(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044189
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240326BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149579
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚原 剛
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB44
(57)【要約】
【課題】不正に購入される商品を推定すること。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、不正に購入された商品に関する不正購入情報と、適正に購入された商品に関する適正購入情報とを取得する取得部と、取得部によって取得された不正購入情報と、適正購入情報とに基づいて、商品情報から不正に購入される度合いを示す不正スコアを推定する推定モデルを学習する学習部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不正に購入された商品に関する不正購入情報と、適正に購入された商品に関する適正購入情報とを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記不正購入情報と、前記適正購入情報とに基づいて、商品情報から不正に購入される度合いを示す不正スコアを推定する推定モデルを学習する学習部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、
不正使用されたクレジットカードで決済が行われた商品情報を前記不正購入情報として取得すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記学習部は、
前記商品情報として商品タイトルから前記不正スコアを推定する推定モデルを学習すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記学習部によって学習された前記推定モデルを用いて、商品情報から前記不正スコアを推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記不正スコアを通知する通知部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、
電子商取引サービスで購入申請が行われた商品情報について前記不正スコアを推定すること
を特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通知部は、
前記推定部によって推定された前記不正スコアが閾値を超える場合に、購入申請が行われた商品情報を審査チームへ通知し、審査を依頼すること
を特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記推定部は、
電子商取引サービスへ出品前の商品情報について前記不正スコアを推定すること
を特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通知部は、
前記不正スコアが閾値を超える場合に、出品者へ商品情報の変更を提案すること
を特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
不正に購入された商品に関する不正購入情報と、適正に購入された商品に関する適正購入情報とを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された前記不正購入情報と、前記適正購入情報とに基づいて、商品情報から不正に購入される度合いを示す不正スコアを推定する推定モデルを学習する学習工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
不正に購入された商品に関する不正購入情報と、適正に購入された商品に関する適正購入情報とを取得する取得手順と、
前記取得手順によって取得された前記不正購入情報と、前記適正購入情報とに基づいて、商品情報から不正に購入される度合いを示す不正スコアを推定する推定モデルを学習する学習手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの飛躍的な普及に伴い、インターネットを介した販売が盛んに行われている。例えば、電子商取引サービスにおいては、不正に行われた決済を判定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、不正決済に関するものであり、不正に購入される商品を推定することについては考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、不正に購入される商品を推定することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、不正に購入された商品に関する不正購入情報と、適正に購入された商品に関する適正購入情報とを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記不正購入情報と、前記適正購入情報とに基づいて、商品情報から不正に購入される度合いを示す不正スコアを推定するモデルを学習する学習部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不正に購入される商品を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る購入情報記憶部の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るルール情報記憶部の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る学習処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
〔1.情報処理〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。なお、実施形態に係る情報処理は、
図1に示す情報処理装置1によって実現される。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理システムSは、情報処理装置1と、電子商取引サーバ100と、審査用端末200と、管理用端末300とを有する。
【0012】
情報処理装置1は、例えば、電子商取引サーバ100で行われた不正に購入された商品を検出する装置である。なお、情報処理装置1は、例えば、クラウドシステムやサーバによって実現される。
【0013】
電子商取引サーバ100は、いわゆるECサイトを運営するサーバ装置である。たとえば、電子商取引サーバ100は、ショッピングサイト、オークションサイト、フリマサイトなど各種プラットフォームを提供する。
【0014】
審査用端末200は、審査チームの端末装置である。審査チームは、情報処理装置1によって検出された不正に購入された商品をさらに審査する。管理用端末300は、ルール管理者の端末装置である。例えば、ルール管理者は、情報処理装置1によって生成された不正決済に関すルールを確認し、当該ルールを情報処理装置1に登録する。
【0015】
図1に示すように、情報処理装置1は、購入情報記憶部を有する。購入情報記憶部は、電子商取引サーバ100で取引された購入情報を記憶する。購入情報は、電子商取引サーバ100で取引された商品情報および決済情報を含む。
【0016】
また、商品情報は、不正に購入された商品に関する不正購入情報と、適正に購入された商品に関する適正購入情報とを含む。例えば、不正購入情報および適正購入情報に関するタグ付けは、審査用端末200で行われる。
【0017】
情報処理装置1は、不正購入情報と、適正購入情報とに基づいて、商品情報から不正に購入される度合いを示す不正スコアを推定する推定モデルを学習し(ステップS1)、推定モデル記憶部に格納する。
【0018】
例えば、推定モデルは、商品情報が入力された際に、不正スコアを出力するモデルであり、不正購入情報と、適正購入情報との関係性を学習したモデルである。例えば、推定モデルは、商品タイトルから不正スコアを出力するモデルである。すなわち、不正スコアは、商品タイトルの観点から、不正者に狙われやすい商品か否かを示す指標である。
【0019】
また、情報処理装置1は、例えば、ルール管理者によって設定されたルールを管理用端末300から取得し(ステップS2)、ルール情報記憶部に登録する。
【0020】
その後、情報処理装置1は、電子商取引サーバ100から判定リクエストを取得する(ステップS3)。判定リクエストは、電子商取引サーバ100で購入申請が行われた商品に関する商品情報と、決済に関する決済情報を含む。
【0021】
情報処理装置1は、不正購入に関する判定処理を行う(ステップS4)。情報処理装置1は、推定モデルおよびルール情報に基づいて、不正購入に関する判定する。
【0022】
情報処理装置1は、商品タイトルを入力して推定モデルから出力される不正スコアと、商品情報、決済情報がルール情報に該当するか否かに基づいて不正購入に関する判定する。
【0023】
例えば、情報処理装置1は、商品の不正購入が示唆された場合には、審査用端末200へ審査依頼を行う(ステップS5)。これにより、審査チームによる審査が行われることになる。
【0024】
また、情報処理装置1は、ステップS4の判定結果を電子商取引サーバ100へ通知する(ステップS6)。例えば、電子商取引サーバ100では、情報処理装置1の判定結果に基づいて取引成立の可否が判定される。
【0025】
例えば、電子商取引サーバ100は、不正購入が示唆されていない場合、取引を成立される一方、不正購入が示唆された場合は、取引非成立とする。これにより、不正購入を抑制することが可能となる。
【0026】
このように、実施形態に係る情報処理装置1は、不正購入情報と、適正購入情報とに基づいて、商品情報から不正スコアを推定する推定モデルを学習する。したがって、実施形態に係る情報処理装置1によれば、不正に購入される商品を推定することができる。
【0027】
なお、例えば、情報処理装置1は、例えば、電子商取引サーバ100へ商品の出品時に商品タイトルに関する不正スコアの推定を行うようにしてもよい。この場合、情報処理装置1は、出品者に対して商品タイトルの変更を提案することにしてもよい。これにより、商品が不正購入されるリスクを抑えることができる。
【0028】
〔2.情報処理装置〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置1は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。なお、情報処理装置1は、情報処理装置1を利用する管理者などから各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウスなど)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイなど)を有してもよい。
【0029】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。通信部2は、4G(4th Generation)または5G(5th Generation)などの通信ネットワークと有線または無線で接続され、通信ネットワークを介して、電子商取引サーバ100などの各々との間で情報の送受信を行う。
【0030】
記憶部3は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。記憶部3は、購入情報記憶部31と、推定モデル記憶部32と、ルール情報記憶部33とを備える。
【0031】
購入情報記憶部31は、電子商取引サーバ100で取引された商品の購入情報を記憶する。
図3は、実施形態に係る購入情報記憶部31の一例を示す図である。
図3に示すように、購入情報記憶部31は、「決済ID」、「商品タイトル」、「商品情報」、「購入者情報」、「出品者情報」、「決済方法」、「不正フラグ」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0032】
「決済ID」は、電子商取引サーバ100で行われた決済を識別する識別子である。「商品タイトル」は、対応する決済で取引された商品の商品タイトルである。なお、同一の商品であっても、出品者によって異なる商品タイトルが付けられる。
【0033】
「商品情報」は、対応する決済で取引された商品に関する情報であり、例えば、対応する商品の商品ページに関する情報である。例えば、商品情報は、販売価格、JANコードなど商品を識別する識別子、商品の説明欄、商品画像、商品の状態などに関する情報を含む。
【0034】
「購入者情報」は、対応する決済で商品を購入した購入者に関する情報であり、例えば、電子商取引サーバ100に登録された購入者に関する各種情報を含む。「出品者情報」は、対応する決済で商品を出品した出品者に関する情報であり、例えば、電子商取引サーバ100に登録された出品者に関する各種情報を含む。
【0035】
「決済方法」は、対応する決済の決済方法であり、例えば、デビットカード決済、クレジットカード決済、電子マネー決済、銀行振り込みなど各種決済方法に関する情報、および、カード情報や、口座情報を含む。
【0036】
「不正フラグ」は、対応する決済が不正購入であったか否かを示すフラグである。例えば、不正購入は「1」、適正購入は「0」となる。また、不正フラグは、例えば、審査チームが審査用端末200から登録することができる。
【0037】
図2の説明に戻り、推定モデル記憶部32について説明する。推定モデル記憶部32は、推定モデルを記憶する。推定モデルは、不正購入情報と、適正購入情報との関係性を学習したモデルであり、商品情報が入力された場合に、不正スコアを出力するモデルである。
【0038】
ルール情報記憶部33は、ルール情報を記憶する。ルール情報は、不正購入に関すルールである。
図4は、実施形態に係るルール情報記憶部33の一例を示す図である。
図4に示すように、ルール情報記憶部33は、「ルールID」、「ルール種別」、「判定内容」といった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0039】
「ルールID」は、各ルールを識別するための識別子である。「ルール種別」は、ルールの種別であり、ルールの判定対象となる項目を示す。「判定内容」は、対応するルールの判定内容を示す。
【0040】
図4に示す例では、「販売価格>Th1」、「アクセス元が外国」、「不正スコア>Th2」などといったルールを例示していが、ルールは、これに限定されるものではない。
【0041】
図2の説明に戻り、制御部4について説明する。制御部4は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、情報処理装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部4は、例えば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。
【0042】
図2に示すように、制御部4は、取得部41と、学習部42と、推定部43と、判定部44と、通知部45とを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部4の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部4が有する各処理部の接続関係は、
図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0043】
取得部41は、不正に購入された商品に関する不正購入情報と、適正に購入された商品に関する適正購入情報とを取得する。例えば、取得部41は、電子商取引サーバ100から購入情報を取得し、審査用端末200から不正フラグに関する情報を取得する。
【0044】
不正購入情報は、例えば、不正使用されたクレジットカードによって購入された商品や、購入後に代金が支払われなかった商品、転売を目的として大量購入された商品などの商品情報を含む。なお、不正購入の定義については、例えば、審査チームによって任意に変更することができる。
【0045】
また、取得部41は、電子商取引サーバ100から判定リクエストを取得する。判定リクエストは、決済情報および商品情報を含む。なお、ここでの決済情報は、実際の決済が行われる前の情報である。
【0046】
学習部42は、取得部41によって取得された不正購入情報と、適正購入情報とに基づいて、商品情報から不正に購入される度合いを示す不正スコアを推定する推定モデルを学習する。
【0047】
例えば、学習部42は、購入情報記憶部31に格納された購入情報から不正フラグが「1」である不正購入情報と、不正フラグが「0」である適正購入情報を用いた機械学習によって推定モデルの学習を行う。
【0048】
例えば、推定モデルは、商品タイトルを入力した際に、不正スコアを出力するように学習されたモデルである。不正スコアは、不正購入を示唆する指標であり、不正スコアが高いほど、不正購入の疑いが強いことを示す。
【0049】
なお、推定モデルは、商品情報、購入者情報、出品者情報、決済方法など、その他の購入情報を用いて不正購入情報と適正購入情報との関係性を学習したモデルであってもよい。
【0050】
また、適正購入情報に比べて、不正購入情報は、量が少ない。そのため、学習部42は、不正購入情報と、同数程度の適正購入情報を用いて、推定モデルの学習を行うようにしてもよい。この場合、学習部42は、学習後の推定モデルを全体の適正購入情報にあわせてキャリブレーションを行うようにしてもよい。
【0051】
推定部43は、学習部42によって学習された推定モデルを用いて、商品情報から不正スコアを推定する。例えば、推定部43は、電子商取引サーバ100による判定リクエストに含まれる商品情報を推定モデルへ入力し、不正スコアを推定する。
【0052】
すなわち、推定部43は、電子商取引サーバ100で購入申請が行われた商品情報について不正スコアを推定する。これにより、不正購入による取引成立を抑制することができる。
【0053】
判定部44は、ルール情報記憶部33に登録されたルール情報に基づいて、商品情報が不正購入に該当するか否かを判定する。例えば、判定部44は、電子商取引サーバ100による判定リクエストに含まれる商品情報および決済情報と、ルール情報記憶部33のルール情報とを照合することで、商品情報が不正購入に該当するか否かを判定する。
【0054】
また、判定部44は、推定部43によって推定された不正スコアが閾値を超えるか否かを併せて判定する。判定部44は、不正スコアが閾値を超えていれば、不正購入に該当すると判定する。
【0055】
通知部45は、推定部43によって推定された不正スコアを通知する。例えば、通知部45は、不正スコアが閾値を超える場合に、購入申請が行われた商品情報を審査用端末200へ通知し、審査チームによる更なる審査を依頼する。
【0056】
また、通知部45は、判定部44によるルールに基づく判定の結果、不正購入に該当すると判定された場合についても同様に購入申請が行われた商品情報を審査用端末200へ通知し、審査チームによる更なる審査を依頼する。
【0057】
また、通知部45は、不正スコアが閾値未満、かつ、判定部44によるルールに基づく判定の結果が不正購入に該当しないと判定された場合には、その判定結果を電子商取引サーバ100へ通知する。これにより、電子商取引サーバ100では、取引が成立することになる。
【0058】
〔3.処理フロー〕
次に、
図5および
図6を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の処理手順について説明する。
図5は、実施形態に係る学習処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、実施形態に係る判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
図5に示すように、情報処理装置1は、不正購入商品および適正購入情報を含む商品情報を取得する(ステップS101)。つづいて、情報処理装置1は、不正購入商品および適正購入情報に基づいて、推定モデルの学習を行い(ステップS102)、処理を終了する。
【0060】
次に、
図6を用いて、実施形態に係る判定処理について説明する。
図6に示すように、情報処理装置1は、電子商取引サーバ100から判定リクエストを取得すると(ステップS111)、判定リクエストの商品情報に基づいて不正スコアを推定する(ステップS112)。
【0061】
情報処理装置1は、不正購入に該当するか否かのルール判定を行い(ステップS113)、不正購入の疑いがあるか否かを判定する(ステップS114)。情報処理装置1は、不正購入の疑いありと判定した場合(ステップS114;Yes)、審査チームへ審査を依頼する(ステップS115)。
【0062】
そして、情報処理装置1は、電子商取引サーバ100に対し判定結果を通知し(ステップS116)、処理を終了する。また、情報処理装置1は、不正購入の疑いがないと判定した場合には(ステップS114;No)、ステップS115の処理を省略して、ステップS116の処理を行う。
【0063】
〔4.変形例〕
上述した実施形態では、購入申請が行われた商品について不正スコアを推定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、商品の出品時に不正スコアを推定するようにしてもよい。すなわち、この場合には、出品者は、出品前に商品情報(例えば、商品タイトル)を変更することができるので、より安全な電子商取引サービスを提供することができる。また、主に決済時にリアルタイムでスコアを算出する必要がなく、これにより算出に時間がかかる大規模なモデルも利用可能となり、決済時のシステムのレイテンシーを抑えることができる。
【0064】
〔5.効果〕
実施形態に係る情報処理装置1は、不正に購入された商品に関する不正購入情報と、適正に購入された商品に関する適正購入情報とを取得する取得部41と、取得部41によって取得された不正購入情報と、適正購入情報とに基づいて、商品情報から不正に購入される度合いを示す不正スコアを推定するモデルを学習する学習部42と、を備える。
【0065】
また、取得部41は、不正使用されたクレジットカードで決済が行われた商品情報を不正購入情報として取得する。また、学習部42は、商品情報として商品タイトルから不正スコアを推定するモデルを学習する。
【0066】
また、情報処理装置1は、学習部42によって学習された推定モデルを用いて、商品情報から不正スコアを推定する推定部43と、推定部43によって推定された不正スコアを通知する通知部45と、を備える。
【0067】
また、推定部43は、電子商取引サービスで購入申請が行われた商品情報について不正スコアを推定する。また、通知部45は、推定部43によって推定された不正スコアが閾値を超える場合に、購入申請が行われた商品情報を審査チームへ通知し、更なる審査を依頼する。
【0068】
また、推定部43は、電子商取引サービスへ出品前の商品情報について不正スコアを推定する。また、通知部45は、不正スコアが閾値を超える場合に、出品者へ商品情報の変更を提案する。
【0069】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、不正に購入される商品を推定することができる。
【0070】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0071】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0072】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワーク(通信ネットワーク)Nを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0073】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置(
図7では、出力装置および入力装置を総称して「入出力装置」と記載する)を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0074】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0075】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部4の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0076】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0077】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0078】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0079】
例えば、上述した情報処理装置は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0080】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0081】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 情報処理装置
2 通信部
3 記憶部
4 制御部
31 購入情報記憶部
32 推定モデル記憶部
33 ルール情報記憶部
41 取得部
42 学習部
43 推定部
44 判定部
45 通知部
100 電子商取引サーバ
200 審査用端末
300 管理用端末