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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044197
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】トリートメント組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20240326BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K8/60
A61Q5/12
A61K8/44
A61K8/34
A61K8/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149596
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 由季
(72)【発明者】
【氏名】森井 裕
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AB312
4C083AC111
4C083AC292
4C083AC581
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD131
4C083AD212
4C083AD222
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD352
4C083BB11
4C083BB36
4C083CC33
4C083DD17
4C083DD21
4C083EE05
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】適切な粘度を有し、水などへの溶解性が良好な粉末状又は固形物状のトリートメント組成物を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、成分(A)として、アミノ酸類、油性成分、多価アルコール及び水溶性高分子化合物から選択される1種又は2種以上の成分を含むことを特徴とする、粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のトリートメント組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)として、アミノ酸類、油性成分、多価アルコール及び水溶性高分子化合物から選択される1種又は2種以上の成分を含むことを特徴とする、粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のトリートメント組成物。
【請求項2】
前記成分(A)が常温で固体の物質であることを特徴とする、請求項1に記載のトリートメント組成物。
【請求項3】
前記成分(A)は、(A-1)成分としてカチオン性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のトリートメント組成物。
【請求項4】
前記成分(A)は、(A-1)成分としてヒドロキシアルキルセルロースを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のトリートメント組成物。
【請求項5】
前記トリートメント組成物には賦形剤(成分(B))が添加され、前記賦形剤(成分(B))は、成分Aを除く糖類を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載のトリートメント組成物。
【請求項6】
前記トリートメント組成物は、前記成分(B)の質量に対する前記成分(A)の質量の比(A/B)が0.10以上5.0以下であることを特徴とする、請求項5に記載のトリートメント組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリートメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を含むトリートメント組成物は、体積が大きくなり輸送や保管時の利便性に欠ける。そのため、水を含まない状態で輸送や保管ができ、使用時に水に溶解して使用する粉末状や固形物状のトリートメント組成物が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-067906
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなトリートメント組成物がトリートメント機能を発揮するためには、毛髪等に適用時にトリートメント組成物の溶解液が毛髪等に適度に留まるだけの粘度が必要である一方、水などへの溶解性も求められる。しかしながら、粘度のために増粘する成分を多く含むと、水などへの溶解性が悪くなるという問題がある。
【0005】
また、トリートメント機能発揮のためには、感触を向上させる成分を含有する必要があり、感触向上成分をより多く含有することにより、毛髪等の感触向上も求められる。
したがって、本発明の課題は、適切な粘度を有し、水などへの溶解性が良好な粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のトリートメント組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のトリートメント組成物において、特定の成分とを含有することにより、適切な粘度を有し、水などへの溶解性が良好な粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のトリートメント組成物を提供することができるという知見に至り、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]を提供する。
[1]成分(A)として、アミノ酸類、油性成分、多価アルコール及び水溶性高分子化合物から選択される1種又は2種以上から選択される成分を含むことを特徴とする、粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のトリートメント組成物。
このトリートメント組成物によれば、輸送や需要者の利便性に優れた効果を発揮することができる。
[2]成分(A)が、常温で固体の物質であることを特徴とする、[1]に記載のトリートメント組成物。
この特徴によれば、成分(A)を常温で固体の物質を粉末にして使用することで、トリートメント組成物の水などへの溶解性を向上させることができる。また、液体の成分Aを粉末化処理してトリートメント組成物に使用する場合に比べて液体の成分Aを粉末化する手間を省くことができる。
[3]前記成分(A)が、カチオン性ポリマーを含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載のトリートメント組成物。
この特徴によれば、カチオン性ポリマーを含有することで、トリートメント組成物を溶解した水溶液に粘度を付与すること及び毛髪に感触を与える効果の両方の効果を得ることができる。さらに、トリートメント組成物の圧縮成形時の成形性を向上することができる。
[4]前記成分(A)が、ヒドロキシアルキルセルロースを含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載のトリートメント組成物。
この特徴によれば、成分(A)をヒドロキシアルキルセルロースとすることで、圧縮成形の際の成形性を向上させる効果及び溶媒にトリートメント組成物を溶解させたあとの状態において、トリートメント剤に適度な粘度を与える効果がある。
[5]前記トリートメント組成物には賦形剤(成分(B))が添加され、前記賦形剤(成分(B))は、成分Aを除く糖類を含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載のトリートメント組成物。
この特徴によれば、水などに溶解しやすいトリートメント組成物とすることができる。
[6]前記トリートメント組成物は、前記成分(B)の質量に対する前記成分(A)の質量の比(A/B)が0.10以上5.0以下であることを特徴とする、[5]に記載のトリートメント組成物。
この特徴によれば、水などへの溶解性を向上させるとともに、圧縮成形しやすいトリートメント組成物とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、適切な粘度を有し、水などへの溶解性が良好な粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状のトリートメント組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るトリートメント組成物の実施形態を詳細に説明する。
なお、実施形態に記載するトリートメント組成物については、本発明に係るトリートメント組成物を説明するために例示したに過ぎず、これに制限されるものではない。
【0010】
本発明のトリートメント組成物は、粉末状の場合又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状の場合の両方を含むものである。粉末の形状としては、特に制限されるものではなく、例えば、球状などが挙げられる。また、粉末の粒子径としては、特に制限されるものではないが、例えば平均粒径100~500μm、又は、メッシュ32~150(JIS Z 8801-1:2006)の粉末であることが、原料混合時の混合性、流動性、及び溶解性の点で好ましい。また、固形物状の形状としても、特に制限されるものではなく、例えば、円盤状、円柱状、角柱状、球状などが挙げられる。なお、固形物とすることで、輸送や消費者の利便性が向上する。
本発明のトリートメント組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法により製造できる。例えば、粉末状の場合には、各成分を混合することで製造してもよい。また、固形物状の場合には、混合した各成分と添加剤を直接打錠、又は造粒処理した各成分と添加剤を混合して打錠することにより製造することができる。その他、パン型造粒機や転動造粒機により粒状の粒子を製造することもできる。また、ローラーコンパクターなどの圧縮成形機によりフレーク形状に圧縮成形されたものとしてもよい。トリートメント組成物の強度や生産性を向上するという観点から、トリートメント組成物は、打錠により形成された(圧縮成形された)打錠品が好ましい。
【0011】
本発明のトリートメント組成物は、トリートメントとして用いる際に、水などの溶媒に溶解して使用するものであり、特に下記、成分(A)として特定された成分が、常温(25℃)で液体の成分をデキストリン等の賦形剤を用いてスプレードライ等により粉末化したものよりも、常温で固体の物質の粉末状である場合には粉末化工程の賦形剤を含まない分、トリートメント組成物への上記成分の含有量を多くする調製がしやすい。そのため、トリートメントとして毛髪等に適用するときに、水などの溶媒への素早い溶解性、適切な粘度を有すること及び毛髪等の感触効果を発揮することができる。
【0012】
圧縮成形されたトリートメント組成物の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、円形錠、楕円形錠、花形錠などが挙げられる。また、圧縮成形されたトリートメント組成物は、必要に応じて2分割、4分割等するための1本以上の割線を設けることができる。
圧縮成形されたトリートメント組成物の大きさ(直径)は、特に制限されるものではなく、例えば、直径が5mm以上50mm以下である。下限値としては、より好ましくは10mmであり、更に好ましくは12mmであり、特に好ましくは14mmである。一方、上限値としては、より好ましくは30mmであり、更に好ましくは18mmであり、特に好ましくは16mmである。
なお、本明細書では、圧縮成形されたトリートメント組成物が円盤状の場合の直径は、円の中心を通る線が外周を交わる点同士を結んだものが該当し、その他の形状の場合の直径は、圧縮成形体中で最も長さのある部分が直径に該当する。
圧縮成形されたトリートメント組成物の厚さは、特に制限されるものではなく、例えば、1.0mm以上20.0mm以下である。下限値としては、より好ましくは2.0mmであり、更に好ましくは2.5mmであり、特に好ましくは3.0mmである。一方、上限値としては、より好ましくは15.0mmであり、更に好ましくは12.0mm、特に好ましくは10.0mmである。
トリートメント組成物の大きさ、厚さを上記範囲とすることにより、洗髪時に用いる場合の分量調節がし易い大きさとなり、不必要な量の使用を防止したり、洗髪時に追加したりすることを容易なものとすることができる。
また、トリートメント組成物の大きさ(直径)を20.0mm以上とすることで、小児、高齢者などによる誤飲を防止することができる。
【0013】
圧縮成形されたトリートメント組成物が水を含有する前の硬度は、粉末を圧縮成形して作製した固形物状のトリートメント組成物としての形態が保てていればよく、特に制限されるものではないが、例えば、25℃、湿度が75%の条件下において、硬度が、0.001kgf以上、10.0kgf以下である。下限値としては、より好ましくは0.005kgfであり、更に好ましくは0.01kgfである。一方、上限値としては、より好ましくは5.0kgfであり、更に好ましくは0.5kgfであり、更により好ましくは0.1kgfである。
【0014】
また、圧縮成形されたシャンプー組成物を水(25℃)に浸し3秒後の硬度は、特に制限されるものではなく、例えば、硬度が、0.0kgf以上、3.0kgf以下である。上限値としては、より好ましくは1.0kgfであり、更に好ましくは0.5kgfであり、更により好ましくは0.1kgfである。
なお、硬度が0.0kgfとは、圧縮成形されたトリートメント組成物が水などに崩壊した状態をいう。
また、硬度の測定は、アズワン株式会社製の錠剤硬度計アナログタイプTH-1にて行った測定値であり、最小測定数値は、0.1kgfである。
圧縮成形されたトリートメント組成物の硬度を上記範囲とすることにより、水などを含む前の輸送や保管時等の利便性の観点と、圧縮成形されたトリートメント組成物の使用時に水などに浸して圧を加えた際に崩しやすいという観点の利便性の両立を備えることができる効果がある。
【0015】
次に、圧縮成形されたトリートメント組成物の製造方法について説明する。
圧縮成形されたトリートメント組成物の製造方法は、化粧料、医薬部外品、医薬品などの技術分野において使用されている通常の手段を用いることができる。圧縮成形されたトリートメント組成物の製造工程としては、混合した各成分と添加剤を直接打錠してもよいし、造粒処理した各成分と添加剤を混合して打錠してもよい。
造粒方法は、特に制限されるものではなく、例えば、乾式造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法、噴霧造粒法などが挙げられる。
混合工程に用いる混合機は、特に制限されるものではなく、例えば、タンブラー混合機、V型混合機、ダブルコーン混合機、無限ミキサーなどが挙げられる。
打錠工程に用いる打錠機は、特に制限されるものではなく、例えば、単発打錠機、ロータリー式打錠機が挙げられる。
【0016】
次に、本発明のトリートメント組成物の使い方について説明する。
トリートメント組成物は、毛髪等に用いる前に、シャワーから供給されるお湯(例えば、20℃以上、60℃以下。好ましくは、35℃以上、42℃以下)を含む水を含ませて溶解させてからトリートメント溶液として用いるものである。例えば、一方の手にトリートメント組成物を載せ、そこに適量の水を含ませて、他方の手でトリートメント組成物を溶解させて使用するものである。このようにすることで、トリートメント組成物の水などへの溶解を素早く行うことができる。
また、圧縮成形されたトリートメント組成物の場合、圧縮成形されたトリートメント組成物に水を含ませた後、手で圧をかけて使用してもよい。圧を掛けることにより、圧縮成形されたトリートメント組成物が崩れたり変形したりすることで、表面積を大きくでき素早く溶解させることができる。
【0017】
また、本発明のトリートメント組成物は、例えば、トリートメント組成物の溶解時に使用される容器とセットにして、トリートメント組成物キットとすることもできる。このようにすることで、携帯性に優れ、また、容器を備えていることにより、水などへの溶解を容易に行うことができる。
また、容器には、トリートメント組成物に使用する水の量を計量する計量線が設けられていることが好ましい。溶解する水の量を計量できることで、適切な水の量でトリートメント組成物を溶解でき、適切な濃度の溶液にすることができる。
なお、溶解時に使用される容器は、水が入れられた容器にトリートメント組成物を投入し溶解させるための容器のほか、溶解する水の量を計量するためにのみ使用され、トリートメント組成物を溶解させるための容器として使用しない場合のどちらの場合であってもよい。
【0018】
次に、本発明のトリートメント組成物の含有成分について、詳細に説明する。
なお、下記の成分(A)の状態については、特に制限されるものではないが、本発明のトリートメント組成物の水などへの溶解性を向上させる観点からは、粉末状であることが好ましい。粉末状とは、常温(25℃)において固体である物質を細かな粒状としたもの、又は常温において固体ではないもの(液体やゲル状)であっても、例えばスプレードライやドラムドライ等の粉末化処理により粉末状となったものを意味する。粉末の形状としては、特に制限されるものではなく、例えば、球状などが挙げられる。また、粉末の粒子径としては、特に制限されるものではないが、例えば平均粒径100~500μm、又は、メッシュ32~150(JIS Z 8801-1:2006)の粉末であることが、原料混合時の混合性、流動性、及び溶解性の点で好ましい。
粉末状の成分(A)の場合、トリートメント組成物の水などの溶媒への溶解性の向上及びトリートメント組成物に対する感触効果と増粘効果を有する物質の含有量を多くする観点や、粉末化する手間がかかる観点からは、粉末化処理により粉末状としたものよりも、常温において固体である物質を細やかな粒状(粉末)としたものが好ましい。
なお、上記の粉末を圧縮成形して固形物状とする場合、圧縮成形が可能であれば、常温(25℃)で固定でない(液体やゲル状)成分が粉末化加工されない状態で含まれてもよいが、含まれない方が圧縮成形体を作製しやすく好ましい。
【0019】
(成分(A))
成分(A)は、きしみやべたつき等の毛髪等の感触(以下、感触効果と表現する)を良好にし、水分に対する溶解性と粘度を与える(以下、増粘効果と表現する)成分である。成分Aの種類によっては、感触効果の方が増粘効果よりも効果の高い物質、増粘効果よりも感触効果の方が効果の高い物質又は感触効果と増粘効果の両方の効果の高い物質がある。これらの中でも、感触効果と増粘効果の両方の効果の高い物質は、成分(A-1)と表現する。成分(A)は、化粧料、医薬部外品、医薬品、食品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。
【0020】
成分(A)としては、アミノ酸類、油性成分、多価アルコール及び水溶性高分子化合物が例示できる。具体的には、感触効果の方が高い成分として、アミノ酸類、油性成分及び多価アルコールが例示でき、より具体的には、タウリン、ベタイン、ミツロウ、ポリエチレングリコール-9M(高重合ポリエチレングリコール)が例示できる。
また、増粘効果の方が高い成分としては、水溶性高分子化合物が例示でき、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロースが例示できる。さらに、感触効果及び増粘効果共に高い成分(成分(A-1))としては、例えば、カチオン性ポリマーとヒドロキシアルキルセルロースが例示でき、より好ましくは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-37、ヒドロキシアルキルセルロースである。
【0021】
トリートメント組成物における成分(A)の含有量の下限値は、適宜設定されるが、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上である。
また、トリートメント組成物における成分(A)の含有量の上限値は、適宜設定されるが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。成分(A)を上記の含有量とすることで、トリートメント組成物としての感触を得ることができ、圧縮成形しやすいトリートメント組成物とすることができる。
【0022】
(アミノ酸類)
アミノ酸類としては、親水性アミノ酸、疎水性アミノ酸及びアミノ酸誘導体が挙げられる。親水性アミノ酸としては、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸及び酸性アミノ酸が挙げられる。
【0023】
中性アミノ酸としては、例えばグリシン、テアニン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ピロリドンカルボン酸、ヒドロキシプロリン、ピペコリン酸、サルコシン、ホモセリン及びシトルリンが挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えばアルギニン、リジン、ヒスチジン及びオルニチンが挙げられる。酸性アミノ酸としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸、及びアルギニノコハク酸が挙げられる。
【0024】
疎水性アミノ酸としては、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、β-アラニン、β-アミノ酪酸及びγ-アミノ酪酸等が挙げられる。
【0025】
アミノ酸誘導体としては、例えば、タウリン(アミノエチルスルホン酸)、ベタイン(トリメチルグリシン)、アセチルグルタミン酸、アセチルメチオニン、ピロリドンカルボン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アシルグリシン塩、アシルアラニン塩及びアシルアルギニンエチルエステル塩が挙げられる。
【0026】
アミノ酸類のうち、光学異性体を有するアミノ酸類は、L体、D体又はDL体であってもよいし、アミノ酸類は塩として配合されてもよい。アミノ酸類の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、亜鉛塩などが挙げられる。
【0027】
使用されるアミノ酸誘導体は一種類のみであってもよいし、二種類以上のアミノ酸誘導体類を組み合わせて使用してもよい。
アミノ酸類の中でも、毛髪の感触を改善する効果に優れるという観点から、好ましくは中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、及びタウリンから選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくはタウリン、ベタインから選ばれる少なくとも一種であるである。
【0028】
トリートメント組成物におけるアミノ酸類の含有量の下限値は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。
また、トリートメント組成物におけるアミノ酸類の含有量の上限値は、適宜設定されるが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。アミノ酸類の含有量を上記の含有量とすることで、トリートメント組成物としての感触を得ることができ、圧縮成形しやすいトリートメント組成物とすることができる。
【0029】
(油性成分)
油性成分は、毛髪に光沢(つや)を付与し、指通り性を向上させ、きしみを抑制する作用を有する。
油性成分は、例えば、油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル油、シリコーンから選ばれる1種以上のものである。また、2種以上を選ぶ場合、同一のグループから2種以上を選ぶこともできるし、異なるグループから2種以上を選ぶこともできる。例えば、油脂から2種以上を選ぶこともできるし、油脂から1種、ロウから1種を選んで合計で2種以上とすることもできる。油性成分を含有することにより、毛髪の感触向上、褪色抑制、製剤安定性、操作性を向上することができる。
【0030】
トリートメント組成物における油性成分の含有量の下限値は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。油性成分の含有量が0.01質量%以上であると、すすぎ時や乾燥後の毛髪の感触をより向上させる。
【0031】
トリートメント組成物における油性成分の含有量の上限値は、適宜設定されるが、好ましくは15質量%以下、より好ましくは13質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは8質量%以下である。油性成分の含有量が15質量%以下であると、特にすすぎ時における毛髪の感触を向上させることができる。
【0032】
<油脂>
油脂は、トリグリセリドすなわち脂肪酸とグリセリンとのトリエステルである。例えば、オリブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。乳化安定性及び操作性の観点から、オリブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、アボカド油が好ましい。これらは1種単独で含有してもよく、2種以上含有してもよい。
【0033】
トリートメント組成物における油脂の含有量の下限値は、適宜設定されるが、好ましく0.2質量以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上である。特に、油脂が25℃で固形の場合、油脂の含有量の下限値は1.0質量%以上が好ましい。
【0034】
トリートメント組成物における油脂の含有量の上限値は、適宜設定されるが、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。特に、油脂が25℃で液状の場合、油脂の含有量の上限値は、2質量%以下が好ましい。
【0035】
<ロウ>
ロウは、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルである。ロウであれば、特に制限されないが、トリートメント組成物の毛髪への操作性の観点から例えば針入度が25℃で1以上、150以下のものである。針入度の下限値として好ましくは、15以上であり、より好ましくは25以上である。また、針入度の上限値として好ましくは110以下であり、より好ましくは80以下である。針入度が上記範囲であると、トリートメント組成物の毛髪への操作性が良好である。
【0036】
針入度とは、25±0.1℃に保ったロウの試料に、規定の針(針の質量2.5±0.02g、針保持具の質量47.5±0.02g、おもりの質量50±0.05g)が、5秒間に侵入する長さを測定し、その針入距離(mm)を10倍した値であり、JIS K-2235-5.4(1991年)に準じて測定した値である。
【0037】
ロウとして具体的には、例えば、ミツロウ(蜜蝋)、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウ等が挙げられる。本発明におけるロウとしては、ラノリン及びミツロウが好ましい。
【0038】
トリートメント組成物におけるロウの含有量の下限値は、適宜設定されるが、好ましくは0.2質量以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上である。
【0039】
トリートメント組成物におけるロウの含有量の上限値は、適宜設定されるが、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0040】
<炭化水素>
炭化水素は、炭素と水素よりなる化合物である。例えば、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、イソパラフィン類、オゾケライト、セレシン、ポリエチレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、合成スクワラン、スクワレン、水添スクワラン、リモネン、テレビン油等が挙げられる。これらの中でも、乳化安定性及び操作性の観点から、流動パラフィン、ワセリンが好ましい。また、イソパラフィン類としては、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等が挙げられる。軽質流動イソパラフィンは、一般に炭素数8~18の分岐炭素化合物の混合物であり、低分子量の炭化水素を含むと独特の臭いがあるので、イソパラフィン類の中では流動イソパラフィンが好ましい。
【0041】
トリートメント組成物における炭化水素の含有量の下限値は、適宜設定されるが、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上である。また、トリートメント組成物における炭化水素の含有量の上限値は、適宜設定されるが、10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。炭化水素が2質量%以上であると、すすぎ時や乾燥時の毛髪の感触を十分に向上させることができる。また、炭化水素が10質量%以下であると、トリートメント組成物の毛髪への操作性や、混合性をより向上させることができる。
【0042】
<高級脂肪酸>
高級脂肪酸としては、特に制限されないが、例えば炭素数6~40の脂肪酸である。炭素数として好ましくは10~24であり、より好ましくは12~18である。具体的には、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。乳化安定性及び操作性の観点から、ミリスチン酸、ステアリン酸が好ましい。また、高級脂肪酸の形状としては、特に制限されないが、25℃で固体状であるものが好ましい。
【0043】
トリートメント組成物における高級脂肪酸の含有量は、適宜設定されるが、すすぎ時や乾燥後における毛髪の感触を向上させるという観点から、含有量の下限値は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。また、トリートメント組成物における高級脂肪酸の含有量の上限値は、適宜設定されるが、好ましくは8質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。
【0044】
<アルキルグリセリルエーテル>
アルキルグリセリルエーテルは、特に制限されないが、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリングリセリルエーテル等が挙げられる。乳化安定性及び操作性の観点から、バチルアルコールが好ましい。
【0045】
トリートメント組成物におけるアルキルグリセリルエーテルの含有量は、適宜設定されるが、すすぎ時や乾燥後における毛髪の感触を向上させるという観点から、含有量の下限値は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。また、含有量の上限値は、好ましくは8質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。
【0046】
<エステル油>
エステル油は、特に制限されないが、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2-エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10~30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2-エチルヘキサン酸セチル(エチルヘキサン酸セチル)、イソステアリン酸硬化ヒマシ油等が挙げられる。これらのエステル油の中で、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油が好ましく、特に2-エチルヘキサン酸セチルが好ましい。
【0047】
トリートメント組成物における、エステル油の含有量は、適宜設定されるが、毛髪の感触を向上させるという観点から、含有量の下限値は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、含有量の上限値は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0048】
<シリコーン>
シリコーンは、有機基のついたケイ素と酸素が化学結合により交互に連なった合成高分子である。例えば、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650~10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。シリコーンとしては、平均重合度650~10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)が好ましい。
【0049】
上記のうち、アミノ変性シリコーンとしては、例えば、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。アミノ変性シリコーンとしては、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アモジメチコン)が好ましい。
【0050】
トリートメント組成物におけるシリコーンの含有量は、適宜設定されるが、すすぎ時や乾燥後における毛髪の感触を向上させるという観点から、含有量の下限値は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上である。また、含有量の上限値は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0051】
(多価アルコール)
多価アルコールは、保湿性を有し、毛髪などの指通りやきしみ等の感触を良好にする作用及び製剤安定性の向上作用を有している。
多価アルコールとしては、例えばグリコール、グリセリン等が挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。1種の多価アルコールを単独で使用してもよく、2種以上の多価アルコールを組み合わせて使用してもよい。製剤安定性の観点から、特にポリエチレングリコールが好ましい。
【0052】
本発明のトリートメント組成物におけるポリエチレングリコールとしては、LogKow(25℃におけるオクタノール/水分配係数)が-10.0~-3.0であるポリエチレングリコール(以下、「(c)PEG」という。)が好ましい。(c)PEGとしては、平均分子量が400~1600のPEGであり、具体的には、PEG400(-3.12)、PEG600(-4.22)、PEG1000(-6.41)、PEG1540(-9.98)等が挙げられる。なお、カッコ内は、LogKowを示す。上記PEGの平均分子量は、PEG400(平均分子量360~440)、PEG600(平均分子量560~640)、PEG1000(平均分子量950~1050)、1540(平均分子量1290~1650)である。(c)PEGのLogKowは、好ましくは-7.0以上であり、さらに好ましくは-4.5以上である。具体的には(c)PEGは、好ましくはPEG1000であり、さらに好ましくはPEG600またはPEG400である。本発明のトリートメント組成物における(c)PEGの含有量は、好ましくは0.001~30質量%である。下限値として、より好ましくは0.005質量%以上であり、特に好ましくは0.01質量%以上である。上限値として、より好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下である。
【0053】
LogKowとは、水相と有機相(オクタノール相)での物質の分配のための尺度であり、以下の数式(1)のように定義される。
LogKow=log([Mo]/[Mw]) ・・・数(1)
[Mo]:オクタノール相中における物質のモル数
[Mw]:水相中における物質のモル数
【0054】
本発明において、LogKowの測定は、Syracuse Research Corporation社のプログラム「KowWIN32」を用いて算出する。
また、当該プログラムにより算出できない場合には、日本工業規格Z7260-107:2000「分配係数(1-オクタノール/水)の測定-フラスコ振とう法」により測定する。
【0055】
トリートメント組成物における、多価アルコールの含有量は、適宜設定されるが、含有量の下限値は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、特に好ましくは0.2質量%以上である。また、含有量の上限値は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7.5質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは2.5質量%以下である。
【0056】
(水溶性高分子化合物)
水溶性高分子化合物は、トリートメント組成物が水等の溶媒に溶解させられた後の状態において、溶液であるトリートメント剤に適度な粘度を与える。水溶性高分子化合物としては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子、無機物型高分子、及びカチオン性ポリマー、水溶性アクリル酸重合体が挙げられる。
上記水溶性高分子化合物は、1種の水溶性高分子化合物を単独で使用してもよく、2種以上の水溶性高分子化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0057】
<天然高分子>
天然高分子の具体例としては、例えばグアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、ポリビニルピロリドン、トリグルコ多糖(プルラン)等が挙げられる。
【0058】
<半合成高分子>
半合成高分子の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等が挙げられる。
これらの中でも、圧縮成形の際の成形性を向上させる観点及び溶媒にトリートメント組成物を溶解させたあとの状態において、トリートメントとして適度な粘度を与える観点から、ヒドロキシエチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロースが好ましく、ヒドロキシアルキルセルロースの中でもヒドロキシエチルセルロースがより好ましい。
【0059】
<合成高分子>
合成高分子の具体例としては、例えばポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニル(VP/VA)コポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム(ポリクオタニウム-6)(マーコート100:メルク社製)、イタコン酸とポリオキシエチレン(以下、「POE」という)アルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とPOEアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。
【0060】
<カチオン性ポリマー>
カチオン性ポリマーの具体例としては、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0061】
<カチオン性セルロース誘導体>
カチオン化セルロース誘導体の具体例としては、例えばヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(ポリクオタニウム-10(INCI名称):例えばレオガードG、同GP(ライオン社製)、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M(Amerchol社製)、セルコートSC-230M(アクゾノーベル社製))、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム-4:例えばセルコートH-100、同L-200(アクゾノーベル社製))等が挙げられる。
【0062】
<カチオン化グアーガム>
カチオン化グアーガムの具体例としては、例えば、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)等が挙げられる。
【0063】
<ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体>
また、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液)(ポリクオタニウム-6:例えばマーコート100(ルーヴリゾール社製))、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22:例えばマーコート280(ルーヴリゾール社製))、アクリル酸/ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体等が挙げられる。
【0064】
<4級化ポリビニルピロリドン>
4級化ポリビニルピロリドンの具体例としては、例えばビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩(ポリクオタニウム-11:例えばガフコート734、同755(アイエスピー・ジャパン社製))等が挙げられる。これらの具体例のうち、1種のみが単独で含有されてもよいし、2種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0065】
カチオン性ポリマーとしては、カチオン化セルロース誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体が好ましく、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)、ポリクオタニウム-37が好ましい。これらの具体例のうち、1種のみが単独で含有されてもよいし、2種以上が組み合わされて含有されてもよい。
これらのカチオン性ポリマーは、感触効果及び増粘効果共に高い成分として作用するものであり、成分(A)の中でも本発明のトリートメント組成物に含有することがより好ましいため、成分(A-1)とする。特に、成分(A-1)のカチオン性ポリマーの中でも、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム及びポリクオタニウム-37が特に好ましく、これらの1種のみが単独で含有されてもよいし、2種が組み合わされて含有されてもよい。
【0066】
トリートメント組成物における水溶性高分子化合物の含有量は、適宜設定されるが、例えば、0.01質量%以上60質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは、0.1質量%以上である。また、上限値としては、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは、40質量%以下である。これらの範囲の含有量とすることで、トリートメント組成物を溶媒に溶解させた水溶液が毛髪に留まりやすく、毛髪に感触を与える効果を高めることができる。
【0067】
<水溶性アクリル酸重合体>
水溶性アクリル酸重合体は、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。
水溶性アクリル酸重合体の具体例としては、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0068】
水溶性アクリル酸重合体は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。なお、水溶性アクリル酸重合体の粘度は、第十七改正日本薬局方に記載の毛細管粘度計法などにより測定することができる。
水溶性アクリル酸重合体を添加することにより、トリートメント組成物の圧縮成形時の成形性を向上すること、トリートメント組成物を溶解した水溶液に粘度を付与すること及び毛髪に感触を与えることができる。水溶性アクリル酸重合体の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、トリートメント組成物の質量に対しての含有量としては、0.01質量%以上60質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは、0.1質量%以上である。また、上限値としては、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは、40質量%以下である。これらの範囲の含有量とすることで、トリートメント組成物を溶媒に溶解させた水溶液が毛髪に留まりやすく、毛髪に感触を与える効果を高めることができる。
【0069】
(賦形剤(成分(B))
本発明のトリートメント組成物は、成分(B)として賦形剤を有するものである。
賦形剤は、トリートメント組成物のかさ及び水などへの溶解性や崩壊性を調節するものであり、また、圧縮成形体とする際に成形性をよくし、化粧料、医薬部外品、医薬品、食品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、成分(B)は、成分(A)を除く糖類、炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸、リン酸塩、及び硫酸塩などが挙げられる。
これらの賦形剤(成分(B))は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
賦形剤(成分(B))を含有することにより、水などへの溶解性や崩壊性に優れたトリートメント組成物とすることができる。
【0070】
賦形剤(成分(B))の含有量は、適宜設定されるものであり、特に制限されるものではないが、水などへの溶解性、崩壊性を向上する観点から、含有量の下限値は、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは45質量%以上であり、特に好ましくは60質量%以上である。また、含有量の上限値は、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%であり、さらに好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは75質量%以下である。
【0071】
<成分(A)を除く糖類>
成分(A)を除く糖類としては、単糖類、二糖類、多糖類、セルロース誘導体、糖アルコール、デンプン類等が該当する。単糖類の具体例としては、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース等が例示でき、二糖類の具体例としては、トレハロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、イソマルトース等が挙げられる。また、多糖類としては、成分Aを除く他の糖類が挙げられる。
【0072】
<セルロース誘導体>
セルロース誘導体は、多数のβ-グルコースがグリコシド結合により直鎖状に重合した構造を有する高分子化合物であり、食品、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。
セルロース誘導体の具体例としては、例えば、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどが挙げられる。溶解性及び成形性の向上の観点からは、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムが特に好ましい。
【0073】
<糖アルコール>
糖アルコールは、アルドース、ケトースのカルボニル基が還元されている糖であり、食品、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。
糖アルコールの具体例としては、例えば、成分Aを除く糖アルコールが該当し、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチト-ル、などが挙げられる。
【0074】
<デンプン類>
デンプン類は、多数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した構造を有する高分子化合物であり、食品、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではない。
デンプン類の具体例としては、例えば、酢酸デンプン、酸化デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、コメデンプン、小麦デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、D-グルコースなどが挙げられる。
好ましいデンプン類としては、溶解性及び成形性を向上させるという観点から、酢酸デンプン、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、コーンスターチ、コメデンプンおよびD-グルコースであり、より好ましくは酢酸デンプンおよびバレイショデンプン、更に好ましくは酢酸デンプンである。また、これらのデンプン類は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0075】
成分Bの賦形剤の炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。炭酸塩を含有すると、温感作用や、頭皮への心地よい刺激を与えることができる。
また、炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カルシウム等が例示でき、有機酸の具体例としては、例えば、グリコール酸や乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸、コハク酸などのジカルボン酸などが挙げられ、リン酸塩としては、リン酸カルシウム等が例示でき、硫酸塩の具体例としては硫酸カルシウムなどが例示できる。
【0076】
賦形剤としては、水などへの溶解性と成形性との観点からは、結晶セルロース、酢酸デンプン及びトレハロースがより好ましい。
【0077】
(質量比)
本発明のトリートメント組成物において、賦形剤(成分(B))の質量に対する成分(A)の質量の比(A/B)は、特に制限されるものではないが、0.10以上5.0以下であることが好ましい。質量の比がこの範囲であると、トリートメント組成物の水などへの溶解性が良く、また、圧縮成形しやすいものとすることができる。質量の比の下限値は、より好ましくは0.2、更に好ましくは0.4以上である。また、質量の比の上限値は、より好ましくは2.0、更に好ましくは1.0以下である。
【0078】
<その他の成分>
本発明のトリートメント組成物は、上記の成分(A)及び(B)以外に、必要に応じて他の成分を含有してもよい。添加する成分の具体例としては、滑沢剤、キレート剤、pH調節剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、香料、着色剤などが挙げられる。
【0079】
(滑沢剤)
滑沢剤は、粉体成分の付着力を低減して流動性を高めるものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品、食品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、フィロケイ酸塩鉱物粉末、ケイ素酸化物、飽和脂肪酸、エステル類、ワックス類、硬化植物油、脂肪、ポリエーテルなどが挙げられる。
滑沢剤の具体例としては、例えば、タルク、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、、安息香酸ナトリウム、などが挙げられる。また、これらの滑沢剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
滑沢剤を添加することにより、トリートメント組成物の製造時に、スティッキングなどの打錠障害の発生を抑制することができる。滑沢剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、トリートメント組成物の質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下である。
【0080】
(キレート剤)
キレート剤は、金属イオンを不活性化するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、配位子を有し、金属イオンを結合するものなどが挙げられる。
キレート剤の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩などが挙げられる。また、これらのキレート剤は単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
キレート剤を添加することにより、トリートメント組成物の溶解性を向上することができる。
【0081】
(pH調節剤)
pH調節剤は、組成物のpHを調節するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、無機酸、無機アルカリ、有機アルカリなどが挙げられる。
【0082】
有機アルカリの具体例としては、例えば、モルフォリンなどの揮発性アルカリ成分、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどのアミノアルコール類などが挙げられる。また、これらのpH調節剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0083】
(結合剤)
結合剤は、粉体成分の結合力を高めるものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、合成樹脂、ポリエーテル、ワックス類などが挙げられる。
結合剤の具体例としては、例えば、ポリメタクリル酸などが挙げられる。また、これらの結合剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
結合剤を添加することにより、粉末成分に結合力を与え、安定なトリートメント組成物を製造することができる。
【0084】
(崩壊剤)
崩壊剤は、錠剤を崩壊させるものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品、食品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、合成樹脂などが挙げられる。
崩壊剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
崩壊剤を添加することにより、トリートメント組成物の崩壊を促進し、水などの水溶液に対する溶解性を向上させることができる。
【0085】
(安定剤)
安定剤は、有効成分の化学的分解、物理的分解を抑制するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、無機化合物、ビタミン類などが挙げられる。
安定剤の具体例としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、トコフェロールなどが挙げられる。また、これらの安定剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
安定剤を添加することにより、トリートメント組成物に含有する有効成分の失活を抑制することができる。
【0086】
(保存剤)
保存剤は、微生物などの増殖を抑制するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、安息香酸塩、パラオキシ安息香酸エステル類などが挙げられる。
保存剤の具体例としては、例えば、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、メチルパラベン、プロピルパラベンなどが挙げられる。また、これらの保存剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
保存剤を添加することにより、トリートメント組成物が微生物汚染されることを防ぐことができる。
【0087】
(香料)
香料は、トリートメント組成物の嗅覚での官能感覚を改善するものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、エステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、フラン類、天然物などが挙げられる。
香料の具体例としては、例えば、ラベンダー油、オレンジ油、レモン油、ローズ油、スペアミント油、ペパーミント油、シナモン油、果実エッセンス、ベンズアルデヒド、ネラール、デカナール、トリルアルデヒド、2-ドデナール、ゲラニオール、テルピネオール、ヒドロキシシトロネラール、ネロール、ノナナール、アセチルセドレン、ウンデカナール、オイゲノール、ゲラニオール、ジャスミンラクトン、シトラール、ダマスコン、ダマセノン、γ-テルピネン、バニリン、アルデヒドC-8、アルデヒドC-9、アルデヒドC-12、2,6-ジメチルオクタナールなどが挙げられる。また、これらの香料は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
香料を添加することにより、トリートメント組成物に香りを付与して嗜好性を高めることができる。
【0088】
(着色剤)
着色剤は、トリートメント組成物の嗜好性や識別性を向上させるものであり、化粧料、医薬部外品、医薬品などの用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然色素、合成色素などが挙げられる。
着色剤の具体例としては、例えば、コチニール、カルミン、クルクミン、リボフラビン、アンナット、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、タルク、焼成シリカ、炭酸マグネシウム、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号などの食用合成着色料などが挙げられる。また、これらの着色剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
着色剤を添加することにより、トリートメント組成物を着色して嗜好性や識別性を高めることができる。
【0089】
その他の添加剤としては、溶解補助剤、界面活性剤、可塑剤、乳化剤、光沢化剤、発泡剤、防湿剤、防腐剤、流動化剤、着香剤、芳香剤、崩壊補助剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。また、これらの添加剤は、単独で配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0090】
以上の特徴により、本発明におけるトリートメント組成物は、適切な粘度を有し、水などへの溶解性が良好なトリートメント組成物とすることができる。
【0091】
また、本発明のトリートメント組成物は、粉末状又は粉末を圧縮成形して作製した固形物状であることから、顧客に合わせた処方が行いやすい。よって、例えば、顧客の毛髪の状況(例えば、毛髪の長さ、白髪量や毛髪の明度等)や生活習慣(毛髪を切る頻度、外出することが多い等)の情報等が、データベースを備えた情報端末に入力されることで、その顧客に合わせた適切な処方やトリートメント組成物の使用量を提示できる診断方法(顧客サービス方法)が可能となる。
具体的には、顧客の毛髪の状況や生活習慣などの顧客情報が顧客本人又は店員等の第三者により情報端末に入力される入力ステップと、
入力された顧客情報に基づいて、情報端末のデータベースから顧客に最適な圧縮成形体の処方や圧縮成形体の使用量などの診断結果の情報を表示(情報端末の他、紙媒体での表示も含む)する結果表示ステップと、を備えた顧客サービス方法が例示できる。
なお、データベースを有する情報端末が他の情報端末(顧客や店舗に備えられた携帯端末等)と通信可能とし、顧客情報が他の情報端末から入力されてデータベースを有する情報端末に送信され、その診断結果が通信回線を経由して送信されて他の情報端末に表示されるようにしてもよい。
また、診断結果に基づいて、トリートメント組成物が処方され作製されるようにしてもよい。
【実施例0092】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0093】
(各剤の組成)
表1~表6に示す各成分を含有する圧縮成形されたトリートメント組成物(錠剤)を作製した。圧縮成形されたトリートメント組成物は、粒重量2g、φ20mm、圧力5KNで打錠した。打錠に使用した装置は、島津製作所(SHIMADZU)SSP-10A 油圧式 ハンドプレス機である。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。また、各表中のA、Bは、上記成分(A)、成分(B)を意味する。
【0094】
(溶解性・崩壊性評価)
実施例及び比較例に係るトリートメント組成物の溶解性・崩壊性について、以下のとおり評価した。10人の専門のパネリスト(パネラー)が目視にて、溶媒(40℃の水)40gを入れた容器に、各実施例及び比較例に記載の組成物1gを入れ、ガラス棒で円を描くように10回混ぜ合わせた後の組成物の溶け残りの発生の有無を、溶け残りが全くない(5点)、溶け残りが僅かにある(4点)、溶け残りが少なく目立たない(3点)、溶け残りが目立つ(2点)、溶け残りが多い(1点)の5段階で評価し、各専門のパネリストの採点結果について平均値を算出した。なお、評価「△」以上であれば、トリートメント組成物としての効果性能を有する。
(評価基準)
4.6点以上:◎
3.6点以上4.6点未満:○
2.6点以上3.6点未満:●
1.6点以上2.6点未満:△
1.6点未満:×。
【0095】
(粘度)
実施例及び比較例に係るトリートメント組成物の粘度について、以下のとおり評価した。10人の専門のパネリストが目視にて、ウィッグにトリートメント組成物適用後のトリートメント組成物のウィッグ上への留まり具合について、下記の3段階で評価を行った。その評価の平均値が、2.7以上は◎、2.7未満2.4以上は○、2.4未満2.0以上は●、2.0未満1.6以上は△、1.6未満は×として評価を行った。なお、評価「△」以上であれば、トリートメント組成物としての効果性能を有する。
非常によく留まる(3点)
よく留まる(2点)
あまり留まらない(1点)
【0096】
(硬度)
実施例及び比較例に係るトリートメント組成物の乾燥時の硬度及び溶媒(25℃の水)に3秒浸した後の状態の硬度について、アズワン株式会社製の錠剤硬度計アナログタイプTH-1を用いて測定した。評価欄において「-」は、硬度が測定限界値以下であることを示す。
【0097】
表2、表4及び表6において、硬度のいずれも評価が「-」となり、測定限界値以下であった。そのため、参考までに実施例1に示した組成を用いて、粒重量2g、φ20mm、圧力40KN及び圧力10KNで打錠して作製したトリートメント組成物について、乾燥時及び3秒水(25℃)に浸した後の硬度を測定した。
この場合、打錠圧力40KNの場合は、乾燥時の硬度は8.8kgfであり、3秒水に浸した後の硬度は6.2kgfであった。また、打錠圧力10KNの場合は、乾燥時の硬度は5.7kgfであり、3秒水に浸した後の硬度は2.2kgfであった。どちらの場合も、3秒水に浸した後の方が硬度は低くなることが分かった。このことから、本発明のトリートメント組成物は、水を含ませることで硬度が低くなる(柔らかくなる)ことが推測でき、水などへの溶解性(崩壊性)効果を発揮することができることの裏付けになるものと考えられる。
【0098】
(感触)
10人の専門のパネリスト(パネラー)が、仕上がり後(洗い流して乾燥させた後)の毛髪について、なめらか感を中心として、つるつる感、しっとり感、サラサラ感も加味した、総合的なバランスの良い感触を、感触が非常に優れる(5点)、感触が優れる(4点)、感触が良好である(3点)、感触がやや劣る(2点)、感触が劣る(1点)の5段階で採点し、各専門のパネリストの採点結果について平均値を算出した。なお、評価「△」以上であれば、トリートメント組成物としての効果性能を有する。
(評価基準)
4.6点以上:◎
3.6点以上4.6点未満:○
2.6点以上3.6点未満:●
1.6点以上2.6点未満:△
1.6点未満:×。
【0099】
【表1】
【0100】
表1に示すように、実施例1~実施例6は、溶解性(崩壊性)、粘度及び感触の全てにおいて良好な結果となることが分かる。
【0101】
表2は、本発明のトリートメント組成物における、成分Aの配合比を変えた場合である。
【0102】
【表2】
【0103】
表2に示すように、実施例1、実施例7~13について、成分(A)について配合比を変えた場合であっても、溶解性・崩壊性、粘度及び感触の全てにおいて、良好、又は使用に問題ない効果を発揮することが分かる。実施例8、10、11を比較すると、ポリビニルピロリドンは、含有量を多くすると感触効果が向上し、一方で、溶解性(崩壊性)の効果を発揮しにくくなることが分かる。また、実施例1、7~11と、実施例12~13とを比べると、実施例1,7~11は、賦形剤(成分(B))の質量に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.1~5.0の範囲にあるが、実施例10及び11はその範囲にはない。この場合において、実施例1、7~11はその評価が全ての項目において◎又は○であるか、評価●が1つだけであるのに対し、実施例12及び13は評価●の方が多い。このことから、(A/B)が上記範囲内であると、より良好な効果を奏する本発明に係るトリートメント組成物とすることができることが分かる。
【0104】
表3は、本発明のトリートメント組成物における成分Aの種類を変えた場合について示す。
【0105】
【表3】
【0106】
表3に示すように、実施例1、実施例14~実施例19について、溶解性・崩壊性、粘度及び感触効果の全てにおいて良好か、使用において問題ないことが分かる。実施例1は、異なる成分Aを複数種類を含んでおり、評価項目の全てにおいて極めて良好である。実施例14~17は、成分Aとして、1種を含んでいるが、いずれの評価項目おいても、優良な結果を示している。また、成分Aとして固形の油性成分のミツロウの場合(実施例18)、成分Aとして多価アルコールのPEG-9の場合(実施例19)であっても、他の実施例と同様にトリートメント組成物としての効果を得ることができた。
【0107】
表4は、本発明のトリートメント組成物における成分Aの配合比を変えた場合について示す。
【0108】
【表4】
【0109】
表4に示すように、実施例1、実施例20~実施例26において、溶解性・崩壊性、粘度、感触の評価の全てにおいて、良好か、又は使用に問題ない結果を示している。実施例20~24と、実施例25及び26とを比較すると、実施例20~24は、賦形剤(成分(B))の質量に対する成分(A)の質量比(A/B)が0.10以上5.0以下の範囲であり、この場合には、溶解性(崩壊性)、粘度及び感触効果のバランスのとれたトリートメント組成物を得ることができることが分かる。
【0110】
表5は、本発明のトリートメント組成物における賦形剤の種類を変えた場合を示す。
【0111】
【表5】
【0112】
表5に示すように、実施例1、実施例27~実施例30について、溶解性・崩壊性、粘度、感触効果の評価の全てにおいて良好か、又は使用に問題のないことが分かる。これらのことから、本発明のトリートメント組成物の賦形剤として色々な成分を選択することができることが分かる。
【0113】
表6は、本発明のトリートメント組成物における賦形剤の配合比率を変えた場合を示す。
【0114】
【表6】
【0115】
表6に示すように、実施例1、実施例31~実施例36について、溶解性・崩壊性、粘度、感触効果の全てにおいて良好な結果を示すことが分かる。
【0116】
なお、実施例1から実施例36については、圧縮成形されたトリートメント組成物(錠剤)を作製し、評価を行ったが、実施例1から実施例36に示す処方で、圧縮成形することなく粉末状の状態で同じ評価を行ったが、崩壊性以外同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明によって、適切な粘度を有し、水などへの溶解性が良好な粉末状又は固形物状のトリートメント組成物を提供することができる。
本発明のトリートメント組成物は、ヒトの毛髪、髭、眉毛、すね毛などの体毛にトリートメント効果を付与するために利用することができる。その他、ペットなどの動物の体毛にトリートメント効果を付与するために利用してもよい。