(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044130
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】段ボール箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/468 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
B65D5/468 100
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149493
(22)【出願日】2022-09-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】522372337
【氏名又は名称】江頭 豊
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江頭 豊
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060BC02
3E060CA01
3E060CA12
3E060DA09
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】運搬者の労力負担を低減し、運搬作業の効率向上を図ることができる。
【解決手段】
後面3を運搬者M側、前面2を反運搬者M側、上面6及び下面7を略水平、とした第1姿勢で当該運搬者Mにより運搬可能な段ボール箱1において、左面4に孔設された、左手Lにより把持されるための第1左把持孔8と、右面5に孔設された、右手Rにより把持されるための第1右把持孔9と、を有し、第1左把持孔8及び第1右把持孔9は、把持孔の軸線が運搬者Mから見て上り傾斜となる向きで設けられており、第1左把持孔8は、左手Lの五指のうち人差し指Lb、親指Laは挿入されずに中指Lc、薬指Ld、小指Leが一括して挿入されるよう構成されており、第1右把持孔9は、右手Rの五指のうち人差し指Rb、親指Raは挿入されずに中指Rc、薬指Rd、小指Reが一括して挿入されるよう構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬者の前方側において前記運搬者の左手及び右手により把持されて運搬され、前面、後面、左面、右面、上面、下面を有する段ボール箱であって、前記後面を運搬者側、前記前面を反運搬者側、前記上面及び前記下面を略水平、とした第1姿勢で当該運搬者により運搬可能な前記段ボール箱において、
前記左面に孔設された、前記左手により把持されるための第1左把持孔と、
前記右面に孔設された、前記右手により把持されるための第1右把持孔と、
を有し、
前記第1左把持孔及び前記第1右把持孔は、
各把持孔の軸線が前記運搬者から見て上り傾斜となる向きで設けられており、
前記第1左把持孔は、
前記左手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成されており、
前記第1右把持孔は、
前記右手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成されている
ことを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
請求項1記載の段ボール箱において、
前記第1左把持孔及び前記第1右把持孔のそれぞれは、孔縁部に、
把持時において前記中指、前記薬指、前記小指が入り込んで当接する、略円弧形状の中指用湾曲部、薬指用湾曲部、小指用湾曲部を備えている
ことを特徴とする段ボール箱。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の段ボール箱において、
前記第1左把持孔は、
前記左面を、下側かつ前側の第1領域、下側かつ後側の第2領域、上側かつ前側の第3領域、上側かつ後側の第4領域、の4つに区分した時、前記第1領域に設けられており、
前記第1右把持孔は、
前記右面を、下側かつ前側の第5領域、下側かつ後側の第6領域、上側かつ前側の第7領域、上側かつ後側の第8領域、の4つに区分した時、前記第5領域に設けられている
ことを特徴とする段ボール箱。
【請求項4】
請求項3記載の段ボール箱において、
前記第1左把持孔は、
軸線が、前記左面の前記第1領域の対角線上に位置するように設けられ、
前記第1右把持孔は、
軸線が、前記右面の前記第5領域の対角線上に位置するように設けられ、
ことを特徴とする段ボール箱。
【請求項5】
請求項4記載の段ボール箱において、
前記左面の前記第1領域又は前記第3領域において前記第1左把持孔の上方に位置し、軸線が前記運搬者から見て当該第1左把持孔よりも急な上り傾斜となる向きで設けられ、前記左手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成された第2左把持孔と、
前記右面の前記第5領域又は前記第7領域において前記第1右把持孔の上方に位置し、軸線が前記運搬者から見て当該第1右把持孔よりも急な上り傾斜となる向きで設けられ、前記右手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成された第2右把持孔と、
をさらに有する
ことを特徴とする段ボール箱。
【請求項6】
請求項4記載の段ボール箱において、
前記前面を運搬者側、前記後面を反運搬者側、前記上面及び前記下面を略水平、とした第2姿勢で当該運搬者により運搬可能に構成されており、
前記左面の前記第2領域において、軸線が前記前面側の運搬者から見て上り傾斜となる向きで設けられ、前記右手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成された第3左把持孔と、
前記右面の前記第6領域において、軸線が前記前面側の運搬者から見て上り傾斜となる向きで設けられ、前記左手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成された第3右把持孔と、
をさらに有する
ことを特徴とする段ボール箱。
【請求項7】
請求項4記載の段ボール箱において、
前記上面を下側、前記下面を上側、とした前記第1姿勢と天地逆向きとなる第3姿勢であって、かつ前記前面を運搬者側、前記後面を反運搬者側とした前記第3姿勢で当該運搬者により運搬可能に構成されており、
前記左面の前記第4領域において、軸線が前記第3姿勢で運搬する前記運搬者から見て上り傾斜となる向きで設けられ、前記左手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成された第4左把持孔と、
前記右面の前記第8領域において、軸線が前記第3姿勢で運搬する前記運搬者から見て上り傾斜となる向きで設けられ、前記右手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成された第4右把持孔と、
をさらに有する
ことを特徴とする段ボール箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬者の労力負担を低減可能で、運搬作業の効率向上を図ることのできる、段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボール箱の側面に手の指を入れることができる貫通孔を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の
図2、
図3、段落[0020]等には、段ボール箱の端壁16を貫通するように形成された、水平矩形型の取手穴17について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の段ボール箱は、運搬者が、取手穴17に手の指を入れて、これを持ちあげたり、運搬することができるようになっている。しかし取手穴17については単に水平に矩形型の穴を穿孔した構造について開示されているのみであり、このような構造は製作が容易でコストも低減できるものの、運搬者の持ちやすさや運びやすさの向上による労力負担の低減、それによる運搬作業の効率向上については特に配慮されていない。一方、例えば水等の重いものを運搬する場合等には、従来技術の取手穴17のような構造では、運搬に非常な労力がかかり、これを改善することが求められていた。
【0005】
本発明の目的は、運搬者の労力負担を低減し、運搬作業の効率向上を図る段ボール箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、運搬者の前方側において前記運搬者の左手及び右手により把持されて運搬され、前面、後面、左面、右面、上面、下面を有する段ボール箱であって、前記後面を運搬者側、前記前面を反運搬者側、前記上面及び前記下面を略水平、とした第1姿勢で当該運搬者により運搬可能な前記段ボール箱において、前記左面に孔設された、前記左手により把持されるための第1左把持孔と、前記右面に孔設された、前記右手により把持されるための第1右把持孔と、を有し、前記第1左把持孔及び前記第1右把持孔は、各把持孔の軸線が前記運搬者から見て上り傾斜となる向きで設けられており、前記第1左把持孔は、前記左手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成されており、前記第1右把持孔は、
前記右手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成されていることを特徴としている。
【0007】
人間の骨格の構成上、通常、運搬者が把持孔に指を入れて段ボール箱を抱えるために前方へ略水平に(又はそれよりやや下方に)向かって手を伸ばしたとき、左手・右手の5本の指は水平には配列されず、運搬者から見て、小指から人差し指に向かって上り傾斜となるような位置関係で並ぶことになる。これに対応して、本願発明では、左面及び右面に設けられる第1左把持孔及び第1右把持孔が、水平に設けられるのではなく、運搬者から見て上り傾斜で設けられている。これにより、運搬者は、楽で無理のない自然な態勢で左・右両手の指を第1左把持孔及び第1右把持孔に挿入し、段ボール箱を抱え上げることができる。
【0008】
また、人間が前方に段ボール箱を抱える際には、バランスをとるために必然的に体の後方に重心を移動させる(足の踵に体重をかける)こととなるが、その際には人体の構造上、中指、薬指、小指の3本は指が曲げやすいが、親指と人差し指の2本は指が曲げにくく、無理に曲げようとすると余計な疲労がかかる。本願発明では、曲げにくい親指、人差し指は第1左把持孔及び第1右把持孔に挿入されずに、曲げやすい中指、薬指、小指だけが第1左把持孔及び第1右把持孔に挿入されて上記抱え上げが行われる。これにより、運搬者は比較的脱力した状態で必要最小限の力だけで当該段ボール箱の重さを支えることができる。
【0009】
以上の結果、左面及び右面にそれぞれ水平な把持孔を設けるだけの従来構造に比べ、運搬者の労力負担を大きく低減し、運搬作業の効率向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、運搬者の労力負担を低減し、運搬作業の効率向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】段ボール箱が第1姿勢で運搬される状態を表す図である。
【
図3】第1左把持孔及び第1右把持孔が湾曲部を備える変形例に係る段ボール箱の斜視図である。
【
図4】第2左把持孔及び第2右把持孔をさらに有する変形例に係る段ボール箱の斜視図である。
【
図5】第3左把持孔及び第3右把持孔をさらに有する変形例に係る段ボール箱の斜視図である。
【
図6】第4左把持孔及び第4右把持孔をさらに有する変形例に係る段ボール箱の第1姿勢における斜視図である。
【
図7】第4左把持孔及び第4右把持孔をさらに有する変形例に係る段ボール箱の第3姿勢における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば下記の各構成要素を均等なものに置換した実施形態を採用することができ、それらについても本発明の技術的範囲に含まれる。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略又は簡略化する。
【0013】
図1に本実施形態に係る段ボール箱1が第1姿勢で運搬される状態を表す図を示す。
図1に示す方角は、運搬者Mから見た上下方向、前後方向、左右方向であり、これらの方向は互いに直交する。なお、上下方向は鉛直方向に平行であり、前後方向及び左右方向は水平方向に平行である。同様の方角が適宜
図2~
図4、
図6~
図7にも適用される。
【0014】
段ボール箱1は前面2、後面3、左面4、右面5、上面6、下面7を有し、運搬者Mは、左面4に孔設された、第1左把持孔8に左手Lの五指のうち中指Lc、薬指Ld、小指Leを一括して挿入し、人差し指Lbと親指Laは挿入しない状態で、第1左把持孔8を把持する。なお、この図では省略されているが、段ボール箱1の右面5にも同様に、第1右把持孔9が孔設され、運搬者Mの右手Rの五指のうち中指Rc、薬指Rd、小指Reを一括して挿入し、人差し指Rbと親指Raは挿入しない状態で把持されている。
【0015】
運搬者Mはこのようにして運搬者Mの前方側において段ボール箱1を左手L及び右手Rにより把持して運搬する。この時段ボール箱1は後面3を運搬者M側、前面2を反運搬者M側、上面6及び下面7を略水平とした第1姿勢にあり、当該運搬者Mにより運搬可能となっている。
【0016】
図2に段ボール箱1の斜視図を示す。
図2(a)は左前方から見た段ボール箱1の斜視図であり、
図2(b)は右前方から見た段ボール箱1の斜視図である。この図の段ボール箱1は第1姿勢となっている。段ボール箱1の左面4には運搬者Mの左手Lにより把持されるための第1左把持孔8が孔設され、右面5には運搬者Mの右手Rにより把持されるための第1右把持孔9が孔設されている。
【0017】
第1左把持孔8及び第1右把持孔9は、各把持孔の中心線となる軸線Kが運搬者Mから見て上り傾斜となる向きで設けられている。すなわち軸線Kは後方から前方にかけて上り傾斜となっている。第1姿勢の段ボール箱1を
図1のように運搬する際、上面6と下面7とは完全な水平でなく水平方向に対し多少の傾斜を有してもかまわないが、その傾斜の範囲は、運搬時に前記軸線Kの上り傾斜が維持されるような範囲にあることが好ましい。
【0018】
第1左把持孔8は、運搬者Mの左手Lの五指のうち人差し指Lb、親指Laは挿入されずに中指Lc、薬指Ld、小指Leが一括して挿入されるよう構成され、第1右把持孔9は、運搬者Mの右手Rの五指のうち人差し指Rb、親指Raは挿入されずに中指Rc、薬指Rd、小指Reが一括して挿入されるよう構成されている。
【0019】
第1左把持孔8及び第1右把持孔9の形状は、例えば長径と短径とを有する楕円形状、長方形状、角に丸みを持たせた長方形状等であって、前記長径は軸線Kの方向に沿う。前記長径の寸法は中指、薬指、小指(Lc、Ld、及びLe又はRc、Rd、及びRe)の3本を並べて挿入可能な寸法であり、指のサイズには男女差や個人差もあるため、必ずしもこれに限定されるものではないが、例えば、6cm以上~8cm以下の範囲である。
【0020】
左面4を、下側かつ前側の第1領域13、下側かつ後側の第2領域14、上側かつ前側の第3領域15、上側かつ後側の第4領域16の4つに区分した時、第1左把持孔8は第1領域13に設けられている。
【0021】
右面5を、下側かつ前側の第5領域17、下側かつ後側の第6領域18、上側かつ前側の第7領域19、上側かつ後側の第8領域20、の4つに区分した時、第1右把持孔9は第5領域17に設けられている。
【0022】
また、第1左把持孔8は、軸線Kが、左面4の第1領域13の対角線上に位置するように設けられ、第1右把持孔9は、軸線Kが、右面5の第5領域17の対角線上に位置するように設けられている。
【0023】
<実施形態の効果>
人間の骨格の構成上、通常、運搬者が把持孔に指を入れて段ボール箱を抱えるために前方へ略水平に(又はそれよりやや下方に)向かって手を伸ばしたとき、左手・右手の5本の指は水平には配列されず、運搬者から見て、小指から人差し指に向かって上り傾斜となるような位置関係で並ぶことになる。これに対応して、本実施形態では、左面4及び右面5に設けられる第1左把持孔8及び第1右把持孔9が、水平に設けられるのではなく、運搬者Mから見て上り傾斜で設けられている。これにより、運搬者Mは、楽で無理のない自然な態勢で左・右両手の指を第1左把持孔8及び第1右把持孔9に挿入し、段ボール箱1を抱え上げることができる。
【0024】
また、人間が前方に段ボール箱を抱える際には、バランスをとるために必然的に体の後方に重心を移動させる(足の踵に体重をかける)こととなるが、その際には人体の構造上、中指、薬指、小指の3本は指が曲げやすいが、親指と人差し指の2本は指が曲げにくく、無理に曲げようとすると余計な疲労がかかる。本願発明では、曲げにくい親指、人差し指は第1左把持孔及び第1右把持孔に挿入されずに、曲げやすい中指、薬指、小指だけが第1左把持孔及び第1右把持孔に挿入されて上記抱え上げが行われる。これにより、運搬者は比較的脱力した状態で必要最小限の力だけで当該段ボール箱の重さを支えることができる。
【0025】
また、運搬者Mは両腕を傾斜のついた第1左把持孔8及び第1右把持孔9に引っかけて、フックのように作用させて後方に体重をかけることで、一番力が強く疲れにくい背筋を使って段ボール箱1を把持する姿勢をとることができる。背筋を使いやすいことで、重い荷物でも持ちやすく、疲れにくいとともに、今まで持てなかったような重い荷物でも持つことが可能となる。また、これにより、荷物が重たい場合も段ボール箱1を水平に保って運搬できるとともに、内容物によって、所望される、様々の特定の姿勢で段ボール箱1を運搬することもできる。また後方に体重をかけつつ段ボール箱1を腹部に抱え込むようにして運搬できるので、非常に安定した状態で段ボール箱1を運搬することが可能となる。
【0026】
以上の結果、左面4及び右面5にそれぞれ水平な把持孔を設けるだけの従来構造に比べ、運搬者Mの労力負担を大きく低減し、運搬作業の効率向上を図ることができる。
【0027】
また、本実施形態では特に、運搬者Mから見て遠い側の下方に位置する第1領域13及び第5領域17に第1左把持孔8及び第1右把持孔9が設けられる。これにより、運搬者Mが、段ボール箱1の側方に腕を回して懐に抱きかかえるような姿勢で運搬するときに、最も手で持ちやすい自然な位置にて段ボール箱1を支えることができる。
【0028】
また、本実施形態では特に、第1左把持孔8の軸線Kが第1領域13の対角線上に位置するように設けられ、第1右把持孔9の軸線Kが、第5領域17の対角線上に位置するように設けられることにより、第1左把持孔8及び第1右把持孔9を、運搬者Mから見て遠い側の下方に、運搬者Mから見て上り傾斜となるように確実に配置することができる。
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0029】
(1)第1左把持孔8′及び第1右把持孔9′が湾曲部を備える場合
図3に本変形例に係る段ボール箱1aの斜視図を示す。
図3(a)は左前方、
図3(b)は右前方から段ボール箱1aを見た斜視図である。この図の段ボール箱1aは第1姿勢にある。段ボール箱1aの第1左把持孔8′及び第1右把持孔9′のそれぞれは、孔縁部に、把持時において運搬者Mの左手Lの中指Lc、薬指Ld、小指Leもしくは右手Rの中指Rc、薬指Rd、小指Reが入り込んで当接する、略円弧形状の中指用湾曲部10、薬指用湾曲部11、小指用湾曲部12を備える。
【0030】
本変形例によれば、段ボール箱1aの自重を支えるために第1左把持孔8′及び第1右把持孔9′に差し込まれた左手・右手の中指、薬指、小指の位置を安定させることができ、確実に少ない力で無理なく段ボール箱を抱えることができる。
【0031】
(2)第2左把持孔21及び第2右把持孔22とをさらに有する場合
図4に本変形例に係る段ボール箱1bの斜視図を示す。
図4(a)は左前方、
図4(b)は右前方から段ボール箱1bを見た斜視図である。この図の段ボール箱1bは第1姿勢にある、段ボール箱1bは、左面4の第1領域13又は第3領域15において第1左把持孔8の上方に位置し、軸線K′が運搬者Mから見て第1左把持孔8よりも急な上り傾斜となる向きで設けられ、運搬者Mの左手Lの五指のうち人差し指Lb、親指Laは挿入されずに中指Lc、薬指Ld、小指Leが一括して挿入されるよう構成された第2左把持孔21をさらに有する。また、段ボール箱1bは、右面5の第5領域17又は第7領域19において第1右把持孔9の上方に位置し、軸線K′が運搬者Mから見て第1右把持孔9よりも急な上り傾斜となる向きで設けられ、運搬者Mの右手Rの五指のうち人差し指Rb、親指Raは挿入されずに中指Rc、薬指Rd、小指Reが一括して挿入されるよう構成された第2右把持孔22をさらに有する。
【0032】
本変形例によれば、段ボール箱1bの側方に腕を回し抱きかかえる姿勢で運搬するとき、例えば女性や比較的小柄な体格で腕の長さが少し短めの運搬者Mの場合であっても、第1左把持孔8及び第1右把持孔9ではなくそれより上方の第2左把持孔21及び第2右把持孔22を用いることで、確実に左手・右手を挿入して段ボール箱1bを円滑に運搬することができる。すなわち、運搬者Mの体格に応じて第1左把持孔8及び第1右把持孔9と第2左把持孔21及び第2右把持孔22とを使い分けることができるので、さらに利便性を向上することができる。
【0033】
(3)第3左把持孔23と第3右把持孔24とをさらに有する場合
図5に本変形例に係る段ボール箱1cの斜視図を示す。
図5(a)は左前方、
図5(b)は右前方から段ボール箱1cを見た斜視図である。この図の段ボール箱1cは第2姿勢にあり、この図の前後方向は、運搬者M側が前方向、反運搬者M側が後方向となっている。すなわち、前後方向が第1姿勢と逆になっている。段ボール箱1cは、第2姿勢において、前面2を運搬者M側、後面3を反運搬者M側、上面6及び下面7を略水平として、運搬者Mにより運搬可能に構成されている。
【0034】
左面4の第2領域14において、軸線K″が前面2側の運搬者から見て上り傾斜となる向きで設けられ、運搬者Mの右手Rの五指のうち人差し指Rb、親指Raは挿入されずに中指Rc、薬指Rd、小指Reが一括して挿入されるよう構成された第3左把持孔23と、右面5の第6領域18において、軸線K″が前面2側の運搬者Mから見て上り傾斜となる向きで設けられ、運搬者Mの左手Lの五指のうち人差し指Lb、親指Laは挿入されずに中指Lc、薬指Ld、小指Leが一括して挿入されるよう構成された第3右把持孔24とをさらに有する。
【0035】
本変形例によれば、例えばトラックの荷台や配送中継地等に多数の段ボール箱1cが横に並べて配置される場合等において、運搬者Mが後面3側からだけでなく前面2側からも段ボール箱1cを上述の態様で持ち上げて運搬することができ、運搬者Mにとっての利便性がさらに向上する。
【0036】
(4)第4左把持孔25と第4右把持孔26とをさらに有する場合
図6及び
図7に本変形例に係る段ボール箱1dの斜視図を示す。
図6の段ボール箱1dは第1姿勢にある。
図6(a)は左前方、
図6(b)は右前方から段ボール箱1dを見た斜視図である。
【0037】
図7の段ボール箱1dは第3姿勢にある。
図7(a)は左下方、
図7(b)は右下方から段ボール箱1dを見た斜視図である。第3姿勢の段ボール箱1dは、上面6を下側、下面7を上側として、前面2を運搬者M側、後面3を反運搬者M側とした状態で運搬者Mにより運搬可能に構成されている。すなわち、第3姿勢の段ボール箱1dは、第1姿勢の段ボール箱1dとは、天地逆向きとなっている。
【0038】
段ボール箱1dは左面4の第4領域16において、軸線Kcが前記第3姿勢で運搬する運搬者Mから見て上り傾斜となる向きで設けられ、運搬者Mの左手Lの五指のうち人差し指Lb、親指Laは挿入されずに中指Lc、薬指Ld、小指Leが一括して挿入されるよう構成された第4左把持孔25をさらに有する。
【0039】
また、段ボール箱1dは右面5の第8領域20において、軸線Kcが前記第3姿勢で運搬する運搬者Mから見て上り傾斜となる向きで設けられ、運搬者Mの右手Rの五指のうち人差し指Rb、親指Raは挿入されずに中指Rc、薬指Rd、小指Reが一括して挿入されるよう構成された第4右把持孔26をさらに有する。
【0040】
例えば天地無用の荷物が、例えばトラックの荷台や配送中継地等の多数の段ボール箱の中に混在して配置される場合、上下逆さま、すなわち上面6を下に、下面7を上にした姿勢(第3姿勢)で置かれる可能性もあり得る。
【0041】
本変形例はこれに対応して、左面4の第4領域16に第4左把持孔25を設けるとともに右面5の第8領域20に第4右把持孔26を設け、上記のような上下逆の第3姿勢であっても、運搬者Mがそれらの把持孔に左手及び右手の中指、薬指、小指を挿入して運搬できるようにする。これにより、さらに運搬者M側の利便性を向上することができる。
【0042】
また、上述した変形例のいずれもが、実施形態と同様の効果も有する。
【0043】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0044】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0045】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 段ボール箱
2 前面
3 後面
4 左面
5 右面
6 上面
7 下面
8 第1左把持孔
9 第1右把持孔
10 中指用湾曲部
11 薬指用湾曲部
12 小指用湾曲部
13 第1領域
14 第2領域
15 第3領域
16 第4領域
17 第5領域
18 第6領域
19 第7領域
20 第8領域
21 第2左把持孔
22 第2右把持孔
23 第3左把持孔
24 第3右把持孔
25 第4左把持孔
26 第4右把持孔
【手続補正書】
【提出日】2022-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬者の前方側において前記運搬者の左手及び右手により把持されて運搬され、前面、後面、左面、右面、上面、下面を有する段ボール箱であって、前記後面を運搬者側、前記前面を反運搬者側、前記上面及び前記下面を略水平、とした第1姿勢で当該運搬者により運搬可能な前記段ボール箱において、
前記左面に孔設された、前記左手により把持されるための第1左把持孔と、
前記右面に孔設された、前記右手により把持されるための第1右把持孔と、
を有し、
前記第1左把持孔及び前記第1右把持孔は、
各把持孔の軸線が前記運搬者から見て上り傾斜となる向きで設けられており、
前記第1左把持孔は、
前記左手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成されており、
前記第1右把持孔は、
前記右手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成されており、
前記第1左把持孔は、
前記左面を、下側かつ前側の第1領域、下側かつ後側の第2領域、上側かつ前側の第3領域、上側かつ後側の第4領域、の4つに区分した時、前記第1領域に設けられており、
前記第1右把持孔は、
前記右面を、下側かつ前側の第5領域、下側かつ後側の第6領域、上側かつ前側の第7領域、上側かつ後側の第8領域、の4つに区分した時、前記第5領域に設けられており、
かつ、
前記段ボール箱は、
前記左面の前記第1領域又は前記第3領域において前記第1左把持孔の上方に位置し、軸線が前記運搬者から見て当該第1左把持孔よりも急な上り傾斜となる向きで設けられ、前記左手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成された第2左把持孔と、
前記右面の前記第5領域又は前記第7領域において前記第1右把持孔の上方に位置し、軸線が前記運搬者から見て当該第1右把持孔よりも急な上り傾斜となる向きで設けられ、前記右手の五指のうち人差し指、親指は挿入されずに中指、薬指、小指が一括して挿入されるよう構成された第2右把持孔と、
をさらに有する
ことを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
請求項1記載の段ボール箱において、
前記第1左把持孔及び前記第1右把持孔のそれぞれは、孔縁部に、
把持時において前記中指、前記薬指、前記小指が入り込んで当接する、略円弧形状の中指用湾曲部、薬指用湾曲部、小指用湾曲部を備えている
ことを特徴とする段ボール箱。