(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044007
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】検出システム及び検出方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20240326BHJP
G01N 27/82 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G01R31/54
G01N27/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149299
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺島 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】中沢 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 倖
【テーマコード(参考)】
2G014
2G053
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AB61
2G014AC02
2G014AC04
2G053AA11
2G053BA02
2G053BC02
2G053BC14
2G053CA02
2G053CA18
2G053CB24
2G053DA09
2G053DB11
(57)【要約】
【課題】巻回型電池の電極タブの接続良否を精度よく検出することができる検出システム及び検出方法を提供する。
【解決手段】検出システム1は、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出システム1であって、巻回型電池Aに交流磁界を印加する電磁コイル3と、交流磁界の印加による巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の電圧を検出する電圧検出部5と、検出された電圧に基づいて接続部分の接続良否を判定する処理部24と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出システムであって、
前記巻回型電池に交流磁界を印加する磁界印加部と、
前記交流磁界の印加による前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間の電圧又は電流を検出する検出部と、
検出された前記電圧又は前記電流に基づいて前記接続部分の接続良否を判定する処理部と、を備える、
検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記処理部は、前記電圧又は前記電流の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合に、前記接続部分の接続を良好と判定し、前記電圧又は前記電流の絶対値が所定の閾値以上である場合に、前記接続部分の接続を不良と判定する、
検出システム。
【請求項3】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記検出部と前記巻回型電池の前記正極タブ又は前記巻回型電池の前記負極タブとを接続させたツイスト配線、同軸配線又は磁気シールド配線から構成された検出配線をさらに備える、
検出システム。
【請求項4】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記交流磁界は、前記巻回型電池の巻回軸線と平行になるように前記巻回型電池に印加されている、
検出システム。
【請求項5】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記検出部は、前記交流磁界と同じ周波数成分における電圧又は電流を検出し、
前記処理部は、前記周波数成分における前記電圧又は前記電流に基づいて、前記接続部分の接続良否を判定する、
検出システム。
【請求項6】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記巻回型電池は、ラミネート型電池であり、
印加される前記交流磁界の周波数は、100kHz以下である、
検出システム。
【請求項7】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記巻回型電池は、ケースに封止され、
印加される前記交流磁界の周波数は、10kHz以下である、
検出システム。
【請求項8】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記処理部は、検出された前記電圧又は前記電流の大きさが所定の閾値以上である場合に、前記電圧又は前記電流が大きいほど、接続不良の前記電極タブが前記外部電極寄りであることを特定する、
検出システム。
【請求項9】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記処理部は、検出された前記電圧又は前記電流の大きさが所定の閾値以上である場合に、前記電圧の電位差又は前記電流の向きに基づいて、接続不良の前記電極タブの正負を特定する、
検出システム。
【請求項10】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記処理部は、検出された前記電圧又は前記電流の大きさが所定の閾値以上である場合に、前記電圧の大きさ又は前記電流の大きさ及び前記電圧の電位差又は前記電流の向きに基づいて、接続不良の前記電極タブを特定する、
検出システム。
【請求項11】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記処理部と前記検出部とは、一体形成されている、
検出システム。
【請求項12】
巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出方法であって、
前記巻回型電池に交流磁界を印加する磁界印加ステップと、
前記交流磁界の印加による前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間の電圧又は電流を検出する検出ステップと、
検出された前記電圧又は前記電流に基づいて前記接続部分の接続良否を判定する判定ステップと、を有する、
検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回型電池の電極タブの接続良否を検出する検出システム及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯状の集電体上に電極活性物質を形成した正極電極と負極電極とをセパレータを介して積層したものを巻回した巻回型電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
そして、特許文献1に記載の発明では、複数の電極タブ(具体的には、正極タブ及び負極タブ)を外部電極へ接続させる際に、接続不良が発生しやすい。
【0005】
従来、このような接続不良を検出する方法として、巻回型電池の内部抵抗を検出し、検出された内部抵抗によって接続良否が判定されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の検出方法では、巻回型電池の内部抵抗のうち電極の接触抵抗が占める割合は、極めて小さいため、接続不良を精度よく検出することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、巻回型電池の電極タブの接続良否を精度よく検出することができる検出システム及び検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある一つの態様によれば、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出システムであって、前記巻回型電池に交流磁界を印加する磁界印加部と、前記交流磁界の印加による前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間の電圧又は電流を検出する検出部と、検出された前記電圧又は前記電流に基づいて前記接続部分の接続良否を判定する処理部と、を備える検出システムが提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出方法であって、前記巻回型電池に交流磁界を印加する磁界印加ステップと、前記交流磁界の印加による前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間の電圧又は電流を検出する検出ステップと、検出された前記電圧又は前記電流に基づいて前記接続部分の接続良否を判定する判定ステップと、を有する検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、巻回型電池の複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る巻回型電池の構成を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る検出システムの各構成を示す概略説明図である。
【
図3】
図3は、検出システムを構成する検出装置の各構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、検出システムによる検出方法の各ステップを示すフローチャートである。
【
図5A】
図5Aは、接続不良がない場合における巻回型電池の回路図の電流の流れを示す図である。
【
図5B】
図5Bは、接続不良がある場合における巻回型電池の回路図の電流の流れを示す図である。
【
図6A】
図6Aは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の正極タブの接続不良を示す概略展開図である。
【
図6B】
図6Bは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の正極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブの接続不良を示す概略展開図である。
【
図7B】
図7Bは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する単一の負極タブの接続不良を示す概略展開図である。
【
図8B】
図8Bは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する単一の負極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブの接続不良を示す概略展開図である。
【
図9B】
図9Bは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
【
図10A】
図10Aは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の負極タブの接続不良を示す概略展開図である。
【
図10B】
図10Bは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の負極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の負極タブの接続不良を示す概略展開図である。
【
図11B】
図11Bは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の負極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
【
図12A】
図12Aは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の正極タブの接続不良を示す概略展開図である。
【
図12B】
図12Bは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の正極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態(以下、単に本実施形態ともいう)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0013】
[巻回型電池の構成]
まず、
図1を参照しながら本実施形態に係る検出対象としての巻回型電池Aの構成について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る巻回型電池Aの構成を示す概略断面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る巻回型電池Aは、シート状の正極層Bとシート状の負極層Cとを絶縁体としてのセパレータ(図示を省略する)を介して積層して巻回したリチウムイオン電池である。巻回型電池Aは、アルミのケース(図示しない)に封止されて使用される。ラミネート型の電池は、アルミラミネートフィルムに封止されて使用される。なお、セパレータは、正極層Bと負極層Cとの間の短絡を阻止するものの、正極層Bと負極層Cとの間の電子移動を許容している。
【0016】
巻回型電池Aは、一端に設けられた正極タブ群B1と、正極タブ群B1と干渉しない(すなわち、正極タブ群B1から離間する)ように一端に設けられた負極タブ群C1と、を備える。正極タブ群B1は、巻回された各正極層Bの一端から突出するとともに巻回型電池Aの肉厚方向に沿って整列されるように設けられた複数の正極タブB11を接合(具体的には、溶接)して構成されている。また、同様に、負極タブ群C1は、巻回された各負極層の一端から突出するとともに巻回型電池Aの肉厚方向に沿って整列されるように設けられた複数の負極タブC11を接合(具体的には、溶接)して構成されている。
【0017】
正極タブ群B1及び負極タブ群C1は、接合(具体的には、溶接)によりそれぞれ外部電極としてのシート状の第1外部電極D1及び外部電極としてのシート状の第2外部電極D2と接続されている。本実施形態では、第1外部電極D1の片面としての上面及び第2外部電極D2の片面としての上面は、それぞれ正極タブ群B1のうちの最も内周側に位置する正極タブB11の下面及び負極タブ群C1のうちの最も外周側に位置する負極タブC11の下面と接続されている。
【0018】
そして、巻回型電池Aにおける複数の電極タブ(具体的には、正極タブB11及び負極タブC11)と外部電極(具体的には、第1外部電極D1及び第2外部電極D2)とが接合(例えば、溶接)により接続された接続部分には、接続不良が発生しやすい。そこで、発明者が鋭意研究した結果、このような接続部分の接続良否を精度よく検出することができる検出システム1(
図2参照)及び検出システム1による検出方法が発明された。なお、検出システム1及び検出方法の詳細については後述する。
【0019】
[検出システムの構成]
次に、
図2及び
図3を参照しながら本実施形態に係る検出システム1について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る検出システム1の各構成を示す概略説明図である。
図3は、検出システム1を構成する検出装置2の各構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、本実施形態に係る検出システム1は、巻回型電池Aにおける複数の電極タブ(具体的には、正極タブB11及び負極タブC11)と外部電極(具体的には、第1外部電極D1及び第2外部電極D2)とが接続された接続部分の接続良否を検出するシステムである。検出システム1は、検出装置2、電磁コイル3、給電配線4、検出部としての電圧検出センサ5、検出配線6及び接続配線7を備える。
【0022】
図3に示すように、検出装置2は、入力インタフェース21、給電部22、記憶部23、処理部24及び報知部としての表示部25を有する。本実施形態では、給電部22、記憶部23、処理部24及び表示部25は、検出装置2に内蔵されるように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、それぞれ別体に形成されてもよい。そして、給電部22、記憶部23、処理部24及び表示部25が検出装置2に内蔵された場合に、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。
【0023】
入力インタフェース21には、電圧検出センサ5により検出された検出結果が入力される。入力インタフェース21は、電圧検出センサ5からの検出結果を処理部24に出力する。
【0024】
給電部22は、給電配線4を介して、電流(具体的には、あらかじめ記憶部23に記憶された所定の交流電流)を電磁コイル3に供給する。
【0025】
記憶部23は、処理部24において実行される処理プログラム及びアルゴリズムプログラムを記憶している。また、記憶部23は、入力インタフェース21を介して電圧検出センサ5により検出された検出結果を一時的に記憶する。本実施形態では、記憶部23は、処理部24とは別体に設けられているが、これに限定されるものではなく、処理部24に内蔵されてもよい。
【0026】
さらに、記憶部23は、電磁コイル3に供給される所定の交流電流(具体的には、所定の振幅及び所定の周期を有する所定の交流電流)と、処理部24による接続良否の判定処理に用いられる所定の閾値と、接続不良の電極タブの特定処理に用いられるテーブルと、を記憶している。なお、当該テーブルは、複数の電圧の大きさ範囲、複数の電圧の大きさ範囲に対応する電圧の電位差(正又は負)及び両者に対応する複数の接続不良の電極タブから構成されている。
【0027】
処理部24は、電圧検出センサ5からの検出結果に基づいて接続部分(具体的には、電極タブ)の接続良否を判定し、その判定結果を表示部25に出力する。そして、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定した場合に、接続不良の電極タブを特定し、その特定結果を表示部25に出力する。また、本実施形態では、処理部24は、コンピュータとしてのCPUにより構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、複数のマイクロコンピュータにより構成されてもよい。なお、処理部24の詳細については後述する。
【0028】
表示部25は、処理部24から出力された判定結果を報知させる手段又は判定結果を表示させるディスプレイである。本実施形態では、報知部は、表示部25から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、スピーカから構成されてもよい。
【0029】
図2に戻ると、電磁コイル3は、給電部22及び給電配線4とともに磁界印加部を構成するソレノイドコイルである。電磁コイル3は、巻回型電池Aの巻回軸に磁界が通過するように設けられている。例えば、電磁コイル3は、軸線が巻回型電池Aの巻回軸線方向に沿って延在するように設けられている。そして、電磁コイル3は、給電部22から給電配線4を介して供給された交流電流により、巻回型電池Aの巻回軸線と平行になる交流磁界を発生している。このように磁界印加部(主に電磁コイル3)により発生された交流磁界は、巻回型電池Aに印加されている。これにより、巻回型電池Aの巻回軸線と平行でない交流磁界が巻回型電池Aに印加される場合に比べ、検出精度を向上させることができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。なお、磁気シールド効果の影響を回避する観点から、ラミネート型の巻回型電池Aに印加される交流磁界の周波数は、100kHz以下であることが好ましい。
【0030】
給電配線4は、検出装置2の給電部22の一端と電磁コイル3の一端とを接続させた第1給電配線41と、給電部22の他端と電磁コイル3の他端とを接続させた第2給電配線42と、を有する。
【0031】
外部磁界の発生を抑制する観点から、第1給電配線41及び第2給電配線42は、磁気シールド配線から構成されることが好ましい。この場合に、他の磁気シールド手段を別途設ける必要がなく、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。一方、第1給電配線41及び第2給電配線42は、磁気シールド配線ではなく、ツイスト配線、又は同軸配線から構成されてもよい。これらの場合においでも、同様に他の磁気シールド手段を別途設ける必要がなく、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。
【0032】
なお、本実施形態では、第1給電配線41及び第2給電配線42は、同種類の配線から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、異種類の配線から構成されてもよい。
【0033】
電圧検出センサ5は、交流磁界の印加による巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の電圧を検出する。具体的には、電圧検出センサ5は、検出配線6を介して巻回型電池Aの正極タブ群B1(すなわち、複数の正極タブB11)と巻回型電池Aの負極タブ群C1(すなわち、複数の負極タブC11)との間に設けられ、巻回型電池Aの正極タブ群B1と巻回型電池Aの負極タブ群C1との間の電圧を検出する。
【0034】
検出配線6は、電圧検出センサ5と巻回型電池Aとを接続させた配線である。具体的には、検出配線6は、電圧検出センサ5と正極タブ群B1(すなわち、複数の正極タブB11)とを接続させた第1検出配線61と、電圧検出センサ5と負極タブ群C1(すなわち、複数の負極タブC11)とを接続させた第2検出配線62と、を有する。
【0035】
第1検出配線61は、一端が電圧検出センサ5の一端に接続されるとともに他端が第1外部電極D1を介して正極タブ群B1に接続されている。同様に、第2検出配線62は、一端が電圧検出センサ5の他端に接続されるとともに他端が第2外部電極D2を介して負極タブ群C1に接続されている。
【0036】
外部からの磁界を拾いづらくする観点から、第1検出配線61及び第2検出配線62は、磁気シールド配線から構成されることが好ましい。この場合に、他の磁気シールド手段を別途設ける必要がなく、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。一方、第1検出配線61及び第2検出配線62は、磁気シールド配線ではなく、ツイスト配線、又は同軸配線から構成されてもよい。これらの場合においでも、同様に他の磁気シールド手段を別途設ける必要がなく、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、第1検出配線61及び第2検出配線62は、同種類の配線から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、異種類の配線から構成されてもよい。
【0038】
接続配線7は、電圧検出センサ5と検出装置2とを接続している。電圧検出センサ5は、検出結果を接続配線7を介して検出装置2に出力する。
【0039】
外部からの磁界を拾いづらくする観点から、接続配線7は、磁気シールド配線から構成されることが好ましい。この場合に、他の磁気シールド手段を別途設ける必要がなく、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。一方、接続配線7は、磁気シールド配線ではなく、ツイスト配線、又は同軸配線から構成されてもよい。
【0040】
[検出システムによる検出方法]
次に、
図4から
図9Bを参照しながら、本実施形態に係る検出方法について説明する。
【0041】
図4は、検出システム1による検出方法の各ステップを示すフローチャートである。
図5Aは、接続不良がない場合における巻回型電池Aの回路図の電流の流れを示す図である。
図5Bは、接続不良がある場合における巻回型電池Aの回路図の電流の流れを示す図である。
図6Aは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の正極タブB11_6の接続不良を示す概略展開図である。
図6Bは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の正極タブB11_1の接続不良を示す概略斜視図である。
図7Aは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブB11_4~B11_6の接続不良を示す概略展開図である。
図7Bは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブB11_4~B11_6の接続不良を示す概略斜視図である。
図8Aは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する単一の負極タブC11_1の接続不良を示す概略展開図である。
図8Bは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する単一の負極タブC11_1の接続不良を示す概略斜視図である。
図9Aは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブC11_1~C11_3の接続不良を示す概略展開図である。
図9Bは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブC11_1~C11_3の接続不良を示す概略斜視図である。
【0042】
図5A、
図5B、
図6A、
図7A、
図8A及び
図9Aに示すように、一例として、接続部分の接続良否が検出される巻回型電池Aは、それぞれ内周側から外周側へ向かって順に6つの正極タブB11_1~B11_6及び6つの負極タブC11_1~C11_6を有する。なお、
図5A及び
図5Bに示すように、接合部抵抗(溶接部抵抗)R1~R12は、それぞれ正極タブB11_1~B11_6及び負極タブC11_1~C11_6に対応し、電池内部抵抗R13~R19は、それぞれ正極タブB11_1~B11_6と負極タブC11_1~B11_6との間に設けられている。また、
図6A、
図7A、
図8A及び
図9Aに示すように、正極層B及び負極層Cに描かれた矢印は、電子の向きを示している。
【0043】
検出装置2のスイッチがユーザによりオフからオンに切り替えられると、検出システム1による検出方法の各ステップが実行される。
【0044】
図4に示すように、まず、ステップS1において、給電部22は、所定の交流電流を給電配線4を介して電磁コイル3に供給する。そして、電磁コイル3は、供給された所定の交流電流により、巻回型電池Aの巻回軸線と平行になる交流磁界を発生している。このように発生された交流磁界は、巻回型電池Aに印加され、ステップS2に進む。
【0045】
次に、ステップS2において、電圧検出センサ5は、所定の交流磁界の印加による巻回型電池Aの正極タブ群B1(すなわち、複数の正極タブB11)と巻回型電池Aの負極タブ群C1(すなわち、複数の負極タブC11)との間の電圧を検出する。そして、電圧検出センサ5は、検出した電圧を入力インタフェース21を介して処理部24に出力し、ステップS3に進む。
【0046】
次に、ステップS3において、処理部24は、検出した電圧に基づいて接続部分(具体的には、複数の正極タブB11及び複数の負極タブC11)の接続良否を判定する。
【0047】
具体的には、ステップS3において、処理部24は、電圧の大きさの絶対値(具体的には、交流電圧の振幅)とあらかじめ記憶部23に記憶された所定の閾値(ゼロより大きい値)とに基づいて接続部分の接触良否を判定する。そして、電圧の大きさの絶対値が所定の閾値以上である場合(Yesの場合)に、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定し、ステップS4に進む。一方、電圧の大きさの絶対値が所定の閾値よりも小さい場合(Noの場合)に、処理部24は、接続部分の接続を良好と判定し、判定した接続部分の良好を表示部25に通知し、ステップS6に進む。
【0048】
このように、巻回型電池Aへの交流磁界の印加による巻回型電池Aの正極タブ群B1と巻回型電池Aの負極タブ群C1との間の電圧を接続部分の接続良否の判定に用いることで、巻回型電池Aの抵抗値の測定によらず、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。
【0049】
本実施形態では、電圧の大きさの絶対値は、交流電圧の振幅から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、正又は負の電圧の平均値又は実効値から構成されてもよい。
【0050】
そして、ステップS3において、処理部24が接続部分の接続を良好と判定した場合に、接合部抵抗R1~R12は、電池内部抵抗R13~R19よりも抵抗値が小さいため、
図5Aに示すように、電磁コイル3から巻回型電池Aに印加された交流磁界により、巻回型電池Aに発生する電流は、ショートターンコイルとしての各電極タブ(正極タブB11_1~B11_6及び)に流れる。よって、電圧検出センサ5により検出された電圧の振幅が小さくなり、電圧の振幅が所定の閾値未満となる。
【0051】
一方、ステップS3において、処理部24が接続部分の接続を不良と判定した場合に、電磁コイル3から巻回型電池Aに印加された交流磁界により、巻回型電池Aに発生する電流は、巻回型電池Aの電池内部抵抗R13~R18のうちのいずれかに流れるため、電圧検出センサ5により検出された電圧の振幅が大きくなり、電圧の振幅が所定の閾値以上となる。
【0052】
具体的には、ステップS3において、処理部24が例えば、負極タブC11_1に対応する溶接部の接続を不良と判定した場合に、接続不良によって接合部抵抗R7は、電池内部抵抗R13よりも抵抗値が大きくなるため、
図5Bに示すように、電磁コイル3から巻回型電池Aに印加された交流磁界により、巻回型電池Aに発生する電流は、負極タブC11_1以外の各電極タブに流れるものの、負極タブC11_1に流れない代わりに電池内部抵抗R13に流れる。よって、電圧検出センサ5により検出された電圧の振幅が大きくなり、電圧の振幅が所定の閾値以上となる。
【0053】
次に、ステップS4において、処理部24は、電圧の大きさ及び電圧の電位差(正又は負/具体的には、第1外部電極D1の電位と第2外部電極D2の電位との電位差、すなわち、正極タブB11と負極タブC11との間の電位の高低差)に基づいて、接続不良の電極タブを特定する。そして、処理部24は、特定した接続不良の電極タブを表示部25に出力し、ステップS5に進む。
【0054】
具体的には、ステップS4において、処理部24は、電圧の大きさ、電圧の電位差(正又は負)及びあらかじめ記憶部23に記憶されたテーブルに基づいて、接続不良の電極タブを特定する。より具体的には、ステップS4において、処理部24は、電圧の大きさ、電圧の電位差及びテーブルに基づいて、電圧の大きさ及び電圧の電位差の両方と合致する接続不良の電極タブをテーブルから特定する。これにより、接続不良の電極タブを容易に特定することができる。
【0055】
図6Aに示すように、巻回型電池Aにおける複数の電極と外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する正極タブB11_6に接続不良が発生した場合に、
図6Bに示すように、巻回軸線正方向の磁束変化Δφ(交流磁界)が巻回型電池Aに印加されると、正極層Bの電流は、接続不良が発生した正極タブB11_6に流れず、正極タブB11_6に対応する負極タブC11_6を経由して流れる(
図6Aの矢印を参照)。
【0056】
なお、巻回軸線正方向とは、巻回型電池Aの一端側から巻回型電池Aの他端側へ向かう方向であり、単に正方向ともいう。また、この場合に、第2外部電極D2の電位が第1外部電極D1の電位よりも高く、かつ、比較的小さい振幅を有する交流電圧の一部は、電圧検出センサ5により検出される。
【0057】
一方、
図7Aに示すように、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブB11_4~B11_6に接続不良が発生した場合に、
図7Bに示すように、正方向の磁束変化Δφ(交流磁界)が巻回型電池Aに印加されると、正極層Bの電流は、接続不良が発生した正極タブB11_4~B11_6に流れず、それぞれ正極タブB11_4~B11_6に対応する負極タブC11_4~C11_6を経由して流れる(
図7Aの矢印を参照)。また、この場合に、第2外部電極D2の電位が第1外部電極D1の電位よりも高く、かつ、比較的大きい振幅を有する交流電圧の一部は、電圧検出センサ5により検出される。
【0058】
また、
図8Aに示すように、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する負極タブC11_1に接続不良が発生した場合に、
図8Bに示すように、正方向の磁束変化Δφ(交流磁界)が巻回型電池Aに印加されると、負極層Cの電流は、接続不良が発生した負極タブC11_1に流れず、負極タブC11_1に対応する正極タブB11_1を経由して流れる(
図8Aの矢印を参照)。また、この場合に、第2外部電極D2の電位が第1外部電極D1の電位よりも高く、かつ、比較的小さい振幅を有する交流電圧の一部は、電圧検出センサ5により検出される。
【0059】
一方、
図9Aに示すように、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブC11_1~C11_3に接続不良が発生した場合に、
図9Bに示すように、正方向の磁束変化Δφ(交流磁界)が巻回型電池Aに印加されると、負極層Cの電流は、接続不良が発生した負極タブC11_1~C11_3に流れず、それぞれ負極タブC11_1~C11_3に対応する正極タブB11_1~B11_3を経由して流れる(
図9Aの矢印を参照)。また、この場合に、第2外部電極D2の電位が第1外部電極D1の電位よりも高く、かつ、比較的大きい振幅を有する交流電圧の一部は、電圧検出センサ5により検出される。
【0060】
そして、
図6Aから
図7B又は
図8Aから
図9Bに示すように、処理部24は、電圧(具体的には、交流電圧の振幅)が大きいほど、接続不良の電極タブが外部電極寄りであることを特定する。これにより、整列された複数の電極タブのうち接続不良の電極タブの位置を概ね特定することができる。
【0061】
次に、ステップS5において、表示部25は、処理部24から出力された接続不良の電極タブを表示し、本処理を終了させる。これにより、ユーザは、接続不良の発生及び接続不良の電極タブを容易に把握することができる。
【0062】
一方、ステップS6において、表示部25は、処理部24から通知された接続部分の接続良好を表示し、本処理を終了させる。これにより、ユーザは、接続部分の接続良好を容易に把握することができる。
【0063】
[本実施形態による作用効果]
次に、本実施形態による主な作用効果について説明する。
【0064】
本実施形態に係る検出システム1は、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出システム1であって、巻回型電池Aに交流磁界を印加する電磁コイル3と、交流磁界の印加による巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の電圧を検出する電圧検出センサ5と、検出された電圧に基づいて接続部分の接続良否を判定する処理部24と、を備える。
【0065】
本実施形態に係る検出方法は、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出方法であって、巻回型電池Aに交流磁界を印加する磁界印加ステップと、交流磁界の印加による巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の電圧を検出する検出ステップと、検出された電圧に基づいて接続部分の接続良否を判定する判定ステップと、を有する。
【0066】
これらの構成によれば、巻回型電池Aに交流磁界を印加することにより、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分に接続不良が発生した場合に、巻回型電池Aへの交流磁界の印加による巻回型電池Aの正極タブ群B1と巻回型電池Aの負極タブ群C1との間の電圧が大きくなる。このため、検出された巻回型電池Aの正極タブ群B1と巻回型電池Aの負極タブ群C1との間の電圧を接続部分の接続良否の判定に用いることで、巻回型電池Aの抵抗値の測定によらず、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。
【0067】
また、本実施形態では、処理部24は、電圧の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合に、接続部分の接続を良好と判定し、電圧の絶対値が所定の閾値以上である場合に、接続部分の接続を不良と判定する。
【0068】
この構成によれば、所定の閾値を用いることで、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。
【0069】
また、本実施形態では、検出システム1は、電圧検出センサ5と巻回型電池Aの正極タブB11又は巻回型電池Aの負極タブC11とを接続させたツイスト配線、同軸配線又は磁気シールド配線から構成された検出配線6をさらに備える。
【0070】
この構成によれば、外部からの磁界を拾いづらくなるので、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0071】
また、本実施形態では、交流磁界は、巻回型電池Aの巻回軸線と平行になるように巻回型電池Aに印加されている。
【0072】
この構成によれば、巻回型電池Aの巻回軸線と平行でない交流磁界が巻回型電池Aに印加される場合に比べ、検出精度を向上させることができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0073】
また、本実施形態では、巻回型電池Aは、ラミネート型であり、印加される交流磁界の周波数は、100kHz以下である。
【0074】
この構成によれば、磁気シールド効果の影響を回避することができるため、検出精度をより向上させることができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0075】
また、本実施形態では、処理部24は、検出された電圧の大きさが所定の閾値以上である場合に、電圧が大きいほど、接続不良の電極タブが外部電極寄りであることを特定する。
【0076】
この構成によれば、整列された複数の電極タブのうち接続不良の電極タブの位置を概ね特定することができる。
【0077】
また、本実施形態では、処理部24は、検出された電圧の大きさが所定の閾値以上である場合に、電圧の大きさ及び電圧の電位差に基づいて、接続不良の電極タブを特定する。
【0078】
この構成によれば、接続不良の電極タブを容易に特定することができる。
【0079】
[変形例]
次に、
図10Aから
図11Bを参照しながら変形例に係る検出システムについて説明する。
【0080】
図10Aは、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する負極タブC11_6の接続不良を示す概略展開図である。
図10Bは、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する負極タブC11_6の接続不良を示す概略斜視図である。
図11Aは、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の負極タブC11_4~C11_6の接続不良を示す概略展開図である。
図11Bは、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の負極タブC11_4~C11_6の接続不良を示す概略斜視図である。
図12Aは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の正極タブB11_4~B11_6の接続不良を示す概略展開図である。
図12Bは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の正極タブB11_4~B11_6の接続不良を示す概略斜視図である。
【0081】
なお、
図10A及び
図11Aに示すように、一例として、接続部分の接続良否が検出される巻回型電池Aは、それぞれ内周側から外周側へ向かって順に6つの正極タブB11_1~B11_6及び6つの負極タブC11_1~C11_6を有する。また、
図10A及び
図11Aに示すように、正極層B及び負極層Cに描かれた矢印は、電子の向きを示している。さらに、変形例では、上述した実施形態と同様の点については省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0082】
上述した実施形態では、検出部は、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の電圧を検出する電圧検出センサ5から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の電流を検出する電流検出センサ(図示しない)から構成されてもよい。
【0083】
この場合に、処理部24は、検出された電流に基づいて接続部分の接続良否を判定する。そして、電流による接続部分の接続良否の判定については、電圧による接続部分の接続良否の判定と同様であるため、その説明を省略する。
【0084】
また、上述した実施形態では、電圧検出センサ5は、処理部24とは別体形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、処理部24と一体形成されてもよい。
【0085】
この場合に、圧電検出センサ5及び処理部24は、検出装置2に内蔵されている。これによれば、接続配線7を省くことができるため、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。
【0086】
また、上述した実施形態では、電圧検出センサ5は、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の電圧を検出しているが、これに限定されるものではなく、例えば、交流磁界と同じ周波数成分における電圧(具体的には、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の電圧)を検出してもよい。
【0087】
この場合に、処理部24は、交流磁界と同じ周波数成分における電圧に基づいて、接続部分の接続良否を判定する。例えば、処理部24は、ロックインアンプを含み、具体的には、交流磁界と同じ周波数成分における電圧は、ノイズがロックインアンプにより除去される。そして、処理部24は、ノイズが除去された周波数成分における電圧(周波数成分における電圧の大きさ及び周波数成分における電圧の電位差)に基づいて、接続部分の接続良否を判定する。
【0088】
この変形例によれば、検出された電圧により接続部分の接続良否の判定を行う場合に比べ、外部磁界等(例えば、地磁界)によるノイズの発生を抑制するとともに検出精度を向上させることができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0089】
さらに、巻回型電池Aがケースに封止された状態で接続部分の接続良否を判定する場合に、給電部22から電磁コイル3に供給された交流電流の周波数は、10kHz以下であることが好ましい。なぜならば、交流電流を高周波数とすると、ケースによる磁気シールド効果で、巻回型電池Aに所定の交流磁界を的確に印加することができなくなるおそれがあるからである。
【0090】
また、上述した実施形態では、第1外部電極D1及び第2外部電極D2は、それぞれ正極タブ群B1のうちの最も内周側に位置する正極タブB11の下面及び負極タブ群C1のうちの最も外周側に位置する負極タブC11の下面と接続されている。しかしながら、第1外部電極D1及び第2外部電極D2は、これに限定されるものではなく、例えば、それぞれ正極タブ群B1のうちの最も内周側に位置する正極タブB11の下面及び負極タブ群C1のうちの最も内周側に位置する負極タブC11の上面と接続されてもよい(
図10Aから
図12B参照)。
【0091】
この場合に、
図10A及び
図10Bに示すように、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極と外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する負極タブC11_6に接続不良が発生した場合に、正方向の磁束変化Δφ(交流磁界)が巻回型電池Aに印加されると、負極層Cの電流は、接続不良が発生した負極タブC11_6に流れず、負極タブC11_6に対応する正極タブB11_6を経由して流れる(
図10Aの矢印を参照)。また、この場合に、第1外部電極D1の電位が第2外部電極D2の電位よりも高く、かつ、比較的小さい振幅を有する交流電圧の一部は、電圧検出センサ5により検出される。
【0092】
一方、
図11A及び
図11Bに示すように、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の負極タブC11_4~C11_6に接続不良が発生した場合に、正方向の磁束変化Δφ(交流磁界)が巻回型電池Aに印加されると、負極層Cの電流は、接続不良が発生した負極タブC11_4~C11_6に流れず、それぞれ負極タブC11_4~C11_6に対応する正極タブB11_4~B11_6を経由して流れる(
図11Aの矢印を参照)。また、この場合に、第1外部電極D1の電位が第2外部電極D2の電位よりも高く、かつ、比較的大きい振幅を有する交流電圧の一部は、電圧検出センサ5により検出される。
【0093】
他方、
図12A及び
図12Bに示すように、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブB11_4~B11_6に接続不良が発生した場合に、正方向の磁束変化Δφ(交流磁界)が巻回型電池Aに印加されると、負極層Cの電流は、接続不良が発生した正極タブB11_4~B11_6に流れず、それぞれ正極タブB11_4~B11_6に対応する負極タブC11_4~C11_6を経由して流れる(
図12Aの矢印を参照)。また、この場合に、第2外部電極D2の電位が第1外部電極D1の電位よりも高く、かつ、比較的大きい振幅を有する交流電圧の一部は、電圧検出センサ5により検出される。
【0094】
このように、
図10Aから
図12Bに示すように、処理部24(
図4参照)は、検出された電圧の大きさが所定の閾値以上である場合に、電圧の電位差(第1外部電極D1の電位と第2外部電極D2の電位との電位差、すなわち、正極タブB11の電位の電位と負極タブC11の電位との電位差)に基づいて、接続不良の電極タブの正負を特定する。これにより、接続不良の電極タブの正負を容易に特定することができる。
【0095】
また、処理部24(
図4参照)は、検出された電圧の大きさが所定の閾値以上である場合に、電圧の大きさ及び電圧の電位差に基づいて、接続不良の前記電極タブを特定する。
【0096】
この構成によれば、接続不良の電極タブを容易に特定することができる。
【0097】
なお、本変形例では、第1外部電極D1及び第2外部電極D2は、それぞれ正極タブ群B1のうちの最も内周側に位置する正極タブB11の下面及び負極タブ群C1のうちの最も内周側に位置する負極タブC11の上面と接続されている。しかしながら、第1外部電極D1及び第2外部電極D2は、これに限定されるものではなく、それぞれ正極タブ群B1のうちの最も外周側に位置する正極タブB11の上面及び負極タブ群C1のうちの最も外周側に位置する負極タブC11の下面と接続されてもよい。
【0098】
以上、本実施形態及び各変形例について説明したが、上記実施形態及び各変形例は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0099】
1 検出システム
3 電磁コイル(磁界印加部)
5 電圧検出センサ(検出部)
6 検出配線
22 給電部
24 処理部
A 巻回型電池
B11 正極タブ
C11 負極タブ