(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044153
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】認証システム、認証方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20240326BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240326BHJP
G06V 40/16 20220101ALI20240326BHJP
【FI】
G06F21/32
G06T7/00 510F
G06V40/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149530
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】522372360
【氏名又は名称】株式会社オムニシステムサービス
(71)【出願人】
【識別番号】390014904
【氏名又は名称】井村屋グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 龍
(72)【発明者】
【氏名】岡田 孝平
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA04
5B043AA09
5B043BA04
5B043DA05
5B043EA05
5B043FA07
5B043GA02
5B043GA18
(57)【要約】
【課題】被認証者がマスク等で顔を覆っている等により被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても認証可能な認証システムを提供すること。
【解決手段】ステップS120において、第二撮像手段でから送信された第二撮像情報に含まれる個人識別情報と記憶手段に記憶された個人識別情報とを比較することにより、第二撮像手段が被認証者を撮像する際に生体識別情報が得られない場合であっても、個別識別情報により認証することができる認証システムを提供することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像した撮像情報を送信する撮像手段と、
前記被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、を関連付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記個別識別情報と前記撮像情報から抽出した前記個別識別情報とを比較する情報比較手段と、
を備えることを特徴とする、
認証システム。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記被認証者の顔を含む領域及び前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像して得られた第一撮像情報を送信する第一撮像手段と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像して得られた第二撮像情報を送信する第二撮像手段と、を含み、
前記記憶手段は、前記第一撮像情報を受信した際に、前記被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、を関連付けて記憶し、
前記情報比較手段は、前記記憶手段に記憶された前記個別識別情報と前記第二撮像情報から抽出した前記個別識別情報とを比較する、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記被認証者の撮像時刻を記憶する計時手段と、前記被認証者の体温を検温する検温手段と、を備え、
前記第一撮像情報及び前記第二撮像情報は、前記計時手段で計時された時刻に関する情報を含む時刻情報と、前記検温手段で検温した前記被認証者の体温に関する情報を含む体温情報と、を含み、
前記記憶手段は、前記生体情報と、前記個別識別情報と、前記時刻情報と、前記体温情報と、を関連付けて記憶することを特徴とする、
請求項2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記第二撮像手段は、複数であることを特徴とする、
請求項2又は3に記載の認証システム。
【請求項5】
被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、を関連付けて記憶する記憶手段と、
前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像する撮像手段から送信された撮像情報に含まれる前記個別識別情報と前記記憶手段に記憶された前記個別識別情報とを比較する情報比較手段と、
を備えることを特徴とする、
認証システム。
【請求項6】
被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像した撮像情報を送信する撮像ステップと、
前記被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、を関連付けて記憶する記憶手段から、前記記憶手段に記憶された前記個別識別情報と前記撮像情報から抽出した前記個別識別情報とを比較する、情報比較ステップと、
を含むことを特徴とする、
認証方法。
【請求項7】
請求項6に記載の認証方法を1又は2以上のコンピュータで実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証システム、認証方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被認証者の顔認証する顔認証システムが知られている。例えば、特許文献1では、複数の認証方式の中から認証方式を選択する選択部と、選択された認証方式に応じて被認証者の情報を被認証者情報として取得する個人情報取得部と、選択された認証方式に応じて被認証者情報と認証対象者の情報である登録認証情報とを照合する照合部と、選択された認証方式の認証条件と照合部が照合した結果とに基づいて、被認証者が認証対象者であると認証する認証部と、を備え、複数の認証方式として、被認証者の顔データの照合を伴う認証方式を含み、複数の認証方式は、少なくとも、照合部が顔データを照合した結果に基づく第一認証方式と、当該第一認証方式とは異なる第二認証方式とを含む顔認証システムが記載されている。この顔認証システムは、使用される状況に応じて適切に認証することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の顔認証システムでは、例えば、被認証者がマスク等で顔を覆っている場合には認証できないという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、被認証者がマスク等で顔を覆っている場合であっても認証可能な認証システムを提供することを主目的とする。また、被認証者がマスク等で顔を覆っている場合であっても認証可能な認証方法及びプログラムを提供することも目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の認証システムは、
被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像した撮像情報を送信する撮像手段と、
前記被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、を関連付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記個別識別情報と前記撮像情報から抽出した前記個別識別情報とを比較する情報比較手段と、
を備えることを趣旨とする、
ものである。
【0008】
この認証システムは、被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像した撮像情報が撮像手段から送信されると、被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、が関連付けて記憶された記憶手段から個別識別情報を読み出し、記憶手段に記憶された個別識別情報と撮像情報から抽出した個別識別情報とを情報比較手段が比較する。このように、予め記憶手段に生体識別情報と個別識別情報と被認証者の個人を特定する情報とを関連付けて記憶することにより、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、被認証者を認証することができる。このとき、個別識別情報と生体識別情報とが関連付けて記憶されているため、個別識別情報のみを用いて認証する場合と比較して、被認証者を誤認証する可能性を未然に低減することができる。
【0009】
本発明の認証システムは、
被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、を関連付けて記憶する記憶手段と、
前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像する撮像手段から送信された撮像情報に含まれる前記個別識別情報と前記記憶手段に記憶された前記個別識別情報とを比較する情報比較手段と、
を備えることを趣旨とする、
ものである。
【0010】
この認証システムは、被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像した撮像手段から撮像情報を受信すると、被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、が関連付けて記憶された記憶手段から個別識別情報を読み出し、記憶手段に記憶された個別識別情報と撮像情報から抽出した個別識別情報とを情報比較手段が比較する。このように、予め記憶手段に生体識別情報と個別識別情報とを関連付けて記憶することにより、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、被認証者を認証することができる。このとき、個別識別情報と生体識別情報とが関連付けて記憶されているため、個別識別情報のみを用いて認証する場合と比較して、被認証者を誤認証する可能性を未然に低減することができる。
【0011】
本発明の認証システムにおいて、前記撮像手段は、前記被認証者の顔を含む領域及び前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像して得られた第一撮像情報を送信する第一撮像手段と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像して得られた第二撮像情報を送信する第二撮像手段と、を含み、前記記憶手段は、前記第一撮像情報を受信した際に、前記被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、を関連付けて記憶し、前記情報比較手段は、前記第二撮像情報を受信した際に、前記記憶手段に記憶された前記個別識別情報と前記第二撮像情報から抽出した前記個別識別情報とを比較するものであってもよい。こうすることにより、第一撮像手段で撮像した被認証者の顔を含む領域及び被認証者の個人を特定する情報を含む領域を第一撮像手段が撮像して得られた第一撮像情報に基づいて、記憶手段が生体識別情報及び個人識別情報を記憶することにより、第二撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、個別識別情報から被認証者を特定し、被認証者を認証することができる。このとき、個別識別情報と生体識別情報とが関連付けて記憶されているため、個別識別情報のみを用いて認証する場合と比較して、被認証者を誤認証する可能性を未然に低減することができる。
【0012】
本発明の認証システムにおいて、前記撮像手段は、前記被認証者の撮像時刻を記憶する計時手段と、前記被認証者の体温を検温する検温手段と、を備え、前記第一撮像情報及び前記第二撮像情報は、前記計時手段で計時された時刻に関する情報を含む時刻情報と、前記検温手段で検温した前記被認証者の体温に関する情報を含む体温情報と、を含み、前記記憶手段は、前記生体情報と、前記個別識別情報と、前記時刻情報と、前記体温情報と、を関連付けて記憶することを特徴としてもよい。こうすることにより、被認証者の認証時刻や非認証者の体温に関する情報を関連付けて記憶することができる。
【0013】
本発明の認証システムにおいて、前記第二撮像手段は、複数であることを特徴としてもよい。こうすることにより、複数箇所で被認証者を認証することができる。この発明の効果は、特に、撮像手段が計時手段を備えている場合に、効果が大きい。すなわち、複数の第二撮像手段に計時手段が備えられている場合には、各撮像手段で被認証者が認証された時刻に関する情報を比較することにより、被認証者の移動状態を推定することができる点で、効果が大きい。
【0014】
本発明の認証方法は、
被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像した撮像情報を送信する撮像ステップと、
前記被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、前記被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、を関連付けて記憶する記憶手段から、前記記憶手段に記憶された前記個別識別情報と前記撮像情報から抽出した前記個別識別情報とを比較する、情報比較ステップと、
を含むことを趣旨とする、
ものである。
【0015】
この認証方法は、撮像ステップで被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像した撮像情報が撮像手段から送信し、被認証者の顔を含む領域に由来する情報を含む生体識別情報と、被認証者の個人を特定する情報を含む領域に由来する情報を含む個別識別情報と、が関連付けて記憶された記憶手段から個別識別情報を読み出し、記憶手段に記憶された個別識別情報と撮像情報から抽出した個別識別情報とを情報比較手段が比較する。このように、予め記憶手段に生体識別情報と個別識別情報と被認証者の個人を特定する情報とを関連付けて記憶することにより、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、被認証者を認証することができる。このとき、個別識別情報と生体識別情報とが関連付けて記憶されているため、個別識別情報のみを用いて認証する場合と比較して、被認証者を誤認証する可能性を未然に低減することができる。
【0016】
本発明のプログラムは、1又は複数のコンピュータに、認証方法の各ステップを実行させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(例えば、ハードディスク、ROM、CD、DVD、フラッシュメモリなど)に記録されていても良いし、伝送媒体(インターネットや有線/無線LANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ送信されても良いし、その他どのような形で授受されても良い。また、制御方法の各ステップを実行する装置で実行されるものであっても、プログラムが実行される装置と処理が行われる装置とが異なっていてもよい。いずれの場合であっても、このプログラムを1つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した制御方法と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、認証システム10の構成の概略を示す説明図である。
【
図2】
図2は、認証システム10の電気的接続を説明するためのブロック図である。
【
図3】
図3は、記憶手段50に含まれる情報テーブル52の一例を説明するための説明図である。
【
図4】
図4は、認証処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態の一例として、認証システム10について詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。また、認証システム10の使用方法の一例を示すことで、本発明の認証方法の一例も明らかにする。
【0019】
本発明の実施の形態の一例である認証システム10は、
図1に示すように、被認証者の顔を含む領域及び個人を特定する情報を含む領域を撮像し、第一撮像情報として認証装置20に備えられた記憶手段50(
図2参照)に送信する第一撮像手段30と、被認証者の個人を特定する情報を含む領域を撮像し、第二撮像情報として認証装置20に備えられた制御手段60(
図2参照)に送信する第二撮像手段40と、第一撮像情報及び第二撮像情報を記憶する記憶手段50(
図2参照)を有し、第一撮像情報及び第二撮像情報に基づいて被認証者を認証する認証装置20と、が互いに電気通信ネットワーク12を介して情報の送受信が可能に接続されている。この認証システム10は、例えば、出入り口に設けられた第一撮像手段30が被認証者を撮像し、第一撮像情報として記憶手段50(
図2参照)に送信し、記憶手段50が第一撮像情報を受信すると、被認証者の顔に関する情報を含む領域に由来する生体識別情報と、個人を特定する情報を含む領域に由来する個人識別情報と、を関連付けて記憶する。次に、例えば、作業場所に設けられた第二撮像手段40が被認証者を撮像し、第二撮像情報として認証装置20に送信する。認証装置20は、第二撮像情報を受信すると、第二撮像情報に含まれる個人識別情報と記憶手段50(
図2参照)に記憶された個人識別情報と比較する。記憶手段50(
図2参照)に記憶された個人識別情報は、生体識別情報と関連して記憶されているため、第二撮像手段が被認証者の顔に関する情報を撮影できない場合であっても、被認証者を認証することができる。
【0020】
第一撮像手段30は、
図2に示すように、本発明の第一撮像手段に相当し、被認証者の顔を含む領域及び被認証者の個人を特定する領域を撮影し、被認証者の顔を含む領域に由来する生体識別情報と被認証者の個人と特定する情報を含む領域に由来する個人識別情報として出力する第一カメラ32と、被認証者の表面温度を計測し第一体温情報として出力する第一温度センサ34と、被認証者を撮像した時刻を計時し第一時刻情報として出力する第一タイマ36と、画像情報、第一体温情報及び第一時刻情報を第一撮像情報として認証装置20に送信する第一送受信ユニット38と、を有し、第一カメラ32、第一温度センサ34及び第一タイマ36と第一送受信ユニット38は、第一バス39を介して電気的に接続されており、第一送受信ユニット38より、第一撮像情報を認証装置20に送信する。この第一撮像手段30としては、例えば、通信機能を有する公知のデジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の公知の撮影手段やカメラ付きスマートフォンやカメラ付きパソコン等の公知の情報端末を用いることができる。また、ここで、「生体識別情報」とは、顔を含む領域の情報から抽出される顔の特徴点に関する情報や網膜パターンに関する情報、静脈パターンに関する情報等特定の個体に由来する情報を意味し、「個体識別情報」とは、被認証者にそれぞれ割り当てられた固有の情報(例えば、IDや社員番号等を意味するバーコードやQRコード(登録商標)等の各種符号)を意味する。
【0021】
第一カメラ32は、公知のデジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の公知の撮像手段を用いることができる。
【0022】
第一温度センサ34は、本発明の検温手段に相当し、公知の赤外線センサや温度センサ等の温度検知手段を用いることができる。この第一温度センサ34を備えることで、被認証者の認証と同時に被認証者の体温を計測することができるため、被認証者の体調に関する情報を得ることができる。
【0023】
第一タイマ36は、本発明の計時手段に相当し、公知の時計を用いることができる。この第一タイマ36を設けることで、被認証者が第一撮像手段30の前に存在していた時刻を計測することができるため、被認証者が、いつ第一撮像手段30の前に存在していたかを示す情報を得ることができる。
【0024】
第二撮像手段40は、本発明の第二撮像手段に相当し、被認証者の顔を含む領域及び被認証者の個人を特定する領域を撮像し、被認証者の顔を含む領域に由来する生体識別情報と被認証者の個人と特定する情報を含む領域に由来する個人識別情報として出力する第二カメラ42と、被認証者の表面温度を計測し第二体温情報として出力する第二温度センサ44と、被認証者を撮像した時刻を計時し第二時刻情報として出力する第二タイマ46と、画像情報、第二体温情報及び第二時刻情報を第二撮像情報として認証装置20に送信する第二送受信ユニット48と、を有し、第二カメラ42、第二温度センサ44及び第二タイマ46と第二送受信ユニット48は、第二バス49を介して電気的に接続されており、第二送受信ユニット48より、第二撮像情報を認証装置20に送信する。この第二撮像手段40としては、例えば、通信機能を有する公知のデジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の公知の撮影手段やカメラ付きスマートフォンやカメラ付きパソコン等の公知の情報端末を用いることができる。
【0025】
第二カメラ42は、公知のデジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の公知の撮像手段を用いることができる。
【0026】
第二温度センサ44は、本発明の検温手段に相当し、公知の赤外線センサや温度センサ等の温度検知手段を用いることができる。この第二温度センサ44を備えることで、被認証者の認証と同時に被認証者の体温を計測することができるため、被認証者の体調に関する情報を得ることができる。
【0027】
第二タイマ46は、本発明の計時手段に相当し、公知の時計を用いることができる。この第二タイマ46を設けることで、被認証者が第二撮像手段40の前に存在していた時刻を計測することができるため、被認証者が、いつ第二撮像手段40の前に存在していたかを示す情報を得ることができる。
【0028】
認証装置20は、各種情報を記憶する記憶手段50と、各種情報に基づいて被認証者を認証する制御手段60と、が互いに電気的に接続された公知の計算機(コンピュータ)である。
【0029】
記憶手段50は、本発明の記憶手段に相当しする公知のハードディスクドライブである。この記憶手段50は、
図3に示すように、生体識別情報、個別識別情報、第一時刻情報、第一温度情報、第二時刻情報及び第二温度情報を関連付けて記憶する情報テーブル52を有し、それぞれのカラム領域にこれらの情報を記憶する。こうすることにより、個人識別情報に関連付けて各種情報を記憶することができる。
【0030】
制御手段60は、
図2に示すように、CPU61を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、記憶手段50を制御する各種制御プログラム等が記憶されたROM62と、第一撮像情報及び第二撮像情報等の各種情報を一時的に記憶するRAM63と、各種信号の送受信を行う送受信ユニット64がそれぞれバス65を介して電気的に接続されている。この制御手段60は、本発明の比較手段に相当し、第二撮像手段40から送信された第二撮像情報に含まれる個人識別情報が、記憶手段50に記憶されているか否かを判別する。こうすることにより、第二撮像手段40が撮像した被認証者が記憶手段50に記憶された個人識別情報に該当する人物であるか否かを判別するとともに、被認証者の体温や認証時刻に関する情報を得ることができる。
【0031】
次に、被認証者を認証する際に実行される動作について、制御手段60で実行される認証処理ルーチンを一例に説明する。この認証処理ルーチンは、第二撮像手段40によって送信された第二撮像情報を制御手段60が受信した際に繰り返し実行される。なお、ここで、
図4は、認証処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0032】
被認証者が第二撮像手段40に近づくと、第二撮像手段40に設けられた図示しない人感センサにより、第二カメラ42及び第二温度センサ44が起動し、被認証者の個人識別情報を含む領域を撮影し、第二タイマ46が計時した第二時刻情報と第二温度センサ44が計測した第二体温情報を含む第二撮像情報が認証装置20に送信される。この第二撮像情報を制御手段60が受信すると、CPU61は第二撮像情報をRAM63に一時的に記憶する(ステップS110)。次に、CPU61は、記憶手段50に記憶された個人識別情報と、RAM63に一時的に記憶された個人識別情報とを比較し(ステップS120)、記憶手段50に記憶された個人識別情報とRAM63に記憶された個人識別情報とが一致した場合には、記憶手段50に個人識別情報と関連付けて時刻情報及び体温情報を記憶し(ステップ130)、本ルーチンを終了する。具体的には、
図3に示すように、情報テーブル52の所定のカラム領域にそれぞれ第二時刻情報及び第二体温情報を所定の領域に記憶することで、個別識別情報とこれらの情報を対応付けて記憶する。こうすることにより、例えば、マスク等で顔を覆わなければならない場所に第二撮像手段40が設置されている場合であっても、認証することができる。
【0033】
一方、ステップS120において、記憶手段50に記憶された個人識別情報とRAM63に記憶された個人識別情報とが一致しないとCPU61が判定した場合には、エラーを報知し(ステップS140)、本ルーチンを終了する。こうすることにより、予め記憶されていない者であることを報知することができる。
【0034】
以上詳述した実施の形態の認証システム10によれば、ステップS120において、第二撮像手段40でから送信された第二撮像情報に含まれる個人識別情報と記憶手段50に記憶された個人識別情報とを比較することにより、第二撮像手段が被認証者を撮像する際に生体識別情報が得られない場合であっても、個別識別情報により認証することができる。
【0035】
また、第二撮像情報には、第二時刻情報及び第二体温情報が含まれているため、第二時刻情報及び第二体温情報を記憶手段50に個人識別情報と対応付けて記憶することにより、被認証者の認証時刻や被認証者の体温に関する情報を関連付けて記憶することができる。
【0036】
更に、第二撮像手段40は複数設けられているため、複数箇所で被認証者を認証することができる。特に、第二撮像手段40が第二タイマ46を有しているため、それぞれの第二撮像手段40で被認証者が認証された時刻に関する情報を比較することにより、被認証者の移動状態を推定することができる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
例えば、上述した実施の形態では、生体識別情報、個別識別情報、第一時刻情報及び第一温度情報は予め記憶手段50に記憶されているものとしたが、第一撮像手段30から送信された第一撮像情報を受信した際、記憶手段50に記憶してもよい。この場合であっても、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、個別識別情報から被認証者を特定し、被認証者を認証することができるという上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【0039】
この場合において、例えば、第一撮像手段30を建物の出入り口に設置し、第二撮像手段40を建物の各部屋の出入り口に設置した場合、建物に入る際に第一撮像手段30で被認証者を登録し、建物の各部屋の出入り口に設けられた第二撮像手段40で認証することにより、建物の各部屋の出入りを認証することができる。
【0040】
上述した実施の形態では、記憶手段50は、生体識別情報、個別識別情報、第一時刻情報、第一温度情報、第二時刻情報及び第二温度情報を情報テーブル52で関連付けて記憶されるものとしたが、情報テーブル52に記憶された情報を所定のタイミングで消去してもよいし、所定のタイミングで他の記憶領域に複製した後に消去するものであってもよい。例えば、1日に1回、予め定めた時刻に情報テーブル52に記憶された情報を他の記憶領域に記憶し、情報テーブル52に記憶された情報を消去してもよい。こうすることにより、被認証者が日によって異なる個別識別情報を身に着けている場合であっても、前日の個別識別情報に影響されること無く、被認証者を認証することができる。
【0041】
上述した実施の形態では、第一撮像手段30は、第一温度センサ34と、第一タイマ36と、を備えるものとしたが、第一温度センサ34又は第一温度センサ34の少なくとも一方はなくともよい。この場合であっても、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、個別識別情報から被認証者を特定し、被認証者を認証することができるという上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【0042】
上述した実施の形態では、第二撮像手段40は、第二温度センサ44と、第二タイマ46と、を備えるものとしたが、第二温度センサ44又は第二タイマ46の少なくとも一方はなくともよい。この場合であっても、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、個別識別情報から被認証者を特定し、被認証者を認証することができるという上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【0043】
上述した実施の形態では、記憶手段50はハードディスクドライブであるものとしたが、情報を記憶可能なものであればこれに限定されるものではなく、例えば、磁気ディスクやフラッシュメモリ等を利用した記憶手段であってもよい。この場合であっても、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、個別識別情報から被認証者を特定し、被認証者を認証することができるという上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【0044】
上述した認証装置20は、各種情報を記憶する記憶手段50を備えるものとしたが、記憶手段50は、制御手段60と電気的に接続されていればよく、例えば、電気通信ネットワーク12を介して認証装置20と接続されていてもよい。この場合であっても、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、個別識別情報から被認証者を特定し、被認証者を認証することができるという上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【0045】
上述した実施の形態では、認証装置20は記憶手段50を備えた公知の計算機であるものとしたが、演算機能を有するものであればこれに限定されるものではなく、例えば、マイクロプロセッサや集積回路等であってもよい。この場合であっても、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、個別識別情報から被認証者を特定し、被認証者を認証することができるという上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【0046】
上述した実施の形態では、ステップS130において、第二撮像情報を情報テーブル52の所定の領域に記憶するものとしたが、記憶方法はこれに限定されるものではなく、公知の種々の方法で記憶することができる。また、ステップS130の後に、画像又は音声で認証が成功した旨を報知する報知手段を設け、認証結果を記憶手段50に記憶しなくともよい。いずれの場合も、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、個別識別情報から被認証者を特定し、被認証者を認証することができるという上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【0047】
上述した実施の形態では、ステップS130において、情報テーブル52の所定の領域に温度情報及び時刻情報を記憶するものとしたが、温度情報又は時刻情報の少なくとも一方を記憶しなくともよい。このような場合も、撮像手段が撮像した被認証者の生体識別情報を得られない場合であっても、個別識別情報から被認証者を特定し、被認証者を認証することができるという上述した実施の形態の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述した実施の形態で示すように、認証分野、特に認証装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10…認証システム、12…電気通信ネットワーク、20…認証装置、30…第一撮像手段、32…第一カメラ、34…第一温度センサ、36…第一タイマ、38…第一送受信ユニット、39…第一バス、40…第二撮像手段、42…第二カメラ、44…第二温度センサ、46…第二タイマ、48…第二送受信ユニット、49…第二バス、50…記憶手段、52…情報テーブル、60…制御手段、61…CPU、62…ROM、63…RAM、64…インタフェース、65…バス。