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特開2024-44114パターン形成方法、半導体装置の製造方法、および半導体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044114
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】パターン形成方法、半導体装置の製造方法、および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240326BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C59/02 B
B29C59/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149462
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上羽 航暉
(72)【発明者】
【氏名】小寺 克昌
【テーマコード(参考)】
4F209
5F146
【Fターム(参考)】
4F209AA44
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH33
4F209AJ08
4F209PA02
4F209PB01
4F209PC06
4F209PJ06
4F209PN09
4F209PQ11
5F146AA32
5F146AA34
5F146JA27
(57)【要約】
【課題】所望のパターンを高精度で形成する。
【解決手段】パターン形成方法に用いられるテンプレートは、第1の表面と、第1の表面に設けられ、第1の凹部を有する第1の領域と、第1の領域に隣接して第1の表面に設けられ、第2の凹部を有する第2の領域と、を具備するとともに、式:D>2(H+H)/π(式中、Dは互いに最も近接する第1の凹部と第2の凹部との間の長さを表し、Hは第1の凹部の第1の表面からの深さを表し、Hは第2の凹部の第1の表面からの深さを表す)を満たす。パターン形成方法は、インプリント材料を有する層を対象物の上方に形成し、テンプレートを層に押しつけ、第1の凹部および第2の凹部を層に接触させて層を成形し、成形された層を硬化させる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレートを用いたパターン形成方法であって、
前記テンプレートは、
第1の表面と、
前記第1の表面に設けられ、第1の凹部を有する第1の領域と、
前記第1の領域に隣接して前記第1の表面に設けられ、第2の凹部を有する第2の領域と、
を具備するとともに、
式:D>2(H+H)/π
(式中、Dは互いに最も近接する前記第1の凹部と前記第2の凹部との間の長さを表し、Hは前記第1の凹部の前記第1の表面からの深さを表し、Hは前記第2の凹部の前記第1の表面からの深さを表す)
を満たし、
前記パターン形成方法は、
インプリント材料を有する層を対象物の上方に形成し、
前記テンプレートを前記層に押しつけ、前記第1の凹部および前記第2の凹部を前記層に接触させて前記層を成形し、成形された前記層を硬化させる、
パターン形成方法。
【請求項2】
前記第2の凹部のアスペクト比は、1.5以上である、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記第1の領域は、複数の前記第1の凹部と、複数の第1の凸部と、を有し、
前記複数の第1の凹部のそれぞれおよび前記複数の第1の凸部のそれぞれは、前記第1の表面の一方向に沿って交互に配置されてラインアンドスペースパターンを形成し、
前記第2の凹部は、ダミーパターンを形成する、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記長さDは、互いに最も近接する前記第1の凹部の間の長さDの5倍以下である、請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
テンプレートを用いた半導体装置の製造方法であって、
前記テンプレートは、
第1の表面と、
前記第1の表面に設けられ、第1の凹部を有する第1の領域と、
前記第1の領域に隣接して前記第1の表面に設けられ、第2の凹部を有する第2の領域と、
を具備するとともに、
式:D>2(H+H)/π
(式中、Dは互いに最も近接する前記第1の凹部と前記第2の凹部との間の長さを表し、Hは前記第1の凹部の前記第1の表面からの深さを表し、Hは前記第2の凹部の前記第1の表面からの深さを表す)
を満たし、
前記製造方法は、
半導体基板を含む対象物の上に導電層を形成し、
前記導電層の上にインプリント材料を有する層を形成し、
前記テンプレートを前記層に押しつけ、前記第1の凹部および前記第2の凹部を前記層に接触させて前記層を成形し、成形された前記層を硬化させ、
前記層の硬化層を用いたエッチングにより前記導電層を部分的に除去する、
半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2の凹部のアスペクト比は、1.5以上である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1の領域は、複数の前記第1の凹部と、複数の第1の凸部と、を有し、
前記複数の第1の凹部のそれぞれおよび複数の第1の凸部のそれぞれは、前記第1の表面の一方向に沿って交互に配置されてラインアンドスペースパターンを形成し、
前記第2の凹部は、ダミーパターンを形成する、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記長さDは、互いに最も近接する前記第1の凹部の間の長さDの5倍以下である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
半導体基板を含む第1の層と、
前記第1の層の表面に設けられた第1の導電体を有する第1のパターンと、
前記第1のパターンに隣接して前記第1の層の表面に設けられた第2の導電体を有する第2のパターンと、
を具備し、
前記第2の導電体は、電気的にフローティング状態であり、
式:D>2(H+H)/π
(式中、Dは互いに最も近接する前記第1の導電体と前記第2の導電体との間の長さを表し、Hは前記第1の導電体の前記第1の層の表面からの高さを表し、Hは前記第2の導電体の前記第1の層の表面からの高さを表す)
を満たす、半導体装置。
【請求項10】
前記第1のパターンは、複数の前記第1の導電体を有し、
前記複数の第1の導電体は、前記第1の層の表面の一方向に沿って配置されてラインアンドスペースパターンを形成し、
前記第2の導電体は、ダミーパターンを形成する、請求項9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パターン形成方法、半導体装置の製造方法、および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法において、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)を用いて微細なパターンを形成する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5499668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の発明が解決しようとする課題は、所望のパターンを高精度で形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のパターン形成方法は、テンプレートを用いたパターン形成方法である。テンプレートは、第1の表面と、第1の表面に設けられ、第1の凹部を有する第1の領域と、第1の領域に隣接して第1の表面に設けられ、第2の凹部を有する第2の領域と、を具備するとともに、式:D>2(H+H)/π(式中、Dは互いに最も近接する第1の凹部と第2の凹部との間の長さを表し、Hは第1の凹部の第1の表面からの深さを表し、Hは第2の凹部の第1の表面からの深さを表す)を満たす。パターン形成方法は、対象物の上方にインプリント材料を有する層を形成し、テンプレートを層に押しつけ、第1の凹部および第2の凹部を層に接触させて層を成形し、成形された層を硬化させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】テンプレートの構造例を説明するための斜視模式図である。
図2】テンプレートの構造例を説明するための断面模式図である。
図3】メサに形成されるデバイスパターンのレイアウト例を示す上面模式図である。
図4】デバイスパターンのレイアウト例を示す断面模式図である。
図5】パターン形成方法を説明するための断面模式図である。
図6】パターン形成方法を説明するための断面模式図である。
図7】パターン形成方法を説明するための断面模式図である。
図8】第1の実施形態におけるダミーパターン領域を有するデバイスパターンのレイアウト例を示す上面模式図である。
図9】第1の実施形態におけるダミーパターンを含むデバイスパターンのレイアウト例を示す断面模式図である。
図10】テンプレートを離すときのダミーパターンを含まないデバイスパターン10aの変形メカニズムの一例を説明するための模式図である。
図11】テンプレートを離すときのダミーパターンを含まないデバイスパターン10aの変形メカニズムの一例を説明するための模式図である。
図12】テンプレート10を離すときのダミーパターンを含むデバイスパターン10bの変形メカニズムの一例を説明するための模式図である。
図13】テンプレート10を離すときのダミーパターンを含むデバイスパターン10bの変形メカニズムの一例を説明するための模式図である。
図14】凹部11bおよび凹部14のそれぞれの形状の例を示す断面模式図である。
図15】式:D>2(H+H)/πを満たすテンプレート10を用いて形成されるレジスト層102のパターンの例を示す模式図である。
図16】凹部11および凹部14のそれぞれの形状の第1の変形例を示す断面模式図である。
図17】凹部11および凹部14のそれぞれの形状の第2の変形例を示す断面模式図である。
図18】デバイスパターン10bのレイアウトの他の例を示す上面模式図である。
図19】デバイスパターン10bのレイアウトの他の例を示す上面模式図である。
図20】デバイスパターン10bのレイアウトの他の例を示す上面模式図である。
図21】半導体装置の製造方法例を説明するための断面模式図である。
図22】半導体装置の製造方法例を説明するための断面模式図である。
図23】半導体装置の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0008】
NILを用いたパターン形成方法では、対象物の上に設けられた紫外性硬化樹脂等のインプリント材料の層の上にテンプレートと呼ばれる原板のデバイスパターンを押しつけ、紫外光等の光を照射して層を硬化させて、デバイスパターンをインプリント材料層に転写する。
【0009】
図1は、テンプレートの構造例を説明するための斜視模式図である。図2は、テンプレートの構造例を説明するための断面模式図である。図1および図2は、X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸およびY軸のそれぞれに直交するZ軸と、を示す。図2は、図1に示す線分A1-A2における断面の一部を示す。
【0010】
テンプレート10は、図1および図2に示すように、メサMSを含む表面1aと、凹部COを含む表面1bと、を有する基材1を具備する。メサMSは、デバイスパターンが形成される部分である。メサMSの平面形状は、特に限定されないが、例えば長方形状である。表面1aは、主面である。
【0011】
基材1の例は、例えば石英を含む。基材1は、上記光を透過することが好ましい。
【0012】
図3は、メサMSに形成されるデバイスパターンのレイアウト例を示す上面模式図である。図4は、デバイスパターンのレイアウト例を示す断面模式図である。図4は、テンプレート10のX軸と、テンプレート10のZ軸と、を含む断面の一部を示す。
【0013】
デバイスパターン10aは、凹部11と、凸部12と、凸部13と、を有する。図3は、複数の凹部11と、複数の凸部12と、複数の凸部13と、を示す。複数の凹部11のそれぞれおよび複数の凸部12のそれぞれは、例えばY軸方向に沿って延在し、X軸方向に沿って互いに交互に配置されてラインアンドスペースパターンを形成する。
【0014】
図3に示す複数の凹部11は、凹部11aと、凹部11bと、を含む。凹部11aは、Y軸方向に沿って延在する。凹部11bは、表面1aにおいて凸部13に最も近接する凹部11である。凹部11bは、例えば一対の凸部13の間を延在する。凹部11bは、例えば図3に示すように、Y軸方向→X軸方向→Y軸方向に順に屈曲して延在するクランク形状を有する。凹部11bの形状は、図3に示す形状に限定されない。また、凹部11bは、必ずしも設けられなくてもよい。
【0015】
凸部13は、例えば表面1aにおいて複数の凹部11の間に設けられる。凸部13は、ラインアンドスペースパターンの領域に隣接して表面1aに設けられた領域130を有する。領域130のX軸方向およびY軸方向の少なくとも一方向の長さは、凸部12の長さ方向に垂直な方向(図3のX軸方向)の幅よりも大きい。図3に示す領域130のX軸方向の長さは、凸部12のX軸方向の幅よりも大きい。図3に示す領域130のY軸方向の長さは、凸部12のX軸方向の幅よりも大きい。
【0016】
次に、テンプレート10を用いたパターン形成方法について説明する。図5図6、および図7は、パターン形成方法を説明するための断面模式図である。
【0017】
パターン形成方法では、まず図5に示すように、対象物100の上方にレジスト層102を形成する。対象物100は、例えば半導体基板上に少なくとも一つの膜を積層することにより形成された積層体である。対象物100の構成は、特に限定されない。レジスト層102は、紫外性硬化樹脂等のインプリント材料(レジスト材料または導電性の永久膜)を有する。レジスト層102は、例えばインクジェット法や塗布法を用いてインプリント材料を対象物100の表面に塗布することにより形成可能である。
【0018】
次に、レジスト層102の上方にテンプレート10の表面1aを下向きに配置し、図6に示すように、レジスト層102にテンプレート10を押しつけてレジスト層102を成形し、成形されたレジスト層102にテンプレート10を押し付けたまま光を照射することにより成形部分を硬化させる。なお、図示は省略するが、図6において、テンプレート10と対象物100との間にレジスト層102の残膜が形成されるように、テンプレート10をレジスト層102に押しつけることが好ましい。
【0019】
その後、図7に示すように、対象物100からテンプレート10を離す。これにより、凸部21と、凹部22と、凹部23と、を有するレジスト層102の硬化層102aを対象物100の上に形成できる。図7は、複数の凸部21を示す。複数の凸部21は、凸部21aと、凸部21bと、を有する。凸部21aは、テンプレート10を押しつけたときに凹部11aに対向する部分に形成される。凸部21bは、テンプレート10を押しつけたときに凹部11bに対向する部分に形成される。凹部22は、テンプレート10を押しつけたときに凸部12に対向する部分に形成される。凹部23は、テンプレート10を押しつけたときに凸部13の領域130に対向する部分に形成される。
【0020】
凸部21のピッチ(幅)が狭く、また、凸部21が高いアスペクト比を有する場合、対象物100からテンプレート10を離すときに生じる応力により凸部21が変形する場合がある。特にラインアンドスペースパターンの端部に位置し、凹部23に隣接する凸部21bは、上記応力により変形しやすい。例えば、凸部21bが倒れて凸部21aと接触して元に戻らないまま対象物100を加工すると、所望のパターンの形成が困難となる。
【0021】
そこで、実施形態のパターン形成方法は、ラインアンドスペースパターンの端部近傍に凹部を有するテンプレート10を用いてダミーパターンを形成する。以下、実施形態のパターン形成方法の例についてさらに説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図8は、第1の実施形態のテンプレートにおけるダミーパターン領域を有するデバイスパターンのレイアウト例を示す上面模式図である。図9は、第1の実施形態におけるダミーパターンを含むデバイスパターンのレイアウト例を示す断面模式図である。図9は、テンプレート10のX軸と、テンプレート10のZ軸と、を含む断面の一部を示す。なお、デバイスパターン10bにおいてデバイスパターン10aと共通する部分は、デバイスパターン10aの説明を適宜援用できる。
【0023】
デバイスパターン10bは、凹部11と、凸部12と、凸部13と、凹部14と、凸部15と、を有する。凹部11、凸部12、および凸部13の説明は、デバイスパターン10aの説明を適宜援用できる。凹部11、凸部12、凸部13、凹部14、および凸部15は、例えばメタルマスク等のマスクを用いたエッチングによりテンプレート10の表面1aを部分的に加工することにより形成可能である。
【0024】
凹部14および凸部15は、ダミーパターンを形成する。凹部14は、凸部13の領域130に設けられる。凸部15は、領域130において凹部14に囲まれる。図8は、複数の凹部14および複数の凸部15を示す。凹部14の数は、特に限定されない。図8に示す凹部14は、環状であるが、凹部14の形状は、特に限定されない。凸部15は、例えば凸部12と同じ高さを有する。なお、凸部15は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0025】
領域130にダミーパターンを形成することにより、凸部21の変形を抑制できる。この理由について、例えば以下のメカニズムが影響を及ぼすと考えられるが、これに限定されない。
【0026】
図10および図11は、テンプレート10をレジスト層102から離すときのダミーパターンを含まないデバイスパターン10aの変形メカニズムの一例を説明するための模式図である。図12および図13は、テンプレート10を離すときのダミーパターンを含むデバイスパターン10bの変形メカニズムの一例を説明するための模式図である。なお、図10および図12は、便宜のため、テンプレート10を曲げて離すように図示しているが、実際はテンプレート10を曲げることなく離すこともできる。
【0027】
レジスト層102を成形後、図10に示すように、ダミーパターンを有しないテンプレート10を例えば領域130側から対象物100から離す場合、Stick-Slip振動が発生する。Stick-Slip振動とは、摩擦面で生じる自励振動である。Stick-Slip振動の振幅は、図11に示すように、領域130を含む領域R1と、凸部12および凹部11aを含む領域R2との間における凹部11bを含む領域R3(被覆率境界ともいう)で大きく変化する。この振動による応力は、デバイスパターン10aの振動を引き起こし、領域R3に位置する凸部21bが大きく振動して凸部21aとくっつき倒れやすくなる。
【0028】
これに対し、図12に示すように、ダミーパターンを有するテンプレート10を例えば領域130側から対象物100から離す場合、Stick-Slip振動による応力は、凸部21の代わりに凸部24に加わる。これにより、図13に示すように、被覆率境界(領域R3)におけるStick-Slip振動の変化を図11に示す変化よりも緩和できる。これにより、凸部21の変形を抑制することができる。
【0029】
さらに、ラインアンドスペースパターンとダミーパターンとの間隔を調整することにより、凸部21が変形する場合であっても凸部24との接触を抑制できる。
【0030】
図14は、凹部11および凹部14のそれぞれの形状の例を示す断面模式図である。例えば、テンプレート10は、以下の式1を満たすことが好ましい。
【0031】
式1:D>2(H+H)/π
【0032】
は、互いに最も近接する凹部11(凹部11b)と凹部14との間の長さ(最短距離)を表す。Hは、凹部11の表面1aからの深さを表す。Hは、凹部14の表面1aからの深さを表す。πは円周率を表す。図14において深さHと深さHは同じ値である。また、図14に示す長さDは、最も近接する凹部11の間の長さ(最短距離)を表す。
【0033】
図15は、式:D>2(H+H)/πを満たすテンプレート10を用いて形成されるレジスト層102のパターンの例を示す模式図である。図15は、凸部21aと、凸部21bと、凸部24と、を有するレジスト層102の硬化層102aを示す。テンプレート10が式:D>2(H+H)/πを満たす場合、レジスト層102の硬化層102aは、以下の式2を満たす。
【0034】
式2:D>2(H+H)/π
【0035】
は、互いに最も近接する凸部21(凸部21b)と凸部24との間の長さ(最短距離)を表す。Hは、凸部21bの対象物100の表面100aからの高さを表す。Hは、凸部24の表面100aからの高さを表す。πは円周率を表す。図15に示す長さDは、最も近接する凸部21の間の長さ(最短距離)を表す。
【0036】
式2:D>2(H+H)/πを満たす場合、図15に示すように、仮に凸部21bおよび凸部24が変形してもこれらの接触を防止できる。接触しない凸部21bおよび凸部24は、元の形状に戻るため、硬化層102aを用いたエッチングにより所望のパターンを形成できる。
【0037】
長さDおよび長さDは、例えば5nm以上であって、DおよびDのそれぞれ5倍以下であることが好ましい。長さDおよび長さDの5倍を超えると、凹部14によりStick-Slip振動の振幅の変化を緩和することが困難となる。
【0038】
凹部11、凹部14、凸部21、および凸部24のそれぞれのアスペクト比は、例えば1.5以上5以下であることが好ましい。アスペクト比が1.5未満であると、例えば凸部21および凸部24が倒れにくいため、Stick-Slip振動の振幅の低減による効果が小さい。アスペクト比が5を超えると、凸部21および凸部24が倒れたまま元に戻らなくなる場合がある。凹部11のアスペクト比は、表面1aにおいて凹部11の長さ方向に垂直な方向の幅Lに対する深さHにより定義される。凹部14のアスペクト比は、表面1aにおいて凹部14の長さ方向に垂直な方向の幅Lに対する深さHにより定義される。凸部21のアスペクト比は、表面1aにおいて凸部21の長さ方向に垂直な方向の幅Lに対する高さHにより定義される。凸部24のアスペクト比は、表面1aにおいて凸部24の長さ方向に垂直な方向の幅Lに対する高さHにより定義される。
【0039】
<凹部11および凹部14の他の形状例>
図16は、凹部11および凹部14のそれぞれの形状の第1の変形例を示す断面模式図である。図16に示す凹部11および凹部14は、図14に示す凹部11および凹部14と比較して凹部14の深さHが凹部11の深さHよりも小さいことが異なる。このように、深さHおよび深さHが互いに異なる値であっても、テンプレート10が式1:D>2(H+H)/πを満たすことにより、レジスト層102が式2:D>2(H+H)/πを満たすことができ、凸部21および凸部24が変形してもこれらの接触を防止できる。なお、高さHは、高さHよりも小さくてもよい。また、高さHは、高さHよりも小さくてもよい。さらに、高さHは、高さHよりも小さくてもよい。
【0040】
図17は、凹部11および凹部14のそれぞれの形状の第2の変形例を示す断面模式図である。図17に示す凹部11および凹部14は、図14に示す凹部11および凹部14と比較してX―Z断面における凹部14および凹部11の断面形状がV字形状であることが異なる。深さHは、凹部11の表面1aからの深さが最も大きい部分の深さにより定義される。深さHは、凹部14の表面1aからの深さが最も大きい部分の深さにより定義される。幅Lは、凹部11の長さ方向に垂直な方向の幅が最も大きい部分の幅により定義される。幅Lは、凹部14の長さ方向に垂直な方向の幅が最も大きい部分の幅により定義される。高さH、高さH、幅L、幅Lも深さH、深さH、幅L、幅Lとそれぞれ同様である。このように、凹部14および凹部11の断面形状が矩形状以外の形状であっても、テンプレート10が式1:D>2(H+H)/πを満たすことにより、レジスト層102および硬化層102aが式2:D>2(H+H)/πを満たすことができ、凸部21および凸部24が変形してもこれらの接触を防止できる。
【0041】
<デバイスパターンの他のレイアウト例>
デバイスパターン10bのレイアウトは、図8に示すレイアウト例に限定されない。図18図19、および図20は、デバイスパターン10bのレイアウトの他の例を示す上面模式図である。
【0042】
図18ないし図20に示すデバイスパターン10bは、複数の凹部11と、複数の凸部12と、を含むラインアンドスペースパターンのX軸方向の両側の凸部13の領域130に複数の凹部14および複数の凸部15を含むダミーパターンを有する。
【0043】
図18の凹部14は、凸部15を囲む環状形状を有する。図19の凹部14は、X軸方向に延在する短冊形状を有する。図20の凹部14は、複数の凸部15のそれぞれを囲むメッシュ形状を有する。凹部14および凸部15のその他の説明は、図8に示す凹部14および凸部15の説明を適宜援用できる。
【0044】
このように、デバイスパターン10bのレイアウト形状が異なる場合であっても、テンプレート10が式1:D>2(H+H)/πを満たすことにより、レジスト層102および硬化層102aが式2:D>2(H+H)/πを満たすことができ、テンプレート10を離すときに凸部21および凸部24が変形してもこれらの接触を防止できる。
【0045】
(第2の実施形態)
図21図22、および図23は、半導体装置の製造方法例を説明するための断面模式図である。まず、図21に示すように、対象物100の上に下地層101を形成し、下地層101の上に、第1の実施形態のパターン形成方法を用いて形成されたレジスト層102の硬化層102aを形成する。下地層101の例は、シリコン酸化膜等の絶縁層である。または、銅等の金属材料を含む導電層であってもよい。下地層101の上面は部分的に露出している。
【0046】
次に、図22に示すように、レジスト層102の硬化層102aを用いて下地層101を加工することにより、下地層パターン101aと、下地層パターン101bと、下地層パターン101cと、を形成する。下地層パターン101aは、凸部21aに重なる位置に形成される。下地層パターン101bは、凸部21bに重なる位置に形成される。下地層パターン101cは、凸部24に重なる位置に形成される。導電層101は、例えばレジスト層102の硬化層102aを用いたドライエッチングにより下地層101を部分的に除去することにより加工される。加工後の対象物100の形状は、デバイスパターン10bの形状に応じて決まる。下地層101が絶縁層の場合、形成された下地層パターンの間に銅等の金属層を埋め込むことにより、複数の配線パターンが形成される。または、下地層パターンの間に反転材が埋められた後に、下地層パターンの位置に金属材料が形成される。下地層101が金属材料を含む導電層の場合、形成された下地層パターンが導電体となる。以下、下地層101が導電体の場合を例に説明する。なお、以降の説明において、下地層パターン101a、101b、101cはそれぞれ導電体101a、101b、101cと換言している。
【0047】
レジスト層102および硬化層102aが式2:D>2(H+H)/πを満たす場合、導電体101a、101b、101cを含む下地層101は、以下の式3を満たす。
【0048】
式3:D>2(H+H)/π
【0049】
は、互いに最も近接する導電体101bと導電体101cとの間の長さ(最短距離)を表す。Hは、導電体101bの対象物100の表面からの高さを表す。Hは、導電体101cの対象物100の表面からの高さを表す。πは円周率を表す。図22に示す長さDは、最も近接する導電体101aと導電体101bの間の長さ(最短距離)を表す。
【0050】
長さDは、長さDおよび長さDに対応するため、例えば5nm以上であって、長さDの5倍以下である。また、導電体101a、導電体101b、導電体101cのそれぞれのアスペクト比は、例えば1.5以上5以下であってもよい。導電体101a、導電体101bのアスペクト比は、対象物100の表面において導電体101a、導電体101bの長さ方向に垂直な方向の幅Lに対する高さHにより定義される。導電体101cのアスペクト比は、導電体101cの長さ方向に垂直な方向の幅Lに対する高さHにより定義される。
【0051】
図23に示すように、形成された導電体101a、導電体101b、および導電体101cの上に絶縁層103を形成し、絶縁層103を加工して導電体101aおよび導電体101bのそれぞれの上面を露出する開口を形成し、それぞれの開口に導電体110a、導電体110bを形成する。または、直接導電体110を加工してもよい。導電体110aおよび導電体110bは、例えば銅等の金属材料を含有する。導電体101a、導電体101b、導電体110a、および導電体110bは、デバイスパターンの一部であり、例えば埋め込み配線としての機能を有するため、絶縁層103に覆われていない。一方、導電体101cは、ダミーパターンの一部であり、回路を形成しないため、絶縁層103に覆われ、電気的にフローティング状態である。
【0052】
以上のように、本実施形態の半導体装置の製造方法の例は、第1の実施形態のパターン形成方法により形成されたレジスト層の硬化層102aを用いて対象物100の上の導電層を加工することにより、半導体装置を製造できる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…基材、1a…表面、1b…表面、10…テンプレート、10a…デバイスパターン、10b…デバイスパターン、11…凹部、11a…凹部、11b…凹部、12…凸部、13…凸部、14…凹部、15…凸部、21…凸部、21a…凸部、21b…凸部、22…凹部、23…凹部、24…凸部、100…対象物、100a…表面、101…導電層、101a…導電体、101b…導電体、101c…導電体、102…レジスト層、103…絶縁層、110a…導電体、110b…導電体、130…領域。
図1
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