IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-充電予測システム 図1
  • 特開-充電予測システム 図2
  • 特開-充電予測システム 図3
  • 特開-充電予測システム 図4
  • 特開-充電予測システム 図5
  • 特開-充電予測システム 図6
  • 特開-充電予測システム 図7
  • 特開-充電予測システム 図8
  • 特開-充電予測システム 図9
  • 特開-充電予測システム 図10
  • 特開-充電予測システム 図11
  • 特開-充電予測システム 図12
  • 特開-充電予測システム 図13
  • 特開-充電予測システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044101
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】充電予測システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240326BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240326BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240326BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20240326BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240326BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G06Q10/04
G06Q50/10
G16Y40/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149446
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 諭
(72)【発明者】
【氏名】三松 隼太
(72)【発明者】
【氏名】高木 靖
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB08
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181MC04
5H181MC12
5H181MC27
5L049AA04
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】充電スタンドの将来の混雑状況を予測可能とする。
【解決手段】充電予測システムは、駆動源に電力を供給する車載バッテリを有する車両と、特定の走行路の所定の位置に対応付けて設置され、前記車載バッテリの充電が可能な充電スタンドと、制御装置と、を備え、前記制御装置のプロセッサは、前記特定の走行路を走行する複数の前記車両について、前記第1残走行距離ごとの実際の前記充電車両割合のデータを示す実績データを記憶装置に蓄積することと、前記特定の走行路を現在走行中の所定グループの前記車両について、前記記憶装置に蓄積された前記実績データに基づいて、前記充電車両割合の予測値を導出することと、前記充電車両割合の予測値に基づいて、前記充電スタンドでの充電が開始されるまでの待ち時間の予測値を示す予測待ち時間を導出することと、を含む処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源に電力を供給する車載バッテリを有する車両と、
特定の走行路の所定の位置に対応付けて設置され、前記車載バッテリの充電が可能な充電スタンドと、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記充電スタンドで充電したか否かに拘わらず前記充電スタンドを通過した前記車両の総数に対する前記充電スタンドで充電した前記車両の数の割合を示す指標が、充電車両割合であり、
前記車両が前記充電スタンドで充電する直前に前記車載バッテリに蓄えられている電力で走行可能な距離を示す指標が、第1残走行距離であり、
前記プロセッサは、
前記特定の走行路を走行する複数の前記車両について、前記第1残走行距離ごとの実際の前記充電車両割合のデータを示す実績データを記憶装置に蓄積することと、
前記特定の走行路を現在走行中の所定グループの前記車両について、前記記憶装置に蓄積された前記実績データに基づいて、前記充電車両割合の予測値を導出することと、
前記充電車両割合の予測値に基づいて、前記充電スタンドでの充電が開始されるまでの待ち時間の予測値を示す予測待ち時間を導出することと、
を含む処理を実行する、充電予測システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記実績データに基づいて、前記第1残走行距離と前記充電車両割合との関係を示す関数である割合関数を導出すること、
を含む処理を実行し、
前記充電車両割合の予測値を導出する処理では、前記割合関数に基づいて、前記充電車両割合の予測値が導出される、請求項1に記載の充電予測システム。
【請求項3】
前記予測待ち時間を導出する処理において、前記プロセッサは、
前記所定グループのうちの任意の前記車両についての前記充電車両割合の予測値に、予め設定された1台当たりの充電時間を乗算することで、前記予測待ち時間のうちの前記任意の前記車両に関する分を示す個別予測待ち時間を導出することと、
前記個別予測待ち時間を、前記所定グループの全ての前記車両について合計することで、前記予測待ち時間を導出することと、
を含む処理を実行する、請求項1または2に記載の充電予測システム。
【請求項4】
前記特定の走行路には、前記特定の走行路を走行する前記車両が前記特定の走行路から出ることが可能な分岐部が設けられており、
前記プロセッサは、
前記分岐部において前記車両が前記特定の走行路から出たか否かに拘わらず前記分岐部を通過した前記車両の総数に対する前記特定の走行路から出た前記車両の数の割合を示す指標である除外車両割合を導出すること、
を含む処理を実行し、
前記個別予測待ち時間を導出する処理において、前記プロセッサは、
前記所定グループのうちの前記任意の前記車両についての前記充電車両割合の予測値から、前記特定の走行路における前記任意の前記車両と前記充電スタンドとの間の前記分岐部についての前記除外車両割合を減算し、減算後の値に前記1台当たりの充電時間を乗算することで、前記個別予測待ち時間を導出する、請求項3に記載の充電予測システム。
【請求項5】
前記特定の走行路を現在走行中の前記車両が前記充電スタンドに到達するまでの時間の予測値の範囲である予測到達時間帯が複数定義されており、
前記所定グループは、前記予測到達時間帯に応じて設定され、
前記充電車両割合の予測値を導出する処理では、前記予測到達時間帯ごとに前記充電車両割合の予測値が導出され、
前記予測待ち時間を導出する処理では、前記予測到達時間帯ごとに前記予測待ち時間が導出され、
特定の前記車両が前記充電スタンドに到達するまでの時間の予測値が属する前記予測到達時間帯の前記予測待ち時間が、前記特定の前記車両が前記充電スタンドで充電するときの待ち時間の予測値とされる、請求項1または2に記載の充電予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電の混雑状況を予測する充電予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両が充電ステーションで充電する可能性を予測する技術が開示されている。かかる特許文献1では、車両のバッテリ残量が少ないほど、充電可能性が高く予測され、バッテリ残量が多いほど、充電可能性が低く予測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-13893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気自動車などの車両は、充電スタンドで車載バッテリの充電を行うことがある。車両が充電スタンドに到達したとき、充電スタンドが先に使用されている場合には、充電スタンドに後から到達した車両については、自車両の充電が開始できるまで充電待ちが発生する。このような充電待ちがどの程度であるか、すなわち、充電スタンドの混雑状況を、自車両が充電スタンドに到達する前に予測することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、充電スタンドの将来の混雑状況を予測可能な充電予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る充電予測システムは、
駆動源に電力を供給する車載バッテリを有する車両と、
特定の走行路の所定の位置に対応付けて設置され、前記車載バッテリの充電が可能な充電スタンドと、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記充電スタンドで充電したか否かに拘わらず前記充電スタンドを通過した前記車両の総数に対する前記充電スタンドで充電した前記車両の数の割合を示す指標が、充電車両割合であり、
前記車両が前記充電スタンドで充電する直前に前記車載バッテリに蓄えられている電力で走行可能な距離を示す指標が、第1残走行距離であり、
前記プロセッサは、
前記特定の走行路を走行する複数の前記車両について、前記第1残走行距離ごとの実際の前記充電車両割合のデータを示す実績データを記憶装置に蓄積することと、
前記特定の走行路を現在走行中の所定グループの前記車両について、前記記憶装置に蓄積された前記実績データに基づいて、前記充電車両割合の予測値を導出することと、
前記充電車両割合の予測値に基づいて、前記充電スタンドでの充電が開始されるまでの待ち時間の予測値を示す予測待ち時間を導出することと、
を含む処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、充電スタンドの将来の混雑状況を予測可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態にかかる充電予測システムの概要を説明する図である。
図2図2は、充電予測システムを構成する車両、充電スタンドおよびサーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、蓄積された実績データの一例を示す図である。
図4図4は、気温、時間帯および渋滞情報の組み合わせ条件ごとに割合関数が導出されて作成された割合関数マップの一例を示す図である。
図5図5は、予測待ち時間の導出の一具体例を説明する図である。
図6図6は、複数の充電スタンドのうち第1充電スタンドについての予測待ち時間の推移の一例を示す図である。
図7図7は、複数の充電スタンドのうち第2充電スタンドについての予測待ち時間の推移の一例を示す図である。
図8図8は、特定の車両におけるナビゲーション装置の表示画面の一例を示す図である。
図9図9は、実績データを蓄積するフェーズにおける車両総数の更新に関する処理の流れを説明するフローチャートである。
図10図10は、実績データを蓄積するフェーズにおける充電車両数の更新に関する処理の流れを説明するフローチャートである。
図11図11は、実績データを蓄積するフェーズにおける割合関数の更新に関する処理の流れを説明するフローチャートである。
図12図12は、予測待ち時間を導出するフェーズにおけるスタンド制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図13図13は、計算対象抽出処理の流れを説明するフローチャートである。
図14図14は、サーバ制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
図1は、本実施形態にかかる充電予測システム1の概要を説明する図である。充電予測システム1は、車両10、充電スタンド12およびサーバ装置14を備える。車両10は、後述するが、駆動源に電力を供給する車載バッテリを有する電気自動車である。なお、車両10は、ハイブリッド電気自動車であってもよい。
【0011】
充電スタンド12は、後述するが、車両10の車載バッテリの充電が可能な構成となっている。以後、車載バッテリの充電のことを、単に充電という場合がある。
【0012】
充電スタンド12は、例えば、特定の走行路20の所定の位置に対応付けて設置され。図1では、2つの充電スタンド12が示されているが、充電スタンド12の数は、2つに限らず、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0013】
特定の走行路20は、例えば、高速道路や自動車専用道路などである。1または複数の車両10は、特定の走行路20を走行することができる。図1では、特定の走行路20内に2つの車両10が示されているが、特定の走行路20を走行する車両10の数は、2つに限らず、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0014】
特定の走行路20の所定の位置としては、例えば、サービスエリア22がある。充電スタンド12は、サービスエリア22内に設置される。特定の走行路20を走行する車両10は、サービスエリア22に立ち寄ることができ、サービスエリア22内の充電スタンド12で充電することができる。
【0015】
特定の走行路20には、充電スタンド12が対応付けられた位置とは別の位置において、分岐部24および合流部26が設けられる。特定の走行路20を走行する車両10は、分岐部24において、特定の走行路20から出ることができる。特定の走行路20以外を走行する車両10は、合流部26において、特定の走行路20に入ることができる。なお、分岐部24および合流部26は、別々の位置に設けられてもよいし、実質的に同じ位置に設けられてもよい。
【0016】
サーバ装置14は、例えば、クラウドサーバなどであり、複数の充電スタンド12を管理することができる。
【0017】
図2は、充電予測システム1を構成する車両10、充電スタンド12およびサーバ装置14の構成の一例を示すブロック図である。車両10、充電スタンド12およびサーバ装置14は、例えば、インターネットなどの所定の通信ネットワーク30を通じて、互いに通信可能な構成となっている。
【0018】
車両10は、車両通信部40、車載バッテリ42、充電口44およびナビゲーション装置46を備える。車両通信部40は、通信ネットワーク30を通じて充電スタンド12およびサーバ装置14と通信を確立することができる。
【0019】
車載バッテリ42は、例えば、リチウムイオンバッテリなどの充放電が可能な2次電池である。充電口44は、車載バッテリ42と電気的に接続可能となっている。充電口44は、後述する充電スタンド12の充電コネクタが接続可能な構成となっている。
【0020】
ナビゲーション装置46は、GPSを用いて自車両の位置を特定することができる。ナビゲーション装置46は、地図情報、走行ルート、自車両の位置などの各種の情報を表示可能な表示装置を有する。地図情報は、特定の走行路20の情報、充電スタンド12の設置位置の情報を含んでもよい。
【0021】
車両10は、制御装置50を備える。制御装置50は、1つまたは複数のプロセッサ52aと、プロセッサ52aに接続される1つまたは複数のメモリ52bとを備える。メモリ52bは、プログラム等が格納されたROMおよびワークエリアとしてのRAMを含む。プロセッサ52aは、メモリ52bに含まれるプログラムと協働して、車両10全体を制御する。また、プロセッサ52aは、プログラムを実行することで、車両充電制御部54としても機能する。車両充電制御部54は、車載バッテリ42の充電に関する各種の処理を実行する。
【0022】
充電スタンド12は、スタンド通信部60、電力変換装置62、充電コネクタ64、外気温度センサ66および記憶装置68を備える。スタンド通信部60は、通信ネットワーク30を通じてサーバ装置14および車両10と通信を確立することができる。
【0023】
電力変換装置62は、充電コネクタ64と電気的に接続可能となっている。電力変換装置62は、例えば、商用電源の電力を変換して充電コネクタ64に供給する。充電コネクタ64は、車両10の充電口44と接続可能な構成となっている。充電コネクタ64が充電口44に接続されると、充電スタンド12は、充電口44を介して車載バッテリ42に電力を供給して車載バッテリ42を充電することができる。
【0024】
外気温度センサ66は、充電スタンド12の周囲の外気の温度を検出する。以後、外気の温度を、気温という場合がある。
【0025】
記憶装置68は、不揮発性の記憶素子で構成される。なお、不揮発性の記憶素子は、フラッシュメモリなどの電気的に読み書き可能な不揮発性の記憶素子などを含んでもよい。
【0026】
充電スタンド12は、制御装置70を備える。制御装置70は、1つまたは複数のプロセッサ72aと、プロセッサ72aに接続される1つまたは複数のメモリ72bとを備える。メモリ72bは、プログラム等が格納されたROMおよびワークエリアとしてのRAMを含む。プロセッサ72aは、メモリ72bに含まれるプログラムと協働して、スタンド制御部74として機能する。スタンド制御部74は、充電スタンド12全体を制御する。
【0027】
また、スタンド制御部74は、スタンド制御部74が属する充電スタンド12、すなわち、自スタンドについて、将来の充電の混雑状況の予測に関する制御も行う。例えば、スタンド制御部74は、自スタンドでの充電が開始されるまでの待ち時間の予測値を示す予測待ち時間を導出する。スタンド制御部74については、後に詳述する。
【0028】
サーバ装置14は、サーバ通信部80および記憶装置82を備える。サーバ通信部80は、通信ネットワーク30を通じて充電スタンドおよび車両と通信を確立することができる。
【0029】
記憶装置82は、不揮発性の記憶素子で構成される。なお、不揮発性の記憶素子は、フラッシュメモリなどの電気的に読み書き可能な不揮発性の記憶素子などを含んでもよい。
【0030】
サーバ装置14は、制御装置90を備える。制御装置90は、1つまたは複数のプロセッサ92aと、プロセッサ92aに接続される1つまたは複数のメモリ92bとを備える。メモリ92bは、プログラム等が格納されたROMおよびワークエリアとしてのRAMを含む。プロセッサ92aは、メモリ92bに含まれるプログラムと協働して、サーバ制御部94として機能する。サーバ制御部94は、サーバ装置14全体を制御する。
【0031】
また、サーバ制御部94は、各々の充電スタンド12で導出された予測待ち時間などの各種の情報を収集することができる。サーバ制御部94は、収集した予測待ち時間などの各種の情報に基づいて、特定の車両10が各々の充電スタンド12で充電すると仮定した場合の充電スタンド12ごとの予測待ち時間を導出することができる。
【0032】
ここで、充電予測システム1では、充電車両割合という指標、および、第1残走行距離という指標を定義する。
【0033】
充電車両割合は、対象となる充電スタンド12で充電したか否かに拘わらず、充電スタンド12を通過した車両10の総数に対する当該充電スタンド12で充電した車両10の割合を示す。ここで、充電スタンド12を通過したとは、特定の走行路20における充電スタンド12が対応付けられた所定の位置を通過したことを意味し、車両10が充電スタンド12に近づいたのちに遠ざかることを示し、車両10が実際に充電スタンド12の近傍を通ることを要さない。充電車両割合は、充電スタンド12ごとに導出される。
【0034】
詳細には、スタンド制御部74は、自スタンドを車両10が通過するごとに、通過した車両10の総数である車両総数を更新する。スタンド制御部74は、特定の走行路20を走行する車両10のそれぞれと通信を行い、車両10のそれぞれから車両10の現在位置を取得することができる。スタンド制御部74は、例えば、車両10の位置が、自スタンドが設置されているサービスエリア22の出口と特定の走行路20の本線との合流部より先に移動した場合、自スタンドを車両10が通過したと判定することができる。
【0035】
また、スタンド制御部74は、自スタンドの充電コネクタ64が車両10に接続されて充電が実行された場合、充電が実行された車両10の数である充電車両数を更新する。スタンド制御部74は、充電車両数を車両総数で除算して百分率で表すことで、充電車両割合を導出することができる。
【0036】
第1残走行距離は、車両10が充電スタンド12で充電する直前に車載バッテリ42に蓄えられている電力で走行可能な距離を示す。換言すると、第1残走行距離は、車両10が充電スタンド12で充電しなかったと仮定した場合、車両10が当該充電スタンド12の位置または当該充電スタンド12の周囲の位置から先にどの程度の距離だけ走行可能であるかを示す。
【0037】
スタンド制御部74は、自スタンドの充電コネクタ64が車両10に接続されたときに、当該車両10から当該車両10の第1残走行距離を取得する。車両10は、例えば、充電コネクタ64が接続されたときのSOC(State Of Charge)に基づいて、当該タイミングでの第1残走行距離を特定することができる。なお、SOCは、車載バッテリ42の満充電容量に対する現在の充電容量を百分率で表した充電率を示す。また、スタンド制御部74は、車両10が充電スタンド12を通過したとき、通信により車両10から第1残走行距離を取得することができる。
【0038】
スタンド制御部74は、特定の走行路20を走行する複数の車両10について、充電スタンド12において充電したか否かに拘わらず、逐次、第1残走行距離ごとの実際の充電車両割合のデータを示す実績データを記憶装置68に蓄積する。
【0039】
図3は、蓄積された実績データの一例を示す図である。図3中の黒丸は、第1残走行距離ごとの実際の充電車両割合のデータを示す。例えば、任意の第1残走行距離に対応する充電車両割合は、任意の第1残走行距離の条件の下での充電車両数を、当該任意の第1残走行距離の条件の下での車両総数で除算して百分率で表すことで導出することができる。任意の第1残走行距離の条件の下での充電車両数は、充電した車両10の数のうち当該任意の第1残走行距離のときに充電した車両10の数を意味する。任意の第1残走行距離の条件の下での車両総数は、充電スタンド12を通過した車両10の車両総数のうち充電スタンド12を通過したときの第1残走行距離が当該任意の第1残走行距離であるときの車両10の車両総数を意味する。なお、車両総数および充電車両数などの取り扱いの便宜のため、第1残走行距離は、互いに近似する値を代表値に纏めるなど、数値が適宜アレンジされてもよい。
【0040】
第1残走行距離と充電車両割合との関係を示す関数を、割合関数という場合がある。割合関数は、例えば、一次関数「y=ax+b」で表される。実線A10は、複数の充電スタンド12のうち第1充電スタンドについての割合関数を表す。スタンド制御部74は、第1充電スタンドについての複数の実績データを最小二乗法により近似することで、実線A10で示す割合関数を導出することができる。実線A12は、複数の充電スタンド12のうち第2充電スタンドについての割合関数を表す。スタンド制御部74は、第2充電スタンドについての複数の実績データを最小二乗法により近似することで、実線A12で示す割合関数を導出することができる。
【0041】
ここで、個々の実績データには、当該実績データを取得したときの充電スタンド12の周囲の気温、当該実績データを取得したときの時間帯、当該実績データを取得したときの渋滞情報が関連付けられている。ここでの渋滞情報は、特定の走行路20における当該実績データに対応する充電スタンド12から先の任意の位置での渋滞の有無および渋滞の程度を含む。
【0042】
上述のように個々の実績データに気温、時間帯および渋滞情報が関連付けられているため、これら気温、時間帯および渋滞情報の組み合わせ条件ごとに、割合関数を詳細に区分して導出することができる。
【0043】
図4は、気温、時間帯および渋滞情報の組み合わせ条件ごとに割合関数が導出されて作成された割合関数マップの一例を示す図である。図4は、1つの充電スタンド12についての割合関数マップを示す。割合関数マップは、充電スタンド12ごとに作成される。割合関数マップは、充電スタンド12の記憶装置68に記憶される。
【0044】
図4中の「y=a1x+b1」、「y=a2x+b2」、「y=a3x+b3」、「y=a4x+b4」、「y=a5x+b5」は、気温、時間帯および渋滞情報の組み合わせ条件ごとの割合関数の一例である。
【0045】
スタンド制御部74は、特定の走行路20を現在走行中の所定グループの車両10について、記憶装置68に蓄積された実績データに基づいて、充電車両割合の予測値を導出する。より詳細には、スタンド制御部74は、当該所定グループの車両10について、記憶装置68に記憶された割合関数マップ、すなわち、割合関数マップの特定の割合関数に基づいて、充電車両割合の予測値を導出する。
【0046】
所定グループは、特定の走行路20における充電スタンド12によりも手前に位置する車両10、換言すると、充電スタンド12を通り過ぎていない車両10を前提とする。ここで、特定の走行路20を現在走行中の車両10が充電スタンド12に到達するまでの時間の予測値の範囲を、予測到達時間帯という場合がある。充電予測システム1では、複数の予測到達時間帯が定義されている。例えば、予測到達時間帯は、0分以上30分未満の予測到達時間帯、30分以上60分未満の予測到達時間帯、60分以上90分未満の予測到達時間帯、90分以上120分未満の予測到達時間帯などのように複数に区切られている。
【0047】
所定グループは、予測到達時間帯に応じて設定される。例えば、所定グループは、充電スタンド12までの予測到達時間帯が、0分以上30分未満の時間帯に属する車両10のグループ、30分以上60分未満の時間帯に属する車両10のグループなどのように設定される。なお、予測到達時間帯は、30分の時間長に設定される態様に限らず、任意の時間長に設定されてもよい。
【0048】
スタンド制御部74は、導出された充電車両割合の予測値に基づいて、充電スタンド12での充電が開始されるまでの待ち時間の予測値を示す予測待ち時間を導出する。より詳細には、スタンド制御部74は、以下の式(1)に従って予測待ち時間を導出する。
【数1】
【0049】
上記式(1)において、「Tw」は、予測待ち時間を示す。「ax+b」は、任意の割合関数を用いて導出される充電車両割合の予測値に対応する。「Tc」は、充電スタンド12における1台当たりの充電時間、すなわち、1台の車両10の充電の継続時間の代表値を示す。「Tc」は、予め設定される。「Tc」は、例えば、30分などに設定されるが、例示した時間に限らず、任意の時間に設定されてもよい。「n」は、所定グループ内の車両10の総数を示す。
【0050】
上記式(1)の「c」は、分岐部24における除外車両割合を示す。除外車両割合は、分岐部24において車両10が特定の走行路20から出たか否かに拘わらず、分岐部24を通過した車両10の総数に対する、分岐部24を通じて特定の走行路20から出た車両10の数の割合を示す指標である。除外車両割合については、例えば、スタンド制御部74が導出してもよいし、サーバ制御部94が導出して導出結果をスタンド制御部74に送信するようにしてもよい。
【0051】
例えば、スタンド制御部74は、分岐部24を車両10が通過するごとに、通過した車両10の総数を更新する。ここで、分岐部24を通過したとは、特定の走行路20における分岐部24が対応付けられた位置を通過したことを意味する。例えば、スタンド制御部74は、分岐部24が対応付けられた位置の直前の位置を車両10が通り過ぎたことによって分岐部24を通過したと判断してもよい。また、車両10が分岐部24における出口のゲートを通過した場合、当該出口のゲートは、特定の走行路20から車両10が出た旨を、通信ネットワーク30を通じて充電スタンド12に送信する。スタンド制御部74は、それを受信すると、特定の走行路20から出た車両10の数を更新する。スタンド制御部74は、特定の走行路20から出た車両10の数を、分岐部24を通過した車両10の総数で除算して百分率で表して、除外車両割合を導出することができる。
【0052】
上記式(1)で示すように、スタンド制御部74は、所定グループのうちの任意の車両10についての充電車両割合の予測値「ax+b」から、特定の走行路20における任意の車両10と充電スタンド12との間の分岐部24についての除外車両割合「c」を減算する。スタンド制御部74は、当該減算後の値に1台当たりの充電時間「Tc」を乗算する。これにより、スタンド制御部74は、予測待ち時間のうちの任意の車両10に関する分を示す個別予測待ち時間「((ax+b)-c)×Tc」を導出することができる。
【0053】
なお、特定の走行路20における任意の車両10と充電スタンド12との間に分岐部24が複数ある場合、スタンド制御部74は、充電車両割合の予測値「ax+b」から、複数の分岐部24のそれぞれの除外車両割合を減算する。
【0054】
また、特定の走行路20における任意の車両10と充電スタンド12との間に分岐部24が無い場合、スタンド制御部74は、除外車両割合の減算を省略してもよい。
【0055】
上記式(1)で示すように、スタンド制御部74は、個別予測待ち時間「((ax+b)-c)×Tc」を、所定グループの全ての車両10「n」について合計することで、予測待ち時間「Tw」を導出する。
【0056】
上記式(1)の充電車両割合の予測値「ax+b」は、所定グループごと、すなわち、予測到達時間帯ごとに導出される。そうすることで、予測待ち時間「Tw」は、所定グループごと、すなわち、予測到達時間帯ごとに導出されることになる。
【0057】
また、車両10が合流部26における入口のゲートを通過して特定の走行路に入った場合、当該入口のゲートは、特定の走行路20に車両10が入った旨を、通信ネットワーク30を通じて充電スタンド12に送信する。スタンド制御部74は、それを受信することで、特定の走行路20の車両10が増えたことを認識することができる。スタンド制御部74は、合流部26を通じて特定の走行路20に新たに入った車両10が所定グループに属する場合、当該車両10も予測待ち時間の計算対象に含めて予測待ち時間の導出を行う。
【0058】
図5は、予測待ち時間「Tw」の導出の一具体例を説明する図である。図5では、特定の走行路20を走行中の車両10のうち、第1車両10aおよび第2車両10bに着目する。また、図5では、複数の充電スタンドのうち第1充電スタンド12aに着目する。
【0059】
図5の例において、第1車両10aは、第1充電スタンド12aまでの予測到達時間が40分であり、第2車両10bは、第1充電スタンド12aまでの予測到達時間が45分であるとする。また、図5の例では、予測到達時間が30分以上60分未満の車両10を所定グループの車両10とする。図5の破線の四角で示すように、所定グループに属する車両10が、第1車両10aおよび第2車両10bの2つであるとする。
【0060】
ここで、充電予測システム1では、第2残走行距離を定義する。第2残走行距離は、特定の走行路20を現在走行中の車両10が、車載バッテリ42に現在蓄えられている電力で走行可能な距離を示す指標である。車両10は、現在のSOCに基づいて第2残走行距離を特定することができる。
【0061】
図5の例では、第1車両10aの第2残走行距離が100kmであり、特定の走行路20における第1車両10aと第1充電スタンド12aとの間の距離が50kmであるとする。この場合、第1車両10aが第1充電スタンド12aに到達したと仮定した場合における第1車両10aの第1残走行距離の予測値は、50km(100km-50km=50km)となる。
【0062】
また、図5の例では、第2車両10bの第2残走行距離が255kmであり、特定の走行路20における第2車両10bと第1充電スタンド12aとの間の距離が55kmであるとする。この場合、第2車両10bが第1充電スタンド12aに到達したと仮定した場合における第2車両10bの第1残走行距離の予測値は、200km(255km-55km=200km)となる。
【0063】
また、図5の例では、第1車両10aと第1充電スタンド12aとの間、および、第2車両10bと第1充電スタンド12aとの間には、1つの分岐部24があるとする。この分岐部24における除外車両割合が5%であるとする。
【0064】
これらの条件において、第1充電スタンド12aのスタンド制御部74は、上記式(1)に従って、第1充電スタンド12aにおける予測待ち時間を導出する。
【0065】
例えば、スタンド制御部74は、現在時刻、現在の気温および現在の渋滞情報に基づいて、記憶装置68に記憶されている割合関数マップの中から割合関数を特定する。スタンド制御部74は、特定した割合関数と、第1車両10aの第1残走行距離「50km」とから、第1車両10aの充電車両割合の予測値「40%」を導出する。スタンド制御部74は、特定した割合関数と、第2車両10bの第1残走行距離「200km」とから、第2車両10bの充電車両割合の予測値「20%」を導出する。
【0066】
スタンド制御部74は、第1車両10aの充電車両割合の予測値「40%」から、分岐部24の除外車両割合「5%」を減算し、減算後の値に、1台当たりの充電時間「30分」を乗算して、第1車両10aの個別予測待ち時間「10.5分」を導出する。
【0067】
スタンド制御部74は、第2車両10bの充電車両割合の予測値「20%」から、分岐部24の除外車両割合「5%」を減算し、減算後の値に、1台当たりの充電時間「30分」を乗算して、第2車両10bの個別予測待ち時間「4.5分」を導出する。
【0068】
所定グループに属する車両10が第1車両10aおよび第2車両10bであるため、スタンド制御部74は、第1車両10aの個別予測待ち時間「10.5分」と第2車両10bの個別予測待ち時間「4.5分」を合計して、予測待ち時間「15分」を導出する。
【0069】
なお、上記式(1)では、個別予測待ち時間を所定グループの車両10の数で合計することで予測待ち時間が導出されていた。しかし、予測待ち時間を導出するために、一旦、個別予測待ち時間を導出するする態様に限らない。例えば、充電車両割合から除外車両割合を減算した減算結果である割合を、所定グループの車両10の全てについて合計して、割合の合計を導出した後に、当該割合の合計に、1台当たりの充電時間を乗算することで予測待ち時間が導出されてもよい。なお、この態様においても、除外車両割合の減算が省略されてもよい。
【0070】
図5では、予測到達時間が30分以上60分未満の車両10のグループについて説明したが、このグループと同様にして、他のグループについての予測待ち時間の導出も行われる。また、複数の充電スタンド12のうち第1充電スタンド12aについて説明したが、第1充電スタンド12aと同様にして、複数の充電スタンド12のそれぞれにおいても予測待ち時間の導出が行われる。それぞれの充電スタンド12で導出された予測待ち時間は、充電スタンド12を識別する情報と関連付けて、サーバ装置14に送信される。
【0071】
図6は、複数の充電スタンド12のうち第1充電スタンドについての予測待ち時間の推移の一例を示す図である。図6の例において、第1充電スタンドまでの予測到達時間が0分以上30分未満の予測到達時間帯における予測待ち時間は30分である。第1充電スタンドまでの予測到達時間が30分以上60分未満の予測到達時間帯における予測待ち時間は60分である。第1充電スタンドまでの予測到達時間が60分以上90分未満の予測時間帯における予測待ち時間は70分である。第1充電スタンドまでの予測到達時間が90分以上120分未満の予測到達時間帯における予測待ち時間は40分である。
【0072】
ここで、充電スタンド12の混雑状況、すなわち、充電スタンド12の予測待ち時間の提示先の車両を、特定の車両とする。サーバ制御部94は、特定の車両10が充電スタンド12に到達するまでの到達時間の予測値を導出する。
【0073】
図6の例では、特定の車両10が第1充電スタンドに到達するまでの予測到達時間が「50分」であるとし、この予測到達時間は、30分以上60分未満の予測到達時間帯に属する。この場合、30分以上60分未満の予測到達時間帯の予測待ち時間「60分」が、特定の車両10が第1充電スタンドで充電するときの待ち時間の予測値とされる。
【0074】
図7は、複数の充電スタンド12のうち第2充電スタンドについての予測待ち時間の推移の一例を示す図である。図7の例において、第2充電スタンドまでの予測到達時間が0分以上30分未満の予測到達時間帯における予測待ち時間は20分である。第2充電スタンドまでの予測到達時間が30分以上60分未満の予測到達時間帯における予測待ち時間は40分である。第2充電スタンドまでの予測到達時間が60分以上90分未満の予測時間帯における予測待ち時間は50分である。第2充電スタンドまでの予測到達時間が90分以上120分未満の予測到達時間帯における予測待ち時間は30分である。
【0075】
図7の例では、特定の車両10が第2充電スタンドに到達するまでの予測到達時間が「70分」であるとし、この予測到達時間は、60分以上90分未満の予測到達時間帯に属する。この場合、60分以上90分未満の予測到達時間帯の予測待ち時間「50分」が、特定の車両10が第2充電スタンドで充電するときの待ち時間の予測値とされる。
【0076】
図8は、特定の車両10におけるナビゲーション装置46の表示画面100の一例を示す図である。サーバ制御部94は、特定の車両10についての充電スタンド12ごとの待ち時間の予測値の導出結果に基づいて、特定の車両10のナビゲーション装置46に表示させる表示情報を生成して、特定の車両10に送信する。特定の車両10の車両充電制御部54は、表示情報を受信すると、受信した表示情報に基づいた表示画面100をナビゲーション装置46の表示装置に表示させる。
【0077】
図8の例の表示画面100では、特定の走行路を通るルートが表示されるとともに、例えば、第1充電スタンドに係る表示110、および、第2充電スタンドに係る表示112が表示される。そして、第1充電スタンドに係る表示110では、特定の車両10が第1充電スタンドで充電するときの予測待ち時間「60分」の情報が表示される。第2充電スタンドに係る表示112では、特定の車両10が第2充電スタンドで充電するときの予測待ち時間「50分」の情報が表示される。
【0078】
このように、特定の車両10がそれぞれの充電スタンド12で充電するときの待ち時間が表示されるため、特定の車両10の搭乗者は、どこの充電スタンド12で充電するのがよいかを、容易に判断することができる。特定の車両10の搭乗者は、表示画面100を見ることで、例えば、第1充電スタンドでの予測待ち時間よりも第2充電スタンドでの予測待ち時間の方が短いこと等を把握することができる。それにより、例えば、特定の車両10の搭乗者は、第1充電スタンドを意図的に通過して第2充電スタンドで充電を行うようにする、というように充電の予定をフレキシブルに調整することができる。
【0079】
図9は、実績データを蓄積するフェーズにおける車両総数の更新に関する処理の流れを説明するフローチャートである。車両10は、特定の走行路20に入ると、自車両の位置および自車両の識別情報をサーバ装置14に送信する。サーバ制御部94は、特定の走行路20に入った車両10の位置および識別情報を、充電スタンド12それぞれに送信する。充電スタンド12は、それらの情報を受信すると、図9の一連の処理を開始する。
【0080】
スタンド制御部74は、特定の走行路20に入った車両10の位置が自スタンドの手前にあるかを判定する(S10)。当該車両10の位置が自スタンドより先、すなわち、自スタンドから遠ざかる位置にある場合(S10におけるNO)、スタンド制御部74は、一連の処理を終了する。
【0081】
特定の走行路20に入った車両10の位置が自スタンドの手前、すなわち、自スタンドに近づく位置にある場合(S10におけるYES)、スタンド制御部74は、当該車両10との通信を確立する(S11)。以後、スタンド制御部74は、通信を終了するまで当該車両10との通信の確立を維持する。
【0082】
次に、スタンド制御部74は、自スタンドが属するサービスエリア22の出口と本線との合流位置を、車両10が通過したかを判定する(S12)。合流位置を車両10が通過した場合(S12におけるYES)、スタンド制御部74は、現在時刻が属する現在の時間帯を特定する(S13)。スタンド制御部74は、外気温度センサ66により検出された現在の気温を取得する(S14)。スタンド制御部74は、道路交通情報を管理する所定のサーバから通信ネットワーク30を通じて現在の渋滞情報を取得する(S15)。
【0083】
スタンド制御部74は、合流位置を通過した車両10から、当該車両10の第1残走行距離を取得する(S16)。スタンド制御部74は、取得した現在の時間帯、現在の気温、現在の渋滞情報および第1残走行距離の条件に対応する車両総数を1つカウントアップする(S17)。スタンド制御部74は、カウントアップ後の車両総数を記憶装置68に記憶させることで、当該車両総数を更新する(S14)そして、スタンド制御部74は、当該車両10との通信を終了して(S15)、一連の処理を終了する。
【0084】
合流位置を車両10が通過していない場合(S12におけるNO)、スタンド制御部74は、車両10の現在の位置情報に基づいて、車両10が特定の走行路20から出たかを判定する(S20)。当該車両10が特定の走行路20から出ていないと判定した場合(S20におけるNO)、スタンド制御部74は、合流位置を車両10が通過したかの判定を繰り返し行う(S12)。当該車両10が特定の走行路20から出たと判定した場合(S20におけるYES)、スタンド制御部74は、当該車両10との通信を終了して(S19)、一連の処理を終了する。
【0085】
図10は、実績データを蓄積するフェーズにおける充電車両数の更新に関する処理の流れを説明するフローチャートである。
【0086】
充電スタンド12の充電コネクタ64が車両10の充電口44に接続された場合(S30におけるYES)、スタンド制御部74は、ステップS31以降の処理を実行する。充電コネクタ64が充電口44に接続されていない場合(S30におけるNO)、スタンド制御部74は、充電コネクタ64が充電口44に接続されるまで待機する。
【0087】
充電コネクタ64が充電口44に接続されると、スタンド制御部74は、現在時刻が属する現在の時間帯を特定する(S31)。スタンド制御部74は、外気温度センサ66により検出された現在の気温を取得する(S32)。スタンド制御部74は、道路交通情報を管理する所定のサーバから通信ネットワーク30を通じて現在の渋滞情報を取得する(S33)。
【0088】
スタンド制御部74は、充電コネクタ64を介して接続された車両10から、当該車両10の第1残走行距離を取得する(S34)。その後、スタンド制御部74は、電力変換装置62を制御して充電コネクタ64を通じて車両10に電力を供給することで、充電を実行する(S35)。
【0089】
次に、スタンド制御部74は、現在の時間帯、現在の気温、現在の渋滞情報および第1残走行距離の条件に対応する充電車両数を1つカウントアップする(S36)。スタンド制御部74は、カウントアップ後の充電車両数を記憶装置68に記憶させることで、当該条件に対応する充電車両数を更新し(S37)、一連の処理を終了する。
【0090】
図11は、実績データを蓄積するフェーズにおける割合関数の更新に関する処理の流れを説明するフローチャートである。スタンド制御部74は、所定の時間が経過するごとに訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図11で示す一連の処理を繰り返し実行する。
【0091】
所定の割込みタイミングが到来すると、スタンド制御部74は、環境に関する条件である時間帯、気温および渋滞情報の組み合わせの条件を決定する(S40)。スタンド制御部74は、第1残走行距離の条件を決定する(S41)。例えば、第1残走行距離は、後述する繰り返しが発生するごとに、小さい値から大きい値に所定値間隔で順次切り替えられて決定される。
【0092】
スタンド制御部74は、決定された環境に関する条件および第1残走行距離の条件に対応する車両総数を読み出す(S42)。スタンド制御部74は、決定された環境に関する条件および第1残走行距離の条件に対応する充電車両数を読み出す(S43)。スタンド制御部74は、読み出した充電車両数を、読み出した車両総数で除算して百分率で表すことで、決定した時間帯、気温、渋滞情報および第1残走行距離に対応する充電車両割合を導出する(S44)。
【0093】
スタンド制御部74は、ステップS40で既に決定された第1残走行距離の条件とは別の条件の車両10があるかを判定する(S45)。別の条件の車両10がある場合(S45におけるYES)、スタンド制御部74は、まだ決定されていない第1残走行距離の条件を決定し(S41)、ステップS42以降の処理を繰り返し行う。
【0094】
別の条件の車両10がない場合(S45におけるNO)、スタンド制御部74は、決定した時間帯、気温および渋滞情報の条件の下、第1残走行距離の条件ごとに導出された充電車両割合に基づいて、決定した時間帯、気温および渋滞情報に対応する割合関数を導出する(S46)。スタンド制御部74は、導出した割合関数を記憶装置68に記憶させ(S47)、一連の処理を終了する。これにより、決定した時間帯、気温および渋滞情報に対応する割合関数が更新され、結果的に、割合関数マップが更新される。
【0095】
なお、スタンド制御部74は、ステップS40において、時間帯、気温および渋滞情報の組み合わせ条件を変えて、ステップS41以降の処理を繰り返し行ってもよい。そうすることで、割合関数マップを、より適切に更新することができる。
【0096】
図12は、予測待ち時間を導出するフェーズにおけるスタンド制御部74の動作の流れを説明するフローチャートである。スタンド制御部74は、所定の時間が経過するごとに訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図12で示す一連の処理を繰り返し実行する。
【0097】
所定の割込みタイミングが到来すると、スタンド制御部74は、まず、予測待ち時間の計算対象の車両を抽出する計算対象抽出処理(S50)を実行する。
【0098】
図13は、計算対象抽出処理(S50)の流れを説明するフローチャートである。計算対象抽出処理(S50)が開始されると、スタンド制御部74は、特定の走行路20を走行中の任意の車両10を決定する(S51)。
【0099】
スタンド制御部74は、決定した車両10から、当該車両10の現在位置を取得する(S52)。スタンド制御部74は、決定した車両10から、当該車両10の第2残走行距離を取得する(S53)。スタンド制御部74は、取得した車両10の現在位置と自スタンドの位置とに基づいて、特定の走行路20における、決定した車両10と自スタンドとの間の距離を導出する(S54)。スタンド制御部74は、取得した車両10の第2残走行距離と、導出した距離とから、決定した車両10の第1残走行距離の予測値を導出する(S55)。
【0100】
次に、スタンド制御部74は、第1残走行距離の予測値が0より大きいかを判定する(S56)。第1残走行距離の予測値が0より大きいと判定された場合(S56におけるYES)、スタンド制御部74は、決定した車両10を、計算対象の車両10とする(S57)。そして、スタンド制御部74は、計算対象とされた車両10と自スタンドとの間の距離に基づいて、当該車両10が自スタンドに到達するまでの予測到達時間を導出し(S58)、ステップS60の処理に進む。
【0101】
第1残走行距離の予測値が0以下と判定された場合(S56におけるNO)、スタンド制御部74は、決定した車両10を、計算対象から除外し(S59)、ステップS60の処理に進む。
【0102】
ステップS60において、スタンド制御部74は、特定の走行路20を走行中の残りの車両10があるかを判定する(S60)。残りの車両10があると判定された場合(S60におけるYES)、スタンド制御部74は、残りの車両10のうち任意の車両10を決定し(S51)、ステップS52以降を繰り返し行う。残りの車両10がないと判定された場合(S60におけるNO)、スタンド制御部74は、計算対象抽出処理(S50)を終了する。
【0103】
図12に戻って、計算対象抽出処理(S50)の後、スタンド制御部74は、現在時刻から現在の時間帯を特定する(S70)。スタンド制御部74は、外気温度センサ66により検出された現在の気温を取得する(S71)。スタンド制御部74は、道路交通情報を管理する所定のサーバから通信ネットワーク30を通じて現在の渋滞情報を取得する(S72)。
【0104】
スタンド制御部74は、現在の時間帯、現在の気温、現在の状態情報および記憶装置68に記憶されている割合関数マップに基づいて、利用する割合関数を特定する(S73)。
【0105】
次に、スタンド制御部74は、複数の予測到達時間帯のうち任意の予測到達時間帯を決定する(S74)。スタンド制御部74は、決定した予測到達時間帯に属する全ての車両10を所定グループの車両10に決定する(S75)。スタンド制御部74は、所定グループの車両10の第1残走行距離を車両10ごとに導出し、その第1残走行距離と、特定した割合関数に基づいて、所定グループの車両10の充電車両割合の予測値を車両10ごとに導出する(S76)。
【0106】
次に、スタンド制御部74は、導出した車両10ごとの充電車両割合の予測値に基づいて、車両10ごとに個別予測待ち時間を導出する(S78)。スタンド制御部74は、導出した車両10ごとの個別予測待ち時間を、決定した予測到達時間帯の全ての車両10について合計することで、予測待ち時間を導出する(S78)。スタンド制御部74は、導出した予測待ち時間を、予測到達時間帯および自スタンドを識別する情報と関連付けて記憶装置68に記憶させる(S79)。
【0107】
次に、スタンド制御部74は、残りの予測到達時間帯があるかを判定する(S80)。残りの予測到達時間帯があると判定された場合(S80におけるYES)、スタンド制御部74は、残りの予測到達時間帯のうち任意の予測到達時間帯を決定し(S74)、ステップS75以降の処理を繰り返す。これにより、予測到達時間帯ごとに予測待ち時間が導出されることになる。
【0108】
残りの予測到達時間帯がないと判定した場合(S80におけるNO)、スタンド制御部74は、予測待ち時間の導出結果を、通信ネットワーク30を通じてサーバ装置14に送信し(S81)、一連の処理を終了する。サーバ装置14のサーバ制御部94は、予測待ち時間の導出結果を受信すると、受信した予測待ち時間の導出結果を記憶装置82に記憶させる。
【0109】
図14は、サーバ制御部94の動作の流れを説明するフローチャートである。サーバ制御部94は、所定の時間が経過するごとに訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに、図14で示す一連の処理を繰り返し実行する。
【0110】
所定の割込みタイミングが到来すると、サーバ制御部94は、予測待ち時間の結果の提示先の車両10を決定し、特定の車両10とする(S70)。サーバ制御部94は、特定の車両10について、充電スタンド12に到達するまでの予測到達時間を充電スタンド12ごとに導出する(S91)。サーバ制御部94は、導出した予測到達時間が属する予測到達時間帯を充電スタンド12ごとに特定する(S92)。
【0111】
サーバ制御部94は、特定された予測到達時間帯と充電スタンド12との組み合わせに対応する予測待ち時間を、充電スタンド12ごとに記憶装置82から読み出す(S93)。
【0112】
サーバ制御部94は、読み出した予測待ち時間と充電スタンド12との組み合わせに基づいて、表示画面100に表示させる表示情報を生成する(S94)。サーバ制御部94は、生成した表示情報を、特定の車両10に送信し(S95)、一連の処理を終了する。
【0113】
なお、サーバ制御部94は、予測待ち時間の結果を提示すべき車両10が複数ある場合には、特定の車両10を変更して(S90)、ステップS91以降を、特定の車両10の数分だけ実行してもよい。
【0114】
以上のように、本実施形態の充電予測システム1では、特定の走行路20を走行する複数の車両10について、第1残走行距離ごとの実際の充電車両割合のデータを示す実績データが記憶装置68に蓄積される。本実施形態の充電予測システム1では、特定の走行路20を現在走行中の所定グループの車両10について、記憶装置68に蓄積された実績データに基づいて、充電車両割合の予測値が導出される。本実施形態の充電予測システム1では、充電車両割合の予測値に基づいて、充電スタンド12での充電が開始されるまでの待ち時間の予測値を示す予測待ち時間が導出される。
【0115】
本実施形態における予測待ち時間は、充電スタンドにおける将来の混雑状況を示す指標であるため、本実施形態の充電予測システム1によれば、充電スタンド12の将来の混雑状況を予測可能となる。
【0116】
また、本実施形態の充電予測システム1では、第1残走行距離および充電車両割合という指標を用いることで、予測待ち時間の導出精度を向上させることが可能となる。
【0117】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0118】
1 充電予測システム
10 車両
12 充電スタンド
20 特定の走行路
24 分岐部
42 車載バッテリ
68 記憶装置
70 制御装置
72a プロセッサ
72b メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14