(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044143
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】パンツ型の使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/535 20060101AFI20240326BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61F13/535 200
A61F13/49 311Z
A61F13/49 312Z
A61F13/49 410
A61F13/49 315Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149516
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 絵里香
(72)【発明者】
【氏名】南岡 政宏
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA12
3B200BA13
3B200BB11
3B200CA03
3B200DA01
3B200DA03
3B200DA08
3B200DA21
3B200DB05
3B200DB23
3B200DB24
(57)【要約】
【課題】ずれや食い込みを抑制しつつ、装着感に優れる、パンツ型の使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】本発明のパンツ型使い捨ておむつ1は、吸収性コア40を含む吸収性本体5と、該吸収性本体5の非肌対向面側に配された外装体3とを備えている。外装体3は、前身頃F及び後身頃Rそれぞれに横方向Yに沿って伸縮性を有する伸縮領域FE,REと、これら伸縮領域どうし間に位置する非伸縮領域NEとを有している。吸収性コア40は、下層コア45と上層コア41とを有し、該下層コア45は縦方向Xに延びる下層低剛性部46を有している。上層コア41は、その全体が非伸縮領域NE内に配されている。下層低剛性部46は、平面視において、少なくとも背側部B側の端部が非伸縮領域NEに存在し、且つ上層コア41の背側部B側の端部41bよりも背側部B側に延出している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、吸収性コアを含む吸収体を有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有し、前記縦方向の中央を境界として着用時に着用者の腹側に配される前身頃と着用者の背側に配される後身頃とに区分される、パンツ型の使い捨ておむつであって、
前記外装体は、前記前身頃に前記横方向に沿って伸縮性を有する前側伸縮領域、前記後身頃に前記横方向に沿って伸縮性を有する後側伸縮領域、及び該前側伸縮領域と該後側伸縮領域との間に位置する非伸縮領域を有しており、
前記吸収性コアは、下層コアと、該下層コアよりも肌対向面側に配された上層コアとを有し、該下層コアは前記縦方向に延びる下層低剛性部を有しており、
前記上層コアは、その全体が前記非伸縮領域内に配されており、
前記下層低剛性部は、平面視において、少なくとも前記背側部側の端部が前記非伸縮領域に存在し、且つ前記上層コアの前記背側部側の端部よりも前記背側部側に延出している、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記下層低剛性部は、前記使い捨ておむつの前記横方向の中央に配されている、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記下層低剛性部はスリットからなる、請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記下層低剛性部が、前記上層コアの前記腹側部側の端部よりも前記腹側部側に延出している、請求項1~3の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記上層コアは、前記縦方向に延びる上層低剛性部を有している、請求項1~4の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記上層低剛性部はスリットからなる、請求項5に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記下層低剛性部と前記上層低剛性部とが、平面視において少なくとも部分的に重なっている、請求項5又6に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記前側伸縮領域及び前記後側伸縮領域は、前記横方向に伸縮性を有する伸縮性シートにより構成されている、請求項1~7の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記吸収性コアの前記横方向両側に前記縦方向に伸長状態で配された弾性部材を有し、該弾性部材は、前記上層コアよりも前記背側部側の端部が前記縦方向外方に位置している、請求項1~8の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
パンツ型の使い捨ておむつは、一般的に、主たる吸液部位となる吸収性コアを含んで構成される吸収体を具備することが一般的である。また着用感や吸収性能等を考慮して、吸収性コアに開口部や低坪量部を設けることが知られている。
パンツ型の使い捨ておむつは、ウエスト開口部、及び一対のレッグ開口部を有し、レッグ開口部に着用者の両脚を通し、ウエスト周りにウエスト開口部を配して着用される。すなわち下着のように着用されるので、使い捨ておむつが身体にフィットするように、該使い捨ておむつの外面を形成するシート材に、伸縮性シートを使用することがある。
【0003】
例えば本出願人は、先に、伸縮性の外層シートを有する外装体と、開口部が縦方向に延びるように形成された吸収性コアとを具備し、該開口部が肌対向面又は非肌対向面に開口を有している、パンツ型吸収性物品を提案した(特許文献1)。
【0004】
特許文献2には、横方向に伸縮する伸縮領域を有する一対のベルト部と、縦方向に沿った低坪量領域及び格子状の低坪量領域が形成された吸収性コアとを具備しており、後側のベルト部における伸縮領域の一部が縦方向に沿った低坪量領域を横断している、パンツ型吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6559940号公報
【特許文献2】特許第6982973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2の技術は、吸収性コアに開口部や低坪量の部分を設けることで、該吸収性コアの剛性を低減している。この構成は、着用者の身体に吸収性コアを沿わせてフィットさせる点で有効である。また、伸縮性シートを使い捨ておむつの外面側に配される構成部材に使用することで、着用者の身体へのフィット性を高め、下着のようなシルエットが得られる。しかしながら、使い捨ておむつが開口部や低坪量の部分を有する吸収性コアと伸縮性シートとを具備する場合、伸縮性シートの伸縮又は着用者の動作によって使い捨ておむつの装着位置にずれが生じることや、吸収性コアが身体に過剰に食い込む虞があった。特許文献1及び2は、ずれや食い込みを抑制し得る技術を開示するものではない。
【0007】
本発明は、ずれや食い込みを抑制しつつ、装着感に優れたパンツ型の使い捨ておむつを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、吸収性コアを含む吸収体を有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有し、前記縦方向の中央を境界として着用時に着用者の腹側に配される前身頃と着用者の背側に配される後身頃とに区分される、パンツ型の使い捨ておむつに関する。
一実施形態として、前記外装体は、前記前身頃に前記横方向に沿って伸縮性を有する前側伸縮領域、前記後身頃に前記横方向に沿って伸縮性を有する後側伸縮領域、及び該前側伸縮領域と該後側伸縮領域との間に位置する非伸縮領域を有していることが好ましい。
一実施形態として、前記吸収性コアは、下層コアと、該下層コアよりも肌対向面側に配された上層コアとを有し、該下層コアは前記縦方向に延びる下層低剛性部を有していることが好ましい。
一実施形態として、前記上層コアは、その全体が前記非伸縮領域内に配されており、
一実施形態として、前記下層低剛性部は、平面視において、少なくとも前記背側部側の端部が前記非伸縮領域に存在し、且つ前記上層コアの前記背側部側の端部よりも前記背側部側に延出していることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパンツ型の使い捨ておむつによれば、ずれや食い込みを抑制しつつ、装着感に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のパンツ型の使い捨ておむつの一実施形態を示す図であって、該おむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側を模式的に示す展開平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す使い捨ておむつの非肌対向面側を模式的に示す展開平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す使い捨ておむつの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すおむつの装着状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1~
図6には、本発明のパンツ型の使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」という。)の一実施形態が示されている。
おむつ1は、
図1及び
図2に示すように、着用状態において、着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側に配される背側部Bと、該腹側部A及び該背側部Bの間に位置する股下部Cとを有している。股下部Cは、おむつ1の着用状態において着用者の股間部に配される部位である。腹側部Aは、おむつ1の着用状態において股下部Cよりも着用者の腹側即ち前側に配される部位である。背側部Bは、おむつ1の着用状態において股下部Cよりも着用者の背側即ち後側に配される部位である。
おむつ1は、
図1及び
図2に示すように、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する。本明細書において、「着用者の前後方向」とは、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向を指す。おむつ1は、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる縦方向Xに延在している。
【0012】
おむつ1は、
図1及び
図2に示すように、縦方向の中央(縦中心線CLx)を境界として着用時に着用者の前側(腹側)に配される前身頃Fと着用者の背側(後側)に配される後身頃Rとに区分される。縦中心線CLxは、
図1及び
図2に示す如き展開且つ伸長状態のおむつ1を縦方向Xに二等分して横方向Yに延びる仮想直線である。おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、おむつ1を後述するサイドシール部で切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで広げた状態をいう。
本明細書において、おむつ1の各部位(例えば吸収性コア40)における縦方向X又は横方向Yの長さ(幅)等といった各寸法は、特に断りがない限り、各部の弾性部材を伸長させて各部材を引き伸ばした状態での寸法(設計寸法)のことである。
【0013】
おむつ1は、液保持性の吸収体4を有する吸収性本体5と、該吸収性本体5の非肌対向面側に配された外装体3とを備えている。外装体3は、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける縦方向Xに沿う両側縁部AS,BSどうしが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。これにより、おむつ1は、両側縁部AS,BSどうしが接合された一対のサイドシール部(図示せず)を有し、さらに着用者の胴が通されるウエスト開口部、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部を有する(図示せず)。
【0014】
本明細書において、「肌対向面」は、使い捨ておむつ又はその構成部材(例えば表面シート12)における、使い捨ておむつの着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、使い捨ておむつ又はその構成部材における、使い捨ておむつの着用時に肌側とは反対側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、即ち当該吸収性物品(使い捨ておむつ)の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0015】
吸収性本体5は、平面視長方形形状をなし、縦方向Xに延在しており、その長手方向を展開且つ伸長状態におけるおむつ1の縦方向Xに一致させて、外装体3の横方向Yの中央部に配置されている。吸収性本体5は、接着剤等の公知の接合手段によって外装体3に接合されている。
本実施形態の吸収性本体5は、縦方向Xの両端部の肌対向面が端部固定シート34,34に被覆され、外装体3に固定されている。端部固定シート34は、接着剤等の公知の接合手段によって、外装体3及び吸収性本体5に接合されている(
図1及び
図3参照)。
【0016】
吸収性本体5は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート12、非肌対向面を形成する液不透過性若しくは液難透過性又は撥水性の防漏シート13、及びこれら表面シート及び防漏シート間に配された液保持性の吸収体4を具備しており、これらが接着剤等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。
本実施形態の吸収体4は、
図4に示すように、吸収性コア40と、該吸収性コア40の表面を被覆するコアラップシート49を含んで構成されている。本実施形態の吸収体4は、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシート49で覆われている。これに代えて、吸収性コア40は、その肌対向面が液透過性のコアラップシート49で覆われていてもよい。また、吸収体4は、コアラップシート49を具備していなくともよい。吸収性コア40の詳細については、後述する。
【0017】
本実施形態の吸収性本体5は、その横方向Y両側に縦方向Xに延びる弾性部材48(以下、「中間弾性部材48」ともいう。)を有している。本実施形態の中間弾性部材48は、吸収体4の横方向Y外側において、表面シート12と防漏シート13との間に伸長状態で配されている。
吸収性本体5が中間弾性部材48を具備する場合、該中間弾性部材48は、コアラップシート49と吸収性コア40との間に伸長状態で配されていてもよく、表面シート12と吸収性コア40との間に伸長状態で配されていてもよい。また、中間弾性部材48の高さ方向Zにおける位置は特に限定されず、おむつ1の展開且つ伸長状態と、おむつ1の自然状態とで、高さ方向Zにおける位置が異なっていてもよい。例えば中間弾性部材48は、自然状態で吸収体4の高さの略中央に位置してもよく、展開且つ伸長状態で該吸収体4の高さの中央よりも非肌対向面側に位置してもよい。
【0018】
本実施形態のおむつ1は、吸収性本体5の肌対向面における縦方向Xに沿う左右両側部に、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性のシート材から構成された一対の防漏カフ6,6を有している(
図1及び
図4参照)。本実施形態の防漏カフ6は、カフ形成用シート60及びカフ弾性部材61を有し、二つ折りにされた該カフ形成用シート60どうし間に、カフ弾性部材61が伸長状態で配されている。この防漏カフ6は、横方向Y内方端部が自由端部となっており、横方向Y外方端部が吸収性本体5の非肌対向面側、すなわち防漏シート13の非肌対向面側に巻き込まれて、該防漏シート13と外装体3との間に接着剤等で固定されている。防漏カフ6の自由端部の近傍には、縦方向Xに延びる糸状のカフ弾性部材61が1本以上伸長状態で配されている(
図4参照)。防漏カフ6は、伸長状態で配されたカフ弾性部材61が収縮することによって、少なくとも股下部Cで起立し、尿等の排泄液の横方向Y外方への流出を阻止する。
なお、説明の便宜上、
図3では防漏カフ6の図示を省略している。
【0019】
外装体3は、おむつ1の外形、即ち、腹側部A、股下部C及び背側部Bそれぞれの外形を形成している。外装体3は、
図1及び
図2に示すように、展開且つ伸長状態の平面視において、腹側部A及び背側部Bでは、縦方向Xよりも横方向Yの長さが長い矩形形状をなし、股下部Cでは、縦方向Xに沿う両側縁部、即ち一対のレッグ縁部LE,LEが横方向Yの内方に向けて括れた砂時計状をなしている。本実施形態の外装体3は、展開且つ伸長状態の平面視において、股下部Cの縦方向Xに沿う両側縁よりも、腹側部A及び背側部Bの縦方向Xに沿う両側縁が横方向Y外方に張り出している。また外装体3は、腹側部Aの縦方向X外方縁WE及び背側部Bの縦方向X外方縁WEが、横方向Yに延びており、サイドシール部が形成されたおむつ1においてウエスト開口部を形成する。すなわちこれら縦方向X外方縁は、ウエスト開口部の周縁端WEとなる。
【0020】
外装体3は、複数枚のシートが積層されて構成されている。本実施形態の外装体3は、
図3に示すとおり、非肌対向面側から肌対向面側に向かって外層シート31、内層シート33、及び固定用シート35がこの順で積層されている。外層シート31は、少なくとも腹側部A及び背側部Bにおいて、おむつ1の外面即ち非肌対向面を形成しており、
図1及び
図3に示すように、前身頃Fに配置された前側外層シート31aと後身頃Rに配された後側外層シート31bとに分割されている。内層シート33は、外層シート31と固定用シート35との間に配置されており、前身頃F及び後身頃Rの両外層シート31a,31bに架け渡されて固定されている。本実施形態の内層シート33は、縦方向Xにおいて腹側部Aのウエスト開口部の周縁端WEから背側部Bのウエスト開口部の周縁端WEまで連続している。すなわち内層シート33は、おむつ1の全長に連続し、縦方向Xにおけるこれら前側外層シート31aと後側外層シート31bとの間でおむつ1の外面を形成している。固定用シート35は、内層シート33の肌対向面側に配置されており、後述するレッグ弾性部材37を該内層シート33との間で固定している。外装体3を構成するこれらのシート31,33,35は、接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。
【0021】
本実施形態の外装体3は、外層シート31a,31bが、ウエスト開口部の周縁端WEに沿って肌対向面側に折り返されている(
図3参照)。即ち、外層シート31a,31bは、ウエスト開口部の周縁端WEを形成しており、該周縁端WEから縦方向Xの内方に該シート31a,31bの折り返し部分が延出している。
本実施形態の外装体3は、内層シート33も、前述した外層シート31a,31bと同様に、ウエスト開口部の周縁端WEに沿って肌対向面側に折り返されている。外装体3のウエスト開口部の周縁端WE(
図5において図示せず)近傍では、外層シート31a,31bの折り返し部分と、内層シート33の折り返し部分とが肌対向面側で重なっている(
図5参照)。
【0022】
本実施形態の外装体3は、内層シート33の折り返し部分に伸長状態で挟まれ且つ固定された複数本の糸状又は帯状の弾性部材32を備えている。具体的には、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける、着用者の胴回りに配される領域に、複数本の弾性部材32(以下、「胴回り弾性部材32」という。)が横方向Yに伸長状態で、且つ縦方向Xに所定間隔を置いて間欠配置されている。胴周り弾性部材32は、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける縦方向Xに沿う両側縁部どうし間、即ち横方向Yにおけるサイドシール部間であって、吸収性本体5の縦方向Xの端縁から縦方向Xの外方に延出した領域に配されている。斯かる領域は、着用状態において着用者のウエスト回り及びその近傍に配される。胴回り弾性部材32は、外装体3において腹側部A及び背側部Bそれぞれの横方向Yの略全長に延在しており、弾性伸縮性が発現した状態で配されている。これにより、ウエスト開口部の全周に沿って実質的に連続した環状のウエストギャザーが形成される。
【0023】
外装体3は、内層シート33及び固定用シート35間に伸長状態で配された複数本の糸状又は帯状のレッグ弾性部材37を備えている。具体的には、前身頃Fにおける一対のレッグ開口部それぞれの周縁部を形成するレッグ縁部LEに、1本又は複数本のレッグギャザー形成用のレッグ弾性部材37が伸長状態で配されている(
図1及び
図2参照)。これによって、前身頃Fにおける一対のレッグ開口部それぞれの周縁部にはレッグギャザーが形成される。本実施形態のおむつ1は、前身頃Fのみにレッグ弾性部材37が配されている。即ち、後身頃Rにはレッグ弾性部材37は配されていない。
これに代えて、前身頃F及び後身頃Rそれぞれのレッグ縁部LEにレッグ弾性部材37が配されていてもよい。
【0024】
本実施形態の外装体3は、前身頃Fに横方向Yに沿って伸縮性を有する前側伸縮領域FEと、後身頃Rに同方向Yに沿って伸縮性を有する後側伸縮領域REとを有している。これら前側伸縮領域FE及び後側伸縮領域REを纏めて「伸縮領域」ともいう。本実施形態のこれら「伸縮領域」は、外装体3を構成する複数枚のシートのうちの1つである伸縮性シートにより構成されている。本実施形態の伸縮領域は、前側外層シート31a及び後側外層シート31bにより構成されている。外装体3が、伸縮性を有する伸縮性シートを具備することにより、着用状態においておむつ1が身体にフィットし、下着のような外観が得られる。
【0025】
おむつ1の装着感をより向上させる観点から、伸縮性シートの破断伸度は、好ましくは30%以上200%以下、より好ましくは50%以上180%以下である。破断伸度の測定方法は後述する。
【0026】
本発明に用いられる伸縮性シートとしては、例えば(1)弾性繊維層の両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されている伸縮性不織布、(2)ネット状の弾性シートの両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されている伸縮性不織布、(3)弾性フィルムからなる弾性シートの両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されている伸縮性不織布、(4)互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、伸長可能な繊維層に一体化されてなる伸縮性不織布等を好ましく用いることができる。
ここでいう「伸長可能な繊維層」には、弾性を有する材料と一体化する前から伸長可能である繊維層の他に、弾性を有する材料との一体化後に機械加工等により伸長可能とされた繊維層が含まれる。
弾性繊維層と伸長可能な繊維層との一体化の方法としては、例えば、これらを積層して水流交絡又はエアスルー等により繊維を交絡させる方法、ヒートエンボス、接着剤、超音波等によって接合させる方法が挙げられる。弾性繊維としては、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー又はポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ゴム等の弾性樹脂を原料とする繊維を用いることができる。また、非弾性繊維としては、熱可塑性樹脂を原料とした繊維を用いることができる。
【0027】
前記(4)の伸縮性不織布としては、例えば非弾性繊維を主体とする伸長可能な繊維層どうしの間に糸状の弾性フィラメントが挟まれ、一体化された構成を有するものが挙げられる。斯かる伸縮性不織布は、繊維層としての2枚の繊維シートと、これら両シート間に介在配置された弾性フィラメントとを含んで構成されている。この伸縮性不織布は、例えば、特開2009-61743号公報に記載の方法に従って製造することができる。
【0028】
前記(4)の伸縮性不織布において、2枚の繊維シートは、何れも伸長可能なものである。この2枚の繊維シートは、弾性フィラメントの延びる方向と同方向に伸長可能になっている。伸長可能な形態とは、(イ)シートの構成繊維自体が伸長する形態と、(ロ)構成繊維自体は伸長しなくても、機械加工等により交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、シート全体として伸長する形態とを包含する。前記(ロ)における機械加工としては、熱処理、ロール間延伸、歯溝やギアによるかみ込み延伸、テンターによる引張延伸などが挙げられる。
【0029】
前記(4)の伸縮性不織布において、弾性フィラメントは、弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されて形成し得る。複数の弾性フィラメントは、それぞれ、一方向に連続して配され、互いに交差せずに該一方向に延びるように配列している。弾性フィラメントは、実質的に非伸長状態で2枚の繊維シートに接合されている。この接合は、2枚の繊維シートの構成繊維(非弾性繊維)が弾性フィラメント中に埋没した状態で該弾性フィラメントに融着することによりなされたものであり、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いてなされたものではない。したがって、2枚の繊維シート(非弾性繊維を主体とする伸長可能な繊維層)とこれに接合されている弾性フィラメントとの間には接着剤が存在しない。
【0030】
前記(4)の伸縮性不織布を構成する2枚の繊維シートは、それぞれ、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の各種の不織布とすることができる。2枚の繊維シートは、互いに同種でもよく、異種でもよい。ここでいう、「同種のシート」とは、シートの製造プロセス、シートの構成繊維の種類、構成繊維の繊維径や長さ、シートの厚みや坪量等がすべて同じであるシートどうしを意味する。これらのうちの少なくとも1つが異なる場合には、「異種のシート」である。また、弾性フィラメントは、例えば熱可塑性エラストマーやゴム等を原料とするものである。特に熱可塑性エラストマーを原料として用いると、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた弾性フィラメントは熱融着させやすいので、伸縮性不織布に好適である。
着用者の身体へのフィット性をより向上させる観点から、伸縮領域は、前記(4)の伸縮性不織布により形成されていることが好ましい。この場合、伸縮領域を形成する伸縮性不織布は、弾性フィラメントの延在方向が横方向Yと一致する。
【0031】
本実施形態の前側外層シート31aは、腹側部Aの縦方向X内方端よりも該縦方向X内方に延出しており、股下部Cにおける腹側部A側の端部に至っている。本実施形態の後側外層シート31bも、背側部Bの縦方向X内方端よりも該縦方向X内方に延出しており、股下部Cにおける背側部B側の端部に至っている。これにより、縦方向Xにおいて、前側伸縮領域FEが股下部Cにおける腹側部A側の端部まで延出しており、後側伸縮領域REが股下部Cにおける背側部B側の端部まで延出している(
図2参照)。
【0032】
外装体3は、前側伸縮領域FEと後側伸縮領域REとの間に位置する非伸縮領域NEを有している。本実施形態の非伸縮領域NEは、外装体3において、横方向Yに伸縮しない領域であり、前述した伸縮性シート等の伸縮部材が配されていない領域である。本実施形態の非伸縮領域NEには、非伸縮性シートのみ配されている。具体的には、当該非伸縮領域NEは、外層シート31が配されておらず、非伸縮性シートである内層シート33のみが配された領域である(
図2参照)。
本実施形態の非伸縮領域NEは、前身頃F及び後身頃Rにおける縦方向Xの中央部分に位置しており、縦方向Xにおいて前側伸縮領域FEと後側伸縮領域REとの間に挟まれている。
【0033】
非伸縮性シートは、ある方向に実質的に伸縮性を有しないシートであり、本実施形態においては少なくとも横方向Yに伸縮性を有しないシートであり、縦方向Xにも横方向Yにも伸縮性を有しないシートであることが好ましい。伸縮性を有しないシートは、該シートに対して当該ある方向に引っ張る力を加えても、該シートが、殆ど伸びないことを意味する。例えば、長さ15×幅5cmのシートのサンプルに対して、該サンプルをテンシロン等の材料引っ張り試験機で該サンプルの長手方向に引っ張って、該サンプルが破断するときの破断伸度が10%以下である場合、そのサンプルは、長手方向に実質的に伸縮性を有しない。この破断伸度とは(破断時の該サンプル長さ-該サンプルの元の長さ)/(該サンプルの元の長さ)×100で算出することができる。
【0034】
本実施形態の吸収体4は、非伸縮領域NEを介して前側伸縮領域FEと後側伸縮領域REとの間を架け渡すように配されている(
図2参照)。
吸収性コア40は、下層コア45と、該下層コア45よりも肌対向面側に配された上層コア41とを有している(
図3及び
図4参照)。すなわち、吸収性コア40は上層コア41と下層コア45とが積層した積層構造を有している。
【0035】
本実施形態の下層コア45は、吸収体4と同様に、縦方向Xに長い形状を有し、縦方向X中央の両側縁が横方向Y内方に括れた砂時計形状をなしている。下層コア45は、縦方向Xに延びる下層低剛性部46を有している(
図1及び
図2参照)。下層低剛性部46は、下層コア45において他の部分よりも低剛性となっている部分である。例えば下層低剛性部46は、下層コア45を形成するコア形成材料の坪量が、他の部分よりも低い低坪量部、又は該コア形成材料が欠落した部分である。後者としては、下層コア45を貫通するスリット(貫通孔)、又は有底の凹部が挙げられる。前記他の部分、すなわち下層低剛性部46よりも坪量が高い部分を下層高剛性部47ともいう。
本実施形態の下層低剛性部46は縦方向Xに延びるスリットとなっており、吸収性コア40(下層コア45)の形成材料の坪量が0g/m
2となっている。斯かる構成は、後述するおむつ1の装着性及び下着らしい外観性(シルエット)をより向上させる点で好ましい。
本実施形態の下層低剛性部46は、下層コア45の両側縁及び縦方向Xの両端それぞれから離間して配されており、周囲を下層コア45のコア形成材料によって囲まれている。
【0036】
本実施形態の上層コア41は、下層コア45と同様に、縦方向Xに長い形状を有しており、下層コア45の縦方向X中央部に配されている。上層コア41は、その全体が非伸縮領域NE内に配されている。詳細には、上層コア41は、縦方向Xにおいて腹側部A側の端部41aが非伸縮領域NE内に位置し、且つ縦方向Xにおいて背側部B側の端部41b(以下、「上層背側端部41b」ともいう。)も非伸縮領域NE内に存在している。
【0037】
本実施形態の下層コア45は、縦方向Xの両端部が伸縮領域に配されており、前記の括れた縦方向X中央部分が非伸縮領域NEに配されている(
図2参照)。
本実施形態の下層低剛性部46は、上層コア41から縦方向Xの腹側部A側及び背側部B側の双方に延出している。すなわち、下層低剛性部46は、上層コア41よりも縦方向Xの長さが長い。
下層低剛性部46は、平面視において少なくとも背側部B側の端部が非伸縮領域NEに存在している。本実施形態の下層低剛性部46は、その全長が非伸縮領域NE内に収まっている。すなわち下層低剛性部46の縦方向Xの両端部が非伸縮領域NEに位置している。これに代えて、下層低剛性部46は、背側部B側の端部が非伸縮領域NEに位置するとともに、該下層低剛性部46の腹側部A側の端部が、前側伸縮領域FEに延出していてもよい。
本実施形態の下層低剛性部46は、少なくとも非伸縮領域NEに存在し、且つ上層コア41の上層背側端部41bよりも背側部B側に延出している(
図1及び
図2参照)。
【0038】
本実施形態の吸収性コア40は、下層コア45の肌対向面に配された上層コア41を有するので、該上層コア41が肌に突出した凸部となっており、着用状態において該上層コア41が着用者の股間部にフィットするとともに、吸収性能を担保している。
斯かる吸収性コア40は、平面視において下層低剛性部46の背側部B側の端部が非伸縮領域NEに存在し、且つ上層コア41よりも背側部B側に延出しているので、伸縮領域FE,REにより外装体3を着用者の肌にフィットさせつつ、背側部B側の吸収性コア40の剛性を低減できる。また上層コア41全体が非伸縮領域NE内に配されているので、吸収性コア40が着用者の肌に過度に押し付けられることが抑制される。これらの構成により、吸収性コア40を臀部の形状に沿って良好に追随させることができるので、優れた装着感が得られるとともに、着用時のおむつ1の外観を下着のようにすっきりしたシルエットにすることができる(
図6参照)。また下層コア45が臀部の形状に追随するので、着用者の動作や伸縮領域の伸縮が生じても、おむつ1の装着位置のずれや、吸収性コア40の身体に対する過剰な食い込みを効果的に抑制することができる。特に後身頃Rのレッグ縁部LEが臀部に過度に食い込むことを抑制できる(
図6参照)。
【0039】
吸収性コア40の身体に対する追随性をより向上させて、上述した効果をより向上させる観点から、おむつ1は下記の構成を具備していることが好ましい。
縦方向Xにおける下層低剛性部46の長さL5(
図2参照)は、縦方向Xにおける非伸縮領域NEの長さL8(
図2参照)に対して、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であり、また好ましくは130%以下、より好ましくは120%以下であり、また好ましくは80%以上130%以下、より好ましくは90%以上120%以下である。
縦方向Xにおける下層低剛性部46の長さL5(
図2参照)は、縦方向Xにおける上層コア41の長さL4(
図2参照)に対して、好ましくは100%以上、より好ましくは110%以上であり、また好ましくは200%以下、より好ましくは180%以下であり、また好ましくは100%以上200%以下、より好ましくは110%以上180%以下である。
縦方向Xにおける上層コア41の長さL4(
図2参照)は、縦方向Xにおける非伸縮領域NEの長さL8(
図2参照)に対して、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、また好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下であり、また好ましくは60%以上90%以下、より好ましくは70%以上85%以下である。
【0040】
縦方向Xにおける下層低剛性部46の長さL5(
図2参照)は、好ましくは200mm以上、より好ましくは250mm以上であり、また好ましくは350mm以下、より好ましくは300mm以下であり、また好ましくは200mm以上350mm以下、より好ましくは250mm以上300mm以下である。
縦方向Xにおける上層コア41の長さL4(
図2参照)は、好ましくは150mm以上、より好ましくは200mm以上であり、また好ましくは300mm以下、より好ましくは250mm以下であり、また好ましくは150mm以上300mm以下、より好ましくは200mm以上250mm以下である。
下層低剛性部46の幅W1(
図2参照)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上であり、また好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下であり、また好ましくは5mm以上20mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下である。
【0041】
下層低剛性部46は、縦方向Xにおける上層背側端部41bからの延出長さL7(
図2参照)が、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上であり、また好ましくは100mm以下、より好ましくは80mm以下であり、また好ましくは20mm以上100mm以下、より好ましくは30mm以上80mm以下である。
【0042】
下層低剛性部46は、おむつ1の横方向Yの中央に配されていることが好ましい(
図1及び
図2参照)。この場合、おむつ1の横方向Y全長を三等分して三領域に区分したとき、下層低剛性部46は、中央の領域に位置していることが好ましい。斯かる構成により、着用者の臀裂Pに追随させて、下着のような外観性(シルエット)をより向上できる(
図6参照)。
上記と同様の観点から、上層コア41は、下層コア45の横方向Yの中央に配されていることが好ましい(
図1及び
図2参照)。
上層コア41の幅W3(
図1参照)は、非伸縮領域NEにおける下層コア45の幅W5(
図1参照)に対して、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上であり、また好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下であり、また好ましくは40%以上80%以下、より好ましくは50%以上70%以下である。
上層コア41の幅W3が縦方向Xに異なっている場合は、当該幅W3は最大幅とする。
下層コア45の幅W5が縦方向Xに異なっている場合は、当該幅は最小幅とする。
【0043】
上層コア41及び下層コア45の二層部分の剛性をより低くして、おむつ1の装着感をより向上させる観点から、下層低剛性部46が、上層コア41の腹側部A側の端部41a(以下、「上層腹側端部41a」ともいう。)よりも腹側部A側に延出していることが好ましい(
図1及び
図2参照)。
下層低剛性部46は、縦方向Xにおける上層腹側端部41aからの延出長さL1(
図2参照)が、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上であり、また好ましくは100mm以下、より好ましくは70mm以下であり、また好ましくは5mm以上100mm以下、より好ましくは8mm以上70mm以下である。
【0044】
吸収性コア40の剛性をより低くして、おむつ1の装着感をより向上させる観点から、上層コア41は、縦方向Xに延びる上層低剛性部42を有していることが好ましい(
図4及び
図5参照)。上層低剛性部42は、上層コア41を形成するコア形成材料の坪量が、他の部分よりも低い低坪量部、又は該コア形成材料が欠落した部分であり、前述した下層低剛性部46と同じ説明が適用される。前記他の部分、すなわち上層低剛性部42よりも坪量が高い部分を上層高剛性部43ともいう。
上層コア41の身体への追随性をより向上させる観点から、上層低剛性部42は、縦方向Xに延びるスリット(貫通孔)であることが好ましい。
本実施形態の上層低剛性部42は、上層コア41の両側縁及び縦方向Xの両端それぞれから離間して配されており、周囲が上層コア41を形成するコア形成材料によって囲まれている。
【0045】
上記の効果をより向上させる観点から、上層コア41は下記の構成を具備することが好ましい。
縦方向Xにおける上層低剛性部42の長さL3(
図2参照)は、縦方向Xにおける上層コア41の長さL4(
図2参照)に対して、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは25%以上90%以下、より好ましくは30%以上80%以下である。
上層低剛性部42の幅W7(
図1参照)は、上層コア41の幅W3(
図1参照)に対して、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、また好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下であり、また好ましくは10%以上40%以下、より好ましくは15%以上30%以下である。
縦方向Xにおける上層低剛性部42の長さL3(
図2参照)は、好ましくは60mm以上、より好ましくは70mm以上であり、また好ましくは210mm以下、より好ましくは180mm以下であり、また好ましくは60mm以上210mm以下、より好ましくは70mm以上180mm以下である。
上層低剛性部42の幅W7(
図1参照)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上であり、また好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下であり、また好ましくは5mm以上20mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下である。
【0046】
身体へのフィット性をより向上させて、おむつ1の外観性(シルエット)をより向上させる観点から、平面視において、下層低剛性部46と上層低剛性部42とは、少なくとも部分的に重なっていることが好ましい(
図1及び
図2参照)。斯かる構成により、低剛性部どうしが重なるので、着用者の身体への追随性が高まり、装着感を向上できる。
本実施形態の吸収性コア40は、上層低剛性部42の全体が下層低剛性部46と重なっている。
上記の効果をより向上させる観点から、下層低剛性部46と上層低剛性部42とが重なる部分の縦方向Xの長さは、上層低剛性部42の縦方向Xの長さL3に対して、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは98%以下であり、また好ましくは80%以上100%以下、より好ましくは90%以上98%以下である。
【0047】
本実施形態のおむつ1は、吸収性コア40の横方向Y両側に縦方向Xに伸長状態で配された弾性部材(以下、「サイド弾性部材」ともいう。)を有している。サイド弾性部材は、吸収性コア40の横方向Y両側、好ましくは吸収性コア40の横方向Y外方に位置する弾性部材である。サイド弾性部材としては、例えば、前述した中間弾性部材48等が挙げられる。
上層低剛性部42を有することにより、上層コア41は柔軟に変形するので、サイド弾性部材は、上層コア41よりも背側部B側の端部が縦方向X外方に位置していることが好ましい。換言すると、サイド弾性部材の背側部B側の端部は、上層背側端部41bよりも縦方向X外方に位置していることが好ましい。
本実施形態のサイド弾性部材は、中間弾性部材48であり、該弾性部材48が上層背側端部41bよりも縦方向X外方に延出している(
図1及び
図2参照)。斯かる形態では、中間弾性部材48の収縮によって、上層コア41全体の縦方向Xに沿う断面が湾曲し、着用者の臀部に沿った形状になり易い。これにより、着用者の臀部に上層コア41がフィットし易くなる。
【0048】
上記の効果をより確実に奏させる観点から、サイド弾性部材の上層背側端部41bからの延出長さL9(
図1参照)は、好ましくは5mm以上180mm以下、より好ましくは10mm以上170mm以下である。当該延出長さL9(
図1参照)は、縦方向Xにおける上層背側端部41bと、サイド弾性部材において伸縮性を発現している部分の背側部B側の端縁との間の長さである。
【0049】
フィット性と吸収性能とをより両立させる観点から、上層コア41の坪量は、好ましくは100g/m2以上、より好ましくは130g/m2以上であり、また好ましくは200g/m2以下、より好ましくは180g/m2以下であり、また好ましくは100g/m2以上200g/m2以下、より好ましくは130g/m2以上180g/m2以下である。
上記と同様の観点から、下層コア45の坪量は、好ましくは80g/m2以上、より好ましくは90g/m2以上であり、また好ましくは130g/m2以下、より好ましくは120g/m2以下であり、また好ましくは80g/m2以上130g/m2以下、より好ましくは90g/m2以上120g/m2以下である。
これら上層コア41及び下層コア45の各坪量は、低剛性部42,46以外の部分の坪量である。
【0050】
上層低剛性部42及び下層低剛性部46の何れか一方又は双方が、上層コア41又は下層コア45を形成するコア形成材料が存在する低坪量部である場合、吸収性コア40のフィット性をより確実に奏させる観点から、上層コア41又は下層コア45の坪量は以下の範囲であることが好ましい。
上層コア41は、上層低剛性部42の坪量とその他の部分(上層高剛性部43)の坪量との差が、好ましくは50g/m2以上、より好ましくは70g/m2以上であり、また好ましくは200g/m2以下、より好ましくは180g/m2以下であり、また好ましくは50g/m2以上200g/m2以下、より好ましくは70g/m2以上180g/m2以下である。
下層コア45は、下層低剛性部46の坪量とその他の部分(下層高剛性部47)の坪量との差が、好ましくは30g/m2以上、より好ましくは50g/m2以上であり、また好ましくは180g/m2以下、より好ましくは150g/m2以下であり、また好ましくは30g/m2以上180g/m2以下、より好ましくは50g/m2以上150g/m2以下である。
【0051】
外装体3を身体にフィットさせ、より下着らしい外観を得る観点から、伸縮領域の伸長率は、好ましくは105%以上、より好ましくは110%以上であり、また好ましくは130%以下、より好ましくは125%以下であり、また好ましくは105%以上130%以下、より好ましくは110%以上125%以下である。
伸縮領域の伸長率は、以下の方法で測定される。
【0052】
〔伸長率の測定方法〕
伸縮領域は、伸縮性シート等のシート部材で構成されているので、外装体において伸縮性能を発現しているシート部材を測定対象とする。先ず、おむつを自然状態にして、外装体の伸縮領域を構成するシート部材に、伸縮方向(横方向Y)に50mmの間隔を空けて2つの印を付ける。このシート部材を最大に伸長させた状態で、前記2つの印間の距離を伸長距離(mm)として測定する。そして、次式(1)より、伸縮領域の伸長率を求める。
伸縮領域の伸長率(%)=〔伸長距離(mm)/50(mm)〕×100・・・(1)
【0053】
次に、おむつ1の各部の形成材料について説明する。内層シート33及び固定用シート35としては、それぞれ、この種の吸収性物品において外装体として従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば内層シート33として、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布等の各種製法による不織布を用いることができる。
【0054】
レッグ弾性部材等の各弾性部材32,37,48,61としては、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、ホットメルト系伸縮部材等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)又は帯状(平ゴム)に形成したものが好ましく用いられる。
表面シート12としては各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができ、防漏シート13としては樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。
【0055】
吸収体4が具備する吸収性コア40は、パルプを始めとするセルロース等の親水性繊維や吸水性ポリマー等のコア形成材料によって形成されている。吸収性コア40は、例えば親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸水性ポリマーとの混合積繊体、吸水性ポリマーの堆積体、2枚の吸収性シート間に吸水性ポリマーが担持された積層構造体等から構成される。
コアラップシート49としては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
【0056】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態のおむつ1は、前身頃Fのみにレッグ弾性部材37を有していたが、前身頃F及び後身頃Rの双方にレッグ弾性部材37を有していてもよい。
また、上述した実施形態のおむつ1は、下層コア45が砂時計形状を有していたが、該下層コア45の両側縁は横方向Y内方に括れていなくてもよく、該両側縁が縦方向Xに平行であってもよい。
また、上述した実施形態の上層コア41は上層低剛性部42を有していたが、上層コア41は該上層低剛性部42を有していなくともよい。
【符号の説明】
【0057】
1 パンツ型の使い捨ておむつ(おむつ)
3 外装体
4 吸収体
5 吸収性本体
6 防漏カフ
12 表面シート
13 防漏シート
31 外層シート
32 胴周り弾性部材
33 内層シート
34 端部固定シート
35 固定用シート
37 レッグ弾性部材
40 吸収性コア
41 上層コア
42 上層低剛性部
43 上層高剛性部
45 下層コア
46 下層低剛性部
47 下層高剛性部
48 中間弾性部材
49 コアラップシート
60 カフ形成用シート
61 カフ弾性部材
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
F 前身頃
R 後身頃
FE 前側伸縮領域
RE 後側伸縮領域
NE 非伸縮領域
X 縦方向
Y 横方向