(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044129
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】状態評価システム、プログラム、補正方法、及びサーバ装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61B5/16 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149492
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峯邑 隆司
(72)【発明者】
【氏名】西村 信孝
(72)【発明者】
【氏名】黄 静君
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PS01
(57)【要約】
【課題】対象者が滞在する環境に応じて対象者の状態の評価精度が低下してしまうことを抑制することができる。
【解決手段】実施形態の状態評価システムは、取得部と、算出部と、補正部と、を備える。前記取得部は、第1環境の1以上のセンサが計測した対象者の第1生体情報と、第2環境の1以上のセンサが計測した対象者の第2生体情報とを取得する。前記算出部は、前記第1生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第1評価値と、前記第2生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第2評価値とを算出する。前記補正部は、前記第1評価値に基づいて、前記第2評価値を前記第1評価値に近似させる補正処理を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1環境の1以上のセンサが計測した対象者の第1生体情報と、第2環境の1以上のセンサが計測した対象者の第2生体情報とを取得する取得部と、
前記第1生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第1評価値と、前記第2生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第2評価値とを算出する算出部と、
前記第1評価値に基づいて、前記第2評価値を前記第1評価値に近似させる補正処理を実行する補正部と、
を備える状態評価システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記第1生体情報の計測精度よりも計測精度が低い前記第2生体情報を取得する、
請求項1に記載の状態評価システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記第1環境に設置された1以上のセンサと同一のセンサが設置される前記第2環境で計測された前記第2生体情報を取得する、
請求項1に記載の状態評価システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記第1生体情報と、前記第1生体情報と対象者及び時期が同一の前記第2生体情報とを取得し、
前記算出部は、前記第1生体情報に基づいた前記第1評価値と、前記第2生体情報に基づいた前記第2評価値とを算出し、
前記補正部は、前記第1評価値と前記第2評価値とに相関関係が有る場合に、前記補正処理を実行する、
請求項1に記載の状態評価システム。
【請求項5】
前記第2環境に設置された1以上のセンサのうち、対象者の状態を計測できない状態のセンサを計測可能な状態に変更する活性化部を更に備える、
請求項1に記載の状態評価システム。
【請求項6】
前記算出部は、複数の対象者の前記第1生体情報に基づいた前記第1評価値と、特定の対象者の前記第2生体情報に基づいた前記第2評価値とを算出する、
請求項1に記載の状態評価システム。
【請求項7】
前記第1評価値に基づいて、前記第2評価値を前記第1評価値に近似させる補正関数を導出する導出部を更に備え、
前記補正部は、前記第1評価値に基づいた前記補正関数により前記補正処理を実行する、
請求項1に記載の状態評価システム。
【請求項8】
前記導出部は、前記補正関数を算出してから設定期間が経過した場合に、前記補正関数を導出する、
請求項7に記載の状態評価システム。
【請求項9】
前記導出部は、前記第1評価値と前記第2評価値との相関係数が閾値未満に変化した場合に、前記補正関数を導出する、
請求項7に記載の状態評価システム。
【請求項10】
前記取得部は、前記第1生体情報、又は前記第2生体情報の取得を予約し、予約により取得された前記第1生体情報、又は前記第2生体情報を取得する、
請求項1に記載の状態評価システム。
【請求項11】
前記第1生体情報、又は前記第2生体情報を送信した情報処理装置に、前記補正処理により補正した評価値を出力する出力部を更に備える、
請求項1に記載の状態評価システム。
【請求項12】
前記取得部は、前記第1生体情報、又は前記第2生体情報を送信した情報処理装置に対する生体認証により入力された前記第1生体情報又は前記第2生体情報を取得する、
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の状態評価システム。
【請求項13】
サーバ装置を、
第1環境の1以上のセンサが計測した対象者の第1生体情報と、第2環境の1以上のセンサが計測した対象者の第2生体情報とを取得する取得部と、
前記第1生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第1評価値と、前記第2生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第2評価値とを算出する算出部と、
前記第1評価値に基づいて、前記第2評価値を前記第1評価値に近似させる補正処理を実行する補正部と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項14】
第1環境の1以上のセンサが計測した対象者の第1生体情報と、第2環境の1以上のセンサが計測した対象者の第2生体情報とを取得し、
前記第1生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第1評価値と、前記第2生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第2評価値とを算出し、
前記第1評価値に基づいて、前記第2評価値を前記第1評価値に近似させる補正処理を実行する、
ことを含む補正方法。
【請求項15】
前記第1環境の1以上のセンサのうち、前記第2環境の1以上のセンサと同一又は類似のセンサの第2生体情報に基づき、疑似的な前記第2生体情報である疑似第2生体情報を生成し、
前記第1生体情報と、前記疑似第2生体情報とに基づいて前記第2評価値を算出し、
前記第1評価値に基づいて、前記第2評価値を前記第1評価値に近似させる補正処理を実行する、
請求項14に記載の補正方法。
【請求項16】
第1環境の1以上のセンサが計測した対象者の第1生体情報と、第2環境の1以上のセンサが計測した対象者の第2生体情報とを取得する取得部と、
前記第1生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第1評価値と、前記第2生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第2評価値とを算出する算出部と、
前記第1評価値に基づいて、前記第2評価値を前記第1評価値に近似させる補正処理を実行する補正部と、
を備えるサーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、状態評価システム、プログラム、補正方法、及びサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサにより対象者の生体情報を取得することで対象者の状態を把握する研究が行われている。このような技術は、複数の様々なセンサにより計測された生体情報に基づいて、対象者の状態を評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、対象者が滞在する環境に応じて、対象者を計測するセンサの個数や種類や感度は異なっている。そのため、対象者が滞在する環境が変わることに従い、対象者の状態を評価する精度が低下してしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、対象者が滞在する環境に応じて対象者の状態の評価精度が低下してしまうことを抑制する状態評価システム、プログラム、補正方法、及びサーバ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の状態評価システムは、取得部と、算出部と、補正部と、を備える。前記取得部は、第1環境の1以上のセンサが計測した対象者の第1生体情報と、第2環境の1以上のセンサが計測した対象者の第2生体情報とを取得する。前記算出部は、前記第1生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第1評価値と、前記第2生体情報に基づいて前記対象者の状態を数値化した第2評価値とを算出する。前記補正部は、前記第1評価値に基づいて、前記第2評価値を前記第1評価値に近似させる補正処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の状態評価システムの概略の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る評価サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る評価サーバ及び情報処理装置が有する機能の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、蓄積部により蓄積された生体情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、環境ごとの評価値の一例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る評価サーバが実行する設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例1に係る評価サーバが実行する適用処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例2に係る情報処理装置が実行する伝送処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、状態評価システム、プログラム、補正方法、及びサーバ装置を詳細に説明する。なお、以下の各実施形態および変形例における説明において、同一の符号が付されている部分は実質的に同一の機能を有しており、重複部分については適宜説明を省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の状態評価システム1の概略の一例を示す図である。状態評価システム1は、従業員が勤務する会社のオフィス等の第1環境2と、自宅などの第2環境3とにおいて、従業員の状態を評価するシステムである。また、状態を評価する対象者は、従業員に限らず、顧客であってもよいし、取引先の者であってもよいし、他の者であってもよい。
【0010】
さらに詳しくは、第1環境2は、従業員の状態を計測するセンサ40が1以上設置された環境である。第1環境2に設置されるセンサ40は、第1センサの一例である。第2環境3は、従業員の状態を計測するセンサ40が1以上設置されているが、第1環境2よりも従業員の状態を計測する精度が低い環境である。第2環境3に設置されるセンサ40は、第2センサの一例である。なお、第1環境2は、オフィスに限らず、会議室であってもよいし、1以上のセンサ40が設置された専用部屋であってもよいし、他の環境であってもよい。また、第2環境3は、自宅に限らず、テレワークを行う専用の部屋であってもよいし、他の環境であってもよい。
【0011】
状態評価システム1は、評価サーバ10、認証サーバ20、情報処理装置30、複数のセンサ40、携帯用情報処理装置50、GW60、及び環境センサ70を備える。評価サーバ10、認証サーバ20、情報処理装置30、及び携帯用情報処理装置50は、ネットワーク80を介して通信可能に接続されている。環境センサ70及び一部のセンサ40は、GW60を介して同様に通信可能に接続されている。なお認証サーバ20の機能は、評価サーバ10の内部に備えていてもよい。
【0012】
センサ40は、従業員の状態を計測する生体センサである。センサ40は、例えば、従業員の鼓動を計測する心電センサや、従業員の動作を計測する加速度センサや、従業員の体温を計測する赤外線センサや、従業員の顔画像を撮影するカメラ等である。センサ40は、情報処理装置30と通信可能に接続される。そして、センサ40は、従業員の状態を計測した計測結果である生体情報を情報処理装置30に送信する。また、センサ40は、GW60を介して生体情報をアップロードしてもよい。
【0013】
携帯用情報処理装置50は、スマートフォン、フィーチャーフォン、又は電子手帳などの顔認証や指紋認証などの生体認証が多用される携帯用の機器である。
【0014】
GW60は、ゲートウェイの機能を有する機器であって、たとえばMFP(多機能プリンタ)であってもよく、また必ずしもユーザ操作が可能な機器でなくてもよい。
【0015】
環境センサ70は、温湿度、CO2濃度、照度などの環境に関わる情報であって、評価サーバ10に接続されていてもよい。
【0016】
第1環境2の1以上のセンサ40の一部は、第2環境3に設置されてもよい。すなわち、1以上のセンサ40の一部は、第1環境2と第2環境3とで共用されてもよい。また、
図1に示すセンサ40は、情報処理装置30を介して、評価サーバ10と接続されている。しかしながら、センサ40は、情報処理装置30を介さずに、評価サーバ10と接続してもよい。
【0017】
情報処理装置30は、ラップトップ型のパーソナルコンピュータや、タブレット端末などの携帯可能な装置である。情報処理装置30は、1以上のセンサ40と接続される。情報処理装置30は、センサ40の一部を内蔵していてもよい。情報処理装置30は、1以上のセンサ40から送信された生体情報を評価サーバ10に送信する。また、情報処理装置30は、第1環境2と第2環境3と共用されてもよいし、第1環境2と第2環境3とで別々の装置であってもよい。また、情報処理装置30は、処理をせず、評価サーバ10へデータのみを伝送する場合は、GW60(ゲートウェイ)機能を有していればよい。
【0018】
認証サーバ20は、従業員の認証と、評価サーバ10に対するアクセスを許可するか否かの認可処理とを実行するサーバ装置である。情報処理装置30は、認証サーバ20により認証され、認可された場合に、生体情報を評価サーバ10に送信する。
【0019】
評価サーバ10は、生体情報に基づいて、従業員の状態を示す評価値を算出する。評価値とは、従業員の評価対象の内容を数値化した情報である。例えば、評価値は、従業員の業務に対する集中度である。なお、評価値は、集中度に限らず、従業員の健康の度合いを示す健康度であってもよいし、他の内容を数値化したものであってもよい。
【0020】
ここで、第1環境2と、第2環境3とは、従業員の状態を計測するセンサ40が複数設置されている。しかしながら、第1環境2と、第2環境3とは、設置されているセンサ40の種類が異なり、計測精度も異なっている。そのため、従業員は、第1環境2に滞在中と、第2環境3に滞在中とで同じ状態であっても、第1環境2における生体情報と、第2環境3における生体情報とは異なる場合がある。
【0021】
この場合、評価サーバ10は、生体情報に基づいて顧客の評価値を算出すると、異なる数値の評価値となってしまう。すなわち、第1環境2と、第2環境3とにおいて、実際には従業員の集中度は、差異は無いにも関わらず、在宅環境などの第2環境3では集中度が低いと判定されてしまう。そこで、評価サーバ10は、第1環境2と第2環境3とにおいて、センサ40の計測精度の差異による評価値の差異を補正する処理を実行する。これにより、評価サーバ10は、従業員が滞在する環境に応じて従業員の状態の評価精度が低下してしまうことを抑制する。
【0022】
次に、評価サーバ10及び情報処理装置30のハードウェア構成について説明する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る評価サーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。認証サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、記憶装置104、及び通信インタフェース105を備える。
【0024】
CPU101は、評価サーバ10を統括的に制御するプロセッサである。RAM102は、各種プログラムやパラメータを記憶する不揮発性の主記憶装置である。ROM103は、CPU101の作業領域を提供する揮発性の補助記憶装置である。記憶装置104は、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置である。
【0025】
CPU101は、ROM103や記憶装置104に記憶されたプログラムに従い、RAM102をワーキングエリアに使用して各種演算処理を実行する。
【0026】
通信インタフェース105は、ネットワーク80を介して、情報処理装置30、携帯用情報処理装置50、及び認証サーバ20との通信を実行する。
【0027】
図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置30は、CPU301、RAM302、ROM303、記憶装置304、通信インタフェース305、接続インタフェース306、操作部307、及び表示部308を備える。
【0028】
CPU301は、情報処理装置30を統括的に制御するプロセッサである。RAM302は、各種プログラムやパラメータを記憶する不揮発性の主記憶装置である。ROM303は、CPU301の作業領域を提供する揮発性の補助記憶装置である。記憶装置304は、HDDや、SSDなどの補助記憶装置である。
【0029】
CPU301は、ROM303や記憶装置304に記憶されたプログラムに従い、RAM302をワーキングエリアに使用して各種演算処理を実行する。
【0030】
通信インタフェース305は、ネットワーク80を介して、認証サーバ20、又は評価サーバ10との通信を実行する。
【0031】
接続インタフェース306は、センサ40と通信可能に接続するインタフェースである。例えば、接続インタフェース306は、ブルートゥース(登録商標)、無線LANなどの近距離無線通信やケーブルなどの有線によりセンサ40と接続する。
【0032】
操作部307は、キーボードやマウス等の各種操作を受け付ける装置である。
【0033】
表示部308は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示装置である。
【0034】
また、携帯用情報処理装置50は、前出の情報処理装置30と同様のハードウェアを有しているため、説明を省略する。
【0035】
次に、評価サーバ10及び情報処理装置30が有する機能について説明する。
【0036】
図4は、第1の実施形態に係る評価サーバ10及び情報処理装置30が有する機能の一例を示す図である。
【0037】
情報処理装置30のCPU301は、ROM303や記憶装置304に記憶されたプログラムに従い、RAM302をワーキングエリアに使用して各種処理を実行することで、
図4に示す機能を実現する。すなわち、情報処理装置30は、ログイン部3001、取得部3002、センサ活性化部3003、暗号化部3004、送信部3005、評価値算出部3006、及び補正処理部3007を有する。なお、これら機能は、集積回路などのハードウェアにより実現されてもよい。
【0038】
ログイン部3001は、評価サーバ10に対するログインに関する操作を受け付ける。例えば、ログイン部3001は、生体認証により従業員を認証する操作を受け付ける。すなわち、ログイン部3001は、顔や指紋や静脈などの従業員の生体情報をセンサ40等から取得する操作を受け付ける。ログイン部3001は、生体情報を取得した場合に、生体情報を認証サーバ20に送信する。
【0039】
ログイン部3001は、認証サーバ20により従業員が認証された場合に、従業員を認証したことを示すトークンを受信する。ログイン部3001は、認証サーバ20から受信したトークンを評価サーバ10に送信することで、評価サーバ10にログインする。なお、ログイン部3001は、生体認証に限らず、ユーザIDとパスワードとを受け付けることで従業員を認証するものであってもよい。
【0040】
取得部3002は、接続インタフェース306を介して接続された1以上のセンサ40から生体情報を取得する。すなわち、取得部3002は、1以上のセンサ40のそれぞれから生体情報を取得する。
【0041】
センサ活性化部3003は、接続インタフェース306を介して接続されたセンサ40を計測可能な状態にする。例えば、センサ活性化部3003は、カメラに撮影を開始させたり、従業員の状態の計測を開始させたりする。例えば、センサ活性化部3003は、センサ40の活性化を要求する活性化要求を受信した場合に、センサ40を計測可能な状態にする。
【0042】
暗号化部3004は、評価サーバ10に送信する生体情報を暗号化する。すなわち、暗号化部3004は、取得部3002により1以上のセンサ40のそれぞれから生体情報が取得された場合に、それぞれの生体情報を暗号化する。
【0043】
送信部3005は、暗号化部3004により暗号化された生体情報を評価サーバ10に送信する。さらに詳しくは、送信部3005は、生体情報と、従業員情報と、環境情報と、センサ情報とを関連付けて送信する。生体情報は、センサ40により計測された従業員の状態を示す情報であって、暗号化部3004により暗号化された情報である。従業員情報は、情報処理装置30にログインしている従業員を示す情報である。例えば、従業員情報は、従業員を特定するための従業員ID等である。環境情報は、センサ40により生体情報が取得された環境を示す情報である。例えば、環境情報は、第1環境2と第2環境3との何れの環境であるかを示す情報である。環境センサ情報は、環境センサ70により収集される生体情報以外の情報である。さらに、送信部3005は、環境センサ情報を他の情報と関連付けて送信してもよい。環境センサ情報は、温湿度や照度、CO2濃度、GPS(Global Positioning System)などによる位置情報、などの環境センサ70により収集された情報を含む。これは生体情報が、測定される環境の温度、湿度、風量、照度他の環境の影響を受けるため、収集しておく。例えば、暑い部屋にいる時と、適温の部屋にいる時とでは、生体情報に影響を与えるためである。センサ情報は、生体情報を取得したセンサ40を示す情報である。例えば、センサ情報は、センサ40を識別するためのセンサIDである。
【0044】
評価値算出部3006は、後述する評価値算出部1005が有する機能の全部又は一部と同一の機能を有する。すなわち、生体情報の積和計算に基づき評価値を算出する。補正処理部3007は、後述する評価値算出部1005が有する機能の全部又は一部と同一の機能を有する。このように、情報処理装置30は、生体情報をそのまま評価サーバ10に送信してもよいし、情報処理装置30で評価値を算出して、評価値を評価サーバ10に送信してもよい。評価値を評価サーバ10に送信する場合、生体情報を評価サーバ10に送信しないため、個人情報保護上の安全度を向上させることができる。また、情報処理装置30は、送信するデータ量も生体情報を送る場合に比べて減らすことができる。なお、情報処理装置30は、評価値算出部3006と補正処理部3007とを有していなくてもよい。
【0045】
評価サーバ10のCPU101は、ROM103や記憶装置104に記憶されたプログラムに従い、RAM102をワーキングエリアに使用して各種処理を実行することで、
図4に示す機能を実現する。すなわち、評価サーバ10は、ログイン部1001、取得部1002、復号化部1003、蓄積部1004、評価値算出部1005、適用処理部1006、補正処理部1007、及び出力部1008を有する。なお、これら機能は、集積回路などのハードウェアによる実現されてもよい。
【0046】
ログイン部1001は、従業員が認証されたことを示すトークンを受信した場合に、トークンが示す従業員のログインを受け付ける。また、ログイン部1001は、ログインした従業員が評価サーバ10に未登録の場合に、従業員を新規登録する。認証サーバ20を経由する場合は、情報処理装置30は、オーソライズされた従業員であることを認証サーバ20で確認し、評価サーバ10へのアクセスができるようになる。
【0047】
取得部1002は、1以上のセンサ40により取得された生体情報を情報処理装置30から受信する。さらに詳しくは、取得部1002は、関連付けられた生体情報と、従業員情報と、環境情報と、センサ情報とを情報処理装置30から受信する。図示を省略しているが一部のセンサ40および環境センサ70からの情報についても、取得部1002で受信する。
【0048】
ここで、環境情報には、生体情報が取得された環境が第1環境2であるか、又は第2環境3であるかが示されている。すなわち、取得部1002は、第1環境2の1以上のセンサ40が計測した対象者の生体情報である第1生体情報と、第2環境3の1以上のセンサ40が計測した対象者の生体情報である第2生体情報とを取得する。
【0049】
また、第1環境2は、オフィス環境などのセンサ40が多数あることが想定されており、第2環境3は、第1環境2よりもセンサ40が少ない在宅環境等が想定されている。すなわち、取得部1002は、第1生体情報の計測精度よりも計測精度が低い第2生体情報を取得する。第2環境3で利用予定のセンサ40は、第1環境2に持ち込まれた状態で計測を行ってもよい。第2環境3で利用予定のセンサ40を持ち込み、計測する方法により、評価サーバ10は、精度高く補正関数を求めることができる。
【0050】
また、第1環境2には、第2環境3にも設置されるセンサ40が設置されてもよい。すなわち、取得部1002は、第1環境2の1以上のセンサ40と同一のセンサ40が設置される第2環境3で計測された第2生体情報を取得してもよい。
【0051】
復号化部1003は、取得部1002が取得した、暗号化された生体情報を復号化する。
【0052】
蓄積部1004は、従業員、環境、及びセンサ40ごとに、生体情報を時系列順に蓄積する。これにより、蓄積部1004は、環境、及びセンサ40ごとに、従業員の状態を把握するためのデータを蓄積する。すなわち、蓄積部1004は、生体情報と、従業員情報と、環境情報と、センサ情報とを関連付けて記憶装置104などに記憶させる。
【0053】
図5は、蓄積部1004により蓄積された生体情報の一例を示す図である。なお、
図5は、説明の容易さのためにセンサ40により計測された生データを示しているが、実際の伝送時では、
図9で述べる処理などにより十分な秘匿性を有するデータ形態に変換している。万一伝送路でハッキングされるようなことが発生しても、生体情報という個人情報は、守られる。
【0054】
個人情報を守る別な方法として、情報処理装置30は、後述の
図6に示す評価値と、第1環境2に設置されたセンサ40の構成とその評価値v(t)ならびに第2環境3に設置されたセンサ40の構成とその評価値v‘(t)と、さらに加えるならば、それぞれの評価値を算出した数式(1)とを評価サーバ10へ送信し、生体情報を直接送信しない方法もある。この場合、補正処理部1007は、
図6のグラフの補正関数、例えば、数式(3)を求め、情報処理装置30に返信する。このとき、第2環境3に設置された情報処理装置30が、必要な情報は補正関数であるため、直接生体情報を送る必要はない。なお、数式(3)で用いられるv’(t)は、平均化処理をサーバ側で加えた数式(4)をもちいてもよく、その場合の数式(3)は、数式(5)で表現できる。
【0055】
例えば、一連の起動処理において情報処理装置30は、認証サーバ20により認証され評価サーバ10にアクセスした際に、評価サーバ10から補正関数を自動でダウンロードする方法である。こうすれば、情報処理装置30は、以降評価サーバ10にアクセスする必要なく、第2環境3でセンサ40より収集した生体情報に対して、補正処理が可能となる。
図5は、第1環境2において、心電センサ、加速度センサ、赤外線センサ、及びカメラにより特定の従業員の状態を計測した生体情報を時系列順に並べた状態を示している。心電センサは、従業員の脈拍を計測するセンサ40である。加速度センサは、従業員の動きを計測するセンサ40である。例えば、加速度センサは、従業員の椅子に取り付けられている。赤外線センサは、従業員の顔の表面皮膚温度を計測するセンサ40である。カメラは、従業員の顔を撮影するセンサ40である。
【0056】
図5に示す時間Tにおいて、心電センサの生体状態は、脈拍のリズムが乱れていることを示し、加速度センサの生体状態は、従業員が活発に動作したことを示し、赤外線センサの生体状態は、大きな変化が無いことを示し、カメラの生体状態は、従業員が驚いた表情になったことを示している。
【0057】
図5に示す時間Tにおける個々のセンサ40の生体情報では、従業員の状態を把握ることは困難である。時間Tの前後の生体情報を含めて、各センサ40の生体情報を総合的に解析することで、従業員は、時間Tに驚いた状態になり、徐々に落ち着きを取り戻したことがわかる。したがって、蓄積部1004は、従業員、環境、及びセンサ40ごとに、生体情報を時系列順に蓄積することで評価値の精度を高めることができる。例えば、脈波センサ単体で最初に測定した場合、評価サーバ10は、脈拍のリズムが乱れていることが何に起因しているのか推測ができない。しかし、評価サーバ10は、多数のセンサ40からの総合的な情報により、従業員が驚いていることがわかる。この次に類似の脈拍のリズムの乱れが計測された場合、従業員が驚いた可能性があると推測することができる。蓄積部1004は、このような従業員用の知見、あるいは一般化した知見として蓄積しておくことができる。
【0058】
評価値算出部1005は、第1生体情報に基づいて対象者の状態を数値化した評価値である第1評価値と、第2生体情報に基づいて対象者の状態を数値化した評価値である第2評価値とを算出する。すなわち、評価値算出部1005は、従業員、及び環境ごとに各センサ40により取得された生体情報に基づいて、従業員の状態を数値化した評価値を算出する。例えば、数式(1)に示すように、評価値算出部1005は、従業員、環境、及びセンサ40ごとに生体情報に重みを付けた積和演算により評価値を算出する。
【0059】
【0060】
数式(1)で用いられている変数の説明をする。数式(1)の左側のv(t)は、時間軸における評価値(Value)を示す。個々のセンサ40による評価値は、必ずしも時間軸上の値である必要はなく、例えば振動系の生体情報など、得られた時間軸上の生体情報を、DFT(Digital Fourier Transform)により周波数軸で表したほうが特徴を表しやすくなる場合もある。この場合においても、時間軸における評価値を与えることによって、最終的に複数のセンサ40による評価値は、時間軸上で一貫して算出できる。b0はセンサ40またはノイズとして発生するオフセット量を表わす。積分出力を出力するセンサ40があれば、b0は、時間軸上で変化するb0(t)となるが、ここでは簡単のためにb0は時間軸上不変な、各センサ40の積和処理により発生する一定値のオフセット量である。N0は、測定する環境にあるセンサ数である。
【0061】
このような場合において、L=1からL=N0、すなわちN0個のセンサ40が設置されていて、各センサ40が同一のクロックをもとにサンプリングを行い、生体情報を収集する。そして、評価値算出部1005は、重み付け積和計算により評価値v(t)を算出する。
【0062】
各センサ40は、k=0からk=Tまでの時間データ収集をする。サンプリングピッチをΔTとしたとき、T=ΔT×(k-1)の関係が成立する。時刻kで収集された、L番目のセンサ40による生体情報(VL(Tk))は、L番目のセンサ40に与えた係数aLによる重み付けをする。センサ40間のサンプリングタイミングが異なる場合には、収集した生体情報を、サンプリングピッチΔT時刻ごとに生体情報が存在するよう、計算上で再サンプル、すなわち補間処理により生成する。あるいは、収集した生体情報が十分ゆるやかに変化する場合、すなわち、数式(2)の関係が成り立つ場合、生体情報の値はサンプリングピッチΔTに較べ十分ゆるやかな変化であり、有意差はないとして近接時刻の値で代用してもよい。
【0063】
【0064】
このようにして、サンプリングピッチΔTでN0個のセンサ40の重み付け積和計算により評価値v(t)を得る。
【0065】
数式(1)からわかるように一般には、収集するセンサ数が多いほど、重み付け積和計算により得られた値は大きくなる。すなわち、評価値は大きくなる傾向にある。これを補正するために、例えば第1評価値と第2評価値とをそれぞれ最大値でノーマライズしたとしよう。最大値を一致させることは出来ても、最大値以外のところ、例えばベースラインの評価値が一致するとか限らない。なぜなら、体の振動など微小な変化を計測するセンサ40を利用した場合と、脈波など生体情報の大きな変化を計測するセンサ40を利用した場合とでは、各センサ40が変化を計測可能な閾値が異なるためである。従って、単なるノーマライズでは波形全体が一致するようにはできない。同様にして、センサ40間の生体反応を計測可能な閾値の差異を補償するために単に評価値にオフセットのみを与えたとしても、波形全体を一致させることはできない。つまり、異なるセンサ環境の間の評価値を単純な方法で一致させることは困難である。
【0066】
評価値算出部1005は、第1環境2における評価値と、第2環境3における評価値とを算出する。なお、評価値の算出方法は一例である。すなわち、評価値算出部1005は、如何なる算出方法により評価値を算出してもよい。
【0067】
適用処理部1006は、評価値を補正する補正関数を適用させる。
図6は、環境ごとの評価値の一例を示すグラフである。
図6に示すグラフは、横軸が時間経過を示し、縦軸が評価値を示している。また、
図6に示すグラフにおいて、白丸印は、第1環境2の評価値を示し、バツ印は、第2環境3の評価値を示し、黒丸印は、補正関数により補正後の評価値を示す。
【0068】
ここで、第1環境2に設置されたセンサ40と、第2環境3に設置されたセンサ40とは、種類及び数の少なくとも一方が異なっている。そのため、従業員の集中度が同一であっても、
図6に示すように第1環境2の評価値と、第2環境3の評価値とでは値が異なってしまう場合がある。
【0069】
しかしながら、従業員の実際の集中度は同じレベルや変動であるため、第1環境2の評価値と、第2環境3の評価値とは、同じ値あるいは同じ傾向であることが好ましい。そこで、補正処理部1007は、
図6に示すように、第1環境2の評価値に基づいて、第2環境3の評価値を補正することにより、第2環境3から得られた最終的な評価値を第1環境2に居ると仮定した場合に得られる評価値に近づかせる。すなわち、補正処理部1007は、第1環境2の評価値に基づいた補正関数により、第2環境3の評価値を補正する。
【0070】
ところが、補正処理部1007は、第1環境2の評価値に基づいて、第2環境3の評価値を補正するものであるため、第1環境2と第2環境3とには相関関数が求められる。そこで、適用処理部1006は、補正関数を適用可能であるか否かを判定する。言い換えると、適用処理部1006は、第1環境2の評価値と第2環境3の評価値とに相関関係があるか否かを判定する。
【0071】
例えば、適用処理部1006は、同一時間帯の同一従業員における第1環境2の評価値と第2環境3の評価値とを比較することで相関関係の有無を判定する。ここで、第2環境3の1以上のセンサ40が第1環境2に持ち込まれている場合、第1環境2の1以上のセンサ40と、第2環境3の1以上のセンサ40とは、計測対象は同一となる。すなわち、取得部1002は、第1環境2の生体情報と、第1環境2の生体情報と対象者及び時期が同一の第2環境3の生体情報とを取得する。そして、適用処理部1006は、同一時間帯の同一従業員における第1環境2の評価値と第2環境3の評価値とを比較することができる。そこで、適用処理部1006は、第2環境3の1以上のセンサ40が第1環境2に持ち込まれている場合に、第1環境2の評価値と、第2環境3の評価値とを比較することにより相関関係があるか否かを判定する。
【0072】
例えば、適用処理部1006は、生体情報に関連付けられた環境情報が、第2環境3のセンサ40が第1環境2に設置されていることを示している場合に、第2環境3の1以上のセンサ40が第1環境2に持ち込まれていると判定する。
【0073】
また、第1環境2に持ち込まれるセンサ40は、第2環境3に設置されるセンサ40に限らず、第2環境3に設置されるセンサ40と類似するセンサ40であってもよい。第2環境3に設置されるセンサ40と類似するセンサ40とは、例えば、計測対象が同一のセンサ40である。例えば、類似するセンサ40とは、計測精度が異なるセンサ40である。なお、第2環境3に設置されるセンサ40と類似するセンサ40とは、計測対象が異なっていても、相関係数が閾値以上あればよい。
【0074】
適用処理部1006は、第2環境3に設置されるセンサ40、又は、第2環境3に設置されるセンサ40と類似するセンサ40が第1環境2に持ち込まれている場合に、第1環境2の評価値と、第2環境3の評価値との相関係数を算出する。
【0075】
また、適用処理部1006は、第1環境2に設置された1以上のセンサ40から取得したそれぞれの生体情報の評価値と、第1環境2に持ち込まれたセンサ40であって第2環境3の1以上のセンサ40から取得したそれぞれの生体情報の評価値との相関係数が閾値以上であるか否かを判定する。適用処理部1006は、相関係数が閾値以上である場合に、第1環境2に持ち込まれたセンサ40であって第2環境3の1以上のセンサ40から取得したそれぞれの生体情報に基づいて算出された評価値に対して補正関数を適用することを設定する。一方、適用処理部1006は、相関係数が閾値未満である場合に、補正関数を適用しないと判定する。
【0076】
補正処理部1007は、第1評価値に基づいて、第2評価値を第1評価値に近似させる補正処理を実行する。さらに詳しくは、補正処理部1007は、第1評価値と第2評価値とに相関関係が有る場合に、第1評価値に基づいて、第2評価値を第1評価値に近似させる補正関数を導出する。補正処理部1007は、導出部の一例である。そして、補正処理部1007は、補正関数に基づいて、第2評価値を第1評価値に近似させる補正処理を実行する。また、補正関数は、第2環境3に設置される1以上のセンサ40から取得したそれぞれの生体情報に基づいて算出された評価値を、第1環境2の評価値に近似させる関数である。
【0077】
下記数式(3)に示すように、第2環境3で得られた評価値v’(t)に対して、補正関数αを乗算することで補正後の評価値v(t)を算出する。また、
図6に示す補正後の評価値v(t)が、第1環境2の評価値に十分近似していることから、第2環境3の評価値を第1環境2の評価値に近似させる補正関数となっていることがわかる。
【0078】
【0079】
補正処理部1007は、適用処理部1006により相関関係があると判定された場合に、第1評価値に基づいた補正関数を導出する。例えば、補正処理部1007は、第1環境2の評価値と第2環境3の評価値とを比較することにより波形の経時変化が一致するように、補正関数を算出する。補正関数の求め方は例えば、第1環境2の第1評価値に一致するよう、第2環境3の第2評価値に対して線形回帰演算、及びノイズを除去する平均化処理を行う数式(4)を算出する。次に数式(4)をもとに補正関数を導出する。すなわち、補正処理部1007は、数式(5)を補正関数として算出する。
【0080】
【0081】
【0082】
補正処理部1007は、第1評価値に基づいた補正関数により第2評価値を第1評価値に近似させる補正処理を実行する。補正処理部1007は、補正部の一例である。すなわち、補正処理部1007は、
図6に示す補正後の評価値を算出する。なお、上述した補正関数は、一例である。すなわち、補正処理部1007は、如何なる関数により第2環境3の評価値を補正してもよい。
【0083】
このように、補正処理部1007は、例えば数式(3)や平均化処理を加えた数式(5)により、第1環境2の第1評価値を第2環境3の第2評価値へと補正する。ここでは、時間軸における生体情報を使用した例について説明した。しかしながら、生体情報が振動等の場合、DFT(Digital Fourier Transform)を乗算して周波数軸に変換してから評価値を算出した方が適した場合がある。このように、評価値の算出には、種々の方法を適用することができる。
【0084】
また、従業員は、一定期間が経過した場合などに、集中時における動作や反応が変わることがある。または、第2環境3の1以上のセンサ40は、計測精度が変化してしまうことがある。そこで、補正処理部1007は、補正関数を算出してから設定期間が経過した場合に、補正関数を導出してもよい。さらに詳しくは、補正処理部1007は、適用処理部1006により第1環境2の評価値と、第2環境3の評価値との相関係数が閾値以上であると判定された場合、言い換えると第1環境2に第2環境3の1以上のセンサ40が持ち込まれた場合に、補正関数を導出してもよい。すなわち、補正処理部1007は、補正関数を更新してもよい。さらに、補正関数の更新は予め決められた期間中のみ許可されてもいいし、従業員情報や環境情報や生体情報やセンサ情報などから、第2環境3の1以上のセンサ40が第1環境2に持ち込まれたと自動的に判定できた場合、持ち込み期間において、補正処理部1007は自動的に補正関数の更新を行ってもよい。
【0085】
または、補正処理部1007は、第1評価値と第2評価値との相関係数が閾値未満に変化した場合に、補正関数を導出してもよい。この場合にも、補正処理部1007は、従業員の動作が変化した場合や、第2環境3の1以上のセンサ40の計測精度が変化した場合に、補正関数を更新することができる。
【0086】
出力部1008は、補正処理より補正した評価値を出力する。出力部1008は、第1環境2の1以上のセンサ40により取得された生体情報、又は第2環境3の1以上のセンサ40により取得された生体情報を送信した情報処理装置30に、補正処理より補正した評価値を出力する。なお、出力部1008は、如何なる方法により補正した評価値を出力してもよい。すなわち、出力部1008は、補正した評価値を情報処理装置30に送信してもよいし、補正した評価値を示す画像を情報処理装置30に送信してもよいし、他の形態により出力してもよい。
【0087】
なお、出力部1008は補正した評価値を外部システムに出力してもよい。外部システムは例えば、本状態評価システム1の外部に置かれるデータプラットフォームシステムまたは空調設備が制御できるBAS(Building Automation System)である。こうしたことにより、本状態評価システム1で補正された評価値を活用して、執務場所とセンサ40条件が異なっても、従業員に対して同じ基準に基づいて安定した支援サービスまたは温熱環境の提供が可能になる。
【0088】
次に、第1の実施形態に係る評価サーバ10が実行する設定処理について説明する。設定処理は、補正関数の適用を設定する処理である。
【0089】
図7は、第1の実施形態に係る評価サーバ10が実行する設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0090】
ログイン部1001は、ログインされた従業員が状態評価システム1に登録済みであるか否かを判定する(ステップS1)。状態評価システム1に登録されていない場合に(ステップS1;No)、ログイン部1001は、状態評価システム1を使用する従業員として登録する(ステップS2)。そして、評価サーバ10は、ステップS3に移行する。
【0091】
一方、状態評価システム1に登録済みの場合に(ステップS1;Yes)、適用処理部1006は、情報処理装置30を操作する従業員が第1環境2に滞在しているか否かを判定する(ステップS3)。例えば、適用処理部1006は、情報処理装置30が受け付けた操作、情報処理装置30の現在位置を示す位置情報、情報処理装置30から受信した情報が示す伝送経路、などにより従業員が第1環境2に滞在しているか否かを判定する。
【0092】
従業員が第1環境2に滞在していない場合に(ステップS3;No)、評価サーバ10は、設定処理を終了する。
【0093】
従業員が第1環境2に滞在している場合に(ステップS3;Yes)、適用処理部1006は、第2環境3に設置される1以上のセンサ40が第1環境2に持ち込まれているか否かを判定する(ステップS4)。例えば、適用処理部1006は、センサ40が情報処理装置30に接続されたことを示す情報や、センサ40を持ち込んだことを示す操作が受け付けられたことを示す情報を受信した場合に、第2環境3に設置される1以上のセンサ40が持ち込まれたと判定する。
【0094】
第2環境3に設置される1以上のセンサ40が第1環境2に持ち込まれている場合に(ステップS4;Yes)、適用処理部1006は、ステップS6に移行する。
【0095】
第2環境3に設置される1以上のセンサ40が第1環境2に持ち込まれていない場合に(ステップS4;No)、適用処理部1006は、第2環境3に設置される1以上のセンサ40と類似するセンサ40が第1環境2に持ち込まれているか否かを判定する(ステップS5)。例えば、適用処理部1006は、類似するセンサ40が情報処理装置30に接続されたことを示す情報や、類似するセンサ40を持ち込んだことを示す操作が受け付けられたことを示す情報を受信した場合に、第2環境3に設置される1以上の類似するセンサ40が持ち込まれたと判定する。
【0096】
取得部1002は、第1環境2に設置された1以上のセンサ40の生体情報と、第2環境3に設置されるセンサ40であって第1環境2に持ち込まれたセンサ40の生体情報とを取得する(ステップS6)。また、それぞれの生体情報には、センサ情報と、従業員情報と、環境情報とが関連付けられている。
【0097】
別なアプローチとして、評価サーバ10は、生体情報を取得するかわりに、第1環境2で使用したセンサ40のうち、第2環境3のセンサ40と同一または類似のセンサ40の生体情報に基づき、第2環境3の疑似的な生体情報である疑似第2生体情報を生成し、ステップS6で使用してもよい。また、評価サーバ10は、第1生体情報と疑似第2生体情報とに基づいて第2評価値を算出する。そして、評価サーバ10は、第1評価値に基づいて、第2評価値を第1評価値に近似させる補正処理を実行してもよい。第1環境2と第2環境3とにおける従業員の置かれた環境が大きく変わらなければ、ステップS8における相関係数は閾値以上を示し、ステップS9の補正関数を適用した場合の評価値の一致度が高いことが想定される。すなわち、第2環境3で補正関数が適正に動作しているかの確認において、センサ40により実際にデータを収集する前段階での確認手段となる。
【0098】
適用処理部1006は、第1環境2に設置された1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値と、第2環境3に設置されるセンサ40であって第1環境2に持ち込まれたセンサ40の生体情報に基づいた評価値とをそれぞれ算出する(ステップS7)。
【0099】
適用処理部1006は、第1環境2に設置された1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値と、第2環境3に設置されるセンサ40であって第1環境2に持ち込まれたセンサ40の生体情報に基づいた評価値と、の相関係数が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0100】
相関係数が閾値未満の場合に(ステップS8;No)、評価サーバ10は、ステップS1に移行する。すなわち、評価サーバ10は、処理をやり直す、又は第2環境3に設置される異なるセンサ40の使用した再度の処理を求める。状況によっては無限ループとなる可能性があるため、評価サーバ10は、別途設定された稼働時刻や、システムのタイムアウト値により、正常動作のうちに終了し、所定の時刻に再起動する。
【0101】
相関係数が閾値以上の場合に(ステップS8;Yes)、適用処理部1006は、第2環境3に設置されるセンサ40であって第1環境2に持ち込まれたセンサ40の生体情報に基づいた評価値に対して補正関数を適用することを設定する(ステップS9)。すなわち、適用処理部1006は、第2環境3に設置されるセンサ40であって第1環境2に持ち込まれたセンサ40の組み合わせ対して補正関数を適用することを設定する。
【0102】
以上により、評価サーバ10は、設定処理を終了する。
【0103】
以上のように、第1の実施形態に係る評価サーバ10は、第1環境2の1以上のセンサ40が計測した対象者の第1生体情報と、第2環境3の1以上のセンサ40が計測した対象者の第2生体情報とを取得する。また、評価サーバ10は、第1生体情報に基づいて対象者の状態を数値化した第1評価値と、第2生体情報に基づいて対象者の状態を数値化した第2評価値とを算出する。そして、評価サーバ10は、第1評価値に基づいて、第2評価値を第1評価値に近似させる補正処理を実行する。したがって、評価サーバ10は、対象者が滞在する環境に応じて対象者の状態の評価精度が低下してしまうことを抑制することができる。
【0104】
(変形例1)
変形例1では、第2環境3において、評価サーバ10は、疑似的な第1環境2である疑似第1環境を構築する。そして、評価サーバ10は、疑似第1環境の1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値と、第2環境3に設置された1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値と、の相関係数が閾値以上である補正関数を適用すると設定する。
【0105】
ここで、第2環境3において、特定の条件が満たされた場合に使用されるセンサ40がある。例えば、従業員を撮影するカメラや、従業員の音声を収集するマイクは、在宅環境である第2環境3では日常的には使用されない。このように、第2環境3において日常的には使用されないセンサ40を活性化することで、評価サーバ10は、疑似的な第1環境2である疑似第1環境を構築する。すなわち、評価サーバ10は、センサ40に従業員の状態の計測を開始させる。
【0106】
適用処理部1006は、第2環境3に設置された1以上のセンサ40のうち、対象者の状態を計測できない状態のセンサ40を計測可能な状態に変更する。すなわち、適用処理部1006は、情報処理装置30が疑似第1環境を構築することを示す操作を受け付けた場合に疑似第1環境を構築する。または、適用処理部1006は、生体情報を取得することについて従業員の同意が得られていること条件に、情報処理装置30を使用したウェブ会議などの日常的には使用されないセンサ40が活性化される場合に疑似第1環境を構築する。
【0107】
さらに詳しくは、適用処理部1006は、疑似第1環境を構築する場合に、活性化されていないセンサ40が第2環境3に設置されているか否かを判定する。ここで、適用処理部1006は、第2環境3に設置された1以上のセンサ40に対して、センサ40を追加することで疑似的な第1環境2である疑似第1環境を構築する。すなわち、適用処理部1006は、第2環境3においてセンサ40を追加することができない場合に、疑似第1環境を構築することができない。
【0108】
そこで、適用処理部1006は、活性化されていないセンサ40が第2環境3に設置されているか否かを判定する。例えば、適用処理部1006は、活性化されていないセンサ40が情報処理装置30に接続されている場合に、活性化されていないセンサ40が有ると判定する。一方、適用処理部1006は、活性化されていないセンサ40が情報処理装置30に接続されていない場合に、活性化されていないセンサ40が無いと判定する。
【0109】
また、適用処理部1006は、活性化されていないセンサ40が有る場合に、活性化されていないセンサ40を活性化することで、疑似第1環境を構築可能であるか否かを判定する。第1環境2は、従業員の状態の計測精度が第2環境3よりも高いことが想定されている。そのため、活性化されていないセンサ40の計測精度が低い場合、適用処理部1006は、センサ40に従業員の状態を計測させても疑似的な第1環境2である疑似第1環境を構築することができない。
【0110】
そこで、適用処理部1006は、活性化されていないセンサ40の種別や精度等に基づいて、疑似的な第1環境2である疑似第1環境を構築することが可能か否かを判定する。適用処理部1006は、疑似第1環境を構築可能な場合に、活性化されていないセンサ40の活性化を要求する活性化要求を情報処理装置30に送信する。これにより、適用処理部1006は、活性化されていないセンサ40を活性化させる。すなわち、適用処理部1006は、従業員の状態を計測可能な状態にセンサ40を変更する。
【0111】
また、情報処理装置30を使用したウェブ会議等の事前に実施されることが判明している場合、または、ウェブ会議が実施予定であることが予め情報処理装置30に知らされた場合、取得部1002は、生体情報の取得を予約し、予約により取得された生体情報を取得してもよい。例えば、取得部1002は、生体情報を取得することを情報処理装置30に送信することで、生体情報の取得を予約する。情報処理装置30は、予約された日時になった場合に、センサ40から生体情報を取得する。そして、情報処理装置30は、取得した生体情報を送信する。これにより、取得部1002は、予約した生体情報を取得する。
【0112】
次に、変形例1に係る認証サーバ20が実行する適用処理について説明する。
【0113】
図8は、変形例1に係る評価サーバ10が実行する適用処理の一例を示すフローチャートである。
【0114】
ログイン部1001は、ログインされた従業員が状態評価システム1に登録済みであるか否かを判定する(ステップS10)。状態評価システム1に登録されていない場合に(ステップS10;No)、ログイン部1001は、状態評価システム1を使用する従業員として登録する(ステップS11)。そして、評価サーバ10は、ステップS12に移行する。
【0115】
一方、状態評価システム1に登録済みの場合に(ステップS10;Yes)、適用処理部1006は、情報処理装置30を操作する従業員が第2環境3に滞在しているか否かを判定する(ステップS12)。例えば、適用処理部1006は、情報処理装置30が受け付けた操作、情報処理装置30の現在位置を示す位置情報、情報処理装置30から受信した情報が示す伝送経路、などにより従業員が第2環境3に滞在しているか否かを判定する。
【0116】
適用処理部1006は、活性化されていないセンサ40があるか否かを判定する(ステップS13)。例えば、適用処理部1006は、情報処理装置30に接続されているセンサ40のうち、従業員の状態を計測していないセンサ40があるか否かを判定する。
【0117】
活性化されていないセンサ40が無い場合に(ステップS13;No)、適用処理部1006は、センサ40を追加することができないため疑似第1環境を構築することはできないと判断して適用処理を終了する。
【0118】
活性化されていないセンサ40が有る場合に(ステップS13;Yes)、適用処理部1006は、活性化されていないセンサ40を活性化することで疑似的な第1環境2である疑似第1環境を構築可能であるか否かを判定する(ステップS14)。疑似第1環境を構築できない場合に(ステップS14;No)、適用処理部1006は、適用処理を終了する。
【0119】
疑似第1環境を構築可能な場合に(ステップS14;Yes)、適用処理部1006は、活性化されていないセンサ40の活性化を要求する活性化要求を情報処理装置30に送信する(ステップS15)。
【0120】
取得部1002は、疑似第1環境の1以上のセンサ40の生体情報と、第2環境3に設置された1以上のセンサ40の生体情報とを取得する(ステップS16)。また、それぞれの生体情報には、センサ情報と、従業員情報と、環境情報とが関連付けられている。
【0121】
適用処理部1006は、疑似第1環境の1以上のセンサ40の生体情報基づいた評価値と、第2環境3に設置された1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値とをそれぞれ算出する(ステップS17)。
【0122】
適用処理部1006は、疑似第1環境の1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値と、第2環境3に設置された1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値と、の相関係数が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS18)。
【0123】
相関係数が閾値未満の場合に(ステップS18;No)、評価サーバ10は、ステップS10に移行する。すなわち、評価サーバ10は、処理をやり直す、又は第2環境3に設置される異なるセンサ40の使用した再度の処理を求める。
【0124】
相関係数が閾値以上の場合に(ステップS18;Yes)、適用処理部1006は、第2環境3に設置された1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値に対して補正関数を適用することを設定する(ステップS19)。すなわち、適用処理部1006は、第2環境3に設置された1以上のセンサ40に対して補正関数を適用することを設定する。
【0125】
以上により、評価サーバ10は、設定処理を終了する。
【0126】
以上のように変形例1に係る評価サーバ10は、疑似第1環境を構成する。評価サーバ10は、疑似第1環境の1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値と、第2環境3に設置された1以上のセンサ40の生体情報に基づいた評価値との相関係数が閾値以上である場合に、補正関数を導出し、補正処理に適用する。したがって、評価サーバ10は、第1環境2に第2環境3のセンサ40を持ち込まなくても、評価値を補正する補正関数を導出し、補正処理に適用することができる。
【0127】
(変形例2)
変形例2に係る情報処理装置30は、ハッシュ化した生体情報を送信する。これにより、情報処理装置30は、個人情報である生体情報の伝送において、セキュリティを向上することができる。
【0128】
図9は、変形例2に係る情報処理装置30が実行する伝送処理の一例を示すフローチャートである。
【0129】
取得部3002は、異なる複数の生体情報を取得する(ステップS21)。例えば、取得部3002は、生体情報として顔画像や、指紋データを取得する。なお、生体情報は、顔画像や、指紋データなどの特徴量を示す情報であってもよい。
【0130】
暗号化部3004は、異なる複数の生体情報に対して演算処理を実行することにより入力値を算出する(ステップS22)。例えば、演算処理は、複数の生体情報を乗算する処理である。なお、演算処理は、複数の生体情報を乗算する処理に限らず、他の演算を実行するものであってもよい。
【0131】
暗号化部3004は、入力値を正規化する正規化処理を実行する(ステップS23)。ここで、生体情報に基づくデータの最大値や最小値はばらつきが発生する。そして、対象者によっては異常値を示すことがある。暗号化部3004は、異常値が発生し、以降のデジタル信号処理で意図していない処理が行われることを抑制するために正規化を実行する。
【0132】
暗号化部3004は、正規化した入力値をハッシュ関数に代入することによりハッシュ値を取得する(ステップS24)。
【0133】
暗号化部3004は、ハッシュ値を伝送するためにコード化する(ステップS25)。
【0134】
送信部3005は、コード化したハッシュ値を送信する(ステップS26)。例えば、送信部3005は、コード化したハッシュ値を認証サーバ20や評価サーバ10に送信する。
【0135】
以上により、情報処理装置30は伝送処理を終了する。
【0136】
以上のように、変形例2に係る評価サーバ10は、生体情報のハッシュ値を送信する。したがって、評価サーバ10は、セキュリティを向上させることができる。
【0137】
(変形例3)
変形例3に係る評価値算出部1005は、複数の従業員の第1生体情報に基づいた第1評価値と、特定の従業員の第2生体情報に基づいた第2評価値とを算出する。ここで、蓄積部1004は、従業員、環境、及びセンサ40ごとに、生体情報を時系列順に記憶装置104などに蓄積する。評価値算出部1005は、第2環境3における特定の従業員の特定の状態と、および第2生体情報と、前記特定の従業員と同一の状態である複数の従業員の第1生体情報を記憶装置104から取得する。評価値算出部1005は、記憶装置104から取得した、前記特定の従業員と同一の状態である複数の従業員の第1生体情報を一般化する。ここで、一般化とは、平均化を取得するものであってもよいし、中央値を取得するものであってもよいし、他の演算を行うものであってもよい。そして、評価値算出部1005は、一般化した第1生体情報に基づいた第1評価値と、特定の従業員の第2生体情報に基づいた第2評価値とを算出する。
【0138】
(変形例4)
変形例4に係る取得部1002は、生体情報を送信した情報処理装置30に対する生体認証により入力された生体情報を取得する。すなわち、取得部1002は、生体認証を行うために情報処理装置30に入力された生体情報を取得する。ここで、生体認証により入力される生体情報は、顔画像であってもよいし、音声データであってもよいし、指紋データであってもよいし、他の情報であってもよい。生体認証の対象は、ログインであってもよいし、ログアウトであってもよいし、他のアクセス権を取得するためのものであってもよい。さらに、ログイン又はログアウトは、情報処理装置30に対するログイン又はログアウトであってもよいし、認証サーバ20に対するログイン又はログアウトであってもよいし、他の装置に対するログイン又はログアウトであってもよい。たとえば、スマートフォンなどの携帯用情報処理装置50のログインには、紛失時のリスクを減らすために、簡便な顔認証が利用されることも多い。たとえば、情報処理装置30のログイン、ログアウトだけでなく、一定時間経過後の画面ロックの解除に、携帯用情報処理装置50を使った顔認証を用いることにより、認証のための顔撮影と、生体情報収集という2つの目的を兼ねることもできる。
【0139】
(変形例5)
変形例5は、センサ40により収集した生体情報を情報処理装置30の評価値算出部3006で評価値まで算出し、評価値を評価サーバ10に送る方法である。評価サーバ10では、前述のように複数の評価値間の補正関数の算出を行う。これにより、生体センサ情報を評価サーバ10に送る必要がなくなり、伝送データ量が減るとともに、生体情報をネットワーク80にアップロードする必要性がなくなる利点がある。
【0140】
(変形例6)
変形例6は、評価サーバ10へのログインが確認されたら、ログインした対象者と対象者の環境に応じて計算し保存されていた補正関数を、評価サーバ10から情報処理装置30にダウンロードする方法である。これにより評価サーバ10と情報処理装置30との間でのネットワーク80の接続が切断されても、補正関数により補正された評価値を、情報処理装置30は得ることができる利点がある。
【0141】
また、本実施形態の評価サーバ10又は情報処理装置30で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SSD(Solid State Drive)などの半導体記憶装置等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0142】
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0143】
また、当該プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1…状態評価システム、2…第1環境、3…第2環境、10…評価サーバ、20…認証サーバ、30…情報処理装置、40…センサ、50…携帯用情報処理装置、60…GW、70…環境センサ、80…ネットワーク、101…CPU(Central Processing Unit)、102…RAM(Random Access Memory)、103…ROM(Read Only Memory)、104…記憶装置、105…通信インタフェース、301…CPU(Central Processing Unit)、302…RAM(Random Access Memory)、303…ROM(Read Only Memory)、304…記憶装置、305…通信インタフェース、306…接続インタフェース、307…操作部、308…表示部、1001…ログイン部、1002…取得部、1003…復号化部、1004…蓄積部、1005…評価値算出部、1006…適用処理部、1007…補正処理部、1008…出力部、3001…ログイン部、3002…取得部、3003…センサ活性化部、3004…暗号化部、3005…送信部。