IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田中央研究所の特許一覧

<>
  • 特開-センサネットワーク 図1
  • 特開-センサネットワーク 図2
  • 特開-センサネットワーク 図3
  • 特開-センサネットワーク 図4
  • 特開-センサネットワーク 図5
  • 特開-センサネットワーク 図6
  • 特開-センサネットワーク 図7
  • 特開-センサネットワーク 図8
  • 特開-センサネットワーク 図9
  • 特開-センサネットワーク 図10
  • 特開-センサネットワーク 図11
  • 特開-センサネットワーク 図12
  • 特開-センサネットワーク 図13
  • 特開-センサネットワーク 図14
  • 特開-センサネットワーク 図15
  • 特開-センサネットワーク 図16
  • 特開-センサネットワーク 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044080
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】センサネットワーク
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/54 20200101AFI20240326BHJP
【FI】
G01R31/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149406
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 則一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 貴志
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 基弘
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AB25
2G014AB34
2G014AC18
(57)【要約】
【課題】断線時のロバスト性を高めることが可能なセンサネットワークを提供する。
【解決手段】センサネットワークは、分岐ユニットを起点としてN個のセンサユニットが順番に接続された上で分岐ユニットに戻る環状のシリアル接続構造を備えている。センサネットワークは、第1および第2方向に伝達する、第1および第2の信号線を備える。N個のセンサユニットの各々は、第1および第2の信号線の断線の有無を検出する、第1および第2切換え部を備えている。N個のセンサユニットの各々は、第1および第2切換え部によって断線が検出されない場合には、第1および第2入力端子に入力された信号を、第1および第2出力端子へ伝達する。第1切換え部によって断線が検出されている場合には、第2入力端子の入力信号を第1出力端子へ伝達する。第2切換え部によって断線が検出されている場合には、第1入力端子の入力信号を第2出力端子へ伝達する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは2以上の自然数)のセンサユニットと、分岐ユニットと、を備えるセンサネットワークであって、
前記センサネットワークは、前記分岐ユニットを起点として1番目からN番目までの前記センサユニットが順番に接続された上で前記分岐ユニットに戻る環状のシリアル接続構造を備えており、
前記センサネットワークは、
前記分岐ユニットから第1方向に伝達して前記分岐ユニットに戻ってくる信号を伝達するための第1の信号線と、
前記分岐ユニットから前記第1方向とは反対の第2方向に伝達して前記分岐ユニットに戻ってくる信号を伝達するための第2の信号線と、
を備えており、
N個の前記センサユニットの各々は、第1入力端子、第1出力端子、第2入力端子、第2出力端子、を備えており、
K番目(Kは2以上N-1以下の自然数)の前記センサユニットの前記第1入力端子は、前記第1の信号線を介してK-1番目の前記センサユニットの前記第1出力端子に接続されており、
K番目の前記センサユニットの前記第1出力端子は、前記第1の信号線を介してK+1番目の前記センサユニットの前記第1入力端子に接続されており、
K番目の前記センサユニットの前記第2入力端子は、前記第2の信号線を介してK+1番目の前記センサユニットの前記第2出力端子に接続されており、
K番目の前記センサユニットの前記第2出力端子は、前記第2の信号線を介してK-1番目の前記センサユニットの前記第2入力端子に接続されており、
N個の前記センサユニットの各々は、
前記第1入力端子とK-1番目の前記センサユニットの前記第1出力端子とを接続する前記第1の信号線の断線の有無を検出する第1切換え部と、
前記第2入力端子とK+1番目の前記センサユニットの前記第2出力端子とを接続する前記第2の信号線の断線の有無を検出する第2切換え部と、
をさらに備えており、
N個の前記センサユニットの各々は、
前記第1切換え部および前記第2切換え部によって断線が検出されない場合には、前記第1入力端子に入力された前記信号を前記第1出力端子へ伝達するとともに、前記第2入力端子に入力された前記信号を前記第2出力端子に伝達し、
前記第1切換え部によって断線が検出されている場合には、前記第2入力端子に入力された前記信号を前記第1出力端子へ伝達し、
前記第2切換え部によって断線が検出されている場合には、前記第1入力端子に入力された前記信号を前記第2出力端子へ伝達する、
センサネットワーク。
【請求項2】
N個の前記センサユニットの各々は、
前記第1入力端子から前記第1出力端子への前記信号の伝達経路上に配置されている第1センサと、
前記第2入力端子から前記第2出力端子への前記信号の伝達経路上に配置されている第2センサと、
の少なくとも一方を備えており、
前記第1センサは、前記信号が前記第1入力端子から入力されることに応じて検出動作を開始し、前記第1センサで検出されたセンサ検出信号を前記信号に付加して前記第1出力端子へ出力する回路であり、
前記第2センサは、前記信号が前記第2入力端子から入力されることに応じて検出動作を開始し、前記第2センサで検出されたセンサ検出信号を前記信号に付加して前記第2出力端子へ出力する回路であり、
前記分岐ユニットからは、複数の前記センサ検出信号が連続して出力される、
請求項1に記載のセンサネットワーク。
【請求項3】
前記信号は、
前記センサ検出信号と、
前記第1センサおよび前記第2センサの駆動を制御する駆動信号と、
を含んでおり、
前記第1の信号線は、前記センサ検出信号を伝達する第1の検出信号線と、前記駆動信号を伝達する第1の駆動信号線と、を備えており、
前記第2の信号線は、前記センサ検出信号を伝達する第2の検出信号線と、前記駆動信号を伝達する第2の駆動信号線と、を備えており、
断線検査時において、N個の前記センサユニットの各々の前記第1入力端子および前記第2入力端子に、第1レベルの電圧を印加する断線検査部をさらに備えており、
N個の前記センサユニットの各々は、前記第1入力端子および前記第2入力端子を、前記第1レベルとは異なる第2レベルの電源部に接続する抵抗部をさらに備えており、
前記第1切換え部は、断線検査時において、前記第1入力端子の電圧が第2レベルであるときに断線を検出し、
前記第2切換え部は、断線検査時において、前記第2入力端子の電圧が第2レベルであるときに断線を検出する、
請求項2に記載のセンサネットワーク。
【請求項4】
前記分岐ユニットは、第3入力端子、第3出力端子、第4入力端子、第4出力端子、を備えており、
前記第3出力端子は、前記第1の信号線を介して1番目の前記センサユニットの前記第1入力端子に接続されており、
前記第3入力端子は、前記第1の信号線を介してN番目の前記センサユニットの前記第1出力端子に接続されており、
前記第4出力端子は、前記第2の信号線を介してN番目の前記センサユニットの前記第2入力端子に接続されており、
前記第4入力端子は、前記第2の信号線を介して1番目の前記センサユニットの前記第2出力端子に接続されており、
前記分岐ユニットは、第3切換え部を備えており、
前記第3切換え部は、
前記信号を前記第3出力端子から出力するとともに、前記第4入力端子に入力された前記信号を前記第4出力端子に伝達する第1の状態と、
前記信号を前記第4出力端子から出力するとともに、前記第3出力端子をハイインピーダンス状態にする第2の状態と、
を切換え可能に構成されており、
前記第3切換え部は、
前記信号が前記第3出力端子から出力されてから、前記センサネットワークを伝達して戻ってきた前記信号が前記第3入力端子に入力されるまでの間に、前記第3出力端子から出力された前記信号が前記第4入力端子に入力されている場合には、前記第1の状態を維持し、
前記信号が前記第3出力端子から出力されてから、前記第4入力端子に前記信号が入力されることなく、前記第3入力端子に前記信号が入力される場合には、前記第2の状態に切換える、
請求項1~3の何れか1項に記載のセンサネットワーク。
【請求項5】
N個(Nは2以上の自然数)のセンサユニットと、分岐ユニットと、を備えるセンサネットワークであって、
前記センサネットワークは、前記分岐ユニットを起点として1番目からN番目までの前記センサユニットが順番に接続された上で前記分岐ユニットに戻る環状のシリアル接続構造を備えており、
前記センサネットワークは、
前記分岐ユニットから第1方向に伝達して前記分岐ユニットに戻ってくる信号を伝達するための第1の信号線と、
前記分岐ユニットから前記第1方向とは反対の第2方向に伝達して前記分岐ユニットに戻ってくる信号を伝達するための第2の信号線と、
を備えており、
N個の前記センサユニットの各々は、第1入力端子、第1出力端子、第2入力端子、第2出力端子、を備えており、
K番目(Kは2以上N-1以下の自然数)の前記センサユニットの前記第1入力端子は、前記第1の信号線を介してK-1番目の前記センサユニットの前記第1出力端子に接続されており、
K番目の前記センサユニットの前記第1出力端子は、前記第1の信号線を介してK+1番目の前記センサユニットの前記第1入力端子に接続されており、
K番目の前記センサユニットの前記第2入力端子は、前記第2の信号線を介してK+1番目の前記センサユニットの前記第2出力端子に接続されており、
K番目の前記センサユニットの前記第2出力端子は、前記第2の信号線を介してK-1番目の前記センサユニットの前記第2入力端子に接続されており、
前記分岐ユニットは、第3入力端子、第3出力端子、第4入力端子、第4出力端子、を備えており、
前記第3出力端子は、前記第1の信号線を介して1番目の前記センサユニットの前記第1入力端子に接続されており、
前記第3入力端子は、前記第1の信号線を介してN番目の前記センサユニットの前記第1出力端子に接続されており、
前記第4出力端子は、前記第2の信号線を介してN番目の前記センサユニットの前記第2入力端子に接続されており、
前記第4入力端子は、前記第2の信号線を介して1番目の前記センサユニットの前記第2出力端子に接続されており、
前記分岐ユニットは、第3切換え部を備えており、
前記第3切換え部は、
前記信号を前記第3出力端子から出力するとともに、前記第4入力端子に入力された前記信号を前記第4出力端子に伝達する第1の状態と、
前記信号を前記第4出力端子から出力するとともに、前記第3出力端子をハイインピーダンス状態にする第2の状態と、
を切換え可能に構成されており、
前記第3切換え部は、
前記信号が前記第3出力端子から出力されてから、前記センサネットワークを伝達して戻ってきた前記信号が前記第3入力端子に入力されるまでの間に、前記第3出力端子から出力された前記信号が前記第4入力端子に入力されている場合には、前記第1の状態を維持し、
前記信号が前記第3出力端子から出力されてから、前記第4入力端子に前記信号が入力されることなく、前記第3入力端子に前記信号が入力される場合には、前記第2の状態に切換える、
センサネットワーク。
【請求項6】
N個の前記センサユニットの各々は、
前記第1入力端子から前記第1出力端子への前記信号の伝達経路上に配置されている第1センサと、
前記第2入力端子から前記第2出力端子への前記信号の伝達経路上に配置されている第2センサと、
の少なくとも一方を備えており、
前記第1センサは、前記信号が前記第1入力端子から入力されることに応じて検出動作を開始し、前記第1センサで検出されたセンサ検出信号を前記信号に付加して前記第1出力端子へ出力する回路であり、
前記第2センサは、前記信号が前記第2入力端子から入力されることに応じて検出動作を開始し、前記第2センサで検出されたセンサ検出信号を前記信号に付加して前記第2出力端子へ出力する回路であり、
前記分岐ユニットからは、複数の前記センサ検出信号が連続して出力される、
請求項5に記載のセンサネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、断線時のロバスト性を高めることが可能なセンサネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2次元アレイ状に配置された複数のセンサを有するセンサアレイと、X-Yデコーダと、を備えるセンサシステムが示されている。X-Yデコーダによってセンサアレイをスキャンすることで、複数のセンサを読み出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-258018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のセンサの検出信号を、1本の信号線を用いてシリアル出力する場合がある。この場合、信号線の何れかの部位に断線故障が発生すると、全てのセンサの検出信号を出力することができなくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示されるセンサネットワークの一態様は、N個(Nは2以上の自然数)のセンサユニットと、分岐ユニットと、を備えるセンサネットワークである。センサネットワークは、分岐ユニットを起点として1番目からN番目までのセンサユニットが順番に接続された上で分岐ユニットに戻る環状のシリアル接続構造を備えている。センサネットワークは、分岐ユニットから第1方向に伝達して分岐ユニットに戻ってくる信号を伝達するための第1の信号線を備える。センサネットワークは、分岐ユニットから第1方向とは反対の第2方向に伝達して分岐ユニットに戻ってくる信号を伝達するための第2の信号線を備える。N個のセンサユニットの各々は、第1入力端子、第1出力端子、第2入力端子、第2出力端子、を備えている。 K番目(Kは2以上N-1以下の自然数)のセンサユニットの第1入力端子は、第1の信号線を介してK-1番目のセンサユニットの第1出力端子に接続されている。 K番目のセンサユニットの第1出力端子は、第1の信号線を介してK+1番目のセンサユニットの第1入力端子に接続されている。 K番目のセンサユニットの第2入力端子は、第2の信号線を介してK+1番目のセンサユニットの第2出力端子に接続されている。K番目のセンサユニットの第2出力端子は、第2の信号線を介してK-1番目のセンサユニットの第2入力端子に接続されている。N個のセンサユニットの各々は、第1入力端子とK-1番目のセンサユニットの第1出力端子とを接続する第1の信号線の断線の有無を検出する第1切換え部をさらに備えている。N個のセンサユニットの各々は、第2入力端子とK+1番目のセンサユニットの第2出力端子とを接続する第2の信号線の断線の有無を検出する第2切換え部をさらに備えている。N個のセンサユニットの各々は、第1切換え部および第2切換え部によって断線が検出されない場合には、第1入力端子に入力された信号を第1出力端子へ伝達するとともに、第2入力端子に入力された信号を第2出力端子に伝達する。N個のセンサユニットの各々は、第1切換え部によって断線が検出されている場合には、第2入力端子に入力された信号を第1出力端子へ伝達する。N個のセンサユニットの各々は、第2切換え部によって断線が検出されている場合には、第1入力端子に入力された信号を第2出力端子へ伝達する。
【0006】
当該センサネットワークでは、第1の信号線が断線した場合には、断線した第1の信号線を迂回するような一筆書きの経路を、第1切換え部によって新たに形成することができる。また第2の信号線が断線した場合には、断線した第2の信号線を迂回するような一筆書きの経路を、第2切換え部によって新たに形成することができる。これにより、N個のセンサユニットのシリアル接続経路上で断線が発生した場合においても、N個のセンサユニット全ての出力をシリアル出力することができる。断線時のロバスト性を高めることが可能となる。
【0007】
N個のセンサユニットの各々は、第1入力端子から第1出力端子への信号の伝達経路上に配置されている第1センサと、第2入力端子から第2出力端子への信号の伝達経路上に配置されている第2センサと、の少なくとも一方を備えていてもよい。第1センサは、信号が第1入力端子から入力されることに応じて検出動作を開始し、第1センサで検出されたセンサ検出信号を信号に付加して第1出力端子へ出力する回路であってもよい。第2センサは、信号が第2入力端子から入力されることに応じて検出動作を開始し、第2センサで検出されたセンサ検出信号を信号に付加して第2出力端子へ出力する回路であってもよい。分岐ユニットからは、複数のセンサ検出信号が連続して出力されてもよい。
【0008】
信号は、センサ検出信号と、第1センサおよび第2センサの駆動を制御する駆動信号と、を含んでいてもよい。第1の信号線は、センサ検出信号を伝達する第1の検出信号線と、駆動信号を伝達する第1の駆動信号線と、を備えていてもよい。第2の信号線は、センサ検出信号を伝達する第2の検出信号線と、駆動信号を伝達する第2の駆動信号線と、を備えていてもよい。断線検査時において、N個のセンサユニットの各々の第1入力端子および第2入力端子に、第1レベルの電圧を印加する断線検査部をさらに備えていてもよい。N個のセンサユニットの各々は、第1入力端子および第2入力端子を、第1レベルとは異なる第2レベルの電源部に接続する抵抗部をさらに備えていてもよい。第1切換え部は、断線検査時において、第1入力端子の電圧が第2レベルであるときに断線を検出してもよい。第2切換え部は、断線検査時において、第2入力端子の電圧が第2レベルであるときに断線を検出してもよい。
【0009】
分岐ユニットは、第3入力端子、第3出力端子、第4入力端子、第4出力端子、を備えていてもよい。第3出力端子は、第1の信号線を介して1番目のセンサユニットの第1入力端子に接続されていてもよい。第3入力端子は、第1の信号線を介してN番目のセンサユニットの第1出力端子に接続されていてもよい。第4出力端子は、第2の信号線を介してN番目のセンサユニットの第2入力端子に接続されていてもよい。第4入力端子は、第2の信号線を介して1番目のセンサユニットの第2出力端子に接続されていてもよい。分岐ユニットは、第3切換え部を備えていてもよい。第3切換え部は、信号を第3出力端子から出力するとともに、第4入力端子に入力された信号を第4出力端子に伝達する第1の状態と、信号を第4出力端子から出力するとともに、第3出力端子をハイインピーダンス状態にする第2の状態と、を切換え可能に構成されていてもよい。第3切換え部は、信号が第3出力端子から出力されてから、センサネットワークを伝達して戻ってきた信号が第3入力端子に入力されるまでの間に、第3出力端子から出力された信号が第4入力端子に入力されている場合には、第1の状態を維持してもよい。第3切換え部は、信号が第3出力端子から出力されてから、第4入力端子に信号が入力されることなく、第3入力端子に信号が入力される場合には、第2の状態に切換えてもよい。
【0010】
本明細書で開示されるセンサネットワークの一態様は、N個(Nは2以上の自然数)のセンサユニットと、分岐ユニットと、を備えるセンサネットワークである。センサネットワークは、分岐ユニットを起点として1番目からN番目までのセンサユニットが順番に接続された上で分岐ユニットに戻る環状のシリアル接続構造を備えている。センサネットワークは、分岐ユニットから第1方向に伝達して分岐ユニットに戻ってくる信号を伝達するための第1の信号線を備える。センサネットワークは、分岐ユニットから第1方向とは反対の第2方向に伝達して分岐ユニットに戻ってくる信号を伝達するための第2の信号線を備える。N個のセンサユニットの各々は、第1入力端子、第1出力端子、第2入力端子、第2出力端子、を備えている。K番目(Kは2以上N-1以下の自然数)のセンサユニットの第1入力端子は、第1の信号線を介してK-1番目のセンサユニットの第1出力端子に接続されている。K番目のセンサユニットの第1出力端子は、第1の信号線を介してK+1番目のセンサユニットの第1入力端子に接続されている。K番目のセンサユニットの第2入力端子は、第2の信号線を介してK+1番目のセンサユニットの第2出力端子に接続されている。K番目のセンサユニットの第2出力端子は、第2の信号線を介してK-1番目のセンサユニットの第2入力端子に接続されている。分岐ユニットは、第3入力端子、第3出力端子、第4入力端子、第4出力端子、を備えている。第3出力端子は、第1の信号線を介して1番目のセンサユニットの第1入力端子に接続されている。第3入力端子は、第1の信号線を介してN番目のセンサユニットの第1出力端子に接続されている。第4出力端子は、第2の信号線を介してN番目のセンサユニットの第2入力端子に接続されている。第4入力端子は、第2の信号線を介して1番目のセンサユニットの第2出力端子に接続されている。分岐ユニットは、第3切換え部を備えている。第3切換え部は、信号を第3出力端子から出力するとともに、第4入力端子に入力された信号を第4出力端子に伝達する第1の状態と、信号を第4出力端子から出力するとともに、第3出力端子をハイインピーダンス状態にする第2の状態と、を切換え可能に構成されている。第3切換え部は、信号が第3出力端子から出力されてから、センサネットワークを伝達して戻ってきた信号が第3入力端子に入力されるまでの間に、第3出力端子から出力された信号が第4入力端子に入力されている場合には、第1の状態を維持する。 信号が第3出力端子から出力されてから、第4入力端子に信号が入力されることなく、第3入力端子に信号が入力される場合には、第2の状態に切換える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】センサネットワーク1の概略を示すブロック図である。
図2】制御回路CCの実施例波形である。
図3】センサユニットSU(N)の実施例を示す図である。
図4】第1センサSE1の動作を説明する波形図である。
図5】切換え部SW1の動作を説明する波形図である。
図6】分岐ユニットBUの構成例を示す図である。
図7】切換え回路RCC1の内部構成を説明する図である。
図8】ループ配線LWがない場合の例を示す図である。
図9】ループ配線LWがある場合の例を示す図である。
図10】第2の状態を説明する図である。
図11】ループ配線LWがない場合における、切換え回路RCC2の動作波形図である。
図12】ループ配線LWがある場合における、切換え回路RCC2の動作波形図である。
図13】第2の状態におけるセンサネットワーク1を示す図である。
図14】断線故障がない場合のセンサネットワーク1の動作波形図である。
図15】断線故障が発生した場合のセンサネットワーク1の動作波形図である。
図16】変形例の分岐ユニットBUaの構成例を示す図である。
図17】変形例の切換え回路RCC1aの内部構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(センサネットワーク1の構成)
図1に、本実施例のセンサネットワーク1を示す。センサネットワーク1は、入出力ユニットIOU、分岐数3の分岐ユニットBU、3個のセンサユニットSU(1)~SU(3)を備えている。
【0013】
センサユニットSU(1)~SU(3)は、第1の信号線LA、第2の信号線LB、検査信号線LL、によって接続されている。具体的には、センサユニットSU(1)~SU(3)は、分岐ユニットBUを起点として順番に接続された上で、分岐ユニットBUに戻る環状のシリアル接続構造を備えている。第1の信号線LAは、分岐ユニットBUから反時計回り方向に伝達して分岐ユニットBUに戻ってくる信号を伝達するための信号線である。すなわち第1の信号線LAは、A系列の対信号(駆動信号DRAおよび検出信号DEA)を伝達する。第2の信号線LBは、分岐ユニットから時計回り方向に伝達して分岐ユニットに戻ってくる信号を伝達するための信号線である。すなわち第2の信号線LBは、B系列の対信号(駆動信号DRBおよび検出信号DEB)を伝達する。
【0014】
第1の信号線LAは、検出信号DEAを伝達する第1の検出信号線LA_DEと、駆動信号DRAを伝達する第1の駆動信号線LA_DRと、を備えている。第2の信号線LBは、検出信号DEBを伝達する第2の検出信号線LB_DEと、駆動信号を伝達する第2の駆動信号線と、を備えている。検査信号線LLは、検査信号CKをセンサユニットSU(1)~SU(3)に入力する。検査信号線LLは、後述する断線検査時において、センサユニットSU(1)~SU(3)の各々に、ハイレベルの検査信号CKを印加する信号線である。
【0015】
センサユニットSU(1)~SU(3)の各々は、ポートPT1およびPT2を備えている。ポートPT1は、第1入力端子DRI_1およびDEI_1、第2出力端子DRO_2およびDEO_2、を備えている。ポートPT2は、第1出力端子DRO_1およびDEO_1、第2入力端子DRI_2およびDEI_2、を備えている。K番目(Kは2以上N-1以下の自然数)のセンサユニットSU(K)の第1入力端子DRI_1およびDEI_1は、第1の信号線LAを介して、K-1番目のセンサユニットSU(K-1)の第1出力端子DRO_1およびDEO_1に接続されている。センサユニットSU(K)の第1出力端子DRO_1およびDEO_1は、第1の信号線LAを介して、センサユニットSU(K+1)の第1入力端子DRI_1およびDEI_1に接続されている。センサユニットSU(K)の第2入力端子DRI_2およびDEI_2は、第2の信号線LBを介して、センサユニットSU(K+1)の第2出力端子DRO_2およびDEO_2に接続されている。センサユニットSU(K)の第2出力端子は、第2の信号線LBを介して、センサユニットSU(K-1)の第2入力端子DRI_2およびDEI_2に接続されている。
【0016】
分岐ユニットBUは、ポートPT1~PT3を備えている。ポートPT2は、第3出力端子DRO_3およびDEO_3、第4入力端子DRI_4およびDEI_4、端子CKを備えている。ポートPT3は、第3入力端子DRI_3およびDEI_3、第4出力端子DRO_4およびDEO_4、端子CKを備えている。第3出力端子DRO_3およびDEO_3は、第1の信号線LAを介して、センサユニットSU(1)の第1入力端子DRI_1およびDEI_1に接続されている。 第3入力端子DRI_3およびDEI_3は、第1の信号線LAを介して、センサユニットSU(3)の第1出力端子DRO_1およびDEO_1に接続されている。第4出力端子DRO_4およびDEO_4は、第2の信号線LBを介して、センサユニットSU(3)の第2入力端子DRI_2およびDEI_2に接続されている。 第4入力端子DRI_4およびDEI_4は、第2の信号線LBを介して、センサユニットSU(1)の第2出力端子DRO_2およびDEO_2に接続されている。ポートPT2およびPT3の端子CKからは、検査信号CKが出力される。
【0017】
分岐ユニットBUのポートPT1は、入力端子DRI_1、DEI_1、CK、を備えているとともに、出力端子DRO_1、DEO_1を備えている。入出力ユニットIOUは、制御回路CCを内蔵している。制御回路CCには、外部からセンサ制御信号ENが入力されるとともに、分岐ユニットBUから駆動信号DRB(U)が入力される。制御回路CCからは、検査信号CK、駆動信号DRA(I)、検出信号DEA(I)が出力され、分岐ユニットBUのポートPT1に入力される。分岐ユニットBUから出力される検出信号DEB(U)は、シリアル出力信号SOUTとして、入出力ユニットIOUから出力される。
【0018】
図2に、制御回路CCの実施例波形を示す。時刻t0以前では、センサ制御信号ENが0であり、検査信号CKは0であり、駆動信号DRA(I)および検出信号DEA(I)は1である。時刻t0でセンサ制御信号ENが立ち上がると検査信号CKも立ち上がり、検査信号CKは所望の時間経過後に0に戻る。検出信号DEA(I)は、センサ制御信号ENの立ち上がりにより立ち下がり、検査信号CKが立ち下った後に立ち上がる。センサ制御信号ENは、時刻t1までの間に立ち下がる。駆動信号DRA(I)は、検査信号CKが立ち下った後に立ち下がる。後述するように、駆動信号DRA(I)の立ち下がりは、センサネットワーク1の全体を伝搬して一周する。そして時刻t1において、信号伝搬が入出力ユニットIOUへ戻ってくると、駆動信号DRB(U)が立ち下がり、駆動信号DRA(I)は立ち上がる。
【0019】
(センサユニットSU(N)の構成)
図3にセンサユニットSU(N)の実施例を示す。センサユニットSU(N)は、他ユニットとの結線が可能なポートPT1およびPT2、第1センサSE1および第2センサSE2、切換え部SW1およびSW2を備える。切換え部SW1およびSW2の回路構成は同一である。切換え部SW1は、入力端子DRI、DEI、DRD、DED、CKを備える。各入力端子には、駆動入力信号DRI、検出入力信号DEI、駆動迂回信号DRD、検出迂回信号DED、検査信号CK、が入力される。また切換え部SW1は、出力端子DRS、DESを備える。各出力端子からは、駆動選択信号DRS、検出選択信号DESが出力される。なお本明細書では、端子の符号と、その端子に入出力される信号の符号とを、便宜上同一としている。
【0020】
ポートPT1の第1入力端子DRI_1およびDEI_1は、切換え部SW1の入力端子DRIおよびDEIに接続されている。また第2センサSE2の出力端子DROおよびDEOは、ポートPT1の第2出力端子DRO_2およびDEO_2に接続されるとともに、切換え部SW1の入力端子DRDおよびDEDに接続されている。切換え部SW1の出力端子DRSおよびDESは、第1センサSE1の入力端子DRIおよびDEIに接続されている。第1センサSE1の出力端子DROおよびDEOは、ポートPT2の第1出力端子DRO_1およびDEO_1に接続されるとともに、切換え部SW2の入力端子DRDおよびDEDに接続されている。なお、切換え部SW2および第2センサSE2の接続構造は、上述した切換え部SW1および第1センサSE1の接続構造と同様であるため、説明を省略する。
【0021】
切換え部SW1は、DラッチDL、プルダウン抵抗RI、2-1マルチプレクサMUX1およびMUX2を備えている。入力端子DRIが、プルダウン抵抗RIの一方の端子、DラッチDLのD端子、マルチプレクサMUX1の1入力端子、に接続されている。プルダウン抵抗RIの他方の端子は、基準電圧部位GNDに接続されている。プルダウン抵抗RIは高抵抗(例:1MΩ以上)であることが望ましい。
【0022】
切換え部SW1のプルダウン抵抗RIは、センサユニットSU(N)の第1入力端子DRIと、センサユニットSU(N-1)の第1出力端子DROと、を接続する第1の信号線LAの断線の有無を検出する部位である。切換え部SW1は、断線検査時において、第1入力端子DRI_1の電圧が0であるときに断線を検出する。同様に、切換え部SW2のプルダウン抵抗RIは、センサユニットSU(N)の第2入力端子DRIと、センサユニットSU(N+1)の第2出力端子DROと、を接続する第2の信号線LBの断線の有無を検出する部位である。切換え部SW2は、断線検査時において、第2入力端子DRI_2の電圧が0であるときに断線を検出する。
【0023】
DラッチDLのCK端子は、検査信号端子CKに接続されている。DラッチDLのQ端子から出力される出力信号SRは、マルチプレクサMUX1およびMUX2のセレクト端子(S端子)に接続されている。マルチプレクサMUX1およびMUX2の1入力端子には、入力端子DRIおよびDEIの各々が接続されている。マルチプレクサMUX1およびMUX2の0入力端子には、入力端子DRDおよびDEDの各々が接続されている。
【0024】
(第1センサSE1および第2センサSE2の構成)
第1センサSE1および第2センサSE2は、各種の物理量を測定する素子である。第1センサSE1は、駆動入力信号DRIがポートPT1の第1入力端子DRI_1から入力されることに応じて検出動作を開始する。そして検出されたセンサ検出信号を検出入力信号DEIに付加することで検出出力信号DEOを生成し、ポートPT2の第1出力端子DRO_1へ出力する。第2センサSE2は、駆動入力信号DRIがポートPT2の第2入力端子DRI_2から入力されることに応じて検出動作を開始する。そして検出されたセンサ検出信号を検出入力信号DEIに付加することで検出出力信号DEOを生成し、ポートPT1の第2出力端子DRO_2へ出力する。
【0025】
第1センサSE1の回路構成を説明する。第1センサSE1は、NAND回路ND、検知素子TH、キャパシタCT、インバータINV1、INV2、INV_ODを備える。なお第1センサSE1では、端子の符号と、その端子に入出力される信号の符号とを、便宜上同一としている。インバータINV1およびINV_ODには、駆動入力信号DRIが入力される。インバータINV2からは、駆動出力信号DROが出力される。NAND回路NDには、検出入力信号DEIおよび駆動出力信号DROが入力され、検出出力信号DEOが出力される。なお、第1センサSE1および第2センサSE2は同一構造を備えるため、第2センサSE2の説明は省略する。
【0026】
図4の波形図を用いて、第1センサSE1の動作を説明する。時刻t1で駆動入力信号DRIが立ち下がることに応じて、検知素子THでの時定数計測が開始される。検知素子THの抵抗値に比例した時間が経過した時刻t2において、駆動出力信号DROが立ち下がり、時定数計測が終了する。時刻t1~t2までの時間T(N+1)が、第1センサSE1の出力となる。
【0027】
検出入力信号DEIは、前段センサまでの時定数シリアル出力を包含している。すなわち検出入力信号DEIでは、時間T(1)~T(N)までのN個の時間が連続して出力されている。NAND回路NDでは、検出入力信号DEIと駆動出力信号DROを論理合成する。よって、当該センサの時定数出力である時間T(N+1)を検出入力信号DEIに追加した検出出力信号DEOを、生成することができる。なお、第1センサSE1の複数個を縦続接続してセンサアレイにしてもよい。
【0028】
(切換え部SW1の動作)
図5の動作説明図を用いて、切換え部SW1の動作を説明する。切換え部SW1は、検査信号CKが1のときの駆動入力信号DRIの値により断線の有無を判定し、経路切り換えを行う回路である。例として、時刻t2とt3の間で断線が発生する場合を説明する。
【0029】
時刻t1~時刻t2の間に、検査信号CKが1となり、断線判定および経路切り換えが実行される。このとき、駆動入力信号DRIは1である(領域R11)ため、断線が検出されない。よって、駆動入力信号DRIが駆動選択信号DRSとして出力され(図3、矢印Y1)、検出入力信号DEIが検出選択信号DESとして出力される(矢印Y2)。すなわち、ポートPT1の第1入力端子DRI_1に入力された駆動信号DRAが、ポートPT2の第1出力端子DRO_1に伝達される。また、ポートPT1の第1入力端子DEI_1に入力された検出信号DEAが、ポートPT2の第1出力端子DEO_1に伝達される。
【0030】
時刻t2~t3の間は検査信号CKが0であるため、経路が保持される。ここで、時刻t2~t3の間に、ポートPT1の第1入力端子DRI_1に接続されている配線に断線が発生する場合を説明する。
【0031】
時刻t3~時刻t4の間で検査信号CKが再び1となり、断線判定および経路切り換えが実行される。ポートPT1の第1入力端子DRI_1に接続されている配線に断線故障があるため、切換え部SW1の駆動入力信号DRIは、プルダウン抵抗RIにより0に固定される(領域R12)。この場合、検査信号CKが1のときDラッチDLの出力信号SRが、0となる(矢印Y3)。マルチプレクサMUX1およびMUX2により経路が切り換えられる。そして、駆動迂回信号DRDが駆動選択信号DRSとして出力され(図3、矢印Y4)、検出迂回信号DEDが検出選択信号DESとして出力される(矢印Y5)。すなわち、ポートPT2の第2入力端子DRI_2に入力された駆動信号DRBを、ポートPT2の第1出力端子DRO_1へ折り返して伝達する。また、ポートPT2の第2入力端子DEI_2に入力された検出信号DEBを、ポートPT2の第1出力端子DEO_1へ折り返して伝達する。時刻t4以降、検査信号CKが1になるまでの間は、この結線状態が保持される。
【0032】
(分岐ユニットBUの構成)
図6に、分岐ユニットBUの構成例を示す。分岐ユニットBUは、他ユニットとの結線が可能なポートPT1~PT3を3つ備えている。ポートPT1~PT3の各々に、切換え回路RCC1~RCC3が備えられている。切換え回路RCC1~RCC3は、入力端子DRI、DEI、DRD、DED、CKI、LCを備える。また、出力端子DRS、DES、DROを備える。
【0033】
図7を用いて、切換え回路RCC1の内部構成について説明する。なお、切換え回路RCC2およびRCC3の構成も、切換え回路RCC1と同一であるため、説明を省略する。切換え回路RCC1は、図3の切換え部SW1およびSW2の回路構成に対して、ループ切換え回路LSをさらに備えた構成を有している。切換え部SW1およびSW2と共通の部位には共通の符号を付すことで、説明を省略する。ループ切換え回路LSは、アンド回路AD、ループ検出回路LD、トライステートバッファTB、を備える。
【0034】
ループ検出回路LDには、入力端子DRI、DRD、LCが接続されている。ループ検出回路LDのDフリップフロップDFからは、出力信号SR2が出力される。アンド回路ADには、出力信号SR2および駆動入力信号DRIが入力される。アンド回路ADの出力信号は、DラッチDLのD端子に入力される。トライステートバッファTBには、駆動迂回信号DRDおよび出力信号SR2が入力される。トライステートバッファTBからは、駆動出力信号DROが出力される。トライステートバッファTBは、入力される出力信号SR2が1の場合には標準バッファとして機能し、0の場合には出力がハイインピーダンスとなる。
【0035】
ループ検出回路LDは、通常は出力信号SR2を1にしている。そして、ループ検査信号LCが1から0に立ち下ったときに、入力端子DRDに0が入力されているとともに入力端子DRIに1が入力されている場合に、出力信号SR2を0にする回路である。なお、ループ検出回路LDの回路構成は、図7の構成に限定されない。上述した動作を実施可能な回路であれば、何れの回路構成も使用可能である。
【0036】
(ループ配線LWの説明)
図8および図9を用いて、ループ配線LWについて説明する。ループ配線LWとは、閉じた配線経路であり、信号が伝達しない経路である。図8はループ配線LWがない場合の例であり、図9はループ配線LWがある場合の例である。
【0037】
図8では、入出力ユニットIOUの第1出力端子DRO_1から出力されて第1入力端子DRI_1へ戻る信号経路PP1は、一筆書きとなっている。すなわち信号経路PP1は、入出力ユニットIOUから分岐ユニットBUに到達する。第1の信号線LAによってセンサユニットSU(1)に到達し、センサユニットSU(1)で折り返されると、第2の信号線LBによって分岐ユニットBUへ戻る。次に、第2の信号線LBによって、分岐ユニットBUからセンサユニットSU(3)を介してセンサユニットSU(2)へ到達する。センサユニットSU(2)で折り返されると、センサユニットSU(3)を介して分岐ユニットBUへ、第1の信号線LAによって到達する。最後に分岐ユニットBUから入出力ユニットIOUへ到達する。信号経路PP1は一筆書きであるため、すべての第1センサSE1および第2センサSE2を経由することができる。全センサの出力を読み出すことが可能である。
【0038】
一方、図9では、第2の信号線LBは閉じたループ配線LWとなっている。よってループ配線LWは、入出力ユニットIOUとの間で信号を伝達することができない。この場合、ループ配線LWに接続されている第2センサSE2は読み出すことができず、不定値となってしまう。よって、ループ配線LWが形成されることは好ましくない。
【0039】
(分岐ユニットBUの動作)
分岐ユニットBUは、切換え回路RCC1~RCC3によって、第1の状態と第2の状態とを切換え可能に構成されている。第1の状態と第2の状態とを適宜に切換えることによって、後述するように、ループ配線LWを除去することが可能である。
【0040】
図6を用いて、第1の状態を説明する。第1の状態では、入出力ユニットIOUからポートPT1の第1入力端子DRI_1に入力された駆動信号DRA(I)が、ポートPT2の第3出力端子DRO_3に伝達される(矢印Y21)。ポートPT2の第4入力端子DRI_4に入力された駆動信号DRB(1)が、ポートPT3の第4出力端子DRO_4に伝達される(矢印Y22)。また、ポートPT2の第4入力端子DEI_4に入力された検出信号DEB(1)が、ポートPT3の第4出力端子DEO_4に伝達される(矢印Y23)。
【0041】
図10を用いて、第2の状態を説明する。第2の状態では、入出力ユニットIOUからポートPT1の第1入力端子DRI_1に入力された駆動信号DRA(I)が、ポートPT3の第4出力端子DRO_4に伝達される(矢印Y24)。また、ポートPT1の第1入力端子DEI_1に入力された検出信号DEA(I)が、ポートPT3の第4出力端子DEO_4に伝達される(矢印Y25)。また、第3出力端子DRO_3がハイインピーダンス状態(疑似的断線状態)にされる。
【0042】
図11を用いて、ループ配線LWがない場合(図8)における、切換え回路RCC2の動作を説明する。切換え回路RCC1~RCC3内の出力信号SR2およびSRの初期値は1にセットされている。よって分岐ユニットBUは、第1の状態とされている。入出力ユニットIOUから伝搬した駆動信号DRA(I)は、ポートPT1の入力端子DRI_1から入力される。駆動信号DRA(I)は、ポートPT1の切換え回路RCC1を経由して、時刻t0でポートPT2の切換え回路RCC2の駆動迂回信号DRDに伝搬する。切換え回路RCC2内の出力信号SR2およびSRの初期値は1にセットされており、第1の状態であるため、駆動信号DRA(I)はポートPT1の第3出力端子DRO_3に伝搬し、駆動信号DRA(0)として出力される(図6、矢印Y21)。
【0043】
その後、駆動信号は、センサユニットSU(1)で折り返され、時刻t1でポートPT2の第4入力端子DRI_4に、駆動信号DRB(1)として入力される。これにより、駆動入力信号DRIが0となる。よって、ポートPT2から第1の信号線LAによって出力された駆動信号が、ポートPT2に第2の信号線LBによって戻ってきたことが記憶される(領域R11参照)。
【0044】
ポートPT2に戻ってきた駆動信号DRB(1)は、ポートPT3の切換え回路RCC3の入力端子DRDに伝搬する。切換え回路RCC3内の出力信号SR2およびSRの初期値は1にセットされているため、駆動信号DRB(1)はポートPT3の第4出力端子DRO_4に伝搬し、駆動信号DRB(0)として出力される(図6、矢印Y22)。その後、駆動信号は、センサユニットSU(3)を介してセンサユニットSU(2)へ伝搬し、センサユニットSU(2)で折り返されてセンサユニットSU(3)へ戻る。そして時刻t2で、ポートPT3の第3入力端子DRI_3に、駆動信号DRA(3)として入力される。
【0045】
ポートPT3に入力される駆動信号DRA(3)は、ポートPT2の切換え回路RCC2の入力端子LCに、ループ検査信号LCとして入力される。よって時刻t2において、ループ検査信号LCの立ち下がりでループ検査が実行される。このとき駆動入力信号DRI=0であり、ポートPT2から出力された駆動信号がポートPT2に戻ってくる経路が形成されていることが記憶されている。よって、ループ配線LWが存在しない状態であると判断される(図8参照)。そのため、出力信号SR2は1が保持される(矢印Y11)。すなわち第1の状態が維持される。
【0046】
図12を用いて、ループ配線LWがある場合(図9)における、切換え回路RCC2の動作波形を説明する。時刻t0までの動作は、図11で説明した内容と同一である。
【0047】
ポートPT1の第3出力端子DRO_3から出力された駆動信号DRA(0)は、センサユニットSU(1)、SU(2)、SU(3)を伝搬する。そして時刻t3において、ポートPT3の第3入力端子DRI_3に、駆動信号DRA(3)として入力される。駆動信号DRA(3)は、切換え回路RCC2に、ループ検査信号LCとして入力される。よって時刻t3において、ループ検査がなされる。このとき駆動入力信号DRI=1であり、ポートPT2から出力された駆動信号がポートPT2に戻ってくることなく、ポートPT3へ至る経路が形成されていることが記憶されている。すなわち、ポートPT2から第1の信号線LAによって出力された駆動信号が、ポートPT3に第1の信号線LAによって戻っていると判断される。そして、第2の信号線LBで形成されたループ配線LWが存在する状態であると判断される(図9参照)。よって、出力信号SR2は0に遷移する(矢印Y12)。
【0048】
出力信号SR2が0に遷移すると、トライステートバッファTBがハイインピーダンスとなる。すると前述したように、隣接するセンサユニットSU(1)に、断線切り換え機能を動作させることができる。よって図13に示すように、折り返し経路が形成できる(領域R21)。また検査信号CK=1となる間に、DラッチDLの出力信号が0となるため、マルチプレクサMUX1およびMUX2が切り替わる。これにより図13に示すように、分岐ユニットBUは、第1の状態から第2の状態へ切り換わる。よって、入出力ユニットIOUから伝達された駆動信号DRA(I)は折り返され、第4出力端子DRO_4から出力される。その結果、第2の信号線LBを用いてセンサユニットSU(1)へ到達し、センサユニットSU(1)で折り返し、第1の信号線LAを用いて分岐ユニットBUへ戻る一筆書きの経路を新たに確立することができる。
【0049】
以上説明したように、分岐ユニットのポートPT1~PT3の各々に対応して切換え回路RCC1~RCC3を備えることで、シリアル検出経路がループ配線LWを有している場合を検出し、経路切り換えを行うことができる。ループ配線LWの分岐起点を遮断できるため、ループ配線LWを除去することができる。よって、自己組織化によりすべてのセンサをシリアルに駆動検出する経路を確保し、全センサ出力を読み出すことが可能となる。
【0050】
(断線故障がない場合の動作例)
図1に示したセンサネットワーク1において、断線故障がない場合の動作説明を、図14の動作説明図を用いて行う。
【0051】
時刻t0以前では、センサ制御信号ENには0が入力されている。入出力ユニットIOUの制御回路CCにより、検査信号CKには0が、駆動信号DRA(I)と検出信号DEA(I)には1が出力されている(領域R40)。また、センサユニットSU(1)~SU(3)内の切換え部SW1およびSW2のDラッチDLからは1が出力されている。また分岐ユニットBU内の切換え回路RCC1~RCC3の出力信号SR2は1とされている(領域R41)。このとき駆動信号は、論理を反転することなく分岐ユニットBUおよびセンサユニットSU(1)~SU(3)を経由して伝搬するため、入出力ユニットIOUから出力された駆動信号DRA(I)=1がすべての駆動信号に伝搬して、すべての駆動信号が1になっている(領域R42)。一方で図3に示すように、第1センサSE1および第2センサSE2の検出出力信号DEOは、検出入力信号DEI(前段の検出出力信号)と駆動出力信号DRO(本段の検出出力信号)とを、NAND回路NDで論理合成して生成される。すべての駆動信号の初期値が1であるため、検出信号DEAはセンサユニットSU(1)~SU(3)を経由する毎に反転されることになる。検出信号DEA(I)が1であるため、DEA(2)、DEA(4)、DEB(0)の初期値が0となり、DEA(1)、DEA(3)、DEB(0)の初期値が1となる(領域R43)。なお、B系列検出信号(DEB(1)、DEB(2)、DEB(3)、DEB(0))はループ配線LWになっており、初期値は不定である(領域R44)。
【0052】
時刻t0でセンサ制御信号ENが立ち上がると、検査信号CKが所望の時間だけ1となり、切換え部SW1およびSW2、切換え回路RCC1~RCC3において断線チェックが実行される。すべての駆動入力信号は1であるため、断線なしと判断され、経路は維持される。
【0053】
検査信号CKが立ち下がったのちに、時刻t1で駆動信号DRA(I)が立ち下がると、駆動信号DRA(I)の立ち下がりは分岐ユニットBUのポートPT1からポートPT2に伝搬し、センサユニットSU(1)のA系列の第1センサSE1から駆動・検出が開始される。
【0054】
駆動信号DRA(I)の立ち下がりは、DRA(0)、DRA(1)、DRA(2)、DRA(3)、の順に伝搬して、時刻t4で分岐ユニットBUのポートPT3に入力される。駆動信号DRA(3)は、分岐ユニットBUにおいて、ループ検査信号LCとして切換え回路RCC2に入力される(矢印Y40)。よって時刻t4において、ループ検査が実行される。この時、切換え回路RCC2の駆動迂回信号DRDは駆動信号DRA(I)に接続されており、0である。また切換え回路RCC2の駆動入力信号DRIはDRB(1)に接続されており、1である。この結果からポートPT2-ポートPT3間にループ経路があると判定され、切換え回路RCC2の出力信号SR2が0となる(矢印Y41)。同時に、切換え回路RCC2から出力される駆動信号DRA(0)は、ハイインピーダンスになる。
【0055】
時刻t5で再びセンサ制御信号ENが立ち上がると、検査信号CKが所望の時間だけ1となり、切換え部SW1およびSW2、切換え回路RCC1~RCC3において、断線チェックと経路切り換えが行われる。このとき切換え回路RCC2の出力信号SR2が0であるため、出力信号SRが0となる(矢印Y42)。よって図10の矢印Y24およびY25で説明したように、分岐ユニットBUのポートPT2が遮断され、ポートPT1から入力された駆動信号および検出信号をポートPT3へ出力する経路に切り換えられる。また駆動信号DRA(0)がハイインピーダンスで0であるため(領域R45)、センサユニットSU(1)内の切換え部SW1で断線判定がなされる。断線切り換え回路1の出力信号SRが0となり、センサユニット1のポートPT1が遮断される。よって折り返し経路に切り換えられる(図13、領域R21参照)。
【0056】
検査信号CKが立ち下がったのちに、時刻t6で駆動信号DRA(I)が立ち下がると、駆動信号DRA(I)の立ち下がりは分岐ユニットBUのポートPT1からポートPT3に伝搬し、センサユニットSU(3)のB系列センサ(第2センサSE2)から駆動検出が開始される(図13参照)。
【0057】
駆動信号DRA(I)の立ち下がりは、DRB(0)、センサユニットSU(3)の第2センサSE2(B系列センサ)、DRB(3)、センサユニットSU(2)の第2センサSE2(B系列センサ)、DRB(2)、センサユニットSU(1)の第2センサSE2(B系列センサ)、の順に伝搬する(矢印Y43、Y44)。そしてセンサユニットSU(1)のポートPT1手前で折り返され、センサユニットSU(1)の第1センサSE1(A系列センサ)、DRA(1)、センサユニットSU(2)の第1センサSE1(A系列センサ)、DRA(2)、センサユニットSU(3)の第1センサSE1(A系列センサ)、DRA(3)、DRB(U)の順に伝搬して、入出力ユニットIOUにリターンする(矢印Y45、Y46)。シリアル出力信号SOUTには、TB3、TB2、TB1、TA1、TA2、TA3の順に、センサの時定数出力パルスが出力される。
【0058】
図14の例では、1回目の駆動検出(時刻t0~t5)において、ループ配線LWの検出が実行される。2回目の駆動検出開始時(時刻t5~t6)において、断線検査とループ配線除去が実行される。2回目以降の駆動検出時(時刻t6~)において、すべてのセンサを一筆書きで駆動検出する経路が確立され、センサネットワーク1上の全センサの時定数出力系列を連続して読み出すことができる。__
【0059】
(断線故障がある場合の動作例)
次に、センサユニットSU(1)とSU(2)との間に断線故障が発生した場合の動作説明を、図15の動作説明図を用いて行う。
【0060】
時刻t0以前では、図14と同様に、センサ制御信号ENには0が入力されている。検査信号CKには0が、駆動信号DRA(I)と検出信号DEA(I)には1が出力されている(領域R50)。また、センサユニットSU(1)~SU(3)内の切換え部SW1およびSW2のDラッチDLからは、1が出力されている。センサユニットSU(1)およびSU(2)の出力信号SRは1とされている(領域R51)。また分岐ユニットBUの出力信号SR2は1とされている。
【0061】
A系列駆動信号は、入出力ユニットIOUから出力された駆動信号DRA(I)=1が、分岐ユニットBUのポートPT1およびPT2経由でセンサユニットSU(1)のポートPT1およびPT2まで伝搬する。よって駆動信号DRA(0)およびDRA(1)は1になる(領域R52)。センサユニットSU(2)のポートPT1の駆動入力信号DRIは、切換え部SW1内のプルダウン抵抗RIにより0になっている。これがセンサユニットSU(2)のポートPT2経由でセンサユニットSU(3)のポートPT1、PT2、分岐ユニットBUのポートPT3、ポートPT1の順に入出力ユニットIOUまで伝搬する。よって、駆動信号DRA(2)、DRA(3)、DRB(U)は0である(領域R53)。
【0062】
B系列駆動信号は、センサユニット1のポートPT2入力部の断線により、ポートPT2の駆動入力信号DRIが0となる。これがセンサユニットSU(1)のポートPT1経由で分岐ユニットのポートPT2、ポートPT3、センサユニットSU(3)のポートPT2およびPT1、センサユニットSU(2)のポートPT2、PT1の順に伝搬するため、駆動信号DRB(1)、DRB(0)、DRB(3)、DRB(2)は0である(領域R54)。一方、検出信号は、検出信号DEA(I)=1であることから、検出信号DEA(0)=1、DEA(1)=0、となっている。その他の検出信号は、センサユニットの断線部ポートの検出入力信号が断線によるハイインピーダンスで不定値である(領域R55)。
【0063】
時刻t0でセンサ制御信号ENが立ち上がると、検査信号CKが所望の時間だけ1となり、切換え部SW1およびSW2、切換え回路RCC1~RCC3において断線チェックが実行される。このときセンサユニットSU(1)とSU(2)との間の断線により、センサユニットSU(1)の切換え部SW2の出力信号SRが0になるとともに、センサユニットSU(2)の切換え部SW1の出力信号SRが0になる。よって図8に示すように、断線が発生しているポート手前で折り返される経路に切り換えられる。この経路切り換えにより、駆動信号DRA(I)=1がすべての駆動信号に伝搬するため、時刻t0以前に0であったすべての駆動信号が1になる(領域R56)。また、不定値であった検出信号の値も確定する(領域R57)。
【0064】
検査信号CKが立ち下がったのちに、時刻t1で駆動信号DRA(I)が立ち下がると、駆動信号DRA(I)の立ち下がりは分岐ユニットBUのポートPT1からポートPT2に伝搬し、センサユニットSU(1)のA系列センサから駆動・検出が開始される。
【0065】
駆動信号DRA(I)の立ち下がりは、DRA(0)、センサユニットSU(1)の第1センサSE1(A系列センサ)、センサユニットSU(1)の第2センサSE2(B系列センサ)、DRB(1)、の順に伝搬して、分岐ユニットBUに戻る(矢印Y51)。さらにDRB(0)、センサユニットSU(3)の第2センサSE2(B系列センサ)、DRB(3)、センサユニットSU(2)の第2センサSE2(B系列センサ)、センサユニットSU(2)の第1センサSE1(A系列センサ)、DRA(2)、センサユニットSU(3)の第1センサSE1(A系列センサ)、DRA(3)、DRB(U)の順に伝搬して、入出力ユニットIOUにリターンする(矢印Y52)。シリアル出力信号SOUTには、TA1、TB1、TB3、TB2、TA2、TA3の順に、センサの時定数出力パルスが出力される。
【0066】
(効果)
本実施例のセンサネットワーク1では、断線故障が発生したポートや、隣接ユニットと結線されていないポートを検知し、そのポートを使用せずに迂回する経路に自動で切り換えることができる(図15の時刻t0、図8などを参照)。また分岐ユニットBUでは、駆動信号がポートを伝搬する順序から、ループ配線LWの有無を検知することができる(図14の矢印Y41などを参照)。そして、ループ配線LWの起点となっているポートを使用せずに迂回する経路に自動で切り換えることで、ループ配線LWを除去することができる(図13参照)。この断線迂回機能およびループ配線除去機能により、センサユニットSUや分岐ユニットBUを自由に接続したセンサネットワークに対して、自己組織化によりすべてのセンサを駆動・検出する一筆書き経路を確立することができる。よって、全センサのシリアル出力を読み出すことが可能となる。
【0067】
センサユニットSUおよび分岐ユニットBUは、本明細書で説明した基本原則を備えている。従って、ループ配線LWが多数ある場合は、ループ配線LWの数と同じ回数だけ経路切り換えがなされ、最終的にすべてのセンサを一筆書きで経由する伝達経路を確立することができる。ロバスト性をより高めることが可能となる。
【0068】
本実施例のセンサネットワーク1は、自己組織化の能力を備えている。従って、分岐ユニットBUのポート数や、センサユニットSUのシリアル接続の形状は、自由に拡張することができる。例えば、分岐ユニットBUが4つ以上のポートを備えていてもよい。またシリアル接続されたセンサユニットSUのグループの2つ以上が、1つの分岐ユニットBUに備えられていてもよい。センサユニットSUのシリアル接続形状を、環状よりも複雑な形状(例:8の字形状)にしてもよい。また、ある分岐ユニットBUから伸びているセンサユニットSUのシリアル接続経路上に別の分岐ユニットBUが接続されている、という自己相似性を有していてもよい。
【0069】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0070】
(変形例)
図16に、4つのポートPT1~PT4を備えた分岐ユニットBUaの構成例を示す。ポートPT1~PT4の各々に、切換え回路RCC1a~RCC4aが備えられている。変形例の切換え回路RCC1a~RCC4a(図16)は、実施例の切換え回路RCC1~RCC3(図6)が備える入力端子LCに代えて、入力端子LC1およびLC2を備えている。その他の構成は、実施例の切換え回路RCC1~RCC3と同様であるため、説明を省略する。また図17を用いて、切換え回路RCC1aの内部構成について説明する。変形例の切換え回路RCC1a(図17)は、実施例の切換え回路RCC1(図7)が備えるループ切換え回路LSおよびループ検出回路LDに代えて、ループ切換え回路LSaおよびループ検出回路LDaを備えている。その他の構成は、実施例の切換え回路RCC1と同様であるため、説明を省略する。図16および図17のような回路構成を有することで、4つのポートPT1~PT4を備える場合においても、シリアル検出経路がループ配線LWを有している場合を検出し、経路切り換えを行うことが可能となる。なお、変形例の分岐ユニットBUaの動作内容は、実施例の分岐ユニットBUと同様であるため、詳しい説明は省略する。また、図16および図17に示した、ポート数を3つから4つに増加させる回路構成を用いることで、ポート数をさらに5つ以上に拡張することも可能である。
【0071】
切換え回路RCC1(図7)のループ検出回路LDに備えられているDフリップフロップDFとして、外部から保持値を設定できるプリセット付きDフリップフロップを用いてもよい。また、切換え回路RCC1のDラッチDLや、切換え部SW1およびSW2(図3)のDラッチDLとして、外部から保持値を設定できるプリセット付きDラッチを用いてもよい。電源投入時にプリセットするようにすることで、DフリップフロップおよびDラッチの初期値を確実に1にすることができる。
【0072】
本実施例では、センサアレイを内蔵しない分岐ユニットBUの例を示したが、分岐ユニットBUにセンサアレイを内蔵してもよい。また入出力ユニットIOUは、複数のポートを備えていてもよい。
【0073】
本明細書の技術は、センサネットワーク1上の全センサの出力を連続して読み出すための経路生成を目的としている。従って、読み出される出力信号の種類は、時定数出力パルスに限られない。デジタル出力信号などの各種出力信号に対して、本明細書の技術を適用することができる。
【0074】
図3のセンサユニットSU(N)では、検知対象の物理量として、検知素子THの抵抗値を用いる場合を説明したが、この形態に限られず、様々な物理量を検知対象とすることが可能である。例えば、フォトダイオードPDの検知電流や、可変容量素子の静電容量を検知対象としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1:センサネットワーク SU(1)~SU(3):センサユニット BU:分岐ユニット IOU:入出力ユニット LA:第1の信号線 LB:第2の信号線 DRI_1およびDEI_1:第1入力端子 DRI_2およびDEI_2:第2入力端子 DRO_1およびDEO_1:第1出力端子 DRO_2およびDEO_2:第2出力端子 SW1およびSW2:切換え部 SE1:第1センサ SE2:第2センサ PT1~PT3:ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17