(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044027
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】商品ピッキング装置、商品ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
B25J15/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149332
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003742
【氏名又は名称】弁理士法人海田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128749
【弁理士】
【氏名又は名称】海田 浩明
(72)【発明者】
【氏名】蒲生 希実
(72)【発明者】
【氏名】日高 健児
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS02
3C707FS01
3C707FT11
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】商品のピッキング作業での作業者の作業負荷を低減する。
【解決手段】商品ピッキング装置20は、商品11の拘束と解放を行う拘束・解放ロボット機構30を備え、拘束・解放ロボット機構30は、商品11の拘束・解放を行う拘束・解放手段34を備えた複数の接触部33を備え、複数の接触部33は、1の商品11に対して少なくとも2種以上配置されるものであり、当該2種以上の接触部33は、1の商品11に対する拘束・解放の基準となる基準接触部33aと、基準接触部33aよりも長尺の長尺接触部33bを少なくとも備え、長尺接触部33bが伸縮自在であることで、1の商品11を解放するときには、当該商品11を拘束していた斜めの商品配置状態で基準接触部33aと長尺接触部33bによる当該商品11の解放がなされることで、商品11のピッキング作業が行われる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整列配置された複数の商品のうちから1以上の商品を所定のピッキングポイントで拘束し、拘束された1以上の商品を所定のリリースポイントで解放することで、商品のピッキング作業を行う商品ピッキング装置であって、
前記商品の拘束と解放を行う拘束・解放ロボット機構を備え、
前記拘束・解放ロボット機構は、商品の拘束・解放を行う拘束・解放手段を備えた複数の接触部を備え、
前記複数の接触部は、1の商品に対して少なくとも2種以上配置されるものであり、
当該2種以上の接触部は、1の商品に対する拘束・解放の基準となる基準接触部と、前記基準接触部よりも長尺の長尺接触部を少なくとも備え、
前記長尺接触部が伸縮自在であることで、
1の商品を解放するときには、当該商品を拘束していた斜めの商品配置状態で前記基準接触部と前記長尺接触部による当該商品の解放がなされることで、商品のピッキング作業が行われることを特徴とする商品ピッキング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の商品ピッキング装置であって、
前記拘束・解放ロボット機構を前記ピッキングポイントと前記リリースポイントとの間で位置移動させる位置移動機構を備え、また、
前記長尺接触部が、前記基準接触部の長さと同じ長さまで伸縮自在であることで、
1の商品を拘束するときには、前記位置移動機構が前記拘束・解放ロボット機構を前記ピッキングポイントで当該商品に近づけるとともに、前記拘束・解放ロボット機構が前記拘束・解放手段の稼働を開始させることで、当該商品に対して最初に前記長尺接触部が接触して拘束を開始するとともに前記長尺接触部の長さが徐々に縮まり、前記長尺接触部の長さが前記基準接触部の長さと同じ長さになることで当該商品に対して前記基準接触部が接触して拘束を開始し、前記基準接触部と前記長尺接触部の両方が同じ長さで当該商品の拘束を維持することで、当該商品は水平状態で拘束され、
1の商品を解放するときには、前記位置移動機構が前記拘束・解放ロボット機構を前記リリースポイントに位置移動した後に、前記拘束・解放ロボット機構が前記拘束・解放手段の稼働を停止させることで、当該商品を拘束していた前記基準接触部と前記長尺接触部のうち、前記長尺接触部の長さが伸びることで当該商品が斜めに配置され、斜めの商品配置状態で前記基準接触部と前記長尺接触部による当該商品の解放がなされることで、商品のピッキング作業が行われることを特徴とする商品ピッキング装置。
【請求項3】
請求項1に記載の商品ピッキング装置であって、
前記拘束・解放手段は、真空吸引ポンプによる真空吸引を行うものであることを特徴とする商品ピッキング装置。
【請求項4】
請求項1に記載の商品ピッキング装置であって、
前記拘束・解放ロボット機構は、前記基準接触部と前記長尺接触部が1の商品を拘束したときに、拘束状態を安定化させるためのスタビライザーを備えることを特徴とする商品ピッキング装置。
【請求項5】
請求項1に記載の商品ピッキング装置であって、
前記複数の接触部は、前記拘束・解放ロボット機構において回動可能に設置されることで、当該商品を解放したときには、前記ピッキングポイントに整列配置された複数の商品の配置角度に沿った角度に傾動するとともに、当該商品を拘束したときには、商品の自重によって水平となるように回動することを特徴とする商品ピッキング装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の商品ピッキング装置と、
整列配置された複数の商品を前記ピッキングポイントに供給する供給装置と、
前記リリースポイントで解放された商品を収納する通函を搬出する搬出装置と、
を備えることを特徴とする商品ピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品ピッキング装置と、この商品ピッキング装置を備える商品ピッキングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
個人向けの食品や雑貨等の商品の宅配を行う専門業者では、個人顧客からの注文に応じて配送センター内で商品をピックアップし、通函等の配送容器に商品をピッキングして配達することが行われている。このような商品のピッキング作業は、例えば、多種多様な商品を選別したり、重量物である商品をピックアップしたり、気温10℃以下の冷蔵環境で商品の移動等を行う必要があるため、作業者にとって重労働となっている。
【0003】
このような重労働環境を改善するために、従来では、ロボット機構等を導入して、ピッキング作業の自動化を行うことが行われていた。例えば、下記特許文献1には、カメラとワークの間隔が長くなるのを抑制し、ステレオ方式でワークの3次元位置を算出しロボットの吸引部の配置位置を決める立体視ロボットピッキング装置が開示されている。また、下記特許文献2には、物体を確実に位置特定し、各物体に適した把持ポイントを計算してロボットシステムを効果的に制御する制御デバイス及び制御方法、食料雑貨ショッピング包装システム並びに格納システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-192473号公報
【特許文献2】特開2022-109904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上掲した特許文献1、2に代表されるような従来の商品ピッキング装置や商品ピッキングシステムは、カメラ等のセンサを用いて商品の位置を特定するとともに、複雑な制御システムを用いて装置やシステム全体を稼働させるものであり、高額な導入コストを要するものであった。一方、スーパー等といった個人向けの食品や雑貨等の商品の宅配を行う事業分野では、コスト削減が常に求められているため、高額な導入コストを要するシステムを導入することは現実的には極めて困難である。また、我が国では、労働人材の確保が困難となっているため、重労働を要する職場の作業環境を改善する必要性も非常に高まっている。これらの事情から、個人向けの食品や雑貨等の商品の宅配を行う事業分野では、商品のピッキング作業を自動化あるいは省力化するための装置やシステムを、安価なコストで導入することが求められていた。
【0006】
本発明は、上述した従来技術に存在する課題に鑑みて成されたものであって、その目的は、個人向けの食品や雑貨等の商品の宅配を行う専門業者で実施される商品のピッキング作業について、作業者の作業負荷を低減するための自動化・省力化を実現でき、かつ、従来技術に比べて導入コストを抑えることのできる商品ピッキング装置と、この商品ピッキング装置を備える商品ピッキングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る商品ピッキング装置は、整列配置された複数の商品のうちから1以上の商品を所定のピッキングポイントで拘束し、拘束された1以上の商品を所定のリリースポイントで解放することで、商品のピッキング作業を行う商品ピッキング装置であって、前記商品の拘束と解放を行う拘束・解放ロボット機構を備え、前記拘束・解放ロボット機構は、商品の拘束・解放を行う拘束・解放手段を備えた複数の接触部を備え、前記複数の接触部は、1の商品に対して少なくとも2種以上配置されるものであり、当該2種以上の接触部は、1の商品に対する拘束・解放の基準となる基準接触部と、前記基準接触部よりも長尺の長尺接触部を少なくとも備え、前記長尺接触部が伸縮自在であることで、1の商品を解放するときには、当該商品を拘束していた斜めの商品配置状態で前記基準接触部と前記長尺接触部による当該商品の解放がなされることで、商品のピッキング作業が行われることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、個人向けの食品や雑貨等の商品の宅配を行う専門業者で実施される商品のピッキング作業について、作業者の作業負荷を低減するための自動化・省力化を実現でき、かつ、従来技術に比べて導入コストを抑えることのできる商品ピッキング装置と、この商品ピッキング装置を備える商品ピッキングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る商品ピッキングシステムの全体構成を示す外観斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る商品ピッキングシステムの要部を示す正面図である。
【
図3】本実施形態に係る商品ピッキング装置の全体構成を示す外観斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る商品ピッキング装置を構成する拘束・解放ロボット機構を示す正面上方からの斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る商品ピッキング装置を構成する拘束・解放ロボット機構を示す正面図である。
【
図6】本実施形態に係る商品ピッキング装置を構成する拘束・解放ロボット機構を示す右側面図である。
【
図7】本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を拘束する際の手順を説明するための図である。
【
図8】本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を解放する際の手順を説明するための図である。
【
図9】スタビライザーが設置されていない拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を拘束した状態で移動した場合の例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係るスタビライザーを備えた拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を拘束した状態を示す図であり、図中の分図(a)が正面図を示し、分図(b)が右側面図を示している。
【
図11】本実施形態の拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料をピックアップする場合の多様な形態例を示す図である。
【
図12】本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構を示す外観斜視図である。
【
図13】本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構の動作状態を説明するための部分透視正面図であり、図中の分図(a)が紙パック飲料を拘束していない場合の状態を示しており、分図(b)が紙パック飲料を拘束した場合の状態を示している。
【
図14】本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を拘束する際の手順を説明するための図である。
【
図15】本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を解放する際の手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る商品ピッキングシステムの全体構成を示す外観斜視図である。また、
図2は、本実施形態に係る商品ピッキングシステムの要部を示す正面図である。なお、本実施形態に係る商品ピッキングシステム100では、本発明の商品である1,000mlの紙パック飲料11をピッキングすることを想定している。
【0012】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る商品ピッキングシステム100は、整列配置された複数の紙パック飲料11をピッキングポイントαに供給する供給装置10と、リリースポイントβで解放された紙パック飲料11を収納する通函41を搬出する搬出装置40と、供給装置10と搬出装置40との間に配置される商品ピッキング装置20と、を備えて構成されている。
【0013】
供給装置10は、複数の紙パック飲料11を水平方向にピッキングポイントαに向けて送り出すことができるテーブル機構となっている。供給装置10は、例えば、複数のローラを送り出し方向に並べた構造となっており、供給装置10の上に整列配置された複数の紙パック飲料11を容易にピッキングポイントαに向けて送り出すことができるようになっている。
【0014】
搬出装置40は、数個の紙パック飲料11を収納可能な通函41を水平方向に移動させることができるテーブル機構となっており、移動対象となる通函41は、リリースポイントβを通過した上で、次工程に向けて搬出することができるようになっている。この搬出装置40についても、例えば、複数のローラを搬出方向に並べた構造とすることができる。
【0015】
商品ピッキング装置20は、整列配置された複数の紙パック飲料11のうちから1以上の紙パック飲料11をピッキングポイントαで拘束し、拘束された1以上の紙パック飲料11をリリースポイントβで解放することで、紙パック飲料11のピッキング作業を行う装置である。この商品ピッキング装置20について、
図3~
図6を参照図面に加えて、詳細な構造を説明する。ここで、
図3は、本実施形態に係る商品ピッキング装置の全体構成を示す外観斜視図である。また、
図4~
図6は、本実施形態に係る商品ピッキング装置を構成する拘束・解放ロボット機構を示す図であり、
図4は正面上方からの斜視図を示し、
図5は正面図を示し、
図6は右側面図を示している。
【0016】
図3に示すように、本実施形態に係る商品ピッキング装置20は、門型に形成されたベース部21と、ベース部21に固定された水平直動ガイド22と、水平直動ガイド22に対して水平移動自在に取り付けられた垂直直動ガイド23と、垂直直動ガイド23に取り付けられることで垂直移動と水平移動が可能である拘束・解放ロボット機構30と、を有している。拘束・解放ロボット機構30は、商品である紙パック飲料11の拘束と解放を行うロボット機構である。一方、ベース部21と水平直動ガイド22と垂直直動ガイド23は、拘束・解放ロボット機構30をピッキングポイントαとリリースポイントβとの間で位置移動させる本発明の位置移動機構として構成される機構部である。つまり、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30は、本発明の位置移動機構としてのベース部21と水平直動ガイド22と垂直直動ガイド23によって、ピッキングポイントαやリリースポイントβの箇所で垂直方向に上下移動したり、ピッキングポイントαとリリースポイントβの間で水平方向に左右移動したりすることが可能となっている。
【0017】
図4~
図6に示すように、本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構30は、垂直直動ガイド23への取付部となるロボット機構取付部31と、ロボット機構取付部31に固定されるロボット機構本体部32と、ロボット機構本体部32の下方に向けて突出するように取り付けられる8本の接触部33と、8本の接触部33に接続して設けられる切り替えバルブ34と、を有して構成されている。
【0018】
本実施形態の拘束・解放ロボット機構30では、切り替えバルブ34には不図示の真空吸引ポンプが接続されており、不図示の真空吸引ポンプが稼働することで、切り替えバルブ34を経由して8本の接触部33から真空吸引を行うことが可能となっている。つまり、本実施形態では、商品である紙パック飲料11の拘束・解放を行う本発明の拘束・解放手段が、不図示の真空吸引ポンプと切り替えバルブ34によって構成されている。なお、本発明に適用可能な真空ポンプについては、真空コンプレッサを用いるものであってもよい。
【0019】
また、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30では、
図6においてより詳細に示されるように、8本の接触部33は、1つの商品である紙パック飲料11に対して2種の接触部33が配置されている。この2種類の接触部33は、
図6の紙面左側に配置された基準接触部33aと、
図6の紙面右側に配置された長尺接触部33bにより構成されている。つまり、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30では、2種の接触部33である基準接触部33aと長尺接触部33bがひとつの組として1本の紙パック飲料11の拘束と解放を行うように構成されており、これら基準接触部33aと長尺接触部33bによって構成される2種の接触部33の組が、4組配置されて構成されている。したがって、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30は、1度に1本から4本の紙パック飲料11の拘束と解放を行うことが可能となっている。
【0020】
基準接触部33aは、紙パック飲料11の上方側の位置を拘束するように配置された接触部33であり、長尺接触部33bよりも短尺に形成された部材である。一方、長尺接触部33bは、紙パック飲料11の下方側の位置を拘束するように配置された接触部33であり、基準接触部33aよりも長尺に形成された部材である。さらに、長尺接触部33bは、基準接触部33aの長さと同じ長さまで伸縮自在となっており、上述した本発明の拘束・解放手段を構成する不図示の真空吸引ポンプが稼働して真空吸引を行うと、長尺接触部33bは、紙パック飲料11の吸引開始時に長さを縮めることで、基準接触部33aの長さと同じ長さの状態となるように構成されている。つまり、2種類の接触部33である基準接触部33aと長尺接触部33bは、真空吸引を行って紙パック飲料11の拘束を行う際に、1の商品に対する拘束・解放の基準となる基準接触部33aの長さ位置で紙パック飲料11を拘束できるようになっているので、8本の接触部33によって拘束された紙パック飲料11は、水平状態で拘束を受けながら位置移動を行うこととなる。
【0021】
なお、基準接触部33aと長尺接触部33bの下方の先端部には、ゴム製の吸着パッドが配置されているので、真空吸引ポンプによる真空吸引力が紙パック飲料11に対して好適に作用して、8本の接触部33による紙パック飲料11の確実な吸着が実施可能となっている。
【0022】
以上、本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構30の具体的な構成を説明した。次に、
図7および
図8を参照図面に加えて、本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構30による紙パック飲料11の拘束方法と解放方法を説明する。ここで、
図7は、本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を拘束する際の手順を説明するための図である。また、
図8は、本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を解放する際の手順を説明するための図である。なお、
図7および
図8では、説明の便宜のために各分図において右側面が示されている。
【0023】
まず、
図7を用いて、本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構30が紙パック飲料11を拘束する際の手順について説明する。
図7中の分図(a)は、上述した本発明の位置移動機構としてのベース部21と水平直動ガイド22と垂直直動ガイド23によって、ピッキングポイントαの位置に拘束・解放ロボット機構30を配置した状態が示されている。そして、1の商品である紙パック飲料11を拘束するときには、
図7中の分図(a)で示すように、本発明の位置移動機構が拘束・解放ロボット機構30をピッキングポイントαの位置で当該紙パック飲料11に近づけるとともに、長尺接触部33bの下端部が紙パック飲料11に接触する位置まで拘束・解放ロボット機構30を下降させる。
【0024】
図7中の分図(a)で示す状態から不図示の真空ポンプを稼働させて真空吸引を開始すると、紙パック飲料11に対して最初に接触した長尺接触部33bが拘束のための真空吸引を開始するとともに、真空引きの作用によって長尺接触部33bの長さが徐々に縮まり、長尺接触部33bの長さが基準接触部33aの長さと同じ長さになる。そのため、
図7中の分図(b)で示すように、紙パック飲料11に対して基準接触部33aが接触して拘束のための真空吸引が開始されることとなる。さらに、真空吸引が継続されると、
図7中の分図(c)で示すように、基準接触部33aと長尺接触部33bの両方が同じ長さで紙パック飲料11の真空吸引に基づく拘束が維持されるので、紙パック飲料11は水平状態で拘束されて、初期位置γから持ち上げられることとなる。
【0025】
次に、
図8を用いて、本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構30が紙パック飲料11を解放する際の手順について説明する。
図8中の分図(a)は、拘束・解放ロボット機構30が、紙パック飲料11を拘束した
図7中の分図(c)状態から、上述した本発明の位置移動機構としてのベース部21と水平直動ガイド22と垂直直動ガイド23によって、リリースポイントβの位置に拘束・解放ロボット機構30を配置した状態が示されている。そして、1の商品である紙パック飲料11を解放するときには、
図8中の分図(a)で示すように、本発明の位置移動機構が拘束・解放ロボット機構30をリリースポイントβの位置に移動させるとともに、紙パック飲料11が通函41の底面である符号δの位置に近づくように拘束・解放ロボット機構30を下降させる。
【0026】
図8中の分図(a)で示す状態から不図示の真空ポンプの稼働を停止させて真空吸引を停止する、つまりエアーの排気を開始すると、紙パック飲料11を拘束していた基準接触部33aと長尺接触部33bのうち、長尺接触部33bの長さが伸びることで紙パック飲料11が斜めに配置されることとなる(
図8中の分図(b)の状態)。この状態からエアーの排気が進んで基準接触部33aと長尺接触部33bによる紙パック飲料11の拘束が解かれると、
図8中の分図(c)で示すように、紙パック飲料11は斜めの商品配置状態で基準接触部33aと長尺接触部33bによる解放が行われるので、通函41の底面である符号δの位置に対して紙パック飲料11の下方側の位置が先に落下し、続いて紙パック飲料11の上方側の位置が落下することとなる。つまり、本実施形態に係る拘束・解放ロボット機構30が紙パック飲料11を解放する際には、紙パック飲料11の下方側が先に通函41の底面に着地し、その後に紙パック飲料11の上方側が通函41の底面に着地するといった二段階での解放が行われるので、商品である紙パック飲料11に対する解放時の衝撃を極力抑えることができるという利点を得ることができる。その後、拘束・解放ロボット機構30は初期の姿勢に復帰して、一連のピッキング動作が完了する(
図8中の分図(d)の状態)。
【0027】
また、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30については、
図5および
図6で示すように、ロボット機構本体部32の下面側であって、基準接触部33aと長尺接触部33bの間の位置に、商品である紙パック飲料11の拘束状態を安定化させるためのスタビライザー35が設置されている。すなわち、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30が紙パック飲料11を拘束した
図7中の分図(c)状態から、本発明の位置移動機構が拘束・解放ロボット機構30をリリースポイントβの位置に移動させて
図8中の分図(a)で示す状態に移動させると、その移動速度によっては、例えば、
図9に示すように、拘束された紙パック飲料11が左右方向に揺れてしまい、落下の危険性も存在している。そこで、
図10で示すように、基準接触部33aと長尺接触部33bの間の位置にスタビライザー35が設置されていれば、外力を受けた紙パック飲料11が大きく揺れることを好適に防止することができるので、安定したピッキング作業を実施することが可能となる。なお、
図9は、スタビライザーが設置されていない拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を拘束した状態で移動した場合の例を示す図である。また、
図10は、本実施形態に係るスタビライザーを備えた拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を拘束した状態を示す図であり、図中の分図(a)が正面図を示し、分図(b)が右側面図を示している。
【0028】
また、
図11は、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30が紙パック飲料11をピックアップする場合の多様な形態例を示す図であるが、上述したように、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30は、8本の接触部33を備えているとともに、これら8本の接触部33は、2種類の接触部33である基準接触部33aと長尺接触部33bで構成される接触部33の組が、1本の紙パック飲料11を拘束・解放できる構成となっていた。つまり、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30は、基準接触部33aと長尺接触部33bで構成される接触部33の組が4組存在しているので、一度に4本の紙パック飲料11を拘束・解放できる構成を有するものであった。そのため、本実施形態の拘束・解放ロボット機構30では、
図11中の分図(a)~(d)で示すように、上述した本発明の位置移動機構としてのベース部21と水平直動ガイド22と垂直直動ガイド23によって、ピッキングポイントαに対する拘束・解放ロボット機構30の配置位置を制御することで、拘束・解放ロボット機構30は、1回の動作で拘束できる紙パック飲料11の本数を1本から4本までの任意の本数に変更することができる。
【0029】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。上述した本実施形態によれば、個人向けの食品や雑貨等の商品の宅配を行う専門業者で実施される商品のピッキング作業について、作業者の作業負荷を低減するための自動化・省力化を実現でき、かつ、従来技術に比べて導入コストを抑えることのできる商品ピッキング装置20と、この商品ピッキング装置20を備える商品ピッキングシステム100を提供することができる。ただし、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、複数の接触部33は、常に水平状態を維持していたが、例えば、整列配置された複数の紙パック飲料11をピッキングポイントαに供給する供給装置10が斜めに傾きを持ったものである場合には、複数の接触部33が、拘束・解放ロボット機構30において回動可能に設置されることが好ましい。つまり、拘束・解放ロボット機構30が有する複数の接触部33が、紙パック飲料11を解放したり拘束前のときには、ピッキングポイントαに整列配置された複数の紙パック飲料11の配置角度に沿った角度に傾動するとともに、紙パック飲料11を拘束したときには、紙パック飲料11の自重によって水平となるように回動する構成を備えることが好ましい。そのような本発明の変形形態例を、
図12~
図15を参照して説明する。
【0031】
ここで、
図12は、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構を示す外観斜視図である。
図13は、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構の動作状態を説明するための部分透視正面図であり、図中の分図(a)が紙パック飲料を拘束していない場合の状態を示しており、分図(b)が紙パック飲料を拘束した場合の状態を示している。
図14は、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を拘束する際の手順を説明するための図である。
図15は、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構が紙パック飲料を解放する際の手順を説明するための図である。なお、以下で行う本発明の変形形態例についての説明では、上述した実施形態と同一又は類似する部材について、同一符号を付して説明を省略することとする。
【0032】
図12および
図13で示すように、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構30では、垂直直動ガイド23への取付部となる上述したロボット機構取付部31が、第1取付部31aと第2取付部31bの2部材で構成されており、これら第1取付部31aと第2取付部31bは、回転ベアリング31cを介して回動可能に取り付けられている。
【0033】
また、
図13に示されるように、第1取付部31aと第2取付部31bの間には、弾性力を及ぼすバネ部材31dが配置されており、第2取付部31bに接続するロボット機構本体部32の下方に配置される接触部33に紙パック飲料11が拘束されていない状態では、第2取付部31bは第1取付部31aに対して僅かに回転して角度を持った状態となっている。つまり、接触部33に紙パック飲料11が拘束されていない状態の場合、第2取付部31b、ロボット機構本体部32および接触部33は、傾きを有して傾斜して配置されている。この傾斜角度は、
図14で示すように、供給装置10の傾き角度とほぼ同じ角度となっている。なお、整列配置された複数の紙パック飲料11をピッキングポイントαに供給する供給装置10が斜めに傾きを持ったものである場合には、紙パック飲料11の自重によって紙パック飲料11は常にピッキングポイントαに向けて移動しようとするので、作業者は供給装置10での紙パック飲料11の供給作業が容易化するという利点を得られる。
【0034】
さらに、
図13に示されるように、第1取付部31aと第2取付部31bの間には、バネ部材31dに加えてショックアブソーバ31eが設置されている。本発明の変形形態例では、第1取付部31aと第2取付部31bは、回転ベアリング31cを介して回動可能に取り付けられているが、両部材の間には弾性力を及ぼすバネ部材31dが配置されているので、このバネ部材31dだけでは、第2取付部31bに対してバネ部材31dが及ぼす弾性力を超える外力が加わると、第1取付部31aに対して第2取付部31bが不必要な揺れを発生する虞がある。そこで、第1取付部31aと第2取付部31bの間にショックアブソーバ31eを設置することで、不必要な揺れを早期に抑えることができるので、紙パック飲料11の拘束・解放動作を安定化させることが可能となる。
【0035】
以上、
図12および
図13を用いて、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構30について説明した。次に、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構30の動作手順について、
図14および
図15を用いて説明を行う。
【0036】
まず、
図14を用いて、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構30が紙パック飲料11を拘束する際の手順について説明する。
図14中の分図(a)は、上述した本発明の位置移動機構としてのベース部21と水平直動ガイド22と垂直直動ガイド23によって、ピッキングポイントαの位置に拘束・解放ロボット機構30を配置した状態が示されている。このとき、垂直直動ガイド23に固定された第1取付部31aに対して、第2取付部31b、ロボット機構本体部32および接触部33は、傾きを有して傾斜して配置されている。そして、1の商品である紙パック飲料11を拘束するときには、
図14中の分図(a)で示すように、本発明の位置移動機構が拘束・解放ロボット機構30をピッキングポイントαの位置で当該紙パック飲料11に近づけるとともに、長尺接触部33bの下端部が紙パック飲料11に接触する位置まで拘束・解放ロボット機構30を下降させる。
【0037】
図14中の分図(a)で示す状態から不図示の真空ポンプを稼働させて真空吸引を開始すると、紙パック飲料11に対して最初に接触した長尺接触部33bが拘束のための真空吸引を開始するとともに、真空引きの作用によって長尺接触部33bの長さが徐々に縮まり、長尺接触部33bの長さが基準接触部33aの長さと同じ長さになる。そのため、
図14中の分図(b)で示すように、紙パック飲料11に対して基準接触部33aと長尺接触部33bの両方が接触して拘束のための真空吸引が開始されることとなる。このとき、第2取付部31b、ロボット機構本体部32および接触部33の傾斜角度は、供給装置10の傾き角度とほぼ同じ角度となっているので、紙パック飲料11に対する真空吸引は安定して実施されることとなる。
【0038】
さらに、真空吸引が継続されると、
図14中の分図(c)で示すように、基準接触部33aと長尺接触部33bの両方が同じ長さで紙パック飲料11の真空吸引に基づく拘束が維持される。さらにこのとき、基準接触部33aと長尺接触部33bの両方に紙パック飲料11の自重が作用するので、第1取付部31aと第2取付部31bの間に設置されたバネ部材31dによる弾性力に抗する力が加わることとなって、第1取付部31aに対して第2取付部31bが回動し、紙パック飲料11は水平状態で拘束されることとなる。
【0039】
次に、
図15を用いて、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構30が紙パック飲料11を解放する際の手順について説明する。
図15中の分図(a)は、拘束・解放ロボット機構30が、紙パック飲料11を拘束した
図14中の分図(c)状態から、上述した本発明の位置移動機構としてのベース部21と水平直動ガイド22と垂直直動ガイド23によって、リリースポイントβの位置に拘束・解放ロボット機構30を配置した状態が示されている。そして、1の商品である紙パック飲料11を解放するときには、
図15中の分図(a)で示すように、本発明の位置移動機構が拘束・解放ロボット機構30をリリースポイントβの位置に移動させるとともに、紙パック飲料11が通函41の底面位置に近づくように拘束・解放ロボット機構30を下降させる。なお、このとき、紙パック飲料11は拘束・解放ロボット機構30によって水平状態で拘束された状態となっている。
【0040】
図15中の分図(a)で示す状態から不図示の真空ポンプの稼働を停止させて真空吸引を停止する、つまりエアーの排気を開始すると、紙パック飲料11を拘束していた基準接触部33aと長尺接触部33bのうち、長尺接触部33bの長さが伸びることで紙パック飲料11が前後方向で斜めに配置されることとなる(
図15中の分図(b)の状態)。この状態からエアーの排気が進んで基準接触部33aと長尺接触部33bによる紙パック飲料11の拘束が解かれると、紙パック飲料11は斜めの商品配置状態で基準接触部33aと長尺接触部33bによる解放が行われるので、通函41の底面位置に対して紙パック飲料11の下方側の位置が先に落下し、続いて紙パック飲料11の上方側の位置が落下することとなる。つまり、本発明の変形形態例に係る拘束・解放ロボット機構30が紙パック飲料11を解放する際には、紙パック飲料11の下方側が先に通函41の底面に着地し、その後に紙パック飲料11の上方側が通函41の底面に着地するといった二段階での解放が行われるので、商品である紙パック飲料11に対する解放時の衝撃を極力抑えることができるという利点を得ることができる。
【0041】
その後、拘束・解放ロボット機構30は初期の姿勢に復帰して、一連のピッキング動作が完了する。つまり、垂直直動ガイド23に固定された第1取付部31aに対して、第2取付部31b、ロボット機構本体部32および接触部33は、傾きを有して傾斜した状態に復帰する(
図15中の分図(c)の状態)。
【0042】
また、本発明の変形形態例の拘束・解放ロボット機構30では、
図11を用いて説明した本実施形態の場合と同様に、上述した本発明の位置移動機構としてのベース部21と水平直動ガイド22と垂直直動ガイド23によって、ピッキングポイントαに対する拘束・解放ロボット機構30の配置位置を制御することで、拘束・解放ロボット機構30は、1回の動作で拘束できる紙パック飲料11の本数を1本から4本までの任意の本数に変更することができる。
【0043】
以上、
図1~
図15を用いて、本実施形態および本発明の変形形態例の拘束・解放ロボット機構30についての説明を行った。なお、上述した実施形態では、本発明の商品を1,000mlの紙パック飲料11として想定し、ピッキングする場合の例を説明した。ただし、本発明に係る商品ピッキング装置および商品ピッキングシステムに適用可能な商品は、紙パック飲料11に限られるものではない。例えば、鶏卵用のパックや、プリンやゼリーなどのパック商品など、あらゆる形式の商品を本発明に適用可能である。
【0044】
また、上述した実施形態では、本発明に係る接触部が8本の接触部33によって構成されており、さらにその種類は基準接触部33aと長尺接触部33bという2種類が存在していた。しかし、本発明に係る接触部の総本数については任意に変更が可能であり、また、本発明に係る接触部の種類についても、例えば、1つの商品に用いられる接触部の種類が3つなど(例えば、短尺の接触部と中尺の接触部と長尺の接触部の組み合わせなど)、あらゆる形式を採用することが可能である。
【0045】
また、上述した実施形態および本発明の変形形態例に係る商品ピッキング装置は、個人向けの食品や雑貨等の商品の宅配を行う専門業者で実施される商品のピッキング作業について、作業者の作業負荷を低減するための自動化・省力化を実現でき、かつ、従来技術に比べて導入コストを抑えることのできる商品ピッキング装置を提供することを発明の目的として、整列配置された複数の商品のうちから1以上の商品を所定のピッキングポイントで拘束し、拘束された1以上の商品を所定のリリースポイントで解放することで、商品のピッキング作業を行う商品ピッキング装置であって、前記商品の拘束と解放を行う拘束・解放ロボット機構と、前記拘束・解放ロボット機構を前記ピッキングポイントと前記リリースポイントとの間で位置移動させる位置移動機構と、を備え、前記拘束・解放ロボット機構は、商品の拘束・解放を行う拘束・解放手段を備えた複数の接触部を備え、前記複数の接触部は、1の商品に対して少なくとも2種以上配置されるものであり、当該2種以上の接触部は、1の商品に対する拘束・解放の基準となる基準接触部と、前記基準接触部よりも長尺の長尺接触部を少なくとも備え、前記長尺接触部が、前記基準接触部の長さと同じ長さまで伸縮自在であることで、1の商品を拘束するときには、前記位置移動機構が前記拘束・解放ロボット機構を前記ピッキングポイントで当該商品に近づけるとともに、前記拘束・解放ロボット機構が前記拘束・解放手段の稼働を開始させることで、当該商品に対して最初に前記長尺接触部が接触して拘束を開始するとともに前記長尺接触部の長さが徐々に縮まり、前記長尺接触部の長さが前記基準接触部の長さと同じ長さになることで当該商品に対して前記基準接触部が接触して拘束を開始し、前記基準接触部と前記長尺接触部の両方が同じ長さで当該商品の拘束を維持することで、当該商品は水平状態で拘束され、1の商品を解放するときには、前記位置移動機構が前記拘束・解放ロボット機構を前記リリースポイントに位置移動した後に、前記拘束・解放ロボット機構が前記拘束・解放手段の稼働を停止させることで、当該商品を拘束していた前記基準接触部と前記長尺接触部のうち、前記長尺接触部の長さが伸びることで当該商品が斜めに配置され、斜めの商品配置状態で前記基準接触部と前記長尺接触部による当該商品の解放がなされることで、商品のピッキング作業が行われることを特徴とするものであった。
【0046】
しかしながら、本発明の商品ピッキング装置は、位置移動機構を省略して、拘束・解放ロボット機構のみを有する構成としても成立するものである。この場合の本発明に係る商品ピッキング装置は、整列配置された複数の商品のうちから1以上の商品を所定のピッキングポイントで拘束し、拘束された1以上の商品を所定のリリースポイントで解放することで、商品のピッキング作業を行う商品ピッキング装置であって、前記商品の拘束と解放を行う拘束・解放ロボット機構を備え、前記拘束・解放ロボット機構は、商品の拘束・解放を行う拘束・解放手段を備えた複数の接触部を備え、前記複数の接触部は、1の商品に対して少なくとも2種以上配置されるものであり、当該2種以上の接触部は、1の商品に対する拘束・解放の基準となる基準接触部と、前記基準接触部よりも長尺の長尺接触部を少なくとも備え、前記長尺接触部が、前記基準接触部の長さと同じ長さまで伸縮自在であることで、1の商品を解放するときには、当該商品を拘束していた斜めの商品配置状態で前記基準接触部と前記長尺接触部による当該商品の解放がなされることで、商品のピッキング作業が行われることを特徴とするものであればよい。
【0047】
さらに、本発明の商品ピッキング装置については、複数の接触部による商品の拘束時に商品が水平にならない状態とすることや、長尺接触部の長さが伸びたままの状態であることを含むものであってもよい。つまり、本発明の商品は、斜めの商品配置状態で拘束されたままピッキングされてもよい。
【0048】
またさらに、本発明の商品ピッキング装置については、長尺接触部が、基準接触部の長さと同じ長さまで伸縮自在であることは限定要素ではなく、長尺接触部は任意の長さに伸縮自在であればよい。例えば、上述した紙パック飲料11の場合には、複数の接触部33で拘束したときに水平になることが安定した移動においても好適であったが、他の形状を有する商品の場合には、必ずしも水平にして移動することが好ましいとは限らない。そこで、複数の接触部33のうち、長尺接触部33bが伸縮する可動範囲を商品の形状等に応じて任意に設定することで、ピッキング対象となる商品の形状に応じた安定したピッキング動作を実現することが可能となる。つまり、本発明の商品ピッキング装置については、複数の接触部による商品の拘束時に、商品が水平にならない場合も含むものである。
【0049】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0050】
100 商品ピッキングシステム、10 供給装置、11 紙パック飲料(商品)、20 商品ピッキング装置、21 ベース部(位置移動機構)、22 水平直動ガイド(位置移動機構)、23 垂直直動ガイド(位置移動機構)、30 拘束・解放ロボット機構、31 ロボット機構取付部、31a 第1取付部、31b 第2取付部、31c 回転ベアリング、31d バネ部材、31e ショックアブソーバ、32 ロボット機構本体部、33 接触部、33a 基準接触部、33b 長尺接触部、34 切り替えバルブ(拘束・解放手段)、35 スタビライザー、40 搬出装置、41 通函、α ピッキングポイント、β リリースポイント、γ 初期位置、δ 通函の底面位置。