(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044068
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20240326BHJP
G06Q 30/0241 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
G06Q30/02 446
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149391
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】實原 弘亮
(72)【発明者】
【氏名】安部 斉志
(72)【発明者】
【氏名】石井 春江
(72)【発明者】
【氏名】江島 昇太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を推定すること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、配信対象となる複数の広告いずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報を取得する取得部と、各広告に対する利用者の行動履歴に基づいて、取得部によって取得された統計情報から複数の広告の一部に関する統計情報を推定する推定部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信対象となる複数の広告いずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報を取得する取得部と、
各広告に対する利用者の行動履歴に基づいて、前記取得部によって取得された前記統計情報から前記複数の広告の一部に関する統計情報を推定する推定部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、
複数の広告単位の統計情報を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、
広告単位の統計情報を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、
広告配信に対するリクエスト単位の統計情報を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、
利用者単位の統計情報を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推定部は、
複数の利用者単位の統計情報を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記推定部は、
各広告に対する利用者の選択履歴の割合に基づいて、前記取得部によって取得された前記統計情報から前記複数の広告の一部に関する統計情報を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記推定部は、
推定対象となる統計情報の過去の実測値に基づいて、前記推定対象となる統計情報を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記推定部は、
前記推定対象となる統計情報の過去の実測値を学習した予測モデルによる予測値を用いて前記推定対象となる統計情報を推定すること
を特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
配信対象となる複数の広告いずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報を取得する取得工程と、
各広告に対する利用者の行動履歴に基づいて、前記取得工程によって取得された前記統計情報から前記複数の広告の一部に関する統計情報を推定する推定工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
配信対象となる複数の広告いずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報を取得する取得手順と、
各広告に対する利用者の行動履歴に基づいて、前記取得手順によって取得された前記統計情報から前記複数の広告の一部に関する統計情報を推定する推定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを介した広告配信においては様々な指標が用いられている。例えば、CVR(Conversion Rate;「コンバージョン率」ともいう)等の様々な指標を用いて広告配信の効果を測定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、個人情報を保護する観点から利用者情報の匿名化が求められ、このような規制下においては、広告効果の検証に関して、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を推定することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を推定することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、配信対象となる複数の広告いずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報を取得する取得部と、各広告に対する利用者の行動履歴に基づいて、前記取得部によって取得された前記統計情報から前記複数の広告の一部に関する統計情報を推定する推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る統計情報データベースの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る補間情報データベースの一例を示す図である
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
〔1.1.情報処理システム〕
まず、
図1および
図2を用いて、実施形態に係る情報処理システムおよび情報処理の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図2は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、ネットワークNによって接続された利用者端末50と、情報処理装置100と、広告主サーバ200とを有する。なお、
図1では、情報処理システム1に含まれる利用者端末50、情報処理装置100および広告主サーバ200がそれぞれで1台である場合について示しているが、利用者端末50、情報処理装置100および広告主サーバ200がそれぞれ複数台含まれるようにしてもよい。
【0012】
図1に示す情報処理装置100は、各種Webサービスに関するコンテンツを利用者端末50へ提供する情報処理装置である。たとえば、情報処理装置100は、広告主から入稿された配信広告をWebサービスに関するコンテンツとともに利用者端末50へ配信する。
【0013】
また、情報処理装置100は、利用者端末50へ提供した配信広告のコンバージョン(以下、CVとも記載する)を計測する。そして、情報処理装置100は、計測したコンバージョンに応じて、各配信広告のCVR(Conversion Rate)を最適化する。また、情報処理装置100は、コンバージョンに基づいて広告主に対しレポートを提供する。
【0014】
利用者端末50は、利用者が所有する端末である。たとえば、利用者端末50は、情報処理装置100から配信されるコンテンツを配信広告とともに表示する。利用者端末50は、たとえば、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、ウェアラブル端末など、各種のクライアント端末である。
【0015】
また、利用者端末50は、コンテンツとともに表示した配信広告が利用者によってクリック(選択)された場合に、コンテンツから広告主が運営する広告主サイトへ移動する。そして、利用者端末50は、広告主サイトにおいて所定のコンバージョンが行われた場合に、コンバージョン情報を情報処理装置100へと送信する。これにより、情報処理装置100では配信した広告のコンバージョンを計測することができる。
【0016】
広告主サーバ200は、広告主の広告主サイトを運営するサーバ装置である。たとえば、広告主サーバ200は、利用者端末50によるアクセスに応じて広告主サイトを利用者端末50へ提供する。
【0017】
〔1.2.情報処理の一例〕
ところで、近年では、プラットフォーマーによるいわゆるITP(Intelligent Tracking Prevention)等の搭載によって3rd Party Cookieの利用が制限されてきている。
【0018】
このような制約下において、広告配信においても個人情報の匿名化が求められる。そのため、情報処理装置100は、各利用者による広告主サイトにおける行動をトラッキングすることができなくなりつつあり、リクエスト単位でコンバージョンを計測できなくなりつつある。
【0019】
例えば、情報処理装置100は、各利用者端末50による配信広告のリクエストおよび利用者による配信広告へのアクセスまで観測することができるが、どのリクエストがコンバージョンに至ったかを荒い粒度でしか観測することができない。
【0020】
例えば、広告配信に関する利用者情報の匿名化は
図2に示す階層構造を有する。例えば、
図2に示すように、匿名化に関する階層構造は、アカウント、キャンペーン、ADグループ、AD(広告)、リクエストといった順でより個人を特定可能となる。なお、リクエストとは、利用者、配信した広告種別、接触時間等を組み合わせたデータである。
【0021】
例えば、情報処理装置100は、階層構造で上から2番目のキャンペーンの粒度でコンバージョン数を取得する。そして、情報処理装置100は、キャンペーンの粒度でコンバージョン数からキャンペーンの配下にあるADグループ、AD、リクエストのそれぞれの粒度におけるコンバージョンを推定する。
【0022】
例えば、情報処理装置100は、下記(式1)によってADグループのコンバージョン数(推定CVadg)を推定する。(式1)では、キャンペーン粒度のコンバージョン(CVadg)からADグループの粒度でコンバージョンを推定する場合を示す。また、(式1)に示すCLKSadg、CLKScampは、それぞれADグループのクリック数、キャンペーンのクリック数の実測値である。
【0023】
【0024】
また、情報処理装置100は、例えば、ITP搭載前のコンバージョンの履歴を用いて機械学習した予測モデルによる予測コンバージョンを用いて、ADグループのコンバージョン数を推定することにしてもよい。例えば、予測モデルは、リクエストと、コンバージョンとの関係性をITP搭載前のデータあるいは、トラッキングを許諾している許諾利用者のデータを用いて学習したモデルである。
【0025】
予測コンバージョンを用いたADグループのコンバージョン数は、下記(式2)を用いて推定することができる。(式2)に示す予測CVadg、予測CVcampは、機械学習を用いて学習された予測モデルによるADグループのコンバージョン数およびキャンペーンのコンバージョン数の予測値である。
【0026】
【0027】
なお、(式1)、(式2)と同様の手法を用いて、キャンペーン粒度のコンバージョン数からAD粒度のコンバージョン数やリクエスト粒度のコンバージョン数を推定することもできる。
【0028】
このように、実施形態に係る情報処理装置100は、配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った所定の行動に関する統計情報を取得し、各広告に対する利用者の行動履歴に基づいて、取得した統計情報から複数の広告の一部の広告についての統計情報を推定する。
【0029】
したがって、実施形態に係る情報処理装置100によれば、コンバージョン計測に際し、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を推定することができる。
【0030】
〔2.情報処理装置の構成例〕
次に、
図3を用いて、情報処理装置100の構成例について説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを有する。
【0031】
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、4G(Generation)、5G、LTE(Long Term Evolution)、WiFi(登録商標)若しくは無線LAN(Local Area Network)等といった各種の無線通信網若しくは各種の有線通信網といったネットワークNを介して、外部装置との間で情報の送受信を行う。
【0032】
記憶部130は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部130は、広告情報データベース131、統計情報データベース132、補間情報データベース133および配信モデルデータベース134を有する。
【0033】
広告情報データベース131は、広告主から配信を依頼された配信広告に関する各種広告情報を記憶するデータベースである。広告情報は、たとえば、配信広告として表示するコンテンツ(画像、映像、音声等)、配信条件(配信ターゲット)、配信目標数、目標コンバージョン単価、ランディングページのURLに関する情報が含まれる。
【0034】
統計情報データベース132は、統計情報を記憶するデータベースである。統計情報は、配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する情報である。
【0035】
図4は、実施形態に係る統計情報データベース132の一例を示す図である。なお、
図4では、1つの広告主アカウントに関する統計情報について示す。
図4に示すように、統計情報データベース132は、「階層情報」、「階層ID」、「クリック数」、「CV(コンバージョン)数」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0036】
「階層情報」は、匿名化に関する階層を示す情報であり、キャンペーン、ADグループ、AD、リクエストに大別される。「階層ID」は、対応する階層を識別するための識別子である。
【0037】
「クリック数」は、対応する階層におけるクリック数であり、「CV数」は、対応する階層におけるコンバージョン数である。
図4に示す例では、キャンペーンに対応するCV数が「80」であるのに対し、その下層のCV数はブランクであり、ハイフン「‐」で示している。
【0038】
図3の説明に戻り、補間情報データベース133について説明する。補間情報データベース133は、補間情報を記憶するデータベースである。補間情報は、統計情報データベース132において、コンバージョンの不明箇所あるいは欠損箇所を補間した情報である。
【0039】
図5は、実施形態に係る補間情報データベース133の一例を示す図である。
図5に示すように、補間情報データベース133は、「推定CV数」の項目を有する点で
図4に示す統計情報データベース132と異なる。
【0040】
「推定CV数」は、例えば、キャンペーン粒度のコンバージョン数に基づいて、ADグループ、AD、リクエストそれぞれのコンバージョン数が補間された値である。例えば、上述した(式1)や(式2)によって、「推定CV数」の項目が補間されることになる。
【0041】
図3の説明に戻り、配信モデルデータベース134について説明する。配信モデルデータベース134は、配信モデルを記憶するデータベースである。配信モデルは、CVR(Conversion Rate)が最適化されるように配信広告と、当該配信広告の配信先となる利用者端末50との関係性を学習したモデルである。
【0042】
例えば、後述するように、情報処理装置100は、配信モデルを用いて、各利用者端末50に対し配信する広告を選択することで、各配信広告のCVRの最適化を図ることができる。
【0043】
制御部120は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部120は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0044】
図3に示すように、制御部120は、取得部121と、推定部122と、学習部123と、配信部124と、生成部125とを有する。
【0045】
取得部121は、利用者端末50から各種情報を取得する。取得部121が取得する情報は、たとえば、配信広告に対するリクエストや、配信広告へのアクセスに関する情報等が含まれる。また、取得部121は、トラッキングを許諾している許諾利用者の利用者端末50から、さらに、リクエスト単位のコンバージョン情報を取得する。つまり、許諾利用者については、アクセス単位でコンバージョンを計測することができる。
【0046】
また、取得部121は、例えば、配信対象となる複数の広告のいずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報を取得する。ここでの統計情報は、例えば、ADグループ粒度におけるコンバージョン数である。また、取得部121は、取得した各種情報に基づき、統計情報データベース132を逐次更新する。
【0047】
推定部122は、各広告に対する利用者の行動履歴に基づいて、統計情報から複数の広告の一部の広告についての統計情報を推定する。例えば、推定部122は、統計情報データベース132を参照し、ADグループ粒度におけるコンバージョン数、クリック数および推定対象となる層(ADグループ、AD、リクエスト)のクリック数から推定コンバージョン数を推定する。
【0048】
例えば、推定部122は、上記(式1)を用いて、対象となる推定コンバージョン数を推定する。推定部122は、推定した推定コンバージョン数に基づいて補間情報データベース133の「推定CV数」の項目を補間する。
【0049】
また、推定部122は、予測モデルによる予測値である予測コンバージョン数を用いて上記(式2)により推定コンバージョン数を推定することもできる。
【0050】
これにより、コンバージョン計測に際し、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を推定することができる。なお、この際、推定部122は、トラッキングを許諾した許諾利用者によるコンバージョンの有無に基づいて、対象となる推定コンバージョン数を推定するようにしてもよい。
【0051】
すなわち、推定部122は、対象となる推定コンバージョン数を推定する際に、予め許諾利用者によるコンバージョンの有無を考慮して、推定CV数の推定を行うようにしてもよい。つまり、推定部122は、許諾利用者によるコンバージョンの実測値を利用して、推定コンバージョン数を推定する。これにより、推定コンバージョン数の推定精度を向上させることができる。
【0052】
なお、推定部122によって推定される推定コンバージョン数は、当然ながら誤差を含み得る。そのため、例えば、推定部122によって推定される推定コンバージョン数にマージンを持たせるようにしてもよい。
【0053】
また、推定部122は、例えば、利用者単位、複数の利用者単位で推定コンバージョン数を推定することにしてもよい。ここでの複数の利用者単位とは、例えば、デモグラフィック属性や、サイコグラフィック属性など、所定の属性が類似する利用者のグループを意味する。
【0054】
学習部123は、推定部122により推定された推定コンバージョン数を用いて、配信モデルデータベース134に格納された配信モデルを更新する。例えば、学習部123は、補間情報データベース133に格納された補間情報を教師データとする機械学習処理によって配信モデルを更新する。なお、配信モデルは、各広告のCVRを最適化するように学習されたモデルであり、リクエストとコンバージョンとの関係を学習したモデルである。
【0055】
つまり、学習部123は、配信モデルを逐次更新していくことで、CVRの最適化を図ることができる。
【0056】
配信部124は、利用者端末50によるリクエストに対して配信広告を配信する。たとえば、配信部124は、リクエストのリクエスト元となる利用者や、配信広告の表示媒体に関する情報等を配信モデルに入力することで、利用者端末50へ配信する配信広告を決定する。そして、配信部124は、リクエストに対して配信する配信広告を決定すると、リクエスト元となる利用者端末50に対して配信広告を配信する。
【0057】
生成部125は、広告主に対して広告主レポートを生成する。例えば、生成部125は、補間情報データベース133に格納された補間情報を用いて、階層毎のCVやCVRに関する情報を含むレポートを生成する。生成部125によって生成された広告主レポートは、通信部110を介して、各広告主へ提供される。
【0058】
〔3.処理フロー〕
次に、
図6を用いて、実施形態に係る情報処理装置100が実行する処理手順について説明する。
図6は、実施形態に係る情報処理装置100が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
図6に示すように、まず、情報処理装置100は、統計情報を取得する(ステップS101)。つづいて、情報処理装置100は、ステップS101で取得した統計情報に基づいて、一部の広告に関する統計情報を推定する(ステップS102)。
【0060】
つづいて、情報処理装置100は、ステップS102で推定した統計情報に基づいて配信モデルを更新する(ステップS103)。また、情報処理装置100は、ステップS102で推定した統計情報に基づいて、広告主宛のレポートを生成する(ステップS104)。そして、情報処理装置100は、一連の処理を終了する。
【0061】
〔4.変形例〕
上述した実施形態では、対象行動がコンバージョンである場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、対象行動として、資料請求など任意の行動を設定することができる。
【0062】
〔5.効果〕
上述した実施形態に係る情報処理装置100は、配信対象となる複数の広告いずれかを選択した利用者が行った対象行動に関する統計情報を取得する取得部121と、各広告に対する利用者の行動履歴に基づいて、取得部によって取得された統計情報から複数の広告の一部に関する統計情報を推定する推定部122と、を備える。
【0063】
また、推定部122は、複数の広告単位、広告単位、複数の利用者単位、利用者単位のいずれかで統計情報を推定する。また、推定部122は、各広告に対する利用者の選択履歴の割合に基づいて、取得部によって取得された統計情報から複数の広告の一部に関する統計情報を推定する。
【0064】
また、推定部122は、推定対象となる統計情報の過去の実測値に基づいて、推定対象となる統計情報を推定する。また、推定部122は、推定対象となる統計情報の過去の実測値を学習した予測モデルによる予測値を用いて定対象となる統計情報を推定する。
【0065】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、利用者情報が匿名化された粒度の荒い情報からより細かな粒度の情報を推定することができる。
【0066】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置100は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、実施形態に係る情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0067】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0068】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワーク(通信ネットワーク)Nを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0069】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置(
図7では、出力装置および入力装置を総称して「入出力装置」と記載する)を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0070】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0071】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部120の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0072】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0073】
〔7.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0074】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0075】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0076】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 情報処理システム
50 利用者端末
100 情報処理装置
110 通信部
120 制御部
121 取得部
122 推定部
123 学習部
124 配信部
125 生成部
130 記憶部
131 広告情報データベース
132 統計情報データベース
133 補間情報データベース
134 配信モデルデータベース
200 広告主サーバ