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  • 特開-機械式過給機の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044192
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】機械式過給機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20240326BHJP
   F02B 33/36 20060101ALI20240326BHJP
   F04C 18/16 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F02B39/00 T
F02B33/36
F04C18/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149590
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】前田 正弘
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA06
3G005EA19
3G005FA51
3G005GB47
3G005GB73
3G005GB78
3G005KA08
(57)【要約】
【課題】第1ロータと第2ロータとの位置精度の向上を図ることができる機械式過給機の製造方法を提供する。
【解決手段】
機械式過給機1の製造方法は、仮組み工程と、計算工程と、位置決め工程と、圧入工程とを含む。仮組み工程では、第1ロータ11および第2ロータ12を、回転可能な状態でハウジング13に対して組み付ける。計算工程では、第1ロータ11および第2ロータ12の端部を撮影した画像Iから、第1ロータ11と第2ロータ12との間隔Dを計算する。位置決め工程では、間隔Dが所定の目標値になるように、第1ロータ11の位置、および、第2ロータ12の位置を決める。圧入工程では、位置決め工程で決められた位置に固定された第1ロータ11および第2ロータ12に、第1ギア14および第2ギア15を圧入する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1回転軸線について回転可能な第1ロータと、前記第1方向に延びる第2回転軸線について回転可能な第2ロータと、前記第1ロータおよび前記第2ロータを収容するハウジングと、前記第1ロータとともに回転可能な第1ギアと、前記第1ギアと噛み合い、前記第2ロータとともに回転可能な第2ギアとを備える機械式過給機の製造方法であって、
前記第1ロータおよび前記第2ロータを、回転可能な状態で前記ハウジングに対して組み付ける仮組み工程と、
前記第1方向から前記第1ロータおよび前記第2ロータを撮影し、撮影された画像から、前記第1ロータと前記第2ロータとの間隔を計算する計算工程と、
前記第1ロータおよび前記第2ロータの少なくとも一方を回転させて、前記計算工程で計算された前記間隔が所定の目標値になるように、前記第1ロータの回転方向における前記第1ロータの位置、および、前記第2ロータの回転方向における前記第2ロータの位置を決める位置決め工程と、
前記位置決め工程で決められた位置に前記第1ロータおよび前記第2ロータが固定された状態で、噛み合った状態で回転しないように固定された前記第1ギアおよび前記第2ギアを、前記第1ギアが前記第1ロータの端部に圧入され、前記第2ギアが前記第2ロータの端部に圧入されるように、前記第1ロータおよび前記第2ロータに対して組み付ける圧入工程と
を含む、機械式過給機の製造方法。
【請求項2】
前記計算工程において、
撮影された画像から、前記第1回転軸線、前記第2回転軸線、前記第1ロータの複数のエッジ、および、前記第2ロータの複数のエッジを認識する認識ステップと、
前記第1回転軸線の位置と、前記第1ロータの複数の前記エッジの位置とに基づいて、前記第1ロータの回転角度を計算する第1計算ステップと、
前記第2回転軸線の位置と、前記第2ロータの複数の前記エッジの位置とに基づいて、前記第2ロータの回転角度を計算する第2計算ステップと、
前記第1ロータの回転角度と、前記第2ロータの回転角度とに基づいて、前記第1ロータと前記第2ロータとの前記間隔を計算する第3計算ステップと
を実行する、請求項1に記載の機械式過給機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式過給機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライブシャフトの周りに固定された第1ロータと、ドリブンシャフトの周りに固定された第2ロータと、第1タイミングギアと、第2タイミングギアとを備える機械式過給機が知られている。
【0003】
このような機械式過給機の製造において、第1タイミングギアをドライブシャフトの一端に圧入し、第2タイミングギアをドリブンシャフトの一端に圧入する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-212987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような機械式過給機の製造において、第1タイミングギアとドライブシャフトとの位置精度、および、第2タイミングギアとドリブンシャフトとの位置精度に加えて、第1ロータと第2ロータとの位置精度も向上させることが要求されている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、第1ロータと第2ロータとの位置精度の向上を図ることができる機械式過給機の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、第1方向に延びる第1回転軸線について回転可能な第1ロータと、前記第1方向に延びる第2回転軸線について回転可能な第2ロータと、前記第1ロータおよび前記第2ロータを収容するハウジングと、前記第1ロータとともに回転可能な第1ギアと、前記第1ギアと噛み合い、前記第2ロータとともに回転可能な第2ギアとを備える機械式過給機の製造方法であって、前記第1ロータおよび前記第2ロータを、回転可能な状態で前記ハウジングに対して組み付ける仮組み工程と、前記第1方向から前記第1ロータおよび前記第2ロータを撮影し、撮影された画像から、前記第1ロータと前記第2ロータとの間隔を計算する計算工程と、前記第1ロータおよび前記第2ロータの少なくとも一方を回転させて、前記計算工程で計算された前記間隔が所定の目標値になるように、前記第1ロータの回転方向における前記第1ロータの位置、および、前記第2ロータの回転方向における前記第2ロータの位置を決める位置決め工程と、前記位置決め工程で決められた位置に前記第1ロータおよび前記第2ロータが固定された状態で、噛み合った状態で回転しないように固定された前記第1ギアおよび前記第2ギアを、前記第1ギアが前記第1ロータの端部に圧入され、前記第2ギアが前記第2ロータの端部に圧入されるように、前記第1ロータおよび前記第2ロータに対して組み付ける圧入工程とを含む、機械式過給機の製造方法を含む。
【0008】
このような方法によれば、計算工程において、第1方向から第1ロータおよび第2ロータを撮影した画像から、第1ロータと第2ロータとの間隔を計算できる。
【0009】
そのため、位置合わせマークなどが無くても、第1ロータと第2ロータとの相対位置を合わせることができる。
【0010】
また、圧入工程において、第1ロータと第2ロータとの間隔が目標値になる位置で、第1ロータおよび第2ロータが固定されている。
【0011】
そのため、第1ギアおよび第2ギアを第1ロータおよび第2ロータに対して組み付けるときに第1ロータおよび第2ロータが回転してしまうことを抑制できる。
【0012】
その結果、第1ロータと第2ロータとの位置精度の向上を図ることができる。
【0013】
また、圧入工程において、第1ギアおよび第2ギアは、噛み合った状態で回転しないように固定されている。
【0014】
そのため、第1ギアおよび第2ギアを第1ロータおよび第2ロータに対して組み付けるときに第1ギアおよび第2ギアが回転してしまうことも抑制できる。
【0015】
その結果、第1ギアと第2ギアとの位置精度の向上も図ることができる。
【0016】
本発明[2]は、前記計算工程において、撮影された前記画像から、前記第1回転軸線、前記第2回転軸線、前記第1ロータの複数のエッジ、および、前記第2ロータの複数のエッジを認識する認識ステップと、前記第1回転軸線の位置と、前記第1ロータの複数の前記エッジの位置とに基づいて、前記第1ロータの回転角度を計算する第1計算ステップと、前記第2回転軸線の位置と、前記第2ロータの複数の前記エッジの位置とに基づいて、前記第2ロータの回転角度を計算する第2計算ステップと、前記第1ロータの回転角度と、前記第2ロータの回転角度とに基づいて、前記第1ロータと前記第2ロータとの前記間隔を計算する第3計算ステップとを実行する、上記[1]の機械式過給機の製造方法。
【0017】
このような方法によれば、認識ステップで認識した第1ロータの複数のエッジ、および、第2ロータの複数のエッジに基づいて、第1ロータの回転角度および第2ロータの回転角度を計算し(第1計算ステップおよび第2計算ステップ)、さらに、第1ロータと第2ロータとの間隔を計算する(第3計算ステップ)。
【0018】
そのため、第1ロータと第2ロータとの間隔を精度よく計算できる。
【0019】
その結果、位置合わせマークなどが無くても、第1ロータと第2ロータとの位置精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の機械式過給機の製造方法によれば、第1ロータと第2ロータとの位置精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1Aは、本発明の機械式過給機の製造方法の一実施形態により製造される機械式過給機の構成図である。図1Bは、図1Aに示される第1ロータと第2ロータとを第1方向から見た側面図である。
図2図2Aおよび図2Bは、図1Aに示す機械式過給機の製造工程を説明する説明図であって、図2Aは、仮組み工程を示し、図2Bは、圧入工程を示す。
図3図3は、図2Aに示す仮組み工程でベースに組み付けられた第1ロータおよび第2ローラを第1方向から撮影した画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.機械式過給機
図1Aおよび図1Bを参照して、機械式過給機1について説明する。
【0023】
機械式過給機1は、空気を圧縮してエンジンに供給する。機械式過給機1は、例えば、車両に搭載される。具体的には、機械式過給機1は、リショルム式の機械式過給機である。図1Aに示すように、機械式過給機1は、第1ロータ11と、第2ロータ12と、ハウジング13と、第1ギア14と、第2ギア15とを備える。
【0024】
(1)第1ロータ
図1Bに示すように、第1ロータ11は、第1方向に延びる第1回転軸線A1について回転可能である。第1ロータ11は、ロータ本体111と、シャフト112とを有する。ロータ本体111は、第1方向に延びる。
【0025】
ロータ本体111は、複数(4つ)の羽根111A,111B,111C,111Dを有する。羽根111A,111B,111C,111Dは、ロータ本体111の周面に配置される。羽根111A,111B,111C,111Dのそれぞれは、第1方向に延びる螺旋形状を有する。羽根111A,111B,111C,111Dは、第1ロータ11の回転方向において、互いに間隔を隔てて並ぶ。
【0026】
シャフト112は、ロータ本体111の径方向において、ロータ本体111の中央に配置される。図1Aに示すように、シャフト112は、第1回転軸線A1に沿って延びる。シャフト112は、円柱形状を有する。シャフト112は、第1方向において、ロータ本体111を貫通する。第1方向におけるシャフト112の一端部は、第1方向におけるロータ本体111の一端部から突出する。第1方向におけるシャフト112の他端部は、第1方向におけるロータ本体111の他端部から突出する。シャフト112は、ロータ本体111とともに回転可能である。
【0027】
(2)第2ロータ
第2ロータ12は、第1方向に延びる第2回転軸線A2について回転可能である。図1Bに示すように、第2ロータ12の回転方向R2は、第1ロータ11の回転方向R1と反対である。第2回転軸線A2は、第1方向と直交する第2方向において、第1回転軸線A1と間隔を隔てて並ぶ。第2ロータ12は、第2方向において、第1ロータ11と並ぶ。第2ロータ12は、ロータ本体121と、シャフト122とを有する。ロータ本体121は、第1方向に延びる。
【0028】
ロータ本体121は、複数(4つ)の羽根121A,121B,121C,121Dを有する。羽根121A,121B,121C,121Dは、ロータ本体121の周面に配置される。羽根121A,121B,121C,121Dのそれぞれは、第1方向に延びる螺旋形状を有する。羽根121A,121B,121C,121Dは、第2ロータ12の回転方向において、互いに間隔を隔てて並ぶ。
【0029】
第1ロータ11および第2ロータ12が回転すると、第2ロータ12の羽根121Aは、第1ロータ11の羽根111Aと羽根111Bとの間に入り、第2ロータ12の羽根121Bは、第1ロータ11の羽根111Bと羽根111Cとの間に入り、第2ロータ12の羽根121Cは、第1ロータ11の羽根111Cと羽根111Dとの間に入り、第2ロータ12の羽根121Dは、第1ロータ11の羽根111Dと羽根111Aとの間に入る。
【0030】
第2ロータ12の羽根121Aが第1ロータ11の羽根111Aと羽根111Bとの間に入った状態で、第2ロータ12の羽根121Aと第1ロータ11の羽根111Aとの間、および、第2ロータ12の羽根121Aと第1ロータ11の羽根111Bとの間には、所定の間隔Dが存在する。
【0031】
なお、図示しないが、第2ロータ12の羽根121Bが第1ロータ11の羽根111Bと羽根111Cとの間に入った状態、第2ロータ12の羽根121Cが第1ロータ11の羽根111Cと羽根111Dとの間に入った状態、および、第2ロータ12の羽根121Dが第1ロータ11の羽根111Dと羽根111Aとの間に入った状態でも、同様に、第2ロータ12の羽根と第1ロータ11の羽根との間には、所定の間隔Dが存在する。
【0032】
シャフト122は、ロータ本体121の径方向において、ロータ本体121の中央に配置される。図1Aに示すように、シャフト122は、第2回転軸線A2に沿って延びる。シャフト122は、円柱形状を有する。シャフト122は、第1方向において、ロータ本体121を貫通する。第1方向におけるシャフト122の一端部は、第1方向におけるロータ本体121の一端部から突出する。第1方向におけるシャフト122の他端部は、第1方向におけるロータ本体121の他端部から突出する。シャフト122は、ロータ本体121とともに回転可能である。
【0033】
(3)ハウジング
ハウジング13は、第1ロータ11および第2ロータ12を収容する。詳しくは、ハウジング13は、ベース13Aと、カバー13Bとを有する。ベース13Aは、第1方向における第1ロータ11のシャフト112の一端部、および、第1方向における第2ロータ12のシャフト122の一端部を支持する。カバー13Bは、第1ロータ11および第2ロータ12を覆う。
【0034】
(4)第1ギア
第1ギア14は、第1方向における第1ロータ11のシャフト112の一端部に取り付けられる。第1ギア14は、第1方向における第1ロータ11のシャフト112の一端部に圧入される。第1ギア14は、第1ロータ11とともに回転可能である。
【0035】
(5)第2ギア
第2ギア15は、第1方向における第2ロータ12のシャフト122の一端部に取り付けられる。第2ギア15は、第1方向における第2ロータ12のシャフト122の一端部に圧入される。第2ギア15は、第2ロータ12とともに回転可能である。第2ギア15は、第1ギア14と噛み合う。
【0036】
2.機械式過給機の製造方法
次に、機械式過給機1の製造方法について説明する。
【0037】
機械式過給機1の製造方法は、仮組み工程(図2A参照)と、計算工程と、位置決め工程と、圧入工程(図2B参照)とを含む。
【0038】
(1)仮組み工程
図2Aに示すように、仮組み工程では、第1ロータ11および第2ロータ12を、回転可能な状態でハウジング13のベース13Aに対して組み付ける。
【0039】
詳しくは、製造装置の支持台にベース13Aが固定された状態で、第1方向における第1ロータ11のシャフト112の一端部、および、第1方向における第2ロータ12のシャフト122の一端部を、ベース13Aに組み付ける。
【0040】
なお、第1方向における第1ロータ11のシャフト112の他端部、および、第1方向における第2ロータ12のシャフト122の他端部は、それぞれ、製造装置のアームに支持される。
【0041】
図3に示すように、第1ロータ11および第2ロータ12がハウジング13のベース13Aに仮組みされた状態で、第2ロータ12の羽根121Aは、第1ロータ11の羽根111Aと羽根111Bとの間に配置される。
【0042】
なお、「第1ロータ11および第2ロータ12がハウジング13のベース13Aに仮組みされた状態」とは、第1ロータ11に第1ギア14が取り付けられておらず、かつ、第2ロータ12に第2ギア15が取り付けられていない状態で、第1ロータ11および第2ロータ12がハウジング13のベース13Aに組み付けられた状態をいう。
【0043】
(2)計算工程
次に、計算工程では、第1ロータ11および第2ロータ12がハウジング13のベース13Aに仮組みされた状態で、第1ロータ11の羽根111Aと第2ロータ12の羽根121Aとの間隔Dを計算する。
【0044】
間隔Dを計算するには、まず、第1ロータ11および第2ロータ12がハウジング13のベース13Aに仮組みされた状態で、製造装置のカメラで、第1方向から第1ロータ11および第2ロータ12を撮影する。
【0045】
次に、撮影された画像Iから間隔Dを計算する。
【0046】
画像Iから間隔Dを計算するには、例えば、認識ステップと、第1計算ステップと、第2計算ステップと、第3計算ステップとを実行する。
【0047】
(2-1)認識ステップ
認識ステップでは、撮影された画像Iから、第1回転軸線A1、第2回転軸線A2、第1ロータ11の複数のエッジE1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8,E9、,E10,E11,E12および、第2ロータ12の複数のエッジE21,E22,E23,E24,E25,E26,E27,E28,E29,E30,E31,E32を認識する。
【0048】
本実施形態では、エッジE1,E2,E3は、それぞれ、羽根111Aの突部の頂点である。エッジE4,E5,E6は、それぞれ、羽根111Bの突部の頂点である。エッジE7,E8,E9は、それぞれ、羽根111Cの突部の頂点である。エッジE10,E11,E12は、それぞれ、羽根111Dの突部の頂点である。
【0049】
また、エッジE21,E22,E23は、それぞれ、羽根121Aの突部の頂点である。エッジE24,E25,E26は、それぞれ、羽根121Bの突部の頂点である。エッジE27,E28,E29は、それぞれ、羽根121Cの突部の頂点である。エッジE30,E31,E32は、それぞれ、羽根121Dの突部の頂点である。
【0050】
複数のエッジの選択基準は、第1ロータ11および第2ロータ12の形状に応じて、変更可能である。
【0051】
(2-2)第1計算ステップ
第1計算ステップでは、第1回転軸線A1の位置と、第1ロータ11のエッジE1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8,E9,E10,E11,E12の位置とに基づいて、第1ロータ11の回転角度θ1を計算する。
【0052】
例えば、第1回転軸線A1と第2回転軸線A2とを結ぶベースラインL0と第1回転軸線A1とエッジE1とを結ぶラインL1とからなる角度θ1を、第1ロータ11の回転角度θ1と定義する場合、画像I中における第1回転軸線A1の座標と、第2回転軸線A2の座標と、エッジE1の座標とから回転角度θ1を計算する。また、エッジE2,E3,E4,E5,E6,E7,E8,E9,E10,E11,E12のそれぞれの座標に基づいて、回転角度θ1を補正する。
【0053】
(2-3)第2計算ステップ
第2計算ステップでは、第2回転軸線A2の位置と、第2ロータ12のエッジE21,E22,E23,E24,E25,E26,E27,E28,E29,E30,E31,E32の位置とに基づいて、第2ロータ12の回転角度θ2を計算する。
【0054】
例えば、第2回転軸線A2とエッジE21とを結ぶラインL2とベースラインL0とからなる角度θ2を、第2ロータ12の回転角度θ2と定義する場合、画像I中における第1回転軸線A1の座標と、第2回転軸線A2の座標と、エッジE21の座標とから回転角度θ2を計算する。また、エッジE22,E23,E24,E25,E26,E27,E28,E29,E30,E31,E32のそれぞれの座標に基づいて、回転角度θ2を補正する。
【0055】
(2-4)第3計算ステップ
第3計算ステップは、第1ロータ11の回転角度θ1と、第2ロータ12の回転角度θ2とに基づいて、間隔D(図1B参照)を計算する。例えば、図3に示す画像Iでは、間隔Dは、0mmと計算される。
【0056】
(3)位置決め工程
次に、位置決め工程では、第1ロータ11および第2ロータ12の少なくとも一方を回転させて、計算工程で計算された間隔Dが所定の目標値になるように、第1ロータ11の回転方向R1における第1ロータ11の位置、および、第2ロータ12の回転方向R2における第2ロータ12の位置を決める。
【0057】
本実施形態では、製造装置のアームが、図3に示す位置の第1ロータ11を回転方向R1(図1B参照)に回転させるとともに、図3に示す位置の第2ロータ12を回転方向R2(図1B参照)に回転させて、第1ロータ11を、図1Bに示す位置に位置決めするとともに、第2ロータ12を、図1Bに示す位置に位置決めする。これにより、間隔Dは、所定の目標値になる。間隔Dの目標値は、例えば、1mmである。
【0058】
(4)圧入工程
次に、図2Bに示すように、圧入工程では、位置決め工程で決められた位置に第1ロータ11および第2ロータ12が固定された状態で、第1ギア14および第2ギア15を、第1ロータ11および第2ロータ12に対して組み付ける。このとき、第1ギア14および第2ギア15は、ジグZにより、噛み合った状態で回転しないように固定されている。第1ギア14は、第1ロータ11のシャフト112の一端部に圧入され、第2ギア15は、第2ロータ12のシャフト122の一端部に圧入される。
【0059】
3.作用効果
(1)機械式過給機1の製造方法によれば、計算工程において、図3に示すように、第1方向から第1ロータ11および第2ロータ12を撮影した画像Iから、第1ロータ11と第2ロータ12との間隔Dを計算できる。
【0060】
そのため、位置合わせマークなどが無くても、第1ロータ11と第2ロータ12との相対位置を合わせることができる。
【0061】
また、圧入工程において、第1ロータ11と第2ロータ12との間隔Dが目標値になる位置で、第1ロータ11および第2ロータ12が固定されている。
【0062】
そのため、第1ギア14および第2ギア15を第1ロータ11および第2ロータ12に対して組み付けるときに、第1ロータ11および第2ロータ12が回転してしまうことを抑制できる。
【0063】
その結果、第1ロータ11と第2ロータ12との位置精度の向上を図ることができる。
【0064】
また、圧入工程において、第1ギア14および第2ギア15は、噛み合った状態で回転しないように固定されている。
【0065】
そのため、第1ギア14および第2ギア15を第1ロータ11および第2ロータ12に対して組み付けるときに、第1ギア14および第2ギア15が回転してしまうことも抑制できる。
【0066】
その結果、第1ギア14と第2ギア15との位置精度の向上も図ることができる。
【0067】
(2)機械式過給機1の製造方法によれば、図3に示すように、認識ステップで認識した第1ロータ11のエッジE1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8,E9,E10,E11,E12、および、第2ロータ12のエッジE21,E22,E23,E24,E25,E26,E27,E28,E29,E30,E31,E32に基づいて、第1ロータ11の回転角度θ1および第2ロータ12の回転角度θ2を計算し(第1計算ステップおよび第2計算ステップ)、さらに、第1ロータ11と第2ロータ12との間隔Dを計算する(第3計算ステップ)。
【0068】
そのため、第1ロータ11と第2ロータ12との間隔Dを精度よく計算できる。
【0069】
その結果、位置合わせマークなどが無くても、第1ロータ11と第2ロータ12との位置精度の向上を図ることができる。
【0070】
4.変形例
次に、変形例について説明する。変形例において、上記した実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0071】
上記した仮組み工程、位置決め工程および圧入工程は、製造装置を用いずに、作業者が実施してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 機械式過給機
11 第1ロータ
12 第2ロータ
13 ハウジング
14 第1ギア
15 第2ギア
A1 第1回転軸線
A2 第2回転軸線
D 間隔
E1 エッジ
E21 エッジ
I 画像
θ1 回転角度
θ2 回転角度
図1
図2
図3