(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044122
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240326BHJP
【FI】
H01L27/108 671A
H01L27/108 621B
H01L27/108 621Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149472
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園田 康幸
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083AD03
5F083AD28
5F083AD51
5F083GA06
5F083GA10
5F083JA02
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA56
5F083JA60
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR21
5F083PR33
5F083PR40
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性の低下を抑制する
【解決手段】半導体装置は、第1の導電体と、第2の導電体と、前記第1の導電体と前記第2の導電体との間に設けられ、第1方向に延在する酸化物半導体層と、第1方向と交差する第2方向に延在し、酸化物半導体層を囲む第1の配線と、第1の配線と酸化物半導体層との間に設けられた絶縁膜と、酸化物半導体層の上に設けられた導電体と、第2の導電体の上に設けられ、第1方向および第2方向のそれぞれと交差する第3方向に延在する第2の配線と、第2の配線の側面に接し、第1の空隙を有する第1の絶縁層と、第1の絶縁層の上に設けられ、第1の空隙の上に第2の空隙を有する第2の絶縁層と、を具備する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電体と、
第2の導電体と、
前記第1の導電体と前記第2の導電体との間に設けられ、第1方向に延在する酸化物半導体層と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記酸化物半導体層を囲む第1の配線と、
前記第1の配線と前記酸化物半導体層との間に設けられた絶縁膜と、
前記第2の導電体の上に設けられ、前記第1方向および前記第2方向のそれぞれと交差する第3方向に延在する第2の配線と、
前記第2の配線の側面に接し、第1の空隙を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の上に設けられ、第2の空隙を有する第2の絶縁層と、
を具備する、半導体装置。
【請求項2】
前記第1の空隙と前記第2の空隙は、前記第2方向および前記第3方向を含む平面において、少なくとも一部が重なる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の導電体は、前記酸化物半導体層に接し、金属酸化物を含む導電性酸化物層を有する、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の空隙は、前記第3方向に沿って延在する、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の空隙は、前記第3方向に沿って複数設けられる、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1の導電体と、
第2の導電体と、
前記第1の導電体と前記第2の導電体との間に設けられ、第1方向に延在する酸化物半導体層と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記酸化物半導体層を囲む第1の配線と、
前記第1の配線と前記酸化物半導体層との間に設けられた絶縁膜と、
前記第2の導電体の上に設けられ、前記第1方向および前記第2方向のそれぞれと交差する第3方向に延在する第2の配線と、
前記第2の配線の側面に接し、第1の空隙を有する第1の絶縁層と、
を形成した後に、前記第1の絶縁層の上に下部絶縁層を形成し、
前記下部絶縁層を部分的に除去することにより凹部を形成し、
前記下部絶縁層の上に上部絶縁層を形成して前記凹部を覆うことにより前記下部絶縁層および前記上部絶縁層との間に第2の空隙を形成し、
前記第2の空隙を形成後に、酸素を含む雰囲気下で熱処理を行う、
半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1の空隙と前記第2の空隙は、前記第2方向および前記第3方向を含む平面において、少なくとも一部が重なる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の導電体は、前記酸化物半導体層に接し、金属酸化物を含む導電性酸化物層を有する、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の空隙は、前記第3方向に沿って延在する、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の空隙は、前記第3方向に沿って複数設けられる、請求項6または請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビット線、ワード線、およびこれらに接続されるメモリセル(トランジスタおよびキャパシタ)を有する半導体記憶装置が用いられている。ビット線とワード線を選択して、電圧を印加することで、メモリセルにデータを書き込み、読み出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0305081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の発明が解決しようとする課題は、半導体装置の信頼性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1の導電体と、第2の導電体と、前記第1の導電体と前記第2の導電体との間に設けられ、第1方向に延在する酸化物半導体層と、第1方向と交差する第2方向に延在し、酸化物半導体層を囲む第1の配線と、第1の配線と酸化物半導体層との間に設けられた絶縁膜と、酸化物半導体層の上に設けられた導電体と、第2の導電体の上に設けられ、第1方向および第2方向のそれぞれと交差する第3方向に延在する第2の配線と、第2の配線の側面に接し、第1の空隙を有する第1の絶縁層と、第1の絶縁層の上に設けられ、第1の空隙の上に第2の空隙を有する第2の絶縁層と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】半導体装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】メモリセルアレイの回路構成例を説明するための回路図である。
【
図3】半導体装置の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図4】メモリセルアレイの第1の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図5】メモリセルアレイの第1の構造例を説明するための平面模式図である。
【
図6】第1の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図7】第1の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図8】第1の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図9】第1の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図10】第1の構造例の第1の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図11】第1の構造例の第2の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図12】メモリセルアレイの第2の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図13】メモリセルアレイの第2の構造例を説明するための平面模式図である。
【
図14】メモリセルアレイの第2の構造例の第1の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図15】メモリセルアレイの第2の構造例の第2の変形例を説明するための平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。上下方向は、重力加速度に従った上下方向と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0008】
本明細書において「接続」とは物理的な接続だけでなく電気的な接続も含み、特に指定する場合を除き、直接接続だけでなく間接接続も含む。
【0009】
図1は、半導体装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示す半導体装置1は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)であって、メモリセルアレイ11を含む領域101aと、周辺回路12を含む領域101bと、を有する半導体基板101と、を有する。
【0010】
図2は、メモリセルアレイの回路構成例を説明するための回路図である。
図2は、複数のメモリセルMCと、複数のワード線WL(ワード線WL
n、ワード線WL
n+1、ワード線WL
n+2、nは整数)と、複数のビット線BL(ビット線BL
m、ビット線BL
m+1、ビット線BL
m+2、mは整数)と、を図示する。
【0011】
複数のメモリセルMCは、行列方向に配列され、メモリセルアレイ11を形成する。それぞれのメモリセルMCは、電界効果トランジスタ(FET)であるメモリトランジスタMTRと、メモリキャパシタMCPと、を備える。メモリトランジスタMTRのゲートは対応するワード線WLに接続され、ソースまたはドレインの一方は対応するビット線BLに接続される。メモリキャパシタMCPの一方の電極はメモリトランジスタMTRのソースまたはドレインの他方に接続され、他方の電極は図示しないが特定の電位を供給する電源線に接続される。メモリセルMCは、ワード線WLによるメモリトランジスタMTRのスイッチングによりビット線BLからメモリキャパシタMCPに電荷を蓄積してデータを保持できる。複数のメモリセルMCの数は、
図2に示す数に限定されない。
【0012】
図3は、半導体装置の構造例を説明するための断面模式図であり、半導体装置のX軸とX軸に直交するZ軸とを含むX-Z断面の一部を示す。
【0013】
図3に示す半導体装置は、半導体基板101と、電界効果トランジスタ102と、導電体111と、絶縁体113と、電気伝導体115と、導電性酸化物層116と、導電体117aと、導電体117bと、絶縁層118と、絶縁層119と、酸化物半導体層121と、導電層122と、絶縁層123と、導電体124aと、導電体124bと、絶縁層125と、導電層126と、絶縁層127と、絶縁層128と、絶縁層129と、導電体130と、積層体140aと、積層体140bと、絶縁層144と、絶縁層151と、絶縁層153と、絶縁層154と、導電体155と、導電体161と、絶縁層162と、を備える。
【0014】
電界効果トランジスタ102は、周辺回路12に含まれる。周辺回路12は、例えばセンスアンプを含む。電界効果トランジスタ102は、例えばPチャネル型電界効果トランジスタ(Pch-FET)、またはNチャネル型電界効果トランジスタ(Nch-FET)である。電界効果トランジスタ102は、例えば単結晶シリコン基板等の半導体基板101を用いて形成可能であり、半導体基板101にチャネル領域とソース領域とドレイン領域とを有する。なお、半導体基板101はP型の導電型を有していてもよい。
【0015】
導電体111、絶縁体113、および電気伝導体115は、メモリキャパシタMCPを形成する。
図3は、4つのメモリキャパシタMCPを図示するが、メモリキャパシタMCPの数は、4つに限定されない。
【0016】
メモリキャパシタMCPは、いわゆるピラー型キャパシタ、シリンダー型キャパシタ等の3次元キャパシタである。導電体111は、Z軸方向に延在する柱状部を有し、メモリキャパシタMCPの他方の電極としての機能を有する。絶縁体113は、導電体111の柱状部の上に柱状部を囲むように設けられ、メモリキャパシタMCPの誘電体層としての機能を有する。電気伝導体115は、絶縁体113の上に設けられ、絶縁体113を挟んで導電体111の柱状部を囲み、メモリキャパシタMCPの一方の電極としての機能を有する。
【0017】
導電体111は、例えばタングステン、窒化チタン等を含む。絶縁体113は、例えば酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等を含む。電気伝導体115は、例えばアモルファスシリコン等を含む。
【0018】
導電性酸化物層116は、電気伝導体115の上に設けられる。導電性酸化物層116は、例えばインジウム-錫-酸化物(ITO)等の金属酸化物を含む。
【0019】
導電体117aは、例えば電界効果トランジスタ102のソース電極またはドレイン電極に電気的に接続される。導電体117aは、ビアとしての機能を有する。導電体117aは、例えば銅やタングステン等の金属を含む。
【0020】
導電体117bは、例えば電界効果トランジスタ102のゲート電極に電気的に接続される。導電体117bは、ビアとしての機能を有する。導電体117bは、例えば銅やタングステン等の金属を含む。
【0021】
絶縁層118は、例えば複数のメモリキャパシタMCP間に設けられる。絶縁層118は、例えばシリコンと酸素とを含む。
【0022】
絶縁層119は、絶縁層118の上に設けられる。絶縁層119は、例えばシリコンと窒素とを含む。
【0023】
酸化物半導体層121、導電層122、および絶縁層123は、メモリトランジスタMTRを形成する。メモリトランジスタMTRは、メモリキャパシタMCPの上方に設けられ、メモリキャパシタMCPとともにメモリセルMCを形成する。
【0024】
酸化物半導体層121は、例えばZ軸方向に延在する柱状体である。酸化物半導体層121は、メモリトランジスタMTRのチャネルを形成する。酸化物半導体層121は、例えばインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)を含む。酸化物半導体層121は、例えば、酸化インジウムと酸化ガリウム、酸化インジウムと酸化亜鉛、又は、酸化インジウムと酸化スズを含む。一例として、インジウム、ガリウム、および、亜鉛を含む酸化物(インジウム-ガリウム-亜鉛-酸化物)、いわゆるIGZO(InGaZnO)を含む。
【0025】
酸化物半導体層121のZ軸方向の一端は、導電性酸化物層131を介して導電層132に接続され、メモリトランジスタMTRのソースまたはドレインの一方として機能し、他端が導電性酸化物層116に接続され、メモリトランジスタMTRのソースまたはドレインの他方として機能する。このとき、導電性酸化物層116は、メモリキャパシタMCPの電気伝導体115とメモリトランジスタMTRの酸化物半導体層121との間に設けられ、メモリトランジスタMTRのソース電極またはドレイン電極の他方として機能する。導電性酸化物層116は、メモリトランジスタMTRの酸化物半導体層121と同様に金属酸化物を含むため、メモリトランジスタMTRと導電性酸化物層116との接続抵抗を低減できる。
【0026】
導電層122は、X軸方向に延在する。導電層122は、X―Y平面において絶縁層123を挟んで酸化物半導体層121を囲む。導電層122は、メモリトランジスタMTRのゲート電極を形成するとともに、配線としてワード線WLを形成する。導電層122は、例えば金属、金属化合物、又は、半導体を含む。導電層122は、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、およびルテニウム(Ru)からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む。
【0027】
絶縁層123は、X―Y平面において、酸化物半導体層121と導電層122との間に設けられる。絶縁層123は、メモリトランジスタMTRのゲート絶縁膜を形成する。絶縁層123は、例えば、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。
【0028】
メモリトランジスタMTRは、ゲート電極がチャネルを囲んで配置される、いわゆるSurrounding Gate Transistor(SGT)である。SGTにより半導体装置の面積を小さくできる。
【0029】
酸化物半導体を含むチャネル層を有する電界効果トランジスタは、半導体基板101に設けられた電界効果トランジスタよりもオフリーク電流が低い。よって、例えばメモリセルMCに保持されたデータを長く保持できるため、リフレッシュ動作の回数を減らすことができる。また、酸化物半導体を含むチャネル層を有する電界効果トランジスタは、低温プロセスで形成可能であるため、メモリキャパシタMCPに熱ストレスを与えることを抑制できる。
【0030】
導電体124aは、導電体117aの上に設けられ、導電体117aに電気的に接続される。導電体124aは、例えば銅を含む。
【0031】
導電体124bは、導電体117bの上に設けられ、導電体117bに電気的に接続される。導電体124bは、例えば銅を含む。
【0032】
絶縁層125は、絶縁層119の上に設けられる。絶縁層125は、複数のメモリトランジスタMTRの間、および導電体124aと導電体124bとの間に設けられる。
【0033】
導電層126は、導電体124bの上に設けられ、導電体124bに電気的に接続される。導電層126は、導電層122と同一工程により形成される。よって、導電層126は、導電層122に適用可能な材料を含む。
【0034】
絶縁層127は、絶縁層125の上に設けられる。絶縁層127は、導電層122と導電層126との間に設けられる。絶縁層127は、例えば、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。
【0035】
絶縁層128は、絶縁層127の上に設けられる。絶縁層128は、絶縁層127の上において、複数のメモリトランジスタMTRの間に設けられる。絶縁層128は、例えば、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。
【0036】
絶縁層129は、絶縁層128の上に設けられる。絶縁層129は、例えば、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。
【0037】
導電体130は、導電性酸化物層131と、導電層132と、導電層133と、を有する。導電体130はビット線BLを介して電界効果トランジスタ102に電気的に接続される。導電体130は、例えばメモリトランジスタMTRとビット線BLと接続するための導電性パッドとしての機能を有する。
【0038】
導電性酸化物層131は、金属酸化物を含む導電層である。導電性酸化物層131は、メモリトランジスタMTRの酸化物半導体層121に接して設けられ、メモリトランジスタMTRのソース電極またはドレイン電極の一方として機能する。導電性酸化物層131は、例えばインジウム-錫-酸化物(ITO)等の金属酸化物を含む。導電性酸化物層131は、酸化物半導体層121と同様に金属酸化物を含むため、メモリトランジスタMTRと導電性酸化物層131との接続抵抗を低減できる。
【0039】
導電層132は、導電性酸化物層131の上方に設けられる。導電層132は、金属元素を含む。導電層132は、例えばタングステン、窒化チタン等を含む。
【0040】
導電層132は、導電性酸化物層131の上方に設けられ、導電性酸化物層131および導電層133を介してメモリトランジスタMTRの酸化物半導体層121に接続される。導電性酸化物層131は、メモリトランジスタMTRのソース電極またはドレイン電極の一方として機能する。
【0041】
導電層133は、導電性酸化物層131と導電層132との間に設けられる。導電層133は、例えば、金属化合物層であり、例えば、チタンと、窒素と、を含む。導電層133を形成することにより、導電性酸化物層131から導電層132への酸素の拡散を抑制できる。
【0042】
導電体134は、導電層126の上に設けられ、絶縁層128および絶縁層129をZ軸方向に貫通する。導電体134は、ビアとしての機能を有する。導電体134は、例えば銅を含む。
【0043】
積層体140aは、導電体130の上に設けられ、導電体130に電気的に接続される。積層体140aは、配線としてビット線BLを形成する。
【0044】
積層体140bは、導電体134の上に設けられ、導電体134に電気的に接続される。
【0045】
積層体140aは、導電層141aと、導電層141a上の絶縁層142aと、絶縁層142a上の絶縁層143aと、を有する。積層体140bは、導電層141bと、導電層141b上の絶縁層142bと、絶縁層142b上の絶縁層143bと、を有する。
【0046】
導電層141aおよび導電層141bは、同一工程により形成される。導電層141aおよび導電層141bは、例えばタングステンを含む。
【0047】
絶縁層142aおよび絶縁層142bは、同一工程により形成される。絶縁層142aおよび絶縁層142bは、例えばシリコンと酸素とを含む。
【0048】
絶縁層143aおよび絶縁層143bは、同一工程により形成される。絶縁層143aおよび絶縁層143bは、例えばシリコンと窒素とを含む。
【0049】
絶縁層144は、絶縁層129の上に設けられる。絶縁層144は、複数の積層体140aの間に設けられ、積層体140aの側面に接する。絶縁層144は、例えば、シリコンと、酸素と、を含む。
【0050】
絶縁層144は、空隙S1を有する。空隙S1は、例えば複数の積層体140aの間に設けられる。空隙S1は、例えばX軸およびZ軸のそれぞれに直交するY軸方向に延在する。空隙S1は、例えばホール形状でもよい。空隙S1は、例えば空気で満たされていてもよい。
【0051】
絶縁層151は、絶縁層144の上に設けられる。絶縁層151は、例えば、シリコンと、酸素と、を含む。
【0052】
絶縁層153は、絶縁層151の上に設けられる。絶縁層153は、例えば、シリコンと、窒素と、を含む。
【0053】
絶縁層154は、絶縁層153の上に設けられる。絶縁層154は、例えば、シリコンと、酸素と、を含む。
【0054】
導電体155は、導電層141bの上に設けられ、導電層141bに電気的に接続される。導電体155は、絶縁層142b、絶縁層143b、絶縁層151、絶縁層153、および絶縁層154をZ軸方向に貫通する。導電体155は、例えば銅やタングステン等の金属を含む。
【0055】
導電体161は、導電体155の上に設けられ、導電体155に電気的に接続される。導電体161は、例えば銅やタングステン等の金属を含む。導電体161は、積層であってもよい。
【0056】
絶縁層162は、絶縁層154の上に設けられる。絶縁層162は、例えば、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。
【0057】
図3に示すメモリセルアレイ11を形成する場合、酸化物半導体層121から酸素が脱離しやすい。酸素が脱離するとメモリトランジスタMTRの閾値電圧が負の方向にシフトしてメモリトランジスタMTRの電気特性が悪化する。そこで、酸化物半導体層121の形成後に酸素雰囲気下で熱処理を行うことにより、酸化物半導体層121に酸素を供給する。これにより、メモリトランジスタMTRの閾値電圧のシフトを抑制できる。絶縁層151は、例えば化学気相成長法(CVD)により形成可能であるが、形成時に発生する熱でも酸化物半導体層121から酸素が脱離しやすいため、絶縁層151の形成後に酸素雰囲気下で熱処理を行うことが好ましい。
【0058】
しかしながら、絶縁層151の形成後に熱処理を行う場合、酸化物半導体層121への酸素の供給効率が低い場合がある。これは、絶縁層151が厚くなるほど顕著となる。酸化物半導体層121への酸素の供給効率が低下すると、メモリトランジスタMTRの閾値電圧のシフトを十分に抑制することが困難となる。これは、メモリトランジスタMTRの動作不良の原因となり、半導体装置の信頼性を低下させる。
【0059】
これに対し、本実施形態の半導体装置のメモリセルアレイは、空隙を有する絶縁層151を備えることにより、半導体装置の信頼性の低下を抑制できる。空隙を有する絶縁層151を備えるメモリセルアレイの具体的な構造例について以下に説明する。
【0060】
(メモリセルアレイの第1の構造例)
図4は、実施形態のメモリセルアレイ11の第1の構造例を説明するための断面模式図である。以下では
図3と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図3の説明を適宜援用できる。
【0061】
図4に示すメモリセルアレイ11は、
図3に示す絶縁層151に設けられた空隙S2をさらに具備する。空隙S2は、例えばY軸方向に延在する。空隙S2は、例えばホール形状でもよい。空隙S2は、例えば空気で満たされていてもよい。
【0062】
絶縁層151の形成時に絶縁層151中に空孔(ポア)が生じる場合がある。空隙S2は、空孔よりもはるかに大きいサイズを有する。空隙S2は、空隙S1の上方に設けられる。また、空隙S1と空隙S2は、X-Y平面において少なくとも一部が重なる位置に設けられていればよい。空隙S1と重なる位置に空隙S2を形成することにより、酸化物半導体層121への酸素の供給効率を高めることができる。
【0063】
図5は、実施形態のメモリセルアレイ11の第1の構造例を説明するための平面模式図である。なお、
図5は、メモリセルMCと、導電体130と、導電層141aと、を示し、その他の構成要素は便宜のため図示を省略している。
【0064】
複数の導電層141a(ビット線BL)は、Y軸方向に延在し、X軸方向に互いに離れて配置される。各導電層141aは、Y軸方向において、複数のメモリセルMCに重なる。
【0065】
複数のメモリセルMCは、
図5に示すようにX-Y平面においてマトリクス配置を形成する。なお、メモリセルMCの数は、特に限定されない。
【0066】
空隙S2は、Y軸方向に延在する。空隙S2は、例えば、複数の導電層141a(ビット線BL)の間に設けられる。
【0067】
(第1の構造例の製造方法例)
第1の構造例の製造方法例について
図6、
図7、
図8、および
図9を参照して説明する。
図6ないし
図9は、第1の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
図6ないし
図9は、X軸およびZ軸を含む断面を示す。なお、ここでは、絶縁層151aの形成から熱処理を行うまでの製造工程について説明する。
【0068】
図6に示すように、絶縁層143aおよび絶縁層144の上に絶縁膜(下部絶縁層)151aを形成する。絶縁膜151aは、例えば減圧CVD法(LP-CVD)やプラズマCVD法(PE-CVD)等のCVDを用いて形成可能である。
【0069】
次に、
図7に示すように、絶縁膜151aを部分的に除去することにより、凹部Dを形成する。絶縁膜151aは、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてマスク層を形成し、当該マスク層を用いたドライエッチングやウェットエッチング等のエッチングにより絶縁膜151aを部分的に除去可能である。凹部Dは、形成される空隙S2の形状に応じて適宜設定される。
【0070】
次に、
図8に示すように、絶縁膜151aおよび凹部Dの上に絶縁膜(上部絶縁層)151bを形成し、絶縁膜151bを平坦化する。絶縁膜151bは、絶縁膜151aよりもカバレッジ(段差被覆性)が悪いことが好ましい。これにより、凹部Dを埋めることなく絶縁膜151bを形成できる。これにより、絶縁膜151aと絶縁膜151bとの間に空隙S2を形成できる。空隙S2と同様に、複数の絶縁膜を用いて空隙S1を形成してもよい。
【0071】
絶縁膜151bは、例えばLP-CVDやPE-CVD等のCVDを用いて形成可能である。絶縁膜151bは、例えば反応性イオンエッチング(RIE)や化学機械研磨(CMP)により平坦化される。
【0072】
絶縁膜151aと絶縁膜151bとの積層は、絶縁層151を形成する。なお、絶縁膜151aと絶縁膜151bとの界面は、必ずしも視認されない。
【0073】
次に、
図9に示すように、酸素を含む雰囲気下で熱処理を行うことにより、空隙S1および空隙S2を介して酸素を酸化物半導体層121に供給する。その他の構成要素の形成方法については、既知の方法を用いることができる。以上が第1の構造例の製造方法例の説明である。
【0074】
以上のように、第1の構造例は、空隙S2を有する絶縁層151を備え、酸素を含む熱処理により、絶縁層151が厚い場合であっても酸化物半導体層121に酸素を供給しやすくすることができる。これにより、半導体装置の信頼性の低下を抑制できる。
【0075】
(第1の構造例の変形例)
図10は、第1の構造例の第1の変形例を説明するための平面模式図である。
図10は、X軸およびY軸を含む平面模式図である。
図10に示すメモリセルアレイは、
図5に示す構造例と比較して空隙S2を複数の空隙S2aに区切る領域152aを有する点が異なる。以下では
図5と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図5の説明を適宜援用できる。
【0076】
領域152aは、Y軸方向に沿う複数の空隙S2aの間に設けられる。領域152aは、絶縁層151の空隙S2を有しない部分である。よって、領域152aは、シリコンと、酸素と、を含む。領域152aを形成することにより、
図1に示すメモリセルアレイ11を含む領域101aにおける空隙S2の密度(体積割合)を調整できる。空隙S2の密度とは、絶縁層151の体積に対する、空隙S2の体積の割合である。空隙S2の密度が高いと、絶縁層151の収縮が起こり易くなる。このため、空隙S2の密度を調整することがある。
【0077】
図11は、第1の構造例の第2の変形例を説明するための平面模式図である。
図11は、X軸およびY軸を含む平面模式図である。
図10に示すメモリセルアレイは、
図5に示す構造例と比較してX軸方向に並んだ複数の空隙S2の間に領域152bを有する点が異なる。以下では
図5と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図5の説明を適宜援用できる。
【0078】
領域152bは、X軸方向において、複数の空隙S2の間であって、且つ複数の導電層141aの間に設けられる。領域152bは、絶縁層151の空隙S2を有しない部分である。よって、領域152bは、シリコンと、酸素と、を含む。領域152b形成することにより、例えば
図1に示すメモリセルアレイ11を含む領域101aにおける空隙S2の密度(体積割合)を調整できる。
【0079】
なお、第1の構造例において、
図1に示すメモリセルアレイ11を含む領域101aの空隙S2の密度(体積割合)は、
図1に示す周辺回路12を含む領域101bの空隙S2の密度(体積割合)よりも高い。例えば、X-Y平面において、領域101aにおける絶縁層151の面積に対する空隙S2の面積の割合は、領域101bにおける絶縁層151の面積に対する空隙S2の面積の割合より大きい。例えば、X-Y平面において、領域101aの絶縁層151の単位面積当たりの空隙S2の個数は、領域101bにおける絶縁層151の単位面積当たりの空隙S2の個数より多い。
【0080】
(メモリセルアレイの第2の構造例)
図12は、メモリセルアレイ11の第2の構造例を説明するための断面模式図であり、
図13は、メモリセルアレイ11の第2の構造例を説明するための平面模式図であり、X軸と、Y軸と、を含む平面模式図である。
【0081】
図12に示すメモリセルアレイ11は、第1の構造例と同様に絶縁層151に設けられた空隙S2をさらに具備する。
【0082】
空隙S2は、例えば絶縁層151の形成時に絶縁層151中に生じる空孔(ポア)よりもはるかに大きいサイズを有する。空隙S2は、空隙S1の上方に設けられる。空隙S2は、例えば空気で満たされていてもよい。空隙S1と重なる位置に空隙S2を形成することにより、酸化物半導体層121への酸素の供給効率を高めることができる。以下では第1の構造例と異なる部分について説明し、その他の部分については、第1の構造例の説明を適宜援用できる。
【0083】
複数のメモリセルMCは、
図13に示すようにX-Y平面において千鳥配置を形成する。複数のメモリセルMCがX軸方向に並んで配列され、一つの行を形成する。当該一つの行に対してY軸方向に隣り合い、X軸方向に並ぶ複数のメモリセルMCは、当該一つの行のメモリセルMCに対してX軸方向にずれて配置される。これにより、メモリセルMCの集積度を高めることができる。なお、メモリセルMCの数は、特に限定されない。
【0084】
図12に示す導電層132は、切り欠き面132aを有する。例えば、導電層132の上部におけるX軸方向の長さは、導電層132の下部におけるX軸方向の長さより短い。例えば、導電層132の上部におけるY軸方向の長さは、導電層132の下部におけるY軸方向の長さより短い。切り欠き面132aを形成することにより、酸化物半導体層121までの酸素の供給経路を広くすることができるため、空隙S1および空隙S2を介して酸素を酸化物半導体層121に供給しやすくできる。例えば、絶縁層144のX軸方向の長さを長くすることや、空隙S1から酸化物半導体層121までの距離を短くすることができる、切り欠き面132aは、例えば積層体140aをマスク層として用いたエッチングにより導電層132を部分的に除去することにより形成可能である。
【0085】
第2の構造例では、空隙S2を有する絶縁層151を備え、酸素を含む熱処理により、絶縁層151が厚い場合であっても酸化物半導体層121に酸素を供給しやすくすることができる。これにより、半導体装置の信頼性の低下を抑制できる。なお、空隙S2は、第1の構造例と同様の方法により形成可能である。
【0086】
(第2の構造例の変形例)
図14は、第2の構造例の第1の変形例を説明するための平面模式図である。
図14は、X軸およびY軸を含む平面模式図である。
図14に示すメモリセルアレイは、
図12および
図13に示す構造例と比較して空隙S2を複数の空隙S2bに区切る領域152cを有する点が異なる。以下では
図12および
図13と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図12および
図13の説明を適宜援用できる。
【0087】
領域152cは、Y軸方向に沿う複数の空隙S2bの間に設けられる。領域152cは、絶縁層151の空隙S2を有しない部分である。よって、領域152cは、シリコンと、酸素と、を含む。領域152cを形成することにより、例えば
図1に示すメモリセルアレイ11を含む領域101aにおける空隙S2の密度(体積割合)を調整できる。
【0088】
図15は、第2の構造例の第2の変形例を説明するための平面模式図である。
図15は、X軸およびY軸を含む平面模式図である。
図15に示すメモリセルアレイは、
図12および
図13に示す構造例と比較して複数の空隙S2の間に領域152dを有する点が異なる。以下では
図12および
図13と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図12および
図13の説明を適宜援用できる。
【0089】
領域152dは、X軸方向において、複数の空隙S2bの間であって、且つ複数の導電層141aの間に設けられる。領域152dは、絶縁層151の空隙S2を有しない部分である。よって、領域152dは、シリコンと、酸素と、を含む。領域152d形成することにより、例えば
図1に示すメモリセルアレイ11を含む領域101aにおける空隙S2の密度(体積割合)を調整できる。
【0090】
なお、メモリセルアレイ11の第2の構造例において、
図1に示す領域101aの空隙S2の密度(体積割合)は、
図1に示す領域101bの空隙S2の密度(体積割合)よりも高い。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1…半導体装置、11…メモリセルアレイ、12…周辺回路、101…半導体基板、101a…領域、101b…領域、102…電界効果トランジスタ、111…導電体、113…絶縁体、115…電気伝導体、116…導電性酸化物層、117a…導電体、117b…導電体、118…絶縁層、119…絶縁層、121…酸化物半導体層、122…導電層、123…絶縁層、124a…導電体、124b…導電体、125…絶縁層、126…導電層、127…絶縁層、128…絶縁層、129…絶縁層、130…導電体、131…導電性酸化物層、132…導電層、132a…切り欠き面、133…導電層、134…導電体、140…積層体、140a…積層体、140b…積層体、141a…導電層、141b…導電層、142a…絶縁層、142b…絶縁層、143a…絶縁層、143b…絶縁層、144…絶縁層、151…絶縁層、151a…絶縁膜、151b…絶縁膜、152a…領域、152b…領域、152c…領域、152d…領域、153…絶縁層、154…絶縁層、155…導電体、161…導電体、162…絶縁層。