(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044082
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】農地用太陽光発電装置及び農地用太陽光発電装置用の支持部材
(51)【国際特許分類】
A01G 13/02 20060101AFI20240326BHJP
H02S 40/20 20140101ALI20240326BHJP
A01G 9/14 20060101ALI20240326BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20240326BHJP
【FI】
A01G13/02 Z
H02S40/20
A01G9/14 Z
A01G9/14 S
H02S20/10 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149410
(22)【出願日】2022-09-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月6日 静岡県沼津市平沼侭下371番2にて萬寿企業株式会社が試験を実施
(71)【出願人】
【識別番号】522033243
【氏名又は名称】萬寿企業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 栄次
(72)【発明者】
【氏名】菊川 宗弘
【テーマコード(参考)】
2B029
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
2B029KB01
5F151JA02
5F151JA13
5F251JA02
5F251JA13
(57)【要約】
【課題】従来技術と比較して、雨水が農作物に落下することを抑制できるようにすることを課題とする。
【解決手段】太陽光を取り込むことが必要とされる農作物の育成のための農地上に設置された複数の架台と、複数の架台それぞれによって支持される太陽光パネルであって農作物に対して太陽光を照射するための太陽光照射用隙間を空けて配置された太陽光パネルと、複数の架台それぞれによって支持されると共に前記太陽光照射用隙間に配置される光透過パネルであって、当該太陽光照射用隙間から農作物に向けて太陽光を照射できる光学特性を備えた光透過パネルと、架台に設けられ、前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けるための雨樋と、を備え、複数の架台は、側面視で隣り合う両架台間で段差が生じるように配置されていると共に、雨樋によって段差の隙間から農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができるように、隣り合う両架台が、上面視で近接若しくは重なり合って配置されている。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を取り込むことが必要とされる農作物の育成のための農地上に設置された複数の架台と、
前記複数の架台それぞれによって支持される太陽光パネルであって、前記農作物に対して太陽光を照射するための太陽光照射用隙間を空けて配置された太陽光パネルと、
前記複数の架台それぞれによって支持されると共に前記太陽光照射用隙間に配置される光透過パネルであって、当該太陽光照射用隙間から前記農作物に向けて太陽光を照射できる光学特性を備えた光透過パネルと、
前記架台に設けられ、前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けるための雨樋と、
を備え、
前記複数の架台は、側面視で隣り合う両架台間で段差が生じるように配置されていると共に、前記雨樋によって前記段差の隙間から前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができるように、前記隣り合う両架台が、上面視で近接若しくは重なり合って配置されている、
農地用太陽光発電装置。
【請求項2】
一方の架台に設けられた前記雨樋の一部あるいは全てが、隣接する他方の架台の下方に位置するように、前記隣り合う両架台が、上面視で重なり合って配置されている、
請求項1に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項3】
前記複数の架台にはそれぞれ、前記太陽光パネルと前記光透過パネルを所定の勾配をもって支持する支持部材が設けられ、
一方の架台に設けられた前記支持部材の勾配下部が、隣接する他方の架台に設けられた前記支持部材の勾配上部よりも下方に位置するように、前記複数の架台が配置されている、
請求項2に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項4】
前記雨樋に連通される雨水貯留タンクであって、前記農地を灌水するために雨水を貯留する雨水貯留タンク、
を備えた請求項1から3のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項5】
前記農作物は、陽性作物又は半陽性作物である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項6】
前記光透過パネルは、光拡散パネルである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項7】
前記農地に配置されたセンサ又はモジュール又は設備が、前記太陽光パネルによって発電される電力が供給されることによって電気的に作動される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項8】
農作物の育成のための農地上に設置された複数の架台と、
前記複数の架台それぞれによって支持される太陽光パネルと、
前記架台に設けられ、前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けるための雨樋と、
を備え、
前記複数の架台は、側面視で隣り合う両架台間で段差が生じるように配置されていると共に、前記雨樋によって前記段差の隙間から前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができるように、前記隣り合う両架台が、上面視で近接若しくは重なり合って配置されている、
農地用太陽光発電装置。
【請求項9】
一方の架台に設けられた前記雨樋の一部あるいは全てが、隣接する他方の架台の下方に位置するように、前記隣り合う両架台が、上面視で重なり合って配置されている、
請求項8に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項10】
前記複数の架台にはそれぞれ、前記太陽光パネルを所定の勾配をもって支持する支持部材が設けられ、
一方の架台に設けられた前記支持部材の勾配下部が、隣接する他方の架台に設けられた前記支持部材の勾配上部よりも下方に位置するように、前記複数の架台が配置されている、
請求項9に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項11】
前記雨樋に連通される雨水貯留タンクであって、前記農地を灌水するために雨水を貯留する雨水貯留タンク、
を備えた請求項8から10のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項12】
前記光透過パネルは、光拡散パネルである、
請求項8から10のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項13】
前記農地に配置されたセンサ又はモジュール又は設備が、前記太陽光パネルによって発電される電力が供給されることによって電気的に作動される、
請求項8から10のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項14】
太陽光を取り込むことが必要とされる農作物の育成のための農地上に設置された架台と、
前記架台上に配置される太陽光パネルと、
前記架台上に配置される光透過パネルであって、前記農作物に向けて太陽光を照射できる光学特性を備えた光透過パネルと、
前記架台に設けられ、前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けるための雨樋と、
前記架台に設けられ、隣接する太陽光パネルと光透過パネルとの間又は隣接する太陽光パネルそれぞれの間又は隣接する光透過パネルそれぞれの間に上面視で隙間を空けた状態で隣接する両パネルそれぞれを支持する支持部と、前記隙間の下方を遮蔽する遮蔽部と、前記隙間に形成され雨水を前記雨樋に流通させるための溝部を含む支持部材と、
を備えた農地用太陽光発電装置。
【請求項15】
前記支持部材は、前記溝部の雨水流通方向に沿って勾配が形成されるように前記隣接する両パネルを所定の勾配をもって支持する、
請求項14に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項16】
前記架台が複数設けられ、
複数の架台は、側面視で隣り合う両架台間で段差が生じるように配置されていると共に、前記雨樋によって前記段差の隙間から前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができるように、前記隣り合う両架台が、上面視で近接若しくは重なり合って配置されている、
請求項15に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項17】
一方の架台に設けられた前記支持部材の勾配下部が、隣接する他方の架台に設けられた前記支持部材の勾配上部よりも下方に位置するように、前記複数の架台が配置されている、
請求項16に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項18】
前記架台に前記支持部材が複数設けられ、
複数の支持部材は、前記架台の屋根端部及び屋根内側部に設けられ、
前記架台の屋根端部に設けられた支持部材は、前記太陽光パネル及び前記光透過パネルのうちのいずれか一方の端部を支持している、
請求項14に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項19】
前記支持部材は、前記隣接する両パネルのうちの一方のパネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された一方支持部と、前記隣接する両パネルのうちの他方のパネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された他方支持部と、前記一方支持部及び前記他方支持部に挟まれ断面凹形状の前記溝部を含んで構成されている、
請求項14に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項20】
前記雨樋に連通される雨水貯留タンクであって、前記農地を灌水するために雨水を貯留する雨水貯留タンク、
を備えた請求項14から19のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項21】
前記光透過パネルは、光拡散パネルである、
請求項14から19のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項22】
前記農地に配置されたセンサ又はモジュール又は設備が、前記太陽光パネルによって発電される電力が供給されることによって電気的に作動される、
請求項14から19のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項23】
農作物の育成のための農地上に設置された架台と、
前記架台上に配置される複数の太陽光パネルと、
前記架台に設けられ、前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けるための雨樋と、
前記架台に設けられ、隣接する太陽光パネルそれぞれの間に上面視で隙間を空けた状態で前記隣接する太陽光パネルそれぞれを支持する支持部と、前記隙間の下方を遮蔽する遮蔽部と、前記隙間に形成され、雨水を前記雨樋に流通させるための溝部を含む支持部材と、
を備えた農地用太陽光発電装置。
【請求項24】
前記支持部材は、前記溝部の雨水流通方向に沿って勾配が形成されるように前記隣接する太陽パネルそれぞれを所定の勾配をもって支持する、
請求項14に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項25】
前記架台が複数設けられ、
複数の架台は、側面視で隣り合う両架台間で段差が生じるように配置されていると共に、前記雨樋によって前記段差の隙間から前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができるように、前記隣り合う両架台が、上面視で近接若しくは重なり合って配置されている、
請求項24に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項26】
一方の架台に設けられた前記支持部材の勾配下部が、隣接する他方の架台に設けられた前記支持部材の勾配上部よりも下方に位置するように、前記複数の架台が配置されている、
請求項25に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項27】
前記架台に前記支持部材が複数設けられ、
複数の支持部材は、前記架台の屋根端部及び屋根内側部に設けられ、
前記架台の屋根端部に設けられた支持部材は、前記太陽光パネルの端部を支持している、
請求項23に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項28】
前記支持部材は、前記隣接する太陽光パネルそれぞれのうちの一方の太陽光パネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された一方支持部と、前記隣接する太陽光パネルそれぞれのうちの他方の太陽光パネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された他方支持部と、前記一方支持部及び前記他方支持部に挟まれ断面凹形状の前記溝部を含んで構成されている、
請求項23に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項29】
前記雨樋に連通される雨水貯留タンクであって、前記農地を灌水するために雨水を貯留する雨水貯留タンク、
を備えた請求項23から28のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項30】
前記光透過パネルは、光拡散パネルである、
請求項23から28のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項31】
前記農地に配置されたセンサ又はモジュール又は設備が、前記太陽光パネルによって発電される電力が供給されることによって電気的に作動される、
請求項23から28のいずれか一項に記載の農地用太陽光発電装置。
【請求項32】
太陽光パネルと、光透過パネルを支持する架台に取り付けられ、隣接する太陽光パネルと光透過パネルとの間又は隣接する太陽光パネルそれぞれの間又は隣接する光透過パネルそれぞれの間に上面視で隙間を空けた状態で、隣接する両パネルを連結して支持するための支持部材であって、
前記支持部材は、前記隣接する両パネルのうちの一方のパネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された一方支持部と、前記隣接する両パネルのうちの他方のパネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された他方支持部と、前記一方支持部及び前記他方支持部に挟まれ断面凹形状の前記溝部を含んで構成されている、
農地用太陽光発電装置用の支持部材。
【請求項33】
複数の太陽光パネルを支持する架台に取り付けられ、隣接する太陽光パネルそれぞれの間に上面視で隙間を空けた状態で、前記隣接する太陽光パネルを連結して支持するための支持部材であって、
前記支持部材は、前記隣接する太陽光パネルそれぞれのうちの一方の太陽光パネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された一方支持部と、前記隣接する太陽光パネルそれぞれのうちの他方の太陽光パネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された他方支持部と、前記一方支持部及び前記他方支持部に挟まれ断面凹形状の前記溝部を含んで構成されている、
農地用太陽光発電装置用の支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農地用太陽光発電装置及び農地用太陽光発電装置用の支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、架台に農業用ソーラーパネルを設置して植物育成と太陽光発電を同時に行うシステムにおいて、農業用ソーラーパネルが、間隔をあけて取り付けられた太陽電池間に拡散板を設けた態様が記載されている。
【0003】
特許文献2には、太陽光線を受けて発電する複数の発電体を収納するソーラーパネル内に、太陽光線が貫通する透光部としての拡散板または拡散フィルムを設けた態様が記載されている。
【0004】
特許文献3には、太陽光が直射する箇所の少なくとも一部分に、採光部分を有する太陽光発電システムが設けられ、光拡散性部材が、太陽光発電システムの採光部分を透過した光の少なくとも一部が入射するように、かつ、光拡散性部材を透過した光の少なくとも一部が施設内部に入射するように設けられ、イチゴやレタスなどを栽培対象とした農園芸用施設が記載されている。
【0005】
特許文献4には、光が受光することで発電する太陽光パネルと、農作物を栽培する農地に立設され太陽光パネルを所定の角度で保持するフレーム部と、フレーム部の棟間に透光性の屋根部材(散光板もしくは散光フィルム)とを有し、太陽光パネルが、透光性を有するパネル基板部と、パネル基板部に所定の間隙を取って複数配置され両面に発電領域を備えた両面受光型太陽電池と、両面受光型太陽電池の間隙によって形成される透光領域と、を備え、両面受光型太陽電池の裏面側の発電領域が農地側からの反射光を受けて発電する太陽光パネル付土耕栽培システムが記載されている。また、太陽光パネルを流れる雨水等を所定の排水溝等へ導水するために雨樋を設置することが記載されている。
【0006】
特許文献5には、動植物を育成するための育成空間の少なくとも一部を覆うように設置される太陽電池パネルを備えた太陽電池システムにおいて、育成空間における通気量、温度、および湿度の少なくともいずれかを含む育成環境を調整するための環境調整機器や、太陽電池パネルを動かすための電力として、太陽電池パネルの発電素子で発電された電力を使用する態様が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-93854号公報
【特許文献2】特開2018-82133号公報
【特許文献3】特開2015-139388号公報
【特許文献4】特開2017-29120号公報
【特許文献5】特開2009-129686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術と比較して、雨水が農作物に落下することを抑制できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、太陽光を取り込むことが必要とされる農作物の育成のための農地上に設置された複数の架台と、前記複数の架台それぞれによって支持される太陽光パネルであって、前記農作物に対して太陽光を照射するための太陽光照射用隙間を空けて配置された太陽光パネルと、前記複数の架台それぞれによって支持されると共に前記太陽光照射用隙間に配置される光透過パネルであって、当該太陽光照射用隙間から前記農作物に向けて太陽光を照射できる光学特性を備えた光透過パネルと、前記架台に設けられ、前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けるための雨樋と、を備え、前記複数の架台は、側面視で隣り合う両架台間で段差が生じるように配置されていると共に、前記雨樋によって前記段差の隙間から前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができるように、前記隣り合う両架台が、上面視で近接若しくは重なり合って配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、一方の架台に設けられた前記雨樋の一部あるいは全てが、隣接する他方の架台の下方に位置するように、前記隣り合う両架台が、上面視で重なり合って配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0011】
第3の態様は、第2の態様において、前記複数の架台にはそれぞれ、前記太陽光パネルと前記光透過パネルを所定の勾配をもって支持する支持部材が設けられ、一方の架台に設けられた前記支持部材の勾配下部が、隣接する他方の架台に設けられた前記支持部材の勾配上部よりも下方に位置するように、前記複数の架台が配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0012】
第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記雨樋に連通される雨水貯留タンクであって、前記農地を灌水するために雨水を貯留する雨水貯留タンク、を備えた農地用太陽光発電装置である。
【0013】
第5の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記農作物は、陽性作物又は半陽性作物である、農地用太陽光発電装置である。
【0014】
第6の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記光透過パネルは、光拡散パネルである、農地用太陽光発電装置である。
【0015】
第7の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記農地に配置されたセンサ又はモジュール又は設備が、前記太陽光パネルによって発電される電力が供給されることによって電気的に作動される、農地用太陽光発電装置である。
【0016】
第8の態様は、 農作物の育成のための農地上に設置された複数の架台と、前記複数の架台それぞれによって支持される太陽光パネルと、前記架台に設けられ、前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けるための雨樋と、を備え、前記複数の架台は、側面視で隣り合う両架台間で段差が生じるように配置されていると共に、前記雨樋によって前記段差の隙間から前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができるように、前記隣り合う両架台が、上面視で近接若しくは重なり合って配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0017】
第9の態様は、第8の態様において、一方の架台に設けられた前記雨樋の一部あるいは全てが、隣接する他方の架台の下方に位置するように、前記隣り合う両架台が、上面視で重なり合って配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0018】
第10の態様は、第9の態様において、前記複数の架台にはそれぞれ、前記太陽光パネルを所定の勾配をもって支持する支持部材が設けられ、一方の架台に設けられた前記支持部材の勾配下部が、隣接する他方の架台に設けられた前記支持部材の勾配上部よりも下方に位置するように、前記複数の架台が配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0019】
第11の態様は、第8から第10の態様のいずれかにおいて、前記雨樋に連通される雨水貯留タンクであって、前記農地を灌水するために雨水を貯留する雨水貯留タンク、を備えた農地用太陽光発電装置である。
【0020】
第12の態様は、第8から第10の態様のいずれかにおいて、前記光透過パネルは、光拡散パネルである、農地用太陽光発電装置である。
【0021】
第13の態様は、第8から第10の態様のいずれかにおいて、前記農地に配置されたセンサ又はモジュール又は設備が、前記太陽光パネルによって発電される電力が供給されることによって電気的に作動される、農地用太陽光発電装置である。
【0022】
第14の態様は、太陽光を取り込むことが必要とされる農作物の育成のための農地上に設置された架台と、前記架台上に配置される太陽光パネルと、前記架台上に配置される光透過パネルであって、前記農作物に向けて太陽光を照射できる光学特性を備えた光透過パネルと、前記架台に設けられ、前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けるための雨樋と、前記架台に設けられ、隣接する太陽光パネルと光透過パネルとの間又は隣接する太陽光パネルそれぞれの間又は隣接する光透過パネルそれぞれの間に上面視で隙間を空けた状態で隣接する両パネルそれぞれを支持する支持部と、前記隙間の下方を遮蔽する遮蔽部と、前記隙間に形成され雨水を前記雨樋に流通させるための溝部を含む支持部材と、を備えた農地用太陽光発電装置である。
【0023】
第15の態様は、第14の態様において、前記支持部材は、前記溝部の雨水流通方向に沿って勾配が形成されるように前記隣接する両パネルを所定の勾配をもって支持する、農地用太陽光発電装置である。
【0024】
第16の態様は、第15の態様において、前記架台が複数設けられ、複数の架台は、側面視で隣り合う両架台間で段差が生じるように配置されていると共に、前記雨樋によって前記段差の隙間から前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができるように、前記隣り合う両架台が、上面視で近接若しくは重なり合って配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0025】
第17の態様は、第16の態様において、一方の架台に設けられた前記支持部材の勾配下部が、隣接する他方の架台に設けられた前記支持部材の勾配上部よりも下方に位置するように、前記複数の架台が配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0026】
第18の態様は、第14の態様において、前記架台に前記支持部材が複数設けられ、
【0027】
複数の支持部材は、前記架台の屋根端部及び屋根内側部に設けられ、前記架台の屋根端部に設けられた支持部材は、前記太陽光パネル及び前記光透過パネルのうちのいずれか一方の端部を支持している、農地用太陽光発電装置である。
【0028】
第19の態様は、第14の態様において、前記支持部材は、前記隣接する両パネルのうちの一方のパネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された一方支持部と、前記隣接する両パネルのうちの他方のパネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された他方支持部と、前記一方支持部及び前記他方支持部に挟まれ断面凹形状の前記溝部を含んで構成されている、農地用太陽光発電装置である。
【0029】
第20の態様は、第14から第19の態様のいずれかにおいて、前記雨樋に連通される雨水貯留タンクであって、前記農地を灌水するために雨水を貯留する雨水貯留タンク、を備えた農地用太陽光発電装置である。
【0030】
第21の態様は、第14から第19の態様のいずれかにおいて、前記光透過パネルは、光拡散パネルである、農地用太陽光発電装置である。
【0031】
第22の態様は、第14から第19の態様のいずれかにおいて、前記農地に配置されたセンサ又はモジュール又は設備が、前記太陽光パネルによって発電される電力が供給されることによって電気的に作動される、農地用太陽光発電装置である。
【0032】
第23の態様は、農作物の育成のための農地上に設置された架台と、前記架台上に配置される複数の太陽光パネルと、前記架台に設けられ、前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けるための雨樋と、前記架台に設けられ、隣接する太陽光パネルそれぞれの間に上面視で隙間を空けた状態で前記隣接する太陽光パネルそれぞれを支持する支持部と、前記隙間の下方を遮蔽する遮蔽部と、前記隙間に形成され、雨水を前記雨樋に流通させるための溝部を含む支持部材と、を備えた農地用太陽光発電装置である。
【0033】
第24の態様は、第14の態様において、前記支持部材は、前記溝部の雨水流通方向に沿って勾配が形成されるように前記隣接する太陽パネルそれぞれを所定の勾配をもって支持する、農地用太陽光発電装置である。
【0034】
第25の態様は、第24の態様において、前記架台が複数設けられ、複数の架台は、側面視で隣り合う両架台間で段差が生じるように配置されていると共に、前記雨樋によって前記段差の隙間から前記農地に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができるように、前記隣り合う両架台が、上面視で近接若しくは重なり合って配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0035】
第26の態様は、第25の態様において、一方の架台に設けられた前記支持部材の勾配下部が、隣接する他方の架台に設けられた前記支持部材の勾配上部よりも下方に位置するように、前記複数の架台が配置されている、農地用太陽光発電装置である。
【0036】
第27の態様は、第23の態様において、前記架台に前記支持部材が複数設けられ、複数の支持部材は、前記架台の屋根端部及び屋根内側部に設けられ、前記架台の屋根端部に設けられた支持部材は、前記太陽光パネルの端部を支持している、農地用太陽光発電装置である。
【0037】
第28の態様は、第23の態様において、前記支持部材は、前記隣接する太陽光パネルそれぞれのうちの一方の太陽光パネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された一方支持部と、前記隣接する太陽光パネルそれぞれのうちの他方の太陽光パネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された他方支持部と、前記一方支持部及び前記他方支持部に挟まれ断面凹形状の前記溝部を含んで構成されている、農地用太陽光発電装置である。
【0038】
第29の態様は、第23から第28の態様のいずれかにおいて、前記雨樋に連通される雨水貯留タンクであって、前記農地を灌水するために雨水を貯留する雨水貯留タンク、を備えた農地用太陽光発電装置である。
【0039】
第30の態様は、第23から第28の態様のいずれかにおいて、前記光透過パネルは、光拡散パネルである、農地用太陽光発電装置である。
【0040】
第31の態様は、第23から第28の態様のいずれかにおいて、前記農地に配置されたセンサ又はモジュール又は設備が、前記太陽光パネルによって発電される電力が供給されることによって電気的に作動される、農地用太陽光発電装置である。
【0041】
第32の態様は、太陽光パネルと、光透過パネルを支持する架台に取り付けられ、隣接する太陽光パネルと光透過パネルとの間又は隣接する太陽光パネルそれぞれの間又は隣接する光透過パネルそれぞれの間に上面視で隙間を空けた状態で、隣接する両パネルを連結して支持するための支持部材であって、前記支持部材は、前記隣接する両パネルのうちの一方のパネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された一方支持部と、前記隣接する両パネルのうちの他方のパネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された他方支持部と、前記一方支持部及び前記他方支持部に挟まれ断面凹形状の前記溝部を含んで構成されている、農地用太陽光発電装置用の支持部材である。
【0042】
第33の態様は、複数の太陽光パネルを支持する架台に取り付けられ、隣接する太陽光パネルそれぞれの間に上面視で隙間を空けた状態で、前記隣接する太陽光パネルを連結して支持するための支持部材であって、前記支持部材は、前記隣接する太陽光パネルそれぞれのうちの一方の太陽光パネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された一方支持部と、前記隣接する太陽光パネルそれぞれのうちの他方の太陽光パネルの端部を上端で受けて支持する断面凹形状に形成された他方支持部と、前記一方支持部及び前記他方支持部に挟まれ断面凹形状の前記溝部を含んで構成されている、農地用太陽光発電装置用の支持部材である。
【発明の効果】
【0043】
第1から第33の態様によれば、従来技術と比較して、雨水が農作物に落下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1A】
図1Aは、実施形態の農地用太陽光発電装置の上面図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態の農地用太陽光発電装置の側面図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態の農地用太陽光発電装置の正面図である。
【
図1D】
図1Dは、実施形態の太陽光パネルを示す斜視図である。
【
図1E】
図1Eは、実施形態の光透過パネルを示す斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、実施形態の農地用太陽光発電装置に用いられる支持部材を、正面からみた正面図である。
【
図2B】
図2Bは、実施形態の農地用太陽光発電装置に用いられる支持部材を、上面からみた上面図である。
【
図2C】
図2Cは、実施形態の農地用太陽光発電装置に用いられる支持部材を右側面からみた側面図である。
【
図2D】
図2Dは、実施形態の隣接する両パネルを連結した状態を示す断面図である。
【
図3B】
図3Bは、横溝部材と支持部材が交差する箇所を示す斜視図である。
【
図3C】
図3Cは、横溝部材と支持部材が交差する箇所を示す上面図である。
【
図4】
図4は、降水時の雨水の流れを矢印で示す側面図で、
図1Bに対応する側面図である。
【
図5】
図5は、降水時の雨水の流れを矢印で示す上面図で、
図2Bに対応する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照して本発明に係る農地用太陽光発電装置及び農地用太陽光発電装置用の支持部材の実施形態について説明する。
【0046】
図1Aは、実施形態の農地用太陽光発電装置100の上面図である。
図1Aは農地用太陽光発電装置100の上面視の形態を例示する。
【0047】
図1Bは、実施形態の農地用太陽光発電装置100の側面図で、
図1Aを右側面からみた側面図である。
図1Bは農地用太陽光発電装置100の側面視の形態を例示する。
【0048】
図1Cは、実施形態の農地用太陽光発電装置100の正面図で、
図1Aを正面からみた正面図である。
【0049】
図1Dは、実施形態の太陽光パネル120を示す斜視図である。
【0050】
図1Eは、実施形態の光透過パネル130を示す斜視図である。
【0051】
以下、特に断りがない限り、
図1Aに示すように、架台110の長手方向を横幅方向110Aと呼び、架台110の短手方向を縦幅方向110Bと呼ぶものとする。架台110の横幅方向110Aのうち一方の図中上側を左側110Lと呼び、他方の図中下側を右側110Rと呼ぶものとする。架台110の縦幅方向110Bのうち一方の図中左側を前側110Fと呼び、他方の図中右側を後側110Kと呼ぶものとする。
【0052】
(第1実施形態)
【0053】
図1A、
図1B、
図1Cに示すように、農地用太陽光発電装置100は、大きくは、複数(例えば3個)の架台110、110、110と、太陽光パネル120と、光透過パネル130と、雨樋140と、支持部材300と、横溝部材400を備えている。
【0054】
複数の架台110、110、110は、太陽光を取り込むことが必要とされる農作物の育成のための農地200上に設置されている。農作物は、例えば陽性作物又は半陽性作物である。なお、農地で育成される農作物は、陽性作物又は半陽性作物に限定されることなく、陰性農作物でもよい。
【0055】
図1Dに示すように、太陽光パネル120は、アルミニウム等で構成された枠体120FLを備えている。枠体120FL内によって光電セル等で構成された発電体121が外側から支持されている。
【0056】
太陽光パネル120を構成する発電体121は、農地200に配置された図示しないセンサ又はモジュール又は設備に電気的に接続されている。これら農地200に配置されたセンサ又はモジュール又は設備は、太陽光パネル120を構成する発電体121によって発電される電力が供給されることによって電気的に作動される。
【0057】
図1Eに示すように、光透過パネル130は、アルミニウム等で構成された枠体130FLを備えている。光透過パネル130は、例えば光拡散パネルで構成することができる。枠体130FLによって例えば光拡散板131が外側から支持されている。なお光透過パネル130は、光拡散板131に限定されることなく、農地200で育成される農作物に向けて太陽光を照射できる光学特性を備えた光透過板を備えたものであればよい。
【0058】
太陽光パネル120と光透過パネル130は、同じ大きさ(同じ面積)で構成することができる。また太陽光パネル120と光透過パネル130は、異なる大きさ(異なる面積)で構成することができる。
【0059】
図1A、
図1B、
図1Cに示すように、太陽光パネル120は、複数(例えば3個)の架台110、110、110それぞれによって支持されている。例えば一つの架台110毎に、複数(例えば12個)の太陽光パネル120を支持している。
【0060】
図1Aに示すように、架台110の前後第1列には、横幅方向110Aに沿って、隣接する2個の太陽光パネル120、120が、太陽光照射用隙間130Aを空けて、等間隔に合計6個配列されている。太陽光照射用隙間130Aは、左右第3列及び左右第6列それぞれに形成されている。
【0061】
同様に架台110の前後第2列には、横幅方向110Aに沿って、隣接する2個の太陽光パネル120、120が、太陽光照射用隙間130Aを空けて、等間隔に合計6個配列されている。太陽光照射用隙間130Aは、左右第3列及び左右第6列それぞれに形成されている。
【0062】
図1A、
図1B、
図1Cに示すように、光透過パネル130は、複数(例えば3個)の架台110、110、110それぞれによって支持されている。例えば一つの架台110毎に、複数(例えば4個)の光透過パネル130を支持している。
【0063】
図1Aに示すように、光透過パネル130は,太陽光照射用隙間130Aに配置される。
【0064】
図1Bに示すように、雨樋140は、架台110の前側に設けられている。雨樋140は、農地200に向けて漏れ落ちる雨水を受けるために設けられている。
【0065】
図1Bに示すように、支持部材300は、複数(例えば3個)の架台110、110、110それぞれに設けられている。
【0066】
架台110の上端には横柱部材111、111、111、111が配置されている。支持部材300は、横柱部材111、111、111、111に固定されている。支持部材300は、側面視で、所定の勾配を有するように架台110の上部に取り付けられている。支持部材300は、側面視で、架台110の前部150Wが架台110の後部150Uよりも低くなる勾配を有するように架台110の上部に取り付けられている。
【0067】
支持部材300は、太陽光パネル120の枠体120FL及び光透過パネル130の枠体130FLを下方より支持している。支持部材300は、太陽光パネル120及び光透過パネル130を所定の勾配をもって支持している。支持部材300は、太陽光パネル120及び光透過パネル130の前部が後部よりも低くなるように太陽光パネル120及び光透過パネル130を支持している。
【0068】
図1Cに示すように、雨樋140は、架台110の前側端部に、横幅方向110Aに沿って設けられている。雨樋140は、架台110の軒樋を構成する。雨樋140は、立樋141に連通している。なお雨樋140は、立樋141側が下方となるように、横幅方向110Aに沿って所定の勾配を有するように架台110に取り付けられている。
【0069】
雨樋140は、立樋141を介して雨水貯留タンク142に連通している。雨水貯留タンク142は、農地200を灌水するために雨水を貯留する。
【0070】
図1Bに戻り、複数(例えば3個)の架台110、110、110は、側面視で隣り合う両架台110、110間で段差110Dが生じるように配置されている。後側110Kの一方の架台110に設けられた支持部材300の勾配下部150Wは、隣接する前側110Fの他方の架台110に設けられた支持部材300の勾配上部150Uよりも下方に位置するように、複数の架台110、110、110が配置されている。隣り合う両架台110、110は、上面視で重なり合って配置されている。後側110Kの一方の架台110に設けられた雨樋140の一部あるいは全てが、隣接する前側110Fの他方の架台110の下方に位置するように、隣り合う両架台110、110が、上面視で重なり合って配置されている。
【0071】
このため
図4に示すように上記段差110Dの隙間から雨水が流入したとしても、雨樋140によって雨水を受けることができる。これにより段差110Dの隙間から雨水が農地200に向けて漏れ落ちることを回避することができる。
【0072】
なお、
図1A、
図1Bでは、隣り合う両架台110、110が、上面視で重なり合って配置されている場合を例示したが、雨樋140によって段差110Dの隙間から農地200に向けて漏れ落ちる雨水を受けることができる程度に、隣り合う両架台110、110が、上面視で近接して配置されていてもよい。
【0073】
図2Aは、実施形態の農地用太陽光発電装置100に用いられる支持部材300を、正面(前側100F)からみた正面図である。
【0074】
図2Bは、実施形態の農地用太陽光発電装置100に用いられる支持部材300を、上面からみた上面図である。
【0075】
図2Cは、実施形態の農地用太陽光発電装置100に用いられる支持部材300を右側面からみた側面図である。
【0076】
図2Dは、実施形態の隣接する両パネルを連結した状態を示す断面図である。
【0077】
図2B、
図2Cに示すように、支持部材300は、長手方向が架台110の縦幅方向110Bに一致するように架台110に配列されている。例えば一つの架台110毎に、複数(例えば9個)の支持部材300が設けられている。
【0078】
図2Aに示すように、支持部材300は、架台110の屋根端部110E及び屋根内側部110Cに設けられている。
【0079】
屋根内側部110Cに設けられた支持部材300は、上述したように、隣接する両パネル、例えば隣接する太陽光パネル120、120の両方(又は隣接する太陽光パネルと光透過パネル130の両方または隣接する光透過パネル130、130の両方)を支持する。
【0080】
屋根端部110Eに設けられた支持部材300は、太陽光パネル120及び光透過パネル130のうちのいずれか一方、例えば太陽光パネル120の端部120FLを支持する。
【0081】
支持部材300は、支持部310と、遮蔽部320と、溝部340を含んで構成されている。
【0082】
屋根内側部110Cに設けられた支持部材300について説明する。支持部310は、隣接する太陽光パネル120と光透過パネル130との間又は隣接する太陽光パネル120、120それぞれの間又は隣接する光透過パネル130、130それぞれの間に上面視で隙間300Dを空けた状態で隣接する両パネル(例えば隣接する太陽光パネル120、120)それぞれを支持する。支持部310は、一方支持部311と、他方支持部312を含んで構成されている。
【0083】
一方支持部311は、隣接する両パネル、例えば隣接する太陽光パネル120、120のうちの一方のパネル(左側の太陽光パネル120)の端部120FLを上端受部311Uで受けて支持するものであり、断面凹形状に形成された凹部340Vを備えている。
【0084】
同様に、他方支持部312は、隣接する両パネル、例えば隣接する太陽光パネル120、120のうちの他方のパネル(右側の太陽光パネル120)の端部120FLを上端受部312Uで受けて支持するものであり、断面凹形状に形成された凹部340Vを備えている。
【0085】
遮蔽部320は、隙間300Dの下方を遮蔽する。遮蔽部320は、支持部材300の底板を構成する底板部材321で構成されている。
【0086】
溝部340は、隣接する両パネルの隙間300Dの下方に位置された中央溝部340Cと、上記左右の凹部340Vを含んで構成されている。凹部340Vは、後述するように、横溝部材400の端部400Eに架け渡されている。中央溝部340Cは、一方支持部311及び他方支持部312に挟まれ断面凹形状に形成されている。
【0087】
屋根端部110Eに設けられた支持部材300については、片側の一方支持部311がパネルを支持していない他は、屋根内側部110Cに設けられた支持部材300と同様である。
【0088】
図2B、
図2Cに示すように、支持部材300は、溝部340の長手方向である雨水流通方向340Aに沿って勾配を有している。溝部340の前方端部340Eは、雨樋140の上端に架け渡されている。
【0089】
このため溝部340は、隣接する両パネル間に流れ込む雨水を左右の凹部340V及び中央溝部340C受けて雨樋140に向けて流通させることができる。
【0090】
図2Dに示すように、隣接する両パネル(例えば隣接する太陽光パネル120、120)の同士は、連結部材500で連結される。連結部材500は、隣接する太陽光パネル120、120のうちの一方のパネル(左側の太陽光パネル120)の端部120FLに固定された一方側連結部510と、隣接する太陽光パネル120、120のうちの他方のパネル(右側の太陽光パネル120)の端部120FLに固定された他方側連結部520と、一方側連結部510と他方側連結部520を締結する締結部材530を含んで構成することができる。
【0091】
ボルト、ナット等で構成された締結部材530によって一方側連結部510と他方側連結部520を締結することで、隣接する太陽光パネル120、120を連結固定することができる。
【0092】
図3Aは、横溝部材400の構成を示す断面図である。
【0093】
図3Bは、横溝部材400と支持部材300が交差する箇所を示す斜視図である。
【0094】
図3Cは、横溝部材400と支持部材が交差する箇所を示す上面図である。
【0095】
図3Aに示すように、横溝部材400は、断面凹形状に形成されている。
【0096】
図3Bに示すように、横溝部材400は、長手方向が架台110の横幅方向110Aに一致するように架台110に配列されている。横溝部材400は、支持部材300に対して直交するように架台110に配置されている。
図3B、
図3Cに示すように、横溝部材400の端部400Eは、支持部材300の上端受部311U又は312Uに架け渡されている。
【0097】
図3A、
図3Cに示すように、横溝部材400は、隣接する太陽光パネル120、120それぞれの間又は隣接する光透過パネル130、130それぞれの間に上面視で隙間400Dを空けた状態で隣接する両パネル(例えば隣接する太陽光パネル120、120)それぞれを支持している。
【0098】
図3Aに示すように、太陽光パネル120の端部120FLあるいは光透過パネル130の端部130FLが、横溝部材400の凹部410に入り込むように、横溝部材400に、
【0099】
太陽光パネル120の端部120FLあるいは光透過パネル130の端部130FLが架け渡されている。
【0100】
このため
図3Cに示すように横溝部材400は、隣接する両パネル間に流れ込む雨水を凹部410で受けて端部400Eを介して支持部材300の凹部340Vに流すことができる。
【0101】
以上のように構成された農地用太陽光発電装置100によれば、以下のような効果が得られる。
【0102】
図4は、降水時の雨水の流れを矢印で示す側面図で、
図1Bに対応する側面図である。
【0103】
図5は、降水時の雨水の流れを矢印で示す上面図で、
図2Bに対応する上面図である。
【0104】
図4に示すように、降水時には、隣り合う両架台110、110間で段差110Dの隙間に雨水が流入することがある。しかし、段差110Dの隙間に流入した雨水は、下方の架台110に設けられた雨樋140によって受けることができる。このため段差110Dの隙間から雨水が農地200に向けて漏れ落ちることを回避することができる。
【0105】
図5に示すように、降水時には、架台110上に雨水が落下して、隣接する両パネルの隙間300D、400Dに流れ込む。雨水が隣接する両パネルの隙間300D、400Dに流れ込んだとしても、支持部材300の遮蔽部320及び横溝部材400によって架台110の下方への落下を抑制することができる。このため両パネルの隙間300D、400Dから雨水が農地200に向けて漏れ落ちることを回避することができる。
【0106】
以上のように第1実施形態によれば、農地200に雨水が落下することによる悪影響、つまり畝の欠落や農作物の生育不良等が招来することを抑制することができる。
【0107】
また、
図5に示すように、降水時には、架台110上に雨水が落下して、隣接する両パネルの隙間300D、400Dに流れ込む。隣接する両パネルの隙間400Dに流れ込んだ雨水は、矢印に示すように、架台110上から農地200に向けて落下することなく、架台110上の横溝部材400の凹部410を介して支持部材300の溝部340、つまり凹部340Vに流れ込む。隣接する両パネルの隙間300Dに流れ込んだ雨水は、矢印に示すように、架台110上から農地200に向けて落下することなく、架台110上の支持部材300の溝部340、つまり凹部340Vを流通する。支持部材300の溝部340を流通した雨水は支持部材300の端部300Eを介して雨樋140に流れ込む。雨樋140に流れ込んだ雨水は、立樋141を介して雨水貯留タンク142に流入される。このため架台110上に落下した雨水を効率よく取水することができる。
【0108】
また第1実施形態の農地用太陽光発電装置100は、太陽光パネル120と光透過パネル130を支持部材300によって支持する構造である。このため、太陽光パネル120と光透過パネル130の設置数、設置数の比率に応じて、支持部材300の長さ、配列数、配置間隔を任意に設定して所望の設置数、設置数比率の太陽光パネル120と光透過パネル130を架台110上に配置することができる。
【0109】
また第1実施形態の農地用太陽光発電装置100は、架台110によって太陽の直射光が遮蔽されている。このため作業者は直射光が照射されない環境下で作業を行うことができる。
【0110】
また実施形態の農地用太陽光発電装置100によれば、自家発電と自家取水を効率良く行うことができる。
【0111】
(第2実施形態)
【0112】
第1実施形態では、架台110上に、太陽光パネル120と光透過パネル130が配置された場合について説明したが、架台110上に、光透過パネル130を備えることなく複数の太陽光パネル120が配置された農地用太陽光発電装置についても同様に本発明を適用することができる。すなわち第1実施形態において光透過パネル130が配置されている箇所を太陽光パネル120に置換して配置してもよい。
【0113】
実施形態の農地用太陽光発電装置100及び農地用太陽光発電装置100用の支持部材300は、特許請求の範囲に記載された範囲内で、構成要素の省略、追加、変更、置換等の変形が可能である。
【符号の説明】
【0114】
100 農地用太陽光発電装置100
110 架台
120 太陽光パネル
130 光透過パネル
140 雨樋140
200 農地
300 支持部材
310 支持部
320 遮蔽部
340 溝部