(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044081
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240326BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240326BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11575
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149409
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 惇一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊行
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA56
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR21
5F083ZA01
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH13
(57)【要約】
【課題】高エッチングレートの条件下で、ボトム径の広いメモリホールを形成すること。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、下層膜と、下層膜の上方に配置され、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された第1の積層体と、第1の積層体を貫通して下層膜に到達し、複数の第1の導電層との交差部にそれぞれメモリセルが形成される第1のピラーと、を備え、複数の第1の絶縁層のうち第1の積層体の積層方向における第1の領域に位置し、第1の積層体の最下層の第1の絶縁層を除く少なくとも1つの第1の絶縁層は、複数の第1の絶縁層のうち第1の積層体の第1の領域より上層の第2の領域に位置する第1の絶縁層よりも厚く、第1のピラーは、第1の積層体の少なくとも1つの第1の絶縁層の高さ位置において第1のボーイング形状を有し、第1の積層体の第2の領域の第1の絶縁層の高さ位置において第2のボーイング形状を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層膜と、
前記下層膜の上方に配置され、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された第1の積層体と、
前記第1の積層体を貫通して前記下層膜に到達し、前記複数の第1の導電層との交差部にそれぞれメモリセルが形成される第1のピラーと、を備え、
前記複数の第1の絶縁層のうち前記第1の積層体の積層方向における第1の領域に位置し、前記第1の積層体の最下層の第1の絶縁層を除く少なくとも1つの第1の絶縁層は、前記複数の第1の絶縁層のうち前記第1の領域より上層の第2の領域に位置する第1の絶縁層よりも厚く、
前記第1のピラーは、
前記第1の積層体の前記少なくとも1つの第1の絶縁層の高さ位置において第1のボーイング形状を有し、
前記第1の積層体の前記第2の領域の第1の絶縁層の高さ位置において第2のボーイング形状を有する、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の絶縁層は、
前記第1の積層体において、前記第1の積層体の最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の高さ位置に配置されている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の絶縁層は、前記第1の積層体の積層方向に並ぶ幾つかの第1の絶縁層であって、
前記幾つかの第1の絶縁層において、前記積層方向の中央部に向かうほど第1の絶縁層の厚さが増していく、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
下層膜と、
前記下層膜の上方に配置され、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された第1の積層体と、
前記第1の積層体を貫通して前記下層膜に到達し、前記複数の第1の導電層との交差部にそれぞれメモリセルが形成される第1のピラーと、
前記第1の積層体から離れた位置で前記下層膜の上方に配置され、複数の第2の絶縁層と前記複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された第2の積層体と、を備え、
前記複数の第2の絶縁層には少なくとも窒素が含まれており、
前記複数の第2の絶縁層のうち前記第2の積層体の積層方向における第1の領域に位置する第2の絶縁層であって、前記第2の積層体の最下層の第2の絶縁層を除く少なくとも1つの第2の絶縁層には、前記複数の第2の絶縁層のうち前記第1の領域より上層の第2の領域に位置する第2の絶縁層よりも高い比率で酸素が含まれており、
前記第1のピラーは、
前記複数の第1の導電層のうち、前記少なくとも1つの第2の絶縁層と同じ高さ位置に配置される少なくとも1つの第1の導電層の高さ位置において第1のボーイング形状を有し、
前記複数の第1の導電層のうち、前記第2の領域の第2の絶縁層と同じ高さ位置に配置される他の少なくとも1つの第1の導電層の高さ位置において第2のボーイング形状を有する、
半導体記憶装置。
【請求項5】
複数の第1の絶縁層と複数の第2の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された積層体を形成し、
前記積層体を貫通するホール内に複数のメモリセルが形成されるピラーを形成する半導体記憶装置の製造方法であって、
前記複数の第1の絶縁層はそれぞれが、第1の元素が窒化された層であり、
前記複数の第2の絶縁層はそれぞれが、前記第1の元素が酸化された層であり、
前記積層体を形成するときは、
前記複数の第2の絶縁層のうち前記積層体の積層方向における第1の領域に位置する第2の絶縁層であって、前記積層体の最下層の第2の絶縁層を除く少なくとも1つの第2の絶縁層を、前記複数の第2の絶縁層のうち前記第1の領域より上層に位置する第2の領域の第2の絶縁層よりも厚く形成し、
前記ホールを形成するときは、
前記第1の元素と窒素とを含む堆積物を前記ホールの側壁に付着させながら前記積層体をエッチングする、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項6】
複数の第1の絶縁層と複数の第2の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された積層体を形成し、
前記積層体を貫通するホール内に複数のメモリセルが形成されるピラーを形成する半導体記憶装置の製造方法であって、
前記複数の第1の絶縁層はそれぞれが、第1の元素が窒化された層であり、
前記複数の第2の絶縁層はそれぞれが、前記第1の元素が酸化された層であり、
前記積層体を形成するときは、
前記複数の第1の絶縁層のうち前記積層体の積層方向における第1の領域に位置する第1の絶縁層であって、前記積層体の最下層の第1の絶縁層を除く少なくとも1つの第1の絶縁層に、前記複数の第1の絶縁層のうち前記第1の領域より上層に位置する第2の領域の第1の絶縁層よりも高い比率で酸素を含有させ、
前記ホールを形成するときは、
前記第1の元素と窒素とを含む堆積物を前記ホールの側壁に付着させながら前記積層体をエッチングする、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1の絶縁層のそれぞれが、
30atm%以上45atm%以下の前記第1の元素と、
35atm%以上55atm%以下の窒素と、
10atm%以上20atm%以下の酸素と、を含むように前記少なくとも1つの第1の絶縁層を形成する、
請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1の絶縁層はそれぞれが酸窒化層である、
請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の絶縁層のそれぞれが、窒化層と酸窒化層との積層構造を有するように前記少なくとも1つの第1の絶縁層を形成する、
請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置の製造工程においては、複数の異種の絶縁層が交互に積層された積層体を貫通するメモリホールが形成される。近年、複数の絶縁層の積層数が増しており、高エッチングレートの条件下で、ボトム径の広いメモリホールを形成することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0040607号明細書
【特許文献2】米国特許第9917097号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2021/0320004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、高エッチングレートの条件下で、ボトム径の広いメモリホールを形成することができる半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、下層膜と、前記下層膜の上方に配置され、複数の第1の導電層と複数の第1の絶縁層とが1層ずつ交互に積層された第1の積層体と、前記第1の積層体を貫通して前記下層膜に到達し、前記複数の第1の導電層との交差部にそれぞれメモリセルが形成される第1のピラーと、を備え、前記複数の第1の絶縁層のうち前記第1の積層体の積層方向における第1の領域に位置し、前記第1の積層体の最下層の第1の絶縁層を除く少なくとも1つの第1の絶縁層は、前記複数の第1の絶縁層のうち前記第1の領域より上層の第2の領域に位置する第1の絶縁層よりも厚く、前記第1のピラーは、前記第1の積層体の前記少なくとも1つの第1の絶縁層の高さ位置において第1のボーイング形状を有し、前記第1の積層体の前記第2の領域の第1の絶縁層の高さ位置において第2のボーイング形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す図。
【
図2】実施形態1にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すY方向に沿う断面図。
【
図3】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図4】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図5】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図6】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図7】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図8】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図9】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図10】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図11】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図12】実施形態1および比較例にかかるメモリホールのエッチングメカニズムを示す模式図。
【
図13】実施形態1の変形例にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すX方向に沿う断面図。
【
図14】実施形態2にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すX方向に沿う断面図。
【
図15】実施形態2の変形例にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すX方向に沿う断面図。
【
図16】実施形態3にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すX方向に沿う断面図。
【
図17】実施形態3の変形例1にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すX方向に沿う断面図。
【
図18】実施形態3の変形例2にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すX方向に沿う断面図。
【
図19】実施形態3の変形例3にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すX方向に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0009】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示す図である。
図1(a)は半導体記憶装置1のX方向に沿う断面図であり、
図1(b)は半導体記憶装置1の模式的な平面図である。ただし、
図1(a)においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0010】
なお、本明細書において、X方向およびY方向は共に、後述するワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、後述するワード線WLの電気的な引き出し方向をX方向に沿う方向と定義する。また、後述するビット線BLの延びる方向をY方向に沿う方向と定義する。
【0011】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、例えば略矩形のチップ状に構成されており、紙面下側から順に、電極膜20、ソース線SL、及び複数のワード線WLを備える。また、半導体記憶装置1は、複数のワード線WLの上方に、半導体基板SBに設けられた周辺回路CBAを備える。なお、半導体記憶装置1の説明においては、半導体基板SBが配置される側を半導体記憶装置1の上方側とする。
【0012】
電極膜20上には、絶縁層60を介してソース線SLが配置されている。絶縁層60中には複数のプラグPGが配置され、プラグPGを介してソース線SLと電極膜20とが電気的な導通を保っている。これにより、半導体記憶装置1の外部から、電極膜20及びプラグPGを介してソース線SLにソース電位を印加することができる。
【0013】
ソース線SL上には複数のワード線WLが積層されている。半導体記憶装置1において、複数のワード線WLが配置された領域は素子領域ERに相当する。複数のワード線WLの中央部にはメモリ領域MRが配置され、X方向両端部には階段領域SRが配置されている。
【0014】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0015】
階段領域SRでは、複数のワード線WLが階段状に加工されて終端している。複数のワード線WLによって構成される各段のテラス部分には、各階層のワード線WLに接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。
【0016】
これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WLが個々に引き出される。これらのコンタクトCCからは、複数のワード線WL中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。
【0017】
複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCCは絶縁層50に覆われている。絶縁層50は、複数のワード線WLの周囲にも広がっている。絶縁層50のX方向両端部およびY方向の両端部は半導体記憶装置1の端面に相当する。
【0018】
半導体記憶装置1の端面近傍には、半導体記憶装置1の端面に沿うように外周領域ORが配置されている。すなわち、外周領域ORは、素子領域ERから所定距離離れて素子領域ERを囲っている。外周領域ORには、複数の絶縁層NLが、複数のワード線WLの高さ位置にそれぞれ対応するように積層されている。
【0019】
チップ状の半導体記憶装置1は、例えば半導体記憶装置1を支持する基板を個片化することで得られる。個片化前の基板上には、複数の半導体記憶装置1が例えばマトリクス状に配置され、個々の半導体記憶装置1間には、半導体記憶装置1をチップ状に切り出す際のスクライブラインが設けられている。
【0020】
スクライブラインの大部分は、半導体記憶装置1を切り出す際に除去されるが、スクライブラインの一部が、半導体記憶装置1の端面に残る場合がある。上記の外周領域ORは、このようなスクライブラインが残存した部分である。
【0021】
なお、
図1の例では、半導体記憶装置1が、ワード線WLの積層構造を素子領域ERに1つだけ有することとしているが、半導体記憶装置1の構成はこれに限られない。半導体記憶装置1が、素子領域ERに、ワード線WLの積層構造を複数有していてもよい。
【0022】
絶縁層50の上方には、半導体基板SBに設けられた周辺回路CBAが配置されている。
【0023】
半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SBの表面にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CBAが配置されている。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。これにより、周辺回路CBAはメモリセルの電気的な動作を制御する。
【0024】
周辺回路CBAは絶縁層40で覆われており、この絶縁層40と、積層体LMを覆う絶縁層50とが接合されることにより、複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCC等の構成と、周辺回路CBAとを備える半導体記憶装置1が構成される。
【0025】
次に、
図2を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。
図2は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の構成の一例を示す断面図である。
【0026】
図2(a)はメモリ領域MRを含むY方向に沿う断面図である。
図2(b)は、メモリ領域MRに配置されるピラーPLの断面を示す部分拡大図である。
図2(c)は階段領域SR及び外周領域ORを含むX方向に沿う断面図である。
【0027】
なお、
図2(a)(c)においては、半導体基板SB及び周辺回路CBA等の絶縁層40上方の構造、及び電極膜20等の絶縁層60下方の構造が省略されている。
【0028】
図2(a)(c)に示すように、プラグPGが設けられた絶縁層60上にはソース線SLが配置されている。下層膜としてのソース線SLは、例えばソース線DSLa、中間ソース線BSLまたは中間絶縁層SCO、及びソース線DSLbが、絶縁層60側からこの順に積層された多層構造を有する。
【0029】
ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及びソース線DSLbは、例えばポリシリコン層等である。そのうち、少なくとも中間ソース線BSLは、不純物が拡散された導電性のポリシリコン層等であってよい。中間ソース線BSLは、積層体LMのメモリ領域MRの下方に配置される。中間絶縁層SCOは例えば酸化シリコン層等である。中間絶縁層SCOは、積層体LMの階段領域SRの下方に配置される。
【0030】
ソース線SLの上方には積層体LMが配置されている。積層体LM上には、絶縁層52,53,54がこの順に配置されている。また、
図2(c)に示すように、これらの絶縁層52~54と階段領域SRにおける積層体LMとの間には絶縁層51が介在されている。これらの絶縁層51~54は
図1の絶縁層50の一部分を構成する。
【0031】
積層体LMには、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層されている。ワード線WLは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。絶縁層OLは例えば酸化シリコン層等である。
【0032】
積層体LMは、より詳細には、第1の積層体としての積層体LMaと、第2の積層体としての積層体LMbとを備える。積層体LMaは、複数の第1の導電層としてのワード線WLと複数の第1の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互にソース線SL上に積層された構成を有する。積層体LMbは、複数の第2の導電層としてのワード線WLと複数の第2の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層体LMa上に積層された構成を有する。
【0033】
なお、積層体LMaの最下層のワード線WLの更に下層、及び積層体LMbの最上層のワード線WLの更に上層に、絶縁層OLを介して1つ以上の選択ゲート線が積層されていてもよい。積層体LMにおけるこれらのワード線WL及び選択ゲート線の層数は任意である。ワード線WLの層数は、例えば数十層~数百層となる場合がある。
【0034】
上述の積層体LMaは、積層体LMaに含まれる他の絶縁層OLよりも厚い幾つかの絶縁層OLtを備える。これらの絶縁層OLtは、例えば積層体LMaの下層側であって、積層体LMaの最下層を除く位置に配置されている。
【0035】
より詳細には、これらの絶縁層OLtは、例えば積層体LMaの最下面の高さに対する積層体LMaの最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。
【0036】
上述の積層体LMbは、積層体LMbに含まれる他の絶縁層OLよりも厚い幾つかの絶縁層OLtを備える。これらの絶縁層OLtは、例えば積層体LMbの下層側であって、積層体LMbの最下層を除く位置に配置されている。
【0037】
より詳細には、これらの絶縁層OLtは、例えば積層体LMbの最下面の高さに対する積層体LMbの最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。
【0038】
なお、積層体LMa,LMbに含まれるこれらの絶縁層OLtを除く他の絶縁層OLは、例えばワード線WLと略等しい層厚を有する。したがって、絶縁層Otの層厚は、他の絶縁層OL及びワード線WLの層厚よりも厚く設定されている。
【0039】
これ以降、積層体LMa,LMbにそれぞれ含まれる絶縁層OLtと他の絶縁層OLとを区別しない場合には、これらを一律に絶縁層OLと呼ぶことがある。
【0040】
複数の板状コンタクトLIは、積層体LMをY方向に分割している。
【0041】
これらの板状コンタクトLIは、互いにY方向に並んで、積層体LMの積層方向およびX方向に沿う方向に延びる。つまり、板状コンタクトLIは、積層体LMのX方向一端部から他端部に亘って積層体LM内を連続的に延びている。これにより、積層体LMがY方向に分割される。
【0042】
より詳細には、板状コンタクトLIは、メモリ領域MRにおいて、絶縁層52、積層体LM、及びソース線DSLbを貫通して中間ソース線BSLに到達している。また、階段領域SRにおいては、板状コンタクトLIは、絶縁層52,51、積層体LMの少なくとも一部、及びソース線DSLbを貫通して中間絶縁層SCOに到達している。
【0043】
また、板状コンタクトLIのそれぞれは、絶縁層55と導電層21とを含む。絶縁層55は例えば酸化シリコン層等である。導電層21は例えばタングステン層または導電性のポリシリコン層等である。
【0044】
絶縁層55は、板状コンタクトLIのY方向に向かい合う側壁を覆う。導電層21は絶縁層55の内側に充填され、
図2(a)に示すように、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続されている。また、導電層21は、図示しないプラグを介して上層配線と接続される。
【0045】
このような構成により、板状コンタクトLIはソース線コンタクトとして機能することとなる。ただし、板状コンタクトLIに替えて、例えば絶縁層により構成された板状部材によって、積層体LMがY方向に分割されていてもよい。このような場合、板状部材は、ソース線コンタクトとしての機能を有さない。
【0046】
図2(a)に示すように、メモリ領域MRの個々の板状コンタクトLI間には、積層体LMの積層方向に積層体LM内を延びる複数のピラーPLが分散して配置されている。複数のピラーPLは、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状の配置を取る。
【0047】
また、ピラーPLは、絶縁層52、積層体LM、ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通してソース線DSLaに到達している。より詳細には、ピラーPLは、積層体LMa内を延びる第1のピラーとしてのピラーPLaと、積層体LMb内を延びる第2のピラーとしてのピラーPLbとを含む。
【0048】
すなわち、ピラーPLaは、積層体LMa、ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通してソース線DSLaに到達している。個々のピラーPLaは、積層体LMaの層方向に沿う方向、つまりXY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の形状を有する。
【0049】
また、個々のピラーPLaは、下部と上部とにそれぞれボーイング形状を有している。ボーイング形状とは、ボーイング形状の周囲よりもピラーPLa径が大きくなった形状である。すなわち、ボーイング形状のXY平面に沿う方向の断面積は、周囲のXY平面に沿う方向の断面積よりも大きい。
【0050】
ピラーPLa下部の第1のボーイング形状としてのボーイング形状は、積層体LMaの他より厚い絶縁層OLtと同じ高さに位置する。また、ピラーPLa下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積は、積層体LMaの積層方向に並ぶ幾つかの絶縁層OLtのうち、積層体LMaの積層方向中央寄りの絶縁層OLtの高さ位置にあるほど大きくなる。したがって、ピラーPLa下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積は、積層体LMaの積層方向中央部の絶縁層OLtの高さ位置において最大となっていてよい。
【0051】
ピラーPLa上部の第2のボーイング形状としてのボーイング形状は、ピラーPLa下部のボーイング形状よりも上方にあり、例えばピラーPLaの上端部により近い位置に配置されている。
【0052】
また、ピラーPLbは、絶縁層52、及び積層体LMbを貫通して、積層体LMa中のピラーPLaの上端部に接続される。個々のピラーPLbもまた、積層体LMbの層方向に沿う方向、つまりXY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の形状を有する。
【0053】
また、個々のピラーPLbは、下部と上部とにそれぞれボーイング形状を有している。つまり、これらのボーイング形状も、周囲のピラーPLb径およびXY平面の断面積よりも大きな径および断面積を有している。
【0054】
ピラーPLb下部の第3のボーイング形状としてのボーイング形状は、積層体LMbの他より厚い絶縁層OLtと同じ高さに位置する。また、ピラーPLb下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積は、積層体LMbの積層方向に並ぶ幾つかの絶縁層OLtのうち、積層体LMbの積層方向中央寄りの絶縁層OLtの高さ位置にあるほど大きくなる。したがって、ピラーPLb下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積は、積層体LMbの積層方向中央部の絶縁層OLtの高さ位置において最大となっていてよい。
【0055】
ピラーPLb上部の第4のボーイング形状としてのボーイング形状は、ピラーPLb下部のボーイング形状よりも上方にあり、例えばピラーPLbの上端部により近い位置に配置されている。
【0056】
上下部にそれぞれボーイング形状を有するこれらのピラーPLa,PLbの形状を、これ以降、2段ボーイング形状などとも呼ぶことがある。
【0057】
ピラーPLa,PLbをそれぞれ含む個々のピラーPLは、ピラーPLの外周部に配置されるメモリ層ME、積層体LMを貫通して中間ソース線BSLと接続するチャネル層CN、及びピラーPLの芯材となるコア層CRを有する。ただし、メモリ層MEは、中間ソース線BSLの深さ位置には配置されない。メモリ層ME及びチャネル層CNは、ピラーPLのソース線SL側の端部をも覆っている。
【0058】
図2(b)に示すように、メモリ層MEは、ピラーPLの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNがこの順に積層された多層構造を有する。
【0059】
チャネル層CNは、側面で中間ソース線BSLと接触しており、これにより、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続される。チャネル層CNは、絶縁層52,53中に配置されるプラグCHを介して、絶縁層54中をY方向に沿う方向に延びるビット線BLと接続される。
【0060】
ビット線BLは、絶縁層54中に配置される電極パッドPDbを介して、絶縁層40中に配置される電極パッドPDcと接続されている。電極パッドPDcは、絶縁層40で覆われた周辺回路CBA(
図1参照)に電気的に接続されている。これにより、ピラーPLのチャネル層CNが、周辺回路CBAに電気的に接続される。
【0061】
メモリ層MEのブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TN、並びにコア層CRは例えば酸化シリコン層等である。メモリ層MEの電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。チャネル層CNは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。
【0062】
以上のような構成によって、ピラーPL側面の個々のワード線WLと対向する部分には、それぞれメモリセルMCが形成される。ワード線WLから所定の電圧が印加されることにより、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0063】
図2(c)に示すように、階段領域SRは階段部SPを有する。階段部SPは、複数のワード線WL及び複数の絶縁層OLが階段状に加工された階段形状を有する。上述のように、階段部SPは、積層体LMの両端部の位置でX方向に延び(
図1(a)参照)、積層体LM中央部のメモリ領域MRから離れるにつれ、ソース線SL側へと向かって下降していく。また、上述のように、階段部SPと絶縁層52との間には、階段部SPを覆い、その周辺へと広がる絶縁層51が配置される。
【0064】
階段部SPの各段を構成するワード線WLには、絶縁層51,52を貫通するコンタクトCCが接続されている。
【0065】
コンタクトCCは、コンタクトCCの外周を覆う絶縁層56と、絶縁層56の内側に充填されるタングステン層または銅層等の導電層22とを有する。導電層22は、絶縁層53中に配置されるプラグV0を介して、絶縁層54中に配置される配線MXと接続される。配線MXは、電極パッドPDb,PCc等を介して周辺回路CBA(
図1参照)に電気的に接続されている。
【0066】
このような構成により、各層のワード線WLを電気的に引き出すことができる。すなわち、上記構成により、周辺回路CBAから、電極パッドPDc,PCb、コンタクトCC、及びワード線WLを介してメモリセルMCに所定の電圧を印加して、メモリセルMCを記憶素子として動作させることができる。
【0067】
なお、階段領域SRには、絶縁層52,51及び積層体LMを積層体LMの積層方向に延びる複数の柱状部(不図示)が分散して配置されている。柱状部は、後述するように、犠牲層と絶縁層とが積層された積層体から積層体LMを形成する際、これらの構成を支持する役割を持つ。
【0068】
また、積層体LMの外周領域OR(
図1参照)には、積層体LMから離れた位置で積層体LMの周囲を囲うように積層体LMsが配置されている。積層体LMsは、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された構成を有する。複数の絶縁層NLは、絶縁層OLとは異なる材料から構成されており、例えば窒化シリコン層等である。
【0069】
積層体LMsは、より詳細には、積層体LMsaと積層体LMsbとを備える。積層体LMsaには、上述の積層体LMaの絶縁層OLtと対応するように、これらの絶縁層OLtと同じ高さ位置に配置される幾つかの絶縁層OLtが含まれている。積層体LMsbにもまた、上述の積層体LMbの絶縁層OLtと対応するように、これらの絶縁層OLtと同じ高さ位置に配置される幾つかの絶縁層OLtが含まれている。
【0070】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、
図3~
図11を用いて、実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
図3~
図11は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
【0071】
まずは、ピラーPLが形成される様子を
図3及び
図4に示す。
図3及び
図4は、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0072】
図3(a)に示すように、支持基板SS上に、ソース線DSLa、中間犠牲層SCN、及びソース線DSLbをこの順に形成する。支持基板SSは、例えばシリコン基板等の半導体基板、セラミック基板もしくは石英基板等の絶縁性基板、または、サファイア基板等の導電性基板等であってよい。ソース線DSLa,DSLbは、例えばポリシリコン層等である。中間犠牲層SCNは、例えば窒化シリコン層等であり、後に導電性のポリシリコン等に置き換えられて中間ソース線BSLとなる部分である。
【0073】
また、ソース線DSLb上に、複数の第1の絶縁層としての絶縁層NLと、複数の第2の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された第2の積層体としての積層体LMsaを形成する。絶縁層NLは、例えば窒化シリコン層等であり、後に導電材料に置き換えられてワード線WLとなる犠牲層として機能する。積層体LMsaは、このような置き換え処理によって後に積層体LMaとなる部分である。
【0074】
このような積層体LMsaは、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて形成される。このとき、絶縁層OLを形成する際には、モノシラン(SiH4)等のシラン系ガス、及び酸素(O2)ガス等の酸化ガスを使用する。絶縁層NLを形成する際には、モノシラン(SiH4)等のシラン系ガス、及びアンモニア(NH3)ガス等の窒化ガスを使用する。
【0075】
またこのとき、積層体LMaは、他の絶縁層OLよりも厚い上述の絶縁層OLtを所定位置に有するよう形成される。絶縁層OLtを厚く形成するには、例えば他の絶縁層OLよりもプラズマCVD法等による処理時間を長くすればよい。
【0076】
なお、メモリ領域MRとなる領域にソース線DSLa、中間犠牲層SCN、及びソース線DSLbを形成する際には、図示はしないが、後に階段領域SRとなる領域に、中間犠牲層SCNに替えて、上述の中間絶縁層SCO(
図2(c)参照)を形成する。
【0077】
また、図示はしないが、積層体LMsaのX方向両端部に階段部SPの積層体LMaに配置される部分を形成する。積層体LMsa端部の階段形状は、例えば積層体LMsaの上面に図示しないレジスト層等を形成し、酸素プラズマ等を用いてレジスト層をスリミングしつつ、積層体LMsaを上面側から加工していくことで得られる。
【0078】
また、メモリ領域MRとなる領域において、積層体LMsaの上面から、積層体LMsa、ソース線DSLb、中間犠牲層SCNを貫通し、ソース線DSLaに到達する複数のメモリホールMHaを形成する。
【0079】
複数のメモリホールMHaは、例えば低温下でのプラズマエッチング等により形成される。具体的には、例えば支持基板SSを0℃以下、より好ましくは-10℃以下に冷却したステージ上に載置し、上面にホールパターンを有する図示しないレジスト層等が形成された積層体LMSsaを、ハイドロフルオロカーボン(CxHyFz)系ガス等のプラズマを用いてエッチング処理する。
【0080】
このような条件下では、例えばフルオロカーボン系ガス及び水素ガスと、絶縁層NL,OLとのプラズマ中での反応により、形成途中のメモリホールMHaの側面等、積層体LMsaの加工面に堆積物を付着させつつエッチングが進行する。一例として、堆積物には(NH4)xSiFy等が含まれうる。(NH4)xSiFy等の堆積物に含有される窒素、及び第1の元素としてのシリコンは、例えば窒化シリコン層等である絶縁層NLに由来するものである。
【0081】
メモリホールMHa側面に付着する堆積物は、メモリホールMHa側面をプラズマから保護する機能を有している。このため、プラズマ条件を様々に調整することで堆積物の量をも調整することができ、ストレート形状、テーパ形状、ボーイング形状等の所望の形状を有するメモリホールMHaを形成することが可能である。なお、上記条件下では、絶縁層NL,OLのうち絶縁層NLのエッチング時に、より堆積物が生成されやすい。
【0082】
エッチング開始当初、積層体LMaの上層側を加工中には堆積物は比較的少ないため、メモリホールMHa側面がプラズマから保護されず、メモリホールMHaは上部にボーイング形状を有することとなる。また、エッチングがある程度進行すると、側面の堆積物によりメモリホールMHaは次第に先細りのテーパ形状となっていく。
【0083】
しかし、積層体LMsaの下層側には、他より厚い絶縁層OLtが形成されている。上述のように、絶縁層OL,OLtのエッチング時には、絶縁層NLのエッチング時に比べて、堆積物の生成量が減少する。このため、メモリホールMHaは下部にもボーイング形状を有することとなる。
【0084】
このように、上述のピラーPLaと同様、2段ボーイング形状、つまり、上部と下部とにボーイング形状を有するメモリホールMHaが形成される。
【0085】
図3(b)に示すように、例えばアモルファスシリコン層等の犠牲層でメモリホールMHa内を充填し、複数のピラーPLsを形成する。
【0086】
図3(c)に示すように、複数のピラーPLsが形成された積層体LMsa上に、複数の絶縁層NLと、複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsbを形成する。積層体LMsbは後に積層体LMbとなる部分である。このような積層体LMsbも、上述の積層体LMsaと同様、例えばプラズマCVD法等により、適宜ガス種を変更して形成することができる。
【0087】
また、積層体LMbにも、他の絶縁層OLよりも厚い上述の絶縁層OLtが所定位置に形成される。積層体LMsb上には絶縁層52が形成される。
【0088】
なお、例えば積層体LMsbが形成された後、図示はしないが、積層体LMsbのX方向両端部に階段部SPの積層体LMbに配置される部分を形成する。積層体LMsb端部の階段形状は、積層体LMsaに形成される上述の階段形状と同様、例えばレジスト層等をスリミングしつつ、積層体LMsbを上面側から加工していくことで得られる。
【0089】
また、図示はしないが、積層体LMsa,LMsbに形成された階段形状は、上述の絶縁層51(
図2参照)により覆われる。その後、階段領域SRを含め、積層体の上面全体を絶縁層52で覆う。
【0090】
また、メモリ領域MRとなる領域において、積層体LMsaに形成されたピラーPLsにそれぞれ到達する複数のメモリホールMHbを形成する。複数のメモリホールMHbもまた、上述のメモリホールMHaと同様、例えば低温下でのプラズマエッチング等により形成される。
【0091】
すなわち、例えば支持基板SSを0℃以下、より好ましくは-10℃以下に冷却したステージ上に載置し、上面にホールパターンを有する図示しないレジスト層等が形成された積層体LMSsbを、ハイドロフルオロカーボン(CxHyFz)系ガス等のプラズマを用いてエッチング処理する。
【0092】
このような処理により、メモリホールMHbの側面にも、形成途中のメモリホールMHbの深さに応じた量の堆積物が付着され、メモリホールMHbは、積層体LMbの上層側に位置するボーイング形状と、積層体LMsbの下層側の、他より厚い絶縁層OLt高さに位置するボーイング形状とを有することとなる。
【0093】
このように、上述のピラーPLbと同様、2段ボーイング形状、つまり、上部と下部とにボーイング形状を有するメモリホールMHbが形成される。
【0094】
図4(a)に示すように、メモリホールMHbを介してメモリホールMHaに充填された犠牲層を除去する。これにより、絶縁層52、積層体LMsb,LMsa、ソース線DSLb、及び中間犠牲層SCNを貫通し、ソース線DSLaに到達する複数のメモリホールMHが形成される。
【0095】
図4(b)に示すように、メモリホールMH内に、メモリホールMHの外周側から順に、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNが積層されたメモリ層MEを形成する。メモリ層MEはメモリホールのMHの底面にも形成される。上述のように、ブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TNは例えば酸化シリコン層等であり、電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。
【0096】
また、メモリ層MEの内側に、ポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等のチャネル層CNを形成する。チャネル層CNは、メモリ層MEを介してメモリホールのMHの底面にも形成される。また、チャネル層CNの更に内側に、酸化シリコン層等のコア層CRを充填する。
【0097】
以上により、複数のピラーPLが形成される。ただし、この段階では、メモリ層MEは、中間犠牲層SCNの高さ位置にも形成されており、チャネル層CNの側面全体を覆っている。
【0098】
次に、中間ソース線BSLが形成される様子を
図5及び
図6に示す。
図5及び
図6は、上述の
図3及び
図4と同様、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0099】
図5(a)に示すように、メモリ領域MRの板状コンタクトLIが形成される位置に、積層体LMsa,LMsb及びソース線DSLaを貫通して中間犠牲層SCNに到達する複数のスリットSTを形成する。これらのスリットSTはX方向にも延びており、積層体LMsa,LMsbをY方向に分割している。
【0100】
また、これらのスリットSTのY方向に向かい合う側壁に絶縁層55sを形成する。絶縁層55sは、例えば酸化シリコン層等であり、中間ソース線BSLを形成する際の積層体LMsa,LMsbの保護層として機能する。
【0101】
図5(b)に示すように、複数のスリットSTから、例えば熱リン酸等の中間犠牲層SCNの除去液を流入させて、中間犠牲層SCNを除去する。これにより、ソース線DSLa,DSLb間にギャップ層GPsが形成される。また、ピラーPL外周部のメモリ層MEの一部がギャップ層GPs内に露出する。
【0102】
このとき、積層体LMsa,LMsbを貫通するスリットSTの側壁には絶縁層55sが形成されているため、積層体LMsa,LMsbに含まれる絶縁層NLが除去されてしまうことが抑制される。
【0103】
図6(a)に示すように、複数のスリットSTを介してギャップ層GPs内に異なる薬液を適宜流入させて、ギャップ層GPs内に露出したブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNを順次除去する。これにより、ピラーPLの一部側壁からメモリ層MEが除去され、内側のチャネル層CNの一部側壁がギャップ層GPs内に露出する。
【0104】
図6(b)に示すように、複数のスリットSTから、例えばアモルファスシリコン等を形成するための原料ガスを注入し、ギャップ層GPsをアモルファスシリコン等で充填する。また、支持基板SSを加熱処理して、ギャップ層GPs内に充填されたアモルファスシリコンを多結晶化してポリシリコン等を含む中間ソース線BSLを形成する。
【0105】
これにより、ピラーPLのチャネル層CNの一部が、中間ソース線BSLを介して側面でソース線SLと接続される。
【0106】
なお、
図5及び
図6に示す中間ソース線BSLの形成処理を、中間ソース線BSLのリプレース処理とも呼ぶ。
【0107】
この後、スリットST側壁の絶縁層55sを除去する。
【0108】
次に、積層体LMa,LMbが形成される様子を
図7及び
図8に示す。
図7及び
図8の(a)は、上述の
図3~
図6と同様、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
図7及び
図8の(b)は、製造途中の階段領域SRのX方向に沿う断面を示している。
【0109】
ここで、階段領域SRには、積層体LMsa,LMsbの端部が階段状に加工された階段構造が形成されている。このような階段構造は、全体が絶縁層51に覆われ、更に積層体LMa,LMb全体を覆う絶縁層52が形成されている。また、階段領域SRには、上述のピラーPLの形成と並行して、複数の図示しない柱状部が形成される。
【0110】
さらに、階段領域SRには、中間犠牲層SCNに替えて中間絶縁層SCOが形成されている。この中間絶縁層SCOは、例えば酸化シリコン層等であるので、上述の中間ソース線BSLのリプレース処理によって除去されずに残る。
【0111】
また、階段領域SRのX方向外側、及び積層体LMsa,LMsbの図示しないY方向外側の外周領域OR(
図1参照)には、ピラーPL及び階段構造等が形成された積層体LMsa,LMsbから切り離された積層体LMsa,LMsbが存在している。
【0112】
上述のように、外周領域ORはスクライブラインに含まれる領域であって、素子領域ER(
図1参照)外に配置されている。上記に述べたような各種処理は、素子領域ERを対象として行われ、外周領域ORはこれらの処理の対象外である。
【0113】
よって、ピラーPL等が形成される積層体LMa,LMbに階段構造を形成する処理等により、ピラーPL等が形成された積層体LMa,LMbから切り離された上述の積層体LMa,LMbが、外周領域ORに残存する場合がある。
【0114】
図7(a)に示すように、積層体LMsa,LMsbを貫通するスリットSTから積層体LMsa,LMsb内部へと、例えば熱リン酸等の絶縁層NLの除去液を流入させて、積層体LMsa,LMsbの絶縁層NLを除去する。これにより、絶縁層OL間の絶縁層NLが除去された複数のギャップ層GPを有する積層体LMga,LMgbが形成される。
【0115】
図7(b)に示すように、スリットSTを介する積層体LMsa,LMsbの絶縁層NLの除去は、階段領域SRにも及ぶ。上述のように、スリットSTは、積層体LMsa,LMsbをY方向に分割するように形成されており、
図7(b)に破線で示すように、階段領域SRの外側にまで到達している。このようなスリットSTを介して、階段領域SRにおける絶縁層NLも除去される。
【0116】
しかし、スリットSTは、例えば階段領域SRの更に外側の外周領域ORにまでは到達していない。このため、外周領域ORに残存する積層体LMsa,LMsbの絶縁層NLは除去されない。
【0117】
なお、複数のギャップ層GPを含む積層体LMga,LMgbは脆弱な構造となっている。メモリ領域MRでは、複数のピラーPLがこのような脆弱な積層体LMga,LMgbを支持する。階段領域SRでは、複数の図示しない柱状部が積層体LMga,LMgbを支持する。このようなピラーPL及び柱状部の支持構造によって、残った絶縁層OLが撓んだり、積層体LMga,LMgbが歪んだり倒壊したりすることが抑制される。
【0118】
図8(a)(b)に示すように、スリットSTから積層体LMga,LMgb内部へと、例えばタングステンまたはモリブデン等の導電材となる原料ガスを注入し、積層体LMga,LMgbのギャップ層GPを導電材で充填して複数のワード線WLを形成する。これにより、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMが形成される。
【0119】
このとき、上述のように、外周領域ORにはスリットSTが形成されておらず、外周領域ORの積層体LMsa,LMsbには、依然として絶縁層NLが含まれている。つまり、外周領域ORには、上述の
図3(a)及び
図3(c)の処理により形成された積層体LMsa,LMsbがそのまま維持される。
【0120】
なお、
図7及び
図8に示すワード線WLの形成処理を、ワード線WLのリプレース処理とも呼ぶ。
【0121】
次に、板状コンタクトLI、コンタクトCC、及び各種上層配線が形成される様子を
図9及び
図10に示す。
図9及び
図10の(a)は、上述の
図7及び
図8の(a)と同様、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
図9及び
図10の(b)は、
図7及び
図8の(b)と同様、製造途中の階段領域SRのX方向に沿う断面を示している。
【0122】
図9(a)に示すように、スリットSTのY方向に向かい合う側壁に絶縁層55を形成し、絶縁層55の内側に導電層21を充填する。これにより、板状コンタクトLIが形成される。ただし、上述のように、スリットST内に例えば絶縁層55等を充填して、ソース線コンタクトとして機能しない板状部材を形成してもよい。この場合、スリットSTは、専らワード線WLのリプレース処理に使用することを目的として形成されることとなる。
【0123】
図9(b)に示すように、絶縁層52,51を貫通し、階段部SPの個々のワード線WLの上面に到達する複数のコンタクトCCを形成する。これらのコンタクトCCは、絶縁層52,51を貫通してワード線WLに到達する複数の図示しないコンタクトホールを形成し、コンタクトホールの側壁を覆う絶縁層56を形成し、絶縁層56の更に内側を充填する導電層22を形成することにより形成される。
【0124】
図10(a)(b)に示すように、積層体LMを覆う絶縁層52上に更に絶縁層53を形成する。
【0125】
図10(a)に示すように、絶縁層53を貫通し、ピラーPLのチャネル層CNに接続されるプラグCHを形成する。また、絶縁層53上にプラグCHに接続されるビット線BLを形成する。また、絶縁層53及びビット線BLを覆う絶縁層54を形成し、絶縁層54中に、ビット線BLに接続されるとともに、絶縁層54の上面に露出する複数の電極パッドPDbを形成する。
【0126】
図10(b)に示すように、階段領域SRにおいては、
図10(a)の処理と並行して、絶縁層53を貫通し、複数のコンタクトCCのそれぞれと接続されるプラグV0を形成する。また、図示はしないが、プラグV0は、板状コンタクトLIにも接続される。
【0127】
また、絶縁層53上にプラグV0に接続される上層配線MXを形成する。また、絶縁層53及び上層配線MXを覆う絶縁層54を形成し、絶縁層54中に、上層配線MXに接続されるとともに、絶縁層54の上面に露出する複数の電極パッドPDbを形成する。
【0128】
次に、積層体LM上に周辺回路CBAが形成される様子を
図11に示す。
図11(a)は、周辺回路CBAが形成された半導体基板SBのY方向に沿う断面を示している。
図11(b)は、上述の
図9及び
図10の(a)と同様、製造途中のメモリ領域MRのY方向に沿う断面を示している。
【0129】
図11(a)に示すように、別途、シリコン基板等の半導体基板SB表面に、トランジスタTRを含む周辺回路CBAを形成する。また、周辺回路CBAを覆う絶縁層40を形成する。絶縁層40中には、周辺回路CBAに接続されるコンタクト、ビア、及び配線等を形成する。また、これらの構成を介して周辺回路CBAに電気的に接続されるとともに、絶縁層40の表面に露出する複数の電極パッドPDcを絶縁層40中に形成する。
【0130】
このように周辺回路CBAが形成された半導体基板SBの面を、
図11(b)に示す支持基板SSの積層体LM等が形成された面に対向させて配置する。
【0131】
この後、支持基板SS側の絶縁層54と、半導体基板SB側の絶縁層40とを接合する。これらの絶縁層54,40は、例えば予めプラズマ処理等により活性化させておくことで接合することができる。また、絶縁層54,40を接合する際には、絶縁層54に形成された電極パッドPDbと、絶縁層40に形成された電極パッドPDcとが重なるように、支持基板SSと半導体基板SBとの位置合わせをする。
【0132】
絶縁層54,40を接合した後、アニール処理を行って、電極パッドPDb,PDcを例えばCu-Cu接合により接合させる。以上により、支持基板SSと半導体基板SBとが貼り合わされた、貼り合わせ基板が得られる。
【0133】
その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等によって、貼り合わせ基板から支持基板SSを除去してソース線DSLaを露出させる。
【0134】
また、ソース線DSLa下面に絶縁層60を形成し、絶縁層60を貫通するプラグPG(
図1参照)を形成する。また、絶縁層60上に電極膜20(
図1参照)を形成する。これにより、ソース線SLと電極膜20とがプラグPGを介して電気的に接続される。
【0135】
また、周辺回路PERが設けられ、積層体LMを含む構成が貼り合わされた半導体基板SBをダイシングブレード等によって切断し、個々の半導体記憶装置1に切り出す個片化処理を行う。このとき、積層体LMの外周に設けられていたスクライブラインが略消失するが、例えば積層体LMから切り離された積層体LMsを含む外周領域ORとして、スクライブラインの一部が残る場合がある。
【0136】
以上により、実施形態1の半導体記憶装置1が製造される。
【0137】
(概括)
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置では、後にワード線に置き換えられる複数の窒化シリコン層と、複数のワード線間を絶縁することとなる複数の酸化シリコン層とを積層し、これらを貫通するメモリホール内にメモリ構造を形成する。
【0138】
半導体記憶装置の高集積化に伴って、窒化シリコン層と酸化シリコン層との積層数が増しており、エッチング処理によるメモリホール形成のスループットを高めることが望まれている。これまでメモリホールの形成に使用されていた0℃超の温度条件でのプラズマエッチングに替えて、0℃以下でフルオロカーボンガス及び水素ガスを用いたプラズマエッチングにすることで、窒化シリコン層のエッチングレートを飛躍的に高めることができる。
【0139】
一方で、このような低温エッチングの条件下では、窒化シリコン層のエッチング時に生成される堆積物によってメモリホールが先細りのテーパ形状となってしまい、メモリホール内に形成されるメモリ構造と、下層のソース線との導通が充分に得られないという課題が生じる。
【0140】
図12を用いて、このような低温エッチングにおけるメモリホールのエッチングメカニズムについて説明する。
【0141】
図12は、実施形態1および比較例にかかるメモリホールMHa,MHxのエッチングメカニズムを示す模式図である。
図12(a)及び
図12(b)は、比較例のメモリホールMHxがエッチングにより形成される様子を示している。
図12(c)は、実施形態1のメモリホールMHaがエッチングにより形成される様子を示している。
【0142】
図12(a)に示すように、比較例においては、積層体に含まれる絶縁層OLxは全て等しい厚さを有する。このような積層体上にホールパターンを有するレジスト層70を形成し、例えば低温下でフルオロカーボン系ガス及び水素ガスを用いたプラズマエッチングでレジスト層70を介して積層体をエッチング加工することで、比較例のメモリホールMHxが形成される。
【0143】
このようなエッチング処理においては、例えば絶縁層NL由来のシリコン及び窒素、フルオロカーボン系ガス由来のフッ素、及び水素ガス由来の水素等の反応混合物である堆積物Dshを、メモリホールMHx側面等のエッチング加工面に付着させつつ、フルオロカーボンイオン(CFx+)等のイオン衝撃によってメモリホールMHxが形成されていく。
【0144】
メモリホールMHx側面等に付着する堆積物Dshは、例えば(NH4)xSiFy,SiOxFy,NH4F,HCN等を含んで生成される。これにより、堆積物DshによるメモリホールMHxの側壁保護効果も高まっていき、上部側でボーイング形状であったメモリホールMHxは、次第に先細りのテーパ形状となっていく。
【0145】
このようなエッチング処理中、エッチングマスクであるレジスト層70もまた、フルオロカーボンラジカル(CFx*)、及びフルオロカーボン中のフッ素ラジカル(F*)等のエッチャントによって、若干ながらエッチングされていく。
【0146】
これにより、レジスト層70のホールパターン開口部の側壁には、例えばレジスト層70由来のカーボン、フルオロカーボン系ガス由来のカーボン及びフッ素等の反応混合物である堆積物Dcfが付着していく。このような堆積物Dcfは、例えばCFxを含んで生成される。
【0147】
図12(b)に示すように、メモリホールMHxが積層体を貫通し、下層のソース線DSLbに到達した後、更にオーバーエッチングが行われる。メモリホールMHxが下層側の積層体に達する時点では、メモリホールMHxにいっそうテーパがつくほか、メモリホールMHxのアスペクト比が高くなり、フルオロカーボンイオン(CFx
+)等がメモリホールMHx底部に到達し難くなっている。このため、メモリホールMHxは、よりいっそう先細りの形状となる。
【0148】
また、メモリホールMHxがソース線DSLbに到達する際には、ソース線DSLbがエッチングされないようソース線DSLbとの選択比をとるために、メモリホールMHx底部のソース線DSLb表面に、CFx等が堆積しやすい条件であって、例えば支持基板を載置したステージを50℃以上の高い温度に切り替えている。このとき、メモリホールMHx底面のソース線DSLb表面に堆積したCFx、及びソース線DSLb由来のシリコン等を含む混合物が、フルオロカーボンイオン(CFx+)の衝撃によってスパッタされて、堆積物Dshの成分として追加される。
【0149】
このような堆積物Dsh、及びCFx等の堆積物Dcfもまた、メモリホールMHxが先細り形状となることを助長する。なお、上層の積層体を貫通するメモリホールを形成する際には、アモルファスシリコン層等が充填された下層のメモリホールに対してオーバーエッチングが行われることとなる。このため、上層のメモリホールの底面にも同様に、アモルファスシリコン層由来のシリコン等を含む堆積物Dsh、及びCFx等の堆積物Dcfが堆積されるため、先細り形状となるものと考えられる。
【0150】
図12(c)に示すように、実施形態1の構成においては、先細り形状となりやすい積層体LMa下層側に、他の絶縁層OLよりも厚い幾つかの絶縁層OLtが配置されている。これにより、これらの絶縁層OLtの高さ位置において、例えば窒化シリコン層等である絶縁層NLから生成される堆積物Dshの量が減少し、メモリホールMHaがテーパ形状となってしまうことを抑制することができる。
【0151】
また、絶縁層OLtの厚さ及び層数を調整することで、これらの絶縁層OLtの高さ位置においてボーイング形状を有するメモリホールMHaを形成することも可能である。このように、下部側でメモリホールMHaをボーイング形状とすることで、メモリホールMHaの底面積を効果的に広げることができる。
【0152】
ここで、積層体LMaの最下層にも、他の絶縁層OLよりも厚い絶縁層OLtを配置することも考えられる。しかしながら、本発明者らは、メモリホールMHaの底面積は、最下層の絶縁層OLに至るまでの、より上層側で略決定づけられてしまうことを突き止めた。オーバーエッチングの際、メモリホールMHaの底部には、ソース線DSLbからの堆積物Dsh、及びCFx*等の堆積物Dcf等がいっそう付着しやすいためであると推測される。
【0153】
本発明者らによれば、積層体LMaの最下面の高さに対する積層体LMaの最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の高さ位置の範囲内において、メモリホールMHaのボーイング形状が得られやすく、また、このようなボーイング形状により、メモリホールMHaの底面積を増大させることが可能である。
【0154】
実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法によれば、積層体LMaの下層側の絶縁層OLであって、積層体LMaの最下層の絶縁層OLを除く幾つかの絶縁層OLtを、積層体LMaの上層側の絶縁層OLよりも厚く形成する。また、メモリホールMHaを形成するときは、シリコンと窒素とを含む堆積物DshをメモリホールMHaの側壁に付着させながら積層体LMaをエッチングする。これにより、高エッチングレートの条件下で、ボトム径の広いメモリホールMHaを形成することができる。
【0155】
実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法によれば、幾つかの絶縁層OLtは、積層体LMaにおいて、積層体LMaの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の高さ位置に配置されている。
【0156】
このように、メモリホールMHaが下層のソース線DSLbに到達し、オーバーエッチングが開始されるまでの適切な高さ位置に、幾つかの絶縁層OLtを配置することで、メモリホールMHaが2段ボーイング形状を有することとなり、ボトム径を効果的に広げることができる。
【0157】
(変形例)
次に、
図13を用いて、実施形態1の変形例の半導体記憶装置1aについて説明する。変形例の半導体記憶装置1aは、他の絶縁層OLより厚い絶縁層OLt,OLmが互いに異なる厚さを有する点が上述の実施形態1とは異なる。
【0158】
図13は、実施形態1の変形例にかかる半導体記憶装置1aの構成の一例を示すX方向に沿う断面図である。
図13には、メモリ領域MRに配置されるピラーPL、及び外周領域ORに配置されるリプレース未処理の積層体LMasの断面を示す。
【0159】
なお、
図13においては、上述の実施形態1と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0160】
図13に示すように、変形例の半導体記憶装置1aは、ソース線SL上に配置される第1の積層体としての積層体LMaaと、積層体LMaa上に配置される積層体LMabを含む積層体LMmを備える。
【0161】
積層体LMaaは、複数のワード線WLと、複数の第1の絶縁層としての絶縁層OLとが、1層ずつ交互に積層された構成を有する。複数の絶縁層OLのうち、積層体LMaaの下層側の絶縁層OLであって、積層体LMaaの最下層の絶縁層OLを除く幾つかの絶縁層OLt,OLmは、積層体LMmの上層側の絶縁層OLよりも厚い。また、これらの絶縁層OLt,OLmのうち、絶縁層OLtは絶縁層OLmよりも更に厚い。
【0162】
より具体的には、幾つかの絶縁層OLt,OLmは、積層体LMaaにおいて、積層体LMaaの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。また、これらの絶縁層OLt,OLmが配置される範囲内において、絶縁層OLtは、積層体LMaaの積層方向の中央付近に配置されている。また、絶縁層OLmは、絶縁層OLtの上下にそれぞれ配置されている。
【0163】
なお、
図13の例では、2つの異なる層厚を有する2種類の絶縁層OLt,OLmが示されているが、他の絶縁層OLより厚い絶縁層OL(OLt,OLm・・・)が、3つ以上の異なる層厚を有する3種類以上の絶縁層OLであってもよい。
【0164】
このように、変形例の積層体LMaaは、幾つかの絶縁層OL(OLt,OLm・・・)において、積層体LMaaの積層方向の中央部に向かうほど絶縁層OLの厚さが増していくように構成されている。
【0165】
積層体LMabは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された構成を有する。複数の絶縁層OLのうち、積層体LMabの下層側の絶縁層OLであって、積層体LMabの最下層の絶縁層OLを除く幾つかの絶縁層OLt,OLmは、積層体LMmの上層側の絶縁層OLよりも厚い。また、これらの絶縁層OLt,OLmのうち、絶縁層OLtは絶縁層OLmよりも更に厚い。
【0166】
より具体的には、幾つかの絶縁層OLt,OLmは、積層体LMabにおいて、積層体LMabの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。また、これらの絶縁層OLt,OLmが配置される範囲内において、絶縁層OLtは、積層体LMabの積層方向の中央付近に配置されている。また、絶縁層OLmは、絶縁層OLtの上下にそれぞれ配置されている。
【0167】
なお、
図13の例では、2つの異なる層厚を有する2種類の絶縁層OLt,OLmが示されているが、他の絶縁層OLより厚い絶縁層OL(OLt,OLm・・・)が、3つ以上の異なる層厚を有する3種類以上の絶縁層OLであってもよい。
【0168】
このように、変形例の積層体LMabは、幾つかの絶縁層OL(OLt,OLm・・・)において、積層体LMabの積層方向の中央部に向かうほど絶縁層OLの厚さが増していくように構成されている。
【0169】
積層体LMmが以上のように構成されることで、変形例の半導体記憶装置1aにおいても、積層体LMaaに配置されるピラーPLa、及び積層体LMabに配置されるピラーPLbは、いずれも2段ボーイング形状を有する。
【0170】
すなわち、ピラーPLaは、上部と下部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層OLt,OLmの高さ位置に配置されている。また、絶縁層OLt,OLmのうち、積層体LMaaの積層方向中央部の絶縁層OLtの高さ位置において、ピラーPLa下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積が最大となっていてよい。
【0171】
また、ピラーPLbは、上部と下部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層OLt,OLmの高さ位置に配置されている。また、絶縁層OLt,OLmのうち、積層体LMabの積層方向中央部の絶縁層OLtの高さ位置において、ピラーPLb下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積が最大となっていてよい。
【0172】
このように、他の絶縁層OLより厚い絶縁層OLt,OLmの互いの厚さを異ならせた場合にも、2段ボーイング形状を有するピラーPLa,PLbを形成することができる。
【0173】
半導体記憶装置1aの外周領域ORに配置される積層体LMasは、積層体LMmがリプレース処理を受ける前の状態を保っている。したがって、積層体LMasは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMasa,LMasbを備える。また、積層体LMasa,LMasbは、上述の積層体LMaa,LMabの絶縁層OLt,OLmと対応する位置に、他の絶縁層OLより厚く、互いに厚さの異なる幾つかの絶縁層OLt,OLmをそれぞれ有する。
【0174】
変形例の半導体記憶装置1aの製造方法によれば、積層体LMaaの積層方向に並ぶ幾つかの絶縁層OLt,OLmにおいて、積層体LMaaの積層方向の中央部に向かうほど絶縁層OLt,OLmの厚さが増していく。
【0175】
このように、絶縁層OLtの上下の絶縁層OLmを絶縁層OLtより若干薄くすることによって、幾つかの絶縁層OLt,OLmのトータルの層厚を、例えば上述の実施形態1における幾つかの絶縁層OLtのトータルの層厚よりも減少させることができる。一方で、ボーイング形状が得られやすい高さ位置の中央付近に絶縁層OLmよりも更に厚い絶縁層OLtを配置する。これにより、エッチングレートの低下を抑制しつつ、2段ボーイング形状のメモリホールMHaを形成することができる。
【0176】
また、上記構成のように、絶縁層OLt,OLmの厚さを異ならせ、さらに、より厚い絶縁層OLtを絶縁層OLmよりも積層方向の中央寄りに配置することで、メモリホールMHa下部のボーイング形状をいっそう精密に制御することができる。
【0177】
変形例の半導体記憶装置1aの製造方法によれば、その他、上述の実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0178】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2においては、絶縁層NLに含有される酸素の比率を高める点が、上述の実施形態1とは異なる。
【0179】
図14は、実施形態2にかかる半導体記憶装置2の構成の一例を示すX方向に沿う断面図である。
図14には、メモリ領域MRに配置されるピラーPL、及び外周領域ORに配置されるリプレース未処理の積層体LMbsの断面を示す。
【0180】
なお、
図14においては、上述の実施形態1と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0181】
図14に示すように、実施形態2の半導体記憶装置2は、ソース線SL上に配置される第1の積層体としての積層体LMbaと、積層体LMba上に配置される第3の積層体としての積層体LMbbとを含む積層体LMnを備える。
【0182】
積層体LMbaは、複数の第1の導電層としてのワード線WLと、複数の第1の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された構成を有する。積層体LMbaの複数の絶縁層OLは、全て実質的に等しい厚さを有する。
【0183】
積層体LMbbは、複数の第2の導電層としてのワード線WLと、複数の第3の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された構成を有する。積層体LMbbの複数の絶縁層OLは、全て実質的に等しい厚さを有する。
【0184】
また、半導体記憶装置2の外周領域ORに配置される積層体LMbsは、ソース線SL上に配置される積層体LMbsaと、積層体LMbsa上に配置される積層体LMbsbとを備える。また、積層体LMbsa,LMbsbが備える複数の第2の絶縁層としての絶縁層OLは、上述の積層体LMba,LMbbと同様、全て実質的に等しい厚さを有する。
【0185】
その一方で、積層体LMbsaは、窒化シリコン層等である複数の第1の絶縁層としての絶縁層NLと、複数の絶縁層NLのうち積層体LMbsaの下層側の絶縁層NLであって、積層体LMbsaの最下層の絶縁層NLを除く幾つかの絶縁層NLに替えて、積層体bsaの上層側の絶縁層NLよりも高い比率で酸素を含有する幾つかの第1の絶縁層としての絶縁層NOLと、を備えている。
【0186】
より具体的には、絶縁層NOLは、例えば酸窒化シリコン層等であって、他の絶縁層NLと略等しい層厚を備える。また、絶縁層NOLは、積層体LMbaにおいて、積層体LMbsaの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。
【0187】
酸窒化シリコン層等である絶縁層NOLは、例えばプラズマCVD法等を用い、モノシラン(SiH4)等のシラン系ガス、及びアンモニア(NH3)ガス等の窒化ガスに加え、酸素(O2)ガス等の酸化ガスを添加して形成される。
【0188】
同様に、第4の積層体としての積層体LMbsbは、複数の第4の絶縁層としての絶縁層NLと、複数の絶縁層NLのうち積層体LMbsbの下層側の絶縁層NLであって、積層体LMbsbの最下層の絶縁層NLを除く幾つかの絶縁層NLに替えて、積層体bsbの上層側の絶縁層NLよりも高い比率で酸素を含有する幾つかの第4の絶縁層としての絶縁層NOLと、を備えている。
【0189】
より具体的には、絶縁層NOLは、積層体LMbsbにおいて、積層体LMbsbの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。
【0190】
ここで、積層体LMbsは、積層体LMnがリプレース処理を受ける前の状態を示している。リプレース処理前の積層体LMnが、下層側に酸素を含む幾つかの絶縁層NOLをそれぞれ備えることで、低温プラズマエッチングによりメモリホールMHa,MHbを形成する際、やはり、これらの絶縁層NOLから生成される堆積物Dshが、他の絶縁層NLから生成される堆積物Dshよりも減少する。
【0191】
よって、実施形態2の半導体記憶装置2においても、積層体LMbaに配置されるピラーPLa、及び積層体LMbbに配置されるピラーPLbは、いずれも2段ボーイング形状を有する。
【0192】
すなわち、ピラーPLaは、下部と上部とにそれぞれ第1及び第2のボーイング形状としてのボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NOLの高さ位置に配置されている。また、ピラーPLbは、下部と上部とにそれぞれ第3及び第4のボーイング形状としてのボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NOLの高さ位置に配置されている。
【0193】
このように、酸窒化シリコン層等である絶縁層NOLを積層体LMbsの適切な位置に配置した場合にも、2段ボーイング形状を有するピラーPLa,PLbを形成することができる。
【0194】
このとき、積層体LMbsに含める絶縁層NOLの酸化度および層数を調整することで、それぞれのピラーPLa,PLbに形成されるボーイング形状をも調整し、これらのピラーPLa,PLb底面の径、及び底面積を所望の大きさに広げることができる。
【0195】
より好ましくは、絶縁層NOLの組成を、例えばシリコンが30atm%以上45atm%以下、窒素が35atm%以上55atm%以下、水素が20atm%以上30atm%以下、酸素が10atm%以上20atm%以下の比率となるよう調整することができる。
【0196】
実施形態2の半導体記憶装置2の製造方法によれば、複数の絶縁層NLのうち積層体LMbsaの下層側の絶縁層NLであって、積層体LMbsaの最下層の絶縁層NLを除く幾つかの絶縁層NOLに、積層体bsaの上層側の絶縁層NLよりも高い比率で酸素を含有させ、メモリホールMHaを形成するときは、シリコンと窒素とを含む堆積物DshをメモリホールMHaの側壁に付着させながら積層体LMaをエッチングする。これにより、高エッチングレートの条件下で、ボトム径の広いメモリホールMHaを形成することができる。
【0197】
実施形態2の半導体記憶装置2の製造方法によれば、幾つかの絶縁層NOLを、積層体LMbsaにおいて、積層体LMbsaの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の高さ位置に形成する。
【0198】
このように、メモリホールMHaが下層のソース線DSLbに到達し、オーバーエッチングが開始されるまでの適切な高さ位置に、幾つかの絶縁層NOLを配置することで、メモリホールMHaが2段ボーイング形状を有することとなり、ボトム径を効果的に広げることができる。
【0199】
実施形態2の半導体記憶装置2の製造方法によれば、30atm%以上45atm%以下のシリコンと、35atm%以上55atm%以下の窒素と、10atm%以上20atm%以下の酸素と、をそれぞれ含むように幾つかの絶縁層NOLを形成する。
【0200】
このように、絶縁層NOLに含まれる窒素と酸素との比率を適正に調整することで、所望のボトム径および底面積を有するメモリホールMHaを形成することができる。
【0201】
実施形態2の半導体記憶装置2の製造方法によれば、その他、上述の実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0202】
(変形例)
次に、
図15を用いて、実施形態2の変形例の半導体記憶装置2aについて説明する。変形例の半導体記憶装置2aは、絶縁層NOL,NOLcの酸素比率が互いに異なる点が上述の実施形態2とは異なる。
【0203】
図15は、実施形態2の変形例にかかる半導体記憶装置2aの構成の一例を示すX方向に沿う断面図である。
図15には、メモリ領域MRに配置されるピラーPL、及び外周領域ORに配置されるリプレース未処理の積層体LMcsの断面を示す。
【0204】
なお、
図15においては、上述の実施形態2と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0205】
図15に示すように、変形例の半導体記憶装置2aもまた、上述の実施形態2と同様、全ての絶縁層OLの厚さが実質的に等しい積層体LMnを備える。これは、外周領域ORに配置され、ソース線SL上に配置される積層体LMcsaと、積層体LMcsa上に配置される積層体LMcsbとを備える積層体LMcsについても同様である。
【0206】
その一方で、積層体LMcsaでは、上述の実施形態2の積層体LMbsaの幾つかの絶縁層NOLの一部が、絶縁層NOLよりも酸素比率の低い酸窒化シリコン層等である絶縁層NOLcとなっている。より具体的には、例えばいずれも酸窒化シリコン層等である絶縁層NOL,NOLcのうち、絶縁層NOLに比べて絶縁層NOLcの酸化度が低い。
【0207】
より具体的には、幾つかの絶縁層NOL,NOLcは、他の絶縁層NLと略等しい層厚をそれぞれ有しており、積層体LMcsaにおいて、積層体LMcsaの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。
【0208】
この場合であっても、絶縁層NOL,NOLcのいずれの組成も、これらの絶縁層NOL,NOLcの酸素比率を異ならせつつ、例えばシリコンが30atm%以上45atm%以下、窒素が35atm%以上55atm%以下、水素が20atm%以上30atm%以下、酸素が10atm%以上20atm%以下の比率となるよう調整することができる。
【0209】
また、これらの絶縁層NOL,NOLcが配置される範囲内において、酸化度の高い絶縁層NOLは、積層体LMcsaの積層方向の中央付近に配置されている。また、酸化度の低い絶縁層NOLcは、絶縁層NOLの上下にそれぞれ配置されている。
【0210】
これと同様に、積層体LMcsbでは、上述の実施形態2の積層体LMbsbの幾つかの絶縁層NOLの一部が、絶縁層NOLよりも酸素比率の低い酸窒化シリコン層等である絶縁層NOLcとなっている。
【0211】
より具体的には、幾つかの絶縁層NOL,NOLcは、積層体LMcsbにおいて、積層体LMcsbの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。また、これらの絶縁層NOL,NOLcが配置される範囲内において、酸化度の高い絶縁層NOLは、積層体LMcsbの積層方向の中央付近に配置されている。また、酸化度の低い絶縁層NOLcは、絶縁層NOLの上下にそれぞれ配置されている。
【0212】
なお、
図15の例では、積層体LMcsa,LMcsbにそれぞれ含まれる2つの異なる酸素比率を有する2種類の絶縁層NOL,NOLcが示されているが、酸素を含有する絶縁層NOLが、3つ以上の異なる酸素比率を有する3種類以上の絶縁層NOLであってもよい。
【0213】
このように、変形例の積層体LMcsa,LMcsbはそれぞれが、幾つかの絶縁層NOL(NOL,NOLc・・・)において、積層体LMcsa,csbの積層方向のそれぞれの中央部に向かうほど、絶縁層NOLの酸素比率が増していくように構成されている。
【0214】
ここで、積層体LMcsは、積層体LMnがリプレース処理を受ける前の状態を示している。リプレース処理前の積層体LMnが、下層側に酸素比率の異なる幾つかの絶縁層NOL,NOLcをそれぞれ備えるように構成されることによっても、低温プラズマエッチングによりメモリホールMHa,MHbを形成する際、2段ボーイング形状を有するメモリホールMHa,MHbが得られる。
【0215】
すなわち、積層体LMbaに配置されるピラーPLaは、下部と上部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NOL,NOLcの高さ位置に配置されている。また、絶縁層NOL,NOLcのうち、積層体LMbaの積層方向中央部の絶縁層NOLの高さ位置において、ピラーPLa下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積が最大となっていてよい。
【0216】
同様に、積層体LMbbに配置されるピラーPLbは、下部と上部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NOL,NOLcの高さ位置に配置されている。また、絶縁層NOL,NOLcのうち、積層体LMbbの積層方向中央部の絶縁層NOLの高さ位置において、ピラーPLb下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積が最大となっていてよい。
【0217】
変形例の半導体記憶装置2aの製造方法によれば、積層体LMcsaの積層方向に並ぶ幾つかの絶縁層NOL,NOLcにおいて、積層体LMcsaの積層方向の中央部に向かうほど含有される酸素の比率が増していくように、幾つかの絶縁層NOL,NOLcを形成する。
【0218】
酸素を所定の比率で含む絶縁層NOLは、窒化シリコン層等である絶縁層NLに比べて、低温プラズマエッチングにおけるエッチングレートが低下する。一方で、上述のように、積層体LMcsaの最下面の高さに対する積層体LMcsaの最上面の高さを100%として、例えば20%以上50%以下の高さ位置において、メモリホールMHaのボーイング形状が得られやすいことが判明している。
【0219】
したがって、ボーイング形状が得られやすい高さ位置の中央付近に酸素比率の高い絶縁層NOLを配置し、絶縁層NOLの上下に配置される絶縁層NOLcの酸素比率を下げることで、エッチングレートの低下を抑制しつつ、2段ボーイング形状のメモリホールMHaを形成することができる。
【0220】
また、上記構成のように、絶縁層NOL,NOLcの酸素比率を異ならせ、さらに、より酸素比率の高い絶縁層NOLを絶縁層NOLcよりも積層方向の中央寄りに配置することで、メモリホールMHa下部のボーイング形状をいっそう精密に制御することができる。
【0221】
変形例の半導体記憶装置2aの製造方法によれば、その他、上述の実施形態2の半導体記憶装置2の製造方法と同様の効果を奏する。
【0222】
[実施形態3]
以下、図面を参照して実施形態3について詳細に説明する。実施形態3においては、1つの絶縁層NOLを異種層で構成する点が、上述の実施形態2とは異なる。
【0223】
以下に説明するように、幾つかの絶縁層NLを、上述の実施形態2のように酸窒化シリコン層等である絶縁層NOLに置き換えるのではなく、例えば絶縁層NLと絶縁層NOLとの積層構造とすることによっても、幾つかの絶縁層NLにおいて酸素の比率を高めることが可能である。
【0224】
図16は、実施形態3にかかる半導体記憶装置3の構成の一例を示すX方向に沿う断面図である。
図16には、メモリ領域MRに配置されるピラーPL、及び外周領域ORに配置されるリプレース未処理の積層体LMdsの断面を示す。
【0225】
なお、
図16においては、上述の実施形態1,2と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0226】
図16に示すように、実施形態3の半導体記憶装置3もまた、上述の実施形態2と同様、全ての絶縁層OLの厚さが実質的に等しい積層体LMnを備える。これは、外周領域ORに配置され、ソース線SL上に配置される積層体LMdsaと、積層体LMdsa上に配置される積層体LMdsbとを備える積層体LMdsについても同様である。
【0227】
その一方で、積層体LMdsaは、上述の実施形態2の積層体LMbsaの幾つかの絶縁層NOLに替えて、異種層がそれぞれ積層された幾つかの絶縁層NL/NOL/NLを備える。つまり、幾つかの絶縁層NL/NOL/NLのそれぞれは、絶縁層NLと絶縁層NOLとが積層された構成を有し、1種の層のみで構成される他の絶縁層NLと略等しい層厚を有する。
【0228】
より具体的には、個々の絶縁層NL/NOL/NLは、絶縁層NL/NOL/NLの積層方向の中央部に絶縁層NOLが配置され、絶縁層NOLの上下にそれぞれ絶縁層NLが配置されている。
【0229】
また、幾つかの絶縁層NL/NOL/NLは、積層体LMcsaにおいて、積層体LMcsaの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。
【0230】
これと同様に、積層体LMdsbは、上述の実施形態2の積層体LMbsbの幾つかの絶縁層NOLに替えて、異種層がそれぞれ積層された幾つかの絶縁層NL/NOL/NLを備える。また、幾つかの絶縁層NL/NOL/NLは、積層体LMcsaにおいて、積層体LMcsaの最下面に対する最上面の高さを100%として、20%以上50%以下の範囲内で、これらの高さ位置の少なくともいずれかの高さ位置に配置されている。
【0231】
ここで、積層体LMdsは、積層体LMnがリプレース処理を受ける前の状態を示している。リプレース処理前の積層体LMnが、下層側に異種層が積層された幾つかの絶縁層NL/NOL/NLをそれぞれ備えるように構成されることによっても、低温プラズマエッチングによりメモリホールMHa,MHbを形成する際、2段ボーイング形状を有するメモリホールMHa,MHbが得られる。
【0232】
すなわち、積層体LMbaに配置されるピラーPLaは、下部と上部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NL/NOL/NLの高さ位置に配置されている。同様に、積層体LMbbに配置されるピラーPLbは、下部と上部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NL/NOL/NLの高さ位置に配置されている。
【0233】
このとき、絶縁層NL/NOL/NLに含まれる絶縁層NL,NOLのそれぞれの層厚、及び絶縁層NOLの酸素比率を調整することで、それぞれのピラーPLa,PLbに形成されるボーイング形状をも調整し、これらのピラーPLa,PLb底面の径、及び底面積を所望の大きさに広げることができる。
【0234】
この場合、絶縁層NOLの組成もまた、例えばシリコンが30atm%以上45atm%以下、窒素が35atm%以上55atm%以下、水素が20atm%以上30atm%以下、酸素が10atm%以上20atm%以下の比率となるよう調整することができる。
【0235】
実施形態3の半導体記憶装置3の製造方法によれば、幾つかの絶縁層NL/NOL/NLのそれぞれが、絶縁層NLと絶縁層NOLとの積層構造を有するように幾つかの絶縁層NL/NOL/NLを形成し、メモリホールMHaを形成するときは、シリコンと窒素とを含む堆積物DshをメモリホールMHaの側壁に付着させながら積層体LMaをエッチングする。これにより、高エッチングレートの条件下で、ボトム径の広いメモリホールMHaを形成することができる。
【0236】
実施形態3の半導体記憶装置3の製造方法によれば、絶縁層NOLと、積層体LMcsaの積層方向に絶縁層NOLを挟む絶縁層NLと、を有するように幾つかの絶縁層NL/NOL/NLを形成する。
【0237】
これにより、幾つかの絶縁層NL/NOL/NLに含まれる絶縁層NOLのトータルの層厚を、例えば上述の実施形態2における幾つかの絶縁層NOLのトータルの層厚よりも減少させることができる。よって、絶縁層NLに比べてエッチングレートの低い絶縁層NOLの層厚が増大することを抑制し、メモリホールMHaを高スループットで形成することができる。
【0238】
実施形態3の半導体記憶装置3の製造方法によれば、その他、上述の実施形態1,2の半導体記憶装置1,2の製造方法と同様の効果を奏する。
【0239】
(変形例1)
次に、
図17を用いて、実施形態3の変形例1の半導体記憶装置3aについて説明する。変形例1の半導体記憶装置3aは、絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLに挿入される絶縁層NOL,NOLeの層厚が互いに異なる点が上述の実施形態3とは異なる。
【0240】
図17は、実施形態3の変形例1にかかる半導体記憶装置3aの構成の一例を示すX方向に沿う断面図である。
図17には、メモリ領域MRに配置されるピラーPL、及び外周領域ORに配置されるリプレース未処理の積層体LMesの断面を示す。
【0241】
なお、
図17においては、上述の実施形態3と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0242】
図17に示すように、変形例1の半導体記憶装置3aもまた、上述の実施形態3と同様、全ての絶縁層OLの厚さが実質的に等しい積層体LMnを備える。これは、外周領域ORに配置され、ソース線SL上に配置される積層体LMesaと、積層体LMesa上に配置される積層体LMesbとを備える積層体LMesについても同様である。
【0243】
その一方で、積層体LMesaでは、幾つかの絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLのうち、絶縁層NL/NOLe/NLに含まれる絶縁層NOLeが、絶縁層NL/NOL/NLに含まれる絶縁層NOLよりも薄い。また、絶縁層NL/NOLe/NLに含まれる絶縁層NLが、絶縁層NL/NOL/NLに含まれる絶縁層NLよりも厚い。
【0244】
すなわち、個々の絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLも、他の絶縁層NLと略等しい層厚を有しており、また、絶縁層NL/NOL/NLに含まれる絶縁層NOLと絶縁層NLとの層厚の比率と、絶縁層NL/NOLe/NLに含まれる絶縁層NOLeと絶縁層NLとの層厚の比率とが異なっている。
【0245】
このとき、絶縁層NOL,NOLeのいずれの組成もまた、例えばシリコンが30atm%以上45atm%以下、窒素が35atm%以上55atm%以下、水素が20atm%以上30atm%以下、酸素が10atm%以上20atm%以下の比率となるよう調整することができる。
【0246】
このように、変形例1の積層体LMesaは、幾つかの絶縁層NL/NOL/NL(NL/NOL/NL,NL/NOLe/NL・・・)において、積層体LMesaの積層方向の中央部に向かうほど、挿入される絶縁層NOLの層厚が増し、絶縁層NOLを上下に挟む絶縁層NLの層厚が減少していくように構成されている。
【0247】
これと同様に、積層体LMesbでは、幾つかの絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLのうち、絶縁層NL/NOLe/NLに含まれる絶縁層NOLeが、絶縁層NL/NOL/NLに含まれる絶縁層NOLよりも薄い。また、絶縁層NL/NOLe/NLに含まれる絶縁層NLが、絶縁層NL/NOL/NLに含まれる絶縁層NLよりも厚い。
【0248】
なお、
図17の例では、積層体LMesa,LMesbにそれぞれ含まれる2つの異なる層厚比率を有する2種類の絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLが示されているが、これらに挿入される絶縁層NOLが3つ以上の異なる層厚を有する、3種類以上の絶縁層NL/NOL/NLを有していてもよい。
【0249】
このように、変形例1の積層体LMesa,LMesbは、幾つかの絶縁層NL/NOL/NL(NL/NOL/NL,NL/NOLe/NL・・・)において、積層体LMesa,LMesbの積層方向のそれぞれの中央部に向かうほど、挿入される絶縁層NOLの層厚が増し、絶縁層NOLを上下に挟む絶縁層NLの層厚が減少していくように構成されている。
【0250】
ここで、積層体LMesは、積層体LMnがリプレース処理を受ける前の状態を示している。リプレース処理前の積層体LMnが、挿入される絶縁層NOL.NOLeの層厚が異なる幾つかの絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLを備えるように構成されることによっても、低温プラズマエッチングによりメモリホールMHa,MHbを形成する際、2段ボーイング形状を有するメモリホールMHa,MHbが得られる。
【0251】
すなわち、積層体LMbaに配置されるピラーPLaは、下部と上部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLの高さ位置に配置されている。また、絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLのうち、絶縁層NL/NOL/NLの高さ位置において、ピラーPLa下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積が最大となっていてよい。
【0252】
同様に、積層体LMbbに配置されるピラーPLbは、下部と上部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLの高さ位置に配置されている。また、絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLのうち、絶縁層NL/NOL/NLの高さ位置において、ピラーPLb下部のボーイング形状の径、及びXY平面の断面積が最大となっていてよい。
【0253】
変形例1の半導体記憶装置3aによれば、積層体LMesaの積層方向に並ぶ幾つかの絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/Nにおいて、積層方向の中央部に向かうほど絶縁層NOLの厚さが増していくように、幾つかの絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/Nを形成する。
【0254】
このように、ボーイング形状が得られやすい高さ位置の中央付近の絶縁層NL/NOL/NLに挿入される絶縁層NOLを厚くし、上下の絶縁層NL/NOLe/NLの絶縁層NOLeを薄くすることによっても、上述の実施形態2の変形例と同様、エッチングレートの低下を抑制しつつ、2段ボーイング形状のメモリホールMHaを形成することができる。
【0255】
また、上記構成のように、絶縁層NL/NOL/NL,NL/NOLe/NLに挿入される絶縁層NOL,NOLeの層厚を異ならせ、さらに、より厚い絶縁層NOLを絶縁層NOLeよりも積層方向の中央寄りに配置することで、メモリホールMHa下部のボーイング形状をいっそう精密に制御することができる。
【0256】
変形例1の半導体記憶装置3aの製造方法によれば、その他、上述の実施形態3の半導体記憶装置3の製造方法と同様の効果を奏する。
【0257】
(変形例2)
次に、
図18を用いて、実施形態3の変形例2の半導体記憶装置3bについて説明する。変形例2の半導体記憶装置3bは、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層NOLとが積層された絶縁層NOLmを有する点が上述の実施形態3とは異なる。
【0258】
図18は、実施形態3の変形例2にかかる半導体記憶装置3bの構成の一例を示すX方向に沿う断面図である。
図18(a)には、メモリ領域MRに配置されるピラーPL、及び外周領域ORに配置されるリプレース未処理の積層体LMfsの断面を示す。
図18(b)には、積層体LMfsが備える絶縁層NOLmの部分拡大図を示す。
【0259】
なお、
図18においては、上述の実施形態3と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0260】
図18に示すように、変形例2の半導体記憶装置3bもまた、上述の実施形態3と同様、全ての絶縁層OLの厚さが実質的に等しい積層体LMnを備える。これは、外周領域ORに配置され、ソース線SL上に配置される積層体LMfsaと、積層体LMfsa上に配置される積層体LMfsbとを備える積層体LMfsについても同様である。
【0261】
その一方で、積層体LMfsaは、上述の実施形態3の積層体LMdsaの幾つかの絶縁層NL/NOL/NLに替えて、幾つかの絶縁層NOLmを有する。これと同様に、積層体LMfsbは、上述の実施形態3の積層体LMdsbの幾つかの絶縁層NL/NOL/NLに替えて、幾つかの絶縁層NOLmを有する。
【0262】
これらの絶縁層NOLmのそれぞれは、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層NOLとが1層ずつ交互に積層された構成を有する。個々の絶縁層NOLmの最下層および最下層には絶縁層NLが配置される。
【0263】
このような積層構造を有する絶縁層NOLmは、例えばプラズマCVD法等を用い、モノシラン(SiH4)等のシラン系ガス、及びアンモニア(NH3)ガス等の窒化ガスに、間欠的に酸素(O2)ガス等の酸化ガスを添加することで形成することが可能である。
【0264】
ここで、積層体LMfsは、積層体LMnがリプレース処理を受ける前の状態を示している。リプレース処理前の積層体LMnが幾つかの絶縁層NOLmを備えるように構成されることによっても、低温プラズマエッチングによりメモリホールMHa,MHbを形成する際、2段ボーイング形状を有するメモリホールMHa,MHbが得られる。
【0265】
すなわち、積層体LMbaに配置されるピラーPLaは、上部と下部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NOLmの高さ位置に配置されている。同様に、積層体LMbbに配置されるピラーPLbは、上部と下部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NOLmの高さ位置に配置されている。
【0266】
変形例2の半導体記憶装置3bの製造方法によれば、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層NOLとが1層ずつ交互に積層された構造を有するように幾つかの絶縁層NOLmを形成する。これにより、絶縁層NOLmにおける酸素比率をより精密に調整することができ、メモリホールMHa下部のボーイング形状をいっそう精密に制御することができる。
【0267】
変形例2の半導体記憶装置3bの製造方法によれば、その他、上述の実施形態3の半導体記憶装置3の製造方法と同様の効果を奏する。
【0268】
(変形例3)
次に、
図19を用いて、実施形態3の変形例3の半導体記憶装置3cについて説明する。変形例3の半導体記憶装置3cは、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層NOLとが異なる間隔で積層された絶縁層NOLgを有する点が上述の実施形態3とは異なる。
【0269】
図19は、実施形態3の変形例3にかかる半導体記憶装置3cの構成の一例を示すX方向に沿う断面図である。
図19(a)には、メモリ領域MRに配置されるピラーPL、及び外周領域ORに配置されるリプレース未処理の積層体LMgsの断面を示す。
図19(b)には、積層体LMgsが備える絶縁層NOLgの部分拡大図を示す。
【0270】
なお、
図19においては、上述の実施形態3と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0271】
図19に示すように、変形例3の半導体記憶装置3cもまた、上述の実施形態3と同様、全ての絶縁層OLの厚さが実質的に等しい積層体LMnを備える。これは、外周領域ORに配置され、ソース線SL上に配置される積層体LMgsaと、積層体LMgsa上に配置される積層体LMgsbとを備える積層体LMgsについても同様である。
【0272】
その一方で、積層体LMgsaは、上述の実施形態3の積層体LMdsaの幾つかの絶縁層NL/NOL/NLに替えて、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層NOLとが1層ずつ交互に積層された構成をそれぞれ有する幾つかの絶縁層NOLgを備える。
【0273】
これと同様に、積層体LMgsbは、上述の実施形態3の積層体LMdsbの幾つかの絶縁層NL/NOL/NLに替えて、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層NOLとが1層ずつ交互に積層された構成をそれぞれ有する幾つかの絶縁層NOLgを備える。
【0274】
これらの絶縁層NOLgのそれぞれにおいては、複数の絶縁層NLが1つの絶縁層NOLg内で異なる層厚を有しており、絶縁層NOLgの積層方向の中央寄りほど絶縁層NLが薄くなっていく。すなわち、絶縁層NOLgの積層方向の中央寄りほど互いの絶縁層NOLの間隔が狭まっていく。
【0275】
ここで、積層体LMgsは、積層体LMnがリプレース処理を受ける前の状態を示している。リプレース処理前の積層体LMnが幾つかの絶縁層NOLgを備えるように構成されることによっても、低温プラズマエッチングによりメモリホールMHa,MHbを形成する際、2段ボーイング形状を有するメモリホールMHa,MHbが得られる。
【0276】
すなわち、積層体LMbaに配置されるピラーPLaは、上部と下部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NOLgの高さ位置に配置されている。同様に、積層体LMbbに配置されるピラーPLbは、上部と下部とにそれぞれボーイング形状を有し、これらのうち下部のボーイング形状は、絶縁層NOLgの高さ位置に配置されている。
【0277】
変形例3の半導体記憶装置3cの製造方法によれば、幾つかの絶縁層NOLgの層厚方向の中央部に向かうほど、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層NOLとのうち絶縁層NOLの比率が増していくように、幾つかの絶縁層NOLgを形成する。
【0278】
これにより、1つの絶縁層NOLgの厚さ方向において、より堆積物Dshが付着しやすい中央部分において絶縁層NOLgの酸素比率を高めて堆積物Dshを減少させることができる。
【0279】
変形例3の半導体記憶装置3cの製造方法によれば、その他、上述の実施形態3の半導体記憶装置3の製造方法と同様の効果を奏する。
【0280】
[その他の実施形態]
上述の実施形態1~3及びこれらの変形例では、ピラーPLは、チャネル層CNの側面でソース線SLと接続していることとしたが、これに限られない。例えばピラー底面のメモリ層を除去してチャネル層の下端部でソース線と接続するようにピラーを構成してもよい。
【0281】
また、上述の実施形態1~3及びこれらの変形例では、積層体LM等を2回に分けて積層し、積層体LMa,LMb等を含む2Tier構造の積層体LMを有することとした。しかし、積層体は、1Tier構造を有していてもよく、あるいは、3Tier以上の構造を有していてもよい。Tier数を増やしていくことで、ワード線WLの積層数を更に増加させることができる。
【0282】
積層体が1Tier構造を有する場合、積層体全体の下層側に上述の実施形態1~3及びこれらの変形例のいずれかの構成を適用することができる。これにより、積層体全体を貫通し、上層側と下層側とに2段ボーイング形状を有するピラーが形成される。
【0283】
積層体が3Tier以上のMulti-Tier構造を有する場合、個々のTierを構成する積層体ごとに、上述の実施形態1~3及びこれらの変形例のいずれかの構成を適用することができる。これにより、個々のTierを構成する積層体ごとに、下部と上部とに2段ボーイング形状を有するピラーが形成される。
【0284】
また、上述の実施形態1~3及びこれらの変形例では、積層体LM等を含む構成と、周辺回路PERとを別の基板に形成し、それらを貼り合わせることとした。しかし、半導体記憶装置の構成はこれに限られず、周辺回路PERが形成される半導体基板SB上に、積層体LM等を含む構成が直接形成されてもよい。
【0285】
この場合、積層体LM等は、周辺回路PERの形成領域から離れた半導体基板SB上に形成されることができる。あるいは、積層体LM等を、
図11に示す絶縁層40上に形成し、積層体LM等を含む構成が周辺回路PERの上方に配置されるようにしてもよい。上述の実施形態1~3及びこれらの変形例の手法は、これらの構成を備える半導体記憶装置に対しても適用可能である。
【0286】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0287】
1,1a,2,2a,3,3a,3b,3c…半導体記憶装置、LM,LMa,LMas,LMb,LMbs,LMcs,LMds,LMes,LMfs,LMgs,LMm,LMn,LMsa,LMsb…積層体、MC…メモリセル、NL,NOL,NOLc,NOLm,NOLe,OL,OLm,OLt…絶縁層、OR…外周領域、PL,PLa,PLb…ピラー、WL…ワード線。