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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044141
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/30 20060101AFI20240326BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20240326BHJP
   G11C 5/14 20060101ALI20240326BHJP
   G11C 16/08 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G11C16/30 100
G11C16/04 170
G11C5/14 400
G11C5/14 550
G11C16/08 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149513
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】伊達 浩己
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225BA01
5B225CA04
5B225DA09
5B225DB08
5B225DC08
5B225EA05
5B225EG02
5B225EG06
5B225EG17
5B225FA02
(57)【要約】
【課題】ワード線を好適に充電することが可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体記憶装置は、複数のメモリセルトランジスタと、前記複数のメモリセルトランジスタのそれぞれのゲートに共通して電気的に接続されたワード線と、前記ワード線に印加される第1電圧を生成する電圧生成回路とを備える。前記電圧生成回路は、消去ベリファイ動作時と読出動作時とで、前記第1電圧を昇圧する際に、異なる昇圧波形を出力する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルトランジスタと、
前記複数のメモリセルトランジスタのそれぞれのゲートに共通して電気的に接続されたワード線と、
前記ワード線に印加される第1電圧を生成する電圧生成回路とを備え、
前記電圧生成回路は、消去ベリファイ動作時と読出動作時とで、前記第1電圧を昇圧する際に、異なる昇圧波形を出力する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記電圧生成回路はさらに、前記消去ベリファイ動作時と書込ベリファイ動作時とで、前記第1電圧を昇圧する際に、異なる昇圧波形を出力する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記電圧生成回路はさらに、前記第1電圧を昇圧する際に、前記複数のメモリセルトランジスタのうちの少なくとも1つに書込が有るときと無いときとで、異なる昇圧波形を出力する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記電圧生成回路は、前記第1電圧の平均値が一定に維持される時間幅を、第1モードでは第1タイミングに第1幅から第2幅に増加させ、第2モードでは前記第1タイミングより早い第2タイミングに前記第1幅から前記第2幅に増加させる、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記電圧生成回路は、前記第1電圧の昇圧開始電圧の平均値を、前記第1モードでは第1値に設定し、前記第2モードでは前記第1値より高い第2値に設定する、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記電圧生成回路は、前記第1モードにおける前記第1電圧の昇圧開始電圧の平均値と、前記第2モードにおける前記第1電圧の昇圧開始電圧の平均値とを、同じ値に設定する、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記電圧生成回路は、前記第1電圧の平均値が一定に維持される時間幅を、前記第1モードでは前記第1電圧の昇圧開始時から前記第1値に設定し、前記第2モードでは前記第1電圧の昇圧開始後から前記第1値に設定する、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記電圧生成回路は、前記複数のメモリセルトランジスタのうちの少なくとも1つに書込があるか否かを判定可能な情報を、前記半導体記憶装置を制御するコントローラから取得する、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
複数のメモリセルトランジスタと、
前記複数のメモリセルトランジスタのそれぞれのゲートに共通して電気的に接続されたワード線と、
前記ワード線に印加される第1電圧を生成する電圧生成回路とを備え、
前記電圧生成回路は、前記第1電圧を昇圧する際に、第1読出の後に行われる第2読出時の前記第1電圧が、前記第1読出時の前記第1電圧とは異なる態様で変化するように、前記第1電圧を昇圧させる、半導体記憶装置。
【請求項10】
前記電圧生成回路は、前記第2読出の昇圧開始時の前記第1電圧の平均値を、前記第1読出の昇圧開始時の前記第1電圧の平均値より高く設定する、請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記電圧生成回路は、前記第2読出時の前記第1電圧の平均値の昇圧率を、昇圧開始から所定の時間内において、前記第1読出時の前記第1電圧の平均値の昇圧率より高く設定する、請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記電圧生成回路は、前記第2読出時に前記第1電圧の平均値が一定に維持される時間幅を、昇圧開始から所定の時間内において、前記第1読出時に前記第1電圧の平均値が一定に維持される時間幅より短く設定する、請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記電圧生成回路は、前記第2読出時の前記第1電圧の平均値の昇圧回数を、昇圧開始から所定の時間内において、前記第1読出時の前記第1電圧の平均値の昇圧回数より多く設定する、請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
複数のメモリセルトランジスタと、
前記複数のメモリセルトランジスタのそれぞれのゲートに共通して電気的に接続されたワード線と、
前記ワード線に印加される第1電圧を生成する電圧生成回路とを備え、
前記電圧生成回路は、前記第1電圧を昇圧する際に、前記電圧生成回路の状態の切り替わり後の前記第1電圧が、前記電圧生成回路の状態の切り替わり前の前記第1電圧とは異なる態様で変化するように、前記第1電圧を昇圧させる、または、前記電圧生成回路の状態の切り替わり後のクロック信号が、前記電圧生成回路の状態の切り替わり前のクロック信号とは異なる態様で変化するクロック信号に応じて動作する、半導体記憶装置。
【請求項15】
前記電圧生成回路は、前記電圧生成回路の状態の切り替わり後に前記第1電圧の平均値が一定に維持される時間幅を、前記電圧生成回路の状態の切り替わり前に前記第1電圧の平均値が一定に維持される時間幅より長く設定する、請求項14に記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記電圧生成回路は、前記電圧生成回路の状態の切り替わり時点または直後に前記第1電圧の平均値が一定に維持される時間幅を、前記電圧生成回路の状態の切り替わり前および後に前記第1電圧の平均値が一定に維持される時間幅より長く設定する、請求項14に記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記電圧生成回路は、前記電圧生成回路の状態の切り替わり時点または直後の前記第1電圧の平均値の昇圧幅を、前記電圧生成回路の状態の切り替わり前および後の前記第1電圧の平均値の昇圧幅より短く設定する、請求項14に記載の半導体記憶装置。
【請求項18】
前記電圧生成回路は、前記電圧生成回路の状態の切り替わり時点または直後の前記クロック信号の周波数を、前記電圧生成回路の状態の切り替わり前および後の前記第1電圧の前記クロック信号の周波数より小さく設定する、請求項14に記載の半導体記憶装置。
【請求項19】
前記電圧生成回路は、第2電圧が入力される複数のチャージポンプを含み、前記複数のチャージポンプのうちの少なくとも1つにより前記第1電圧を生成し、前記第1電圧を出力する、請求項14に記載の半導体記憶装置。
【請求項20】
前記複数のチャージポンプは、互いに直列接続または並列接続により電気的に接続可能であり、前記電圧生成回路の状態は、前記複数のチャージポンプの接続状態が変化するように切り替えられる、請求項19に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置内のワード線を電圧生成回路により充電する際に、電圧生成回路で消費される電流のピーク値を低減することや、充電終了を早めることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10861537号公報
【特許文献2】米国特許第9653126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワード線を好適に充電することが可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体記憶装置は、複数のメモリセルトランジスタと、前記複数のメモリセルトランジスタのそれぞれのゲートに共通して電気的に接続されたワード線と、前記ワード線に印加される第1電圧を生成する電圧生成回路とを備える。前記電圧生成回路は、消去ベリファイ動作時と読出動作時とで、前記第1電圧を昇圧する際に、異なる昇圧波形を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態のメモリシステムの構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態のメモリセルアレイ11の構成を示す回路図である。
図3】第1実施形態の電圧生成回路15の構成を示す回路図である。
図4】第1実施形態のメモリシステムの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
図5】第1実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
図6】第1実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
図7】第2実施形態の電圧生成回路15の構成を示す回路図である。
図8】第2実施形態の電圧生成回路15の構成を示す別の回路図である。
図9】第2実施形態のメモリシステムの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
図10】第2実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
図11】第2実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
図12】第3実施形態のメモリシステムの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
図13】第3実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
図14】第3実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図14において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のメモリシステムの構成を示すブロック図である。
【0009】
本実施形態のメモリシステムは、NANDメモリ1と、メモリコントローラ2とを備えている。NANDメモリ1は半導体記憶装置の例であり、メモリコントローラ2はコントローラの例である。NANDメモリ1は、メモリセルアレイ11と、コマンドレジスタ12と、アドレスレジスタ13と、シーケンサ14と、電圧生成回路15と、ロウデコーダモジュール16と、センスアンプモジュール17と、温度センサ18とを備えている。
【0010】
NANDメモリ1の動作は、メモリコントローラ2により制御される。メモリコントローラ2は、不図示のホスト装置からの要求に応じて動作する。例えば、メモリコントローラ2は、ホスト装置からの読出要求に応じて、NANDメモリ1からのデータの読み出しを制御する。また、メモリコントローラ2は、ホスト装置からの書込要求に応じて、NANDメモリ1へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ2は、ホスト装置からの消去要求に応じて、NANDメモリ1からのデータの消去を制御する。
【0011】
メモリセルアレイ11は、複数のブロックBLKを含んでいる。各ブロックBLKは、データを不揮発に記憶可能な複数のメモリセルの集合である。ブロックBLKは例えば、データの消去単位として使用される。一方、後述するページは例えば、データの書込単位および読出単位として使用される。図1は、ブロックBLKの例として、n+1個のブロックBLK_0~BLK_n(nは1以上の整数)を示している。メモリセルアレイ11はさらに、複数のビット線および複数のワード線を含んでいる。各メモリセルは、1本のビット線および1本のワード線と関連付けられている。
【0012】
コマンドレジスタ12は、NANDメモリ1がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは例えば、読出動作、書込動作、消去動作などをシーケンサ14に実行させるための命令を含んでいる。
【0013】
アドレスレジスタ13は、NANDメモリ1がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは例えば、ブロックアドレスBAやカラムアドレスCAなどを含んでいる。ブロックアドレスBAおよびカラムアドレスCAはそれぞれ、ブロックBLKおよびビット線を選択する際に使用される。
【0014】
シーケンサ14は、NANDメモリ1全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ14は、コマンドレジスタ12内に保持されているコマンドCMDに基づいて、電圧生成回路15、ロウデコーダモジュール16、およびセンスアンプモジュール17の動作を制御する。これにより、コマンドCMDに基づいて、読出動作、書込動作、消去動作などが実行される。
【0015】
電圧生成回路15は、シーケンサ14による制御の下、読出動作、書込動作、消去動作などで使用される電圧を生成する。例えば、電圧生成回路15は、選択されたワード線に対応する信号線に、生成した電圧を印加する。また、電圧生成回路15は、温度センサ18の電源電圧を生成し、当該電源電圧を温度センサ18に印加する。
【0016】
ロウデコーダモジュール16は、アドレスレジスタ13内に保持されているブロックアドレスBAに基づいてブロックBLKを選択し、選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0017】
センスアンプモジュール17は、書込動作の際に、メモリコントローラ2から受信した書込データをメモリセルアレイ11に転送する。また、センスアンプモジュール17は、読出動作の際に、ビット線の電圧に基づいて、各メモリセル内に記憶されている値を判定し、当該判定の結果を読出データDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0018】
温度センサ18は、NANDメモリ1の温度を検出する。温度センサ18は、検出した温度に基づいて温度情報を生成し、当該温度情報をシーケンサ14に送信する。温度情報は例えば、書込動作、読出動作、消去動作などの際に、シーケンサ14が、電圧生成回路15により生成される電圧を補正するために使用される。
【0019】
図2は、第1実施形態のメモリセルアレイ11の構成を示す回路図である。
【0020】
図2は、メモリセルアレイ11に含まれる複数のブロックBLKのうちの1つを示している。本実施形態の各ブロックBLKは、図2に示すように、複数のストリングユニットSU0~SU3を含んでいる。ストリングユニットSU0~SU3の各々は、m+1本のビット線BL0~BLmと1本のソース線SRCとの間に、m+1本のNANDストリングNS(mは1以上の整数)を含んでいる。以下、ストリングユニットSU0~SU3の各々を「ストリングユニットSU」とも表記し、ビット線BL0~BLmの各々を「ビット線BL」とも表記する。
【0021】
ストリングユニットSU0では、ビット線BL0とソース線SRCとの間のNANDストリングNSが、ワード線WL0~WL7上にメモリセルトランジスタ(メモリセル)MT0~MT7を備えている。このNANDストリングNSはさらに、ソース側選択線SGS0上に選択トランジスタSTSを備え、ドレイン側選択線SGD0上に選択トランジスタSTDを備えている。本実施形態では、メモリセルアレイ11内の他のNANDストリングNSも同様の構造を有している。以下、ワード線WL0~WL7の各々を「ワード線WL」とも表記し、メモリセルトランジスタMT0~MT7の各々を「メモリセルトランジスタMT」とも表記し、選択トランジスタSTS、STDの各々を「選択トランジスタST」とも表記する。
【0022】
本実施形態の各ブロックBLKは、複数のセルユニットCUを含んでいる。各セルユニットCUは、1つのストリングユニットSU内で1本のワード線WL上に設けられた複数のメモリセルトランジスタMTを含んでいる。よって、図2における各セルユニットCUは、m+1個のメモリセルトランジスタMTを含んでいる。各セルユニットCUは、1つのページに相当している。各セルユニットCUでは、各ワード線WLは、m+1個のメモリセルトランジスタMTのそれぞれのゲートに共通して電気的に接続されている。
【0023】
図3は、第1実施形態の電圧生成回路15の構成を示す回路図である。
【0024】
電圧生成回路15は、図3に示すように、複数のチャージポンプCP1~CP4と、複数の抵抗R1、R2と、オペアンプAMP1と、状態制御回路STCNTLと、複数の論理ゲート(ANDゲート)AND1~AND4とを備えている。図3はさらに、電圧生成回路15内のノードNOUTおよびノードN1を示している。
【0025】
電圧生成回路15に電圧VINが入力されると、電圧生成回路15は、電圧VINより高い電圧VOUTを生成し、電圧VOUTをノードNOUTから出力する。電圧VINは例えば、NANDメモリ1内の電圧源から電圧生成回路15に供給される。電圧VOUTは例えば、読出動作、書込動作、消去動作などで使用される。電圧VINは、第2電圧の例である。
【0026】
図3に示す電圧BINは、シーケンサ14から出力されて、電圧生成回路15に入力される。電圧BINは、シーケンサ14が電圧生成回路15の動作を制御するための信号である。後述するように、電圧VOUTの波形は、電圧BINの波形に追従するように変化する。よって、シーケンサ14は、電圧BINの波形を制御することで、電圧VOUTの波形を変化させることができる。電圧VOUTは、第1電圧の例である。
【0027】
次に、引き続き図3を参照して、電圧生成回路15内の各構成要素の詳細について説明する。
【0028】
チャージポンプCP1は、電圧VINが入力される入力端子と、信号PCLK1が入力される入力端子と、ノードNOUTに電気的に接続可能な出力端子とを有している。これは、チャージポンプCP2~CP4についても同様である。ただし、チャージポンプCP2~CP4はそれぞれ、信号PCLK1の代わりに信号PCLK2~PCLK4が入力される入力端子を有している。以下、チャージポンプCP1~CP4の各々を「チャージポンプCP」とも表記し、信号PCLK1~PCLK4の各々を「信号PCLK」とも表記する。
【0029】
各チャージポンプCPは、そのチャージポンプCPに入力される信号PCLKがクロック信号CLKであり、かつシーケンサ14により全チャージポンプCPの昇圧動作が一括禁止されていない間、昇圧動作を実行する。例えば、電圧VOUTが昇圧動作の一括禁止用の閾値より高い場合には、シーケンサ14により全チャージポンプCPの昇圧動作が一括禁止される。あるチャージポンプCPに入力される信号PCLKがクロック信号CLKであり、かつそのチャージポンプCPが状態制御回路STCNTLにより昇圧動作可能なポンプに指定されている場合には、そのチャージポンプCPの状態を「アクティブ」という。アクティブなチャージポンプCPは、シーケンサ14により全チャージポンプCPの昇圧動作が一括禁止されていない間、昇圧動作を実行する。
【0030】
一方、各チャージポンプCPは、そのチャージポンプCPに入力される信号PCLKがクロック信号CLKではないか、またはシーケンサ14により全チャージポンプCPの昇圧動作が一括禁止されている間、昇圧動作を停止する。あるチャージポンプCPに入力される信号PCLKがクロック信号CLKではないか、またはそのチャージポンプCPが状態制御回路STCNTLにより昇圧動作可能でないポンプに指定されている場合には、そのチャージポンプCPの状態を「インアクティブ」という。インアクティブなチャージポンプCPは、シーケンサ14により全チャージポンプCPの昇圧動作が一括禁止されていなくても、昇圧動作を停止する。なお、チャージポンプCPに入力される信号PCLKがクロック信号CLKではない場合の例は、後述するように、信号PCLKの値がL(ロー)レベルに維持される場合である。
【0031】
抵抗R1は、ノードNOUTとノードN1との間に配置されている。抵抗R2は、ノードN1と接地ノードとの間に配置されている。よって、抵抗R1と抵抗R2は、ノードNOUTと接地ノードとの間に直列に配置されている。本実施形態の抵抗R2は、可変抵抗である。抵抗R2の値は、電圧BINにより変化させることが可能である。電圧VOUT、VMONの間には、VOUT={(R1+R2)/R2}VMONの関係が成り立つ。
【0032】
オペアンプAMP1は、基準電圧VREFが入力される非反転入力端子と、電圧VMONが入力される反転入力端子と、信号FLG1を出力する出力端子とを有している。信号FLG1は、基準電圧VREFと電圧VMONとの比較結果に基づいて生成される。例えば、電圧VMONが基準電圧VREF未満の場合には、信号FLG1の値がH(ハイ)レベルとなる。一方、電圧VMONが基準電圧VREF以上の場合には、信号FLG1の値がL(ロー)レベルとなる。
【0033】
状態制御回路STCNTLは、オペアンプAMP1から信号FLG1が入力される入力端子と、クロック信号CLKが入力される入力端子と、論理ゲートAND1~AND4にそれぞれ信号EN1~EN4を出力する出力端子とを有している。状態制御回路STCNTLは、クロック信号CLKを用いて、信号FLG1の値がHレベルに維持される期間NHと、信号FLG1の値がLレベルに維持される期間NLとを算出する。状態制御回路STCNTLはさらに、期間NHおよび期間NLに基づいて、信号EN1~EN4を生成する。信号EN1~EN4はそれぞれ、チャージポンプCP1~CP4をアクティブとするかインアクティブとするかを指定する。以下、信号EN1~EN4の各々を「信号EN」とも表記する。
【0034】
信号ENの値がHレベルの場合には、信号ENは、チャージポンプCPをアクティブとすることを指定する。一方、信号ENの値がLレベルの場合には、信号ENは、チャージポンプCPをインアクティブとすることを指定する。状態制御回路STCNTLは、期間NHおよび期間NLに基づいて、信号EN1~EN4のうち、Hレベルの値を有する信号ENの個数Nuを制御する。状態制御回路STCNTLの状態は、個数Nuに応じて4つの状態S1~S4の間を遷移する。状態S1~S4はそれぞれ、個数Nuが1個~4個の状態である。
【0035】
論理ゲートAND1は、信号EN1が入力される入力端子と、クロック信号CLKが入力される入力端子と、チャージポンプCP1に信号PCLK1を出力する出力端子とを有している。信号PCLK1は、信号EN1とクロック信号CLKとのAND演算結果を示している。例えば、信号EN1の値がHレベルの場合には、信号PCLK1はクロック信号CLKとなる。一方、信号EN1の値がLレベルの場合には、信号PCLK1の値はLレベルに維持される。これは、論理ゲートAND2~AND4についても同様である。ただし、論理ゲートAND2~AND4はそれぞれ、信号EN1の代わりに信号EN2~EN4が入力される入力端子と、信号PCLK1の代わりに信号PCLK2~PCLK4を出力する出力端子とを有している。以下、論理ゲートAND1~AND4の各々を「論理ゲートAND」とも表記する。
【0036】
図4は、第1実施形態のメモリシステムの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【0037】
上述のように、メモリセルアレイ11は、複数のメモリセル、複数のワード線、複数のビット線などを含んでいる(図2)。読出動作の際には、これらのメモリセルのうちの選択セルからデータが読み出される。選択セル以外のメモリセルを、非選択セルと呼ぶ。読出動作の際には、選択セルに電気的に接続されたワード線(選択ワード線)に低電圧が与えられ、非選択セルに電気的に接続されたワード線(非選択ワード線)に高電圧が与えられる。これにより、選択セルおよび非選択セルのうち、選択セルのみからデータを読み出すことが可能となる。
【0038】
読出動作の際に、シーケンサ14は、電圧BINを出力し、電圧生成回路15は、電圧BINに応じて変化する電圧VOUTを出力する。電圧VOUTは、各ワード線に供給される。これにより、各ワード線が電圧VOUTにより充電され、各ワード線の電圧が上昇する。その結果、選択ワード線に上記の低電圧が与えられ、非選択ワード線に上記の高電圧が与えられる。
【0039】
図4(a)は、読出動作の際に、非選択ワード線用の電圧VOUTを生成するために出力される電圧BINの時間変化を示している。符号A1は、1st Read(第1読出)時の電圧BINの時間変化を示し、符号A2は、2nd Read(第2読出)時の電圧BINの時間変化を示している。符号Tは、ワード線の充電開始時刻(昇圧開始時刻)を示している。
【0040】
一例として、メモリセルアレイ11からデータを読み出し、その後にメモリセルアレイ11から再びデータを読み出す場合を想定する。この場合、前者の読出と後者の読出との間の期間が短いと、後者の読出時にワード線の電圧がゼロに戻っていない。ワード線の電圧がゼロに戻る前に開始される読出を、2nd Readと呼ぶ。一方、ワード線の電圧がゼロの状態で開始される読出を、1st Readと呼ぶ。
【0041】
読出動作の際に、本実施形態のシーケンサ14は、2nd Readが行われる際の非選択ワード線用の電圧BINが、1st Readが行われる際の非選択ワード線用の電圧BINとは異なる態様で変化するように、非選択ワード線用の電圧BINの波形を制御する。よって、図4(a)では、符号A2で示す電圧BINが、符号A1で示す電圧BINとは異なる態様で変化している。
【0042】
具体的には、符号A2で示す波形は、符号A1で示す波形を、縦方向に平行移動させた形状を有している。よって、符号A2で示す電圧BINの上昇タイミング、上昇周期、および上昇率は、任意の時刻において、符号A1で示す電圧BINの上昇タイミング、上昇周期、および上昇率と同じになっている。符号A1で示す電圧BINと、符号A2で示す電圧BINは、いずれもステップ状に上昇している。一方、符号A2で示す電圧BINの充電開始時における値は、符号A1で示す電圧BINの充電開始時における値よりも高くなっている。図4(a)では、電圧BINはステップ状に上昇するため、電圧BINの上昇周期は、電圧BINの1ステップの時間幅となっており、電圧BINの上昇率は、電圧BINの1ステップの電圧上昇幅を、電圧BINの1ステップの時間幅で割った値となっている。
【0043】
なお、図4(a)では、符号A2で示す波形が、符号A1で示す波形をまったく変更せずに、符号A1で示す波形を、縦方向に平行移動させた形状を有している。しかしながら、符号A2で示す波形は、符号A1で示す波形を変更して、符号A1で示す波形を、縦方向に平行移動させた形状を有していてもよい。このような波形の例は、後述する図4(b)に示されている。
【0044】
図4(b)は、符号A1、A2で示す波形に加えて、符号B1、B2、C1、C2で示す波形を示している。符号B1、B2はいずれも、2nd Read時の電圧VOUTの時間変化を示している。符号C1、C2はいずれも、2nd Read時におけるノードNOUTから遠方のワード線の電圧の時間変化を示している。ただし、符号B1、C1は、符号A1で示す1st Read用の電圧BINを採用した場合の電圧を示し、符号B2、C2は、符号A2で示す2st Read用の電圧BINを採用した場合の電圧を示している。
【0045】
電圧VOUTの波形は、電圧BINの波形に追従するように変化する。よって、図4(b)では、符号B1で示す電圧VOUTが、符号A1で示す電圧BINに追従するように上昇しており、符号A1で示す電圧BINの波形付近で振動するような波形を有している。同様に、符号B2で示す電圧VOUTは、符号A2で示す電圧BINに追従するように上昇しており、符号A2で示す電圧BINの波形付近で振動するような波形を有している。
【0046】
ただし、符号B1で示す電圧VOUTや、符号C1で示すワード線電圧は、これらの電圧が符号A1で示す電圧BINよりも高い間は、上昇していない。この現象は、2nd Readの充電開始時にワード線の電圧がゼロに戻っていないために生じる。その結果、ワード線の充電終了が遅れてしまう。
【0047】
一方、符号B2で示す電圧VOUTや、符号C2で示すワード線電圧は、2nd Readの充電開始時から上昇している。理由は、2nd Readの充電開始時に、ワード線の電圧だけでなく、符号A2で示す電圧BINも十分に高くなっているからである。これにより、ワード線の充電終了を早めることが可能となる。
【0048】
図5は、第1実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
【0049】
図5(a)、図5(b)、および図5(c)は、読出動作の際に、非選択ワード線用の電圧VOUTを生成するために出力される電圧BINの時間変化を示している。図5(a)に示す例は、図4(a)に示す例と同じものであるが、図5(b)および図5(c)に示す例との比較用に示されている。図5(a)、図5(b)、および図5(c)はさらに、読出動作の際の非選択ワード線用の電圧VOUTの時間変化を示している。
【0050】
図5(b)では、符号A2で示す電圧BINの上昇率が、充電開始から所定の時間内において、符号A1で示す電圧BINの上昇率よりも高くなっている。具体的には、符号A1で示す電圧BINが1回目に上昇した際に、符号A2で示す電圧BINは4回目に上昇している。また、充電開始からこの時点までの間、符号A2で示す電圧BINが1回上昇する際の電圧上昇値は、符号A1で示す電圧BINが1回上昇する際の電圧上昇値と同じになっている。よって、充電開始からこの時点までの間、符号A2で示す電圧BINの上昇率は、符号A1で示す電圧BINの上昇率の4倍になっており、符号A2で示す電圧BINの上昇周期は、符号A1で示す電圧BINの上昇周期の4分の1になっている。これにより、2nd Read時のワード線の充電終了を早めることが可能となる。なお、上記の「4倍」「4分の1」という値は、一例に過ぎず、これらは他の値でもよい。
【0051】
図5(b)では、符号A1、A2で示す電圧BINの変化が、符号B1、B2で示す電圧VOUTの変化にそれぞれ反映されている。よって、電圧BINの上昇率、上昇回数、および電圧上昇値はそれぞれ、電圧VOUTの平均値の上昇率、上昇回数、および電圧上昇値に対応している。また、電圧BINの上昇周期は、電圧VOUTの平均値が一定に維持される期間に対応している。ここで、電圧VOUTの平均値とは、電圧VOUTが1回振動する間の電圧VOUTの値の平均であり、例えば、電圧VOUTが1回振動する間の電圧VOUTの最大値と最小値との平均である。図5(b)では、充電開始から上記の時点までの間、符号B2で示す電圧VOUTの平均値の上昇率は、符号B1で示す電圧VOUTの平均値の上昇率の4倍になっており、符号B2で示す電圧VOUTの平均値が一定に維持される期間は、符号B2で示す電圧VOUTの平均値が一定に維持される期間の4分の1になっている。
【0052】
なお、符号A1、A2で示す電圧BINの変化が、符号B1、B2で示す電圧VOUTの変化にそれぞれ反映されることは、前述の図5(a)や後述の図5(c)でも同様であり、さらには、後述の第2および第3実施形態でも同様である。例えば、充電開始時の電圧BINは、充電開始時の電圧VOUTの平均値に対応している。図5(a)の充電開始時には、符号B2で示す電圧VOUTの平均値が、符号B1で示す電圧VOUTの平均値よりも高くなっている。
【0053】
図5(c)でも、符号A2で示す電圧BINの上昇率が、充電開始から所定の時間内において、符号A1で示す電圧BINの上昇率よりも高くなっている。具体的には、符号A1で示す電圧BINが1回目に上昇した際に、符号A2で示す電圧BINは2回目に上昇している。また、充電開始からこの時点までの間、符号A2で示す電圧BINが1回上昇する際の電圧上昇値は、符号A1で示す電圧BINが1回上昇する際の電圧上昇値の2倍になっている。よって、充電開始からこの時点までの間、符号A2で示す電圧BINの上昇率は、符号A1で示す電圧BINの上昇率の4倍になっており、符号A2で示す電圧BINの上昇周期は、符号A1で示す電圧BINの上昇周期の2分の1になっている。これにより、2nd Read時のワード線の充電終了を早めることが可能となる。なお、上記の「4倍」「2分の1」という値は、一例に過ぎず、これらは他の値でもよい。
【0054】
なお、電圧BINの上昇周期は、電圧BINが上昇した時点から、電圧BINが次に上昇した時点までの時間である。また、電圧BINの上昇率は、単位時間内の電圧BINの上昇値である。
【0055】
図6は、第1実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
【0056】
図6(a)および図6(c)はそれぞれ、時間R2が短い場合の2nd Read時および1st Read時の電圧変化を示している。図6(b)および図6(d)はそれぞれ、時間R2が長い場合の2nd Read時および1st Read時の電圧変化を示している。時間R2は、ワード線の充電に要する時間を示している。図6(a)~図6(d)の各々は、ドレイン側選択線(SGD)、非選択ワード線(WLn+1~)、および選択ワード線(SEL WL)の電圧の時間変化を示している。
【0057】
時間R2が短いと、図6(c)に示すように、ドレイン側ブーストによるRead Disturbが1st Readで生じてしまう。この問題は、図6(d)に示すように、時間R2を長くすることで抑制することができる。しかしながら、時間R2を長くすると、図6(b)に示すように、2nd Readにおけるワード線の充電終了が遅れてしまう。本実施形態によれば、上述のように、このような充電終了の遅れの問題を解消することが可能となる。
【0058】
以上のように、本実施形態のシーケンサ14は、読出動作の際に、2nd Readが行われる際の非選択ワード線用の電圧BINが、1st Readが行われる際の非選択ワード線用の電圧BINとは異なる態様で変化するように、非選択ワード線用の電圧BINの波形を制御する。よって、本実施形態によれば、ワード線の充電終了を早めることが可能となる。
【0059】
以下、第2実施形態のメモリシステムと、第3実施形態のメモリシステムについて説明する。第2および第3実施形態のメモリシステムの構成や動作は、第1実施形態のメモリシステムの構成や動作とおおむね同様である。以下の説明では、第1実施形態のメモリシステムと第2および第3実施形態のメモリシステムとの相違点を中心に説明する。
【0060】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の電圧生成回路15の構成を示す回路図である。
【0061】
本実施形態のNANDメモリ1は、第1実施形態のNANDメモリ1と同様に、電圧生成回路15を備えている。ただし、本実施形態の電圧生成回路15内のチャージポンプCP1~CP4は、図7に示す構成を有している。
【0062】
図7は、電圧生成回路15の入力端子PMPINと、電圧生成回路15の出力端子PMPOUTとを示している。図7では、電圧VINが入力端子PMPINに入力され、電圧VOUTが出力端子PMPOUTから出力される。入力端子PMPINは、チャージポンプCP1の入力端子と電気的に接続されている。出力端子PMPOUTは、チャージポンプCP4の出力端子と電気的に接続されている。図7はさらに、電圧生成回路15内のスイッチSW1~SW9を示している。
【0063】
スイッチSW1は、チャージポンプCP1の出力端子とチャージポンプCP2の入力端子との間に配置されている。スイッチSW2は、チャージポンプCP2の出力端子とチャージポンプCP3の入力端子との間に配置されている。スイッチSW3は、チャージポンプCP3の出力端子とチャージポンプCP4の入力端子との間に配置されている。
【0064】
スイッチSW4は、入力端子PMPINに電気的に接続されており、かつ、スイッチSW1とチャージポンプCP2の入力端子との間のノードに電気的に接続されている。スイッチSW5は、入力端子PMPINに電気的に接続されており、かつ、スイッチSW2とチャージポンプCP3の入力端子との間のノードに電気的に接続されている。スイッチSW6は、入力端子PMPINに電気的に接続されており、かつ、スイッチSW3とチャージポンプCP4の入力端子との間のノードに電気的に接続されている。
【0065】
スイッチSW7は、出力端子PMPOUTに電気的に接続されており、かつ、チャージポンプCP1の出力端子とスイッチSW1との間のノードに電気的に接続されている。スイッチSW8は、出力端子PMPOUTに電気的に接続されており、かつ、チャージポンプCP2の出力端子とスイッチSW2との間のノードに電気的に接続されている。スイッチSW9は、出力端子PMPOUTに電気的に接続されており、かつ、チャージポンプCP3の出力端子とスイッチSW3との間のノードに電気的に接続されている。
【0066】
本実施形態のシーケンサ14は、スイッチSW1~SW9のオン/オフを切り替えることで、電圧生成回路15の状態を切り替えることができる。図7では、スイッチSW1~SW3が開かれ(オフ)、スイッチSW4~SW9が閉じられている(オン)。その結果、チャージポンプCP1~CP4が、図3に示す構成と同様に、電気的に互いに並列に接続されている。以下、図7に示す接続状態を、4並列状態と呼ぶことにする。
【0067】
図8は、第2実施形態の電圧生成回路15の構成を示す別の回路図である。
【0068】
図8に示す電圧生成回路15は、図7に示す電圧生成回路15と同じであるが、図7に示す電圧生成回路15とは異なる状態にある。図8では、スイッチSW1、SW3、SW5、SW8が閉じられ(オン)、スイッチSW2、SW4、SW6、SW7、SW9が開かれている(オフ)。その結果、チャージポンプCP1、CP2が、電気的に互いに直列に接続され、チャージポンプCP3、CP4が、電気的に互いに直列に接続されている。さらには、チャージポンプCP1、CP2の対と、チャージポンプCP3、CP4の対が、電気的に互いに並列に接続されている。以下、図8に示す接続状態を、2並列状態と呼ぶことにする。
【0069】
本実施形態のシーケンサ14は例えば、電圧生成回路15の状態を、タイマーの動作に連動して、4並列状態および2並列状態の一方から、4並列状態および2並列状態の他方へと切り替えることができる。なお、電圧生成回路15の状態は、シーケンサ14以外の構成要素により切り替えられてもよい。
【0070】
図9は、第2実施形態のメモリシステムの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【0071】
図9(a)は、読出動作の際に、非選択ワード線用の電圧VOUTを生成するために出力される電圧BINの一例を示している。図9(a)の符号A1は、1st Read時の電圧BINの時間変化の例を示しており、具体的には、電圧生成回路15の状態が4並列状態から2並列状態に切り替わる際の電圧BINの時間変化を示している。図9(a)はさらに、読出動作の際の非選択ワード線用の電圧VOUTの時間変化を示している。
【0072】
読出動作の際に、本実施形態のシーケンサ14は、電圧生成回路15の状態の切り替わり後の非選択ワード線用の電圧BINが、電圧生成回路15の状態の切り替わり前の非選択ワード線用の電圧BINとは異なる態様で変化するように、非選択ワード線用の電圧BINの波形を制御する。よって、図9(a)では、2並列状態における非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期が、4並列状態における非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期よりも長くなっている。さらには、電圧生成回路14の状態が4並列状態から2並列状態へと切り替わる時点の非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期が、切り替わり前や切り替わり後の非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期よりも長くなっている。
【0073】
具体的には、図9(a)では、4並列状態における非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期が、ΔT/2となっており、2並列状態における非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期が、ΔTとなっている。よって、2並列状態における非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期が、4並列状態における非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期の2倍になっている。さらには、電圧生成回路14の状態が4並列状態から2並列状態へと切り替わる時点の非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期が、2ΔTとなっている。よって、この時点の非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期(2ΔT)が、切り替わり前や切り替わり後の非選択ワード線用の電圧BINの上昇周期(ΔT/2やΔT)よりも長くなっている。また、図9(a)では、非選択ワード線用の電圧BINが1回上昇する際の電圧上昇値が、一定値であるΔAとなっている。
【0074】
図9(a)では、符号ΔTを挟む二本破線で示す期間が、非選択ワード線用の電圧BINを上昇させない期間となっている。本実施形態のシーケンサ14は、電圧生成回路15の状態が4並列状態から2並列状態に切り替わる際、上記の期間の間、非選択ワード線用の電圧BINを上昇させない。その結果、電圧生成回路14の状態が切り替わる時点の電圧BINの上昇周期が、2ΔTとなっている。
【0075】
図9(b)は、読出動作の際に、非選択ワード線用の電圧VOUTを生成するために出力される電圧BINの別の例を示している。図9(b)の符号A1は、1st Read時の電圧BINの時間変化の例を示しており、具体的には、電圧生成回路15の状態が4並列状態から2並列状態に切り替わる際の電圧BINの時間変化を示している。図9(b)はさらに、読出動作の際の非選択ワード線用の電圧VOUTの時間変化を示している。
【0076】
図9(b)に示す波形は、図9(a)に示す波形とおおむね同様である。ただし、図9(b)では、電圧生成回路14の状態が切り替わる時点の非選択ワード線用の電圧BINの電圧上昇値が、ΔA/2になっている。よって、電圧生成回路14の状態が切り替わる時点の非選択ワード線用の電圧BINの上昇率((ΔA/2)/ΔT)が、切り替わり前や切り替わり後の非選択ワード線用の電圧BINの上昇率(ΔA/(ΔT/2)やΔA/ΔT)よりも低くなっている。
【0077】
図9(b)では、符号ΔTを挟む二本破線で示す期間が、非選択ワード線用の電圧BINの電圧上昇値を小さくする期間となっている。本実施形態のシーケンサ14は、電圧生成回路15の状態が4並列状態から2並列状態に切り替わる際、上記の期間の間、非選択ワード線用の電圧BINの電圧上昇値をΔAからΔA/2へと低減させる。その結果、電圧生成回路14の状態が切り替わる時点の電圧BINの上昇率が、(ΔA/2)/ΔTとなっている。
【0078】
なお、図9(b)にて電圧生成回路14の状態が切り替わる時点は、電圧BINが上昇する時点と一致しているが、電圧BINが上昇する時点とずれていてもよい。電圧生成回路14の状態が切り替わる時点が、電圧BINが上昇する時点とずれている場合には、電圧生成回路14の状態が切り替わる時点ではなく、電圧生成回路14の状態が切り替わった直後の電圧BINの上昇率が、(ΔA/2)/ΔTとなる。これは、図9(a)における電圧BINの上昇周期についても同様に成り立ち得る。
【0079】
本実施形態によれば、図9(a)または図9(b)に示すように電圧BINを変化させることで、電圧生成回路14で消費される電流のピーク値を低減することが可能となる。このような効果の詳細については、後述する。
【0080】
図10は、第2実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
【0081】
図10は、本実施形態の1st Read時の動作に関し、符号A1、B1、C1、D1、E1で示す波形を示している。図10はさらに、本実施形態の比較例の1st Read時の動作に関し、符号B1、C1、D1、E1で示す波形に対応して、符号B1’、C1’、D1’、E1’で示す波形を示している。なお、図10の波形A1は、図9(a)の波形A1のように符号ΔTで示す期間内の電圧BINの変動をなくしたり、図9(b)の波形A1のように符号ΔTで示す期間内の電圧BINの変動を小さくしたりする前の電圧BINを示している。
【0082】
図10において、符号A1は、非選択ワード線用の電圧BINを示している。符号B1は、非選択ワード線用の電圧VOUTを示している。符号C1は、ノードNOUTから遠方の非選択ワード線の電圧を示している。符号D1は、非選択ワード線の充電で発生する電流Iccを示している。符号E1は、電流Iccの時間平均を示している。非選択ワード線の充電は、電圧生成回路14により行われるため、電流Iccは、上述の「電圧生成回路14で消費される電流」に相当する。
【0083】
符号D1’の波形にて矢印で示す期間には、電流Iccの変動が高速で生じている。一方、符号D1の波形にて矢印で示す期間には、電流Iccがより低速で変動している。これは、図9(a)または図9(b)に示すように電圧BINを変化させることに起因している。符号E1で示す波形と、符号E1’で示す波形との比較から分かるように、本実施形態によれば、電圧生成回路14で消費される電流(Icc)のピーク値を低減することが可能となる。
【0084】
図11は、第2実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
【0085】
図11は、図10と同様に、本実施形態の1st Read時の動作に関し、符号A1、B1、C1で示す波形を示し、本実施形態の比較例の1st Read時の動作に関し、符号B1’、C1’で示す波形を示している。図11はさらに、本実施形態の1st Read時の動作に関し、符号F1で示す波形を示している。図11はさらに、本実施形態の比較例の1st Read時の動作に関し、符号F1で示す波形に対応して、符号F1’で示す波形を示している。
【0086】
図11において、符号F1は、電圧生成回路15内で使用されるクロック信号CLKを示している。符号F1の波形にて矢印で示す期間ΔT’には、クロック信号CLKの周波数が2分の1に減少している。これにより、図9(a)や図9(b)に示す制御と同様に、電圧生成回路14で消費される電流のピーク値を低減することが可能となる。期間ΔT’は、上述の期間Tと同様に、電圧生成回路15の状態が4並列状態から2並列状態に切り替わった直後の期間である。
【0087】
ここで、図9(a)、図9(b)、および図11を比較する。
【0088】
図9(a)では、符号ΔTで示す期間が、非選択ワード線用の電圧BINを上昇させない期間となっている。図9(b)では、符号ΔTで示す期間が、非選択ワード線用の電圧BINの電圧上昇値を小さくする期間となっている。本実施形態によれば、図9(a)または図9(b)に示すように電圧BINを変化させることで、電圧生成回路14で消費される電流のピーク値を低減することが可能となる。図9(a)および図9(b)では、符号ΔTで示す期間におけるクロック信号CLKの周波数は、その他の期間における周波数と同じとなっている。
【0089】
一方、図11では、符号ΔT’で示す期間におけるクロック信号CLKの周波数が、その他の期間における周波数の2分の1となっている。本実施形態によれば、図11に示すようにクロック信号CLKの周波数を変化させることで、電圧生成回路14で消費される電流のピーク値を低減することが可能となる。図11では、符号ΔT’で示す期間における電圧BINの上昇率は、その他の期間における電圧BINの上昇率と同じとなっている。また、図11では、2並列状態における電圧BINの上昇率は、4並列状態における電圧BINの上昇率と同じになっている。
【0090】
以上のように、本実施形態のシーケンサ14は、読出動作の際に、電圧生成回路15の状態の切り替わり後の非選択ワード線用の電圧BINが、電圧生成回路15の状態の切り替わり前の非選択ワード線用の電圧BINとは異なる態様で変化するように、非選択ワード線用の電圧BINの波形を制御する。さらに、本実施形態のシーケンサ14は、電圧生成回路14の状態が切り替わる時点の非選択ワード線用の電圧BINを、図9(a)または図9(b)に示す態様で変化させる。よって、本実施形態によれば、電圧生成回路14で消費される電流のピーク値を低減することが可能となる。
【0091】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態のメモリシステムの動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【0092】
本実施形態の各メモリセルは、Eraseセルである場合と、Randomセルである場合とがある。Eraseセルは、データが消去された後にデータが書き込まれていないメモリセルである。Randomセルは、データが書き込まれているメモリセルである。例えば、あるブロックからデータが消去され、その後にそのブロック内のあるページにデータが書き込まれた場合には、そのページ内の各メモリセルは、Randomセルとなる。一方、あるブロックからデータが消去され、その後にそのブロック内のどのページにもデータが書き込まれなかった場合には、そのブロック内の各メモリセルは、Eraseセルとなる。
【0093】
図12(a)は、本実施形態の比較例の1st Read時の動作に関し、符号A1’、B1’で示す波形を示している。図12(a)において、符号A1’は、非選択ワード線用の電圧BINを示しており、符号B1’は、非選択ワード線用の電圧VOUTを示している。図12(a)では、非選択ワード線に電気的に接続された非選択セルは、Eraseセルである。
【0094】
図12(b)も、本実施形態の比較例の1st Read時の動作に関し、符号A1’、B1’で示す波形を示している。図12(b)において、符号A1’は、非選択ワード線用の電圧BINを示しており、符号B1’は、非選択ワード線用の電圧VOUTを示している。図12(b)では、非選択ワード線に電気的に接続された非選択セルは、Randomセルである。
【0095】
本比較例では、図12(b)に示す電圧BINの波形が、図12(a)に示す電圧BINの波形と同じである。Eraseセル上の非選択ワード線の電圧は、充電期間の前半に低くなる場合が多いが、Randomセル上の非選択ワード線の電圧は、充電期間の後半に低くなる場合が多い。理由は、Eraseセルはオンされやすく、負荷が見えるタイミングが早く、Randomセルはオンされにくく、負荷が見えるタイミングが遅いからである。よって、図12(b)に示す電圧BINの波形が、図12(a)に示す電圧BINの波形と同じであるにもかかわらず、図12(b)に示す電圧VOUTの波形は、図12(a)に示す電圧VOUTの波形と異なっている。例えば、図12(a)に示す電圧VOUTは、図12(a)にて矢印で示す期間に低くなっており、図12(b)に示す電圧VOUTは、図12(b)にて矢印で示す期間に低くなっている。
【0096】
図12(c)は、本実施形態の比較例の1st Read時の動作に関し、3つの電流波形I(Ideal)、I(Erase)、I(Random)を示している。これらは、電流Iccの時間平均を示している。ただし、波形I(Ideal)は、理想的な電流波形を示している。波形I(Erase)は、非選択セルがRandomセルよりもEraseセルを多く含む場合の電流波形を示している。波形I(Random)は、非選択セルがEraseセルよりもRandomセルを多く含む場合の電流波形を示している。波形I(Erase)は、充電期間の前半に高いピークを示しており、波形I(Random)は、充電期間の後半に高いピークを示している。
【0097】
なお、I(Erase)のような波形は、消去動作中に行われるベリファイ読出動作(消去ベリファイ)でも生じる。また、I(Random)のような波形は、書込動作中に行われるベリファイ読出動作(消去ベリファイ)でも生じる。よって、Eraseセルに関する以下の制御は、消去ベリファイ動作にも適用可能であり、Randomセルに関する以下の制御は、書込ベリファイ動作にも適用可能である。書込ベリファイでは、各メモリセルからデータを読み出すことで、各メモリセルにデータが正しく書き込まれたか否かを確認する。消去ベリファイでは、各メモリセルからデータを読み出すことで、各メモリセルからデータが正しく消去されたか否かを確認する。
【0098】
図13は、第3実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
【0099】
図13(a)は、本実施形態の1st Read時の動作に関し、符号A1、B1で示す波形を示している。図13(a)において、符号A1は、非選択ワード線用の電圧BINを示しており、符号B1は、非選択ワード線用の電圧VOUTを示している。図13(a)に示す電圧BIN、VOUTは、Eraseセル上の非選択ワード線を充電する際に使用される。この際のシーケンサ14の動作モードは、第1モードの例である。図13(a)に示す電圧BIN、VOUTは、上述の理由から、消去ベリファイ時に非選択ワード線を充電する際に使用されてもよい。
【0100】
図13(b)も、本実施形態の1st Read時の動作に関し、符号A1、B1で示す波形を示している。図13(b)において、符号A1は、非選択ワード線用の電圧BINを示しており、符号B1は、非選択ワード線用の電圧VOUTを示している。図13(b)に示す電圧BIN、VOUTは、Randomセル上の非選択ワード線を充電する際に使用される。この際のシーケンサ14の動作モードは、第2モードの例である。図13(b)に示す電圧BIN、VOUTは、上述の理由から、書込ベリファイ時に非選択ワード線を充電する際に使用されてもよい。
【0101】
図13(a)はさらに、図13(b)との比較のために、図13(b)に示す波形A1を符号「A1b」で示している。同様に、図13(b)はさらに、図13(a)との比較のために、図13(a)に示す波形A1を符号「A1a」で示している。
【0102】
読出動作の際に、本実施形態のシーケンサ14は、非選択セルがEraseセルであるかRandomセルであるかを判定可能な情報に基づいて、非選択セル用の電圧BINの波形を制御する。例えば、シーケンサ14は、ある非選択セルがEraseセルであるとの情報を取得した場合には、その非選択セル用の電圧BINの波形を図13(a)のように制御する。一方、シーケンサ14は、ある非選択セルがRandomセルであるとの情報を取得した場合には、その非選択セル用の電圧BINの波形を図13(b)のように制御する。
【0103】
本実施形態のシーケンサ14は、非選択セルがEraseセルであるかRandomセルであるかを判定可能な情報として、メモリコントローラ2により管理されている書込情報を取得する。書込情報は、各メモリセルへの書き込みが行われたか否かを示す情報である。シーケンサ14は、ある非選択ワード線の充電を開始する前に、その非選択ワード線上の非選択セルに関する書込情報をメモリコントローラ2から取得する。シーケンサ14は、この書込情報に基づいて、その非選択ワード線用の電圧BINの波形を図13(a)または図13(b)のように制御する。書込情報は、書込有無情報の例である。書込情報は例えば、リードコマンドと共にメモリコントローラ2からNANDメモリ1に送られる。
【0104】
なお、本実施形態のシーケンサ14は、非選択セルがEraseセルであるかRandomセルであるかを判定可能な情報として、書込情報以外の情報を取得してもよい。例えば、シーケンサ14は、複数のメモリセル内に書き込まれた書込パターンに関する情報(パターン情報)を、メモリコントローラ2から取得してもよい。この場合、シーケンサ14は、このパターン情報に基づいて、電圧BINの波形を図13(a)または図13(b)のように制御する。この書込情報も、書込有無情報の例である。
【0105】
本実施形態のシーケンサ14は、Randomセル用の充電開始時の電圧BINを、Eraseセル用の充電開始時の電圧BINより高く設定する。図13(a)および図13(b)では、Y軸上の時間が充電開始時である。図13(a)および図13(b)では、Eraseセル用の充電開始時の電圧BINは、V-2vとなっており、Randomセル用の充電開始時の電圧BINは、Vとなっている(Vおよびvは正の実数)。
【0106】
本実施形態のシーケンサ14はさらに、Randomセル用の電圧BINの上昇周期がtから2tに増加するタイミングを、Eraseセル用の電圧BINの上昇周期がtから2tに増加するタイミングより早いタイミングに設定する。図13(a)および図13(b)では、電圧BINが1回上昇する際の電圧上昇値が常にvになっている。そのため、Randomセル用の電圧BINの上昇率がv/tからv/2tに減少するタイミングが、Eraseセル用の電圧BINの上昇率がv/tからv/2tに減少するタイミングより早いタイミングになっている。値「v/t」は第1値の例であり、値「v/2t」は第2値の例である。これは、電圧BINの上昇周期が2tから3tに増加するタイミングについても同様である。
【0107】
図13(a)では、時間5tが経過した時点、すなわち、電圧BINがV+2vからV+3vに上昇する時点で、電圧BINの上昇周期がtから2tに増加し、電圧BINの上昇率がv/tからv/2tに減少している。図13(b)では、時間3tが経過した時点、すなわち、電圧BINがV+2vからV+3vに上昇する時点で、電圧BINの上昇周期がtから2tに増加し、電圧BINの上昇率がv/tからv/2tに減少している。
【0108】
図13(a)に示す電圧BINによれば、充電開始に近い期間の電圧BINを低くすることで、充電開始に近い期間の電流Iccを低減することが可能となる。理由は、電圧BINが低い方がチャージポンプCPの効率が良くなり、かつ、Eraseセルでは充電開始に近い期間内の負荷が大きいからである。また、図13(b)に示す電圧BINによれば、充電終了に近い期間の電圧BINを低くすることで、電圧BINの上昇率を小さくし、充電終了に近い期間の電流Iccを低減することが可能となる。理由は、電圧BINが低い方がチャージポンプCPの効率が良くなり、かつ、Randomセルでは充電終了に近い期間内の負荷が大きいからである。電圧BINより電圧VOUTが高くなると、チャージポンプCPが停止する期間が生じるため、電圧BINの上昇率を小さくすることは、電流Iccの平均値を小さくすることを可能とする。これにより、波形I(Erase)および波形I(Random)のピークをいずれも低くして、波形I(Erase)および波形I(Random)を波形I(Ideal)に近付けることが可能となる。
【0109】
なお、図13(a)に示す電圧BINの波形と、図13(b)に示す電圧BINの波形は、充電開始電圧の高さの観点や、上昇周期が減少するタイミングの観点で互いに異なっているが、その他の観点で互いに異なっていてもよい。例えば、これらの波形は、電圧BINが上昇する際の電圧上昇値の観点で互いに異なっていてもよい。また、これらの波形は、後述する図14(a)および図14(b)に示すような態様で、互いに異なっていてもよい。
【0110】
図14は、第3実施形態のメモリシステムの動作例をさらに説明するためのタイミングチャートである。
【0111】
図14(a)は、本実施形態の変形例の1st Read時の動作に関し、符号A1、B1で示す波形を示している。図14(a)において、符号A1は、非選択ワード線用の電圧BINを示しており、符号B1は、非選択ワード線用の電圧VOUTを示している。図14(a)に示す電圧BIN、VOUTは、Eraseセル上の非選択ワード線を充電する際に使用される。この際のシーケンサ14の動作モードは、第1モードの例である。図14(a)に示す電圧BIN、VOUTは、上述の理由から、消去ベリファイ時に非選択ワード線を充電する際に使用されてもよい。
【0112】
図14(b)も、本実施形態の変形例の1st Read時の動作に関し、符号A1、B1で示す波形を示している。図14(b)において、符号A1は、非選択ワード線用の電圧BINを示しており、符号B1は、非選択ワード線用の電圧VOUTを示している。図14(b)に示す電圧BIN、VOUTは、Randomセル上の非選択ワード線を充電する際に使用される。この際のシーケンサ14の動作モードは、第2モードの例である。図14(b)に示す電圧BIN、VOUTは、上述の理由から、書込ベリファイ時に非選択ワード線を充電する際に使用されてもよい。
【0113】
図14(a)はさらに、図14(b)との比較のために、図14(b)に示す波形A1を符号「A1b」で示している。同様に、図14(b)はさらに、図14(a)との比較のために、図14(a)に示す波形A1を符号「A1a」で示している。
【0114】
図14(a)にて符号A1、B1で示す波形は、図13(a)にて符号A1、B1で示す波形と同じである。一方、図14(b)にて符号A1、B1で示す波形は、図13(b)にて符号A1、B1で示す波形とおおむね同じであるが、矢印Pで示す部分で、図14(b)にて符号A1で示す波形が、図13(b)にて符号A1で示す波形と異なっている。
【0115】
本変形例のシーケンサ14は、Randomセル用の充電開始時の電圧BINの上昇率を、Eraseセル用の充電開始時の電圧BINの上昇率より高く設定する。図14(a)の充電開始直後には、電圧BINが時間tの間にV-2vからV-vに上昇しているため、図14(a)の充電開始時の電圧BINの上昇率は、v/tとなっている。一方、図14(b)の充電開始直後には、電圧BINがごく短い時間の間にV-2vからVに上昇しているため、図14(b)の充電開始時の電圧BINの上昇率は、v/tより高くなっている。
【0116】
図14(a)に示す電圧BINによれば、充電開始に近い期間の電圧BINの上昇率を低くし、かつ充電終了に近い期間の電圧BINを低くすることで、充電開始に近い期間の電流Iccを低減することが可能となる。理由は、電圧BINが低い方がチャージポンプCPの効率が良くなり、かつ、Eraseセルでは充電開始に近い期間内の負荷が大きいからである。また、図14(b)に示す電圧BINによれば、充電開始に近い期間の電圧BINの上昇率を高くし、かつ充電終了に近い期間の電圧BINを低くすることで、電圧BINの上昇率を小さくし、充電終了に近い期間の電流Iccを低減することが可能となる。理由は、電圧BINが低い方がチャージポンプCPの効率が良くなり、かつ、Randomセルでは充電終了に近い期間内の負荷が大きいからである。電圧BINより電圧VOUTが高くなると、チャージポンプCPが停止する期間が生じるため、電圧BINの上昇率を小さくすることは、電流Iccの平均値を小さくすることを可能とする。これにより、波形I(Erase)および波形I(Random)のピークをいずれも低くして、波形I(Erase)および波形I(Random)を波形I(Ideal)に近付けることが可能となる。
【0117】
以上のように、本実施形態のシーケンサ14は、読出動作の際に、非選択セルがEraseセルであるかRandomセルであるかの情報に基づいて、非選択セル用の電圧BINの波形を制御する。よって、本実施形態によれば、非選択セルがEraseセルおよびRandomセルのいずれであっても、電圧生成回路14で消費される電流のピーク値を低減することが可能となる。
【0118】
なお、第1から第3実施形態では、シーケンサ14が読出動作の際に行う電圧BINの波形の制御について説明したが、この読出動作における制御は、上述の通り、書込動作中に行われるベリファイ読出動作(書込ベリファイ)や、消去動作中に行われるベリファイ読出動作(消去ベリファイ)にも適用可能である。
【0119】
第3実施形態の制御を書込ベリファイに適用する場合、対象ブロックの最初のワード線にデータを書き込む際には、対象ブロック内の多くのメモリセルがEraseセルであることが多い。よって、この場合の書込ベリファイは、図13(a)または図14(a)に示す方法で行ってもよい。これは、最初のワード線への書き込みの少し後に行われるワード線への書き込みでも同様である。一方、対象ブロックの最後のワード線にデータを書き込む際には、対象ブロック内の多くのメモリセルがRandomセルとなっている。よって、この場合の書込ベリファイは、図13(b)または図14(b)に示す方法で行ってもよい。これは、最後のワード線への書き込みの少し前に行われるワード線への書き込みでも同様である。
【0120】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0121】
1:NANDメモリ、2:メモリコントローラ、
11:メモリセルアレイ、12:コマンドレジスタ、13:アドレスレジスタ、
14:シーケンサ、15:電圧生成回路、16:ロウデコーダモジュール、
17:センスアンプモジュール、18:温度センサ
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