(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044043
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】基板処理システム、基板処理装置、レシピ生成装置、基板処理方法およびレシピ生成方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20240326BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149356
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】城 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】石留 敬典
(72)【発明者】
【氏名】羅 勇
【テーマコード(参考)】
2G051
2H197
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA56
2G051AB02
2G051AC04
2G051AC11
2G051BB01
2G051CA04
2G051CB01
2G051DA01
2G051EA14
2G051EA16
2G051ED01
2G051ED04
2G051ED08
2H197DA01
2H197DB34
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
(57)【要約】
【課題】検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】予め定められた露光処理に付随する付随処理が施される基板に対して当該露光処理で用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子が対応付けられる。基板処理装置100は検査ユニット104を備える。検査ユニット104は、パイロットモードまたは検査モードで動作する。パイロットモードでは、複数の基板について検査レシピを生成するための複数のパイロットデータが生成される。複数のパイロットデータの各々には、当該パイロットデータが取得された基板のマスク識別子が対応付けられる。付随処理が行われる基板のマスク識別子に対応する検査レシピが生成されている場合、検査ユニット104は、検査モードで動作し、当該検査レシピに従って基板の欠陥の有無を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う処理ユニットと、
前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するマスク情報取得部と、
前記処理ユニットによる前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成された検査部と、
前記検査部が前記パイロットモードにある状態で前記基板について生成されたパイロットデータに、前記マスク情報取得部により取得されかつ当該基板に対応するマスク情報を対応付ける対応付け部と、
前記処理ユニットが前記基板を複数処理する場合に、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記複数の基板についてそれぞれ生成された複数のパイロットデータのうち共通するマスク情報が対応付けられた複数のパイロットデータに基づいて当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するレシピ生成部とを備え、
前記検査部は、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報取得部により取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが生成されている場合に前記検査モードで動作し、当該検査モードにある状態で、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定する、基板処理システム。
【請求項2】
前記検査部は、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報取得部により取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが生成されていない場合に前記パイロットモードで動作する、請求項1記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記処理ユニットが前記基板を複数処理する場合に、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で前記複数の基板についてそれぞれ生成された複数のパイロットデータを各パイロットデータに対応付けられたマスク情報に基づいて分類するデータ分類部をさらに備え、
前記レシピ生成部は、マスク情報ごとに分類された複数のパイロットデータを統計処理することにより、前記マスク情報に対応する検査レシピを生成する、請求項1または2記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記マスク情報は、前記マスク識別子に加えて前記露光処理が当該基板における何度目の露光処理であるのかを示す工程情報を含む、請求項1または2記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記工程情報は、一の基板に対して一のフォトマスクを用いた複数の露光処理が行われる場合に、当該一のフォトマスクの使用回数である、請求項1または2記載の基板処理システム。
【請求項6】
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う処理ユニットと、
前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するマスク情報取得部と、
前記処理ユニットによる前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成された検査部と、
前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記マスク情報取得部により前記基板に対して取得された前記マスク情報と、のデータセットを、レシピ生成装置に送信するデータセット送信部と、
前記データセットの送信後に、前記マスク情報に対応するように前記レシピ生成装置により生成された検査レシピを取得するレシピ取得部とを備え、
前記検査部は、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報取得部により取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが前記レシピ取得部により取得されている場合に前記検査モードで動作し、当該検査モードにある状態で、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定する、基板処理装置。
【請求項7】
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う基板処理装置とともに用いられるレシピ生成装置であって、
前記基板処理装置は、前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成され、
前記レシピ生成装置は、
前記基板処理装置が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報と、のデータセットを取得するデータセット取得部と、
前記パイロットデータ取得部により取得された複数のデータセットの複数のパイロットデータのうちマスク情報が共通する複数のパイロットデータに基づいて、当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するレシピ生成部と、
前記レシピ生成部により生成された検査レシピを当該検査レシピに対応するマスク情報とともに前記基板処理装置に送信するレシピ送信部とを備えた、レシピ生成装置。
【請求項8】
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行うステップと、
前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するステップと、
前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で、検査部を動作させるステップと、
前記検査部が前記パイロットモードにある状態で前記基板について生成されたパイロットデータに、前記マスク情報取得部により取得されかつ当該基板に対応するマスク情報を対応付けるステップと、
前記基板が複数処理される場合に、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記複数の基板についてそれぞれ生成された複数のパイロットデータのうち共通するマスク情報が対応付けられた複数のパイロットデータに基づいて当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するステップとを含み、
前記検査部を動作させるステップは、前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報を取得するステップにより取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが生成されている場合に、前記検査部を前記検査モードで動作させ、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定することを含む、基板処理方法。
【請求項9】
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行うステップと、
前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するステップと、
前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で、検査部を動作させるステップと、
前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記マスク情報を取得するステップにより前記基板に対して取得された前記マスク情報と、のデータセットを、レシピ生成装置に送信するステップと、
前記データセットの送信後に、前記マスク情報に対応して前記レシピ生成装置により生成された検査レシピを取得するステップとを含み、
前記検査部を動作させるステップは、前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報を取得するステップにより取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが取得されている場合に、前記検査部を前記検査モードで動作させ、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定することを含む、基板処理方法。
【請求項10】
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う基板処理装置を用いたレシピ生成方法であって、
前記基板処理装置は、前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成され、
前記レシピ生成方法は、
前記基板処理装置が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報と、のデータセットを取得するステップと、
前記データセットを取得するステップにより取得された複数のデータセットの複数のパイロットデータのうちマスク情報が共通する複数のパイロットデータに基づいて、当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するステップと、
前記検査レシピを生成するステップにより生成された検査レシピを当該検査レシピに対応するマスク情報とともに前記基板処理装置に送信するステップとを含む、レシピ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に所定の処理を行う基板処理システム、基板処理装置、基板の検査レシピを生成するレシピ生成装置、基板処理方法およびレシピ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、液晶ディスプレイ等の製造工程では、例えば半導体ウェハ、ガラス基板等の基板に対して各種処理が行われる。また、各種処理が行われた基板を検査するために検査装置が用いられる。検査装置は、例えば基板に処理を行う複数の処理ユニットとともに基板処理装置に設けられる。
【0003】
特許文献1に記載された検査装置においては、所定の処理が施された基板の一面の外観検査が行われる。具体的には、検査対象の基板の一面が撮像部によって撮像されることにより表面画像データ(以下、検査画像データと呼ぶ。)が取得される。一方、外観上の欠陥がないサンプル基板が予め用意され、そのサンプル基板の表面画像データ(以下、基準画像データと呼ぶ。)が取得される。検査画像データの各画素の階調値と基準画像データの各画素の階調値との比較に基づいて、検査対象の基板の欠陥が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-206452号公報
【特許文献2】特開2020-12665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような基板の外観検査において、複数の基板の処理中に各基板を撮像し、撮像結果に基づいて基板の検査条件を示す検査レシピを生成する方法が提案されている。例えば、特許文献2に記載された基板処理装置においては、パイロットモードで、処理ユニットにより処理される複数の基板が撮像され、撮像により得られる複数のパイロットデータに基づいて検査レシピが生成される。その後、検査モードで、生成された検査レシピに基づく基板の検査が行われる。
【0006】
一の基板を検査するために適切な検査レシピは、例えば当該一の基板の一面上に形成されるパターン(外観形状のパターン)に応じて定まる。そのため、一の基板の一面上に形成されるパターンに共通するパターンを有する他の基板には、一の基板に対応する検査レシピを用いることが可能である。したがって、一の基板に対応する検査レシピが生成されると、その後は、共通するパターンを有する複数の基板について共通する検査レシピを再利用することが可能となる。この場合、検査レシピを生成するための工程が省略され、複数の基板の検査の効率が向上する。
【0007】
しかしながら、使用者は、基板処理装置における基板の処理が開始されるごとに、過去に生成されたどの検査レシピが再利用可能であるのかを確認する必要がある。このような確認作業は煩雑である。
【0008】
本発明の目的は、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能な基板処理システム、基板処理装置、レシピ生成装置、基板処理方法およびレシピ生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に従う基板処理システムは、基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う処理ユニットと、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するマスク情報取得部と、前記処理ユニットによる前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成された検査部と、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で前記基板について生成されたパイロットデータに、前記マスク情報取得部により取得されかつ当該基板に対応するマスク情報を対応付ける対応付け部と、前記処理ユニットが前記基板を複数処理する場合に、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記複数の基板についてそれぞれ生成された複数のパイロットデータのうち共通するマスク情報が対応付けられた複数のパイロットデータに基づいて当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するレシピ生成部とを備え、前記検査部は、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報取得部により取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが生成されている場合に前記検査モードで動作し、当該検査モードにある状態で、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定する。
【0010】
本発明の他の局面に従う基板処理装置は、基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う処理ユニットと、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するマスク情報取得部と、前記処理ユニットによる前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成された検査部と、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記マスク情報取得部により前記基板に対して取得された前記マスク情報と、のデータセットを、レシピ生成装置に送信するデータセット送信部と、前記データセットの送信後に、前記マスク情報に対応するように前記レシピ生成装置により生成された検査レシピを取得するレシピ取得部とを備え、前記検査部は、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報取得部により取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが前記レシピ取得部により取得されている場合に前記検査モードで動作し、当該検査モードにある状態で、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定する。
【0011】
本発明のさらに他の局面に従うレシピ生成装置は、基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う基板処理装置とともに用いられるレシピ生成装置であって、前記基板処理装置は、前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成され、前記レシピ生成装置は、前記基板処理装置が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報と、のデータセットを取得するデータセット取得部と、前記パイロットデータ取得部により取得された複数のデータセットの複数のパイロットデータのうちマスク情報が共通する複数のパイロットデータに基づいて、当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するレシピ生成部と、前記レシピ生成部により生成された検査レシピを当該検査レシピに対応するマスク情報とともに前記基板処理装置に送信するレシピ送信部とを備える。
【0012】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理方法は、基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行うステップと、前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するステップと、前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で、検査部を動作させるステップと、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で前記基板について生成されたパイロットデータに、前記マスク情報取得部により取得されかつ当該基板に対応するマスク情報を対応付けるステップと、前記基板が複数処理される場合に、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記複数の基板についてそれぞれ生成された複数のパイロットデータのうち共通するマスク情報が対応付けられた複数のパイロットデータに基づいて当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するステップとを含み、前記検査部を動作させるステップは、前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報を取得するステップにより取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが生成されている場合に、前記検査部を前記検査モードで動作させ、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定することを含む。
【0013】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理方法は、基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行うステップと、前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するステップと、前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で、検査部を動作させるステップと、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記マスク情報を取得するステップにより前記基板に対して取得された前記マスク情報と、のデータセットを、レシピ生成装置に送信するステップと、前記データセットの送信後に、前記マスク情報に対応して前記レシピ生成装置により生成された検査レシピを取得するステップとを含み、前記検査部を動作させるステップは、前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報を取得するステップにより取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが取得されている場合に、前記検査部を前記検査モードで動作させ、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定することを含む。
【0014】
本発明のさらに他の局面に従うレシピ生成方法は、基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う基板処理装置を用いたレシピ生成方法であって、前記基板処理装置は、前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成され、前記レシピ生成方法は、前記基板処理装置が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報と、のデータセットを取得するステップと、前記データセットを取得するステップにより取得された複数のデータセットの複数のパイロットデータのうちマスク情報が共通する複数のパイロットデータに基づいて、当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するステップと、前記検査レシピを生成するステップにより生成された検査レシピを当該検査レシピに対応するマスク情報とともに前記基板処理装置に送信するステップとを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の検査ユニットの構成を説明するための図である。
【
図3】
図1の検査ユニットの構成を説明するための図である。
【
図4】
図1の検査ユニットおよびレシピ生成装置の機能的な構成を説明するためのブロック図である。
【
図5】
図4の制御部において行われる基板検査処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図4のレシピ生成装置において行われるレシピ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置、レシピ生成装置、基板処理方法およびレシピ生成方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0018】
1.基板処理システムの構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、基板処理システム500は、1または複数(本例では2つ)の基板処理装置100、レシピ生成装置200および1または複数(本例では1つ)の管理装置300を含む。2つの基板処理装置100、レシピ生成装置200および管理装置300は、互いに通信可能にネットワーク510に接続されている。
【0019】
各基板処理装置100は、制御装置101、1または複数の処理ユニット102、1または複数の搬送装置(搬送ロボット)103および1または複数の検査ユニット104を含む。なお、
図1では、基板処理装置100の構成として、1つの処理ユニット102、1つの搬送装置103および1つの検査ユニット104が示される。本実施の形態に係る基板処理装置100は、当該基板処理装置100に対応する露光装置900とともに用いられる。
【0020】
1または複数の処理ユニット102は、基板に対して、処理液の塗布処理、温度調整処理または現像処理等の所定の処理を行う。より具体的には、本実施の形態に係る1または複数の処理ユニット102は、塗布処理ユニット、温度調整ユニットおよび塗布処理ユニットを含む。塗布処理ユニットは、基板の一面にレジスト膜を形成するユニットである。本実施の形態においては、基板の一面とは、基板の主面(回路形成面)を意味する。温度調整ユニットは、基板を加熱または冷却することにより基板の温度を調整するユニットである。現像処理ユニットは、レジスト膜が形成されかつ当該レジスト膜に対する露光処理後の基板に現像処理を行うユニットである。
【0021】
この場合、基板処理装置100においては、例えば、塗布処理ユニットにより、搬入された未処理の基板にレジスト膜が形成される。レジスト膜が形成された基板は、
図1に白抜きの矢印a1で示すように、露光装置900に渡される。露光装置900では、基板に露光処理が行われる。露光処理後の基板は、
図1に白抜きの矢印a2で示すように、露光装置900から基板処理装置100に戻される。基板処理装置100に戻された基板には、現像処理ユニットにより現像処理が行われる。
【0022】
搬送装置103は、1または複数の処理ユニット102と、1または複数の検査ユニット104と、基板処理装置100の外部装置(露光装置900等)との間で基板を搬送する。
【0023】
検査ユニット104は、パイロットモードおよび検査モードで動作可能に構成される。検査モードは、基板の検査条件を示す検査レシピに基づいて、1または複数の処理ユニット102による処理後(本例では現像処理後)の基板の外観検査を行う動作モードである。基板の外観検査では、基板の外観上の欠陥の有無が判定される。パイロットモードは、検査レシピを生成する動作モードである。パイロットモードにある検査ユニット104は、基板を撮像することにより得られる各種データを、検査レシピ(検査条件)を生成するためのパイロットデータとして取得する。検査ユニット104の構成および動作の詳細は後述する。
【0024】
制御装置101は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、当該制御装置101を含む基板処理装置100の各構成要素(102~104)の動作を制御する。
【0025】
制御装置101には、後述する管理装置300から基板処理指令およびマスク情報が与えられる。基板処理指令は、例えば1ロットの複数の基板に対して一連の処理を行うべき開始指令であり、互いに対応する基板処理装置100および露光装置900に与えられる。
【0026】
露光装置900においては、例えば1ロットの複数の基板ごとに、予め定められたパターンのフォトマスクを用いて露光処理が行われる。マスク情報は、基板ごとに定められ、当該基板の露光処理で用いられるべきフォトマスクを他の種類のフォトマスクから識別するためのマスク識別子を含む。本実施の形態では、マスク情報は、マスク識別子である。
【0027】
制御装置101に与えられる基板処理指令およびマスク情報は、さらに、1または複数の処理ユニット102、1または複数の搬送装置103および1または複数の検査ユニット104にそれぞれ与えられる。
【0028】
レシピ生成装置200は、例えば1または複数のサーバで構成され、CPUおよびメモリを含む。レシピ生成装置200のメモリには、システムプログラムおよび後述するレシピ生成プログラムが記憶されている。レシピ生成装置200は、パイロットモードにある検査ユニット104により取得されたパイロットデータを蓄積する。また、レシピ生成装置200は、蓄積されたパイロットデータに基づいて検査レシピを生成し、生成された検査レシピをパイロットデータを取得した検査ユニット104に与える。レシピ生成装置200の構成および動作の詳細については後述する。
【0029】
管理装置300は、例えばパーソナルコンピュータであり、CPUおよびメモリを含むとともに表示部310および操作部320を備える。管理装置300は、使用者による操作部320の操作に基づいて、互いに対応する基板処理装置100および露光装置900の各々に、例えば基板処理の開始を指令する。すなわち、管理装置300は、基板処理装置100および露光装置900に基板処理指令およびマスク情報を与える。
【0030】
2.検査ユニット104の構成
図2および
図3は、
図1の検査ユニット104の構成を説明するための図である。
図2に示すように、検査ユニット104は、主として、制御部110、検査部120およびレシピ記憶部130から構成される。
図2および
図3では、制御部110およびレシピ記憶部130がブロックにより示される。また、
図2では、検査部120の外観斜視図が示される。
図3では、検査部120の内部構成を示す模式的側面図が示される。検査部120は、筐体10、投光部20、反射部30、撮像部40、基板保持装置50、移動部60およびノッチ検出部70を含む。
【0031】
まず、検査部120について説明する。投光部20、反射部30、撮像部40、基板保持装置50、移動部60およびノッチ検出部70は、筐体10内に収容されている。筐体10の側部には基板Wを搬送するためのスリット状の開口部16が形成されている。
【0032】
投光部20は、例えば1または複数の光源を含み、基板Wの直径よりも大きい帯状の光を斜め下方に出射する。反射部30は、例えばミラーを含む。撮像部40は、複数の画素が直線状に並ぶように配置された撮像素子、ならびに1または複数の集光レンズを含む。
【0033】
図3に示すように、基板保持装置50は、例えばスピンチャックであり、駆動装置51および回転保持部52を含む。駆動装置51は、例えば電動モータであり、回転軸51aを有する。回転保持部52は、駆動装置51の回転軸51aの先端に取り付けられ、検査対象の基板Wを保持した状態で鉛直軸の周りで回転駆動される。
【0034】
移動部60は、一対のガイド部材61(
図2)および移動保持部62を含む。一対のガイド部材61は、互いに隣り合うようにかつ互いに平行に延びるように設けられる。一対のガイド部材61が延びる方向と、撮像部40の複数の画素が並ぶ方向とは直交する。移動保持部62は、基板保持装置50を保持しつつ一対のガイド部材61に沿って移動可能に構成される。基板保持装置50が基板Wを保持する状態で移動保持部62が一対のガイド部材61に沿って移動することにより、基板Wが投光部20および反射部30の下方を通過する。
【0035】
ノッチ検出部70は、例えば投光素子および受光素子を含む反射型光電センサであり、検査対象の基板Wが基板保持装置50により回転される状態で、基板Wの外周部に向けて光を出射するとともに基板Wからの反射光を受光する。ノッチ検出部70は、基板Wからの反射光の受光量に基づいて基板Wのノッチを検出する。ノッチ検出部70として透過型光電センサが用いられてもよい。
【0036】
制御部110は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、投光部20、撮像部40、基板保持装置50、移動部60およびノッチ検出部70を制御する。制御部110のメモリまたはマイクロコンピュータには、後述する基板検査プログラムが記憶されている。レシピ記憶部130は、ハードディスクまたは不揮発性半導体メモリ等の記憶媒体を含み、上記のレシピ生成装置200により生成された検査レシピを記憶する。制御部110およびレシピ記憶部130の詳細は後述する。
【0037】
検査ユニット104は、パイロットモードおよび検査モードの各モードで基板Wの撮像動作を行う。検査モードにおける基板Wの撮像動作について説明する。検査対象の基板Wは、開口部16を通して筐体10内に搬入され、基板保持装置50により保持される。続いて、基板保持装置50により基板Wが回転されつつノッチ検出部70により基板Wの周縁部に光が出射され、その反射光がノッチ検出部70により受光される。これにより、基板Wのノッチが検出され、基板Wの向きが判定される。その後、基板保持装置50により基板Wのノッチが一定の方向を向くように基板Wの回転位置が調整される。
【0038】
次に、投光部20から斜め下方に帯状の光が出射されつつ移動部60により基板Wが投光部20の下方を通るように移動される。投光部20からの光の照射範囲は基板Wの直径よりも大きい。これにより、基板Wの一面の全体に投光部20からの光が順次照射される。基板Wから反射される光は反射部30によりさらに反射されて撮像部40に導かれる。撮像部40の撮像素子は、基板Wの一面から反射される光を所定のサンプリング周期で受光することにより、基板Wの一面上の複数の部分を順次撮像する。撮像素子を構成する各画素は受光量に応じた値を示す画素データを出力する。撮像部40から出力される複数の画素データに基づいて、基板Wの一面上の全体の画像を表す画像データ(以下、検査画像データと呼ぶ。)が生成される。その後、移動部60により基板Wが搬入時の位置に戻され、基板Wが開口部16を通して筐体10の外部に搬出される。
【0039】
パイロットモードにおける基板Wの撮像動作は、以下に示す点を除いて検査モード時における基板Wの撮像動作と同じである。パイロットモードでは、筐体10内に基板Wが搬入され、基板Wの回転位置が調整された後、投光部20から出射される光の明るさ(光の出力)が調整される。
【0040】
具体的には、基板Wの中心を通る直線上の領域に投光部20から出射される帯状の光が入射するように、移動部60により基板Wが投光部20の下方まで移動される。この状態で、投光部20から基板Wに光が照射され、基板Wの一面で反射される光が撮像部40の撮像素子により受光される。
【0041】
そこで、撮像素子から出力される複数の画素データに基づく値(例えば複数の画素データの値の合計値または平均値等)が予め定められた目標値に近づくように、投光部20の光の明るさが調整される。この動作は、基板Wを撮像する際に、適切な画素値を示す画像データを得るため、すなわち撮像により得られる基板Wの画像の明るさを適切な明るさに調整するために行われる。
【0042】
その後、投光部20から調整された明るさの光が出射されつつ移動部60により基板Wが投光部20の下方を通るように移動される。それにより、基板Wの一面の全体に投光部20からの光が順次照射され、基板Wの一面上の全体の画像を表す画像データ(以下、パイロット画像データと呼ぶ。)が生成される。
【0043】
パイロットモードにおける基板Wの撮像動作時に、基板Wごとに調整される投光部20の光の明るさおよび基板Wごとに生成されるパイロット画像データは、上記のパイロットデータの例である。
【0044】
3.検査ユニット104における基板Wの検査の概略
露光処理後の基板Wの一面には、当該露光処理で用いられたフォトマスクに対応するパターンが現れる。そのため、複数の基板Wに共通のフォトマスクを用いた露光処理が行われる場合、露光処理後の複数の基板Wの一面を検査する際には、共通の検査レシピを用いることができる。この点を考慮して、本実施の形態に係る基板処理装置100においては、検査ユニット104では、以下のようにして基板Wの検査が行われる。
【0045】
基板処理装置100の稼働時において、例えば、検査ユニット104がパイロットモードにある状態で、マスク情報が共通する複数の基板Wの撮像が行われる。それにより、一のマスク情報に対応する複数のパイロットデータが取得される。そこで、レシピ生成装置200は、検査ユニット104で取得された複数の複数のパイロットデータに基づいて検査レシピを生成する。このとき、当該検査レシピを生成するために用いられた複数の基板Wの一のマスク情報が、当該検査レシピに固有のマスク情報として対応付けられる。
【0046】
検査ユニット104のレシピ記憶部130には、レシピ生成装置200により生成された検査レシピがマスク情報と対応付けられた状態で記憶される。検査ユニット104は、処理対象となる基板Wのマスク情報(以下、対象マスク情報と呼ぶ。)に対応する検査レシピがレシピ記憶部130に記憶されている場合に、検査モードで動作する。それにより、対象マスク情報に対応する検査レシピを用いて基板Wの検査が行われる。
【0047】
一方、検査ユニット104は、対象マスク情報に対応する検査レシピがレシピ記憶部130に記憶されていない場合に、上記のように、パイロットモードで動作する。それにより、検査ユニット104で取得される複数のパイロットデータに基づいて、対象マスク情報に対応する新たな検査レシピが生成される。
【0048】
4.検査ユニット104およびレシピ生成装置200の機能的な構成
図4は、
図1の検査ユニット104およびレシピ生成装置200の機能的な構成を説明するためのブロック図である。
図4に示すように、検査ユニット104の制御部110は、機能部として、マスク情報取得部111、動作モード設定部112、パイロットデータ取得部113、対応付け部114、データセット送信部115、欠陥判定部116およびレシピ取得部117を含む。これらの機能部は、制御部110のCPUがメモリに記憶された基板検査プログラムを実行することにより実現される。あるいは、制御部110のマイクロコンピュータが当該マイクロコンピュータに記憶された基板検査プログラムを実行することにより実現される。制御部110における上記の構成の一部または全ては、電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0049】
なお、基板検査プログラムは、制御部110のメモリまたはマイクロコンピュータに代えて、コンピュータが読み取り可能なCD(コンパクト ディスク)-ROM等の記憶媒体109に記憶されていてもよい。あるいは、基板検査プログラムは、記憶媒体109に格納された形態で提供され、制御部110にインストールされてもよい。
【0050】
マスク情報取得部111は、管理装置300から制御装置101に基板処理指令およびマスク情報が与えられると、そのマスク情報を対象マスク情報として取得する。これにより、検査ユニット104において、例えば現時点以降で処理される基板Wの露光処理に用いられるフォトマスクが把握される。
【0051】
上記のように、レシピ記憶部130には、レシピ生成装置200により生成された検査レシピがマスク情報と対応付けられた状態で記憶される。動作モード設定部112は、レシピ記憶部130に対象マスク情報に対応する検査レシピが記憶されているか否かを判定する。
【0052】
そこで、動作モード設定部112は、レシピ記憶部130に対象マスク情報に対応する検査レシピが記憶されていない場合に、検査部120がパイロットモードで動作するように検査部120の動作を制御する。すなわち、動作モード設定部112は、検査ユニット104の動作モードをパイロットモードに設定する。なお、検査ユニット104がパイロットモードにあるときの検査部120の各部の動作条件は、制御部110の図示しないメモリまたはマイクロコンピュータに記憶されているものとする。
【0053】
一方、動作モード設定部112は、レシピ記憶部130に対象マスク情報に対応する検査レシピが記憶されている場合に、検査部120が当該検査レシピに従って検査モードで動作するように検査部120の動作を制御する。すなわち、動作モード設定部112は、検査ユニット104の動作モードを検査モードに設定する。
【0054】
パイロットデータ取得部113は、検査ユニット104がパイロットモードにあるときに、検査部120から出力される各種データをパイロットデータとして取得する。上記のように、パイロットデータには、パイロット画像データが含まれる。
【0055】
対応付け部114は、パイロットデータ取得部113により取得されたパイロットデータにマスク情報取得部111により取得された対象マスク情報を対応付ける。また、データセット送信部115は、対応付け部114により互いに対応付けられたパイロットデータおよび対象マスク情報を含むデータセットを、レシピ生成装置200に送信する。
【0056】
欠陥判定部116は、検査ユニット104が検査モードにあるときに、検査部120から出力される検査画像データと対象マスク情報に対応する検査レシピとに基づいて、基板Wにおける欠陥の有無を判定する。
【0057】
レシピ取得部117は、レシピ生成装置200から新たな検査レシピとその検査レシピに対応するマスク情報が送信された場合に、当該新たな検査レシピをマスク情報とともに取得する。また、レシピ取得部117は、取得した新たな検査レシピを、取得したマスク情報に対応付けてレシピ記憶部130に記憶させる。
【0058】
レシピ生成装置200は、機能部として、データセット取得部211、データ分類部212、データ蓄積部213、レシピ生成部214およびレシピ送信部215を含む。これらの機能部は、レシピ生成装置200のCPUがメモリに記憶されたレシピ生成プログラムを実行することにより実現される。レシピ生成装置200における上記の構成の一部または全ては電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0059】
なお、レシピ生成プログラムは、レシピ生成装置200のメモリに代えて、コンピュータが読み取り可能なCD-ROM等の記憶媒体209に記憶されていてもよい。あるいは、レシピ生成プログラムは、記憶媒体209に格納された形態で提供され、レシピ生成装置200にインストールされてもよい。
【0060】
データセット取得部211は、検査ユニット104のデータセット送信部115からデータセットが送信された場合に、当該データセットを取得する。データ分類部212は、データセット取得部211により取得された複数のデータセットに含まれる複数のパイロットデータの各々を、当該パイロットデータに対応付けられたマスク情報に基づいて分類する。
【0061】
すなわち、データ分類部212は、複数種類のマスク情報を含む複数のデータセットが取得される場合に、共通のマスク情報が対応付けられた複数のパイロットデータのグループが形成されるように、パイロットデータの分類を行う。
【0062】
データ蓄積部213は、マスク情報ごとに分類された複数のパイロットデータを蓄積する。レシピ生成部214は、データ蓄積部213において、マスク情報に基づいて分類された複数のパイロットデータに基づいて、各マスク情報に対応する検査レシピを生成する。
【0063】
ここで、レシピ生成装置200においては、予め定められたレシピ生成条件が、レシピ生成プログラムの一部またはレシピ生成プログラムに付随する情報として、メモリ内に記憶されている。レシピ生成条件は、対応するマスク情報が共通する複数のパイロットデータから新たな検査レシピを生成するための条件である。
【0064】
レシピ生成条件には、複数のパイロットデータから新たな検査レシピを生成するための複数のパイロットデータの蓄積条件が含まれる。したがって、本実施の形態に係るレシピ生成部214は、データ蓄積部213に蓄積された複数のパイロットデータが蓄積条件を満たしたか否かに応じて検査レシピの生成を開始する。
【0065】
蓄積条件は、検査レシピを生成するために必要なパイロット画像データの数を含んでもよい。この場合、レシピ生成部214は、一のマスク情報に対応する複数のパイロット画像データの数が蓄積条件で定められた数を超えた場合に、一のマスク情報に対応する検査レシピの生成を開始する。一方、レシピ生成部214は、一のマスク情報に対応する複数のパイロット画像データの数が蓄積条件で定められた数を超えない場合に、一のマスク情報に対応する検査レシピの生成を開始しない。
【0066】
また、蓄積条件は、上記のパイロット画像データの数に加えて、検査レシピを生成するために必要なパイロット画像データの取得期間を含んでもよい。この場合、レシピ生成部214は、一のマスク情報に対応する複数のパイロット画像データの数が蓄積条件で定められた数を超えかつそれらの取得日時が予め定められた取得期間にある場合にのみ、一のマスク情報に対応する検査レシピの生成を開始する。一方、レシピ生成部214は、一のマスク情報に対応する複数のパイロット画像データの数が蓄積条件で定められた数を超えない場合に、一のマスク情報に対応する検査レシピの生成を開始しない。また、レシピ生成部214は、一のマスク情報に対応する複数のパイロット画像データの取得日時が予め定められた取得期間にない場合に、一のマスク情報に対応する検査レシピの生成を開始しない。
【0067】
また、レシピ生成条件には、複数のパイロットデータから新たな検査レシピを生成する際に、複数のパイロットデータについて行われるべき統計処理の方法が含まれる。したがって、本実施の形態に係るレシピ生成部214は、マスク情報ごとに分類された複数のパイロットデータについて、少なくとも統計処理を行うことにより検査レシピを生成する。
【0068】
統計処理は、一の検査レシピを生成するために、蓄積された複数のパイロットデータから適切なパイロットデータを抽出する処理を含んでもよい。ここで、蓄積された複数のパイロットデータが正規分布に従うものとし、それらの複数のパイロットデータの平均をμとし、複数のパイロットデータの標準偏差をσとする。この場合、抽出されるべきパイロットデータの区間は、例えば「μ-σからμ+σまでの1σ区間」、「μ-2σからμ+2σまでの2σ区間」または「μ-3σからμ+3σまでの3σ区間」のいずれかで規定されてもよい。
【0069】
また、統計処理には、複数のパイロット画像データから欠陥の有無を検出するための基準となる画像データ(以下、基準画像データ)を検査レシピとして生成するための演算処理を含んでもよい。この場合、演算処理は、例えば基準画像データの各画素の値を定めるために、例えば複数のパイロット画像データの互いに対応する各画素の値を用いて代表値(平均値、最大値および最小値等)を算出することであってもよい。
【0070】
レシピ送信部215は、レシピ生成部214により生成された新たな検査レシピを、当該検査レシピに対応するマスク情報とともに検査ユニット104のレシピ取得部117に送信する。
【0071】
5.基板検査処理
図5は、
図4の制御部110において行われる基板検査処理の一例を示すフローチャートである。基板検査処理は、制御部110に記憶された基板処理プログラムが実行されることにより、基板処理装置100がオン状態にある間、所定周期で繰り返し行われる。
【0072】
まず、
図4のマスク情報取得部111は、管理装置300から制御装置101にマスク情報が与えられたか否かを判定する(ステップS101)。制御装置101にマスク情報が与えられない場合、マスク情報取得部111は、制御装置101にマスク情報が与えられるまでステップS101の処理を繰り返す。一方、マスク情報取得部111は、制御装置101にマスク情報が与えられると、そのマスク情報を対象マスク情報として取得する(ステップS102)。
【0073】
次に、
図4の動作モード設定部112は、取得された対象マスク情報に対応する検査レシピが
図4のレシピ記憶部130に記憶されているか否かを判定する(ステップS103)。対象マスク情報に対応する検査レシピがレシピ記憶部130に記憶されていない場合、
図4の動作モード設定部112は、検査ユニット104の動作モードをパイロットモードに設定する(ステップS104)。
【0074】
次に、
図4のパイロットデータ取得部113は、
図4の検査部120から出力される各種データをパイロットデータとして取得する(ステップS105)。また、
図4の対応付け部114は、取得されたパイロットデータにマスク情報取得部111により取得された対象マスク情報を対応付ける(ステップS106)。さらに、
図4のデータセット送信部115は、対応付け部114により互いに対応付けられたパイロットデータおよび対象マスク情報を含むデータセットを、レシピ生成装置200に送信する(ステップS107)。
【0075】
その後、レシピ取得部117は、レシピ生成装置200からマスク情報が対応付けられた検査レシピを受信したか否かを判定する(ステップS108)。検査レシピを受信しない場合、レシピ取得部117は、基板検査処理を終了する。一方、検査レシピを受信した場合、レシピ取得部117は、マスク情報が対応付けられた検査レシピをレシピ記憶部130に記憶させ(ステップS109)、基板検査処理を終了する。
【0076】
上記のステップS104において、対象マスク情報に対応する検査レシピがレシピ記憶部130に記憶されている場合、動作モード設定部112は、検査ユニット104の動作モードを検査モードに設定する(ステップS111)。
【0077】
次に、
図4の欠陥判定部116は、検査部120から出力される検査画像データと対象マスク情報に対応する検査レシピとに基づいて、基板Wにおける欠陥の有無を判定し(ステップS122)、基板検査処理を終了する。なお、ステップS122において、欠陥判定部116は、欠陥の有無の判定結果を、予め定められた記憶装置に記憶させてもよいし、表示装置または音声出力装置で使用者に提示できるように出力してもよい。
【0078】
6.レシピ生成処理
図6は、
図4のレシピ生成装置200において行われるレシピ生成処理の一例を示すフローチャートである。レシピ生成処理は、レシピ生成装置200に記憶されたレシピ生成プログラムが実行されることにより、レシピ生成装置200がオン状態にある間、所定周期で繰り返し行われる。
【0079】
まず、
図4のデータセット取得部211は、基板処理装置100のデータセット送信部115からデータセットが与えられたか否かを判定する(ステップS201)。データセットが与えられない場合、データセット取得部211は、データセットが与えられるまでステップS201の処理を繰り返す。一方、データセット取得部211は、データセットが与えられると、そのデータセットを取得する(ステップS202)。
【0080】
次に、
図4のデータ分類部212は、データセットに含まれるマスク情報に基づいてパイロットデータを分類し(ステップS203)、
図4のデータ蓄積部213に蓄積する(ステップS204)。
【0081】
次に、
図4のレシピ生成部214は、データ蓄積部213に蓄積された複数のパイロットデータが一のマスク情報に対応する検査レシピを生成するための蓄積条件を満たしたか否かを判定する(ステップS205)。蓄積条件が満足されない場合、レシピ生成部214は、検査レシピ生成処理を終了する。一方、蓄積条件が満足された場合、レシピ生成部214は、一のマスク情報に対応する複数のパイロットデータについて予め定められた統計処理を行う(ステップS206)。
【0082】
次に、レシピ生成部214は、統計処理により得られる各種データに基づいて一のマスク情報に対応する検査レシピを生成する(ステップS207)。また、
図4のレシピ送信部215は、生成された新たな検査レシピを、当該検査レシピに対応するマスク情報とともに検査ユニット104のレシピ取得部117に送信する(ステップS208)。その後、検査レシピ生成処理が終了する。
【0083】
7.効果
(a)上記の基板処理装置100においては、処理対象となる基板Wの対象マスク情報に対応する検査レシピがレシピ記憶部130に記憶されている場合に、検査ユニット104が検査モードで動作する。それにより、処理対象となる基板Wに対応する検査レシピに従って基板Wの欠陥の有無が判定される。このように、基板Wの検査に適用可能な検査レシピが生成されている場合には、パイロットデータを収集することなく基板Wの検査が行われる。
【0084】
一方、処理対象となる基板Wの対象マスク情報に対応する検査レシピがレシピ記憶部130に記憶されていない場合に、検査ユニット104がパイロットモードで動作する。それにより、処理対象となる基板Wの検査レシピを生成するためのパイロットデータが収集される。
【0085】
そのため、使用者は、基板処理装置100に処理対象となる基板Wが搬入されるごとに、過去に生成された検査レシピが再利用可能であるかどうかを確認する必要がない。したがって、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板Wを効率よく検査することが可能になる。
【0086】
(b)レシピ生成装置200においては、複数のマスク情報にそれぞれ対応する複数のパイロットデータが、マスク情報ごとに分類され、データ蓄積部213に蓄積される。また、各マスク情報に分類された複数のパイロットデータが統計処理されることにより当該マスク情報に対応する検査レシピが生成される。これにより、マスク情報ごとに信頼性の高い検査レシピが生成される。その結果、基板Wの検査の信頼性が向上する。
【0087】
8.他の実施の形態
(a)上記実施の形態で用いられるマスク情報はマスク識別子であるが、本発明はこれに限定されない。通常、基板Wの一面上に回路を形成する際には、当該回路を形成するための複数の層が積層形成される。そのため、基板Wの一面の外観は、層が形成されるごとに変化する。例えば、積層形成される複数の層のうち一の層が一のフォトマスクを用いて形成された後、当該一の層上に積層される他の層も一のフォトマスクを用いて形成される場合を想定する。この場合、一の層が平坦な面上に形成されていても、他の層は一の層のパターンを含む凹凸面上に形成される。そのため、他の層が形成された時点の基板Wの一面の外観は、一の層が形成された時点の基板Wの一面の外観から変化する。
【0088】
この点を考慮して、マスク情報は、マスク識別子に加えて、基板Wの処理工程に関する情報(以下、工程情報と呼ぶ。)を含んでもよい。この場合、工程情報は、処理対象となる基板Wにおける何度目の露光処理であるのかを示す情報であってもよい。あるいは、工程情報は、処理対象となる基板Wに一のフォトマスクを用いた複数の露光処理が行われる場合に、当該一のフォトマスクの使用回数を示す情報であってもよい。
【0089】
これらの場合、検査ユニット104により取得されるパイロットデータが、マスク識別子と工程情報との組み合わせごとに分類される。マスク識別子と工程情報との組み合わせに対応する検査レシピが生成される。それにより、基板Wの検査に、より適切な検査レシピを用いることが可能になる。したがって、基板Wの検査の信頼性が向上する。
【0090】
(b)上記実施の形態に係る基板処理システム500においては、複数の基板処理装置100および複数の露光装置900がそれぞれ個別にネットワーク510に接続されているが、本発明はこれに限定されない。互いに対応する基板処理装置100および露光装置900は、例えば基板処理装置100および露光装置900の相互間の処理を制御するための共通の中継装置を介してネットワーク510に接続されていてもよい。
【0091】
(c)上記実施の形態に係る検査ユニット104においては、レシピ記憶部130に、マスク情報が対応付けられた1または複数の検査レシピが記憶される。それにより、処理対象となる基板Wのマスク情報に対応する検査レシピがレシピ記憶部130に記憶されているか否かに基づいて、過去に生成された検査レシピを使用するか否かが判定される。本発明は、この例に限定されない。
【0092】
例えば、レシピ生成部214による検査レシピの生成時に、生成される検査レシピに、マスク情報に加えて、当該検査レシピを使用可能な有効期限を対応付ける。この場合、動作モード設定部112は、管理装置300からマスク情報が送信される場合に、レシピ記憶部130に対象マスク情報に対応する検査レシピが記憶されているか否かを判定する。また、動作モード設定部112は、対象マスク情報に対応する検査レシピが記憶されている場合に、現在の日時がその検査レシピに対応付けられた有効期限内にあるか否かを判定する。
【0093】
その上で、動作モード設定部112は、現在の日時がその検査レシピに対応付けられた有効期限内にある場合に、検査ユニット104を検査モードに設定してもよい。一方、動作モード設定部112は、現在の日時がその検査レシピに対応付けられた有効期限内から外れている場合に、検査ユニット104をパイロットモードに設定してもよい。さらに、この場合、動作モード設定部112は、レシピ記憶部130内の当該検査レシピを削除してもよい。
【0094】
これにより、一のマスク情報に対応する検査レシピが、所定期間ごとに自動的に更新されるので、煩雑な作業を要することなく、長期に渡って基板の検査の高い信頼性が維持される。
【0095】
(d)上記実施の形態では、基板処理システム500は、基板処理装置100、レシピ生成装置200および管理装置300を含み、露光装置900を含まないが、本発明はこれに限定されない。基板処理システム500は、基板処理装置100およびレシピ生成装置200を含み、管理装置300を含まなくてもよい。また、基板処理システム500は、基板処理装置100、レシピ生成装置200および管理装置300とともに、露光装置900を含んでもよい。
【0096】
(e)上記実施の形態では、基板処理装置100、レシピ生成装置200および管理装置300がそれぞれ個別に設けられるが、本発明はこれに限定されない。レシピ生成装置200および管理装置300のうち少なくとも一部の内部構成が1つの基板処理装置100に設けられてもよい。この場合、レシピ生成装置200および管理装置300のうち少なくとも一部の内部構成は、例えばレシピ生成装置200の各種機能部であってもよい。
【0097】
9.請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0098】
上記実施の形態では、基板Wに対する処理液の塗布処理、温度調整処理および現像処理が付随処理の例であり、処理ユニット102が処理ユニットの例であり、マスク情報取得部111がマスク情報取得部の例であり、検査部120、動作モード設定部112、パイロットデータ取得部113および欠陥判定部116を含む構成が検査部の例であり、レシピ生成部214がレシピ生成部の例である。
【0099】
また、基板処理システム500が基板処理システムの例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例であり、対応付け部114が対応付け部の例であり、データ分類部212がデータ分類部の例であり、データセット送信部115がデータセット送信部の例であり、レシピ取得部117がレシピ取得部の例であり、データセット取得部211がデータセット取得部の例であり、レシピ送信部215がレシピ送信部の例である。
【0100】
10.実施の形態の総括
(第1項) 第1項に係る基板処理システムは、
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う処理ユニットと、
前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するマスク情報取得部と、
前記処理ユニットによる前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成された検査部と、
前記検査部が前記パイロットモードにある状態で前記基板について生成されたパイロットデータに、前記マスク情報取得部により取得されかつ当該基板に対応するマスク情報を対応付ける対応付け部と、
前記処理ユニットが前記基板を複数処理する場合に、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記複数の基板についてそれぞれ生成された複数のパイロットデータのうち共通するマスク情報が対応付けられた複数のパイロットデータに基づいて当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するレシピ生成部とを備え、
前記検査部は、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報取得部により取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが生成されている場合に前記検査モードで動作し、当該検査モードにある状態で、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定する。
【0101】
露光処理後の基板の表面には、当該露光処理で用いられたフォトマスクに対応するパターンが現れる。そのため、複数の基板に共通のフォトマスクを用いた露光処理が行われる場合、露光処理後の複数の基板の表面を検査する際には、共通の検査レシピを用いることができる。
【0102】
上記の基板処理装置においては、付随処理の対象となる基板のマスク情報に対応する検査レシピが生成されている場合に、検査部が検査モードで動作し、当該基板に対応する検査レシピに従って基板の欠陥の有無が判定される。このように、基板の検査に適用可能な検査レシピが生成されている場合には、パイロットデータを収集することなく基板の検査が行われる。
【0103】
そのため、使用者は、基板の付随処理が行われるごとに、過去に生成された検査レシピが再利用可能であるかどうかを確認する必要がない。したがって、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能になる。
【0104】
(第2項)第1項に記載の基板処理システムにおいて、
前記検査部は、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報取得部により取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが生成されていない場合に前記パイロットモードで動作してもよい。
【0105】
この場合、付随処理の対象となる基板のマスク情報に対応する検査レシピが生成されていない場合に、検査部がパイロットモードで動作し、当該検査レシピを生成するためのパイロットデータが収集される。したがって、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能になる。
【0106】
(第3項)第1項または第2項に記載の基板処理システムにおいて、
前記基板処理装置は、
前記処理ユニットが前記基板を複数処理する場合に、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で前記複数の基板についてそれぞれ生成された複数のパイロットデータを各パイロットデータに対応付けられたマスク情報に基づいて分類するデータ分類部をさらに備え、
前記レシピ生成部は、マスク情報ごとに分類された複数のパイロットデータを統計処理することにより、前記マスク情報に対応する検査レシピを生成してもよい。
【0107】
この場合、マスク情報ごとに信頼性の高い検査レシピが生成される。その結果、基板の検査の信頼性が向上する。
【0108】
(第4項)第1項~第3項に記載の基板処理システムにおいて、
前記マスク情報は、前記マスク識別子に加えて前記露光処理が当該基板における何度目の露光処理であるのかを示す工程情報を含んでもよい。
【0109】
この場合、基板の検査に、より適切な検査レシピを用いることが可能になる。したがって、基板の検査の信頼性が向上する。
【0110】
(第5項)第1項~第3項に記載の基板処理システムにおいて、
前記工程情報は、一の基板に対して一のフォトマスクを用いた複数の露光処理が行われる場合に、当該一のフォトマスクの使用回数であってもよい。
【0111】
この場合、基板の検査に、より適切な検査レシピを用いることが可能になる。したがって、基板の検査の信頼性が向上する。
【0112】
(第6項)第6項に係る基板処理装置は、
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う処理ユニットと、
前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するマスク情報取得部と、
前記処理ユニットによる前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成された検査部と、
前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記マスク情報取得部により前記基板に対して取得された前記マスク情報と、のデータセットを、レシピ生成装置に送信するデータセット送信部と、
前記データセットの送信後に、前記マスク情報に対応するように前記レシピ生成装置により生成された検査レシピを取得するレシピ取得部とを備え、
前記検査部は、前記処理ユニットにより前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報取得部により取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが前記レシピ取得部により取得されている場合に前記検査モードで動作し、当該検査モードにある状態で、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定する。
【0113】
その基板処理装置においては、付随処理の対象となる基板のマスク情報に対応する検査レシピが取得されている場合に、検査部が検査モードで動作し、当該基板に対応する検査レシピに従って基板の欠陥の有無が判定される。このように、基板の検査に適用可能な検査レシピが生成されている場合には、パイロットデータを収集することなく基板の検査が行われる。
【0114】
そのため、使用者は、基板の付随処理が行われるごとに、過去に生成された検査レシピが再利用可能であるかどうかを確認する必要がない。したがって、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能になる。
【0115】
(第7項)第7項に係るレシピ生成装置は、
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う基板処理装置とともに用いられるレシピ生成装置であって、
前記基板処理装置は、前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成され、
前記レシピ生成装置は、
前記基板処理装置が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報と、のデータセットを取得するデータセット取得部と、
前記パイロットデータ取得部により取得された複数のデータセットの複数のパイロットデータのうちマスク情報が共通する複数のパイロットデータに基づいて、当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するレシピ生成部と、
前記レシピ生成部により生成された検査レシピを当該検査レシピに対応するマスク情報とともに前記基板処理装置に送信するレシピ送信部とを備える。
【0116】
そのレシピ生成装置においては、パイロットモードにある基板処理装置からパイロットデータとマスク情報とを含むデータセットが取得される。複数のデータセットの複数のパイロットデータのうち、マスク情報が共通する複数の基板の複数のパイロットデータに基づいて、当該マスク情報に対応する検査レシピが生成される。生成された検査レシピが、基板処理装置に送信される。
【0117】
これにより、基板処理装置においては、基板の付随処理が行われるごとに、当該基板のマスク情報に基づいて、新たな検査レシピの生成が必要か否かを判定することができる。例えば、付随処理の対象となる基板のマスク情報に対応する検査レシピを受信している場合には、新たな検査レシピの生成が不要である。一方、付随処理の対象となる基板のマスク情報に対応する検査レシピを受信していない場合には、新たな検査レシピの生成が必要である。
【0118】
それにより、使用者は、基板の付随処理が行われるごとに、過去に生成された検査レシピが再利用可能であるかどうかを確認する必要がない。したがって、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能になる。
【0119】
(第8項)第8項に係る基板処理方法は、
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行うステップと、
前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するステップと、
前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で、検査部を動作させるステップと、
前記検査部が前記パイロットモードにある状態で前記基板について生成されたパイロットデータに、前記マスク情報取得部により取得されかつ当該基板に対応するマスク情報を対応付けるステップと、
前記基板が複数処理される場合に、前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記複数の基板についてそれぞれ生成された複数のパイロットデータのうち共通するマスク情報が対応付けられた複数のパイロットデータに基づいて当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するステップとを含み、
前記検査部を動作させるステップは、前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報を取得するステップにより取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが生成されている場合に、前記検査部を前記検査モードで動作させ、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定することを含む。
【0120】
上記の基板処理方法においては、付随処理の対象となる基板のマスク情報に対応する検査レシピが生成されている場合に、検査部が検査モードで動作し、当該基板に対応する検査レシピに従って基板の欠陥の有無が判定される。このように、基板の検査に適用可能な検査レシピが生成されている場合には、パイロットデータを収集することなく基板の検査が行われる。
【0121】
そのため、使用者は、基板の付随処理が行われるごとに、過去に生成された検査レシピが再利用可能であるかどうかを確認する必要がない。したがって、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能になる。
【0122】
(第9項)第9項に係る基板処理方法は、
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行うステップと、
前記付随処理が行われる前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報を取得するステップと、
前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で、検査部を動作させるステップと、
前記検査部が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記マスク情報を取得するステップにより前記基板に対して取得された前記マスク情報と、のデータセットを、レシピ生成装置に送信するステップと、
前記データセットの送信後に、前記マスク情報に対応して前記レシピ生成装置により生成された検査レシピを取得するステップとを含み、
前記検査部を動作させるステップは、前記付随処理が行われる前記基板について前記マスク情報を取得するステップにより取得された前記マスク情報に対応する検査レシピが取得されている場合に、前記検査部を前記検査モードで動作させ、前記検査レシピに従って前記基板の欠陥の有無を判定することを含む。
【0123】
その基板処理方法においては、付随処理の対象となる基板のマスク情報に対応する検査レシピが取得されている場合に、検査部が検査モードで動作し、当該基板に対応する検査レシピに従って基板の欠陥の有無が判定される。このように、基板の検査に適用可能な検査レシピが生成されている場合には、パイロットデータを収集することなく基板の検査が行われる。
【0124】
そのため、使用者は、基板の付随処理が行われるごとに、過去に生成された検査レシピが再利用可能であるかどうかを確認する必要がない。したがって、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能になる。
【0125】
(第10項)第10項に係るレシピ生成方法は、
基板について予め定められた露光処理に付随する付随処理を行う基板処理装置を用いたレシピ生成方法であって、
前記基板処理装置は、前記基板の前記付随処理中に、前記基板に対応する検査レシピを生成するためのデータをパイロットデータとして生成するパイロットモード、および前記基板の欠陥の有無を判定する検査モードのいずれか一方で動作可能に構成され、
前記レシピ生成方法は、
前記基板処理装置が前記パイロットモードにある状態で、前記基板について生成された前記パイロットデータと、前記基板に対して前記露光処理に用いられるフォトマスクを識別するためのマスク識別子を含むマスク情報と、のデータセットを取得するステップと、
前記データセットを取得するステップにより取得された複数のデータセットの複数のパイロットデータのうちマスク情報が共通する複数のパイロットデータに基づいて、当該マスク情報に対応する検査レシピを生成するステップと、
前記検査レシピを生成するステップにより生成された検査レシピを当該検査レシピに対応するマスク情報とともに前記基板処理装置に送信するステップとを含む。
【0126】
そのレシピ生成方法においては、パイロットモードにある基板処理装置からパイロットデータとマスク情報とを含むデータセットが取得される。複数のデータセットの複数のパイロットデータのうち、マスク情報が共通する複数の基板の複数のパイロットデータに基づいて、当該マスク情報に対応する検査レシピが生成される。生成された検査レシピが、基板処理装置に送信される。
【0127】
これにより、基板処理装置においては、基板の付随処理が行われるごとに、当該基板のマスク情報に基づいて、新たな検査レシピの生成が必要か否かを判定することができる。例えば、付随処理の対象となる基板のマスク情報に対応する検査レシピを受信している場合には、新たな検査レシピの生成が不要である。一方、付随処理の対象となる基板のマスク情報に対応する検査レシピを受信していない場合には、新たな検査レシピの生成が必要である。
【0128】
それにより、使用者は、基板の付随処理が行われるごとに、過去に生成された検査レシピが再利用可能であるかどうかを確認する必要がない。したがって、検査レシピを生成するための煩雑な作業を要することなく、複数の基板を効率よく検査することが可能になる。
【符号の説明】
【0129】
10…筐体,16…開口部,20…投光部,30…反射部,40…撮像部,50…基板保持装置,51…駆動装置,51a…回転軸,52…回転保持部,60…移動部,61…ガイド部材,62…移動保持部,70…ノッチ検出部,100…基板処理装置,101…制御装置,102…処理ユニット,103…搬送装置,104…検査ユニット,109,209…記憶媒体,110…制御部,111…マスク情報取得部,112…動作モード設定部,113…パイロットデータ取得部,114…対応付け部,115…データセット送信部,116…欠陥判定部,117…レシピ取得部,120…検査部,130…レシピ記憶部,200…レシピ生成装置,211…データセット取得部,212…データ分類部,213…データ蓄積部,214…レシピ生成部,215…レシピ送信部,300…管理装置,310…表示部,320…操作部,500…基板処理システム,510…ネットワーク,900…露光装置,W…基板