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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044072
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】撚線導体
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/08 20060101AFI20240326BHJP
   B21F 7/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01B5/08
B21F7/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149396
(22)【出願日】2022-09-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】395005169
【氏名又は名称】三洲電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 俊文
【テーマコード(参考)】
4E070
5G307
【Fターム(参考)】
4E070AA04
4E070AB14
4E070AC01
4E070BD01
5G307EA01
5G307EA04
5G307EB00
5G307EF09
5G307EF10
(57)【要約】
【課題】圧縮することなく、若しくは、低い圧縮率で、撚線導体の断面形状を真円状に近い形状に製造できる撚線導体を提供する。
【解決手段】
複数本の第1外太径線2を周方向に離間して設け、周方向に隣り合う第1外太径線2,2間に、第1外細径線4を離間して設け、この第1外細径線4,4間に、2本の第2外太径線3を離間して設け、この第2外太径線3,3間に、第2外細径線5を1本又は周方向に2本設け、第2外細径線5の径方向内側に、内太径線6を配設し、周方向に隣り合う内太径線6,6間に、2本の内細径線7,7を周方向に配設し、内細径線7を、周方向に隣接する第1外太径線2と第1外細径線4間の谷間部16の内側に設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の第1外太径線を周方向に離間して設け、周方向に隣り合う第1外太径線間に、該第1外太径線より細い2本の第1外細径線を離間して設け、この第1外細径線間に、前記第1外細径線より太い2本の第2外太径線を離間して設け、この第2外太径線間に、前記第2外太径線より細い第2外細径線を1本又は周方向に2本設けて最外層を構成した撚線導体であって、
前記第2外細径線における前記撚線導体の径方向内側に、内太径線を配設し、この内太径線を周方向に複数離間して配設し、周方向に隣り合う内太径線間に、前記内太径線より細い2本の内細径線を周方向に配設し、
該内細径線を、周方向に隣接する前記第1外太径線と前記第1外細径線間の谷間部の内側に設け、
前記内太径線と前記内細径線における前記撚線導体の径方向内側に内層を設けたことを特徴とする撚線導体。
【請求項2】
前記内層を、周方向に配設した3本以上の第1内層線で構成したこと特徴とする請求項1記載の撚線導体。
【請求項3】
前記内層を、周方向に3本以上配設した第1内層線と、該第1内層線における前記撚線導体の径方向内側に、1本の中心線で構成したこと特徴とする請求項1記載の撚線導体。
【請求項4】
前記第1外太径線の本数と、前記第2外細径線の本数と、前記内太径線の本数と、前記第1内層線の本数を同じとし、
前記第1外細径線の本数と、前記第2外太径線の本数と、前記第1外細径線の本数が、夫々、前記第1内層線の本数の2倍としたことを特徴とする請求項2又は3記載の撚線導体。
【請求項5】
前記第1外太径線の本数と、前記内太径線の本数と、前記第1内層線の本数を同じとし、
前記第1外細径線の本数と、前記第2外太径線の本数と、前記第2外細径線の本数と、前記第1外細径線の本数が、夫々、前記第1内層線の本数の2倍としたことを特徴とする請求項2又は3記載の撚線導体。
【請求項6】
前記撚線導体の中心から、前記第1外太径線の外縁端までの距離と、前記撚線導体の中心から、前記第2外細径線の外縁端までの距離が同じであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撚線導体。
【請求項7】
前記最外層を構成する素線を、外側から圧縮変形させたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撚線導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚線導体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線等に使用される撚線導体を構成する各々の素線は、一般的に、全て断面円形の丸線で、かつ、同一径である。この素線としては、銅線が主として用いられ、その銅線に、錫、ニッケル、銀、或いはアルミ、各種合金をメッキしたものが使用されている。
【0003】
例えば、同心撚り構成で、かつ、19本の素線で構成される撚線導体は、一般的に、図11に示すように、撚線導体101における中心の1本の素線102を核として、その周囲を6本の素線103が覆い囲んで内層を形成し、更に、その外周を12本の素線104が覆い囲んで外層を形成し、それを同一方向に撚ることで形成されている。また、撚線導体101の外周を、18本の素線で覆い囲んだ37本の素線で構成される同心撚り構成の撚線導体や、更に、その外周を24本の素線で覆い囲んだ61本の素線で構成される同心撚り構成撚線導体も用いられている。
【0004】
素線102、103、104が全て、断面円形で、かつ、同一径であることから、素線102、103、104を標準心線配列で配列して撚線導体101を形成すると、その外周形状は図6に示すように、六角形状に近似した形状となり、丸形状に近似した形状とはならない。以下、これを従来技術1とする。
【0005】
一般的に、撚線導体101は、図11に示すように、外周部に絶縁材106が被覆されて、電線(被覆線)等107として使用される。絶縁材106の減量化は、資源の有効活用の観点から重要であり、そのために、撚線導体の断面形状は真円であることが望まれる。
【0006】
しかし、同じ径の素線で、かつ、19本の同心撚り配列で撚線導体を構成すると、例えば、図6に示すように、撚線導体101の断面形状の外形は、六角形状となり、絶縁材106の厚みは、頂点部の近傍は薄く、頂点部から辺部に至るほど厚くなり、絶縁材106の厚みは不均一となる。また、耐圧不良を防止するためには、頂点部の絶縁材106の厚みが基準となり、辺部の絶縁材106の厚みは余剰で無駄となり、この点からも、撚線導体の断面形状は真円であることが望まれる。
【0007】
また、撚線導体101の断面形状が六角形状であるため、被覆線の端末加工等において、絶縁材106をストリップする際に撚線導体101を傷つける虞があるという問題がある。
【0008】
同心撚り配列以外の一括集合撚線においても、同様に、撚線導体の断面形状が真円であることが望まれている。また、絶縁材を撚線導体に対し均一に被覆することは、耐圧など電気特性の点からも重要である。
【0009】
撚線導体の断面形状を真円とする方法として、例えば、特許文献1記載のように、断面円形で、かつ、全て同一径の素線202を、一方向に撚りながら圧縮ダイスを通すことにより、図12に示すように、撚線導体201の断面形状を略真円とする方法が提案されている。以下、これを従来技術2とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11-25758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記、従来技術2の撚線導体201は、素線202を圧縮ダイスに通す時に、外層素線が、圧縮変形されることにより、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性が損なわれるという問題がある。
【0012】
また、従来技術2の撚線導体201は、一方向に撚りながら圧縮ダイスを通す必要があるため、従来技術1の撚線導体101と比較して、圧縮ダイスが余分に必要であり、この圧縮ダイスは撚線導体201の製造時に摩耗損傷が生じるため、定期交換が必要でありコストが高くなるという問題がある。
【0013】
また、圧縮後の撚線を略真円状にするためには、製造機械(撚線機)の回転数を一定値以下にし、かつ、回転数を安定させる必要があるため、従来技術1の撚線導体101よりも生産効率が悪くなるという問題もある。
【0014】
そこで、圧縮することなく、若しくは、上記従来技術2よりも低い圧縮率で素線を圧縮加工することで、撚線導体の断面形状をより真円形状に近い形状とすることができる撚線導体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の課題を解決するために、本願発明は、複数本の第1外太径線を周方向に離間して設け、周方向に隣り合う第1外太径線間に、該第1外太径線より細い2本の第1外細径線を離間して設け、この第1外細径線間に、前記第1外細径線より太い2本の第2外太径線を離間して設け、この第2外太径線間に、前記第2外太径線より細い第2外細径線を1本又は周方向に2本設けて最外層を構成した撚線導体であって、
前記第2外細径線における前記撚線導体の径方向内側に、内太径線を配設し、この内太径線を周方向に複数離間して配設し、周方向に隣り合う内太径線間に、前記内太径線より細い2本の内細径線を周方向に配設し、
該内細径線を、周方向に隣接する前記第1外太径線と前記第1外細径線間の谷間部の内側に設け、
前記内太径線と前記内細径線における前記撚線導体の径方向内側に内層を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
また、前記内層を、周方向に配設した3本以上の第1内層線で構成してもよい。
【0017】
また、前記内層を、周方向に3本以上配設した第1内層線と、該第1内層線における前記撚線導体の径方向内側に、1本の中心線で構成してもよい。
【0018】
また、前記第1外太径線の本数と、前記第2外細径線の本数と、前記内太径線の本数と、前記第1内層線の本数を同じとし、
前記第1外細径線の本数と、前記第2外太径線の本数と、前記第1外細径線の本数が、夫々、前記第1内層線の本数の2倍としてもよい。
【0019】
また、前記第1外太径線の本数と、前記内太径線の本数と、前記第1内層線の本数を同じとし、
前記第1外細径線の本数と、前記第2外太径線の本数と、前記第2外細径線の本数と、前記第1外細径線の本数が、夫々、前記第1内層線の本数の2倍としてもよい。
【0020】
また、前記撚線導体の中心から、前記第1外太径線の外縁端までの距離と、前記撚線導体の中心から、前記第2外細径線の外縁端までの距離が同じとしてもよい。
【0021】
また、前記最外層を構成する素線を、外側から圧縮変形させてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本願発明によれば、複数本の第1外太径線を周方向に離間して配置し、周方向に隣り合う第1外太径線間に、2本の第1外細径線を離間して設け、この第1外細径線間に、2本の第2外太径線を離間して設け、この第2外太径線間に、第2外細径線を1本又は周方向に2本設けて最外層を構成し、第2外細径線における撚線導体の径方向内側に、内太径線を配設し、この内太径線を周方向に複数離間して配設し、周方向に隣り合う内太径線間に、2本の内細径線を周方向に配設し、内細径線を、周方向に隣接する第1外太径線と第1外細径線間の谷間部の内側に配置し、内太径線と内細径線における撚線導体の径方向内側に内層を設けたことにより、撚線導体の断面形状は略真円形状とし、撚線導体の細径化、軽量化、柔軟性の向上を図ることができる。
【0023】
また、本発明の撚線導体は、従来技術2の撚線導体201のように、素線を圧縮ダイスに通すことなく、撚線導体の外形を略真円形状とすることができるために、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を損うことなく、素線の物理特性を維持することができ、信頼性の高い品質を得ることができ、自動車用電線分野や、音響電線分野等において有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例1に係る撚線導体の横断面図。
図2】本発明の実施例3に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
図3】本発明の実施例3に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
図4】本発明の実施例3に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
図5】本発明の実施例4に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
図6】本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
図7】本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
図8】本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
図9】本発明の実施例5に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
図10】本発明の実施例6に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
図11】従来技術1の撚線導体の横断面図。
図12】従来技術2の撚線導体の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0026】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る撚線導体1の軸方向と直交する方向に切断した横断面図で、その各素線の断面を示す斜線は、図の煩雑を避けるために省略した。
【0027】
撚線導体1は、第1外太径線2、第2外太径線3、第1外細径線4、第2外細径線5、内太径線6、内細径線7、第1内層線8の7種類の素線で構成されている。第1外太径線2と第2外細径線5と内太径線6と第1内層線8は、夫々3本で構成され、第2外太径線3と第1外細径線4と内細径線7は、夫々、第1内層線8の本数の2倍である6本で構成されている。
【0028】
各素線2,3,4,5,6,7,8の基となる線材としては、裸銅線、無酸素銅線、線形結晶無酸素銅線、単結晶状高純度無酸素銅線等の銅線、この銅線に、錫、ニッケル、銀等をメッキしたもの、アルミ線、各種合金線、及び、エナメル線、リッツ線、ホルマル線等の絶縁被覆されたもの等を使用することができる。各素線2,3,4,5,6,7,8の素材は、同じ素材を用いてもよいし、異なる素材を用いてもよい。
【0029】
図1に示すように、3本の第1外太径線2は、撚線導体1の中心Aを中心とする周方向に、相互に離間するように配設されている。
【0030】
撚線導体1の中心Aを中心とする周方向において、隣り合う第1外太径線2,2間に、2本の第1外細径線4,4が、相互に離間するように配設されている。周方向において、最も隣り合う2本の第1外細径線4,4間に、2本の第2外太径線3,3が、相互に離間するように配設されている。周方向において、最も隣り合う2本の第2外太径線3,3間に、1本の第2外細径線5が、配設されている。
【0031】
3本の第1外太径線2と、6本の第2外太径線3と、6本の第1外細径線4と、3本の第2外細径線5の計18本により、最外層11を構成している。
【0032】
第2外細径線5における撚線導体1の中心Aを中心とする径方向内側には、1本の内太径線6が配設され、内太径線6は、周方向に相互に離間するように3本配設されている。撚線導体1の中心Aを中心とする周方向において隣り合う内太径線6,6間に、2本の内細径線7,7が周方向に2本相互に当接するように配設されている。
【0033】
内細径線7は、最外層11を構成し、かつ、周方向において隣接する第1外太径線2と第1外細径線4との間で構成される谷間部16の内側に、隣接する第1外太径線2と第1外細径線4と内太径線6に当接するように配設されている。
【0034】
3本の内太径線6と6本の内細径線7により、第1外層12を構成し、第1外層12は、最外層11の内側に形成されている。また、最外層11と第1外層12により、外層13を構成している。
【0035】
内太径線6と内細径線7における撚線導体1の径方向内側には、3本の第1内層線8が周方向に配設され、3本の第1内層線8で内層14を構成している。内層14は、第1外層12の内側に形成されている。第1内層線8は、隣接する内太径線6と内細径線7に当接するように配設されている。
【0036】
内太径線6の直径d5は、第1内層線8の直径d7より太く設定され、第1内層線8の直径d7は、第1外太径線2の直径d1より太く設定され、第1外太径線2の直径d1は、内細径線7の直径d6の直径より太く設定され、内細径線7の直径d6の直径は、第2外太径線3の直径d2より太く設定され、第2外太径線3の直径d2の直径d3は、第1外細径線4の直径d3の直径より太く設定され、第1外細径線4の直径d3の直径は、第2外細径線5の直径d4の直径より太く設定されている。
【0037】
本実施例1では、d1=0.84×d7,d2=0.82×d7,d3=0.69×d7,d4=0.67×d7,d5=1.195×d7,d6=0.825×d7の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8を用いた。
【0038】
また、撚線導体1の断面形状が、略真円形状、つまり、撚線導体1の中心Aから第1外太径線の最外縁端Bまでの距離L1と、撚線導体1の中心Aから第2外細径線5の最外縁端Cまでの距離L2が略同一となるように形成されている。
【0039】
本願発明の撚線導体1は、上記の構造を有しているために、次のような作用、効果を奏する。
【0040】
撚線導体1の外形形状を圧縮することなく、略真円形状とし、かつ、素線2,3,4,5,6,7,8が、隣接する略全ての素線2,3,4,5,6,7,8と接触することができる。
【0041】
撚線導体1の外形が略真円形状で、かつ、上述のように、従来技術1の撚線導体101よりも細径化できることにより、絶縁材の被覆の厚みを薄くでき、かつ、略均一化することができるため、絶縁材を減量でき、コストを低減することができる。
【0042】
また、撚線導体1は、従来技術2の撚線導体201のように、素線を圧縮ダイスに通すことなく、撚線導体1の外形を略真円形状とすることができるため、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を損うことがなく、素線の物理特性を維持することができ、信頼性の高い品質を得ることができ、自動車用電線分野や、音響電線分野等において有効に活用することができる。
【0043】
[実施例2]
上記実施例1の撚線導体1を構成する素線を、第1外太径線2の直径d1が、第1外細径線4の直径d3と第2外細径線5の直径d4より太く、第2外太径線3の直径d2が、第1外細径線4の直径d3と第2外細径線5の直径d4より太いとともに、内太径線6の直径d5が、内細径線7の直径d6の直径より太いものを用いて各素線2,3,4,5,6,7,8及び撚線導体1を構成すれば、上記実施例1に記載の径を有する素線以外にも任意の素線を用いて撚線導体1を構成することができる。また、撚線導体1において最も外側に位置する層である最外層11の外側から圧縮ダイス等により、圧縮してもよい。
【0044】
この圧縮により、最外層11を構成する第1外太径線2と第2外太径線3と第1外細径線4と第2外細径線5の外周部は、圧縮変形され、撚線導体の外形形状をより真円形状に近づけることができる。圧縮ダイス等による圧縮は、撚線導体1を製造する際に行っても良いし、撚線導体1を製造した後に行っても良い。なお、圧縮率に関しては、任意に設定する。
【0045】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0046】
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【0047】
[実施例3]
上記実施例1,2においては、第1外太径線2と第2外細径線5と内太径線6と第1内層線8を、夫々3本で構成し、第2外太径線3と第1外細径線4と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である6本で構成したが、第1外太径線2と第2外細径線5と内太径線6と第1内層線8の本数を同じとし、第2外太径線3と第1外細径線4と内細径線7の本数を、夫々、第1内層線8の本数の2倍であればよいとともに、第1内層線8の本数が3本以上であれば夫々任意の本数に設定することができる。
【0048】
また、周方向に配設された複数の第1内層線8における撚線導体の径方向内側に、1本の中心線20を設け、第1内層線8と中心線20とにより内層24を構成してもよい。
【0049】
第1外太径線2、第2外太径線3、第1外細径線4、第2外細径線5、内太径線6、内細径線7、第1内層線8は、上記実施例1,2と同様の規則性で配列されている。
【0050】
例えば、図2に示すように、第1外太径線2と第2外細径線5と内太径線6と第1内層線8を、夫々4本、第2外太径線3と第1外細径線4と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である8本とした撚線導体21の場合には、d1=0.605×d7,d2=0.59×d7,d3=0.485×d7,d4=0.47×d7,d5=0.98×d7,d6=0.67×d7の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体21の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0051】
例えば、図3に示すように、第1外太径線2と第2外細径線5と内太径線6と第1内層線8を、夫々5本、第2外太径線3と第1外細径線4と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である10本とし、5本の第1内層線8における撚線導体の径方向内側に、1本の中心線20を設けた撚線導体22の場合には、中心線20の直径をd8とし、d1=0.48×d7,d2=0.48×d7,d3=0.39×d7,d4=0.37×d7,d5=0.83×d7,d6=0.545×d7,d8=0.70×d7の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8,20の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体22の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0052】
例えば、図4に示すように、第1外太径線2と第2外細径線5と内太径線6と第1内層線8を、夫々6本、第2外太径線3と第1外細径線4と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である12本とし、6本の第1内層線8における撚線導体の径方向内側に、1本の中心線20を設けた撚線導体23の場合には、中心線20の直径をd8とし、d1=0.42×d7,d2=0.42×d7,d3=0.335×d7,d4=0.33×d7,d5=0.765×d7,d6=0.50×d7,d8=d7の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8,20の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体23の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0053】
その他の構造は、上記実施例1,2と同様であるため説明を省略する。
【0054】
本実施例3においても、上記実施例1,2と同様の作用効果を発揮することができる。
【0055】
[実施例4]
上記実施例1乃至3においては、最外層11を構成し、かつ、周方向において、最も隣り合う2本の第2外太径線3,3間に、1本の第2外細径線5を配設したが、この2本の第2外太径線3,3間に、2本の第2外細径線5,5を周方向に配設してもよい。
【0056】
図5図8に示すように、最外層11を構成し、かつ、周方向において、最も隣り合う2本の第2外細径線5,5との間で構成される谷間部17の内側には、1本の内太径線6が配設されている。すなわち、第2外細径線5における撚線導体の中心Aを中心とする径方向内側には、1本の内太径線6が配設されている。
【0057】
また、最外層11を構成し、かつ、周方向において隣接する第1外太径線2と第1外細径線4との間で構成される谷間部16の内側に、内細径線7が配設されている。
【0058】
第1外太径線2の直径d1が、第1外細径線4の直径d3と第2外細径線5の直径d4より太く、第2外太径線3の直径d2が、第1外細径線4の直径d3と第2外細径線5の直径d4より太く、第2外細径線5の直径d4が、第1外細径線4の直径d3より太いとともに、内太径線6の直径d5が、内細径線7の直径d6の直径より太いものを用いて各素線2,3,4,5,6,7,8,20を構成することができる。
【0059】
例えば、図5に示すように、第1外太径線2と内太径線6と第1内層線8を、夫々3本、第2外太径線3と第1外細径線4と第2外細径線5と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である6本とした撚線導体31の場合には、d1=0.72×d7,d2=0.72×d7,d3=0.55×d7,d4=0.57×d7,d5=1.195×d7,d6=0.825×d7の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体31の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0060】
例えば、図6に示すように、第1外太径線2と内太径線6と第1内層線8を、夫々4本、第2外太径線3と第1外細径線4と第2外細径線5と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である8本とした撚線導体32の場合には、d1=0.535×d7,d2=0.535×d7,d3=0.38×d7,d4=0.42×d7,d5=0.98×d7,d6=0.67×d7の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体32の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0061】
例えば、図7に示すように、第1外太径線2と内太径線6と第1内層線8を、夫々5本、第2外太径線3と第1外細径線4と第2外細径線5と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である10本とし、5本の第1内層線8における撚線導体の径方向内側に、1本の中心線20を設けた撚線導体33の場合には、中心線20の直径をd8とし、d1=0.42×d7,d2=0.425×d7,d3=0.30×d7,d4=0.33×d7,d5=0.83×d7,d6=0.545×d7,d8=0.70×d7の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8,20の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体33の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0062】
例えば、図8に示すように、第1外太径線2と内太径線6と第1内層線8を、夫々6本、第2外太径線3と第1外細径線4と第2外細径線5と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である12本とし、6本の第1内層線8における撚線導体の径方向内側に、1本の中心線20を設けた撚線導体34の場合には、中心線20の直径をd8とし、d1=0.36×d7,d2=0.34×d7,d3=0.27×d7,d4=0.275×d7,d5=0.765×d7,d6=0.50×d7,d8=d7の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8,20の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体34の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0063】
その他の構造は、上記実施例1乃至3と同様であるため説明を省略する。
【0064】
本実施例4においても、上記実施例1乃至3と同様の作用効果を発揮することができる。
【0065】
[実施例5]
上記実施例4においては、第2外細径線5の直径d4を、第1外細径線4の直径d3より太い形成したが、第1外細径線4の直径d3を、第2外細径線5の直径d4より太く形成してもよい。
【0066】
例えば、図9に示すように、第1外太径線2と内太径線6と第1内層線8を、夫々4本、第2外太径線3と第1外細径線4と第2外細径線5と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である8本とした撚線導体36の場合には、d1=0.545×d7,d2=0.55×d7,d3=0.395×d7,d4=0.37×d7,d5=1.01×d7,d6=0.63×d7の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体36の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0067】
その他の構造は、上記実施例4と同様であるため説明を省略する。
【0068】
本実施例5においても、上記実施例4と同様の作用効果を発揮することができる。
【0069】
[実施例6]
上記実施例1乃至5においては、内層14,24を、第1内層線8、又は、第1内層線8と中心線20で構成したが、中心線20の代わりに、任意の直径からなる複数本の素線やカーボンファイバー等を配列するようにしてもよい。
【0070】
例えば、図10に示すように、第1外太径線2と第2外細径線5と内太径線6と第1内層線8を、夫々6本、第2外太径線3と第1外細径線4と内細径線7を、夫々、第1内層線8の本数の2倍である12本とし、最外層11を構成する2本の第2外太径線3,3間に、1本の第2外細径線5を配設して、図4に示す撚線導体23の外層13と同様の外層13を構成するとともに、6本の第1内層線8を周方向に配設して第1内層41を構成し、第1内層41の内側に、6本の第2内層線42を周方向に配設して第2内層43を構成し、第2内層43の内側に中心線44を配設して、内層50を構成した撚線導体51としてもよい。
【0071】
その他の構造は、上記実施例1乃至5同様であるため説明を省略する。
【0072】
本実施例6においても、上記実施例1乃至5と同様の作用効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0073】
1,21,22,23,31,32,33,34,36,51 撚線導体
2 第1外太径線
3 第2外太径線
4 第1外細径線
5 第2外細径線
6 内太径線
7 内細径線
8 第1内層線
11 最外層
14,24,50 内層
20,44 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の第1外太径線を周方向に離間して設け、周方向に隣り合う第1外太径線間に、該第1外太径線より細い2本の第1外細径線を離間して設け、この第1外細径線間に、前記第1外細径線より太い2本の第2外太径線を離間して設け、この第2外太径線間に、前記第2外太径線より細い第2外細径線を1本又は周方向に2本設けて最外層を構成した撚線導体であって、
前記第2外細径線における前記撚線導体の径方向内側に、内太径線を配設し、この内太径線を周方向に複数離間して配設し、周方向に隣り合う内太径線間に、前記内太径線より細い2本の内細径線を周方向に配設し、
該内細径線を、周方向に隣接する前記第1外太径線と前記第1外細径線間の谷間部の内側に設け、
前記内太径線と前記内細径線における前記撚線導体の径方向内側に内層を設け、
前記撚線導体の中心から、前記第1外太径線の外縁端までの距離と、前記撚線導体の中心から、前記第2外細径線の外縁端までの距離が同じであることを特徴とする撚線導体。
【請求項2】
前記内層を、周方向に配設した3本以上の第1内層線で構成したこと特徴とする請求項1記載の撚線導体。
【請求項3】
前記内層を、周方向に3本以上配設した第1内層線と、該第1内層線における前記撚線導体の径方向内側に、1本の中心線で構成したこと特徴とする請求項1記載の撚線導体。
【請求項4】
前記第1外太径線の本数と、前記第2外細径線の本数と、前記内太径線の本数と、前記第1内層線の本数を同じとし、
前記第1外細径線の本数と、前記第2外太径線の本数と、前記内細径線の本数が、夫々、前記第1内層線の本数の2倍としたことを特徴とする請求項2又は3記載の撚線導体。
【請求項5】
前記第1外太径線の本数と、前記内太径線の本数と、前記第1内層線の本数を同じとし、
前記第1外細径線の本数と、前記第2外太径線の本数と、前記第2外細径線の本数と、前記内細径線の本数が、夫々、前記第1内層線の本数の2倍としたことを特徴とする請求項2又は3記載の撚線導体。
【請求項6】
前記最外層を構成する素線を、外側から圧縮変形させたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撚線導体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
素線102、103、104が全て、断面円形で、かつ、同一径であることから、素線102、103、104を標準心線配列で配列して撚線導体101を形成すると、その外周形状は図11に示すように、六角形状に近似した形状となり、丸形状に近似した形状とはならない。以下、これを従来技術1とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
しかし、同じ径の素線で、かつ、19本の同心撚り配列で撚線導体を構成すると、例えば、図11に示すように、撚線導体101の断面形状の外形は、六角形状となり、絶縁材106の厚みは、頂点部の近傍は薄く、頂点部から辺部に至るほど厚くなり、絶縁材106の厚みは不均一となる。また、耐圧不良を防止するためには、頂点部の絶縁材106の厚みが基準となり、辺部の絶縁材106の厚みは余剰で無駄となり、この点からも、撚線導体の断面形状は真円であることが望まれる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
前記の課題を解決するために、本願発明は、複数本の第1外太径線を周方向に離間して設け、周方向に隣り合う第1外太径線間に、該第1外太径線より細い2本の第1外細径線を離間して設け、この第1外細径線間に、前記第1外細径線より太い2本の第2外太径線を離間して設け、この第2外太径線間に、前記第2外太径線より細い第2外細径線を1本又は周方向に2本設けて最外層を構成した撚線導体であって、
前記第2外細径線における前記撚線導体の径方向内側に、内太径線を配設し、この内太径線を周方向に複数離間して配設し、周方向に隣り合う内太径線間に、前記内太径線より細い2本の内細径線を周方向に配設し、
該内細径線を、周方向に隣接する前記第1外太径線と前記第1外細径線間の谷間部の内側に設け、
前記内太径線と前記内細径線における前記撚線導体の径方向内側に内層を設け、
前記撚線導体の中心から、前記第1外太径線の外縁端までの距離と、前記撚線導体の中心から、前記第2外細径線の外縁端までの距離が同じであることを特徴とするものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、前記第1外太径線の本数と、前記第2外細径線の本数と、前記内太径線の本数と、前記第1内層線の本数を同じとし、 前記第1外細径線の本数と、前記第2外太径線の本数と、前記内細径線の本数が、夫々、前記第1内層線の本数の2倍としてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、前記第1外太径線の本数と、前記内太径線の本数と、前記第1内層線の本数を同じとし、 前記第1外細径線の本数と、前記第2外太径線の本数と、前記第2外細径線の本数と、前記内細径線の本数が、夫々、前記第1内層線の本数の2倍としてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
内太径線6と内細径線7における撚線導体1の径方向内側には、3本の第1内層線8が周方向に配設され、3本の第1内層線8で内層14を構成している。内層14は、第外層12の内側に形成されている。第1内層線8は、隣接する内太径線6と内細径線7に当接するように配設されている。