(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044196
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】シャンプー組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240326BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240326BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240326BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q5/02
A61K8/44
A61K8/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149595
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 由季
(72)【発明者】
【氏名】森井 裕
(72)【発明者】
【氏名】三田 育実
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB312
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD191
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD272
4C083BB01
4C083BB05
4C083CC38
4C083DD21
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、常温で固体の界面活性剤を含み、良好な泡立ち及び水などへの溶解性や崩壊性を呈するシャンプー組成物を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、界面活性剤を含む粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のシャンプー組成物であって、前記界面活性剤には、常温で固体である界面活性剤(成分(A))を含むことを特徴とする、シャンプー組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含む粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のシャンプー組成物であって、前記界面活性剤には、常温で固体である界面活性剤(成分(A))を含むことを特徴とする、シャンプー組成物。
【請求項2】
前記常温で固体である界面活性剤(成分(A))は、アミノ酸型アニオン活性剤又はスルホン酸型アニオン活性剤であることを特徴とする、請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項3】
前記シャンプー組成物は、成分(B)として、糖類、を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のシャンプー組成物。
【請求項4】
前記シャンプー組成物は、前記シャンプー組成物全体の質量に対する前記成分(A)の質量の比(成分(A)の質量/シャンプー組成物全体の質量)が、0.10以上0.50以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシャンプー組成物。
【請求項5】
前記シャンプー組成物は、前記成分(B)の質量に対する前記成分(A)の質量の比(成分(A)の質量/成分(B)の質量)が、0.45以上0.90以下であることを特徴とする、請求項3に記載のシャンプー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を含むシャンプー組成物は、体積が大きくなり輸送や保管時の利便性に欠ける。輸送時や保管時の利便性がよいものとして、使用時に水に溶解して使用する粉末状や圧縮成形されたシャンプー組成物が知られているが、シャンプーの性能を十分に発揮させるためには泡立ちが必要であり、シャンプー組成物に対し、界面活性剤の含有割合を多くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
界面活性剤は、常温で固体のものは種類が少ない。従って、常温で固体の界面活性剤において、良好な泡立ちというシャンプーの性能と、シャンプー組成物の水などへの良好な溶解性や崩壊性とを両立させ得るのは困難である。また、液体の界面活性剤を賦形剤に混ぜて粉末加工を行うことでシャンプー組成物に含有させることも可能であるが、賦形剤を混ぜて粉末加工を行っていることから、シャンプー組成物に含有させた際に、シャンプーとして機能する量の界面活性剤を含有させるために、組成物の全体の使用量が大きくなる傾向がある。また、液体の界面活性剤を粉末にするには、加工に手間がかかる問題がある。
したがって、本発明の課題は、常温で固体の界面活性剤を含み、良好な泡立ち及び水などへの溶解性や崩壊性を呈するシャンプー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、粉末状又は固形物状のシャンプー組成物において、界面活性剤として、常温で固体の界面活性剤(成分(A))を含む場合であっても、泡立ち、洗浄力及び感触に優れる粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のシャンプー組成物を提供することができるという知見に至り、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[5]を提供する。
[1]界面活性剤を含む粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のシャンプー組成物であって、前記界面活性剤には、常温で固体である界面活性剤(成分(A))を含むことを特徴とする、シャンプー組成物。
このシャンプー組成物によれば、粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のシャンプー組成物において、界面活性剤として常温で固体の界面活性剤(成分(A))を含有するものであっても、良好な泡立ち、洗浄力及び感触を得ることができるシャンプー組成物を提供できるという効果を有する。
また、常温で固体の界面活性剤であれば、スプレードライ等の液体を粉末化する工程が不要であり、シャンプー組成物の製造工程の簡略化という観点においても、好ましい。さらに、粉末を圧縮成形して作製した固形物状のシャンプー組成物の場合には、輸送や消費者の利便性が向上する。
[2]前記界面活性剤(成分(A))は、アミノ酸型アニオン活性剤又はスルホン酸型アニオン活性剤であることを特徴とする、[1]に記載のシャンプー組成物。
この特徴によれば、常温で固体である界面活性剤(成分(A))を、アミノ酸型アニオン活性剤又はスルホン酸型アニオン活性剤と特定することで、シャンプー組成物の泡立ち及び水などへの溶解性が良好なシャンプー組成物とすることができる
[3]前記シャンプー組成物は、成分(B)として、糖類を含有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載のシャンプー組成物。
この特徴によれば、水などに溶解しやすいシャンプー組成物とすることができる。
[4]前記シャンプー組成物は、前記シャンプー組成物全体の質量に対する前記成分(A)の質量の比(成分(A)の質量/シャンプー組成物全体の質量)が、0.10以上0.50以下であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のシャンプー組成物。
この特徴によれば、界面活性剤の含有量を多くすることができ、シャンプー組成物全体の使用量を少なくすることができる。
[5]前記シャンプー組成物は、前記成分(B)の質量に対する前記成分(A)の質量の比(成分(A)の質量/成分(B)の質量)が、0.45以上0.90以下であることを特徴とする、[4]に記載のシャンプー組成物。
この特徴によれば、水などへの溶解性を向上させる効果を発揮することができる。また、圧縮成形しやすいシャンプー組成物とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、常温で固体の界面活性剤を含み、良好な泡立ち及び水などへの溶解性や崩壊性を呈するシャンプー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るシャンプー組成物の実施形態を詳細に説明する。
なお、実施形態に記載するシャンプー組成物については、本発明に係るシャンプー組成物を説明するために例示したに過ぎず、これに制限されるものではない。
【0009】
(シャンプー組成物)
本発明のシャンプー組成物は、粉末状の場合又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状場合のである。粉末の形状としては、特に制限されるものではなく、例えば、球状などが挙げられる。また、粉末の粒子径としては、特に制限されるものではないが、例えば平均粒径100~500μm、又は、メッシュ32~150(JIS Z 8801-1:2006)の粉末であることが、原料混合時の混合性、流動性、及び溶解性の点で好ましい。また、固形物の形状としても、特に制限されるものではなく、例えば、円盤状、円柱状、角柱状、球状などが挙げられる。なお、固形物とすることで、輸送や消費者の利便性が向上する。
本発明のシャンプー組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法により製造できる。例えば、粉末状の場合には、各成分を混合することで製造してもよい。また、固形物状の場合には、混合した各成分と添加剤を直接打錠、又は造粒処理した各成分と添加剤を混合して打錠することにより製造することができる。その他、パン型造粒機や転動造粒機により粒状の粒子を製造することもできる。また、ローラーコンパクターなどの圧縮成形機によりフレーク形状に圧縮成形されたものとしてもよい。シャンプー組成物の強度や生産性を向上するという観点から、シャンプー組成物は、打錠により形成された(圧縮成形された)打錠品が好ましい。
なお、シャンプー組成物としては、上記の粉末を圧縮成形して固形物状とする場合、圧縮成形が可能であれば、常温(25℃)で固定でない(液体やゲル状)成分が粉末化加工されない状態で含まれてもよいが、含まれない方が圧縮成形体を作製しやすく好ましい。
【0010】
本発明のシャンプー組成物は、シャンプーとして用いる際に、水などの溶媒に溶解して使用するものであり、界面活性剤として、常温で固体の界面活性剤(成分(A))を含むものであっても、シャンプーとして毛髪等に適用するときに、水などの溶媒への素早い溶解と良好な泡立ちとを両立することができる。
【0011】
圧縮成形されたシャンプー組成物の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、円形錠、楕円形錠、花形錠などが挙げられる。また、圧縮成形されたシャンプー組成物は、必要に応じて2分割、4分割等するための1本以上の割線を設けることができる。
固形物状のシャンプー組成物の大きさ(直径)は、特に制限されるものではなく、例えば、直径が5mm以上50mm以下である。下限値としては、より好ましくは10mmであり、更に好ましくは12mmであり、特に好ましくは14mmである。一方、上限値としては、より好ましくは30mmであり、更に好ましくは18mmであり、特に好ましくは16mmである。
なお、本明細書では、圧縮成形されたシャンプー組成物が円盤状の場合の直径は、円の中心を通る線が外周を交わる点同士を結んだものが該当し、その他の形状の場合の直径は、圧縮成形体中で最も長さのある部分が直径に該当する。
固形物状のシャンプー組成物の厚さは、特に制限されるものではなく、例えば、1.0mm以上20.0mm以下である。下限値としては、より好ましくは2.0mmであり、更に好ましくは2.5mmであり、特に好ましくは3.0mmである。一方、上限値としては、より好ましくは15.0mmであり、更に好ましくは12.0mm、特に好ましくは10.0mmである。
シャンプー組成物の大きさ、厚さを上記範囲とすることにより、洗髪時に用いる場合の分量調節がし易い大きさとなり、不必要な量の使用を防止したり、洗髪時に追加したりすることを容易なものとすることができる。
また、シャンプー組成物の大きさを20.0mm以上とすることで、小児、高齢者などによる誤飲を防止することができる。
【0012】
圧縮成形されたシャンプー組成物が水を含有する前の硬度は、粉末を圧縮成形されたシャンプー組成物としての形態が保てていればよく、特に制限されるものではないが、例えば、25℃、湿度が75%の条件下において、硬度が、0.001kgf以上、10.0kgf以下である。下限値としては、より好ましくは0.005kgfであり、更に好ましくは0.01kgfである。一方、上限値としては、より好ましくは5.0kgfであり、更に好ましくは0.5kgfであり、更により好ましくは0.1kgfである。
【0013】
また、圧縮成形されたシャンプー組成物を水(25℃)に浸し3秒後の硬度は、特に制限されるものではなく、例えば、硬度が、0.0kgf以上、3.0kgf以下である。上限値としては、より好ましくは1.0kgfであり、更に好ましくは0.5kgfであり、更により好ましくは0.1kgfである。
なお、硬度が0.0kgfとは、圧縮成形されたシャンプー組成物が水などに崩壊した状態をいう。
また、硬度の測定は、アズワン株式会社製の錠剤硬度計アナログタイプTH-1にて行った測定値であり、最小測定数値は、0.1kgfである。
圧縮成形されたシャンプー組成物の硬度を上記範囲とすることにより、水などを含む前の輸送や保管時等の利便性の観点と、圧縮成形されたシャンプー組成物の使用時に水などに浸して圧を加えた際に崩しやすいという観点の利便性の両立を備えることができる効果がある。
【0014】
次に、圧縮成形されたシャンプー組成物の製造方法について説明する。
圧縮成形されたシャンプー組成物の製造方法は、化粧料、医薬部外品、医薬品などの技術分野において使用されている通常の手段を用いることができる。圧縮成形されたシャンプー組成物の製造工程としては、混合した各成分と添加剤を直接打錠してもよいし、造粒処理した各成分と添加剤を混合して打錠してもよい。
造粒方法は、特に制限されるものではなく、例えば、乾式造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法、噴霧造粒法などが挙げられる。
混合工程に用いる混合機は、特に制限されるものではなく、例えば、タンブラー混合機、V型混合機、ダブルコーン混合機、無限ミキサーなどが挙げられる。
打錠工程に用いる打錠機は、特に制限されるものではなく、例えば、単発打錠機、ロータリー式打錠機が挙げられる。
【0015】
次に、本発明のシャンプー組成物の使い方について説明する。
シャンプー組成物は、毛髪等に用いる前に、シャワー等から供給されるお湯(例えば、20℃以上、60℃以下。好ましくは、35℃以上、42℃以下)を含む水を含ませて溶解させてからシャンプー溶液として用いるものである。例えば、一方の手にシャンプー組成物を載せ、そこに適量の水を含ませて、他方の手でシャンプー組成物を溶解させて使用するものである。このようにすることで、シャンプー組成物の水などへの溶解を素早く行うことができる。
また、圧縮成形されたシャンプー組成物の場合、圧縮成形されたシャンプー組成物に水を含ませた後、手で圧をかけて使用してもよい。圧を掛けることにより、圧縮成形されたシャンプー組成物が崩れたり変形したりすることで、表面積を大きくでき素早く溶解させることができる。
【0016】
また、本発明のシャンプー組成物は、例えば、シャンプー組成物の溶解時に使用される容器とセットにして、シャンプー組成物キットとすることもできる。このようにすることで、携帯性に優れ、また、容器を備えていることにより、水などへの溶解を容易に行うことができる。
また、容器には、シャンプー組成物に使用する水の量を計量する計量線が設けられていることが好ましい。溶解する水の量を計量できることで、適切な水の量でシャンプー組成物を溶解でき、適切な濃度の溶液にすることができる。
なお、溶解時に使用される容器は、水が入れられた容器にシャンプー組成物を投入し溶解させるための容器のほか、溶解する水の量を計量するためにのみ使用され、シャンプー組成物を溶解させるための容器として使用しない場合のどちらの場合であってもよい。
【0017】
次に、本発明のシャンプー組成物の含有成分について、詳細に説明する。
(成分(A))
成分(A)としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、これらの界面活性剤のうち常温で固体のものが適用可能である。なお、常温とは25℃とする。
【0018】
具体的には、水などへの溶解性と、良好な泡立ちとの両立の観点から、常温で固体のアニオン性界面活性剤が好ましく、常温で固体のアミノ酸型アニオン活性剤、常温で固体のスルホン酸型アニオン活性剤がより好ましく、タウリン酸型アニオン性界面活性剤、グリシン型アニオン性界面活性剤、スルホ酢酸塩型アニオン性界面活性剤が更に好ましい。具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸Na)、ココイルメチルタウリンナトリウム(ココイルメチルタウリンNa)、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム(ラウリルスルホ酢酸Na)が好ましく、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムがより好ましい。
また、これらの成分(A)は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合に、組み合わせを特に制限されるものではないが、溶解性、崩壊性及び感触の観点からは、(A1)アミノ酸型アニオン活性剤及び(A2)スルホン酸型アニオン活性剤を組み合わせることが好ましい。
【0019】
なお、本発明のシャンプー組成物に用いる界面活性剤としては、成分(A)以外の界面活性剤を含ませることもできる。つまり、本発明のシャンプー組成物は、界面活性剤として成分(A)である常温で固体の界面活性剤のみとするのではなく、常温で固体ではない(例えば液体やペースト状)界面活性剤を含ませることもできる。しかしながら、水などへの溶解性の向上の観点からは、界面活性剤としては、成分(A)である常温で固体の界面活性剤のみを含むことがより好ましい。
【0020】
本発明のシャンプー組成物における、常温で固体ではない界面活性剤(成分(A)以外の界面活性剤)の含有量は、特に制限されるものではないが、界面活性剤の粉末化という手間がかかる観点から、0質量%以上~50質量%以下であることが好ましい。上限値としては、25質量%がより好ましく、10質量%が更に好ましく、5質量%がより更に好ましく、1質量%が最も好ましい。
【0021】
シャンプー組成物全体の質量に対する成分(A)の質量の比(成分(A)の質量/シャンプー組成物全体の質量)は、特に制限されるものではないが、0.10以上0.50以下が好ましい。質量の比がこの範囲にあると、シャンプー組成物の水などへの溶解性と泡立ちにおいて、良好な効果を発揮することができる。
また、液体の界面活性剤を粉末化処理して含有させるよりも多くの常温で固体の界面活性剤を含有させることができ、圧縮成形する際の調製の観点と、シャンプー組成物としての界面活性剤の含有量の調整がしやすい点で好適である。
質量の比の下限値は、好ましくは0.15、より好ましくは0.20である。また、質量の比の上限値は、好ましくは0.40、より好ましくは0.30である。
【0022】
(成分(B))
本発明のシャンプー組成物は、成分(B)として、糖類を含有する。成分(B)は、賦形剤としての機能を担う成分である。
賦形剤は、シャンプー組成物のかさ及び水などへの崩壊性を調節するものであり、圧縮成形体とする際に成形性をよくする。賦形剤として、糖類を含有することにより、成分(A)を含む界面活性剤を配合しても水などへの溶解性に優れたシャンプー組成物とすることができる。
【0023】
(糖類)
糖類は、食品、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではないが、水などへの溶解性や崩壊性を優れたものとする観点からは、セルロース誘導体、糖アルコール、又はデンプン類が好ましい。
糖類の具体例としては、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース等の単糖類、マルトース、スクロース、トレハロース等の二糖類、セルロース等の多糖類が挙げられる。
【0024】
(セルロース誘導体)
セルロース誘導体は、多数のβ-グルコースがグリコシド結合により直鎖状に重合した構造を有する高分子化合物であり、食品、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。
セルロース、セルロース誘導体の具体例としては、例えば、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースCa)、クロスカルメロースなどが挙げられる。
【0025】
(糖アルコール)
糖アルコールは、アルドース、ケトースのカルボニル基が還元されている糖であり、食品、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。
糖アルコールの具体例としては、例えば、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチト-ル、グリセリンなどが挙げられる。
【0026】
(デンプン類)
デンプン類は、多数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した構造を有する高分子化合物であり、食品、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。
デンプン類の具体例としては、例えば、酢酸デンプン、酸化デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、コメデンプン、小麦デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、D-グルコースなどが挙げられる。
好ましいデンプン類としては、溶解性を向上させるという観点から、酢酸デンプン、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、コーンスターチ、コメデンプンおよびD-グルコースであり、より好ましくは酢酸デンプンおよびバレイショデンプン、更に好ましくは酢酸デンプンである。また、これらのデンプン類は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0027】
成分(B)としては、水などへの溶解性と成形性との観点から、酢酸デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースCa)が好ましく、溶解性と感触との観点から、トレハロースが好ましい。
【0028】
成分(B)の質量に対する成分(A)の質量の比(成分(A)の質量/成分(B)の質量)は、特に制限されるものではないが、0.45以上0.90以下であることが好ましい。質量の比がこの範囲にあると、シャンプー組成物の水などへの溶解性が良く、また、圧縮成形しやすいものとすることができる。質量の比の下限値は、より好ましくは0.50以上である。また、質量の比の上限値は、より好ましくは0.80以下である。
【0029】
(成分(C))
本発明のシャンプー組成物は、(A)成分及び(B)成分以外に、(C)炭酸塩を含有することができる。炭酸塩を含有すると、温感作用や、頭皮への心地よい刺激を与えることや、頭皮汚れが落ちやすくなることに伴う洗浄力向上の効果を発揮することができる。炭酸塩は、食品、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0030】
(その他の成分)
本発明のシャンプー組成物は、上記(A)~(C)成分以外に、必要に応じて他の成分を含有してもよい。添加する成分の具体例としては、滑沢剤、増粘剤、キレート剤、pH調節剤、成分(B)以外の賦形剤、結合剤、安定剤、保存剤、香料、直接染料、着色剤などが挙げられる。
【0031】
(滑沢剤)
滑沢剤は、粉体成分の付着力を低減して流動性を高めるものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品、食品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、フィロケイ酸塩鉱物粉末、ケイ素酸化物、飽和脂肪酸、エステル類、ワックス類、硬化植物油、脂肪、ポリエーテルなどが挙げられる。
滑沢剤の具体例としては、例えば、タルク、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、安息香酸ナトリウム、パルミチン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ミツロウ、ダイズ硬化油、カカオ脂、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、特に好ましくはステアリン酸マグネシウムである。また、これらの滑沢剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
滑沢剤を添加することにより、界面活性剤を含むシャンプー組成物では、スティッキングがより起こりやすい傾向があるが、シャンプー組成物の製造時に、スティッキングなどの打錠障害の発生を抑制することができる。滑沢剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、シャンプー組成物の質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下である。
【0032】
(増粘剤)
増粘剤は、水分に対する溶解性と粘度を有するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品、食品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、水溶性アクリル酸重合体などが挙げられる。
増粘剤の具体例としては、例えば、カルボキシビニルポリマーなどが挙げられる。また、これらの増粘剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。なお、増粘剤の粘度は、第十七改正日本薬局方に記載の毛細管粘度計法などにより測定することができる。
増粘剤を添加することにより、シャンプー組成物の成形性を向上すること、及びシャンプー組成物を溶解した水溶液に粘度を付与することができる。増粘剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、シャンプー組成物の質量に対して0.1質量%以上20.0質量%以下である。
【0033】
(キレート剤)
キレート剤は、金属イオンを不活性化するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、配位子を有し、金属イオンを結合するものなどが挙げられる。
キレート剤の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩などが挙げられる。また、これらのキレート剤は単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
キレート剤を添加することにより、シャンプー組成物の溶解性を向上することができる。
【0034】
(pH調節剤)
pH調節剤は、組成物のpHを調節するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、無機酸、有機酸、無機アルカリ、有機アルカリなどが挙げられる。
【0035】
有機酸の具体例としては、例えば、グリコール酸や乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸、コハク酸などのジカルボン酸などが挙げられる。
有機アルカリの具体例としては、例えば、モルフォリンなどの揮発性アルカリ成分、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどのアミノアルコール類、L-アルギニンやL-リジン、L-ヒスチジンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。また、これらのpH調節剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0036】
(賦形剤)
賦形剤は、シャンプー組成物のかさや成形性を調節するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品、食品などの用途に許容されるものであって、成分(B)が除かれていれば、特に制限されるものではなく、例えば、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられる。
賦形剤の具体例としては、例えば、成分(B)を除くリン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。また、これらの賦形剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
賦形剤を添加することにより、シャンプー組成物の大きさを調節することができる。
【0037】
(結合剤)
結合剤は、粉体成分の結合力を高めるものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、合成樹脂、ポリエーテル、ワックス類などが挙げられる。
結合剤の具体例としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレングリコール、パラフィン、ゼラチンなどが挙げられる。また、これらの結合剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
結合剤を添加することにより、粉末成分に結合力を与え、安定なシャンプー組成物を製造することができる。
【0038】
(安定剤)
安定剤は、有効成分の化学的分解、物理的分解を抑制するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、無機化合物、有機酸、有機酸塩、ビタミン類などが挙げられる。
安定剤の具体例としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロールなどが挙げられる。また、これらの安定剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
安定剤を添加することにより、シャンプー組成物に含有する有効成分の失活を抑制することができる。
【0039】
(保存剤)
保存剤は、微生物などの増殖を抑制するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、安息香酸塩、パラオキシ安息香酸エステル類などが挙げられる。
保存剤の具体例としては、例えば、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、メチルパラベン、プロピルパラベンなどが挙げられる。また、これらの保存剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
保存剤を添加することにより、シャンプー組成物が微生物汚染されることを防ぐことができる。
【0040】
(香料)
香料は、シャンプー組成物の嗅覚での官能感覚を改善するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、エステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、フラン類、天然物などが挙げられる。
香料の具体例としては、例えば、ラベンダー油、オレンジ油、レモン油、ローズ油、スペアミント油、ペパーミント油、シナモン油、果実エッセンス、ベンズアルデヒド、ネラール、デカナール、トリルアルデヒド、2-ドデナール、ゲラニオール、テルピネオール、ヒドロキシシトロネラール、ネロール、ノナナール、アセチルセドレン、ウンデカナール、オイゲノール、ゲラニオール、ジャスミンラクトン、シトラール、ダマスコン、ダマセノン、γ-テルピネン、バニリン、アルデヒドC-8、アルデヒドC-9、アルデヒドC-12、2,6-ジメチルオクタナールなどが挙げられる。また、これらの香料は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
香料を添加することにより、シャンプー組成物に香りを付与して嗜好性を高めることができる。
【0041】
(直接染料)
直接染料は、毛髪に付着又は浸透して染毛する色を有するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料などが挙げられる。また、これらの直接染料は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
塩基性染料の具体例としては、例えば、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 75、Basic Blue 99、Basic Blue 124、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87などが挙げられる。
天然染料の具体例としては、例えば、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素、ヘナなどが挙げられる。
ニトロ染料の具体例としては、例えば、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩などが挙げられる。
HC染料の具体例としては、例えば、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15などが挙げられる。
分散染料の具体例としては、例えば、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15などが挙げられる。
直接染料を添加することにより、成形体の染毛性を向上させることができる。
【0042】
(着色剤)
着色剤は、シャンプー組成物の嗜好性や識別性を向上させるものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然色素、合成色素などが挙げられる。
着色剤の具体例としては、例えば、コチニール、カルミン、クルクミン、リボフラビン、アンナット、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、タルク、焼成シリカ、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号などの食用合成着色料などが挙げられる。また、これらの着色剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
着色剤を添加することにより、シャンプー組成物を着色して嗜好性や識別性を高めることができる。
【0043】
その他の添加剤としては、溶解補助剤、成分(A)を除く界面活性剤、可塑剤、光沢化剤、発泡剤、防湿剤、防腐剤、流動化剤、着香剤、芳香剤、崩壊補助剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。また、これらの添加剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0044】
以上の特徴により、本発明におけるシャンプー組成物は、界面活性剤(成分(A))について、常温で固体とすることにより、シャンプー組成物に対する界面活性剤の含有量を向上することができる。また、そのことにより、シャンプーとして良好な泡立ち機能を発揮することができるとともに、水などへの溶解性も良好なものとすることができる。
【0045】
また、本発明のシャンプー組成物は、界面活性剤を含む粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状であることから、顧客に合わせた処方が行いやすい。よって、例えば、顧客の毛髪の状況(例えば、毛髪の長さ、白髪量や毛髪の明度等)や生活習慣(毛髪を切る頻度、外出することが多い等)の情報等が、データベースを備えた情報端末に入力されることで、その顧客に合わせた適切な処方やシャンプー組成物の使用量を提示できる診断方法(顧客サービス方法)が可能となる。
具体的には、顧客の毛髪の状況や生活習慣などの顧客情報が顧客本人又は店員等の第三者により情報端末に入力される入力ステップと、
入力された顧客情報に基づいて、情報端末のデータベースから顧客に最適な圧縮成形体の処方や圧縮成形体の使用量などの診断結果の情報を表示(情報端末の他、紙媒体での表示も含む)する結果表示ステップと、と備えた顧客サービス方法が例示できる。
なお、データベースを有する情報端末が他の情報端末(顧客や店舗に備えられた携帯端末等)と通信可能とし、顧客情報が他の情報端末から入力されてデータベースを有する情報端末に送信され、その診断結果が通信回線を経由して送信されて他の情報端末に表示されるようにしてもよい。
また、診断結果に基づいて、シャンプー組成物が処方され作製されるようにしてもよい。
【実施例0046】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0047】
(各剤の組成)
表1~4に示す各成分を含有する粉末シャンプー組成物及び固形物状シャンプー組成物(錠剤)を作製した。固形物状シャンプー組成物は、粒重量2g、φ20mm、圧力5KNで打錠した。打錠に使用した装置は、島津製作所(SHIMADZU)SSP-10A 油圧式 ハンドプレス機である。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。表中「(A)」~「(C)」の表記は、本願請求項及び本願明細書に記載の(A)~(C)成分に対応する化合物を示す。
なお、表1の比較例1のコカミドプロピルベタインは常温で液体の界面活性剤であり、粉末化することなく液体の状態で使用した。
【0048】
(溶解性・崩壊性評価)
実施例及び比較例に係るシャンプー組成物の溶解性・崩壊性について、以下のとおり評価した。10人の専門のパネリスト(パネラー)が、お湯で濡らしたウィッグにシャンプー組成物をこすりつけ、こすりつけ始めてから溶けるまでの時間について、15秒以内に溶ける(5点)、30秒以内に溶ける(4点)、45秒以内に溶ける(3点)、1分以内に溶ける(2点)、1分より長くかかる、又は溶け残る(1点)の5段階で評価し、各専門のパネリストの採点結果について平均値を算出した。なお、評価「△」以上であれば、シャンプー組成物としての効果性能を有する。
(評価基準)
4.6点以上:◎
3.6点以上4.6点未満:○
2.6点以上4.6点未満:●
1.6点以上2.6点未満:△
1.6点未満:×
【0049】
(泡立ち)
実施例及び比較例に係るシャンプー組成物の泡立ちについて、以下のとおり評価した。
シャンプー組成物2gを10mlの水に溶解し、それを濡れたウィッグに用いて、1分間泡立たせた場合に、専門のパネリスト10名が目視にて、泡立ちの量について、泡立ちの量がかなり多い場合は優れる(5点)、多い場合は良好(4点)、やや多い場合は可(3点)、やや少ない場合はやや不良(2点)、少ない場合は不良(1点)の5段階で採点し、各専門のパネリストの採点結果について平均値を算出した。なお、評価「△」以上であれば、シャンプー組成物としての効果性能を有する。
(評価基準)
4.6点以上:◎
3.6点以上4.6点未満:○
2.6点以上4.6点未満:●
1.6点以上2.6点未満:△
1.6点未満:×
【0050】
(硬度)
実施例及び比較例に係るシャンプー組成物の乾燥時の硬度及び3秒水(25℃)に浸した後の硬度について、アズワン株式会社製の錠剤硬度計アナログタイプTH-1を用いて測定した。評価欄において「-」は、硬度が測定限界値以下であることを示す。
【0051】
表2及び表4において、硬度のいずれも評価が「-」となり、測定限界値以下であった。そのため、参考までに実施例1に示した組成を用いて、粒重量2g、φ20mm、圧力10KNで打錠して作製したシャンプー組成物について、乾燥時及び3秒水(25℃)に浸した後の硬度を測定した。この場合、乾燥時の硬度は2.4kgfであり、3秒水に浸した後の硬度は1.90kgfであり、3秒水に浸した後の方が硬度は低くなることが分かった。このことから、本発明のシャンプー組成物は、水を含ませることで硬度が低くなる(柔らかくなる)ことが推測でき、水などへの溶解性・崩壊性効果を発揮することができることの裏付けになるものと考えられる。
【0052】
(感触)
10人の専門のパネリストが、ウィッグの洗髪中において、指通りのよさや、きしみのなさについて総合的な感触を、感触が非常に優れる(5)、感触が優れる(4)、感触が良好である(3)、感触がやや劣る(2)、感触が劣る(1)の5段階で採点し、各専門のパネリストの採点結果について平均値を算出した。なお、評価「△」以上であれば、シャンプー組成物としての効果性能を有する。
4.6点以上:◎
3.6点以上4.6点未満:○
2.6点以上4.6点未満:●
1.6点以上2.6点未満:△
1.6点未満:×
【0053】
(パネラーコメント)
パネラーコメントには、10人の専門のパネリスト(パネラー)による実施例及び比較例に係るシャンプー組成物を使用した際の意見や感想を記載した。
【0054】
【0055】
表1に示すように、実施例1~4について、溶解性・崩壊性、泡立ち、洗浄力、感触のいずれの評価においても良好、又は使用に問題ない評価となった。界面活性剤(成分(A))として、異なる2種を含んだ実施例1は、すべての評価において極めて良好な結果となった。また、1種のみを含んだ実施例2~4においては、ラウリルスルホ酢酸Na(実施例3)又はラウリル硫酸Na(実施例4)を用いたものの方が、ココイルメチルタウリンNa(実施例2)を用いたものよりも、溶解性・崩壊性の点において、良好な結果を示した。
【0056】
表2は、本発明のシャンプー組成物における、成分(A)及び成分(B)の配合比を変えた場合について、示す。
【0057】
【0058】
表2に示すように、実施例1、実施例5~10において、溶解性・崩壊性、泡立ち、洗浄力、感触のいずれの評価においても良好、又は使用に問題ない評価となった。
実施例5~8と、実施例9~10とを比較すると、実施例5~8の方が、溶解性・崩壊性、泡立ち及び感触について良好であり、各評価についてバランスの取れたシャンプー組成物を得られることが分かる。このことから、シャンプー組成物全質量に対する成分Aの質量の比(A/シャンプー組成物全量)が0.01~0.5の範囲にあると、全ての評価において良好な結果となることが分かる。また、実施例5と7とを比較すると、成分(A)の全含有量自体は同じであるが、成分(A)について、(A1)アミノ酸型及び(A2)スルホン酸型とを組み合わせて含有している実施例5の方が、(A2)スルホン酸型単独である実施例7よりも溶解性・崩壊性及び感触の評価が良好である。このことから、本発明のシャンプー組成物においては、成分(A)として(A1)アミノ酸型及び(A2)スルホン酸型とを組み合わせて用いた方が優良な効果を発揮することが分かる。また、成分(B)の質量に対する成分(A)の質量の比(A/B)が、0.45~0.9の範囲にある場合においても、全ての評価において良好な結果となることが分かる。
【0059】
表3は、本発明のシャンプー組成物における成分(B)の種類を変えた場合について、示す。
【0060】
【0061】
表3に示すように、実施例1、実施例11~実施例13において、溶解性・崩壊性、泡立ち、洗浄力、感触のいずれの評価においても良好、又は使用に問題ない評価となった。異なる種類の成分(B)を有する実施例1に対して、実施例11~実施例13は、成分(B)の含有量が実施例1における成分(B)の含有量の合計と変わらないものの、成分(B)として1種のみを含むものである。そのような場合において、溶解性・崩壊性について、実施例1は、実施例11~実施例13よりも良好な結果を示している。このことから、成分(B)として、異なる種類を含有する(2種類以上組み合わせる)と、溶解性・崩壊性の向上につながることが分かる。
【0062】
表4は、本発明のシャンプー組成物における成分(B)の配合比を変えた場合について、示す。
【0063】
【0064】
表4に示すように、実施例1、実施例14~実施例17のいずれにおいても、溶解性・崩壊性、泡立ち、洗浄力、感触のいずれの評価においても良好、又は使用に問題ない評価となった。これらのことから、成分(B)の配合比率を変えても、本発明のシャンプー組成物においては、良好な溶解性・崩壊性の効果を発揮することが分かる。
実施例14~17を比べると、実施例15は溶解性・崩壊性の評価が、実施例16は泡立ちの評価が実施例14より劣る。このことから、成分(B)の質量に対する成分(A)の質量の比(A/B)について、0.45以上0.90以下の範囲とすると、各評価が良好でありバランスの良いシャンプー組成物を得られることが分かる。
【0065】
なお、実施例1から実施例17については、圧縮成形されたトリートメント組成物(錠剤)を作製し、評価を行ったが、実施例1から実施例17に示す処方で、圧縮成形することなく粉末状の状態で同じ評価を行ったが、崩壊性以外同様の結果が得られた。