(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044110
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】太陽電池システム及び太陽電池システムの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02S 20/23 20140101AFI20240326BHJP
H02S 40/40 20140101ALI20240326BHJP
【FI】
H02S20/23 Z
H02S40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149455
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】508202245
【氏名又は名称】有限会社東洋メカジェニック工業
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】国府田 文雄
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA11
5F151DA15
5F151GA05
5F151JA13
5F251AA11
5F251DA15
5F251GA05
5F251JA13
(57)【要約】
【課題】エネルギー効率化を図ることが可能な太陽電池システムを提供する。
【解決手段】太陽電池システム100は、断面が略矩形のダクト110と、ダクト110の上面に対して傾斜した状態で設けられ、ダクト110の側面から張り出すように設けられるフィルム型太陽電池120と、ダクト110に固着され、フィルム型太陽電池120を支持する支持部材130と、を備える。支持部材130は、ダクト110の側面とフィルム型太陽電池120の裏面とにそれぞれ面接触して固着され、フィルム型太陽電池120を下方から支持する第1支持部材132と、ダクト110の上面とフィルム型太陽電池120の裏面とにそれぞれ面接触して固着され、フィルム型太陽電池120を下方から支持する第2支持部材134とからなる。フィルム型太陽電池120の設置領域を増やすことができ、エネルギー効率化を図ることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が略矩形のダクトと、
前記ダクトの上面に対して傾斜した状態で設けられ、前記ダクトの側面から張り出すように設けられる太陽電池と、
前記ダクトに固着され、前記太陽電池を支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、前記ダクトの側面と前記太陽電池の裏面とにそれぞれ面接触して固着され、前記太陽電池を下方から支持する第1支持部材からなることを特徴とする、太陽電池システム。
【請求項2】
前記支持部材は、さらに、前記ダクトの上面と前記太陽電池の裏面とにそれぞれ面接触して固着され、前記太陽電池を下方から支持する第2支持部材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池システム。
【請求項3】
前記第1支持部材が前記太陽電池を支持する面と、前記第2支持部材が前記太陽電池を支持する面とが、異なる傾斜角度の面であることを特徴とする、請求項2に記載の太陽電池システム。
【請求項4】
前記ダクトは地面から離間して設置されており、
前記支持部材は、略三角柱の形状であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池システム。
【請求項5】
前記支持部材は、発砲ゴム断熱材によって構成されることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池システム。
【請求項6】
前記支持部材は前記ダクトに固着された状態で外周をアルミフィルムで覆われ、前記太陽電池は前記アルミフィルムに固着されて前記支持部材に支持されることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池システム。
【請求項7】
前記ダクトは、断熱材で覆われており、前記断熱材と前記支持部材が同じ素材からなることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池システム。
【請求項8】
断面が略矩形のダクトの上面に対して傾斜した状態で設けられ、前記ダクトの側面から張り出すように設けられる太陽電池の傾斜角度を求める第1工程と、
前記ダクトの側面に固着される前記太陽電池の支持部材を、前記第1工程で求めた傾斜角度でプレカットする第2工程と、
前記第2工程でプレカットされた支持部材を、前記ダクトの側面に面接触するよう固着する第3工程と、
を含むことを特徴とする、太陽電池システムの製造方法。
【請求項9】
前記第1工程において、さらに、前記ダクトの上面に設けられる太陽電池の傾斜角度を求める工程を含み、
前記第2工程において、さらに、前記ダクトの上面に固着される前記太陽電池の支持部材を、前記第1工程で求めた傾斜角度でプレカットする工程を含み、
前記第3工程において、さらに、前記第2工程でプレカットされた支持部材を、前記ダクトの上面に面接触するよう固着する工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の太陽電池システムの製造方法。
【請求項10】
前記第1工程において、前記ダクトの側面及び上面に固着される前記太陽電池の傾斜角度が異なることを特徴とする、請求項9に記載の太陽電池システムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム型太陽電池や多接合太陽電池などの太陽電池を用いた太陽電池システム及び太陽電池システムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーの有効活用の重要性が叫ばれており、その有力な一つが太陽電池を利用した太陽電池システムである。従来の太陽電池システムとして、特開2000-208805号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献には、太陽電池モジュールを屋上に斜めに設置するものが開示されている。太陽電池モジュールは太陽の角度に最適化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来の太陽電池システムでは、太陽電池モジュールの設置面積に限りがあるため、エネルギー効率にも限界があり、さらなるエネルギー効率化が図れる太陽電池システムが希求されていた。
【0005】
そこで本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、エネルギー効率化を図ることが可能な、新規かつ改良された太陽電池システム及び太陽電池システムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、断面が略矩形のダクトと、前記ダクトの上面に対して傾斜した状態で設けられ、前記ダクトの側面から張り出すように設けられる太陽電池と、前記ダクトに固着され、前記太陽電池を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記ダクトの側面と前記太陽電池の裏面とにそれぞれ面接触して固着され、前記太陽電池を下方から支持する第1支持部材からなることを特徴とする、太陽電池システムが提供される。
【0007】
かかる構成によれば、太陽電池を、ダクトの側面から張り出すように設けることで、太陽電池の設置領域を増やすことができる。このようにして、エネルギー効率化を図ることができる。
【0008】
本発明は様々な応用が可能である。以下の応用例は適宜組み合わせることができる。
例えば、前記支持部材は、さらに、前記ダクトの上面と前記太陽電池の裏面とにそれぞれ面接触して固着され、前記太陽電池を下方から支持する第2支持部材を含むようにしてもよい。かかる構成によれば、ダクトの側面だけでなく上面にも太陽電池を設置することで、さらにエネルギー効率化を図ることができる。
【0009】
また、前記第1支持部材が前記太陽電池を支持する面と、前記第2支持部材が前記太陽電池を支持する面とが、異なる傾斜角度の面であってもよい。太陽電池の設置角度を最適化することができ、さらにエネルギー効率化を図ることができる。
【0010】
また、前記ダクトは地面から離間して設置されており、前記支持部材は、略三角柱の形状であってもよい。ダクトの側方をできるだけふさがないようにすることができる。複数のダクトが近接している場所でも効率よく設置することができる。
【0011】
また、前記支持部材は、発砲ゴム断熱材によって構成されるようにしてもよい。支持部材に断熱性能を持たせることができる。
【0012】
また、前記支持部材は前記ダクトに固着された状態で外周をアルミフィルムで覆われ、前記太陽電池は前記アルミフィルムに固着されて前記支持部材に支持されるようにしてもよい。かかる構成によれば、アルミフィルムで支持部材及びダクトを太陽光や熱などから保護することができる。
【0013】
前記ダクトは、断熱材で覆われており、前記断熱材と前記支持部材が同じ素材からなるようにしてもよい。断熱材と支持部材の加工を簡素化することができる。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の第2の観点によれば、断面が略矩形のダクトの上面に対して傾斜した状態で設けられ、前記ダクトの側面から張り出すように設けられる太陽電池の傾斜角度を求める第1工程と、前記ダクトの側面に固着される前記太陽電池の支持部材を、前記第1工程で求めた傾斜角度でプレカットする第2工程と、前記第2工程でプレカットされた支持部材を、前記ダクトの側面に面接触するよう固着する第3工程と、を含むことを特徴とする、太陽電池システムの製造方法が提供される。
【0015】
かかる製造方法によれば、支持部材をプレカットすることで、現場における作業の煩雑さを緩和することができ、上記本発明の第1の観点にかかる太陽電池システムを効率よく製造することができる。
【0016】
本発明の第2の観点においても、上記本発明の第1の観点と同様の応用が可能である。
例えば、前記第1工程において、さらに、前記ダクトの上面に設けられる太陽電池の傾斜角度を求める工程を含み、前記第2工程において、さらに、前記ダクトの上面に固着される前記太陽電池の支持部材を、前記第1工程で求めた傾斜角度でプレカットする工程を含み、前記第3工程において、さらに、前記第2工程でプレカットされた支持部材を、前記ダクトの上面に面接触するよう固着する工程を含むようにしてもよい。ダクトの側面だけでなく上面にも太陽電池を設置することで、さらにエネルギー効率化を図ることができる。
【0017】
また、前記第1工程において、前記ダクトの側面及び上面に固着される前記太陽電池の傾斜角度が異なるようにしてもよい。太陽電池の設置角度を最適化することができ、さらにエネルギー効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、効率化を図ることが可能な太陽電池システム及び太陽電池システムの製造方法を提供することができる。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態の太陽電池システム100が設置されるダクト110を示す図である。
【
図3】太陽電池システム100の製造方法を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態の太陽電池システム200におけるダクト210の近傍を示す図である。
【
図5】第3の実施形態の太陽電池システム300におけるダクト310の近傍を示す図である。
【
図6】太陽電池システム300の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の太陽電池システム100について、
図1~
図3を参照しながら説明する。まず、
図1及び
図2を参照しながら、太陽電池システム100の構成について説明する。
図1は、本実施形態の太陽電池システム100が設置されるダクト110を示す図である。
図2は、ダクト110の近傍を示す図である。
【0022】
本実施形態の太陽電池システム100は、
図1に示したように、ビルの屋上などに地面から離間して設置されているダクト110を利用して構成するものである。本実施形態では、並設されている2本のダクト110で太陽電池システム100を構成するが、ダクト110の数、ダクト110の配置などは任意に設計することができる。太陽電池システム100は、狭い間隔で設置されているダクト110を利用して構成することができるので、狭い設置面積でも効率よく発電することができる。以上、太陽電池システム100が構成される場所について説明した。
【0023】
太陽電池システム100は、
図2に示したように、断面が略矩形のダクト110と、ダクト110の上面に対して傾斜した状態で設けられ、ダクト110の側面から張り出すように設けられるフィルム型太陽電池120と、ダクト110に固着され、フィルム型太陽電池120を支持する支持部材130と、を備える。そして、支持部材130は、ダクト110の側面とフィルム型太陽電池120の裏面とにそれぞれ面接触して固着され、フィルム型太陽電池120を下方から支持する第1支持部材からなることを特徴とする。以下、本実施形態の各構成要素について詳細に説明する。
【0024】
(ダクト110)
ダクト110は、
図1に示したように、地面から離間して設置されており、
図2に示したように、断面が略矩形である。ダクト110は後述するフィルム型太陽電池120を設置するのに適当な日当たりのよい箇所のものを採用すればよい。ダクト110自体は一般的なものとすることができるので、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0025】
(フィルム型太陽電池120)
フィルム型太陽電池120は、太陽光をエネルギーに変換するフィルム型の太陽電池である。本実施形態のフィルム型太陽電池120の物性等は、色素の代わりにペロブスカイト結晶を用いたものであるが、一般的な色素増感太陽電池の一種であるフィルム型の太陽電池と同様のものを用いることもできる。なお、フィルム型太陽電池120の代わりに多接合太陽電池を用いてもよい。
【0026】
フィルム型太陽電池120は、
図2に示したように、ダクト110の上面に対して傾斜した状態で設けられ、ダクト110の側面から張り出すように設けられることを特徴とする。フィルム型太陽電池120の傾斜角度は、公知のシミュレーション等によって、最適な傾斜角度に設置される。フィルム型太陽電池120は、後述する支持部材130に支持されている。
【0027】
このようなフィルム型太陽電池120の設置方法によれば、ダクト110の大きさとの比較で十分に設置面積を大きくすることができる。
【0028】
(支持部材130)
本実施形態に特徴的な要素である支持部材130について説明する。支持部材130は、ダクト110に固着され、フィルム型太陽電池120を支持するものである。支持部材130は、
図2に示したように、ダクト110の側面に設けられる第1支持部材132と、ダクト110の上面に設けられる第2支持部材134とからなる。支持部材130は、発砲ゴム断熱材(レンジングシート)や発泡スチロールによって構成することができる。
【0029】
第1支持部材132は、
図2に示したように略三角柱形状をしている。第1支持部材132は、ダクト110の側面とフィルム型太陽電池120の裏面とにそれぞれ面接触して固着され、フィルム型太陽電池120を下方から支持する。すなわち、フィルム型太陽電池120のダクト110の側面から張り出した部分は、第1支持部材132によって支持されている。このように、第1支持部材132の略三角柱形状の側面のうち2面は、ダクト110及びフィルム型太陽電池120に接触しており、他の面は地面から離間している。第1支持部材132をできるだけ小さくかつ平易な形態とすることでコストを抑えるとともに、ダクト110の側方をできるだけふさがないようにすることができる。
【0030】
第2支持部材134は、
図2に示したように略三角柱形状をしている。第2支持部材134は、ダクト110の上面とフィルム型太陽電池120の裏面とにそれぞれ面接触して固着され、フィルム型太陽電池120を下方から支持する。
【0031】
本実施形態では、第1支持部材132がフィルム型太陽電池120を支持する面と、第2支持部材134がフィルム型太陽電池120を支持する面とが、同じ傾斜角度の平面であり、連続している。これにより、第1支持部材132の上面と第2支持部材134の上面とで、1つのフィルム型太陽電池120を支持することができる。
【0032】
なお本実施形態で説明しない点については、一般的な太陽電池システムの構成を採用することができる。例えば、ダクト110は図示しない断熱材によって覆われている。この断熱材は、支持部材130と同じ材質であってもよい。また、ダクト110及び支持部材130は、図示しないアルミフィルム等で覆われる。かかる構成により、雨水の浸食等による劣化が防止される。そして、アルミフィルム等で覆われたダクト110及び支持部材130の上方に、上述したフィルム型太陽電池120が設置される。
【0033】
以上、太陽電池システム100の構成について説明した。かかる太陽電池システム100によれば、効率的に太陽光をエネルギー変換することができる。以下、
図3を参照しながら、太陽電池システム100の製造方法について説明する。
図3は、太陽電池システム100の製造方法を示すフローチャートである。
【0034】
まず、ダクト110に設置されるフィルム型太陽電池120の傾斜角度を求める(ステップS110)。フィルム型太陽電池120の傾斜角度は、公知のシミュレーション等によって、最適な傾斜角度に設定される。
【0035】
次に、ダクト110の上面及び側面に固着されるフィルム型太陽電池120の支持部材130(第1支持部材132及び第2支持部材134)を、ステップS110で求めた傾斜角度でプレカットする(ステップS120)。プレカットは工場等で行われ、プレカットされた支持部材130は、太陽電池システム100が設置される現場に搬送される。
【0036】
ステップS120でプレカットされた支持部材130(第1支持部材132及び第2支持部材134)を、ダクト110に面接触するよう固着する(ステップS130)。すなわち、第1支持部材132をダクト110の側面に、第2支持部材134をダクト110の上面に、それぞれ面接触するよう固着する。
【0037】
ステップS130でダクト110に固着された支持部材130に、フィルム型太陽電池120を固着する(ステップS140)。以上により、太陽電池システム100が製造される。
【0038】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、フィルム型太陽電池120を、ダクト110の側面から張り出すように設けることで、フィルム型太陽電池120の設置領域を増やすことができる。このようにして、エネルギー効率化を図ることができる。
【0039】
また、ダクト110を地面から離間して設置し、支持部材130を略三角柱の形状としたので、ダクト110の側方をできるだけふさがないようにすることができる。複数のダクト110が近接している場所でも効率よく設置することができる。
【0040】
また、支持部材130を発砲ゴム断熱材によって構成されるようにしたので、支持部材に断熱性能を持たせることができる。
【0041】
また、支持部材130がダクト110に固着された状態で外周をアルミフィルムで覆われ、フィルム型太陽電池120をアルミフィルムに固着されて支持部材130に支持されるようにしたので、アルミフィルムで支持部材130及びダクト110を太陽光や熱などから保護することができる。
【0042】
さらに、支持部材をプレカットすることで、現場における作業の煩雑さを緩和することができ、太陽電池システム100を効率よく製造することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の太陽電池システム200について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態の太陽電池システム200におけるダクト210の近傍を示す図である。本実施形態は、主にフィルム型太陽電池220及び支持部材230の形態が上記第1の実施形態の太陽電池システム100とは異なるものであり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0044】
ダクト210は、上記第1の実施形態のダクト110と同様のものとすることができる。
【0045】
(フィルム型太陽電池220)
本実施形態のフィルム型太陽電池220は、
図4に示したように、ダクト210の上面には設置せず、側面にのみ設置したことを特徴とする。フィルム型太陽電池220の物性等は、第1の実施形態のフィルム型太陽電池120と同様のものとすることができる。
【0046】
(支持部材230)
本実施形態の支持部材230は、
図4に示したように、ダクト210の側面にのみ設置したことを特徴とする。支持部材230の素材等は、第1の実施形態の第1支持部材132と同様の構成とすることができる。支持部材230は、第1の実施形態と同様に、ダクト210に固着され、フィルム型太陽電池220を下方から支持する。
【0047】
本実施形態の太陽電池システム200の製造方法については、上記第1の実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0048】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、ダクト210の上面にフィルム型太陽電池を設置できないような場合でも、ダクト210の側面にフィルム型太陽電池220を設置することで、効率よく太陽エネルギーを得られる。
【0049】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の太陽電池システム300について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。まず、
図5を参照しながら、太陽電池システム300の構成について説明する。
図5は、ダクト310の近傍を示す図である。本実施形態は、主にフィルム型太陽電池320及び支持部材330の形態が上記第1の実施形態の太陽電池システム100とは異なるものであり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0050】
ダクト310は、上記第1の実施形態のダクト110と同様のものとすることができる。
【0051】
(フィルム型太陽電池320)
本実施形態のフィルム型太陽電池320は、
図5に示したように、ダクト310の側面及び上面に設置されるが、設置角度が異なることを特徴とする。すなわち、ダクト310の側面に設置されるフィルム型太陽電池322と、ダクト310の上面に設置されるフィルム型太陽電池324とが、異なる傾斜角度の面である。フィルム型太陽電池320(フィルム型太陽電池322及び324)の物性等は、第1の実施形態のフィルム型太陽電池120と同様のものとすることができる。
【0052】
(支持部材330)
本実施形態の支持部材230は、
図5に示したように、ダクト310の側面及び上面に設置されるが、傾斜角度が異なることを特徴とする。すなわち、ダクト310の側面に設置される第1支持部材332がフィルム型太陽電池322を支持する面と、ダクト310の上面に設置される第2*がフィルム型太陽電池324を支持する面とが、異なる傾斜角度である。支持部材230の素材等は、第1の実施形態の第1支持部材132と同様の構成とすることができる。
【0053】
以上、太陽電池システム300の構成について説明した。かかる太陽電池システム300によれば、効率的に太陽光をエネルギー変換することができる。以下、
図6を参照しながら、太陽電池システム100の製造方法について説明する。
図6は、太陽電池システム300の製造方法を示すフローチャートである。
【0054】
まず、ダクト310に設置されるフィルム型太陽電池320の傾斜角度を求める(ステップS310)。フィルム型太陽電池320の傾斜角度は、公知のシミュレーション等によって、最適な傾斜角度に設置される。本実施形態では、ダクト310の側面に設置されるフィルム型太陽電池322と、ダクト310の上面に設置されるフィルム型太陽電池324とが、異なる傾斜角度の面になるので、それぞれの設置角度を最適化することができる。よって、発電効率が向上する。
【0055】
次に、ダクト310の上面及び側面に固着されるフィルム型太陽電池320の支持部材330(第1支持部材332及び第2支持部材334)を、ステップS310で求めた傾斜角度でプレカットする(ステップS320)。プレカットは工場等で行われ、プレカットされた支持部材130は、太陽電池システム300が設置される現場に搬送される。
【0056】
ステップS320でプレカットされた支持部材330(第1支持部材332及び第2支持部材334)を、ダクト310に面接触するよう固着する(ステップS330)。すなわち、第1支持部材332をダクト310の側面に、第2支持部材334をダクト310の上面に、それぞれ面接触するよう固着する。
【0057】
ステップS330でダクト310に固着された支持部材330に、フィルム型太陽電池320を固着する(ステップS340)。以上により、太陽電池システム300が製造される。
【0058】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第1支持部材332がフィルム型太陽電池322を支持する面と、第2支持部材334がフィルム型太陽電池324を支持する面とが、異なる傾斜角度の面であるので、フィルム型太陽電池322、324の設置角度を最適化することができ、さらにエネルギー効率化を図ることができる。
【0059】
(変形例)
上記第3の実施形態の変形例について、
図7を参照しながら説明する。
図7に示した太陽電池システム400においては、ダクト410は断熱材412で覆われている。そして、断熱材412と支持部材330(332、334)が同じ素材からなる。太陽電池システム400の製造においては、断熱材412と支持部材330(332、334)の任意の部分を一体化してプレカットすることができる。かかる太陽電池システム400によれば、断熱材412と支持部材330(332、334)の加工を簡素化することができる。なお、他の実施形態においても、本変形例と同様の構成及び製造方法を採用することができる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、上記実施形態では、太陽電池としてフィルム型太陽電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。他接合型太陽電池など他の太陽電池を用いてもよい。
【0062】
また、上記第1の実施形態では、ダクト110は地面から離間して設置されており、支持部材130は、略三角柱の形状である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ダクトは地面に接地するように設置してもよく、支持部材の形状も任意に設計できる。他の実施形態についても同様である。
【0063】
また、上記第1の実施形態では、支持部材130は、発砲ゴム断熱材によって構成される例について説明したが、本発明はこれに限定されず、任意の素材で構成することができる。他の実施形態についても同様である。
【0064】
また、上記第1の実施形態では、支持部材130はダクト110に固着された状態で外周をアルミフィルムで覆われ、フィルム型太陽電池120はアルミフィルムに固着されて支持部材130に支持される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。外周を覆わない、あるいは他の素材で覆うことも可能である。他の実施形態についても同様である。
【0065】
以上説明した実施形態、変形例、応用例等は、任意に組み合わせて実施可能である。
【符号の説明】
【0066】
100、200、300 太陽電池システム
110、210、310 ダクト
120、220、320 フィルム型太陽電池
130、230、330 支持部材
132、332 第1支持部材
334 第2支持部材