバックミラー67及びウインカ68の支持構成を説明する。
【0030】
前部支柱18の適宜高さ位置に、ミラーステー取付部69とウインカステー取付部70を設け、バックミラー67を回動自在に取り付けるミラーステー71はコ字アーム状に形成され上部をミラーステー取付部69に取付け、その下部をウインカステー取付部70に取付けて構成される。そして、ウインカ68を固定状態となるようウインカステー72に直接取り付けている。バックミラー67は回動収納時にはミラーステー71の内側に収納状態に形成される(図9)。
【0031】
なお、ミラーステー71の下部はキャビン16の一側(図例では右側)の前部支柱18の前方に立設されるマフラ73のマフラカバー74の上端よりも上位に配置されていて走行中振動してもミラーステー71はマフラ73やマフラカバー74と干渉する恐れがない。
【0032】
図10図11において、サブステップ75,75(図例では2段)を支持するサブステップフレーム76の上部において、追加のサブステップ77を設ける構成としている。キャビン16内フロア17部と略同程度の高さ位置に追加のサブステップ77を設けることによって作業者の昇降中動作の姿勢が安定する。従来のサブステップフレーム76及びサブステップ75,75を設けてなる車体に対し、追加のサブステップ77はブラケット78を介して簡単に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0033】
16 キャビン
22 ルーフ
27 キャビン天井
32 空気導入ダクト
34 空気導入ブロア
35 空気導入ブロア
36 外気導入口
37 外気導入ダクト
40 ルームランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11