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特開2024-44172ヘッドレストステー及びその抜け止め構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044172
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ヘッドレストステー及びその抜け止め構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/815 20180101AFI20240326BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20240326BHJP
   B60N 2/897 20180101ALI20240326BHJP
【FI】
B60N2/815
A47C7/38
B60N2/897
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149554
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 粋仁
(72)【発明者】
【氏名】中村 奨梧
(72)【発明者】
【氏名】澤田 達也
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅史
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084DB05
3B084DC02
3B084DD07
3B087DC06
(57)【要約】
【課題】ヘッドレストステーが高速で上方側へ移動しようとする場合にヘッドレストステーがヘッドレストサポートから抜けてしまうのを簡素な構成で防止することが可能なヘッドレストステー及びその抜け止め構造を得る。
【解決手段】ヘッドレストステー40の軸状の脚部42には、脚部42の中心側に凹む抜け防止用溝部46が形成され、抜け防止用溝部46にロック部24Aが入り込み可能となっている。ここで、抜け防止用溝部46は、上端側に下向きの第一平面部46Aを備えると共に下端側に上向きの第二平面部46Bを備えており、第二平面部46Bは、第一平面部46Aとの対向部を含んで構成され、脚部42の軸方向に沿った縦断面視で第一平面部46Aよりも脚部42の外周側に位置する部分を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成されてロック部が筒内方側に付勢されつつ筒内周面から出没可能に設けられたヘッドレストサポートに対して、上方側から差し込まれて装着されるヘッドレストステーであって、
前記ヘッドレストサポートに差し込まれる軸状の脚部には、前記脚部の中心側に凹んで前記ロック部が入り込み可能とされた抜け防止用溝部が形成され、
前記抜け防止用溝部は、
前記脚部の軸方向と直交する方向に沿った平面で下側を向く第一平面部と、
前記脚部の軸方向と直交する方向に沿った平面で上側を向くと共に前記第一平面部との対向部を含んで構成され、前記脚部の軸方向に沿った縦断面視で前記第一平面部よりも前記脚部の外周側に位置する部分を有する第二平面部と、
を備えるヘッドレストステー。
【請求項2】
前記脚部には、前記抜け防止用溝部の上側に隣接して設けられてその上端から下方側へ向けて前記脚部の中心側に傾斜して前記第一平面部の外周側の端縁に接続された上側傾斜面部が形成されている、請求項1に記載のヘッドレストステー。
【請求項3】
前記第二平面部の外周側の端縁から前記脚部の軸方向と平行に上方側へ引いた仮想直線が前記上側傾斜面部のうちの上端縁以外の部分と交わるように設定されている、請求項2に記載のヘッドレストステー。
【請求項4】
前記脚部には、前記抜け防止用溝部の下側に隣接して設けられてその下端から上方側へ向けて前記脚部の中心側に傾斜して前記第二平面部の外周側の端縁に接続された下側傾斜面部が形成されている、請求項1に記載のヘッドレストステー。
【請求項5】
前記脚部には、前記脚部の中心側に凹んで前記ロック部が入り込み可能とされた複数の高さ調整用凹部が前記脚部の軸方向に沿って直列的に並ぶように形成され、
前記抜け防止用溝部は、前記複数の高さ調整用凹部と直列的に並ぶ位置に形成されている、請求項1に記載のヘッドレストステー。
【請求項6】
前記脚部には、前記脚部の中心側に凹んでヘッドレストステーの高さ調整時の係止用とされる複数の高さ調整用凹部が前記脚部の軸方向に沿って直列的に並ぶように形成され、
前記抜け防止用溝部は、前記複数の高さ調整用凹部のうちの最下段の高さ調整用凹部よりも前記脚部の軸方向の下方側に又は前記脚部の軸方向において最下段の高さ調整用凹部と同じ高さ位置に設定されている、請求項1に記載のヘッドレストステー。
【請求項7】
前記抜け防止用溝部は、前記第一平面部と前記第二平面部との互いの対向部分における溝深さ方向の長さが0.3mm以上確保されるように形成されている、請求項1に記載のヘッドレストステー。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のヘッドレストステーと、
筒状に形成されて上方側から前記ヘッドレストステーが差し込まれて装着されるヘッドレストサポートと、
前記ヘッドレストサポートに設けられ、前記ヘッドレストサポートの筒内方側に付勢されつつ前記ヘッドレストサポートの筒内周面から出没可能なロック部と、
を備え、
前記第一平面部と前記第二平面部との対向間隔が、前記第一平面部と前記第二平面部との対向方向における前記ロック部の厚みに対して1.4~2.0倍に設定されている、ヘッドレストステーの抜け止め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレストステー及びその抜け止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シートバックの上端部側に設置されたヘッドレストサポートに対してヘッドレストステーが上下移動可能に差し込まれた構成が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。このような構成を備えた先行技術では、ヘッドレストステーの抜け止めのために、例えば、ヘッドレストステーの脚部には脚部中心側に凹んだノッチ(抜け防止用溝部)が形成され、ヘッドレストサポートにはスプリングの付勢力によってノッチに入り込むロック部が設けられる、という構成が採られる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5612989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような構成では、ノッチの形状や寸法の設定等によっては、前面衝突時等にヘッドレストステーが高速で移動しようとする場合にヘッドレストステーがヘッドレストサポートから抜けてしまう可能性があるので、この点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、ヘッドレストステーが高速で上方側へ移動しようとする場合にヘッドレストステーがヘッドレストサポートから抜けてしまうのを簡素な構成で防止することが可能なヘッドレストステー及びその抜け止め構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明のヘッドレストステーは、筒状に形成されてロック部が筒内方側に付勢されつつ筒内周面から出没可能に設けられたヘッドレストサポートに対して、上方側から差し込まれて装着されるヘッドレストステーであって、前記ヘッドレストサポートに差し込まれる軸状の脚部には、前記脚部の中心側に凹んで前記ロック部が入り込み可能とされた抜け防止用溝部が形成され、前記抜け防止用溝部は、前記脚部の軸方向と直交する方向に沿った平面で下側を向く第一平面部と、前記脚部の軸方向と直交する方向に沿った平面で上側を向くと共に前記第一平面部との対向部を含んで構成され、前記脚部の軸方向に沿った縦断面視で前記第一平面部よりも前記脚部の外周側に位置する部分を有する第二平面部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、ヘッドレストステーにおいてヘッドレストサポートに差し込まれる軸状の脚部には、脚部の中心側に凹む抜け防止用溝部が形成され、この抜け防止用溝部にロック部が入り込み可能となっている。抜け防止用溝部は、第一平面部と第二平面部とを備えており、第一平面部は、脚部の軸方向と直交する方向に沿った平面で下側を向き、第二平面部は、脚部の軸方向と直交する方向に沿った平面で上側を向く。ここで、第二平面部は、第一平面部との対向部を含んで構成され、脚部の軸方向に沿った縦断面視で第一平面部よりも脚部の外周側に位置する部分を有する。このため、例えば前面衝突時にヘッドレストステーが高速で上方側へ移動しようとする場合に、ロック部が抜け防止用溝部の第一平面部と第二平面部との対向空間内にまで入ることができなくても、ロック部の先端部を第二平面部に当てることが可能になる。第二平面部にロック部の先端部が当たると、ヘッドレストステーの変位が規制されるので、ロック部を抜け防止用溝部の第一平面部と第二平面部との対向空間内に入り込ませることが可能になる。その結果として、簡素な構成でありながらヘッドレストステーがヘッドレストサポートから抜けてしまうのを防止することが可能になる。
【0008】
請求項2に記載する本発明のヘッドレストステーは、請求項1に記載の構成において、前記脚部には、前記抜け防止用溝部の上側に隣接して設けられてその上端から下方側へ向けて前記脚部の中心側に傾斜して前記第一平面部の外周側の端縁に接続された上側傾斜面部が形成されている。
【0009】
上記構成によれば、脚部に形成された上側傾斜面部は、抜け防止用溝部の上側に隣接して設けられてその上端から下方側へ向けて脚部の中心側に傾斜して第一平面部の外周側の端縁に接続されている。このため、ヘッドレストステーが高速で上方側へ移動しようとする場合に、ロック部を上側傾斜面部によって抜け防止用溝部の第一平面部と第二平面部との対向空間内に入り易くなるように案内することができる。
【0010】
請求項3に記載する本発明のヘッドレストステーは、請求項2に記載の構成において、前記第二平面部の外周側の端縁から前記脚部の軸方向と平行に上方側へ引いた仮想直線が前記上側傾斜面部のうちの上端縁以外の部分と交わるように設定されている。
【0011】
上記構成によれば、例えば第二平面部の外周側の端縁の下方側に隣接する部分にプレス加工に起因したダレが生じても成り立つ構成となっているので、容易に製造することができる。
【0012】
請求項4に記載する本発明のヘッドレストステーは、請求項1に記載の構成において、前記脚部には、前記抜け防止用溝部の下側に隣接して設けられてその下端から上方側へ向けて前記脚部の中心側に傾斜して前記第二平面部の外周側の端縁に接続された下側傾斜面部が形成されている。
【0013】
上記構成によれば、脚部に形成された下側傾斜面部は、抜け防止用溝部の下側に隣接して設けられてその下端から上方側へ向けて脚部の中心側に傾斜して前記第二平面部の外周側の端縁に接続されている。すなわち、第二平面部の外周側の端縁の下方側に隣接する部分にプレス加工に起因したダレが生じてよい構成となっている。このため、プレス加工で容易に製造することができる。
【0014】
請求項5に記載する本発明のヘッドレストステーは、請求項1に記載の構成において、前記脚部には、前記脚部の中心側に凹んで前記ロック部が入り込み可能とされた複数の高さ調整用凹部が前記脚部の軸方向に沿って直列的に並ぶように形成され、前記抜け防止用溝部は、前記複数の高さ調整用凹部と直列的に並ぶ位置に形成されている。
【0015】
上記構成によれば、脚部には、脚部の中心側に凹む複数の高さ調整用凹部が脚部の軸方向に沿って直列的に並ぶように形成されており、高さ調整用凹部には、ロック部が入り込み可能となっている。ここで、抜け防止用溝部は、複数の高さ調整用凹部と直列的に並ぶ位置に形成されている。このため、高さ調整用凹部及び抜け防止用溝部にそれぞれ入り込む手段としてロック部を兼用することができ、構成を簡素化することができる。
【0016】
請求項6に記載する本発明のヘッドレストステーは、請求項1に記載の構成において、前記脚部には、前記脚部の中心側に凹んでヘッドレストステーの高さ調整時の係止用とされる複数の高さ調整用凹部が前記脚部の軸方向に沿って直列的に並ぶように形成され、前記抜け防止用溝部は、前記複数の高さ調整用凹部のうちの最下段の高さ調整用凹部よりも前記脚部の軸方向の下方側に又は前記脚部の軸方向において最下段の高さ調整用凹部と同じ高さ位置に設定されている。
【0017】
上記構成によれば、高さ調整用凹部を用いて容易にヘッドレストステーの高さ調整が可能でかつヘッドレストステーが高速で上方側へ移動しようとする場合には、抜け防止用溝部を用いてヘッドレストステーがヘッドレストサポートから抜けるのを防ぐことができる。
【0018】
請求項7に記載する本発明のヘッドレストステーは、請求項1に記載の構成において、前記抜け防止用溝部は、前記第一平面部と前記第二平面部との互いの対向部分における溝深さ方向の長さが0.3mm以上確保されるように形成されている。
【0019】
上記構成によれば、ロック部が抜け防止用溝部の第一平面部と第二平面部との対向空間内に入り込んだ場合にロック部の抜けを良好に防ぐことができる。
【0020】
請求項8に記載する本発明のヘッドレストステーの抜け止め構造は、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のヘッドレストステーと、筒状に形成されて上方側から前記ヘッドレストステーが差し込まれて装着されるヘッドレストサポートと、前記ヘッドレストサポートに設けられ、前記ヘッドレストサポートの筒内方側に付勢されつつ前記ヘッドレストサポートの筒内周面から出没可能なロック部と、を備え、前記第一平面部と前記第二平面部との対向間隔が、前記第一平面部と前記第二平面部との対向方向における前記ロック部の厚みに対して1.4~2.0倍に設定されている。
【0021】
上記構成によれば、第一平面部と第二平面部との対向間隔が、第一平面部と第二平面部との対向方向におけるロック部の厚みに対して1.4倍以上に設定されているので、ヘッドレストステーが高速で上方側へ移動しようとする場合に抜け防止用溝部の第一平面部と第二平面部との対向空間内にロック部を入れるための設定が容易になる。また、第一平面部と第二平面部との対向間隔が、第一平面部と第二平面部との対向方向におけるロック部の厚みに対して2.0倍以下に設定されているので、抜け防止用溝部の第一平面部と第二平面部との対向空間内に入り込んだロック部のがたつきを小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、ヘッドレストステーが高速で上方側へ移動しようとする場合にヘッドレストステーがヘッドレストサポートから抜けてしまうのを簡素な構成で防止することが可能になるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドレストステー及びその抜け止め構造が適用されて構成された車両用シートの一部を示す斜視図である。
図2図1のヘッドレストサポートにヘッドレストステーが差し込まれた状態を示す縦断面図である。
図3図1のヘッドレストステーの全体構成を示す斜視図である。
図4図2のヘッドレストステーの抜け防止用溝部及びその周囲部を拡大して脚部前方側から見た状態で示す図である。
図5図2のロック用部材、ロックプレート及びリターンスプリングを備えたユニットの全体構成を示す斜視図である。
図6A図4の抜け防止用溝部を形成するための加工駒等を示す断面図である。
図6B】従来技術の抜け防止用溝部を形成するための加工駒等を示す断面図である。
図7図2のヘッドレストステー及びその抜け止め構造の作用を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係るヘッドレストステー40及びその抜け止め構造について図1図7を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRはシート前方側を示しており、矢印UPはシート上方側を示しており、矢印Wはシート幅方向(シート左右方向)を示している。また、各図中においては、図面を見易くする関係から一部の符号を省略している場合がある。
【0025】
(構成)
図1には、本実施形態に係るヘッドレストステー40及びその抜け止め構造が適用されて構成された車両用シート10の一部が斜視図で示されている。車両用シート10は、着座乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション(図示省略)と、着座乗員の背部を支持するシートバック12と、着座乗員の頭部を支持するヘッドレスト30と、を備えている。ちなみに前面衝突を模擬したスレッド試験の際にはダミー人形(HYBRIDIIIのAM50)が車両用シート10に着座することになる。なお、図1では、便宜上、シートバック12については、その外形を二点鎖線で示すと共に、骨格部材であるバックフレーム14を図示し、バックフレーム14に被せ付けられるバックパッド(クッション材)の図示を省略している。シートバック12の表面はトリムカバー18で構成されている。
【0026】
シートバック12のバックフレーム14は、シートバック高さ方向に延びる左右一対のサイドフレーム(図示省略)と、当該左右一対のサイドフレームの上端部を連結する長尺パイプ状のアッパフレーム16と、を備えている。アッパフレーム16は、例えば金属製のパイプ材が曲げ加工されることにより、シート正面視で横長の略逆U字形状に形成されている。アッパフレーム16は、シート幅方向に延在する幅方向延在部16Aと、幅方向延在部の両端部から曲げられて下方側に延出された左右一対のサイド部16Bと、を備えている。
【0027】
アッパフレーム16の幅方向延在部16Aの右側の一部及び左側の一部には、潰し加工が施された潰し部16Xが形成されている。潰し部16Xは、シート前後方向に潰された形状となっている。左右一対の潰し部16Xの前側部分には、ヘッドレスト30を連結するための左右一対の筒状のホルダ17が溶接によって固定されている。ホルダ17の筒内には、ヘッドレストサポート(「ヘッドレストブッシュ」又は「ブッシュ」ともいう。)20が挿入されている。ヘッドレストサポート20は、樹脂製とされて筒状に形成されている。ヘッドレストサポート20の上端部には、半径方向外側に拡径された頭部20Aが形成されている。頭部20Aは、シートバック12の上端部において露出されている。
【0028】
一方、ヘッドレスト30は、骨格部材であるヘッドレストステー40の上部に、クッション材であるヘッドレストパッド(図示省略)が被せ付けられると共に、当該ヘッドレストパッドの表面が表皮材であるトリムカバー32によって覆われた構成になっている。ヘッドレストパッド(図示省略)がトリムカバー32によって覆われた部分は、ヘッドレスト本体30Aを構成している。なお、本実施形態では一例としてヘッドレストステー40の上部のうち上端部側の部分には、その前側を覆うように、ヘッドレスト本体30Aの内部を構成する内部構成部材34が取り付けられている。
【0029】
ヘッドレストステー40は、例えば金属製のパイプ材が曲げ加工されることにより、略逆U字状に形成されており(図3参照)、ヘッドレスト本体30Aの内部から下方へ延出される軸状の脚部42を備えている。ヘッドレストステー40の左右一対の脚部42は、左右一対のヘッドレストサポート20に対して、上方側から差し込まれて装着されるようになっており、左右一対のヘッドレストサポート20及び左右一対のホルダ17を介してバックフレーム14の上端部に連結されている。なお、図中では、一対の脚部42のうち一方の脚部には、符号42の後に括弧書きで符号42Lを付し、他方の脚部には、符号42の後に括弧書きで符号42Rを付す。
【0030】
図2には、ヘッドレストサポート20にヘッドレストステー40の脚部42が差し込まれた状態の縦断面図が示されている。なお、図2では、ヘッドレストステー40の脚部42の中心軸を一点鎖線CLで示している。図2に示されるように、ヘッドレストサポート20の頭部20Aには、ロック用部材22が配置されている。図5に示されるように、ロック用部材22は、全体として略プレート状とされ、プッシュ用ノブ22Aを備えている。図2に示されるように、プッシュ用ノブ22Aは、ヘッドレストサポート20の頭部20Aの一部(図中ではヘッドレストステー40の脚部42よりも右側の部分)から露出するように配置される。
【0031】
図5に示されるように、ロック用部材22には、ヘッドレストステー40の脚部42(いずれも図3参照)が貫通する貫通孔22Hが形成されている。また、ロック用部材22には、プッシュ用ノブ22Aとは反対側における下部にロックプレート24が固定されている。ロックプレート24は、金属製とされ、略矩形状でロック用部材22よりも厚みが薄いプレート状に形成されている。ロックプレート24の一部は、貫通孔22H内に配置されたロック部24Aとなっている。さらに、ロック用部材22においてプッシュ用ノブ22Aとは反対側からは棒軸状の突出部22Bが突出形成されている。この突出部22Bの外周側には、圧縮コイルバネであるリターンスプリング(広義には「付勢部材」として把握できる要素)26が巻かれるように配置されている。リターンスプリング26の伸縮方向の長さは、突出部22Bの突出方向の長さよりも長く設定されている。
【0032】
図2に示されるように、突出部22B及びリターンスプリング26は、ヘッドレストサポート20の頭部20A内に収容されている。なお、図2では、図を見易くするために、リターンスプリング26を簡略化しており、リターンスプリング26の巻き数を図5に示されるリターンスプリング26の巻き数よりも少なく図示している。
【0033】
以上説明した構成により、図2に示されるプッシュ用ノブ22Aは、リターンスプリング26の付勢力に抗してヘッドレストサポート20の軸心側へ向かう方向にプッシュ操作可能とされている。また、ロック部24Aは、ヘッドレストサポート20に設けられ、リターンスプリング26の付勢力によってヘッドレストサポート20の筒内方側に付勢されつつヘッドレストサポート20の筒内周面から出没可能に設けられている。
【0034】
図3に示されるように、ヘッドレストステー40の一対の脚部42のうち一方の脚部42Lには、脚部42の中心側に凹んだ複数の(一例として二個の)高さ調整用凹部44が脚部42の軸方向に沿って直列的に並ぶように形成されている。高さ調整用凹部44は、ヘッドレストステー40の高さ調整時の係止用とされ、一方の脚部42Lのシート幅方向内側の部位に形成されている。すなわち、図2に示されるように、高さ調整用凹部44には、ロックプレート24のロック部24Aが入り込み可能とされている。
【0035】
高さ調整用凹部44は、上端側に脚部42の軸方向と直交する方向に沿った平面で下側を向く被係止面44Aを備えている。被係止面44Aは、ヘッドレストステー40の高さ調整時にロックプレート24のロック部24Aに係止されて下方側から支持される面である。また、高さ調整用凹部44は、被係止面44Aに連続して垂下される垂下面44Bと、垂下面44Bの下方側に連続して下方側へ向けて脚部42の中心側とは反対側に傾斜した傾斜面44Cと、を備えている。傾斜面44Cは、被係止面44Aがロックプレート24のロック部24Aに係止された状態からヘッドレストステー40が引き上げられる場合にロック解除を不要とするのに寄与する構成部である。なお、ロック部24Aに作用させるリターンスプリング26による付勢力は、一例として、ロック部24Aが高さ調整用凹部44内のロック位置に配置された場合のロック性能及びヘッドレストステー40を高さ調整のために上下方向に移動させる場合の操作性能の両者を考慮して採用される標準的な値に設定されている。
【0036】
図3に示されるように、ヘッドレストステー40の一対の脚部42のうち一方の脚部42Lには、脚部42の中心側に凹んだ抜け防止用溝部46が形成されている。抜け防止用溝部46は、ノッチないしは切り欠きとして認識され得る。抜け防止用溝部46は、複数の高さ調整用凹部44と直列的に並ぶ位置に形成され、複数の高さ調整用凹部44のうちの最下段の高さ調整用凹部(図中では符号44の後に括弧書きで符号44Xを付す)よりも脚部42の軸方向の下方側に設定されている。抜け防止用溝部46には、図2に示されるロックプレート24のロック部24Aが入り込み可能とされている。すなわち、ロック用部材22、ロックプレート24、リターンスプリング26及び抜け防止用溝部46は、前面衝突時等にヘッドレスト30(図1参照)が脱落するのを防止するための構造部を構成している。
【0037】
図2に示されるように、抜け防止用溝部46は、脚部42の軸方向と直交する方向に沿った平面で下側を向く第一平面部46Aと、脚部42の軸方向と直交する方向に沿った平面で上側を向く第二平面部46Bと、を備えている。第二平面部46Bは、第一平面部46Aとの対向部を含んで構成され、脚部42の軸方向に沿った縦断面視で第一平面部46Aよりも脚部42の外周側に位置する部分を有する。
【0038】
図4には、ヘッドレストステー40の抜け防止用溝部46及びその周囲部を脚部42の前方側から見た状態の拡大図が示されている。図4に示されるように、第一平面部46Aにおける脚部42の中心側の端と、第二平面部46Bにおける脚部42の中心側の端とは、溝底部46Cによって繋がれている。すなわち、第一平面部46Aと第二平面部46Bと溝底部46Cとで抜け防止用溝部46が形成されている。溝底部46Cは、一例として、抜け防止用溝部46の延在方向から見て(図4の方向視で)第一平面部46A及び第二平面部46Bと直交する方向に沿って形成されている。
【0039】
また、抜け防止用溝部46は、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの互いの対向部分における溝深さ方向の長さXが0.3mm以上確保されるように形成されている。また、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向間隔Yは、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向方向におけるロック部24A(図2参照)の厚みに対して、1.4~2.0倍に設定されていることが好ましく、本実施形態もこの範囲内に設定されている。
【0040】
さらに、一方の脚部42(42L)には、抜け防止用溝部46の上側に隣接して設けられた上側傾斜面部48が形成されている。上側傾斜面部48は、その上端から下方側へ向けて脚部42(42L)の中心側に傾斜して第一平面部46Aの外周側の端縁46A1に接続されている。そして、第二平面部46Bの外周側の端縁46B1から脚部42の軸方向と平行に上方側へ引いた仮想直線Lが上側傾斜面部48のうちの上端縁48A以外の部分と交わるように設定されている。また、一方の脚部42(42L)には、抜け防止用溝部46の下側に隣接して設けられた下側傾斜面部49が形成されている。下側傾斜面部49は、その下端から上方側へ向けて脚部42(42L)の中心側に傾斜して第二平面部46Bの外周側の端縁46B1に接続されている。
【0041】
図4に示される構成について更に説明すると、一方の脚部42(42L)の一般部の外周面におけるシート幅方向内側端と、第一平面部46Aの外周側の端縁46A1との落差をD1とし、一方の脚部42(42L)の一般部の外周面におけるシート幅方向内側端と、第二平面部46Bの外周側の端縁46B1との落差をD2とすると、D1>D2となっている。
【0042】
ここで、抜け防止用溝部46を図4に示す形状に形成するための加工駒について簡単に説明する。図6Bには、従来技術の抜け防止用溝部100とそれを形成するための加工駒110が断面図で示されている。また、図6Aには、本実施形態の抜け防止用溝部46とそれを形成するための加工駒50が示されている。なお、図6A図6Bにおける白抜き矢印は、加工駒50、110によるプレス加工時のプレス方向を示す。
【0043】
図6Bに示されるように、従来は抜け防止用溝部100に対応する加工駒110を用いてプレス加工を行っていた。これに対して、本実施形態では、図6Aに示されるように、抜け防止用溝部46及び上側傾斜面部48に対応する形状の加工駒50を用いてプレス加工を行う。これにより、第二平面部46Bの一部が脚部42の軸方向に沿った縦断面視で第一平面部46Aよりも脚部42の外周側に位置する、という形状にすることができる。
【0044】
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について、図7に示される模式図を適宜参照しながら説明する。
【0045】
本実施形態では、図2に示されるヘッドレストステー40の軸状の脚部42には、脚部42の中心側に凹む抜け防止用溝部46が形成され、抜け防止用溝部46にロックプレート24のロック部24Aが入り込み可能となっている。ここで、抜け防止用溝部46は、上端側に下向きの第一平面部46Aを備えると共に下端側に上向きの第二平面部46Bを備えており、第二平面部46Bは、第一平面部46Aとの対向部を含んで構成され、脚部42の軸方向に沿った縦断面視で第一平面部46Aよりも脚部42の外周側に位置する部分を有する。
【0046】
このため、例えば前面衝突時に図7に示されるヘッドレストステー40が高速で上方側(矢印A方向参照)へ移動しようとしてロックプレート24がヘッドレストステー40の脚部42に対して下方側に相対的移動する場合(矢印a,b,c,d参照)、ロックプレート24のロック部24Aが抜け防止用溝部46の第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向空間内にまで入ることができなくても、ロック部24Aの先端部を第二平面部46Bに当てることが可能になる。そして、第二平面部46Bにロック部24Aの先端部が当たると、ヘッドレストステー40の変位が規制されるので、ロック部24Aを抜け防止用溝部46の第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向空間内に入り込ませることが可能になる。その結果として、簡素な構成でありながらヘッドレストステー40がヘッドレストサポート20(図2参照)から抜けてしまうのを防止することが可能になる。
【0047】
また、本実施形態でおいて、脚部42に形成された上側傾斜面部48は、抜け防止用溝部46の上側に隣接して設けられてその上端から下方側へ向けて脚部42の中心側に傾斜して第一平面部46Aの外周側の端縁46A1に接続されている。このため、ヘッドレストステー40が高速で上方側(矢印A方向参照)へ移動しようとする場合に、ロック部24Aを上側傾斜面部48によって抜け防止用溝部46の第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向空間内に入り易くなるように案内することができる。
【0048】
また、本実施形態では、図4に示されるように、第二平面部46Bの外周側の端縁46B1から脚部42の軸方向と平行に上方側へ引いた仮想直線Lが上側傾斜面部48のうちの上端縁48A以外の部分と交わるように設定されている。このため、第二平面部46Bの外周側の端縁46B1の下方側に隣接する部分にプレス加工に起因したダレが生じても成り立つ構成となっているので、容易に製造することができる。
【0049】
さらに説明すると、本実施形態において、脚部42に形成された下側傾斜面部49は、抜け防止用溝部46の下側に隣接して設けられてその下端から上方側へ向けて脚部42の中心側に傾斜して第二平面部46Bの外周側の端縁46B1に接続されている。すなわち、第二平面部46Bの外周側の端縁46B1の下方側に隣接する部分にプレス加工に起因したダレが生じてよい構成となっている。このため、プレス加工で容易に製造することができる。
【0050】
また、図3に示されるように、脚部42には、脚部42の中心側に凹む複数の高さ調整用凹部44が脚部42の軸方向に沿って直列的に並ぶように形成されており、図2に示されるように高さ調整用凹部44には、ロックプレート24のロック部24Aが入り込み可能となっている。ここで、抜け防止用溝部46は、複数の高さ調整用凹部44と直列的に並ぶ位置に形成されている。このため、高さ調整用凹部44及び抜け防止用溝部46にそれぞれ入り込む手段としてロック部24Aを兼用することができ、構成を簡素化することができる。
【0051】
また、図3に示されるように、抜け防止用溝部46は、複数の高さ調整用凹部44のうちの最下段の高さ調整用凹部44Xよりも脚部42の軸方向の下方側に設定されている。このため、高さ調整用凹部44を用いて容易にヘッドレストステー40の高さ調整が可能でありかつヘッドレストステー40が高速で上方側へ移動しようとする場合には、抜け防止用溝部46を用いてヘッドレストステー40が図2に示されるヘッドレストサポート20(図2参照)から抜けるのを防ぐことができる。
【0052】
また、図4に示される抜け防止用溝部46は、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの互いの対向部分における溝深さ方向の長さXが0.3mm以上確保されるように形成されている。このため、抜け防止用溝部46の第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向空間内に入り込んだ場合にロックプレート24のロック部24Aの抜けを良好に防ぐことができる。
【0053】
また、本実施形態では、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向間隔Yは、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向方向におけるロック部24A(図2参照)の厚みに対して、1.4~2.0倍に設定されている。ここで、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向間隔Yがロック部24A(図2参照)の厚みに対して1.4倍以上に設定されているので、ヘッドレストステー40が高速で上方側へ移動しようとする場合に抜け防止用溝部46の第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向空間内にロックプレート24のロック部24A(いずれも図2参照)を入れるための設定が容易になる。また、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向間隔Yがロック部24A(図2参照)の厚みに対して2.0倍以下に設定されているので、抜け防止用溝部46の第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向空間内に入り込んだロック部24A(図2参照)のがたつきを小さく抑えることができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、図2に示されるヘッドレストステー40が高速で上方側へ移動しようとする場合にヘッドレストステー40がヘッドレストサポート20から抜けてしまうのを簡素な構成で防止することが可能になる。また、本実施形態のような設計思想を採用することで、従来技術と比べて、ヘッドレストステー40の摺動角度(シートバック12(図1参照)の上下方向に対するヘッドレストステー40の上下移動方向の傾斜角度)、ヘッドレスト30(図1参照)の質量上限値等、ヘッドレストステー40が脱落するか否かに関わるような製品仕様の設計自由度が拡大される。
【0055】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、図3に示されるように、抜け防止用溝部46は、複数の高さ調整用凹部44と直列的に並ぶ位置に形成されているが、上記実施形態の変形例として、抜け防止用溝(46)がヘッドレストステー(40)の脚部(42)において複数の高さ調整用凹部(44)と直列的に並ぶ位置以外の位置に形成される構成も採り得る。
【0056】
例えば、ヘッドレストステー(40)の一対の脚部(42)のうちの一方の脚部(42L)においてその軸心から見て一方側に複数の高さ調整用凹部(44)が形成されて他方側に抜け防止用溝部(46)が形成される、という構成も採り得るし、ヘッドレストステー(40)の一対の脚部(42)のうち一方の脚部(42L)に複数の高さ調整用凹部(44)が形成されて他方の脚部(42R)に抜け防止用溝部(46)が形成される、という構成も採り得る。なお、それらの変形例に係るヘッドレストステーは、該変形例に係る複数の高さ調整用凹部(44)と抜け防止用溝部(46)とにそれぞれ対応するようにロック用の機構(一例としてロック用部材(22)、ロックプレート(24)及びリターンスプリング(26)を備える機構)が設けられているヘッドレストサポート(20)とセットで用いられる。
【0057】
また、上記実施形態では、抜け防止用溝部46は、複数の高さ調整用凹部44のうちの最下段の高さ調整用凹部44Xよりも脚部42の軸方向の下方側に設定されているが、上記実施形態の変形例として、抜け防止用溝部(46)が脚部(42)の軸方向において最下段の高さ調整用凹部(44X)と同じ高さ位置に設定されている、という構成も採り得る。なお、そのような変形例は、抜け防止用溝部(46)がヘッドレストステー(40)の脚部(42)において複数の高さ調整用凹部(44)と直列的に並ぶ位置以外の位置に形成される場合の変形例である。
【0058】
また、上記実施形態では、ヘッドレストステー40の一対の脚部42のうちの一方の脚部42Lに複数の高さ調整用凹部44が形成されているが、上記実施形態の変形例として、ヘッドレストステー(40)の脚部(42)に複数の高さ調整用凹部(44)が設けられず、ヘッドレストステー(40)の高さ調整時のロックが係止を用いない機構でなされる、という構成も採り得る。
【0059】
また、上記実施形態では、図4に示されるように、抜け防止用溝部46の上側に隣接して上側傾斜面部48が形成されており、そのような構成が好ましいが、上記実施形態の変形例として、例えば、ヘッドレストステー(40)の一方の脚部(42L)において抜け防止用溝部(46)の上端位置と同じ上下方向位置の部分の外径よりも抜け防止用溝部(46)の下端位置と同じ上下方向位置の部分の外径の方が若干大きく設定された構成で、第二平面部(46B)が脚部(42L)の軸方向に沿った縦断面視で第一平面部(46A)よりも脚部(42L)の外周側に位置する部分を有しかつ上記実施形態の上側傾斜面部48に相当する部位が形成されない、という構成も採り得る。
【0060】
また、上記実施形態では、第二平面部46Bの外周側の端縁46B1から脚部42の軸方向と平行に上方側へ引いた仮想直線Lが上側傾斜面部48のうちの上端縁48A以外の部分と交わるように設定されており、製造し易さの観点からはこのような構成が好ましいが、上記実施形態の変形例として、第二平面部(46B)の外周側の端縁(46B1)から脚部(42)の軸方向と平行に上方側へ引いた仮想直線(L)が上側傾斜面部(48)の上端縁(48A)と交わるように設定されてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、抜け防止用溝部46の下側に隣接して下側傾斜面部49が形成されており、製造し易さの観点からはこのような構成が好ましいが、上記実施形態の変形例として、抜け防止用溝部(46)の下側に下側傾斜面部49に相当する部位が形成されない、という構成も採り得る。
【0062】
また、上記実施形態では、抜け防止用溝部46は、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの互いの対向部分における溝深さ方向の長さXが0.3mm以上確保されるように形成されており、そのような構成が好ましいが、例えば、ロック部(24A)に作用するリターンスプリング(26)による付勢力が上記実施形態の場合よりも大きい場合等には、第一平面部(46A)と第二平面部(46B)との互いの対向部分における溝深さ方向の長さ(X)が0.3mmよりもごく僅かに短い、という構成も採り得る。
【0063】
また、上記実施形態では、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向間隔Yは、第一平面部46Aと第二平面部46Bとの対向方向におけるロック部24A(図2参照)の厚みに対して、1.4~2.0倍に設定されており、このような設定が好ましいが、このような設定以外の設定も採り得る。例えば、ロック部(24A)に作用するリターンスプリング(26)による付勢力が上記実施形態の場合よりも大きい場合等には、第一平面部(46A)と第二平面部(46B)との対向間隔(Y)がロック部(24A)の厚みに対して1.4倍未満に設定されてもよいし、2.0倍を若干超えるような設定とされてもよい。
【0064】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0065】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
20 ヘッドレストサポート
24A ロック部
40 ヘッドレストステー
42 脚部
44 高さ調整用凹部
44X 最下段の高さ調整用凹部
46 抜け防止用溝部
46A 第一平面部
46A1 第一平面部の外周側の端縁
46B 第二平面部
46B1 第二平面部の外周側の端縁
48 上側傾斜面部
48A 上端縁
49 下側傾斜面部
L 仮想直線
X 第一平面部と第二平面部との互いの対向部分における溝深さ方向の長さ
Y 第一平面部と第二平面部との対向間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7