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特開2024-44063収支管理装置、収支管理方法、及び収支管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044063
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】収支管理装置、収支管理方法、及び収支管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240326BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149385
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一樹
(72)【発明者】
【氏名】早川 夏実
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】案件の進行中に、申告粗利率と現時点での最終粗利率を比較出力して、現時点の収支状況を把握することが可能な収支管理装置、収支管理方法、及び収支管理プログラムを提供すること。
【解決手段】本実施形態に係る収支管理装置は、案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力する案件基本情報入力手段と、前記案件に紐づく伝票データを入力する伝票入力手段と、対象の案件について、当該案件の進行中に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と現時点での最終粗利率を含む案件管理表を出力する案件管理表出力手段と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた収支管理装置であって、
前記制御部は、
案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力する案件基本情報入力手段と、
前記案件に紐づく伝票データを入力する伝票入力手段と、
対象の案件について、当該案件の進行中に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と現時点での最終粗利率を含む案件管理表を出力する案件管理表出力手段と、
を備えたことを特徴とする収支管理装置。
【請求項2】
前記伝票データは、受注データ、発注データ、仕入データ、売上データを含むことを特徴とする請求項1に記載の収支管理装置。
【請求項3】
前記最終粗利率は、最終粗利率=(売上金額累計-仕入金額累計)/売上金額累計×100で算出されることを特徴とする請求項2に記載の収支管理装置。
【請求項4】
前記案件管理表は、仕入金額累計-売上原価累計で算出される原価差額を含むことを特徴とする請求項2に記載の収支管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、
対象の案件について、当該案件が完了した際に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と、最終粗利率、原価差額を含む案件完了報告書を出力する案件完了報告書出力手段を備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の収支管理装置。
【請求項6】
制御部を備えた情報処理装置が実行する収支管理方法であって、
前記制御部において実行される、
案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力する案件基本情報入力工程と、
前記案件に紐づく伝票データを入力する伝票入力工程と、
対象の案件について、当該案件の進行中に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と現時点での最終粗利率を含む案件管理表を出力する案件管理表出力工程と、
を含むことを特徴とする収支管理方法。
【請求項7】
制御部を備えた情報処理装置が実行するための収支管理プログラムであって、
前記制御部において、
案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力する案件基本情報入力工程と、
前記案件に紐づく伝票データを入力する伝票入力工程と、
対象の案件について、当該案件の進行中に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と現時点での最終粗利率を含む案件管理表を出力する案件管理表出力工程と、
を実行するための収支管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収支管理装置、収支管理方法、及び収支管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電設資材の卸売業務等では建築現場単位での収支管理が必要になるが、現場の状況により途中で仕様変更が入るなど原価の変動要素も多いこと、また、売上が上がるまでのスパンが長いことにより、現時点の収支状況、着地見込みを立てることが困難になっている。従来、収支を管理するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-91279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、案件の進行中に、申告粗利率と現時点での最終粗利率を比較して、現時点の収支状況を把握することに関して何ら記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、案件の進行中に、申告粗利率と現時点での最終粗利率を比較出力して、現時点の収支状況を把握することが可能な収支管理装置、収支管理方法、及び収支管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた収支管理装置であって、前記制御部は、案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力する案件基本情報入力手段と、前記案件に紐づく伝票データを入力する伝票入力手段と、対象の案件について、当該案件の進行中に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と現時点での最終粗利率を含む案件管理表を出力する案件管理表出力手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記伝票データは、受注データ、発注データ、仕入データ、売上データを含むことにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記最終粗利率は、最終粗利率=(売上金額累計-仕入金額累計)/売上金額累計×100で算出されることにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記案件管理表は、仕入金額累計-売上原価累計で算出される原価差額を含むことにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記制御部は、さらに、対象の案件について、当該案件が完了した際に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と、最終粗利率、原価差額を含む案件完了報告書を出力する案件完了報告書出力手段を備えることにしてもよい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置が実行する収支管理方法であって、前記制御部において実行される、案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力する案件基本情報入力工程と、前記案件に紐づく伝票データを入力する伝票入力工程と、対象の案件について、当該案件の進行中に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と現時点での最終粗利率を含む案件管理表を出力する案件管理表出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置が実行するための収支管理プログラムであって、前記制御部において、案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力する案件基本情報入力工程と、前記案件に紐づく伝票データを入力する伝票入力工程と、対象の案件について、当該案件の進行中に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と現時点での最終粗利率を含む案件管理表を出力する案件管理表出力工程と、を実行するための収支管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、案件の進行中に、申告粗利率と現時点での最終粗利率を比較出力して、現時点の収支状況を把握すること可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施の形態に係る収支管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の全体の処理の概略を説明するためのフローを示す図である。
図3図3は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図4図4は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図5図5は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図6図6は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図7図7は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図8図8は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図9図9は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図10図10は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0016】
[1:概要]
例えば、建築業界は、標準品を使用するより特注品をメーカーに発注し使用するケースが非常に多い。物販単位では売上が上がらずに、一式での売上計上である場合や売上が上がるまでのスパンが長いことが特徴としてある。また、現場の状況に合わせて、予定していた部材から別仕様の部材に変更が必要なケースがあるなど原価の変動要素も多く、現時点の収支状況、着地見込みを立てることが困難になっている。
【0017】
そこで、本実施の形態では、案件の進行中に、申告粗利率と現時点での最終粗利率を比較出力して、現時点の収支状況を把握することを可能とする。
【0018】
より具体的には、本実施の形態では、案件単位で予め申告粗利率を設定しておき、申告粗利率との乖離状況を可視化する。また、売上金額に申告粗利率を乗じて計算した売上原価と実際原価の乖離状況の比較を可能とする。また、売上・仕入実績ベースからの計算だけでなく、受注残・発注残などの予定情報を含めたシミュレーションを可能とする。
【0019】
本実施の形態によれば、また、受注残・発注残などの予定情報を含めて申告粗利率と最終粗利率の乖離状況が確認可能となる。また、案件の最終完了処理に向けて申告粗利利率に近付くよう利益向上に向けた営業活動につなげることが可能となる。
【0020】
本発明の収支管理装置は、設置工事を伴う大型装置製造業や建設工事業等の業界に広く適用可能である。
【0021】
[2.構成]
本実施形態に係る収支管理装置の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、収支管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
収支管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、収支管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0023】
収支管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。収支管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0024】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、収支管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、収支管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。また、記憶部106は、データファイル106aを備えている。
【0027】
データファイル106aは、案件基本情報、伝票データ(受注データ、発注データ、仕入データ、売上データ等)、案件管理表、案件完了報告書等の各種データや情報を格納するためのファイルである。
【0028】
案件基本情報は、親案件番号、案件番号、案件名、得意先、申告粗利率を含んでいてもよい。
【0029】
受注データは、受注番号、受注区分、受注日、得意先、案件番号、商品コード、商品名、受注数、受注単価、受注金額、原価単価、原価金額、粗利金額、売上予定日、ステータス(受注残、売上完了)を含んでいてもよい。
【0030】
発注データは、発注番号、発注区分、発注日、仕入先、案件番号、商品コード、商品名、発注数、発注単価、発注金額、仕入予定日、ステータス(発注残、仕入完了)を含んでいてもよい。
【0031】
仕入データは、仕入番号、仕入区分、仕入日、仕入先、案件番号、商品コード、商品名、仕入数、仕入単価、仕入金額を含んでいてもよい。
【0032】
売上データは、売上番号、売上区分、売上日、得意先、案件番号、商品コード、商品名、売上数、売上単価、受注金額、原価単価、原価金額、粗利金額を含んでいてもよい。
【0033】
案件管理表は、ヘッダデータ(案件番号、案件名、申告粗利率、最終粗利率)と、収支データ(データ区分、日付、伝票番号、商品、数量、単価、仕入金額、仕入金額累計、売上金額、売上金額累計、売上原価、売上原価累計、原価差額)と、月別案件残高データ(案件番号、会計年月、前月原価差額、当月売上、当月売上原価、粗利額、当月仕入、当月原価差額、案件番号、会計年月、前月原価差額、当月売上)を含んでいてもよい。
【0034】
案件完了報告書は、ヘッダデータ(案件番号、案件名、申告粗利率)と、収支データ(売上日、売上番号、商品コード、商品名、売上金額、売上原価、売上合計(売上金額累計)、仕入合計(仕入金額累計)、売上原価合計(売上原価累計)、最終粗利率、原価差額、最終粗利率)を含んでいてもよい。
【0035】
制御部102は、収支管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、案件基本情報入力部102aと、伝票入力部102bと、案件管理表出力部102cと、案件完了報告書出力部102dと、画面表示制御部102eと、を備えている。
【0036】
案件基本情報入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される案件基本情報入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力してデータファイル106aに格納する。
【0037】
伝票入力部102bは、例えば、モニタ114に表示される伝票入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、案件に紐づく伝票データを入力してデータファイル106aに格納する。伝票データは、受注データ、発注データ、仕入データ、売上データを含むことにしてもよい。
【0038】
案件管理表出力部102cは、対象の案件について、当該案件の進行中に、例えば、モニタ114に表示される案件管理表の抽出条件画面上でオペレータにより指定される抽出条件に基づいて、データファイル106aの案件基本情報及び伝票データを参照して、申告粗利率、現時点の最終粗利率を含む案件管理表を表示出力すると共に、データファイル106aに格納する。
【0039】
最終粗利率は、最終粗利率=(売上金額累計-仕入金額累計)/売上金額累計×100で算出されることにしてもよい。また、案件管理表は、仕入金額累計-売上原価累計で算出される原価差額を含むことにしてもよい。
【0040】
案件完了報告書出力部102dは、対象の案件について、当該案件が完了した場合に、例えば、モニタ114に表示される案件完了報告書の抽出条件画面上でオペレータにより指定される抽出条件に基づいて、データファイル106aの案件基本情報及び伝票データを参照して、申告粗利率と最終粗利率及び原価差額を含む案件完了報告書を表示出力すると共に、データファイル106aに格納する。
【0041】
画面表示制御部102eは、例えば、モニタ114に表示する各種画面(案件基本情報入力画面、伝票入力画面、案件管理表や案件完了報告書の抽出条件画面)の表示及びその入力の受付を制御する。
【0042】
[3.具体例]
図1図10を参照して、本実施の形態における収支管理装置100の処理の具体例を説明する。図2は、本実施の形態における収支管理装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明するためのフローを示す図である。図2を参照して、本実施の形態における収支管理装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明する。
【0043】
(3-1.全体の処理)
図2において、まず、案件基本情報入力部102aは、案件基本情報入力処理を実行する(ステップS1)。具体的には、案件基本情報入力処理では、案件基本情報入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力してデータファイル106aに格納する。
【0044】
伝票入力部102bは、伝票入力処理を実行する(ステップS2)。具体的には、伝票入力処理では、伝票入力部102bは、例えば、モニタ114に表示される入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、案件に紐づく伝票データを入力してデータファイル106aに格納する。
【0045】
伝票入力処理S2は、受注データを入力する受注入力処理S2-1、発注データを入力する発注入力処理S2-2、仕入データを入力する仕入入力処理S2-2、売上データを入力する売上入力処理を含んでいる。
【0046】
案件管理表出力部102cは、案件管理表出力処理を実行する(ステップS3)。具体的には、案件管理表出力処理では、案件管理表出力部102cは、対象の案件について、当該案件の進行中に、例えば、モニタ114に表示される案件管理表の抽出条件画面上でオペレータにより指定される抽出条件に基づいて、データファイル106aの案件基本情報及び伝票データを参照して、申告粗利率、現時点の最終粗利率を含む案件管理表を表示出力すると共に、データファイル106aに格納する。
【0047】
最終粗利率は、最終粗利率=(売上金額累計-仕入金額累計)/売上金額累計×100で算出されることにしてもよい。また、案件管理表は、仕入金額累計-売上原価累計で算出される原価差額を含むことにしてもよい。
【0048】
案件完了報告書出力部102dは、案件完了報告出力処理を実行する(ステップS4)。具体的には、案件完了報告出力処理では、案件完了報告書出力部102dは、対象の案件について、当該案件が完了した場合に、例えば、モニタ114に表示される案件完了報告書の抽出条件画面上でオペレータにより指定される抽出条件に基づいて、データファイル106aの案件基本情報及び伝票データを参照して、申告粗利率、最終粗利率、及び原価差額を含む案件完了報告書を表示出力すると共に、データファイル106aに格納する。
【0049】
(3-3.サンプルデータ)
図3図10は、本実施の形態における収支管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。図3図10を参照して、本実施の形態における収支管理装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。
【0050】
(案件基本情報入力処理:S1)
図3を参照して、案件基本情報入力処理を説明する。案件基本情報入力部102aは、例えば、モニタ114に表示される案件基本情報入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力してデータファイル106aに格納する。
【0051】
図3(A)は、案件基本情報入力画面の表示例を示す図である。案件基本情報入力画面は、親案件番号、案件番号(子案件番号)、事業所、登録日、得意先、担当者、案件名(工事名)、申告粗利率、工事期間を入力するエリアを備えている。不図示の登録ボタンが押下されると、案件基本情報入力画面に入力されたデータに応じた案件基本情報がデータファイル106aに登録される。
【0052】
図3(B)は、案件基本情報データのデータ例を示す図である。案件基本情報データは、親案件番号、案件番号、案件名、得意先、申告粗利率の項目を備えている。「案件番号」は、同一工事の中でも電気、配管、照明、電線などの工事分類別に分けて管理する。請負契約を行う際に原価見積を行い、見積原価に対して利益を載せて契約額を算出している。「申告粗利率」は、工事分類別に指標となる粗利率であり、契約額が見積原価を下回らないように設定する。
【0053】
同図に示す例では、1行目は、親案件番号「A0001」、案件番号「A0001-1」、案件名「御堂筋ビル 電気工事」、得意先「TOK001:□△工業」、申告粗利率10.00%」となっている。
【0054】
(伝票入力処理:S2)
図4図7を参照して、伝票入力処理(受注入力処理S2-1、発注入力処理S2-2、仕入入力処理S2-3、売上入力処理S2-4)を詳細に説明する。伝票入力部102bは、例えば、モニタ114に表示される伝票入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、案件に紐づく伝票データ(受注データ、発注データ、仕入データ、売上データ)を入力してデータファイル106aに格納する。案件番号に紐付けて各種伝票を登録する。1案件に対して1又は複数の受注・売上・発注・仕入が紐付く。
【0055】
図4を参照して、受注及び発注を行う場合を説明する。図4(A)は、受注データのデータ例を示す図である。受注データは、受注番号、受注区分、受注日、得意先、案件番号、商品コード、商品名、受注数、受注単価、受注金額、原価単価、原価金額、粗利金額、売上予定日、ステータス(受注残、売上完了)の項目を備えている。
【0056】
図4(B)は、発注データのデータ例を示す図である。発注データは、発注番号、発注区分、発注日、仕入先、案件番号、商品コード、商品名、発注数、発注単価、発注金額、仕入予定日、ステータス(発注残、仕入完了)の項目を備えている。
【0057】
図5を参照して、受注に紐付けずに個別手配をかける場合を説明する。受注に紐付けずに個別手配をかける場合は、発注入力より発注データの登録を行う。図5は、受注に紐付けずに個別手配をかける場合の発注データの例を示す図である。
【0058】
図6を参照して仕入計上を行う場合を説明する。ここでは、図4(B)の発注データの(4)のレコードに対する仕入計上を行う場合を説明する。図6(A)は、仕入データのデータ例を示す図である。仕入データは、仕入番号、仕入区分、仕入日、仕入先、案件番号、商品コード、商品名、仕入数、仕入単価、仕入金額の項目を備えている。
【0059】
図6(B)は、発注データのデータ例を示す図である。図6(A)に示すように、「商品B」の仕入が完了しているので、図6(B)の発注データの(4)のレコードについて、ステータスを「発注残」から「仕入完了」に変更する。また、図6(B)の(5)のレコードに示すように、新たに「商品C」の発注データを登録する。
【0060】
図7を参照して売上計上を行う場合を説明する。ここでは、図4(A)の受注データの(2)のレコードに対する売上計上を行う場合を説明する。図7(A)は、売上データのデータ例を示す図である。売上データは、売上番号、売上区分、売上日、得意先、案件番号、商品コード、商品名、売上数、売上単価、受注金額、原価単価、原価金額、粗利金額
の項目を備えている。
【0061】
図7(B)は、受注データのデータ例を示している。図7(A)に示すように、「商品B」の売上が計上されているので、図7(B)の受注データの(2)のレコードについて、ステータスを「受注残」から「売上完了」に変更する。
【0062】
(案件管理表出力処理:S3)
図8及び図9を参照して、案件管理表出力処理の詳細を説明する。案件管理表出力部102cは、案件の進行中に、例えば、モニタ114に表示される案件管理表の抽出条件画面上でオペレータにより指定される抽出条件に基づいて、データファイル106aに格納されている案件基本情報及び伝票データを参照して、申告粗利率、現時点の最終粗利率、原価差額を含む案件管理表を表示出力すると共に、データファイル106aに格納する。
【0063】
案件管理表は、例えば、担当営業や営業上長が出力する。定期的に担当営業・営業上長が案件管理表を元に申告粗利率と最終利益率の乖離、原価差額を確認する。例えば、利益率が下回る可能性がある場合は、案件完了までに今後発生する取引分について価格見直しなど利益向上に向けて動いていく指標として使用する。
【0064】
図8は、案件管理表の抽出条件画面の表示例を示す図である。図8に示す案件管理表の抽出条件画面では、対象年月、事業所、得意先、案件番号、完了区分(完了、未完了)、出力区分(実績ベース、計上予定日ベース)、翌月以降対象、出力順(債務→債権、債権→債務、日付順)の抽出条件を指定する。
【0065】
「出力区分」は、受発注分をどの日付で抽出するかを指定するためのものであり、「実績ベース」は受発注日、「計上予定日ベース」は売上・仕入予定日で抽出する。「翌月対象区分」は、出力区分が計上予定日ベースの場合に翌月以降分を含めるかを指定する。「出力順」は、明細の出力順序を指定するためのものであり、「債務→債権」は、発注・仕入(日付順)→受注・売上(日付順)とし、「債権→債務」は、受注・売上(日付順)→発注・仕入(日付順)とし、「日付順」は、日付順(債権・債務の括りは無し)とする。
【0066】
不図示の実行ボタンが押下されると、抽出条件画面で指定される抽出条件に基づいて、案件基本情報及び伝票データが参照されて案件管理表が出力される。
【0067】
図9は、案件管理表の出力イメージを説明するための図である。図8は、図3図7の案件基本情報及び伝票データが登録されている場合に、図8の抽出条件(案件番号「A0001-1」、対象年月「2022/7」、出力区分「実績ベース」、出力順「債務→債権」等)で出力した場合の案件管理表の出力イメージの例を示す図である。
【0068】
案件管理表は、ヘッダデータ(案件番号、案件名、申告粗利率、最終粗利率)と、収支データ(データ区分、日付、伝票番号、商品、数量、単価、仕入金額、仕入金額累計、売上金額、売上金額累計、売上原価、売上原価累計、原価差額)と、月別案件残高データ(案件番号、会計年月、前月原価差額、当月売上、当月売上原価、粗利額、当月仕入、当月原価差額、案件番号、会計年月、前月原価差額、当月売上)を含んでいる。同図において、(1)~(7)は、伝票データのレコード番号に対応している。
【0069】
ヘッダデータの「最終粗利率」は、最終粗利率=(売上金額累計-仕入金額累計)/売上金額累計×100で算出する。同図に示す例では、(¥600-¥680)/¥600×100=-13.33%となる。現時点での「最終粗利率」は、-13.33%であり、申告粗利率「10.00%」を下回っているので、申告粗利率に近づくような取り組みが必要となる。
【0070】
収支データの「売上原価」は、売上原価=売上本体金額×(1-申告粗利率/100)で算出する。
【0071】
収支データの「原価差額」は、原価差額=仕入金額累計-売上原価累計で算出する。現時点の「原価差額」を確認してプラス金額になっている場合は、申告粗利率に対して最終着地が原価オーバーする可能性が高いため、今後発生する取引の中でこの分をカバーするために販売価格の見直し、他仕入先の仕入価格の調査などを行って改善を行っていく。本例では、現時点の最終計上での原価差額は、「¥50」となっており、改善が必要である。
【0072】
収支データの「仕入金額累計」、「売上金額累計」、「売上原価累計」は前月以前の発生分からの積上金額を出力する。月次仮締処理の中で月別の案件残高データを作成しており、その前月レコードで保持している仕入金額累計、売上金額累計、売上原価累計に加算する。
【0073】
収支データの「出力区分」が「計上予定日ベース」の場合は、発注は仕入予定日、受注は売上予定日を出力する。
【0074】
月別案件残高データは、前月の累計金額を取得して出力する。本例では、当月の会計年月が「2022/07」であるので、会計年月「2022/06」のデータを取得する。
【0075】
(案件完了報告書出力処理:S4)
図10を参照して、案件完了報告書出力処理の詳細を説明する。案件完了報告書出力部102dは、案件が完了した場合に、例えば、モニタ114に表示される案件完了報告書の抽出条件画面上でオペレータにより指定される抽出条件に基づいて、データファイル106aに格納されている案件基本情報及び伝票データを参照して、申告粗利率、最終粗利率、原価差額を含む案件完了報告書を表示出力すると共に、データファイル106aに格納する。
【0076】
案件完了報告書は、例えば、担当営業が案件完了時に案件完了報告書を出力して、上長に報告して承認をもらう。案件完了報告書は、申告粗利率に対して最終粗利率がどうだったか、原価差額がどれくらい発生したかを確認して、乖離が大きかった場合はその要因分析を行うために使用する。また、今後類似案件が発生した際に過去の案件完了報告書を元に価格の見直しを行う材料として使用する。
【0077】
図10(A)は、案件完了報告書の抽出条件画面の表示例を示す図である。図10に示す案件完了報告書の抽出条件画面では、完了年月、事業所、案件番号等の抽出条件を指定する。
【0078】
不図示の実行ボタンが押下されると、抽出条件画面で指定される抽出条件に基づいて、案件基本情報及び伝票データが参照されて案件完了報告書が出力される。
【0079】
図10(B)は、案件管理表の出力イメージを説明するための図である。図10(B)は、図10(A)の抽出条件(案件番号「A0001-1」等)で出力した場合の案件完了報告書の出力イメージの例を示す図である。なお、ここでは、案件完了までの伝票データが全てデータファイル106aに登録されているものとして説明する。
【0080】
案件完了報告書は、ヘッダデータ(案件番号、案件名、申告粗利率)と、収支データ(売上日、売上番号、商品コード、商品名、売上金額、売上原価、売上合計(売上金額累計)、仕入合計(仕入金額累計)、売上原価合計(売上原価累計)、最終粗利率、原価差額、最終粗利率)を含んでいる。
【0081】
完了時の「原価差額」、「最終粗利率」を元に乖離が大きかった場合はその要因分析を行う。図10(B)に示す例では、案件完了時の「最終粗利率」は、6.67%(=売上金額累計「¥1200-仕入金額累計「¥1120」)/売上金額累計「1200」×100)であり、申告粗利率「10.00%」を下回っている。また、原価差額は、¥40(=仕入金額累計「¥1120」-売上原価累計「¥1080」)となっており、原価オーバーとなっている。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態によれば、案件、得意先、申告粗利率を含む案件基本情報を入力する案件基本情報入力部102aと、前記案件に紐づく伝票データを入力する伝票入力部102bと、対象の案件について、当該案件の進行中に、前記案件基本情報及び前記伝票データを参照して、申告粗利率と現時点での最終粗利率を含む案件管理表を出力する案件管理表出力部102cと、を備えているので、案件の進行中に、申告粗利率と現時点での最終粗利率を比較出力して、現時点の収支状況を把握することが可能となる。
【0083】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0084】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0086】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0087】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0088】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0089】
また、収支管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0090】
例えば、収支管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて収支管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0091】
また、このコンピュータプログラムは、収支管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0092】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0093】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0094】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0095】
また、収支管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、収支管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0096】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0097】
100 収支管理装置
102 制御部
102a 案件基本情報入力部
102b 伝票入力部
102c 案件管理表出力部
102d 案件完了報告書出力部
102e 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10