(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044018
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240326BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F25D23/00 305Z
F25D23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149314
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 弘晃
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA10
3L102KB19
3L102LE04
(57)【要約】
【課題】引出扉に設けた配線が円滑に移動できる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本発明の冷蔵庫は、貯蔵室5と、貯蔵室5が設けられる箱体10と、貯蔵室5の開口を開閉し、前後方向に移動する引出式の扉5aと、貯蔵室5側と扉5a側とを繋ぎ、扉5aの開閉に応じて移動する配線20と、箱体10側に配線20の左右方向への位置ずれを規制する側方規制部21sとを備え、配線20は、少なくとも扉5aが閉の状態において、扉5a側から後方に延在する扉側部分20aと、扉側部分20aから前方に向けて折り返す折り返し部分20bと、折り返し部分20bから前方に延在して側方規制部21sの間を通る貯蔵室側部分20cとを有し、折り返し部分20bは、扉5aの開閉に応じて前後方向に位置が変動し、側方規制部21sは、折り返し部分20bの左右それぞれの側に前後方向に延在して配され、折り返し部分20bの上下方向における略中央を含む上下方向位置に設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室が設けられる箱体と、
前記貯蔵室の開口を開閉し、前後方向に移動する引出式の扉と、
前記貯蔵室側と前記扉側とを繋ぎ、前記扉の開閉に応じて移動する配線と、
前記箱体側に前記配線の左右方向への位置ずれを規制する側方規制部とを備え、
前記配線は、少なくとも前記扉が閉の状態において、
前記扉側から後方に延在する扉側部分と、該扉側部分から前方に向けて折り返す折り返し部分と、該折り返し部分から前方に延在するとともに前記側方規制部の間を通る貯蔵室側部分と、を有し、
前記折り返し部分は、前記扉の開閉に応じて前後方向に位置が変動し、
前記側方規制部は、前記折り返し部分の左右それぞれの側に前後方向に延在して配され、前記折り返し部分の上下方向における略中央を含む上下方向位置に設けられている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記配線の前記扉側部分を支持するスライドカバーを備え、
前記スライドカバーは、前記引出式の扉側に固定され、前記側方規制部の上縁に近い位置を前後方向に移動する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記扉側部分を支持し、前記引出式の扉側に固定されるスライドカバーを備え、
前記スライドカバーの下縁と前記側方規制部の上縁との上下方向の離間距離は、前記配線の横断面における何れかの方向の寸法よりも小さい
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記扉側部分を支持し、前記引出式の扉側に固定されるスライドカバーを備え、
前記スライドカバーは、
前記扉の開閉に応じて、前記側方規制部の上方を前後方向に移動する前記配線を固定する配線押え部を有している
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記配線を下方から支持する下方規制部を備えている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
貯蔵室と、
前記貯蔵室が設けられる箱体と、
前記貯蔵室の開口を開閉し、前後方向に移動する引出式の扉と、
前記貯蔵室側と前記扉側とを繋ぎ、前記扉の開閉に応じて移動する配線と、
前記箱体側に前記配線の左右方向への位置ずれを規制する側方規制部とを備え、
前記配線は、少なくとも前記扉が閉の状態において、
前記扉側から後方に延在する扉側部分と、該扉側部分から前方に向けて折り返す折り返し部分と、該折り返し部分から前方に延在するとともに前記側方規制部の間を通る貯蔵室側部分と、を有し、
前記側方規制部は、少なくとも、前記折り返し部分の上下方向における略中央を含む上下方向位置に設けられている
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の扉は、観音式扉と、収納ケースと扉が一体で引き出し式の引出扉とがある。
引出扉の電動開閉機構、操作パネル、インジケータなどの実装のために、引出扉の開閉に応じて前後に移動する配線が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP3722716A1(
図6、
図8、段落0069、0075~0079)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、引出扉の開閉に応じて配線が摺動(移動)するため、電動開閉機構のどこかに噛み込む虞がある。配線の自然な移動を担保して撓みの原因となる変形が生じないようにして、意図せぬ撓みや変形を抑制することが望まれる。
特許文献1は、配線であるケーブル102の案内機構140として、引き出し式扉110とともに前後方向(y方向)に移動する剛性構成要素142と、曲げ可能な部材141(チェーン143)が開示されている(0069等)。曲げ可能な部材141は、ケーブル102が通過する中空構造である(0075等)。
【0005】
曲げ可能な部材141は、移動経路s1(
図6参照)からの左右方向(x方向)ずれを抑えるべく、チャンバ120に取付けられた制限部材150(
図2)または制限バー152(
図8)が設けられている(0076,0079、
図2,8)。
しかし、特許文献1では、
図6に示すケーブル102や曲げ可能な部材142の折れ曲がり部分s11が左右方向(x方向)に位置ずれしながら前後方向に移動し続けると、思わぬ撓みとなってケーブル102等が跳ね曲がる可能性がある。つまり、ケーブル102の折れ曲がり部が側方に飛び出るおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室が設けられる箱体と、前記貯蔵室の開口を開閉し、前後方向に移動する引出式の扉と、前記貯蔵室側と前記扉側とを繋ぎ、前記扉の開閉に応じて移動する配線と、前記箱体側に前記配線の左右方向への位置ずれを規制する側方規制部とを備え、前記配線は、少なくとも前記扉が閉の状態において、前記扉側から後方に延在する扉側部分と、該扉側部分から前方に向けて折り返す折り返し部分と、該折り返し部分から前方に延在するとともに前記側方規制部の間を通る貯蔵室側部分と、を有し、前記折り返し部分は、前記扉の開閉に応じて前後方向に位置が変動し、前記側方規制部は、前記折り返し部分の左右それぞれの側に前後方向に延在して配され、前記折り返し部分の上下方向における略中央を含む上下方向位置に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】第一切替室扉を開けた状態を斜め上方から見た斜視図。
【
図4】第一切替室扉を開けた状態を側方から見たコードケース、スライドカバーの断面を含む断面図。
【
図5】引出扉の第一切替室扉を閉塞した状態のコードケース、スライドカバー、コードを斜め前上方から見た斜視図。
【
図7】引出扉の第一切替室扉を開放した状態のコードケース、スライドカバーの内部の状態を示す図。
【
図8】引出扉の第一切替室扉を開放した状態の
図5のII方向矢視図を示す。
【
図9】引出扉の第一切替室扉を開放した状態のコードケース、スライドカバー内部の状態を示す図。
【
図10】斜め後方から見た第一切替室扉近傍を分解した斜視図。
【
図11】コードケースを斜め前上方から見た斜視図。
【
図12A】
図5の引出扉の第一切替室扉を閉塞した状態のコードケース、スライドカバー内部のコードを表す透視斜視図。
【
図12B】コードが第一切替室第1・2案内レールの上方に配置した場合のコード、コードケースの底板、第一切替室第1・2案内レールの関係を表す模式側方図。
【
図13】スライドカバーを斜め前上方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に、実施形態に係る冷蔵庫1の正面図を示す。なお、以下では、6ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されない。
第1実施形態の冷蔵庫1は、上方から順に冷蔵室2、製氷室3及び冷凍室4(第一冷凍室)、第一切替室5、並びに第二切替室6を有している。第一切替室5は、冷凍室(第二冷凍室)としてもよい。冷凍室4の内容積は、第一切替室5の内容積より小さくしてもよい。
【0009】
第一切替室5は、冷蔵温度帯(例えば、1℃~6℃)から長期冷凍保存温度帯(例えば、約-20℃~-15℃。好ましくは-18℃以下。)まで温度帯を切り替えられる。第二切替室6も同様に、冷蔵温度帯から長期冷凍保存温度帯まで温度帯を切り替えられる。本明細書では、長期冷凍保存温度帯よりも高い温度帯として、冷凍保存温度帯(例えば、-10℃~-14℃、好ましくは約-12℃。)の切り替えも可能である。なお、食品が凍結しきらない虞があるため、冷凍保存温度帯の上限温度は-6℃とすることができる。
【0010】
冷蔵室2は、冷蔵温度帯(例えば、6℃)に設定され、製氷室3および冷凍室4は、冷凍温度帯に設定されている。
冷蔵庫1は、断熱箱体10と断熱箱体10の開口を開閉する扉(2a,2b,3a,4a,5a,6a)とを備えている。
【0011】
冷蔵庫1は、断熱箱体10の正面に、冷蔵室2を開閉する冷蔵室扉2a,2bと、製氷室3を開閉する製氷室扉3aと、冷凍室4を開閉する冷凍室扉4aと、第一切替室5を開閉する第一切替室扉5aと、第二切替室6を開閉する第二切替室扉6aとを備えている。
冷蔵室扉2a,2bは観音開きに構成されている。製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5a、および第二切替室扉6aは、手前方向に引き出し可能に構成されている。冷蔵室扉2a,2b、製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5aおよび第二切替室扉6aは、庫内と外部空間を断熱する断熱扉である。また、冷蔵室扉2aの庫外側表面には、庫内の温度設定等の操作を行う操作部26が設けられる。
【0012】
冷蔵室2と、冷凍室4及び製氷室3とは断熱仕切壁28によって隔てられている。また、冷凍室4及び製氷室3と、第一切替室5とは断熱仕切壁29によって隔てられている。断熱仕切壁29には真空断熱材(図示せず)が入れられている。
第一切替室5と第二切替室6とは断熱仕切壁30によって隔てられている。断熱仕切壁30には真空断熱材 (図示せず)が入れられている。
【0013】
断熱箱体10の天面庫外側の手前側と、断熱仕切壁28の左右の前縁には、断熱箱体10と扉2a、2bを固定するための扉ヒンジ(図示せず)を備えている。上部の扉ヒンジは、扉ヒンジカバー16で覆われている。
冷蔵室2は、水を貯められる給水タンク11を備えている。また、製氷室3内には製氷皿3dを備えた自動製氷装置12が配設されている。そして、製氷皿3dに対して給水タンク11内の水が給水管を介して給水される。
【0014】
第一切替室扉5aには、電子部品として、例えば冷蔵温度または長期冷凍保存冷凍温度の何れかが選択されているかを示すインジケータi1、i2が設けられている。冷蔵温度が選択されている場合には、インジケータi1のLEDが点灯し、長期冷凍保存冷凍温度が選択されている場合には、インジケータi2のLEDが点灯する。インジケータi1、i2の後方近傍にはLED制御基板(図示せず)が設けられている。
同様に、第二切替室6には、電子部品として、例えば冷蔵温度または長期冷凍保存冷凍温度の何れかが選択されているかを示すインジケータi3、i4が設けられている。冷蔵温度が選択されている場合には、インジケータi3のLEDが点灯し、長期冷凍保存冷凍温度が選択されている場合には、インジケータi4のLEDが点灯する。
【0015】
図2に、
図1のI-I断面図を示す。
断熱箱体10は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製の内箱10bとの間に発泡断熱材93を充填して形成されている。
冷蔵庫1は、断熱箱体10と、断熱箱体10の開口を閉じる扉(2a,2b、3a、4a、5a、6a)によって、庫外と庫内が隔てられている。
【0016】
断熱箱体10には発泡断熱材に加えて、発泡断熱材より熱伝導率が低い(断熱性能が高い)真空断熱材を外箱10aと内箱10bとの間に複数実装し、内容積の低下を抑えて断熱性能を高めている。冷蔵庫1は、断熱箱体10の背面に真空断熱材25a、下面(底面)に真空断熱材25b、左側面と右側面とにそれぞれ真空断熱材を実装し、貯蔵室より温度が高い庫外からの熱の侵入を抑え、断熱性能を高めている。同様に、冷蔵庫1は、第一切替室扉5aに真空断熱材25e、第二切替室扉6aに真空断熱材25fを実装することで、冷蔵庫1の断熱性能を高めている。
【0017】
冷蔵室扉2a,2bは、庫内側に複数の扉ポケットを備えている。また、冷蔵室2内は、棚34a,34b,34c,34dによって複数の貯蔵スペースに区画されている。製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5aおよび第二切替室扉6aは、それぞれ一体に引き出される製氷室容器3b、冷凍室容器4b、第一切替室容器5b、第二切替室容器6bを備えている。
【0018】
冷蔵室2の背部には、第一蒸発器14aが実装された第一蒸発器室8aを備えている。また、第一切替室5および第二切替室6の一方または両方の略背部には、第二蒸発器14b(冷却器)が実装された第二蒸発器室8b(冷却器室)を備えている。また、第一切替室5および第二切替室6と、第二蒸発器室8b、後述する第二ファン吐出風路12eとの間は、断熱仕切壁27によって隔てられている。蒸発器(14a、14b)や蒸発器室(8a、8b)は、製氷室3と冷凍室4の背部には達していないことが好ましい。
【0019】
冷蔵庫1の上部後方には、冷蔵庫1に電源を供給するための電源基板39が設けられている。
【0020】
<第一切替室扉5aおよび第一切替室容器5bの開閉機構>
図3に、第一切替室扉5aを開けた状態を斜め上方から見た斜視図を示す。
図4に、第一切替室扉5aを開けた状態を側方から見たコードケース21、スライドカバー22の断面を含む断面図を示す。
【0021】
図3、
図4では、構造を分かり易くするため、第一切替室容器5b、製氷室扉3a、冷凍室扉4a、製氷室容器3b、冷凍室容器4b等を省略して示している。
断熱箱体10の第一切替室5の内部の左右側部には、それぞれ第一切替室扉5aおよび第一切替室容器5bの前後移動を案内する第一切替室第1案内レール10r1と第一切替室第2案内レール10r2とが設けられている。
第一切替室扉5aの後部左右には、それぞれ後方に延びる扉案内支持リンク5iが一対固定されている。第一切替室扉5aを前後動作させるために、
図4に示すように、扉案内支持リンク5iの後部には、それぞれ第1被案内ローラ5r1と第2被案内ローラ5r2とが設けられている。
【0022】
左右の扉案内支持リンク5iの後端部には、第一切替室扉5aの左右の扉案内支持リンク5iの同期をとるための同期シャフト5s(
図3参照)が固定されている。
図3、
図1に示す第一切替室扉5aおよび第一切替室容器5bの開閉に際しては、下記の動作が行われる。
【0023】
図4に示すように、左側の扉案内支持リンク5iの第1被案内ローラ5r1は、断熱箱体10の第一切替室第1案内レール10r1内を転動する。また、左側の扉案内支持リンク5iの第2被案内ローラ5r2は、断熱箱体10の第一切替室第2案内レール10r2内を転動する。
同様に、右側の扉案内支持リンク5iの第1被案内ローラ5r1は、断熱箱体10の第一切替室第1案内レール10r1内を転動する。また、右側の扉案内支持リンク5iの第2被案内ローラ5r2は、断熱箱体10の第一切替室第2案内レール10r2内を転動する。
これにより、第一切替室扉5aおよび第一切替室容器5bの開閉動作が行われる。
【0024】
<引出扉の第一切替室扉5aの配線のコード20>
第一切替室扉5aと第二切替室扉6aとは、インジケータ(i1、i2、i3、i4の)配線のコード20に関しては、同様な構成なので、以下、第一切替室扉5aについての説明を行い、第二切替室扉6aについての説明は省略する。
第一切替室扉5aには、インジケータi1、i2(
図1参照)ためのLED回路基板(図示せず)が実装されている。LED回路基板には、電源基板39に接続するための配線のコード20が接続されている。
【0025】
配線のコード20は、引出扉の第一切替室扉5aの開放(
図3参照))のための前進、および第一切替室扉5aの閉塞(
図1参照)のための後進に応じて前後に移動する。
図5に、引出扉の第一切替室扉5aを閉塞した状態のコードケース21、スライドカバー22、コード20を斜め前上方から見た斜視図を示す。
コードケース21とスライドカバー22は、コード20を収容する部材である。
【0026】
【0027】
図8に、引出扉の第一切替室扉5aを開放した状態の
図5のII方向矢視図を示す。
図9に、引出扉の第一切替室扉5aを開放した状態のコードケース21、スライドカバー22の内部の状態を示す。
配線のコード20を収容するため、コードケース21とスライドカバー22とが設けられている。
【0028】
図7、
図9に示すように、コード20は、コードケース21とスライドカバー22で覆われている。コードケース21とスライドカバー22とは、コード20の第一切替室扉5a開閉時の保護とガイドを行う。
後記するように、コードケース21は、第一切替室扉5aの扉案内支持リンク5iに固定されている(
図3、
図10参照)。一方、スライドカバー22は、断熱箱体10に固定されている。コードケース21は、
図8の矢印α11、α12に示すように、第一切替室扉5aとともに前後移動する。
【0029】
前後移動するコードケース21の上縁と、断熱箱体10に固定された静止状態のスライドカバー22の下縁との間の上下方向の離間距離の寸法s1は、コード20の断面積の何れかの方向の径20Φより小さく設定されている。
これにより、コード20がコードケース21とスライドカバー22との間からはみ出ることが抑制される。
【0030】
図4に示すように、コード20の一方端部は、スライドカバー22の前部の扉側コード結線部22kに接続されている。
図10に、斜め後方から見た第一切替室扉5a近傍を分解した斜視図を示す。
第一切替室扉5aは、外扉5a1と内扉5a2と矩形環状のパッキン5a3とを有している。
【0031】
図4に示す扉側コード結線部22kは、第一切替室扉5aに固定される扉側ケース5c(
図10参照)に接続される。
図10に示す扉側ケース5cからの庫内コード20uは、第一切替室扉5aのインジケータi1、i2のLED回路基板(図示せず)に接続されている。
【0032】
図9に示すように、コード20の他方端部は、断熱箱体10の箱側コード結線部10kを介して箱側コード端子部10tに接続されている。箱側コード端子部10tは、電源基板39(
図2参照)に接続されている。
コード20は、第一切替室扉5aから後方に延在する部分20aと、前方に折り返す部分20bと、貯蔵室部分20cとを有している。
コード20の第一切替室扉5aから後方に延在する部分20aは、
図4に示すスライドカバー22内に固定されている。
【0033】
図9に示すように、第一切替室扉5aから後方に延在する部分20aは、スライドカバー22内において、前部の第1配線抑え部22h1と後部の第2配線抑え部22h2とで固定されている。
図6A、
図6Bに示すように、第1・第2配線抑え部22h1、22h2は、コード20が通る箇所22aが狭くなることで、コード20が固定されている。第一切替室扉5aから後方に延在する部分20aは、スライドカバー22に固定され、第一切替室扉5aの前後方向の移動に係らず、静止している。
【0034】
コード20の貯蔵室部分20cは、
図9、
図7に示すように、断熱箱体10に固定されるコードケース21から前方に漏出し、断熱箱体10の箱側コード結線部10kに留められ、断熱箱体10に設けられる箱側コード端子部10tに接続されている。コード20の貯蔵室部分20cは、断熱箱体10に固定され、第一切替室扉5aの前後方向の移動に係らず、静止している。
これにより、第一切替室扉5aから後方に延在する部分20aと貯蔵室部分20cとは、第一切替室扉5aの前後方向の移動に係らず、スライドカバー22と断熱箱体10とにそれぞれ固定され静止している。
【0035】
図9に示すように、コード20の前方に折り返す部分20bは、コード20がスライドカバー22内から後方に漏出して、前方に折曲がり、コードケース21内に入ってコードケース21内を前方の延びている。コード20の前方に折り返す部分20bは、第一切替室扉5aの前後方向の移動に伴い、変形する部分である。つまり、第一切替室扉5aの移動に伴うコード20の変形を、前方に折り返す部分20bに限定する構成である。
【0036】
<コードケース21>
図11に、コードケース21を斜め前上方から見た斜視図を示す。
コードケース21は上面に開口21a1、21a2を有する奥行きが長い箱形状を有している。前記したように、コードケース21は断熱箱体10に取り付けられる。
【0037】
図11、
図6Bに示すように、コードケース21は、左右の側板21sと底板21tとを有している。左右の側板21sは、内部に配設されるコード20の側方位置規制部として、コード20の側方からの漏出を抑止している。左右の側板21sは、コード20の前方に折り返す部分20bの左右それぞれの側に前後方向に延在して配設されている。そして、左右の側板21sは、前方に折り返す部分20bの上下方向における略中央を含む上下方向位置に設けられている。換言すれば、
図9、
図7に示すように、側方規制部の側板21sは、少なくとも、前方に折り返し部分20bの上下方向における略中央を含む上下方向位置に設けられている。
【0038】
これにより、コード20の前方に折り返す部分20bがコードケース21の側方にはみ出ることが抑制される。
前記したように、
図6Aに示すスライドカバー22は、引出式の第一切替室扉5a(
図4参照)に固定されている。スライドカバー22は、断熱箱体10に固定されるコードケース21の側板21sの上縁に近い位置を前後方向に移動する。スライドカバー22が移動する第一切替室扉5a側に固定されるため、スライドカバー22の支持構造が簡易化される。
【0039】
<コードケース21の底板21t>
図12Aに、
図5の引出扉の第一切替室扉5aを閉塞した状態のコードケース21、スライドカバー22内部のコード20を表す透視斜視図を示す。
【0040】
図12Bに、コード20が第一切替室第1・2案内レール(10r1、10r2)の上方に配置される場合のコード20、コードケース21の底板21t、第一切替室第1・2案内レール(10r1、10r2)の関係を表す模式側方図を示す。
【0041】
図12Bに示すように、コード20より下方に、扉案内支持リンク5i、第一切替室扉5aを支持する第一切替室第1・2案内レール(10r1、10r2)がある場合、コード20が垂れると、扉案内支持リンク5iと第一切替室第1・2案内レール(10r1、10r2)との間に、コード20を噛み込むおそれがある。
そこで、
図12Bに示すように、コードケース21に、下方規制部の底板21tを設けることで、コードケース21、スライドカバー22が、第一切替室第1・2案内レール(10r1、10r2)の上方に配置されるレイアウトでも、コード20の扉案内支持リンク5iと第一切替室第1・2案内レール(10r1、10r2)との間へのコード20の巻き込みを防止している。
【0042】
このように、コードケース21の底板21tは、コード20の底部位置規制部として、コード20の下方からの漏出を抑止している(
図12A参照)。
図11に示すコードケース21の開口21a1は、
図8に示すように、前方に折り返されたコード20がコードケース21内に入る開口である。
コード20は、
図8、
図6Aに示すように、第一切替室扉5aの前後方向の移動に伴い、コードケース21の開口21a1を通して変形する。
【0043】
<スライドカバー22>
図13に、スライドカバー22を斜め前上方から見た斜視図を示す。
スライドカバー22は、断面矩形の前後方向に長い直方体状の本体部22hと、固定部22bとを有している。
本体部22hには、
図9、
図7に示すように、コード20が収納されている。コード20は、第1配線抑え部22h1と後部の第2配線抑え部22h2とで固定されている。
【0044】
固定部22bは、
図3に示すように、第一切替室扉5aの後部に固定される扉案内支持リンク5iに固定されている。固定部22bは、スライドカバー22の第1固定部となっている。
【0045】
図13に示す扉側コード結線嵌合部22k1は、第一切替室扉5aに固定される扉側ケース5c(
図10参照)に嵌合される。これにより、スライドカバー22の扉側コード結線部22kは、扉側ケース5cの端子に電気的に接続される。
扉側コード結線嵌合部22k1は、スライドカバー22の第2固定部となっている。
以上の実施形態によれば、引出扉(5a、6a)に設けた配線のコード20が円滑に移動できる冷蔵庫1を提供することができる。
【0046】
<<その他の実施形態>>
1.前記実施形態では、引出扉として、第一切替室扉5a、6aを例示して説明したが、引出扉であれば、製氷室扉3a、冷凍室扉4a等のその他の引出扉にも、本発明を適用できることは勿論である。
【0047】
2.前記した実施形態では、第一切替室扉5a、第二切替室扉6aに電子部品として、インジケータi1、i2、i3、i4を設けた場合を説明したが、インジケータi1、i2、i3、i4以外の電子部品を設けてもよいのは勿論である。
【0048】
3.本発明は、前記した実施形態、変形例の構成に限られることなく、添付の特許請求の範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 冷蔵庫
10 断熱箱体(箱体)
5 第一切替室(貯蔵室)
5a 第一切替室扉(扉)
6 第二切替室(貯蔵室)
6a 第二切替室扉(扉)
20 コード(配線)
20a 第一切替室扉から後方に延在する部分(扉側部分)
20b 前方に折り返す部分(折り返し部分)
20c 貯蔵室部分(貯蔵室側部分)
20Φ コードの断面積の径(配線の横断面における何れかの方向の寸法)
22h1 第1配線抑え部(配線押え部)
22h2 第2配線押え部(配線押え部)
21s 側板(側方規制部)
21t 底板(下方規制部)
22 スライドカバー
s1 寸法(離間距離)