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特開2024-44140燃料電池システム、および、燃料電池システムの運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044140
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】燃料電池システム、および、燃料電池システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240326BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20240326BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240326BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240326BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/0432
H01M8/04746
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149512
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 宏明
(72)【発明者】
【氏名】富樫 和沙
(72)【発明者】
【氏名】村本 知哉
(72)【発明者】
【氏名】三好 一雄
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB23
5H127AC02
5H127AC05
5H127BA01
5H127BA11
5H127BA21
5H127BA33
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB07
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB25
5H127BB28
5H127DB06
5H127DB47
5H127DB76
5H127DB79
5H127DB82
5H127GG04
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】アンモニアによる腐食を抑制する。
【解決手段】燃料電池システム100は、密閉容器110と、密閉容器110内に設けられ、燃料極122、電解質126、および、空気極124を有する燃料電池本体120と、密閉容器110内に設けられ、アンモニアの分解を促進する触媒が配されるアンモニア分解器140と、アンモニア分解器140と燃料極122とを連通する水素供給管142と、アンモニアを少なくとも含む原料ガスの供給源102と、アンモニア分解器140とを連通する原料供給管132と、水および水蒸気のうちのいずれか一方または両方である供給水を原料供給管132に供給する水供給部210と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器と、
前記密閉容器内に設けられ、燃料極、電解質、および、空気極を有する燃料電池本体と、
前記密閉容器内に設けられ、アンモニアの分解を促進する触媒が配されるアンモニア分解器と、
前記アンモニア分解器と前記燃料極とを連通する水素供給管と、
アンモニアを少なくとも含む原料ガスの供給源と、前記アンモニア分解器とを連通する原料供給管と、
水および水蒸気のうちのいずれか一方または両方である供給水を前記原料供給管に供給する水供給部と、
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記水供給部は、前記燃料電池本体の温度、前記アンモニア分解器の温度、前記水素供給管の温度、および、前記原料供給管の温度のうちの最高温度に基づいて決定される量以上の前記供給水を前記原料供給管に供給する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記水供給部は、前記原料供給管における、水が凝縮しない温度となる領域に、前記供給水を供給する、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記水供給部は、前記空気極から排気されたアノードオフガスを燃焼させた後の燃焼排ガスに含まれる水を前記供給水として供給する、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃焼排ガスを冷却して水を生成する凝縮器を備え、
前記水供給部は、前記凝縮器によって生成された水を前記供給水として供給する、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
密閉容器内に設けられ、燃料極、電解質、および、空気極を有する燃料電池本体と、前記密閉容器内に設けられ、アンモニアの分解を促進する触媒が配されるアンモニア分解器と、前記アンモニア分解器と前記燃料極とを連通する水素供給管と、アンモニアを少なくとも含む原料ガスの供給源と、前記アンモニア分解器とを連通する原料供給管と、を備える燃料電池システムの運転方法であって、
水および水蒸気のうちのいずれか一方または両方である供給水を前記原料供給管に供給する、燃料電池システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システム、および、燃料電池システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、COを排出しない燃料としてアンモニアが注目されている。そこで、都市ガスに代えてアンモニアを燃料として発電する燃料電池システムが検討されている。例えば、特許文献1には、燃料電池本体と、アンモニアの供給源と燃料電池本体とを連通する供給路と、供給路に設けられた変換装置と、変換装置を迂回するバイパス路とを備えた燃料電池システムが開示されている。
【0003】
特許文献1の技術では、変換装置によってアンモニアの一部が水素に変換され、水素およびアンモニアが燃料極に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5120075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のような燃料電池システムでは、アンモニアが通過する配管等がアンモニアによって腐食してしまうおそれがある。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑み、アンモニアによる腐食を抑制することが可能な燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る燃料電池システムは、密閉容器と、密閉容器内に設けられ、燃料極、電解質、および、空気極を有する燃料電池本体と、密閉容器内に設けられ、アンモニアの分解を促進する触媒が配されるアンモニア分解器と、アンモニア分解器と燃料極とを連通する水素供給管と、アンモニアを少なくとも含む原料ガスの供給源と、アンモニア分解器とを連通する原料供給管と、水および水蒸気のうちのいずれか一方または両方である供給水を原料供給管に供給する水供給部と、を備える。
【0008】
また、水供給部は、燃料電池本体の温度、アンモニア分解器の温度、水素供給管の温度、および、原料供給管の温度のうちの最高温度に基づいて決定される量以上の供給水を原料供給管に供給してもよい。
【0009】
また、水供給部は、原料供給管における、水が凝縮しない温度となる領域に、供給水を供給してもよい。
【0010】
水供給部は、空気極から排気されたアノードオフガスを燃焼させた後の燃焼排ガスに含まれる水を供給水として供給してもよい。
【0011】
また、上記燃料電池システムは、燃焼排ガスを冷却して水を生成する凝縮器を備え、水供給部は、凝縮器によって生成された水を供給水として供給してもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る燃料電池システムの運転方法は、密閉容器内に設けられ、燃料極、電解質、および、空気極を有する燃料電池本体と、密閉容器内に設けられ、アンモニアの分解を促進する触媒が配されるアンモニア分解器と、アンモニア分解器と燃料極とを連通する水素供給管と、アンモニアを少なくとも含む原料ガスの供給源と、アンモニア分解器とを連通する原料供給管と、を備える燃料電池システムの運転方法であって、水および水蒸気のうちのいずれか一方または両方である供給水を原料供給管に供給する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、アンモニアによる腐食を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1の実施形態の燃料電池システムを説明する図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る燃料電池システムに設けられるセンサ類を説明する図である。
図3図3は、水蒸気の供給率と皮膜窒化率との関係を示す図である。
図4図4は、燃料電池システムの運転方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
図5図5は、第2の実施形態に係る燃料電池システムを説明する図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る燃料電池システムに設けられるセンサ類を説明する図である。
図7図7は、異なる圧力における、水蒸気の供給率と皮膜窒化率との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
また、以下の実施形態において、圧力は、絶対圧である。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の燃料電池システム100を説明する図である。図2は、第1の実施形態に係る燃料電池システム100に設けられるセンサ類を説明する図である。
【0018】
図1図2に示すように、燃料電池システム100は、密閉容器110と、1または複数の燃料電池本体120と、燃料供給部130と、アンモニア分解器140と、水素供給管142と、酸素含有ガス供給部150と、アノード排気管160と、カソード排気管162と、オフガス燃焼器170と、熱交換器180と、凝縮器200と、ドレンタンク202と、水供給部210と、水素供給部220と、窒素供給部230と、インバータ240と、操作部242と、中央制御部250と、筐体260と、換気部262と、電池温度センサ270と、分解器温度センサ272と、水位センサ274と、排気ガスセンサ276と、燃焼温度センサ278とを含む。
【0019】
なお、図1中、破線の矢印は、水の流れを示す。また、図1中、実線の矢印は、水以外の流体の流れを示す。図2中、実線の矢印は、信号の流れを示す。
【0020】
第1の実施形態に係る燃料電池システム100は、アノードオフガスおよびカソードオフガスが密閉容器110外に設けられるオフガス燃焼器170内で反応する閉鎖系の燃料電池システム100である。
【0021】
密閉容器110は、後述する燃料電池本体120、原料供給管132の一部、アンモニア分解器140、水素供給管142、熱交換器180、気化器216を少なくとも収容する。密閉容器110は、燃料電池本体120から外部への伝熱を抑制する。密閉容器110は、断熱材で構成された容器、または、真空容器である。
【0022】
燃料電池本体(セルスタック)120は、燃料極122、空気極124、および、電解質126を有する。本実施形態において、燃料電池本体120は、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。燃料極122、すなわち、アノードは、NiおよびNi化合物(例えば、NiO)のいずれか一方または両方を含む。燃料極122には、供給マニホールド122aと、排気マニホールド122bとが連通される。供給マニホールド122aおよび排気マニホールド122bは、燃料電池本体120が生じる熱によって加熱される。
【0023】
空気極124、すなわち、カソードは、例えば、電子伝導性を示す酸化物を含む。電子伝導性を示す酸化物は、例えば、LSM((La,Sr)MnO)、LSC((La,Sr)CoO)、または、LSCF((La,Sr)(Co,Fe)O)である。空気極124には、供給マニホールド124aと、排気マニホールド124bとが連通される。供給マニホールド124aおよび排気マニホールド124bは、燃料電池本体120が生じる熱によって加熱される。
【0024】
電解質126は、燃料極122と空気極124との間に設けられる。電解質126は、酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物を含む。酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)である。
【0025】
燃料供給部130は、アンモニアを少なくとも含む原料ガスをアンモニア分解器140に供給する。本実施形態において、燃料供給部130は、原料供給管132と、流量調整機構134とを含む。
【0026】
原料供給管132は、原料ガスの供給源102と、アンモニア分解器140とを連通する。アンモニアの供給源102は、例えば、アンモニアを貯留する高圧容器(ボンベ)である。流量調整機構134は、原料供給管132に設けられる。流量調整機構134は、例えば、マスフローコントローラ、または、ポンプ(例えば、ダイヤフラムポンプ、または、回転翼式ポンプ)である。流量調整機構134は、原料供給管132を流れるアンモニアの流量を調整する。
【0027】
アンモニア分解器140には、アンモニアの分解を促進する触媒が配される。触媒は、例えば、ニッケル系触媒、および、ルテニウム(Ru)系触媒のうちのいずれか一方または両方である。
【0028】
本実施形態において、アンモニア分解器140は、原料ガスと触媒とを接触させつつ、原料ガスおよび触媒と、後述するアノードオフガスおよびカソードオフガスとを熱交換させる。これにより、アンモニア分解器140において、アノードオフガスおよびカソードオフガスの顕熱が、原料ガスおよび触媒に伝達される。そうすると、アンモニア分解器140において、原料ガスおよび触媒は、例えば、400℃以上800以下に加熱される。これにより、アンモニア分解器140において、アンモニアが分解され、水素が生成される。
【0029】
水素供給管142は、供給マニホールド122aを介して、アンモニア分解器140と燃料極122とを連通する。アンモニア分解器140によって生成された水素は、水素供給管142、供給マニホールド122aを通じて、燃料極122に供給される。
【0030】
酸素含有ガス供給部150は、供給マニホールド124aを介して、酸素含有ガスを空気極124に供給する。また、本実施形態において、酸素含有ガス供給部150は、オフガス燃焼器170に酸素含有ガスを供給する。酸素含有ガスは、少なくとも酸素を含む。酸素含有ガスは、例えば、空気、酸素富化空気である。ここでは、酸素含有ガスが空気である場合を例に挙げる。
【0031】
本実施形態において、酸素含有ガス供給部150は、空気供給装置152と、空気加熱器154と、分岐管156と、流量調整弁158とを含む。空気供給装置152は、空気供給管152aと、フィルタ152bと、ブロワ152cと、流量調整弁152dと、分岐管152eとを含む。空気供給管152aは、一端が開放され、他端が後述する分岐管152eに連通される。つまり、空気供給管152aは、分岐管152eを介して、空気供給源と供給マニホールド124aとを連通する。
【0032】
フィルタ152bは、空気供給管152aに設けられる。フィルタ152bは、後述する筐体260内から空気供給管152a内に導入される空気を除塵する。ブロワ152cは、空気供給管152aにおけるフィルタ152bの下流側に設けられる。ブロワ152cは、例えば、10kPaG以上の圧力で空気を空気極124(供給マニホールド124a)に供給する。流量調整弁152dは、空気供給管152aにおけるブロワ152cの下流側に設けられる。分岐管152eは、空気供給管152aにおけるブロワ152cと流量調整弁152dとの間から分岐され、空気極124に連通される。
【0033】
空気加熱器154は、例えば、電気ヒータで構成される。空気加熱器154は、空気供給管152aにおける流量調整弁152dの下流側に設けられる。空気加熱器154は、空気を、例えば、900℃程度に加熱する。したがって、空気供給装置152は、空気加熱器154によって加熱された空気を空気極124に供給する。
【0034】
分岐管156は、空気供給管152aにおけるブロワ152cと分岐管152eの分岐箇所との間から分岐され、後述するカソード排気管162に連通される。流量調整弁158は、分岐管156に設けられる。
【0035】
上記したように、燃料供給部130によって、原料供給管132にアンモニアを含む原料ガスが供給されると、アンモニア分解器140の通過過程で、アンモニアの一部が分解されて、水素が生成される(下記反応式(1))。また、燃料極122上においてもアンモニアが分解されて、下記反応式(1)に示すように水素が生成される。
NH → 3/2H + 1/2N …反応式(1)
したがって、燃料極122に水素が供給されることになり、燃料極122において、下記反応式(2)に示す酸化反応が進行する。
+ O2- → 2HO + 2e …反応式(2)
【0036】
また、上記したように、酸素含有ガス供給部150によって空気極124に空気が供給されることにより、空気極124において、下記反応式(3)に示す還元反応が進行する。そして、酸化物イオン(O2-)が電解質126を伝導(移動)することにより、燃料電池本体120が発電する。燃料電池本体120は、発電を開始すると、ジュール熱によって自体の温度が上昇する。
1/2O + 2e → O2- …反応式(3)
【0037】
そして、反応式(2)に示す酸化反応が進行した結果生じるアノードオフガス(水(水蒸気)、水素、および、アンモニアを含む)は、排気マニホールド122bを通じて排気される。また、反応式(3)に示す反応が進行した結果生じるカソードオフガス(酸素、窒素を含む)は、排気マニホールド124bを通じて排気される。
【0038】
アノード排気管160は、排気マニホールド122bとオフガス燃焼器170を連通する。カソード排気管162は、排気マニホールド124bとオフガス燃焼器170とを連通する。
【0039】
オフガス燃焼器170は、燃料極122から排気されるアノードオフガスと、空気極124から排気されるカソードオフガスとを燃焼させる。オフガス燃焼器170は、例えば、ハニカム形状の触媒を含む。触媒は、水素の酸化(燃焼)を促進させる。オフガス燃焼器170は、例えば、空間速度(SV値)が数千hr-1から数万hr-1程度となるように設計される。
【0040】
熱交換器180は、分岐管152eを通過する空気が有する熱と、アンモニア分解器140を通過したカソードオフガスが有する熱とを熱交換させる。熱交換器180は、例えば600℃以上800℃以下の所定の温度まで空気を加熱する。熱交換器180は、空気によりカソードオフガスを冷却する。
【0041】
凝縮器200は、オフガス燃焼器170から排出される燃焼排ガスと、水(例えば、給水)とを熱交換させる。これにより、凝縮器200において、燃焼排ガスが冷却され、燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮して水(液)が生成される。一方、燃焼排ガスが有する顕熱によって加熱された水は、給湯として不図示の温水利用設備に供給されたり、不図示の熱交換器によって空冷されたりする。凝縮器200は、例えば、ラジエータで構成される。
【0042】
ドレンタンク202は、凝縮器200によって生じた水(ドレン)を貯留する。なお、燃料電池システム100の起動前において、ドレンタンク202は、所定量の水を貯留する。ドレンタンク202には、不図示の排水弁が設けられる。排水弁が開弁されると、ドレンタンク202から水が排出される。
【0043】
水供給部210は、供給水を原料供給管132に供給する。本実施形態において、水供給部210は、供給水として、ドレンタンク202に貯留された水(液)を気化し、水蒸気として原料供給管132に供給する。
【0044】
本実施形態において、水供給部210は、ポンプ212と、水供給管214と、気化器216と、を含む。ポンプ212の吸入側は、ドレンタンク202に連通される。ポンプ212の吐出側は、水供給管214に連通される。水供給管214は、ポンプ212の吐出側と、原料供給管132における密閉容器110内に配される箇所とを連通する。気化器216は、水供給管214に設けられる。本実施形態において、気化器216は、密閉容器110内に設けられる。気化器216は、水を気化して水蒸気とする。
【0045】
なお、原料供給管132における水供給管214が連通される箇所の温度は、水が凝縮しない温度(例えば、0.1MPaで60℃)以上である。したがって、水供給部210によって供給された水蒸気(供給水)が、原料供給管132において水(液)に凝縮されてしまう事態を回避することができる。
【0046】
また、原料供給管132における水供給管214が連通される箇所の温度は、アンモニアによる窒化が開始される温度(例えば、0.1MPaで200℃以上300℃以下の所定の温度)未満である。
【0047】
このように、原料供給管132に水蒸気を供給することにより、原料供給管132および原料供給管132の下流側の部材における水蒸気が接触する面に、原料供給管132および原料供給管132の下流側の部材を構成する金属の酸化皮膜を形成させることができる。例えば、原料供給管132および原料供給管132の下流側の部材が、鉄系材料(例えば、ステンレス鋼)で構成される場合、供給水の供給によって、鉄の酸化皮膜(酸化鉄の皮膜)を形成させることができる。
【0048】
原料供給管132および原料供給管132の下流側の部材に酸化皮膜が形成されることにより、原料供給管132および原料供給管132の下流側の部材にアンモニアが直接接触してしまう事態を回避できる。このため、原料供給管132および原料供給管132の下流側の部材を構成する金属の、アンモニアによる窒化を防止することが可能となる。したがって、水供給部210は、原料供給管132および原料供給管132の下流側の部材の腐食を防止することができる。このため、原料供給管132および原料供給管132の下流側の部材を、安価な鉄系材料で構成することが可能となる。
【0049】
なお、原料供給管132の下流側の部材は、アンモニア分解器140、水素供給管142、供給マニホールド122a、燃料極122、排気マニホールド122b、アノード排気管160である。
【0050】
また、水供給部210は、燃料電池本体120の温度、アンモニア分解器140の温度、水素供給管142の温度、および、原料供給管132の温度のうちの最高温度に基づいて決定される量以上の供給水を原料供給管132に供給する。
【0051】
図3は、水蒸気の供給率と皮膜窒化率との関係を示す図である。図3中、縦軸は、皮膜窒化率[%]を示す。図3中、横軸は、水蒸気の供給率[mol%]を示す。皮膜窒化率は、酸化皮膜が酸化鉄である場合の窒化率の平均値である。水蒸気の供給率は、アンモニア分解器140に供給されるアンモニアの供給量に対する、水供給部210によって供給される水蒸気(水)の供給量のモル比率(水蒸気の供給量/アンモニアの供給量)である。また、図3中、黒い丸は、400℃、0.1MPaの際の水蒸気の供給率と、皮膜窒化率との関係を示す。図3中、白い丸は、600℃、0.1MPaの際の水蒸気の供給率と、皮膜窒化率との関係を示す。図3中、黒い三角は、700℃、0.1MPaの際の水蒸気の供給率と、皮膜窒化率との関係を示す。図3中、白い三角は、800℃、0.1MPaの際の水蒸気の供給率と、皮膜窒化率との関係を示す。
【0052】
図3に示すように、0.1MPaにおいて、温度に拘わらず、水蒸気の供給率が大きくなるほど、皮膜窒化率は低下する。また、0.1MPaにおいて、温度が高くなるにつれて、皮膜窒化率を低下させるために必要な水蒸気の供給率は大きくなる。
【0053】
図3中、黒い丸に示すように、400℃、0.1MPaである場合、水蒸気の供給率が1mol%以上であると、皮膜窒化率は0%となる。また、図3中、白い丸で示すように、600℃、0.1MPaである場合、水蒸気の供給率が4mol%以上であると、皮膜窒化率は0%となる。図3中、黒い三角で示すように、700℃、0.1MPaである場合、水蒸気の供給率が7mol%以上であると、皮膜窒化率は0%となる。また、図3中、白い三角で示すように、800℃、0.1MPaである場合、水蒸気の供給率が20mol%以上であると、皮膜窒化率は0%となる。
【0054】
したがって、水供給部210は、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の温度のうちの最高温度が400℃であり、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の圧力が0.1MPaである場合、水蒸気の供給率が1mol%以上となるように、供給水を供給する。
【0055】
また、水供給部210は、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の温度のうちの最高温度が600℃であり、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の圧力が0.1MPaである場合、水蒸気の供給率が4mol%以上となるように、供給水を供給する。
【0056】
水供給部210は、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の温度のうちの最高温度が700℃であり、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の圧力が0.1MPaである場合、水蒸気の供給率が7mol%以上となるように、供給水を供給する。
【0057】
また、水供給部210は、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の温度のうちの最高温度が800℃であり、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の圧力が0.1MPaである場合、水蒸気の供給率が20mol%以上となるように、供給水を供給する。
【0058】
このように、水供給部210が、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132のそれぞれの温度のうちの最高温度に基づいて決定される量以上の供給水を原料供給管132に供給することにより、原料供給管132および原料供給管132の下流側の部材を構成する金属の、アンモニアによる窒化を確実に防止することができる。
【0059】
なお、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132それぞれの温度のうちの最高温度として、設計値が参照されてもよいし、実測値が参照されてもよい。
【0060】
また、水供給部210は、最高温度に拘わらず、水蒸気の供給率が25mol%以下となるように、供給水を供給する。これにより、水供給部210は、燃料電池本体120の発電効率が低下してしまう事態を回避することが可能となる。
【0061】
また、上記したように、水供給部210は、ドレンタンク202に貯留された水を供給水として供給する。ドレンタンク202に貯留された水は、燃料電池本体120が運転されることによって生じる。したがって、ドレンタンク202に貯留された水を用いることにより、窒化防止のための水のコストを削減することができる。
【0062】
図1に戻って説明すると、水素供給部220は、燃料電池システム100を起動する際に、原料供給管132に水素を供給する。本実施形態において、水素供給部220は、配管222と、流量調整機構224とを含む。配管222は、水素の供給源104と、原料供給管132とを連通する。水素の供給源104は、例えば、水素を貯留する高圧容器(ボンベ)である。流量調整機構224は、配管222に設けられる。流量調整機構224は、例えば、マスフローコントローラ、または、ポンプである。流量調整機構224は、配管222を流れる水素の流量を調整する。
【0063】
窒素供給部230は、燃料電池システム100を起動する際および停止する際に、配管222およびアノード排気管160に窒素を供給する。本実施形態において、窒素供給部230は、配管232a、232bと、流量調整機構234a、234bとを含む。配管232aは、窒素の供給源106と、配管222とを連通する。配管232bは、窒素の供給源106と、カソード排気管162とを連通する。窒素の供給源106は、例えば、窒素を貯留する高圧容器(ボンベ)、または、ユーティリティ配管である。窒素の供給源106の供給圧は、例えば、10kPaG以上である。
【0064】
流量調整機構234aは、配管232aに設けられる。流量調整機構234aは、配管232aを流れる窒素の流量を調整する。流量調整機構234bは、配管232bに設けられる。流量調整機構234bは、配管232bを流れる窒素の流量を調整する。流量調整機構234a、234bは、例えば、マスフローコントローラ、または、ポンプである。
【0065】
インバータ240は、燃料電池本体120の燃料極122および空気極124に接続される。インバータ240は、燃料電池本体120から出力された直流電流を交流電流に変換して負荷に供給する。インバータ240は、燃料電池本体120におけるセルスタックの積層数、燃料電池本体120の数、負荷の接続方式(直列、または、並列)、負荷の電圧(100V、200V等)に基づいて、設計される。なお、燃料電池本体120から出力される電圧が負荷の電圧より低い場合、インバータ240の前段に昇圧器(DC-DCコンバータ)が設けられる。
【0066】
操作部242は、タッチパネル、または、ハードスイッチで構成される。操作部242は、ユーザによる操作入力を受け付けると、受け付けた操作入力の種類に応じた信号を中央制御部250に出力する。操作入力は、例えば、運転(発電)開始、運転停止等である。
【0067】
中央制御部250は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路(制御基板、または、PLC(programmable logic controller))で構成される。中央制御部250は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。中央制御部250は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して燃料電池システム100全体を管理および制御する。
【0068】
本実施形態において、中央制御部250は、操作部242から出力された信号に基づき、流量調整機構134、224、234a、234b、ブロワ152c、流量調整弁152d、158、空気加熱器154、水供給部210(ポンプ212)、および、インバータ240を制御する(図2参照)。中央制御部250による制御については、後に詳述する。
【0069】
筐体260は、密閉容器110、燃料供給部130の一部、酸素含有ガス供給部150、アノード排気管160、カソード排気管162、オフガス燃焼器170、凝縮器200、ドレンタンク202、水供給部210、水素供給部220の一部、窒素供給部230の一部、インバータ240、中央制御部250、換気部262を収容する。つまり、アンモニアの供給源102、水素の供給源104、窒素の供給源106、および、操作部242は、筐体260外に配される。
【0070】
筐体260は、吸気口260aおよび排気口260bが形成される。吸気口260aには、フィルタ260cが設けられる。フィルタ260cは、大気中のダストを除塵する。
【0071】
換気部262は、例えば、ファンで構成される。換気部262は、筐体260内の空気を、排気口260bを通じて外部に排気する。これにより、吸気口260aを通じて外部から筐体260内に大気(空気)が導入される。つまり、換気部262は、筐体260内を換気する。換気部262は、筐体260内の温度が所定の温度(例えば、50℃程度)になるように、筐体260内を換気する。
【0072】
電池温度センサ270は、燃料電池本体120の温度を計測する。分解器温度センサ272は、アンモニア分解器140の温度を計測する。水位センサ274は、ドレンタンク202の水位を計測する。排気ガスセンサ276は、凝縮器200から排気された燃焼排ガスに含まれるアンモニアおよび水素の濃度を計測する。燃焼温度センサ278は、オフガス燃焼器170の温度を計測する。
【0073】
中央制御部250は、所定の流量のアンモニアがアンモニア分解器140に供給されるように、流量調整機構134を制御する。
【0074】
中央制御部250は、運転中において、電池温度センサ270によって計測される燃料電池本体120の温度が燃料電池本体120の発電効率が最大となる温度となるように、発電負荷、および、空気供給装置152のうちのいずれか一方または両方を制御する。燃料電池本体120の発電効率が最大となる温度は、例えば、600℃以上800℃以下である。
【0075】
また、中央制御部250は、運転中において、分解器温度センサ272によって計測されるアンモニア分解器140の温度が、アンモニアの分解効率が最大となる温度となるように、流量調整機構134、空気供給装置152、および、燃料電池本体120の発電出力のうちのいずれか1または複数を制御する。アンモニアの分解効率が最大となる温度は、例えば、700℃以上800℃以下である。
【0076】
中央制御部250は、運転中において、水位センサ274によって計測されるドレンタンク202の水位が所定範囲内となるように、ドレンタンク202に設けられた排水弁を開閉制御する。
【0077】
また、中央制御部250は、運転中において、排気ガスセンサ276によって計測されるアンモニアの濃度が規制値以下となるように、流量調整機構134を制御する。中央制御部250は、運転中において、排気ガスセンサ276によって計測される水素の濃度が所定値を超えると、インバータ240を制御して燃料電池本体120による発電を停止する。所定値は、爆発範囲を基準に決定され、例えば、25%LEL(爆発下限濃度)である。
【0078】
また、中央制御部250は、運転中において、燃焼温度センサ278によって計測されるオフガス燃焼器170の温度が触媒の活性温度(または、耐熱温度)に維持されるように、流量調整弁158の開度を調整する。
【0079】
また、中央制御部250は、運転中において、燃料電池本体120の発電出力、および、負荷に基づいて、インバータ240を制御する。
【0080】
また、中央制御部250は、起動時において、流量調整機構224、234a、234bを開く。中央制御部250は、起動時において、燃料電池本体120が通常運転温度に到達するように、空気加熱器154を駆動し、流量調整弁152dの開度を調整する。また、中央制御部250は、停止時において、流量調整機構234a、234bを開く。
【0081】
[燃料電池システム100の運転方法]
続いて、燃料電池システム100の運転方法について説明する。図4は、燃料電池システム100の運転方法の処理の流れを説明するフローチャートである。図4に示すように、燃料電池システム100の運転方法は、供給処理S110を含む。
【0082】
供給処理S110は、水供給部210によって、原料供給管132に供給水を供給する処理である。例えば、中央制御部250は、水供給部210によって供給される供給水の量が、下限値以上、上限値以下となるように、ポンプ212を制御する。下限値は、上記燃料電池本体120の温度、アンモニア分解器140の温度、水素供給管142の温度、および、原料供給管132の温度のうちの最高温度に基づいて決定される水蒸気の供給率に対応する値である。上限値は、水蒸気の供給率25mol%に対応する値である。
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係る燃料電池システム100およびこれを用いた燃料電池システム100の運転方法は、アンモニアによる腐食を抑制することが可能となる。
【0084】
[第2の実施形態:300]
図5は、第2の実施形態に係る燃料電池システム300を説明する図である。図6は、第2の実施形態に係る燃料電池システム300に設けられるセンサ類を説明する図である。
【0085】
図5図6に示すように、燃料電池システム300は、密閉容器310と、1または複数の燃料電池本体320と、燃料供給部330と、アンモニア分解器350と、水素供給管352と、酸素含有ガス供給部360と、熱交換器380と、酸素含有ガス供給管390と、排気管392と、凝縮器400と、ドレンタンク402と、水導入部404と、水導入管406と、水蒸気生成部408と、窒素供給部410と、インバータ420と、操作部430と、中央制御部440と、筐体450と、換気部460と、電池温度センサ470と、分解器温度センサ472と、水位センサ474と、排気ガスセンサ476と、水供給部210と、を含む。
【0086】
なお、図5中、破線の矢印は、水の流れを示す。また、図5中、実線の矢印は、水以外の流体の流れを示す。図6中、実線の矢印は、信号の流れを示す。
【0087】
また、上記燃料電池システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
本実施形態に係る燃料電池システム300は、アノードオフガスおよびカソードオフガスが密閉容器310内で反応する開放系の燃料電池システム300である。
【0089】
密閉容器310は、後述する燃料電池本体320、アンモニア分解器350、水素供給管352、熱交換器380、酸素含有ガス供給管390、および、水蒸気生成部408を少なくとも収容する。密閉容器310は、燃料電池本体320から外部への伝熱を抑制する。密閉容器310は、断熱材で構成された容器、または、真空容器である。
【0090】
燃料電池本体320は、セルスタックで構成される。燃料電池本体320は、燃料極122、マニホールド324、空気極124、および、電解質126を含む。
【0091】
本実施形態において、燃料極122には、マニホールド324が連通される。また、本実施形態において、空気極124は、密閉容器310の内部空間に露出する。
【0092】
マニホールド324には、燃料ガス供給口324aと、アノードオフガス排気口324bとが設けられる。燃料ガス供給口324aには、水素供給管352が連通される。アノードオフガス排気口324bは、密閉容器310の内部空間に臨む。つまり、アノードオフガス排気口324bは、密閉容器310内に臨む開口である。燃料極122は、マニホールド324の内部空間に露出する。マニホールド324は、燃料電池本体320が生じる熱によって加熱される。
【0093】
燃料供給部330は、アンモニアを少なくとも含む原料ガスをアンモニア分解器350に供給する。本実施形態において、燃料供給部330は、原料供給管332と、減圧弁334と、遮断弁336と、流量調整機構338と、水素発生器340とを含む。
【0094】
原料供給管332は、アンモニアの供給源102と、アンモニア分解器350とを連通する。減圧弁334は、原料供給管332におけるアンモニアの供給源102の下流側に設けられる。減圧弁334は、アンモニアの供給源102から供給されるアンモニアを減圧する。遮断弁336は、原料供給管332における減圧弁334の下流側に設けられる。遮断弁336は、原料供給管332に形成される流路を開閉する。流量調整機構338は、原料供給管332における遮断弁336の下流側に設けられる。流量調整機構338は、例えば、マスフローコントローラ、または、ポンプ(例えば、ダイヤフラムポンプ、または、回転翼式ポンプ)である。流量調整機構338は、原料供給管332を流れるアンモニアの流量を調整する。
【0095】
水素発生器340は、原料供給管332における流量調整機構338の下流側に設けられる。水素発生器340は、アンモニアの分解を促進する触媒が収容された収容部と、触媒を加熱する電気ヒータとを含む。触媒は、例えば、ニッケル系触媒、および、ルテニウム系触媒のうちのいずれか一方または両方である。水素発生器340(電気ヒータ)は、燃料電池システム300を起動する際に動作する。本実施形態において、水素発生器340が有する触媒の量は、アンモニア分解器350が有する触媒よりも少ない。
【0096】
アンモニア分解器350には、アンモニアの分解を促進する触媒が配される。本実施形態において、アンモニア分解器350は、アノードオフガス排気口324bに直接対向する。つまり、アンモニア分解器350とアノードオフガス排気口324bとの間には、遮蔽物が配されない。詳しくは後述するが、燃料ガス供給口324aから排気されたアノードオフガスは、燃料ガス供給口324a(燃料電池本体320)の近傍において、密閉容器310内の雰囲気ガスである、カソードオフガスおよび空気のうちのいずれか一方または両方と反応(酸化反応、燃焼反応)して反応後ガスが生成される。このため、アンモニア分解器350には、この反応熱(燃焼熱)が直接伝達される。また、生成された反応後ガスは、アノードオフガス排気口324bから排気されたアノードオフガスの流れに伴い、アンモニア分解器350に衝突する。したがって、アンモニア分解器350は、反応熱および反応後ガスが有する顕熱によって、例えば、400℃以上800以下に加熱される。
【0097】
水素供給管352は、マニホールド324を介して、燃料極122とアンモニア分解器350とを連通する。
【0098】
酸素含有ガス供給部360は、酸素含有ガスを熱交換器380に供給する。酸素含有ガスは、少なくとも酸素を含む。酸素含有ガスは、例えば、空気、酸素富化空気である。ここでは、酸素含有ガスが空気である場合を例に挙げる。
【0099】
本実施形態において、酸素含有ガス供給部360は、空気供給装置362と、空気供給管364と、流量調整弁366と、バイパス管368と、流量調整弁370と、空気加熱器372とを含む。
【0100】
空気供給装置362は、後述するフィルタ452aによって除塵された空気を昇圧する。空気供給装置362は、空気を、例えば、10kPaG以上の圧力に昇圧する。空気供給装置362は、例えば、ブロワ、ダイヤフラムポンプ、または、ファンである。空気供給装置362の吸入側は、フィルタに連通される。空気供給装置362の吐出側は、空気供給管364に連通される。空気供給管364は、空気供給装置362の吐出側と、熱交換器380の空気入口182aとを連通する。流量調整弁366は、空気供給管364に設けられる。流量調整弁366は、空気供給管364を流れる空気の流量を調整する。
【0101】
バイパス管368は、空気供給管364における空気供給装置362と流量調整弁366との間と、酸素含有ガス供給管390とを連通する。バイパス管368には、流量調整弁370および空気加熱器372が設けられる。流量調整弁370は、バイパス管368を流れる空気の流量を調整する。空気加熱器372は、バイパス管368における流量調整弁370の下流側に設けられる。空気加熱器372は、バイパス管368を流れる空気を、例えば、900℃程度に加熱する。空気加熱器372は、例えば、電気ヒータである。空気加熱器372は、燃料電池システム300を起動する際に動作する。
【0102】
熱交換器380は、空気と、反応後ガスとを熱交換させる。これにより、反応後ガスの顕熱によって空気が加熱される。一方、反応後ガスは、空気によって徐熱される。熱交換器380は、空気流路382と、反応後ガス流路384とを含む。
【0103】
空気流路382には、空気入口382aと、空気出口382bとが形成される。空気入口382aには、空気供給管364が接続される。空気出口382b(酸素含有ガスの出口)には、酸素含有ガス供給管390が接続される。空気流路382には、空気入口382aを通じて空気供給装置362から供給された空気が流れ、空気出口382bから排気される。
【0104】
反応後ガス流路384には、反応後ガス入口384aと、反応後ガス出口384bとが形成される。反応後ガス入口384aは、密閉容器310の内部空間と連通する。つまり、反応後ガス入口384aは、密閉容器310内に臨む開口である。反応後ガス出口384bには、排気管392が接続される。反応後ガス流路384には、反応後ガス入口384aを通じて密閉容器310内で生じた反応後ガスが流れ、反応後ガス出口384bから排気される。
【0105】
本実施形態において、空気流路382における空気の流れと、反応後ガス流路384における反応後ガスの流れとは、対向する。
【0106】
酸素含有ガス供給管390は、熱交換器380における空気出口382bに接続され、開口が空気極124に臨む。本実施形態において、酸素含有ガス供給管390の先端側は、複数の分岐管390aに分岐されている。そして、複数の分岐管390aの先端に開口が形成される。これらの開口は、空気極124に対向する。
【0107】
上記したように、燃料供給部330によって、原料供給管332にアンモニアを含む燃料ガスが供給されると、アンモニア分解器350の通過過程で、アンモニアの少なくとも一部が分解されて、水素が生成される(上記反応式(1))。また、燃料極122上においてもアンモニアが分解されて、上記反応式(1)に示すように水素が生成される。したがって、燃料極122に水素が供給されることになり、燃料極122において、上記反応式(2)に示す酸化反応が進行する。
【0108】
また、上記したように、空気は、酸素含有ガス供給部360、熱交換器380、および、酸素含有ガス供給管390を通じて、空気極124に供給される。これにより、空気極124において、上記反応式(3)に示す還元反応が進行する。そして、酸化物イオンが電解質126を伝導することにより、燃料電池本体320が発電する。燃料電池本体320は、例えば、400℃以上の所定の温度に到達すると、発電を開始し、この発電の際に生じるジュール熱によって燃料電池本体320自体の温度が上昇する。
【0109】
そして、上記反応式(2)に示す酸化反応が進行した結果生じるアノードオフガス(水(水蒸気)、水素、および、アンモニアを含む)は、燃料ガス供給口324aを通じて密閉容器310内に排気される。また、上記反応式(3)に示す反応が進行した結果生じるカソードオフガス(酸素、窒素を含む)は、密閉容器310内に排気される。そうすると、密閉容器310内において、カソードオフガスおよび空気のうちのいずれか一方または両方ならびにアノードオフガスが反応して、反応後ガスが生成される。こうして生成された反応後ガスは、熱交換器380の反応後ガス入口384aを通じて、反応後ガス流路384に導かれる。
【0110】
排気管392の一端は、熱交換器380の反応後ガス出口384bに接続される。排気管392の他端は、大気開放される。排気管392の他端は、筐体450外に配される。
【0111】
凝縮器400は、熱交換器380から排気され、排気管392を通過する、例えば、400℃以上の反応後ガスと、水(例えば、給水)とを熱交換させる。これにより、反応後ガスが冷却され、反応後ガス中の水蒸気が凝縮して水(液)が生成される。一方、反応後ガスが有する顕熱によって加熱された水は、給湯として不図示の温水利用設備に供給されたり、不図示の熱交換器によって空冷されたりする。凝縮器400は、例えば、ラジエータで構成される。なお、凝縮器400によって使用される給水は、反応後ガスから生成される水の50%以上300%以下である。
【0112】
ドレンタンク402は、凝縮器400によって生じた水(ドレン)を貯留する。なお、燃料電池システム300の起動前において、ドレンタンク402は、所定量の水を貯留する。ドレンタンク402には、不図示の排水弁が設けられる。排水弁が開弁されると、ドレンタンク402から水が排出される。
【0113】
水導入部404は、熱交換器380を通過する空気に水を導入する。水導入部404は、例えば、ポンプである。水導入部404の吸入側は、ドレンタンク402に連通される。水導入部404の吐出側は、水導入管406に連通される。
【0114】
水導入管406は、水導入部404の吐出側と、熱交換器380の空気流路382とを連通する。
【0115】
水蒸気生成部408は、水導入管406の途中に設けられる。本実施形態において、水蒸気生成部408は、密閉容器310内における、反応後ガス入口384aの近傍に設けられる。水蒸気生成部408は、複数の直管部408aと、複数の接続部408bとを有する配管である。直管部408aは、反応後ガス入口384aに対向して設けられる。接続部408bは、隣り合う直管部408a同士を連通する。水蒸気生成部408を通過する水は、密閉容器310内の反応後ガスと熱交換される。これにより、水が加熱され、水蒸気が生成される。水蒸気生成部408によって生成された水蒸気は、熱交換器380の空気流路382に導入される。
【0116】
窒素供給部410は、窒素を原料供給管332に供給する。窒素供給部410は、燃料電池システム300を起動する際に動作する。本実施形態において、窒素供給部410は、窒素供給管412と、減圧弁414と、遮断弁416と、流量調整弁418とを含む。
【0117】
窒素供給管412は、窒素の供給源106と、原料供給管332における流量調整機構338と、水素発生器340との間を連通する。減圧弁414は、窒素供給管412における窒素の供給源106の下流側に設けられる。減圧弁414は、窒素の供給源106から供給される窒素を減圧する。遮断弁416は、窒素供給管412における減圧弁414の下流側に設けられる。遮断弁416は、窒素供給管412に形成される流路を開閉する。流量調整弁418は、窒素供給管412における遮断弁416の下流側に設けられる。流量調整弁418は、窒素供給管412を流れる窒素の流量を所定値に維持する。流量調整弁418は、例えば、ニードル弁、または、オリフィスである。
【0118】
インバータ420は、燃料電池本体320の燃料極122および空気極124に接続される。インバータ420は、燃料電池本体320から出力された直流電流を交流電流に変換して負荷に供給する。インバータ420は、燃料電池本体320におけるセルスタックの積層数、燃料電池本体320の数、負荷の接続方式(直列、または、並列)、負荷の電圧(300V、400V等)に基づいて、設計される。なお、燃料電池本体320から出力される電圧が負荷の電圧より低い場合、インバータ420の前段に昇圧器(DC-DCコンバータ)が設けられる。
【0119】
操作部430は、タッチパネル、または、ハードスイッチで構成される。操作部430は、ユーザによる操作入力を受け付けると、受け付けた操作入力の種類に応じた信号を中央制御部440に出力する。操作入力は、例えば、起動、通常運転(発電)開始、停止等である。
【0120】
中央制御部440は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路(制御基板、または、PLC(programmable logic controller))で構成される。中央制御部440は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。中央制御部440は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して燃料電池システム300全体を管理および制御する。
【0121】
本実施形態において、中央制御部440は、操作部430から出力された信号に基づき、遮断弁336、流量調整機構338、水素発生器340、空気供給装置362、流量調整弁366、370、空気加熱器372、水導入部404、遮断弁416、インバータ420、および、水供給部210(ポンプ212)を制御する(図6参照)。中央制御部440による制御については、後に詳述する。
【0122】
筐体450は、密閉容器310、燃料供給部330の一部、酸素含有ガス供給部360、凝縮器400、ドレンタンク402、水導入部404、窒素供給部410の一部、インバータ420、中央制御部440、換気部460、および、水供給部210を収容する。つまり、アンモニアの供給源102、減圧弁334、窒素の供給源106、減圧弁414、および、操作部430は、筐体450外に配される。
【0123】
筐体450は、吸気口452および排気口454が形成される。吸気口452には、フィルタ452aが設けられる。フィルタ452aは、大気中のダストを除塵する。
【0124】
換気部460は、例えば、ファンで構成される。換気部460は、筐体450内の空気を、排気口454を通じて外部に排気する。これにより、吸気口452を通じて外部から筐体450内に大気(空気)が導入される。つまり、換気部460は、筐体450内を換気する。換気部460は、筐体450内の温度が所定の温度(例えば、50℃程度)になるように、筐体450内を換気する。
【0125】
電池温度センサ470は、燃料電池本体320の温度を計測する。分解器温度センサ472は、アンモニア分解器350の温度を計測する。水位センサ474は、ドレンタンク402の水位を計測する。排気ガスセンサ476は、凝縮器400から排気された反応後ガスに含まれるアンモニアおよび水素の濃度を計測する。
【0126】
中央制御部440は、運転中において、電池温度センサ470によって計測される燃料電池本体320の温度が燃料電池本体320の発電効率が最大となる温度となるように、水導入部404の出力、発電負荷、空気供給装置362のうち、いずれか1または複数を制御する。燃料電池本体320の発電効率が最大となる温度は、例えば、600℃以上800℃以下である。
【0127】
また、中央制御部440は、運転中において、分解器温度センサ472によって計測されるアンモニア分解器350の温度が、アンモニアの分解効率が最大となる温度となるように、流量調整機構338、空気供給装置362、水導入部404の出力、および、燃料電池本体320の発電出力のうちのいずれか1または複数を制御する。アンモニアの分解効率が最大となる温度は、例えば、700℃以上800℃以下である。
【0128】
中央制御部440は、運転中において、水位センサ474によって計測されるドレンタンク402の水位が所定範囲内となるように、ドレンタンク402に設けられた排水弁を開閉制御する。
【0129】
また、中央制御部440は、運転中において、排気ガスセンサ476によって計測されるアンモニアの濃度が規制値以下となるように、流量調整機構338を制御する。中央制御部440は、運転中において、排気ガスセンサ476によって計測される水素の濃度が所定値を超えると、インバータ420を制御して燃料電池本体320による発電を停止する。所定値は、爆発範囲を基準に決定され、例えば、45%LEL(爆発下限濃度)である。
【0130】
また、中央制御部440は、起動時において、水素発生器340および空気加熱器372を動作させる。
【0131】
また、本実施形態において、水供給部210は、供給水を原料供給管332に供給する。本実施形態において、水供給部210は、供給水として、ドレンタンク402に貯留された水(液)を気化し、水蒸気として原料供給管332に供給する。
【0132】
本実施形態において、水供給部210は、ポンプ212と、水供給管214と、気化器216と、を含む。ポンプ212の吸入側は、ドレンタンク402に連通される。ポンプ212の吐出側は、水供給管214に連通される。水供給管214は、ポンプ212の吐出側と、原料供給管332における密閉容器310内に配される箇所とを連通する。気化器216は、水供給管214に設けられる。本実施形態において、気化器216は、密閉容器310内に設けられる。気化器216は、水を気化して水蒸気とする。
【0133】
また、本実施形態において、中央制御部440は、水供給部210によって供給される供給水の量が、下限値以上、上限値以下となるように、ポンプ212を制御する。
【0134】
以上説明したように、本実施形態に係る燃料電池システム300は、アンモニアによる腐食を抑制することが可能となる。
【0135】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0136】
例えば、上記第1の実施形態および第2の実施形態において、燃料電池本体120、320として、固体酸化物形燃料電池を例に挙げた。しかし、燃料電池本体120、320の種類に限定はない。例えば、燃料電池本体120、320は、固体高分子形燃料電池(PEFC)、りん酸形燃料電池(PAFC)、および、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)のうちのいずれか1または複数であってもよい。
【0137】
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態において、水供給部210が水蒸気を原料供給管132、332に供給する場合を例に挙げた。しかし、水供給部210は、液体の水を供給水として原料供給管132、332に供給してもよい。この場合、水供給部210は、原料供給管132、332において、水が凝縮しない温度(例えば、0.1MPaで100℃)以上の箇所に水を供給する。これにより、水供給部210によって供給された水を、原料供給管132において水蒸気とすることができる。また、この場合、気化器216を省略することが可能となる。
【0138】
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態において、水供給部210が、原料供給管132、332における密閉容器110、310内に配される箇所に供給水を供給する場合を例に挙げた。しかし、水供給部210は、原料供給管132、332における、水が凝縮しない温度の領域であれば、密閉容器110、310外の領域に供給水を供給してもよい。例えば、水供給部210は、第2の実施形態の燃料電池システム300を起動時において、原料供給管332における水素発生器340の下流側に供給水を供給してもよい。
【0139】
また、上記実施形態において、水供給部210が、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132それぞれの温度のうちの最高温度に基づいて決定される量以上の供給水を原料供給管132に供給する場合を例に挙げた。しかし、水供給部210は、最高温度に加えて、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の圧力に基づいて、供給水の供給量を決定してもよい。
【0140】
図7は、異なる圧力における、水蒸気の供給率と皮膜窒化率との関係を示す図である。図7中、縦軸は、皮膜窒化率[%]を示す。図7中、横軸は、水蒸気の供給率[mol%]を示す。図7中、黒い三角は、700℃、0.1MPaの際の水蒸気の供給率と、皮膜窒化率との関係を示す。図7中、黒い四角は、700℃、0.2MPaの際の水蒸気の供給率と、皮膜窒化率との関係を示す。図7中、白い四角は、700℃、0.6MPaの際の水蒸気の供給率と、皮膜窒化率との関係を示す。図7中、白い三角は、700℃、1.1MPaの際の水蒸気の供給率と、皮膜窒化率との関係を示す。
【0141】
図7に示すように、圧力に拘わらず、水蒸気の供給率が大きくなるほど、皮膜窒化率は低下する。また、700℃において、圧力が高くなるにつれて、皮膜窒化率を低下させるために必要な水蒸気の供給率は小さくなる。
【0142】
図7中、黒い三角で示すように、700℃、0.1MPaである場合、水蒸気の供給率が7mol%以上であると、皮膜窒化率は0%となる。図7中、黒い四角で示すように、700℃、0.2MPaである場合、水蒸気の供給率が6.5mol%以上であると、皮膜窒化率は0%となる。図7中、白い四角で示すように、700℃、0.6MPaである場合、水蒸気の供給率が5.2mol%以上であると、皮膜窒化率は0%となる。図7中、白い三角で示すように、700℃、1.1MPaである場合、水蒸気の供給率が4.5mol%以上であると、皮膜窒化率は0%となる。
【0143】
したがって、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の圧力Pが、0.1MPa超である場合、水供給部210は、下記式(4)を用いて算出された水蒸気の供給率となるように供給水を供給する。
水蒸気の供給率 = α × 水蒸気の供給率P0.1 …式(4)
上記式(4)において、供給率P0.1は、上記第1の実施形態において説明した、最高温度によって決定される水蒸気の供給率の下限値である。また、αは、1以下の係数である。αは、例えば、下記式(5)を用いて算出できる。
α = -0.104 × ln(圧力P)+0.437 …式(5)
【0144】
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態において、燃料電池システム100、300が凝縮器200、400を備える場合を例に挙げた。しかし、凝縮器200、400は必須の構成ではない。いずれにせよ、水供給部210は、空気極124から排気されたアノードオフガスを燃焼させた後の燃焼排ガスに含まれる水を供給水として供給することができればよい。例えば、燃料電池システム100、300は、凝縮器200、400に代えて、燃焼排ガスから水を取り出す分離膜を備えていてもよい。この場合であっても、燃料電池システム100、300は、アンモニアによる腐食を抑制することが可能となる。
【0145】
また、上記第1の実施形態において、水供給部210が、燃料電池本体120、アンモニア分解器140、水素供給管142、および、原料供給管132の温度のうちの最高温度に基づいて決定される量以上の供給水を原料供給管132に供給する場合を例に挙げた。同様に、第2の実施形態において、水供給部210が、燃料電池本体320、アンモニア分解器350、水素供給管352、および、原料供給管332の温度のうちの最高温度に基づいて決定される量以上の供給水を原料供給管332に供給する場合を例に挙げた。しかし、水供給部210が供給する供給水の量に限定はない。例えば、水供給部210は、予め定めれられた量(上限値(例えば、0.1MPaの場合、水蒸気の供給率25mol%に対応する値)の供給水を供給してもよい。
【0146】
また、上記第1の実施形態において、水供給部210が、原料供給管132における、水が凝縮しない温度の領域に、供給水を供給する場合を例に挙げた。同様に、第2の実施形態において、水供給部210が、原料供給管332における、水が凝縮しない温度の領域に、供給水を供給する場合を例に挙げた。しかし、水供給部210は、原料供給管132、332に供給水を供給できれば、供給箇所に限定はない。
【0147】
本開示は、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」、目標8「すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する」、目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」、目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0148】
100 燃料電池システム
102 供給源
110 密閉容器
120 燃料電池本体
122 燃料極
124 空気極
126 電解質
132 原料供給管
140 アンモニア分解器
142 水素供給管
200 凝縮器
210 水供給部
300 燃料電池システム
310 密閉容器
320 燃料電池本体
332 原料供給管
350 アンモニア分解器
352 水素供給管
400 凝縮器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7