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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004402
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】側溝用衝撃吸収体および側溝
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/24 20060101AFI20240109BHJP
   E03F 5/04 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B32B5/24 101
E03F5/04 Z
E03F5/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104054
(22)【出願日】2022-06-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】593139123
【氏名又は名称】株式会社ロジャースイノアック
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】桐山 卓也
(72)【発明者】
【氏名】折笠 理加
(72)【発明者】
【氏名】花木 紗緒理
【テーマコード(参考)】
2D063
4F100
【Fターム(参考)】
2D063CA03
2D063CB25
4F100AK25A
4F100AK51
4F100AK51A
4F100BA02
4F100DG01B
4F100DG14B
4F100DJ01A
4F100EH46
4F100EJ17
4F100EJ42
4F100GB90
4F100JD04
4F100JH02
4F100JK07
4F100JK10
4F100YY00A
(57)【要約】
【課題】衝撃吸収性の継続性が改善された側溝用衝撃吸収体を提供する。
【解決手段】実施形態に係る側溝用衝撃吸収体10は、発泡体層20と、発泡体層20に積層された繊維層30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体層と、
前記発泡体層に積層された繊維層と、
を備える、側溝用衝撃吸収体。
【請求項2】
前記繊維層がパイルである、請求項1に記載の側溝用衝撃吸収体。
【請求項3】
前記発泡体層の圧縮残留歪が10%以下である、請求項1または2に記載の側溝用衝撃吸収体。
【請求項4】
前記発泡体層がウレタンフォーム、およびアクリルフォームからなる群より選ばれる1以上の材料で形成されている、請求項1または2に記載の側溝用衝撃吸収体。
【請求項5】
側溝本体と、
側溝蓋と、
前記側溝本体と前記側溝蓋との間に設置されている、請求項1または2に記載の側溝用衝撃吸収体と、
を備える、側溝。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝用衝撃吸収体および側溝に関する。
【背景技術】
【0002】
道路脇に設置され、雨水などを排水するための排水路として、側溝本体(側溝ブロック)と側溝蓋からなる側溝が知られている。
側溝蓋上を車両などの重量物が通過する際に、側溝蓋が受ける荷重により、側溝蓋と側溝本体とがぶつかることによって生じる衝撃音が生活環境上問題となっている。このような衝撃音を緩和するため、側溝本体と側溝蓋との間に設置される側溝用衝撃吸収体として圧縮フォームを用いることが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-164641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
側溝用衝撃吸収体として圧縮フォームを用いた場合、当該圧縮フォームに掛かる荷重によって、塑性流動(いわゆる、へたり)が生じやすいため、衝撃吸収性が継続しにくく、長期使用に向いていないという問題がある。
本発明は上述のような課題を鑑みたものであり、衝撃吸収性の継続性が改善された側溝用衝撃吸収体に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、側溝用衝撃吸収体である。当該側溝用衝撃吸収体は、発泡体層と、前記発泡体層に積層された繊維層と、を備える。
上記態様において、前記繊維層がパイルであってもよい。前記発泡体層の圧縮残留歪が10%以下であってもよい。また、前記発泡体層がウレタンフォーム、およびアクリルフォームからなる群より選ばれる1以上の材料で形成されていてもよい。
【0006】
本発明の他の態様は、側溝である。当該側溝は、側溝本体と、側溝蓋と、前記側溝本体と前記側溝蓋との間に設置されている、上述した、いずれかの態様の側溝用衝撃吸収体と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、衝撃吸収性の継続性が改善された側溝用衝撃吸収体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る側溝用衝撃吸収体の概略断面図である。
図2図2は、側溝本体に実施形態に係る側溝用衝撃吸収体を設置した状態を示す概略斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る側溝の概略断面図である。
図4図4は、実施形態に係る側溝の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下であることを表す。
【0010】
(側溝用衝撃吸収体)
図1に示すように、実施形態に係る側溝用衝撃吸収体10は、発泡体層20および繊維層30を備える。発泡体層20および繊維層30を備えることにより、側溝用衝撃吸収体10の制振性を向上させることができる。
【0011】
発泡体層20は、ウレタンフォーム、およびアクリルフォームからなる群より選ばれる1以上の材料で形成されている。
【0012】
発泡体層20に用いられるウレタンフォームは、たとえば、ポリオール、ポリイソシアネート、整泡剤、触媒および造泡用気体を含むポリウレタン原料からメカニカルフロス法によって得られる。
【0013】
ポリオールは、特に限定されない。ポリオールとして、たとえば、ポリエーテル系ポリオール、ポリマー系ポリオール、およびポリエステル系ポリオールが挙げられ、ポリオールとして、ポリエーテル系ポリオールと、ポリマー系ポリオールと、ポリエステル系ポリオールとが併用されることが好ましい。
【0014】
ポリエーテル系ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロースなどの多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールなど、ポリウレタン用のポリエーテル系ポリオールを使用することができる。
【0015】
ポリエーテル系ポリオールは、官能基数2~4、数平均分子量2000以上4000以下のものが好ましい。さらに、ポリエーテル系ポリオールは、ポリオキシアルキレン中のオキシエチレン単位の比率であるエチレンオキサイド比率(以下、EO比率と略して表記することがある)が50モル%以上であることが好ましく、より好ましいエチレンオキサイド比率は60モル%以上であり、特に70モル%以上である。またエチレンオキサイド比率の上限は100モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。エチレンオキサイド比率を50モル%以上(より好ましくは60モル%以上、特に70モル%以上)とすることにより、ポリウレタンフォームの耐衝撃性をより向上させることができる。なお、ポリエーテル系ポリオールは、2種類以上併用してもよい。なお、ここでのエチレンオキサイド比率を言い換えれば、アルキレンオキサイド付加物中のエチレンオキサイド付加物の比率とも言える。
【0016】
ポリマー系ポリオールは、数平均分子量1500~4500(好ましくは2000~4000)、官能基数2又は3のポリマー系ポリオールであることがより好ましい。ポリマー系ポリオールとしては、たとえば、ベースポリオールとしての官能基数2又は3のポリエーテル系ポリオール中でアクリロニトリルおよびスチレンなどのビニルモノマーをグラフト共重合させてなるポリマー系ポリオールを好適に用いることができる。上記ベースポリオールとしては、たとえば、AO(アルキレンオキサイド)単位としてPO(プロピレンオキサイド)単位とEO(エチレンオキサイド)単位を含むポリエーテル系ポリオールが挙げられる。なお、ポリマー系ポリオールの数平均分子量は、ベースポリオールの数平均分子量を意味する。
ポリマー系ポリオールの含有量は特に限定されない。ポリマー系ポリオールの含有量は、ポリオール類全体を100質量部とした場合に、5質量部以上95質量部以下が好ましく、25質量部以上85質量部がより好ましい。ポリマー系ポリオールの含有量が25質量部以上であれば、ポリウレタンフォームの通気性を好適に低減できるだけでなく、ポリウレタンフォームの耐衝撃性を向上させることができる。
【0017】
このポリエステル系ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、ショ糖などの低分子ポリオールと、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸などとの縮合により得られるものが挙げられる。さらに、ポリエステル系ポリオールとしては、ラクトンエステルとして分類されるカプロラクトン、メチルバレロラクトンの開環縮合物であるポリオールが挙げられる。
【0018】
ポリイソシアネートとしては、芳香族系、脂環式、脂肪族系のいずれでもよく、また、1分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能のポリイソシアネートであっても、あるいは1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のイソシアネートであってもよい。また、これらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよい。
たとえば、2官能のイソシアネートとしては、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネートなどの芳香族系のもの、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族系のものを挙げることができる。
また、3官能以上のイソシアネートとしては、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリメリックMDI)などを挙げることができる。
また、イソシアネートは、それぞれ一種類に限られず一種類以上であってもよい。たとえば、脂肪族系イソシアネートの一種類と芳香族系イソシアネートの二種類を併用してもよい。イソシアネートインデックスは100以上110以下とすることが好ましい。イソシアネートインデックスがこの範囲を外れると、ポリウレタンフォームの圧縮残留ひずみが大きくなる。なお、イソシアネートインデックスは、ポリウレタン原料中に含まれる活性水素基1モルに対するイソシアネート基のモル数を100倍した値である。
【0019】
整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンまたはポリオキシアルキレンなどのノニオン系界面活性剤が好適である。前記ノニオン系界面活性剤を整泡剤として使用することで、造泡用気体がポリウレタンフォームに好適な泡構造を形成することができる。整泡剤の量はポリオール100質量部当たり3質量部以上8質量部以下とすることが好ましい。
触媒としては、ポリウレタンフォーム用のアミン系触媒、金属触媒(有機金属化合物系触媒)が単独または併用される。アミン系触媒としては、モノアミン化合物、ジアミン化合物、トリアミン化合物、ポリアミン化合物、環状アミン化合物、アルコールアミン化合物、エーテルアミン化合物などが挙げられ、これらの1種類でもよく、2種類以上併用してもよい。金属触媒としては、有機錫化合物、有機ビスマス化合物、有機鉛化合物、有機亜鉛化合物などを挙げることができ、これらの1種類でもよく、あるいは2種類以上用いてもよい。触媒の量はポリオール100質量部当たり0.05質量部以上0.5質量部以下とすることが好ましい。
【0020】
造泡用気体としては、ポリオールとイソシアネートとの反応などに悪影響を与えない気体、たとえば乾燥空気あるいは窒素などの不活性ガスが好適である。造泡用気体は、ポリウレタン原料における混合割合が20体積%以上95体積%以下、30体積%以上90体積%以下、または50体積%以上85体積%以下となるようにポリウレタン原料に含ませることが好ましい。なお、造泡用気体の混合割合とは、造泡用気体を除いたポリウレタン原料100体積部に対する造泡用気体の体積%をいう。
【0021】
その他、必要に応じて架橋剤や発泡助剤、充填剤などがポリウレタン原料に添加される。架橋剤としては、イソシアネート基と反応可能な活性水素含有基を2~4個有する数平均分子量50以上800以下の低分子化合物が挙げられる。架橋剤として使用される低分子化合物としては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトールなどを挙げることができ、これらの一種または二種以上を併用することができる。
【0022】
架橋剤を添加することにより架橋密度を密にすることができ、ポリウレタンフォームの耐衝撃性をより向上させることができる。硬度とのバランスを考慮して、架橋剤の添加量は、ポリオール100質量部当たり5質量部以上15質量部以下とすることが好ましい。
発泡助剤は、ポリウレタンフォームの見掛け密度をより低くする場合に添加されるものであり、好適な発泡助剤として水を挙げることができる。発泡助剤としての水の添加量は、ポリオール100質量部当たり、0.4質量部以上2.5質量部以下とすることが好ましい。充填剤としては、ポリウレタン原料の粘度調節剤としての金属水酸化物や、着色剤、帯電防止剤などを挙げることができる。
【0023】
また、ポリウレタンフォームの見掛け密度100kg/m以上800kg/m以下が好ましく、150kg/m以上500kg/m以下がより好ましい。なお見掛け密度はJIS K 7222:2005に基づいて測定された値である。見掛け密度をこのような範囲とすることにより、耐衝撃性を向上させることができる。
ポリウレタンフォームの25%圧縮荷重は、0.01MPa以上0.50MPa以下が好ましく、0.02MPa以上0.20MPa以下がより好ましい。25%圧縮荷重とは、JIS K 6254:1993の試験条件で、φ50mmのサンプルを1mm/分の速度で25%圧縮したときに生じる圧縮応力のことである。これにより、ポリウレタンフォームの弾性変形が良好となり、耐衝撃性が向上する。
さらにポリウレタンフォームは、平均セル径が50μm以上300μm以下であることが好ましい。平均セル径は、フォーム層の断面を走査型電子顕微鏡により倍率200倍で観察したときの、25mmの直線に接触するセルについて、セル径の累計をセルの個数で除して算出することができる。これにより、ポリウレタンフォームの耐衝撃性がより良好となる。
【0024】
発泡体層20に用いられるアクリルフォームは、アクリルエマルジョンと架橋剤と起泡剤とを含有するエマルジョン組成物を、メカニカルフロス法を用いて発泡させて発泡体を形成し、当該発泡体を硬化させることにより得ることができる。
【0025】
発泡体層20の厚さは、0.5~5mmが好ましく、0.7~4mmがより好ましく、1~3mmがさらに好ましい。発泡体層20の厚さを上記範囲とすることにより、側溝用衝撃吸収体10を薄型化しつつ、十分な衝撃吸収性を得ることができる。
【0026】
発泡体層20の圧縮残留歪は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。発泡体層20の圧縮残留歪を上記範囲とすることにより、塑性流動を抑制し、ひいては、衝撃吸収性の継続性を高めることができる。なお、発泡体層20の圧縮残留歪は、JIS K 6401:2011に準じて測定される。圧縮残留歪の測定方法の詳細については後述する。
【0027】
繊維層30は、発泡体層20の一方の主表面に積層されている。
繊維層30は、織布または不織布により形成されうる。織布としては、ループ糸を有するパイルが挙げられる。不織布としては、ガラス繊維、またはポリエステル繊維からなる不織布が挙げられる。繊維層30は、織布と不織布とで形成される複合材であってもよい。たとえば、基材層または補強層として、不織布を用い、当該不織布の表面に織布層(たとえば、パイル層)を形成してもよい。
【0028】
繊維層30の厚さは、0.2~2mmが好ましく、0.3~1.8mmがより好ましく、0.5~1.5mmがさらに好ましい。発泡体層20の厚さを上記範囲とすることにより、長期間にわたり十分な衝撃吸収性および吸音性を得ることができる。
【0029】
発泡体層20に繊維層30を貼り付ける方法に特に限定は無いが、たとえば、接着剤を繊維層30の裏面に塗布し、発泡体層20の一方の主表面に貼り付けて固化させる方法が挙げられる。上記接着剤は、柔軟性を有する接着剤であることが好ましく、たとえば、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、ナイロン系接着剤などが挙げられ、ウレタン系接着剤の中でも、ウレタンホットメルト接着剤が好ましく用いられる。
【0030】
実施形態に係る側溝用衝撃吸収体10の制振特性は、0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.02以上がさらに好ましい。制振特性を上記範囲とすることにより、良好な制振性を得ることができる。制振特性の測定方法については後述する。
【0031】
実施形態に係る側溝用衝撃吸収体10の反発弾性率(%)は、28%以下が好ましく、26%以下がより好ましく、24%以下がさらに好ましい。反発弾性率を上記範囲とすることにより、重量物が通過したときのがたつき音を低減することができる。反発弾性率の測定方法については後述する。
【0032】
実施形態に係る側溝用衝撃吸収体10の圧縮滑り抵抗は、15以下が好ましく、14以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。圧縮滑り抵抗を上記範囲とすることにより、側溝用衝撃吸収体10の上に側溝蓋を設置する際の施工性を向上させることができる。圧縮滑り抵抗の測定方法については後述する。
【0033】
実施形態に係る側溝用衝撃吸収体10の通気性(秒)は、30秒以上が好ましく、40秒以上がより好ましく、50秒以上がさらに好ましく、100秒以上が特に好ましい。通気性(秒)を上記範囲とすることにより、耐衝撃性をより一層高めることができる。通気性の測定方法については後述する。
【0034】
(側溝)
図2は、側溝本体110に実施形態に係る側溝用衝撃吸収体10を設置した状態を示す概略斜視図である。図3は、実施形態に係る側溝100の概略断面図である。図4は、実施形態に係る側溝100の概略斜視図である。
【0035】
図2に示すように、側溝本体110は、一対の側壁部112a、112bおよび底面部114を備え、断面略U字状の構造を有する。一対の側壁部112a、112bおよび底面部114は、それぞれ、断面直交方向に延在している。
一対の側壁部112a、112bの上部には、それぞれ、段差が形成されており、段差によって生じる上面が蓋受部116となっている。
【0036】
側溝用衝撃吸収体10は、一対の蓋受部116の上に両面テープを介してそれぞれ設置されている。側溝用衝撃吸収体10は両面テープを介して蓋受部116に固定されてもよい。また、蓋受部116に凹部(図示せず)を設け、側溝用衝撃吸収体10の裏面に上記凹部に対応する凸部(図示せず)を形成し、蓋受部116の凹部に側溝用衝撃吸収体10の凸部をはめ込むことで、側溝用衝撃吸収体10を蓋受部116に固定してもよい。
【0037】
図3および図4に示すように、側溝蓋120は、対向する一辺の下面端部が、それぞれ、一対の側溝用衝撃吸収体10の上面に接するように、配置される。
【0038】
以上説明した側溝100によれば、衝撃吸収性の継続性が向上した側溝用衝撃吸収体10の上に、側溝蓋120を設置することにより、衝撃音が長期に渡り低減した状態で使用することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0040】
上述の実施形態では、側溝用衝撃吸収体10が側溝本体110に接着されているが、側溝用衝撃吸収体10の上下を逆にし、側溝用衝撃吸収体10の発泡体層20を両面テープなどを用いて側溝蓋10に接着してもよい。これによれば、側溝用衝撃吸収体10が側溝蓋10からずれることを抑制することができる。
【実施例0041】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
<材料・原料>
(発泡体層)
ウレタン1:株式会社ロジャースイノアック社製、PORON(登録商標)L24
ウレタン2:株式会社ロジャースイノアック社製、PORON(登録商標)L32
アクリル:株式会社イーテック社製、ソフリル
圧縮フォーム:株式会社イノアックコーポレーション社製、モルトプレン(登録商標) SM-55(1/4熱プレス品)
ゴム:株式会社イノアックコーポレーション社製、E-4388 独泡タイプ(EPDM系)
(繊維層)
フレンチパイル1:三和繊維株式会社製、B面パイルシリーズ(SW15050)
フレンチパイル2:三和繊維株式会社製、B面パイルシリーズ(SW12000)
【0043】
<側溝用衝撃吸収体の作製>
表1に示す発泡体層および繊維層の組み合わせにて、各実施例および各比較例の側溝用衝撃吸収体を作製した。
発泡体層の一方の表面に、ポリウレタンホットメルト接着剤を非接触方式(スプレー方式)にて繊維層を貼り付けることにより、発泡体層に繊維層を固定した。ポリウレタンホットメルト接着剤の塗布量を、10g/mとした。非接触方式の条件は、圧力0.2MPa、温度140℃である。各実施例および各比較例の側溝用衝撃吸収体について、以下に示す評価を実施した。各評価結果を表1に示す。
【0044】
<圧縮残留歪>
各実施例および各比較例の側溝用衝撃吸収体に用いられた発泡体層の圧縮残留歪をJIS K 6401:2011に準じ、以下の手順にて測定した。
側溝用衝撃吸収体に用いられた発泡体層と同様な発泡体層を試験体とした。厚み計を用い、試験体の初期厚み〔T〕を測定した。圧縮残留歪測定用治具を用い、試験体の初期厚みの50%に当たるスペーサをセットし、圧縮残留歪測定用治具をネジで締め込み(2箇所)、70℃の恒温槽内にて22時間放置した。
恒温槽から圧縮残留歪測定用治具を取り出し、圧縮残留歪測定用治具を外して試験体を取り出した。取り出した試験体を室温下で30分間放置した後、試験体の厚み〔T〕を測定した。試験体の初期厚み〔T〕および厚み〔T〕を用い、圧縮残留歪(単位:%)を下式に従って算出した。
圧縮残留歪(%)=(T-T)/T×100
【0045】
<制振特性>
各実施例および各比較例の側溝用衝撃吸収体の制振特性をJIS K7391:2008に準じた中央加振法により測定した。制振特性測定時の条件は以下のとおりである。
試験片:鋼板1.0mm+サンプル(側溝用衝撃吸収体)
周波数:1200Hz程度
試験温度:23℃
【0046】
<反発弾性率>
各実施例および各比較例の側溝用衝撃吸収体の反発弾性率をJIS K 6400-3に準じた方法で測定した。反発弾性率測定時の条件は以下のとおりである。
ボール:直径16mm、重さ16g
落下高さ:500mm
試験片を50mm以上となるように積層
【0047】
<圧縮滑り抵抗>
各実施例および各比較例の側溝用衝撃吸収体の圧縮滑り抵抗を測定した。具体的には、側溝用衝撃吸収体を30mm角のサイズに打ち抜き、試験体を得た。
ABS板に対して目的の圧縮率30%になるようにスペーサをセットし、試験体を圧縮させた。この状態で、引張速度100mm/分で引張り抵抗値を計測した。
【0048】
<通気性>
各実施例および各比較例の側溝用衝撃吸収体に用いられた発泡体層の通気性を、JIS L 1096:2010 8.26.2 B法に準拠し、測定・評価した。通気性測定時の条件は以下のとおりである。
レンジ:25mL
圧縮率:5%
独立気泡・連続気泡の有無を目視にて確認した。空気漏れが3分以上確認できない場合は測定不可とした。
【0049】
<総合評価>
各実施例および各比較例の側溝用衝撃吸収体の総合評価を以下の判定基準にて判定した。
(A)圧縮残留歪(%)
2点:3.0%未満
1点:3.0%以上10%以下
0点:10.0%超
(B)
制振特性
1点:0.0050超
0点:0.0050以下
(C)
反発弾性率(%)
1点:30%未満
0点:30%以上
(総合評価基準)
A:4点
B:3点
C:2点以下
【0050】
【表1】
【符号の説明】
【0051】
10 側溝用衝撃吸収体、20 発泡体層、30 繊維層、100 側溝、110 側溝本体、120 側溝蓋
図1
図2
図3
図4