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特開2024-44090半導体記憶装置、および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044090
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体記憶装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240326BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 27/00 20060101ALI20240326BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240326BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/088 E
H01L27/00 301B
H01L27/11556
H01L27/088 D
H01L21/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149422
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 光太郎
【テーマコード(参考)】
5F033
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033HH19
5F033KK04
5F033KK07
5F033KK17
5F033KK18
5F033KK19
5F033KK20
5F033MM30
5F033NN07
5F033QQ08
5F033QQ13
5F033RR01
5F033RR06
5F033RR08
5F033VV16
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB09
5F048BC03
5F048BC18
5F048BD07
5F048BF07
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER22
5F083ER23
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA56
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083MA01
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F083PR03
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気的特性の向上を図る半導体記憶装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置において、メモリセルアレイは、第1ビット線BL-1と、第2ビット線BL-2と、第1絶縁層80と、第1層部81と、第1絶縁部91と、複数のビア73と、を有する。第1層部81は、第1部分81-1と、第2部分81-2と、第3部分82と、を含む。第1部分は、第1ビット線に積層されている。第2部分は、第2ビット線に積層されている。第3部分は、第1部分及び第2部分に対して第1ビット線及び第2ビット線とは反対側に位置する。ビアは、第1絶縁層の第3部分及び第1部分を貫通して第1ビット線に接した第1部分73aと、第1絶縁層の第3部分を貫通して第1絶縁部に接し、ビアの第1部分との間に段差を有した第2部分73bと、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びた第1配線と、
前記第1方向とは交差した第2方向で前記第1配線から離れ、前記第1方向に延びた第2配線と、
前記第1方向および前記第2方向とは交差した第3方向で前記第1配線に積層された第1部分と、前記第3方向で前記第2配線に積層された第2部分と、前記第1部分および前記第2部分に対して前記第1配線および前記第2配線とは反対側に位置し、前記第1部分と前記第2部分とに亘るように少なくとも前記第2方向に延びた第3部分とを含む第1絶縁層と、
前記第2方向で前記第1絶縁層の前記第1部分と前記第2部分との間に位置した部分を含む第1絶縁部と、
前記第1絶縁層に対して前記第1配線とは反対側から前記第1絶縁層に向けて延びた導電部であって、前記第1絶縁層の前記第3部分および前記第1部分を前記第3方向に貫通して前記第1配線に接した第1部分と、前記第1絶縁層の前記第3部分を前記第3方向に貫通して前記第1絶縁部に接し、前記導電部の前記第1部分との間に段差を有した第2部分とを含む導電部と、
を備えた半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1絶縁部は、酸素を含有した第1絶縁材料を含み、
前記第1絶縁層の前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分は、窒素を含有した第2絶縁材料を含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1絶縁部は、酸素を含有した第1絶縁材料を含み、
前記第1絶縁層の前記第1部分および前記第2部分は、窒素を含有した第2絶縁材料を含み、前記第1絶縁層の前記第3部分は、窒素を含有するとともに前記第2絶縁材料とは異なる第3絶縁材料を含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記導電部に対して前記第1配線とは反対側に配置され、前記導電部に接続されるとともに、前記第1方向または前記第2方向に延びた第3配線と、
前記導電部を外れた位置で前記第3配線と前記第1絶縁層との間に配置され、酸素を含有した第4絶縁材料を含む第2絶縁部と、
をさらに備えた、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1配線は、前記第3方向において、前記第1絶縁層側に位置した第1端と、前記第1端とは反対側に位置した第2端とを有し、
前記第2端の前記第2方向の幅は、前記第1端の前記第2方向の幅よりも大きい、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1配線は、前記第2方向および前記第3方向に沿う1つの断面において、前記第1端から前記第2端に向かうに従い前記第2方向の幅が徐々に広くなる台形状である、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1配線および前記第2配線に対して前記第1絶縁層とは反対側に配置され、複数のゲート電極層と複数の第2絶縁層とを含み、前記複数のゲート電極層と前記複数の第2絶縁層とが前記第3方向に1層ずつ交互に積層された積層体と、
前記積層体内を前記第3方向に延びており、絶縁コアと、前記複数のゲート電極層と前記絶縁コアとの間に配置されたチャネル層と、前記複数のゲート電極層と前記チャネル層との間に配置されたメモリ膜とを含む柱状体と、
をさらに備えた
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1配線は、前記柱状体の前記チャネル層に電気的に接続されたビット線である、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1配線は、前記第2方向および前記第3方向に沿う1つの断面において、前記第1絶縁部に接した第1側端と、前記第1側端とは反対側に位置した第2側端とを有し、
前記第1配線の内部は、前記第1側端と前記第2側端との間に亘り一様である、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第2方向および前記第3方向に沿う1つの断面において、前記第1絶縁層の前記第3部分と前記第1絶縁部との境界を前記第2方向に延長した線を第1仮想線とする場合、少なくとも前記第3方向で前記第1仮想線と前記第2配線との間の領域では、前記第1絶縁層の内部が一様である、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第1絶縁層の前記第3部分は、前記第3方向で前記第1絶縁部に接した第1表面と、前記第1表面とは反対側に位置した第2表面とを有し、
前記第2方向および前記第3方向に沿う1つの断面において、前記第2表面は、前記第1方向から見た場合に前記第2配線と重なる領域に、前記第3方向の深さが10nmを超える窪みを有しない、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
第1方向に延びた第1配線と、前記第1方向とは交差した第2方向で前記第1配線から離れ、前記第1方向に延びた第2配線と、前記第1方向および前記第2方向とは交差した第3方向で前記第1配線に積層された第1絶縁膜と、前記第3方向で前記第2配線に積層された第2絶縁膜と、前記第2方向で前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜との間に位置した部分を含む第1絶縁部と、を含む構造体を形成し、
前記第1絶縁膜上、前記第2絶縁膜上、および前記第1絶縁部上に、少なくとも前記第2方向に延びた第3絶縁膜を設けることで、前記第1絶縁膜により形成された第1部分と、前記第2絶縁膜により形成された第2部分と、前記第3絶縁膜により形成された第3部分とを含む第1絶縁層を形成し、
前記第1絶縁層上に第2絶縁部を形成し、
前記第2絶縁部および前記第1絶縁層を前記第3方向に貫通する穴であって、前記第1絶縁層の前記第3部分および前記第1部分を前記第3方向に貫通して前記第1配線に達した第1部分と、前記第1絶縁層の前記第3部分を前記第3方向に貫通して前記第1絶縁部に達し、前記第1部分との間に段差を有した第2部分とを含む穴を形成し、
前記穴の内部に導電部を形成する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1配線および前記第2配線は、前記第1方向および前記第2方向に沿う金属層が反応性イオンエッチングにより前記第2方向に分断されることで形成される、
請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、前記金属層上に形成された前記第1方向および前記第2方向に沿う絶縁膜が、前記金属層とともに前記反応性イオンエッチングにより前記第2方向に分断されることで形成される、
請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワード線と絶縁層とが交互に積層された積層体と、積層体を貫通したメモリピラーと、メモリピラーに接続されたビット線とを有した半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10,937,689号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】2022 Symposium on VLSI Technology & Circuits Digest of Technical Papers, PP427-428, First demonstration of Two Metal Level Semi-damascene Interconnects with Fully Self-aligned Vias at 18MP, G. Murdoch, M. O’Toole, G. Marti, A. Pokhrel, D. Tsvetanova, S. Decoster, S. Kundu, Y. Oniki, A. Thiam, Q.T. Le, O. Varela Pedreira, A. Lesniewska, G. Martinez-Alanis, S. Park, Zs. Tokei, 2022 IEEE Symposium on VLSI Technology and Circuits
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、電気的特性の向上を図ることができる半導体記憶装置、および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体記憶装置は、第1配線と、第2配線と、第1絶縁層と、第1絶縁部と、導電部とを有する。前記第1配線は、第1方向に延びている。前記第2配線は、前記第1方向とは交差した第2方向で前記第1配線から離れ、前記第1方向に延びている。前記第1絶縁層は、第1部分と、第2部分と、第3部分とを含む。前記第1部分は、前記第1方向および前記第2方向とは交差した第3方向で前記第1配線に積層されている。前記第2部分は、前記第3方向で前記第2配線に積層されている。前記第3部分は、前記第1部分および前記第2部分に対して前記第1配線および前記第2配線とは反対側に位置し、前記第1部分と前記第2部分とに亘るように少なくとも前記第2方向に延びている。前記第1絶縁部は、前記第2方向で前記第1絶縁層の前記第1部分と前記第2部分との間に位置した部分を含む。前記導電部は、前記第1絶縁層に対して前記第1配線とは反対側から前記第1絶縁層に向けて延びている。前記導電部は、前記第1絶縁層の前記第3部分および前記第1部分を前記第3方向に貫通して前記第1配線に接した第1部分と、前記第1絶縁層の前記第3部分を前記第3方向に貫通して前記第1絶縁部に接し、前記導電部の前記第1部分との間に段差を有した第2部分とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の半導体記憶装置の構成の一部を示すブロック図。
図2】実施形態のメモリセルアレイの一部の等価回路を示す図。
図3】実施形態の半導体記憶装置の一部を示す断面図。
図4図3に示されたメモリセルアレイのF4線で囲まれた領域を示す断面図。
図5図4に示されたメモリセルアレイのF5-F5線に沿う断面図。
図6図3に示されたメモリセルアレイのF6線で囲まれた領域を示す断面図。
図7図6に示されたメモリセルアレイのF7-F7線に沿う断面の一部を拡大した断面図。
図8図6に示されたメモリセルアレイのF8-F8線に沿う断面図。
図9】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図10】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図11】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を説明するための断面図。
図12】実施形態の第1変形例のメモリセルアレイの一部を示す断面図。
図13】実施形態の第2変形例のメモリセルアレイの一部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の半導体記憶装置および半導体装置の製造方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。以下の説明において、区別のための数字または英字を末尾に伴う参照符号は、互いに区別されなくてもよい場合、末尾の数字または英字が省略される場合がある。
【0009】
本出願では用語を以下のように定義する。「平行」、「直交」、または「同じ」とは、それぞれ「略平行」、「略直交」、または「略同じ」である場合を含み得る。「接続」とは、機械的な接続に限定されず、電気的な接続を含み得る。すなわち「接続」とは、接続対象である2つの要素が直接に接続される場合に限定されず、接続対象である2つの要素が別の要素を間に介在させて接続される場合を含み得る。「隣り合う」とは、2つの要素が接する場合に限定されず、2つの要素が互いに離れた場合(例えば2つの要素の間に別の要素が介在する場合)を含み得る。「層」および「膜」とは、構成要素の区別のために便宜上使い分けられた用語であり、実質的に同じものを意味する。このため以下の説明において「層」および「膜」は、互いに読み替えられてもよい。
【0010】
X方向、Y方向、+Z方向、および-Z方向は、以下のように定義される。X方向は、後述するワード線WL(図3参照)が延びた方向である。Y方向は、X方向とは交差した(例えば直交した)方向である。Y方向は、後述するビット線BL(図3参照)が延びた方向である。+Z方向および-Z方向は、X方向およびY方向とは交差した(例えば直交した)方向である。+Z方向は、後述する積層体40からビット線BLに向かう方向である(図3参照)。-Z方向は、+Z方向とは反対の方向である。+Z方向と-Z方向とを区別しない場合、単に「Z方向」と称する。以下の説明では、Z方向の位置を「高さ」と称する場合がある。ただしこの表現は、説明の便宜上のものであり、重力方向を規定するものではない。Y方向は、「第1方向」の一例である。X方向は、「第2方向」の一例である。Z方向は、「第3方向」の一例である。
【0011】
(実施形態)
<1.半導体記憶装置の構成>
図1は、半導体記憶装置1の構成の一部を示すブロック図である。半導体記憶装置1は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置であり、NAND型フラッシュメモリである。半導体記憶装置1は、例えば、外部のホスト装置と接続可能であり、ホスト装置の記憶空間として使用される。半導体記憶装置1は、例えば、メモリセルアレイ11、コマンドレジスタ12、アドレスレジスタ13、制御回路(シーケンサ)14、ドライバモジュール15、ロウデコーダモジュール16、およびセンスアンプモジュール17を含む。
【0012】
メモリセルアレイ11は、複数のブロックBLK0~BLK(k-1)(kは1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶する複数のメモリセルトランジスタの集合である。ブロックBLKは、データの消去単位として使用される。メモリセルアレイ11には、複数のビット線および複数のワード線が設けられている。各メモリセルトランジスタは、1本のビット線と、1本のワード線とに関連付けられる。
【0013】
コマンドレジスタ12は、半導体記憶装置1がホスト装置から受信するコマンドCMDを保持する。アドレスレジスタ13は、半導体記憶装置1がホスト装置から受信するアドレス情報ADDを保持する。制御回路14は、半導体記憶装置1の各種動作を制御する回路である。例えば、制御回路14は、コマンドレジスタ12に保持されたコマンドCMDに基づき、データの書き込み動作、読み出し動作、または消去動作などを実行する。
【0014】
ドライバモジュール15は、電圧生成回路を含み、半導体記憶装置1の各種動作で使用される電圧を生成する。ロウデコーダモジュール16は、選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたワード線に転送する。センスアンプモジュール17は、書き込み動作において、各ビット線に所望の電圧を印加する。センスアンプモジュール17は、読み出し動作において、各ビット線の電圧または電流に基づいて各メモリセルトランジスタに記憶されたデータ値を判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてホスト装置に転送する。
【0015】
<2.メモリセルアレイの電気的構成>
次に、メモリセルアレイ11の電気的構成について説明する。
図2は、メモリセルアレイ11の一部の等価回路を示す図である。図2は、メモリセルアレイ11に含まれる1つのブロックBLKを示す。ブロックBLKは、複数のストリングユニットSU0~SUQ(Qは1以上の整数)を含む。
【0016】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。各NANDストリングNSは、例えば、複数のメモリセルトランジスタMT0~MTn(nは1以上の整数)、1つ以上のドレイン側選択トランジスタSTD、および1つ以上のソース側選択トランジスタSTSを含む。
【0017】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MTnは、電気的に直列接続されている。各メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートおよび電荷蓄積部を含む。メモリセルトランジスタMTの制御ゲートは、ワード線WL0~WLnのいずれかに電気的に接続されている。各メモリセルトランジスタMTは、ワード線WLを介して制御ゲートに印加された電圧に応じて電荷蓄積部に電荷が蓄積され、データ値を不揮発に保持する。
【0018】
ドレイン側選択トランジスタSTDのドレインは、当該NANDストリングNSに対応するビット線BLに電気的に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDのソースは、電気的に直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MTnの一端に電気的に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDの制御ゲートは、ドレイン側選択ゲート線SGD0~SGDQのいずれかに電気的に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDは、ドレイン側選択ゲート線SGDを介して、ロウデコーダモジュール16と電気的に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSTDは、対応するドレイン側選択ゲート線SGDに所定の電圧が印可された場合に、NANDストリングNSとビット線BLとを電気的に接続する。
【0019】
ソース側選択トランジスタSTSのドレインは、電気的に直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MTnの他端に電気的に接続されている。ソース側選択トランジスタSTSのソースは、ソース線SLに電気的に接続されている。ソース側選択トランジスタSTSの制御ゲートは、ソース側選択ゲート線SGSに電気的に接続されている。ソース側選択トランジスタSTSは、ソース側選択ゲート線SGSに所定の電圧が印可された場合に、NANDストリングNSとソース線SLとを電気的に接続する。
【0020】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MTnの制御ゲートは、それぞれ対応するワード線WL0~WLnに共通接続されている。各ストリングユニットSU0~SUQ内のドレイン側選択トランジスタSTDの制御ゲートは、それぞれ対応する選択ゲート線SGD0~SGDQに共通接続されている。ソース側選択トランジスタSTSの制御ゲートは、選択ゲート線SGSに共通接続されている。メモリセルアレイ11において、ビット線BLは、各ストリングユニットSUで同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有されている。
【0021】
<3.半導体記憶装置の物理的構成>
次に、半導体記憶装置1の物理的構成について説明する。
図3は、半導体記憶装置1の一部を示す断面図である。半導体記憶装置1は、例えば、第1チップ2と、第2チップ3とを有する。
【0022】
<3.1 第1チップ>
まず、第1チップ2について説明する。第1チップ2は、周辺回路22を含む回路チップである。第1チップ2は、例えば、半導体基板21、周辺回路22、絶縁部23、および複数のパッド24を含む。
【0023】
半導体基板21は、例えば、第1チップ2のベースとなる基板である。半導体基板21の少なくとも一部は、X方向およびY方向に沿う板状である。半導体基板21は、例えば、シリコンのような半導体材料により形成されている。
【0024】
周辺回路22は、上述したメモリセルアレイ11を機能させるための回路である。周辺回路22は、上述したコマンドレジスタ12、アドレスレジスタ13、制御回路14、ドライバモジュール15、ロウデコーダモジュール16、およびセンスアンプモジュール17のうち1つ以上を含む。周辺回路22は、例えば、複数のトランジスタ31、複数のコンタクト32、複数の配線層33、および複数のビア34を含む。
【0025】
複数のトランジスタ31は、半導体基板21上に設けられている。トランジスタ31は、例えば、半導体基板21の上面部に形成されたソース領域およびドレイン領域を含む。複数のコンタクト32は、導電性を有し、Z方向に延びている。各コンタクト32は、トランジスタ31のソース領域、ドレイン領域、またはゲート電極に接する。
【0026】
複数の配線層33は、複数の高さに分かれて配置されている。各配線層33は、X方向またはY方向に延びた複数の配線33aを含む。各ビア34は、Z方向に延びている。複数のビア34は、例えば、異なる高さに配置された2つの配線33aを接続するビア34と、配線33aとパッド24とを接続するビア34とを含む。
【0027】
絶縁部23は、複数のトランジスタ31、複数のコンタクト32、複数の配線層33、および複数のビア34を覆う。複数のパッド24は、絶縁部23の表面に設けられている。各パッド24は、ビア34を介して配線33aに電気的に接続されている。
【0028】
<3.2 第2チップ>
まず、第2チップ3について説明する。第2チップ3は、メモリセルアレイ11を含むアレイチップである。第2チップ3は、例えば、メモリセルアレイ11、絶縁部35、および複数のパッド36を有する。ここでは、絶縁部35および複数のパッド36について説明し、メモリセルアレイ11については後述する。
【0029】
絶縁部35は、メモリセルアレイ11を覆う。複数のパッド36は、絶縁部35の表面に設けられている。各パッド36は、後述するメモリセルアレイ11の配線部70に含まれる配線(例えば配線72または配線74)に電気的に接続されている。本実施形態では、第1チップ2の複数のパッド24と、第2チップ3の複数のパッド36とが向かい合わせにして貼合されることで、第1チップ2と第2チップ3とが一体化されている。
【0030】
<4.メモリセルアレイの物理的構成>
次に、メモリセルアレイ11の物理的構成について説明する。
図3に示すように、メモリセルアレイ11は、積層体40、ソース線SL、複数のメモリピラー50、メモリピラー用の複数のコンタクト61(図3では1つのみ図示)、導電層用の複数のコンタクト62(図3では1つのみ図示)、および配線部70を有する。
【0031】
<4.1 積層体>
まず、積層体40について説明する。
図4は、図3に示されたメモリセルアレイ11のF4線で囲まれた領域を示す断面図である。なお図4は、図3に対して上下逆向きに回転された図である。以下では説明の便宜上、積層体40から見てビット線BLが位置する側(すなわち+Z方向側)を「上」、その反対側(すなわち-Z方向側)を「下」と称する場合がある。ただしこれら表現は、半導体記憶装置1の重力方向を規定するものではない。
【0032】
積層体40は、複数の導電層41と、複数の絶縁層42とを含む。複数の導電層41および複数の絶縁層42は、Z方向に1層ずつ交互に積層されている。
【0033】
導電層41は、X方向およびY方向に沿う。各導電層41は、例えば、タングステンのような導電材料で形成されている。導電層41は、「ゲート電極層」の一例である。
【0034】
複数の導電層41のうち上方に位置する1つ以上(例えば複数)の導電層41は、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する。ドレイン側選択ゲート線SGDは、X方向またはY方向で並ぶ複数のメモリピラー50に対して共通に設けられている。ドレイン側選択ゲート線SGDと各メモリピラー50のチャネル層52(後述)との交差部分は、上述したドレイン側選択トランジスタSTDとして機能する。
【0035】
複数の導電層41のうち下方に位置する1つ以上(例えば複数)の導電層41は、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する。ソース側選択ゲート線SGSは、X方向またはY方向で並ぶ複数のメモリピラー50に対して共通に設けられている。ソース側選択ゲート線SGSと各メモリピラー50のチャネル層52との交差部分は、上述したソース側選択トランジスタSTSとして機能する。
【0036】
複数の導電層41のうち、ドレイン側選択ゲート線SGDおよびソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層41の間に設けられた残りの導電層41の少なくとも一部は、ワード線WLとして機能する。ワード線WLは、X方向およびY方向で並ぶ複数のメモリピラー50に対して共通に設けられている。本実施形態では、ワード線WLと各メモリピラー50のチャネル層52との交差部分は、メモリセルトランジスタMTとして機能する。メモリセルトランジスタMTについては、詳しく後述する。
【0037】
絶縁層42は、Z方向で隣り合う2つの導電層41の間に設けられ、当該2つの導電層41を絶縁する層間絶縁膜である。絶縁層42は、X方向およびY方向に沿う。絶縁層42は、シリコンと酸素を含む膜(例えばSiO膜)のような絶縁材料により形成されている。絶縁層42は、「第2絶縁層」の一例である。
【0038】
<4.2 ソース線>
ソース線SLは、積層体40に対して-Z方向側に配置されている。ソース線SLは、X方向およびY方向に広がる板状の導電層である。ソース線SLは、ポリシリコンまたはタングステンを含む導電層のような導電材料により形成されている。
【0039】
<4.3 メモリピラー>
複数のメモリピラー50は、Z方向に延びており、積層体40を貫通している。各メモリピラー50の下端50aは、ソース線SLに接する。一方で、各メモリピラー50の上端50bは、後述するコンタクト61に接する。メモリピラー50は、「柱状体」の一例である。
【0040】
図5は、図4に示されたメモリセルアレイ11のF5-F5線に沿う断面図である。メモリピラー50は、例えば、メモリ膜(多層膜)51、チャネル層52、絶縁コア53、およびキャップ部54(図4参照)を有する。
【0041】
メモリ膜51は、チャネル層52の外周側に設けられている。メモリ膜51は、複数の導電層41とチャネル層52との間に位置する。メモリ膜51は、例えば、トンネル絶縁膜57、チャージトラップ膜58、およびブロック絶縁膜59を含む。
【0042】
トンネル絶縁膜57は、チャネル層52とチャージトラップ膜58との間に設けられている。トンネル絶縁膜57は、例えばチャネル層52の外周面に沿う環状であり、チャネル層52に沿ってZ方向に延びている。トンネル絶縁膜57は、例えば、メモリピラー50のZ方向の全長に亘る。トンネル絶縁膜57は、チャネル層52とチャージトラップ膜58との間の電位障壁である。トンネル絶縁膜57は、シリコンと酸素を含む膜、または、シリコンと酸素と窒素を含む膜により形成されている。
【0043】
チャージトラップ膜58は、トンネル絶縁膜57の外周側に設けられている。チャージトラップ膜58は、トンネル絶縁膜57とブロック絶縁膜59との間に位置する。チャージトラップ膜58は、Z方向に延びている。チャージトラップ膜58は、例えば、メモリピラー50のZ方向の全長に亘る。チャージトラップ膜58は、多数の結晶欠陥(捕獲準位)を有し、結晶欠陥に電荷を捕獲可能な機能膜である。チャージトラップ膜58は、例えばシリコンと窒素を含む膜により形成されている。チャージトラップ膜58のなかで各ワード線WLと隣り合う部分は、電荷を蓄積することで情報を記憶可能な「電荷蓄積部」の一例である。
【0044】
ブロック絶縁膜59は、チャージトラップ膜58の外周側に設けられている。ブロック絶縁膜59は、複数の導電層41とチャージトラップ膜58との間に位置する。ブロック絶縁膜59は、バックトンネリングを抑制する絶縁膜である。バックトンネリングは、ワード線WLからチャージトラップ膜58へ電荷が戻る現象である。ブロック絶縁膜59は、Z方向に延びている。ブロック絶縁膜59は、例えば、メモリピラー50のZ方向の全長に亘る。ブロック絶縁膜59は、例えば、シリコンと酸素を含む膜または金属と酸素を含む膜などの複数の絶縁膜が積層された積層構造膜である。金属と酸素を含む膜の一例は、アルミニウム酸化物である。ブロック絶縁膜59は、シリコン窒化物またはハフニウムオキサイドのような高誘電率材料(High-k材料)を含んでもよい。
【0045】
チャネル層52は、メモリ膜51の内側に設けられている。チャネル層52は、環状に形成されている。チャネル層52は、Z方向に延びている。チャネル層52は、例えば、メモリピラー50のZ方向の全長に亘る。チャネル層52は、ポリシリコンのような半導体材料で形成されている。チャネル層52は、不純物がドープされていてもよい。チャネル層52は、ワード線WLに電圧が印加される場合に、チャネルを形成してビット線BLとソース線SLとを電気的に接続する。
【0046】
これにより、各ワード線WLと同じ高さには、メモリピラー50に隣り合うワード線WLの端部、ブロック絶縁膜59、チャージトラップ膜58、トンネル絶縁膜57、およびチャネル層52により、MANOS(Metal-Al-Nitride-Oxide-Silicon)型のメモリセルトランジスタMTが形成されている。なお、メモリ膜51は、電荷蓄積部として、チャージトラップ膜58に代えて、フローティングゲート方式の電荷蓄積部(フローティングゲート電極)を有してもよい。フローティングゲート電極は、例えば、不純物を含むポリシリコンにより形成される。
【0047】
絶縁コア53は、チャネル層52の内側に設けられている。絶縁コア53は、チャネル層52の内部の一部を埋めている。絶縁コア53は、シリコンと酸素を含む膜のような絶縁材料で形成されている。絶縁コア53の一部は、チャネル層52の内周面に沿う環状に形成され、内部に空間部(エアギャップ)Sを有してもよい。絶縁コア53は、Z方向に延びている。絶縁コア53は、例えば、メモリピラー50の上端部を除いてメモリピラー50のZ方向の大部分に亘る(図4参照)。
【0048】
次に図4に戻り、キャップ部54について説明する。キャップ部54は、絶縁コア53の上方に設けられている。キャップ部54は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンのような半導体材料で形成された半導体部である。キャップ部54は、不純物がドープされていてもよい。キャップ部54は、メモリ膜51の上端部の内周側に配置され、チャネル層52と一体に形成されている。キャップ部54は、チャネル層52の上端部とともに、メモリピラー50の上端部を形成している。キャップ部54には、メモリピラー用のコンタクト61がZ方向で接する。
【0049】
<4.4 メモリピラー用のコンタクト>
次に、メモリピラー用のコンタクト61について説明する。コンタクト61は、メモリピラー50と配線部70に含まれるビット線BLとを電気的に接続する電気接続部である。複数のコンタクト61は、上方から見た場合、複数のメモリピラー50に対応する位置に配置されている。各コンタクト61は、Z方向に延びている。各コンタクト61の下端は、メモリピラー50の上端50bに接している。一方で、各コンタクト61の上端は、コンタクト61の上方に設けられたビア71(後述)を介してビット線BLに接続されている。
【0050】
<4.5 導電層用のコンタクト>
次に図3に戻り、導電層用のコンタクト62について説明する。コンタクト62は、導電層41と配線部70に含まれる配線74とを電気的に接続する電気接続部である。複数のコンタクト62は、例えば、積層体40において複数の導電層41の端部が階段状に配置された階段領域に対応して配置されている。複数のコンタクト62は、上方から見た場合、複数の導電層41に対応する位置に配置されている。複数のコンタクト62は、Z方向に延びており、Z方向の長さが互いに異なる。
【0051】
<4.6 配線部>
次に、配線部70について説明する。配線部70は、例えば、積層体40と、半導体基板21との間に配置されている(図3参照)。配線部70は、例えば、複数のビット線BL、複数のビア71、複数の配線72、複数のビア73、および複数の配線74を含む。
【0052】
各ビット線BLは、メモリピラー50を選択するために電圧の印加状態が制御される配線である。複数のビット線BLは、互いに間隔を空けてX方向に並べて配置されている。複数のビット線BLは、互いに平行にY方向に延びている。各ビット線BLは、対応するメモリピラー用のコンタクト61とZ方向で少なくとも一部が重なる位置に配置されている。ビット線BLとコンタクト61との間には、ビット線BLとコンタクト61とを接続するビア71が設けられている。ビット線BLは、ビア71およびコンタクト61を介して、メモリピラー50のチャネル層52に電気的に接続されている。これにより、ワード線WLとビット線BLとの組み合わせにより、3次元状に配置された複数のメモリセルトランジスタMTのなかから任意のメモリセルトランジスタMTを選択することができる。ビット線BLについては、詳しく後述する。
【0053】
各配線72は、ビット線BLと、パッド36とを電気的に接続するための電気接続部である。複数の配線72は、例えば、複数のビット線BLに対して+Z方向側に配置されている。各配線72は、例えば、X方向またはY方向に延びている。配線72とビット線BLとの間には、配線72とビット線BLとを接続するビア73が設けられている。配線72およびビア73については、詳しく後述する。
【0054】
各配線74は、導電層41(ワード線WL、ドレイン側選択ゲート線SGD、またはソース側選択ゲート線SGS)を選択するために電圧の印加状態が制御される配線である。各配線74は、コンタクト62と、パッド36とを電気的に接続する電気接続部である。
【0055】
<5.ビット線と配線の接続構造>
次に、ビット線BLと配線72の接続構造について説明する。
図6は、図3に示されたメモリセルアレイ11のF6線で囲まれた領域を示す断面図である。なお図6は、図3に対して上下逆向きに回転されている。図6に示すように、メモリセルアレイ11は、上述した複数のビット線BL、絶縁層80、第1絶縁部91、上述した複数の配線72、複数のビア73(図6では1つのみ図示)、および第2絶縁部92を有する。以下、これらについて詳しく説明する。
【0056】
<5.1 ビット線>
複数のビット線BLは、互いに間隔を空けてX方向に並んでいる。以下では説明の便宜上、複数のビット線BLに含まれる1つのビット線BL-1を「第1ビット線BL-1」と称し、第1ビット線BL-1と隣り合う1つのビット線BLを「第2ビット線BL-2」と称する。第1ビット線BL-1は、「第1配線」の一例である。第2ビット線BL-2は、「第2配線」の一例である。
【0057】
ビット線BLは、例えば、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)により加工が可能な配線材料により形成される。ビット線BLは、例えば、タングステン、モリブデン、クロム、またはルテニウムにより形成される。
【0058】
図6に示すように、各ビット線BLは、X方向およびZ方向に沿う1つの断面において、第1端101aと、第2端101bとを有する。第1端101aは、Z方向において、絶縁層80が位置する側の端である。第1端101aは、Z方向で後述する絶縁層80の第1層部81に接する。第2端101bは、Z方向において、第1端101aとは反対側に位置する端である。すなわち、第2端101bは、積層体40が位置する側の端である。第2端101bは、Z方向でビア71に接する。
【0059】
本実施形態では、複数のビット線BLは、反応性イオンエッチングによってパターニングされる。このため、各ビット線BLに関して、ビット線BLの第2端101bのX方向の幅W2は、ビット線BLの第1端101aのX方向の幅W1よりも大きい。各ビット線BLは、X方向およびZ方向に沿う1つの断面において、積層体40が位置する側に近づくに従いX方向の幅が徐々に大きくなる台形状である。
【0060】
本実施形態では、各ビット線BLは、バリアメタル層を有しない。言い換えると、各ビット線BLは、X方向およびZ方向に沿う1つの断面において、第1側端101cと、第1側端101cとは反対側に位置した第2側端101dとを有する。第1側端101cは、第1絶縁部91に接する。第2側端101dは、第1側端101cとは異なる位置で、第1絶縁部91に接する。そして、ビット線BLの内部は、第1側端101cと第2側端101dとの間に亘り一様である。すなわち、ビット線BLの内部は、第1側端101cと第2側端101dとの間に亘り同じ材質(例えばタングステンまたはモリブデン)が連続している。
【0061】
<5.2 絶縁層>
絶縁層80は、例えば、ビット線BLに対してビア73の位置ずれが生じた場合に、当該位置ずれによる影響を抑制するための絶縁層である。絶縁層80は、複数のビット線BLに対して積層体40とは反対側(すなわち+Z方向側)に配置されている。絶縁層80は、例えば、複数の第1層部81と、第2層部82とを有する。なお図6では、説明の便宜上、第1層部81と第2層部82とに異なるハッチングを施している。ただし、第1層部81と第2層部82とは、例えば同じ材料を含み一体に存在する。このため、第1層部81と第2層部82との間の境界は消失しており、1つの絶縁層80として存在する。絶縁層80は、「第1絶縁層」の一例である。
【0062】
<5.2.1 第1層部>
複数の第1層部81は、複数のビット線BLに対応して設けられている。第1層部81は、絶縁層80において、例えば電気絶縁性(耐圧性)を担う部分である。第1層部81は、対応するビット線BLに対して、+Z方向側に位置する。第1層部81は、ビット線BL上に積層されている。第1層部81は、ビット線BLの表面に沿ってY方向に延びている(図8参照)。複数の第1層部81は、互いにX方向に間隔を空けて配置されている。第1ビット線BL-1に積層された第1層部81(第1層部81-1)は、「第1絶縁層の第1部分」の一例である。第2ビット線BL-2に積層された第1層部81(第1層部81-2)は、「第1絶縁層の第2部分」の一例である。
【0063】
第1層部81は、例えば、窒素を含有した絶縁材料G2を含む。絶縁材料G2は、例えば、シリコンと窒素を含む膜(例えばSiN)、シリコンと炭素と窒素を含む膜(例えばSiCN)、または、シリコンと酸素と窒素を含む膜(例えばSiON)のいずれかである。後述する第1絶縁部91と第1層部81とのエッチングの選択比を考慮する場合、絶縁材料G2としては、シリコン窒化物(SiN)またはシリコン炭窒化物(SiCN)が好ましい。
【0064】
また、後述する配線72とビット線BLとの間の層間容量を考慮する場合(層間容量を小さくしたい場合)、絶縁材料G2としては、シリコン窒化物(SiN)よりもシリコン炭窒化物(SiCN)が好ましい。一方で、後述する第1絶縁部91と第1層部81とのエッチングの選択比をさらに考慮する場合(選択比を高めたい場合)、絶縁材料G2としては、シリコン炭窒化物(SiCN)よりもシリコン窒化物(SiN)が好ましい。絶縁材料G2は、「第2絶縁材料」の一例である。
【0065】
本実施形態では、第1層部81のX方向の最大幅W3(例えば、ビット線BLの第1端101aのX方向の幅W1と同じ)は、第1層部81のZ方向の厚さT1と比べて大きい。複数の第1層部81は、例えば、ビット線BLとともに反応性イオンエッチングによってパターニングされる。このため、第1層部81の第1端101a側のX方向の幅W3は、第2層部82側のX方向の幅よりも大きい。第1層部81は、X方向およびZ方向に沿う1つの断面においては、積層体40が位置する側に近づくに従いX方向の幅が徐々に大きくなる台形状である。
【0066】
本実施形態では、第1層部81の内部には、ボイドや、膜の継ぎ目は、製造工程のばらつき等を理由とする意図しないボイドや膜の継ぎ目を除き、存在しない。言い換えると、X方向およびZ方向に沿う1つの断面において、後述する第2層部82と第1絶縁部91との境界B1をX方向に延長した線を第1仮想線L1とする場合、少なくともZ方向で第1仮想線L1と第2ビット線BL-2との間の領域(図6に一点鎖線で示す領域R1)では、絶縁層80の内部が一様である。すなわち、当該領域R1には、ボイドや、膜の継ぎ目は、製造工程のばらつき等を理由とする意図しないボイドや膜の継ぎ目を除き、存在しない。
【0067】
<5.2.2 第2層部>
第2層部82は、例えば、ビア73を形成するための穴の加工時に、当該穴の加工に対するストッパ層として機能する部分である。第2層部82は、複数の第1層部81に対して+Z方向側に位置する。すなわち、第2層部82は、複数の第1層部81に対して、複数のビット線BLとは反対側に位置する。第2層部82は、複数の第1層部81に亘るように少なくともX方向に延びている。本実施形態では、第2層部82は、X方向およびY方向に沿って広がる。第2層部82のZ方向の厚さT2は、例えば、第1層部81のZ方向の厚さT1と同じである。言い換えると、第1層部81のX方向の最大幅W3は、第2層部82のZ方向の厚さT2と比べて大きい。第2層部82は、「第1絶縁層の第3部分」の一例である。
【0068】
第2層部82は、例えば、第1層部81と同じ絶縁材料G2を含む。すなわち、第2層部82は、例えば、シリコンと窒素を含む膜(例えばSiN)、シリコンと炭素と窒素を含む膜(例えばSiCN)、またはシリコンと酸素と窒素を含む膜(例えばSiON)を含む。本実施形態では、第1層部81と第2層部82とは同じ材料により形成されている。
【0069】
本実施形態では、第2層部82は、Z方向で第1絶縁部91に接した第1表面S1と、第1表面S1とは反対側に位置した第2表面S2とを有する。第2表面S2は、X方向およびY方向に沿う平坦な面である。言い換えると、X方向およびZ方向に沿う1つの断面において、第2表面S2は、少なくともZ方向から見た場合に前記第1配線と重なる領域(すなわち図6に一点鎖線で示す領域R2)に、Z方向の深さが10nmを超える窪みを有しない。
【0070】
<5.3 第1絶縁部>
第1絶縁部91は、絶縁層80に対して-Z方向側に配置されている。第1絶縁部91は、X方向において複数のビット線BLの間に位置する部分91aと、X方向において絶縁層80の複数の第1層部81の間に位置する部分91bとを含む。第1絶縁部91の部分91bは、Z方向で絶縁層80の第2層部82の第1表面S1に接する。第1絶縁部91は、例えば、酸素を含有した絶縁材料G1を含む。絶縁材料G1は、例えば、シリコンと酸素を含む膜(例えばSiO)である。絶縁材料G1は、「第1絶縁材料」の一例である。
【0071】
<5.4 配線>
複数の配線72は、絶縁層80に対して+Z方向側に配置されている。図6に示す例では、配線72は、Y方向に延びている。これに代えて、配線72は、X方向に延びていてもよい。
【0072】
複数の配線72のなかで、第1ビット線BL-1に接続される配線72-1は、「第3配線」の一例である。配線72-1は、ビア73に対して、第1ビット線BL-1とは反対側に配置されている。配線72-1は、ビア73に接続され、ビア73を介して第1ビット線BL-1に電気的に接続されている。本出願で「ビア(導電部)に接続され」とは、ビア(導電部)と配線とが別々に形成されて接続される場合に限定されず、ビア(導電部)と配線とが一体に形成されることで両者が接続されている場合も含む。
【0073】
複数の配線72のなかで、第1ビット線BL-1に接続されない配線72-2は、「第4配線」の一例である。配線72-2は、例えば、X方向で配線72-1の隣に配置されている。
【0074】
本実施形態では、配線72は、表層72mと、表層72mの内部に設けられた主部72nとを含む。表層72mは、例えば、バリアメタル層である。表層72mは、例えば、チタンを含む導電材料で形成されている。主部72nは、例えば、金属材料のような導電材料で形成されている。主部73nは、例えば、タングステン、モリブデン、または銅などにより形成される。
【0075】
<5.5 ビア>
ビア73は、配線72とビット線BLと(例えば、配線72-1と第1ビット線BL-1と)を電気的に接続する電気接続部である。ビア73は、Z方向で配線72とビット線BLとの間に配置され、Z方向に延びている。ビア73は、絶縁層80に対して第1ビット線BL-1とは反対側から絶縁層80に向けて延びている。ビア73は、「導電部」の一例である。ビア73は、例えば、第1部分73aと、第2部分73bとを有する。
【0076】
第1部分73aは、Z方向から見た場合、ビア73のなかでビット線BLと重なる部分である。第1部分73aは、絶縁層80の第2層部82および第1層部81をZ方向に貫通してビット線BLに接する。第1部分73aは、配線72とビット線BLとを電気的に接続する。
【0077】
第2部分73bは、Z方向から見た場合、ビア73のなかでビット線BLを外れた部分である。第2部分73bは、X方向で第1部分73aと隣接する。第2部分73bは、絶縁層80の第2層部82をZ方向に貫通して第1絶縁部91に接する。第2部分73bの-Z方向側の端73beは、例えば、絶縁層80の第2層部82と第1絶縁部91との境界B1に位置する。第1部分73aと第2部分73bとの間には、Z方向の段差73sが形成される。第2部分73bは、非接続対象の第2ビット線BL-2に対して、少なくとも絶縁層80の第1層部81のZ方向の厚さT1よりも大きな距離で離れる。
【0078】
図7は、図6中に示されたメモリセルアレイ11の一部のF7―F7線に沿う断面の一部を拡大した断面図である。本実施形態では、ビア73は、X方向およびY方向に沿う断面において、X方向に短軸、Y方向に長軸を持つ楕円状である。第1部分73aと第2部分73bとの間の段差73sは、第1層部81と第1絶縁部91との境界B2に沿ってY方向に延びている。
【0079】
図6に戻り説明を続ける。本実施形態では、ビア73は、表層73mと、表層73mの内部に設けられた主部73nとを含む。表層73mは、例えば、バリアメタル層である。表層73mは、例えば、チタンを含む導電材料で形成されている。主部73nは、例えば、金属材料のような導電材料により形成される。主部73nは、例えば、タングステン、モリブデン、または銅などにより形成される。
【0080】
<5.6 第2絶縁部>
第2絶縁部92は、絶縁層80に対して+Z方向側に配置されている。第2絶縁部92は、絶縁層80の第2層部82の第2表面S2に沿って、X方向およびY方向に広がる。第2絶縁部92は、例えば、酸素を含有した絶縁材料G4を含む。絶縁材料G4は、例えば、シリコンと酸素を含む膜(例えばSiO)である。絶縁材料G4は、絶縁材料G1と同じでもよく、異なってもよい。絶縁材料G4は、「第4絶縁材料」の一例である。
【0081】
図8は、図6中に示されたメモリセルアレイ11の一部のF8―F8線に沿う断面図である。第2絶縁部92の一部は、ビア73を外れた位置で配線72(例えば配線72-1)と絶縁層80の第2層部82との間に配置されている。本実施形態では、配線72(例えば配線72-1)と絶縁層80の第2層部82との間の第2絶縁部92のZ方向の厚さT4は、絶縁層80のZ方向の厚さT3よりも大きい。絶縁層80のZ方向の厚さT3は、例えば、第1層部81のZ方向の厚さT1と、第2層部82のZ方向の厚さT2との合計である。
【0082】
図6に示すように、第2絶縁部92の別の一部は、配線72(例えば配線72-2)と絶縁層80の第2層部82との間に配置されている。配線72(例えば配線72-2)と絶縁層80の第2層部82との間の第2絶縁部92のZ方向の厚さT4は、絶縁層80のZ方向の厚さT3よりも厚い。
【0083】
<6.製造方法>
次に、半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
図9から図11は、半導体記憶装置1の製造方法を説明するための断面図である。なお、半導体記憶装置1の積層体40、メモリピラー50、コンタクト61、およびビア71などは、公知の方法で製造可能である。以下では、ビット線BL、絶縁層80、配線72、およびビア73に関する部分について説明する。
【0084】
まず、図9中の(a)に示すように、積層体40、メモリピラー50、およびコンタクト61、およびビア71を含む構造体210が形成される。次に、構造体210上に、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)により、金属層211が形成される。金属層211は、X方向およびY方向に沿う板状である。金属層211は、後工程でビット線BLが形成される金属層である。次に、金属層211上に、絶縁膜212が形成される。絶縁膜212は、X方向およびY方向に沿う。絶縁膜212は、後工程で複数の第1層部81が形成される絶縁膜である。次に、絶縁膜212上に、例えばアモルファスシリコンのような材料が形成され、ハードマスクの元になる機能層213が形成される。
【0085】
次に、図9中の(b)に示すように、機能層213に所定の加工が行われることで、機能層213からビット線BLの配置に対応したハードマスクMが形成される。
【0086】
次に、図9中の(c)に示すように、ハードマスクMを用いて反応性イオンエッチングが行われることで、金属層211の不要部分および絶縁膜212の不要部分が除去される。すなわち、反応性イオンエッチングにより金属層211がX方向に分断されることで、金属層211から複数のビット線BLが形成される。また、上記反応性イオンエッチングにより金属層211とともに絶縁膜212がX方向に分断されることで、絶縁膜212から複数の第1層部81が形成される。第1ビット線BL-1に積層された第1層部81は、「第1絶縁膜」の一例である。第2ビット線BL-2に積層された第1層部81は、「第2絶縁膜」の一例である。
【0087】
次に、図9中の(d)に示すように、複数のビット線BLおよび複数の第1層部81を埋めるように絶縁部220が設けられる。絶縁部220は、例えば、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC)を用いて形成される。
【0088】
次に、図10中の(e)に示すように、絶縁部220の上端部が平坦化処理(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により除去されることで、絶縁部220から第1絶縁部91が形成される。これにより、第1絶縁部91の上面は、複数の第1層部81の上面と同じ面上に位置する。これにより、複数のビット線BL、複数の第1層部81、および第1絶縁部91を含む構造体230が形成される。
【0089】
次に、図10中の(f)に示すように、複数の第1層部81の上面および第1絶縁部91の上面を覆うように第2層部82が形成される。これにより、複数の第1層部81と第2層部82とにより絶縁層80が形成される。第2層部82は、「第3絶縁膜」の一例である。
【0090】
次に、図10中の(g)に示すように、絶縁層80上に第2絶縁部92が形成される。第2絶縁部92は、例えば、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC)を用いて形成される。
【0091】
次に、図10中の(h)に示すように、不図示のマスクが設けられ、ビア73を設けるための穴Hが第2絶縁部92に形成される。穴Hは、例えば、反応性イオンエッチングにより形成される。穴Hを形成するエッチングは、まず、第1条件で行われる。第1条件は、第2絶縁部92は削れるが、第2絶縁部92と比べて絶縁層80は削れないエッチング条件である。これにより、まず、第2絶縁部92をZ方向に貫通して絶縁層80の第2表面S2に達する穴H1が形成される。
【0092】
次に、図11中の(i)に示すように、穴Hを形成するためのエッチングは、エッチング条件を、第1条件から第2条件に切り替えられて行われる。第2条件は、絶縁層80は削れるが、絶縁層80と比べて第1絶縁部91は削れないエッチング条件である。
【0093】
これにより、第1部分Haと第2部分Hbとを含む穴Hが形成される。第1部分Haは、Z方向から見た場合、穴Hのなかでビット線BLと重なる部分である。第1部分Haは、絶縁層80の第2層部82および第1層部81をZ方向に貫通してビット線BL(例えば第1ビット線BL-1)の表面に達する。第2部分Hbは、Z方向から見た場合、穴Hのなかでビット線BLを外れた部分である。第2部分Hbは、絶縁層80の第2層部82をZ方向に貫通して第1絶縁部91の上面で留まる。第1部分Haと第2部分Hbとの間には、Z方向の段差Hsが存在する。
【0094】
次に、図11中の(j)に示すように、不図示のマスクが設けられ、配線72を形成するための溝Gが第2絶縁部92の上面により形成される。溝Gは、例えば、反応性イオンエッチングにより形成される。
【0095】
次に、図11中の(k)に示すように、溝Gおよび穴Hの内面に、配線72の表層72mおよびビア73の表層72mとなるバリアメタル層241が形成される。次に、溝Gおよび穴Hの内部に導電材料が供給されることで、配線72の主部72nおよびビア73の主部73nが形成される。これにより、溝Gおよび穴Hの内部に配線72およびビア73がそれぞれ形成される。このとき、穴Hの第1部分Haにはビア73の第1部分73aが形成され、穴Hの第2部分Hbにはビア73の第2部分73bが形成される。
【0096】
<7.利点>
比較例1として、反応性イオンエッチングによりビット線BLおよび第1層部81を形成するのではなく、絶縁部の上面に溝を形成し、この溝の内部にビット線および絶縁部を形成する例について考える。この比較例1では、例えば、シリコン酸化物(SiO)により形成された絶縁部の上面に溝を形成し、当該溝内の下部にビット線を形成し、当該溝内の上部および上記絶縁部の上面にシリコン窒化物(SiN)を含む絶縁層を形成することが考えられる。このような構成によれば、上述した実施形態と同様に、ビアの底部に段差を設けることができる。
【0097】
しかしながら、比較例1の構成では、耐圧性の確保のためには(すなわち、ビアが第1ビット線に接続される場合において、ビアと、非接続対象の第2ビット線との間の距離を確保するためには)、溝内に厚い絶縁層を設ける必要がある。この場合、溝内の空間にシリコン窒化物を多く埋め込む必要が生じる。しかしながら、シリコン窒化物は一般的に埋め込み性が悪く、溝内にシリコン窒化物を埋め込む際に、シリコン酸化物の内部にボイドが生じやすい。また、溝内にシリコン窒化物を埋め込む際に、溝の上方に対応する絶縁層の領域の上面に溝に向けて窪む大きな窪み(10nmを超える窪み)が生じやすい。このため、比較例1の構成では、耐圧性またはその他の電気的特性を向上させることが難しい場合がある。
【0098】
次に、比較例2として、厚いシリコン窒化物層を利用した構造について考える。この比較例2では、まず、ビット線の元になる金属層を形成し、当該金属層上に、厚いシリコン窒化物層を形成し、これら金属層と厚いシリコン窒化物層とを反応性イオンエッチングにより特定方向に分断することで、複数のビット線と、複数のビット線上に設けられた複数の第1絶縁部とを形成する。複数の第1絶縁部は、複数のビット線と1対1で対応するとともに、上述した厚いシリコン窒化物層の厚さを持つ。次に、複数のビット線および複数の第1絶縁部を埋める第2絶縁部が形成される。第2絶縁部は、シリコン酸化物を含む。次に、複数の第1絶縁部のなかで、ビアを形成する位置に対応する部分が反応性イオンエッチングにより除去され、この除去により第2絶縁部内に形成された空間部にビアが形成され、残りの複数の第1絶縁部上および第2絶縁部上にビアに接続された配線(以下「特定配線」と称する)が形成される。このような構成によれば、ビット線に対してビアの位置ずれが生じることが抑制される。
【0099】
しかしながら、比較例2の構成では、ビット線と特定配線とのZ方向の距離がシリコン窒化物である第1絶縁部の厚さにより規定される。このため、ビット線と特定配線との間の距離を確保するためには、厚い第1絶縁部が必要になる。ここで、第1絶縁部が厚くなると、上述した金属層および厚いシリコン窒化物層をそれぞれ反応性イオンエッチングにより複数に分断する際に、高いアスペクト比での加工が必要になり、厚い第1絶縁部が倒れる可能性がある。このため、第1絶縁部の厚さを大きくすることが難しい。このため、比較例2の構成では、耐圧性の向上を図ることが難しい。
【0100】
また、比較例2の構成では、複数の第1絶縁部の各々は、反応性イオンエッチングにより形成されるため、ビット線に近づくほど第1絶縁部の横幅が広くなる台形状(以下「純テーパの台形状」と称する)に形成される。その結果、ビアを形成する位置の第1絶縁部を反応性イオンエッチングにより除去し、この除去により第2絶縁部内にビアを形成するための空間部を形成した場合、当該空間部は第1絶縁部の外形に倣う純テーパの台形状になり、導電材料を供給する入口部が狭くなるとともに、空間部の内部は広くなる。その結果、ビアの内部に埋め込み不良が生じる可能性がある。
【0101】
さらに、第2比較例の構成では、ビット線と特定配線との間がシリコン窒化物で埋められるため、層間容量が大きくなり、RC遅延が生じる可能性があるなど、電気的特性が低下する可能性がある。
【0102】
一方で、本実施形態では、絶縁層80は、Z方向で第1ビット線BL-1に積層された第1層部81(第1部分)と、Z方向で第2ビット線BL-2に積層された第1層部81(第2部分)と、複数の第1層部81に対してビット線BLとは反対側に位置し、少なくともX方向に延びた第2層部82(第3部分)とを含む。第1絶縁部91は、絶縁層80の複数の第1層部81の間に位置した部分91bを含む。ビア73は、絶縁層80の第2層部82および第1層部81をZ方向に貫通して第1ビット線BL-1に接した第1部分73aと、絶縁層80の第2層部82をZ方向に貫通して第1絶縁部91に接し、第1部分73aとの間に段差73sを有した第2部分73bとを含む。
【0103】
このような構成によれば、第1層部81および第2層部82が設けられることで、底部に段差73sを有したビア73を形成することができる。これにより、ビア73が第1ビット線BL-1に接続される場合において、ビア73と、非接続対象の第2ビット線BL-2との間の距離を確保し、耐圧性を高めることができる。これにより、半導体記憶装置1の電気的特性の向上を図ることができる。
【0104】
また本実施形態の上記構成によれば、比較例2の構成と比べて、高いアスペクト比での加工が必要なく、厚い第1絶縁部が倒れることを抑制することができる。言い換えると、本実施形態の上記構成によれば、低加工難易度の配線プロセスによって、耐圧性の向上を図ることができる。
【0105】
また本実施形態の上記構成によれば、比較例2の構成と異なり、純テーパの台形状の空間部に導電材料を供給する必要がなくなる。このため、ビア73の内部に埋め込み不良が生じることを抑制することができる。
【0106】
また本実施形態の上記構成によれば、比較例2の構成とは異なり、第1層部81の厚さT1(耐圧性を担う絶縁部の厚さ)が必要な耐圧に応じて調整可能である。このため、必要な耐圧に応じて第1層部81の厚さT1を調整することで、ビア73の底と、第2ビット線BL-2との間の距離を調整することができる。
【0107】
また本実施形態の上記構成によれば、反応性イオンエッチングにより金属層211とともに絶縁膜212をX方向に分断することで、金属層211から複数のビット線BLを形成するとともに、絶縁膜212から複数の第1層部81を形成することができる。この場合、溝内にシリコン窒化物を埋め込む工程が不要になる。このため、第1比較例と比べて、第1層部81の内部にボイドが生じにくいとともに、第2層部82の第2表面S2に窪みが生じにくい。このため、比較例1と比べて、第1層部81の厚さT1を大きくしやすく、耐圧性を確保しやすくなる。これにより、半導体記憶装置1の電気的特性のさらなる向上を図ることができる。
【0108】
本実施形態では、第1絶縁部91は、酸素を含有した絶縁材料G1を含む。絶縁層80の第1層部81、第1層部81、および第2層部82は、窒素を含有した絶縁材料G2を含む。このような構成によれば、絶縁材料G1と絶縁材料G2とのエッチングの選択比により、ビア73が設けられる穴として、第1部分Haと第2部分Hbとの間に段差Hsを有した穴Hを形成しやすくなる。
【0109】
本実施形態では、配線72は、Z方向で絶縁層80に対して第1ビット線BL-1とは反対側に配置され、ビア73に接続されている。第2絶縁部92は、ビア73を外れた位置で配線72と絶縁層80との間に配置され、酸素を含有した絶縁材料G4を含む。このような構成によれば、酸素を含有した絶縁材料G4を含む第2絶縁部92が配線72とビット線BLとの間に存在する。酸素を含有した絶縁材料G4(例えばシリコン酸化物)は、シリコン窒化物と比べて誘電率が低い。このため、例えば比較例2と比べて、配線72とビット線BLとの間の層間容量を小さくすることができる。これにより、例えばRC遅延を抑制することができ、半導体記憶装置1の電気的特性の向上を図ることができる。
【0110】
<8.変形例>
次に、いくつかの変形例について説明する。なお各変形例において以下に説明する以外の構成は、上記実施形態と同じである。
【0111】
<8.1 第1変形例>
図12は、第1変形例のメモリセルアレイ11の一部を示す断面図である。第1変形例では、絶縁層80の第1層部81は、例えば、窒素を含有した絶縁材料G2を含む。絶縁材料G2は、例えば、シリコン窒化物(SiN)、シリコン炭窒化物(SiCN)、およびシリコン酸窒化物(SiON)のうちのいずれか1つである。
【0112】
一方で、絶縁層80の第2層部82は、窒素を含有した絶縁材料G3を含む。絶縁材料G3は、絶縁材料G2とは異なる絶縁材料である。絶縁材料G3は、例えば、シリコン窒化物(SiN)、シリコン炭窒化物(SiCN)、およびシリコン酸窒化物(SiON)のうちのいずれか別の1つである。絶縁材料G3は、「第3絶縁材料」の一例である。
【0113】
このような構成によれば、特性が異なる複数の絶縁材料により絶縁層80が形成されるため、半導体記憶装置1の電気的特性の向上を図ることができる場合がある。
【0114】
<8.2 第2変形例>
図13は、第2変形例のメモリセルアレイ11の一部を示す断面図である。第2変形例では、第1層部81のZ方向の厚さT1は、第2層部82のZ方向の厚さT2よりも大きい。このような構成によれば、高い耐圧性が必要な場合に、耐圧性のさらなる向上を図ることができる。本変形例によれば、複数の第1層部81は、反応性イオンエッチングにより絶縁膜212が分断されることで形成されるため、厚い第1層部81が設けられた場合であっても、第1層部81の内部でボイドが生じにくいとともに、第2層部82の第2表面S2に窪みが生じにくい。
【0115】
以上、1つの実施形態およびいくつかの変形例について説明したが、実施形態および変形例は、上記例に限定されない。例えば、第1層部81のZ方向の厚さT1は、第2層部82のZ方向の厚さT2よりも小さくてもよい。
【0116】
上述した実施形態および変形例は、NAND型フラッシュメモリ以外の半導体記憶装置(例えば、NOR型メモリや、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、抵抗変化型メモリ、DRAM(Dynamic Random Access Memory))に適用可能である。また、上述した実施形態および変形例は、半導体記憶装置以外の半導体装置(例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサや各種IC(Integrated Circuit)部品)に適用可能である。本出願において「第1」、「第2」のような序列を示す用語は、適宜付け直されてもよい。
【0117】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、実施形態の半導体記憶装置は、第1配線と、第2配線と、第1絶縁層と、第1絶縁部と、導電部とを有する。前記第1絶縁層は、第1部分と、第2部分と、第3部分とを含む。前記第1部分は、前記第1配線に積層されている。前記第2部分は、前記第2配線に積層されている。前記第3部分は、前記第1部分および前記第2部分に対して前記第1配線および前記第2配線とは反対側に位置する。前記導電部は、前記第1絶縁層の前記3部分および前記第1部分を貫通して前記第1配線に接した第1部分と、前記第1絶縁層の前記第3部分を貫通して前記第1絶縁部に接し、前記導電部の前記第1部分との間に段差を有した第2部分とを含む。このような構成によれば、電気的特性の向上を図ることができる。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0119】
1…半導体記憶装置、BL…ビット線、BL-1…第1ビット線(第1配線)、BL-2…第2ビット線(第2配線)、40…積層体、41…導電層(ゲート電極層)、42…絶縁層(第2絶縁層)、50…メモリピラー(柱状体)、51…メモリ膜、52…チャネル層、53…絶縁コア、72…配線、72-1…配線(第3配線)、80…絶縁層(第1絶縁層)、81…第1層部、81-1…第1層部(第1部分、第1絶縁膜)、81-2…第2層部(第2部分、第2絶縁膜)、82…第2層部(第3部分、第3絶縁膜)、91…第1絶縁部、92…第2絶縁部、101c…第1側端、101d…第2側端、S1…第1表面、S2…第2表面、穴…H、211…金属層、212…絶縁膜、L1…第1仮想線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13