(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044201
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】固形物及び固形物の使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240326BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240326BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q5/00
A61K8/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149601
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 由季
(72)【発明者】
【氏名】小林 爽季
(72)【発明者】
【氏名】松林 潤
(72)【発明者】
【氏名】片桐 沙や香
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB052
4C083AB312
4C083AB352
4C083AC242
4C083AC292
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD212
4C083AD222
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD272
4C083AD282
4C083CC31
4C083CC33
4C083DD21
4C083EE03
4C083EE21
4C083FF01
4C083FF04
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、容易に溶解させることができる固形物を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、溶媒を含ませて圧を加えて溶解させて使用する圧縮成形体であることを特徴とする、固形物を提供する。この固形物によれば、溶媒を含ませて手で圧を加えることで、固形物が崩れ、溶媒との表面積を大きくできることから、固形物を溶解させることが容易になる効果を発揮することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒を含ませて圧を加えて溶解させて使用する圧縮成形体であることを特徴とする、固形物。
【請求項2】
前記固形物の最大径は、10mm以上、30mm以下であり、最も厚みのある部分の厚みが2mm以上、20mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の固形物。
【請求項3】
前記固形物の形状は、平板状または凹形状であることを特徴とする、請求項1に記載の固形物。
【請求項4】
前記固形物は、毛髪化粧料であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の固形物。
【請求項5】
圧縮成形体に溶媒を含ませて圧をかけて溶解させて使用することを特徴とする、固形物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形物に関する。より詳しくは、化粧料の分野で用いる圧縮成形された固形物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形された固形物を使用者が使用時に水に溶解させて使用する毛髪化粧料等が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、圧縮成形された固形物(圧縮成形体)が開示されており、使用時に水に溶解させる毛髪洗浄剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮成形体は、固形物の原料である組成物が押し固められて塊となった状態であることから、輸送時や使用者等が取り扱いがしやすい特徴がある。一方、圧縮成形体は、塊となっていることから、粉末状態よりも表面積が小さいため、水に溶解させる際に溶解させるための手間がかかる。そのため、容易に溶解させることができる圧縮成形された固形物が望まれていた。
したがって、本発明の課題は、容易に溶解させることができる固形物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、溶媒を含ませて圧を加えて溶解させて使用する圧縮成形体であることで、容易に溶解させることができる固形物とすることができるという知見に至り、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、上記課題を解決するための本発明の固形物は、溶媒を含ませて圧を加えて溶解させて使用する圧縮成形体であることを特徴とする。
この固形物によれば、溶媒を含ませて圧を加えることで、固形物が崩れたり、固形物が柔らかくなり変形することで、溶媒との表面積を大きくできることから、固形物を溶解させることが容易になる効果を発揮することができる。
【0008】
また、本発明の固形物の一実施態様としては、固形物の最大径は、10mm以上、30mm以下であり、最も厚みのある部分の厚みが2mm以上、20mm以下であることを特徴とする。
この特徴によれば、固形物が一定の大きさであることから、持ちやすさと滑りにくさの観点から固形物に手で圧を加えやすい大きさであり、より固形物を崩したり変形させたりしやすい効果がある。
【0009】
また、本発明の固形物の一実施態様としては、固形物の形状は、平板状または凹形状であることを特徴とする。
この特徴によれば、固形物が平板状または凹形状であることから、溶媒を含んだ固形物に手で圧を加えた際に、固形物が滑って動いてしまうことを抑制できる効果がある。特に指先は曲面となっていることから、指先で圧を加える際に固形物が動きにくく効率よく固形物を崩したり変形させたりすることができる効果がある。また、手のひらも曲面を有していることから、手のひらで圧を加える場合も同様である。
【0010】
また、本発明の固形物の一実施態様としては、固形物は、毛髪化粧料であることを特徴とする。
この特徴によれば、溶媒に溶解し始めると固形物の表面が滑りやすくなる界面活性剤や増粘剤を含む毛髪化粧料であっても、手で圧を加えた際に固形物が滑って動いてしまうことを抑制でき、効率よく固形物を崩したり変形させたりして、表面積を大きくすることで溶解させやすくする効果がある。
また、固形物を頭皮に押し付ながら溶解させて使用する場合、人の頭部は曲面であり表面が平らではないため滑ってしまい効率的に溶かせないといったことを抑制することができる効果もある。
【0011】
また、上記課題を解決するための本発明の固形物の使用方法は、圧縮成形体に溶媒を含ませて圧をかけて使用することを特徴とする。
この固形物の使用方法によれば、溶媒を含ませて圧を加えることで、固形物が崩れ、溶媒との表面積を大きくできることから、固形物を溶解させることが容易になる効果を発揮することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、溶媒を含ませて圧を加えて溶解させて使用する圧縮成形体であることにより、固形物を溶解させることが容易になる固形物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)図、(b)図及び(c)図は、本発明の実施態様の円盤状の固形物を平面視した状態を示す概要図である。(d)図は、(a)図のA-A断面を示す概要図である。(e)図は、(b)図のA-A断面を示す概要図である。(f)図は、(c)図のA-A断面を示す概要図である。
【
図2】(a)図、(b)図及び(c)図は、本発明の実施態様の角型板状の固形物を平面視した状態を示す概要図である。(d)図は、(a)図のA-A断面を示す概要図である。(e)図は、(b)図のA-A断面を示す概要図である。(f)図は、(c)図のA-A断面を示す概要図である。
【
図3】(a)図は、本発明の実施態様の円盤状の固形物を平面視した状態を示す概要図である。(b)図は、(a)図のA-A断面を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る固形物1の実施形態を詳細に説明する。
なお、実施形態に記載する固形物1については、本発明に係る固形物1を説明するために例示したに過ぎず、これに制限されるものではない。
【0015】
[固形物]
本発明の固形物1は、圧縮成形されたものであり、使用者により溶媒に溶解させられて溶液としてから使用されるものであり、使用時に固形物1に溶媒を含ませて圧を加えて使用される。なお、溶媒に固形物1が溶解された溶液には、粘度を有する溶液も含み、クリーム状や泡状の状態も含むものである。
したがって、固形物1は、溶媒を含んでいない状態で輸送や保管がされることから輸送コストを削減でき、保管時の利便性も向上する効果がある。また、使用時に溶媒を含ませて手で圧を加えることで、固形物1が崩れ、溶媒との表面積を大きくできることから、固形物1を溶解させることが容易になる効果がある。また、固体物が溶解された溶液の状態で保存するよりも、固形物の状態で保存することにより、保存安定性も向上する。
【0016】
(固形物の形状)
固形物1は、所望の形状となるように粉末の組成物を圧縮成形したものであり、形状としては、特に制限されるものではないが、例えば、円盤状、円柱状、角型板状、角柱状、球状、楕円形状(カプセル形状)、花形錠などが挙げられる。なお、角型板状の角型とは、三角形、四角形、五角形以上の形状を含む。
図2では、四角形の角型板状の場合を例示している。また、固形物1は、必要に応じて2分割、4分割等するための1本以上の割線を設けることができる。
【0017】
(固形物の大きさ)
また、固形物1の大きさは、特に制限されるものではなく、例えば、固形物1の最大径r1が、10mm以上、30mm以下である。下限値としては、より好ましくは12mmであり、更に好ましくは14mmである。一方、上限値としては、より好ましくは28mmであり、更に好ましくは26mmである。
なお、本明細書では、固形物1の最大径r1は、固形物1が円盤状の場合は直径が該当し、その他の形状の場合は、固形物1中で最も長さのある部分が該当する。例えば、
図2に示すように、固形物1の形状が四角形の場合は、平面視上の対角線が最大径r1に該当する。
固形物1の大きさが10mm以上の場合、手のひらで固形物に溶媒を加えて圧を加える場合、指の間に入り込みにくく押しつぶしやすく、固形物1の大きさが30mm以下の場合、手のひらで固形物に溶媒を加えて圧を加える場合、手からこぼれにくくすることができる。
【0018】
固形物1の厚さtは、特に制限されるものではなく、例えば、2.0mm以上、20.0mm以下である。下限値としては、より好ましくは2.5mmであり、更に好ましくは3.0mmであり、特に好ましくは3.5mmである。一方、上限値としては、より好ましくは15.0mmであり、更に好ましくは12.0mm、特に好ましくは10.0mmである。
なお、本明細書では、固形物1の厚さtは、最も厚みのある部分の厚みが該当する。
【0019】
固形物1の大きさ、厚さtを上記範囲とすることにより、固形物1に手で圧を加えやすく、取り扱いをしやすい大きさとすることができる。
【0020】
(固形物の断面形状)
また、固形物1の断面の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、
図1及び
図2に示すように、中央部分が膨らむように凸状曲面4を有する形状(
図1の(c)図及び
図2の(c)図を参照)よりも平らな平面部2を有する平板状(
図1の(a)図及び
図2の(a)図を参照)または固形物1の中心に凹む窪み部3を有する凹形状(
図1の(b)図及び
図2の(b)図を参照)であることが好ましい。
なお、
図1及び
図2では、平面部2及び窪み部3は、両方の面に設けられた場合を例示したが、少なくとも一方の面に設けられていればよく、
図3に示すように平面部2と窪み部3は、組み合わせてもよい。
【0021】
また、断面形状が凹形状の場合、
図3の(a)図に示すように固形物1を平面視した場合の凹形状の平面視形状5は、特に限定されないが、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形以上の角形状が適用可能である。
凹形状の平面視形状5の凹形状の最大径r2は、特に制限されるものではなく、例えば、凹形状の最大径r2が、5.0mm以上、30mm以下である。下限値としては、より好ましくは8.0mm以上であり、更に好ましくは10.0mm以上である。一方、上限値としては、より好ましくは28mm以下であり、更に好ましくは26mm以下である。
なお、本明細書では、凹形状の平面視形状5が円形の場合は直径が該当し、その他の形状の場合は、凹形状の平面視形状5の中で最も長さのある部分が該当する。例えば、
図3に示すように、固形物1の形状が円盤状であり、凹形状の平面視形状5が四角形の場合は、平面視上の対角線が凹形状の最大径r2に該当する。
【0022】
凹形状の深さ6は特に制限されるものではなく、0.5mm以上、10mm以下である。下限値としては、より好ましくは0.8mmであり、更に好ましくは1.0mmである。一方、上限値としては、より好ましくは5.0mmであり、更に好ましくは3.0mmである。
なお、本明細書では、凹形状の深さ6は、最も深い場所が該当する。
【0023】
固形物1を平板状、凹形状、凹形状の平面視形状5及び凹形状の深さ6を上記の範囲とすることにより、溶媒を含んだ固形物1に手で圧を加えた際に、固形物1が滑って動いてしまうことを抑制できる効果がある。特に指先は曲面となっていることから、指先で圧を加える際に固形物1が動きにくく効率よく固形物1を崩すことができる効果がある。
【0024】
(固形物の硬度)
固形物1が溶媒を含有する前の硬度は、固形物1としての形態が保てていればよく、特に制限されるものではないが、例えば、25℃、湿度が75%の条件下において、硬度が、0.001kgf以上、10.0kgf以下である。下限値としては、より好ましくは0.005kgfであり、更に好ましくは0.01kgfである。一方、上限値としては、より好ましくは5.0kgfであり、更に好ましくは0.5kgfであり、更により好ましくは0.1kgfである。
【0025】
また、圧縮成形されたシャンプー組成物を水(25℃)に浸し3秒後の硬度は、特に制限されるものではなく、例えば、硬度が、0.0kgf以上、3.0kgf以下である。下限値としては、より好ましくは0.5kgfであり、更に好ましくはkgfである。一方、上限値としては、より好ましくは1.0kgfであり、更に好ましくは0.5kgfであり、更により好ましくは0.1kgfである。
なお、硬度が0.0kgfとは、固形物1が溶媒に崩壊した状態をいう。
また、硬度の測定は、アズワン株式会社製の錠剤硬度計アナログタイプTH-1にて行った測定値であり、最小測定数値は、0.1kgfである。
【0026】
固形物1の硬度を上記範囲とすることにより、溶媒を含む前の輸送や保管時等の利便性の観点と、固形物1の使用時に溶媒に浸して手で圧を加えた際に崩しやすいという観点の利便性の両立を備えることができる効果がある。
【0027】
次に、固形物1の製造方法について説明する。
固形物1の製造方法は、化粧料、医薬部外品、医薬品などの技術分野において使用されている通常の手段を用いることができる。固形物1の製造工程としては、混合した各成分と添加剤を直接打錠してもよいし、造粒処理した各成分と添加剤を混合して打錠してもよい。
造粒方法は、特に制限されるものではなく、例えば、乾式造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法、噴霧造粒法などが挙げられる。
混合工程に用いる混合機は、特に制限されるものではなく、例えば、タンブラー混合機、V型混合機、ダブルコーン混合機、無限ミキサーなどが挙げられる。
打錠工程に用いる打錠機は、特に制限されるものではなく、例えば、単発打錠機、ロータリー式打錠機が挙げられる。
【0028】
(固形物の成分)
本発明の固形物1の組成物の含有成分については、特に制限されるものではなく、例えば、化粧料、医薬部外品、医薬品に適用可能である。具体的には、毛髪化粧料に適用でき、シャンプー組成物、カラーシャンプー組成物、トリートメント組成物、カラートリートメント組成物、ヘアカラー組成物及び染毛剤組成物が例示できる。なお、シャンプーとは、界面活性剤が配合された洗浄目的のための組成物であり、トリートメントとは、毛髪に感触を向上させる成分が配合された組成物をいう。
これらの毛髪化粧料は、溶媒に溶解し始めると固形物1の表面が滑りやすくなる界面活性剤や増粘剤を含むことから、手で圧を加えた際に固形物1が滑って動いてしまうことを抑制でき、効率よく固形物1を崩すことができる効果ができる。特に、湿気のある浴室や洗面所等で手の平の上で溶解して使用される場合、これらの組成物に特に優れた効果を発揮する。
また、固形物1を頭皮に押し付ながら溶解させて使用する場合、人の頭部は曲面であり表面が平らではないため滑ってしまい効率的に溶かせないといったことを抑制することができる。
また、原料となる組成物は、粉末状であり、常温で固体のもののほか、スプレードライ等で液体を粉末状にしたものであってもよく、圧縮成形をし、固形物1を成形することができれば、液体の原料を含有していてもよい。
【0029】
[溶媒]
溶媒は、固形物1を溶解させることができる液体であればよく、水、油及び有機溶媒等が例示できる。溶媒は、取り扱いと入手のしやすさの観点から水や、シャワー等から供給されるお湯(例えば、20℃以上、60℃以下。好ましくは、35℃以上、42℃以下)であることが好ましい。
また、溶媒は粘度1mPa・s以上の粘度を有していてもよく、例えば、200mPa・s以上のシャンプー組成物に固形物1を溶解させて、カラーシャンプーとしたり、5000mPa・s以上のトリートメント組成物に固形物1を溶解させて、カラートリートメントとしたりしてもよい。
特に、粘度のある溶媒に溶解させる場合、固形物1の形状が平板状または凹形状とすることで、固形物1に手で圧を掛けた際に動いてしまうことを抑制でき、圧をかけやすくなる効果がある。
溶媒は、使用者が固形物1を使用する際に自ら入手したものを利用させる場合、固形物1と溶媒を組み合わせ一つの商品として市場に流通させる場合のどちらであってもよい。
使用者が自ら入手したものを使用させる場合は、溶媒を流通させる必要がなく、固形物1の商品の輸送コスト削減の観点から好ましい。また、固形物1と溶媒を組み合わせ一つの商品として市場に流通させる場合は、入手のしにくい溶媒や固形物1用に調製された溶媒を合わせて使用者の手元に届けることができ、使用者の利便性が向上する。
【0030】
また、本発明の固形物1は、粉末の組成物を圧縮成形したものであることから、顧客に合わせた処方が行いやすい。よって、例えば、顧客の毛髪の状況(例えば、毛髪の長さ、白髪量や毛髪の明度等)や生活習慣(毛髪を切る頻度、外出することが多い等)の情報が、データベースを備えた情報端末に入力されることで、その顧客に合わせた適切な処方や固形物1の使用量を提示できる診断方法(顧客サービス方法)が可能となる。
具体的には、顧客の毛髪の状況や生活習慣などの顧客情報が顧客本人又は店員等の第三者により情報端末に入力される入力ステップと、
入力された顧客情報に基づいて、情報端末のデータベースから顧客に最適な圧縮成形体の処方や圧縮成形体の使用量などの診断結果の情報を表示(情報端末の他、紙媒体での表示も含む)する結果表示ステップと、と備えた顧客サービス方法が例示できる。
なお、データベースを有する情報端末が他の情報端末(顧客や店舗に備えられた携帯端末等)と通信可能とし、顧客情報が他の情報端末から入力されてデータベースを有する情報端末に送信され、その診断結果が通信回線を経由して送信されて他の情報端末に表示されるようにしてもよい。
また、診断結果に基づいて、組成物が処方され、固形物1が作製されるようにしてもよい。
【実施例0031】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0032】
表1に示す各成分を含有するトリートメント組成物を圧縮成形し固形物1(表1では、圧縮成形体と表記)を作製した。固形物1は、原料を重量1g、平板状の円盤状としφ15mm、圧力5KNで打錠した。打錠に使用した装置は、島津製作所(SHIMADZU)SSP-10A 油圧式 ハンドプレス機である。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。また、溶媒は、40℃の水(温水)を3ml用いて評価した。
また、表1の比較例1は、ビー・エス・インターナショナル社製のエティークコンディショナーバーの製品を使用し、平板状の円盤状としφ15mmとなるように形状を造形して評価を行った。
【0033】
(硬度評価)
硬度は、圧縮成形体を溶媒に浸す前の状態と溶媒(25℃の水)に3秒浸した後の状態の硬度をそれぞれ測定した。硬度測定は、それぞれ3回行い、その平均の値とした。なお、硬度は、アズワン株式会社製の錠剤硬度計アナログタイプTH-1を用いて測定を行った。なお、使用した装置の最小測定数値は0.1kgfである。また、測定値の単位は、kgfである。
【0034】
(パネラーコメント)
パネラーコメントは、10人の専門のパネリスト(パネラー)に表1の成分で作成した固形物1を使用した際の意見や感想を記載した。
【0035】
なお、表1において、実施例1の溶媒に浸す前の状態と溶媒に3秒浸した後の状態の硬度のいずれも評価が最小測定数値は0.1kgf以下となり、測定限界値以下であった。
そのため、参考までに実施例1に示した組成を用いて、粒重量2g、φ20mm、圧力40KN及び圧力10KNで打錠して作成したトリートメント組成物について、乾燥時及び3秒水(25℃)に浸した後の硬度を測定した。
この場合、打錠圧力40KNの場合は、乾燥時の硬度は8.8kgfであり、3秒水(25℃)に浸した後の硬度は6.2kgfであった。また、打錠圧力10KNの場合は、乾燥時の硬度は5.7kgfであり、3秒水(25℃の水)に浸した後の硬度は2.2kgfであった。どちらの場合も、3秒水(25℃の水)に浸した後の方が硬度は低くなることが分かった。このことから、本発明のトリートメント組成物は、水を含ませることで硬度が低くなる(柔らかくなる)ことが推測でき、水などへの溶解性(崩壊性)の効果を発揮することができることの裏付けになるものと考えられる。
【0036】
【0037】
固形物の硬度が、溶媒(25℃の水)に3秒浸した後の硬度が0.1kgf以下とすることで、溶媒に浸した後に押しつぶしやすく容易に溶解させることができることが確認できる。
【0038】
(固形物の形状の評価)
表2では、表1に示す各成分を含有するトリートメント組成物を圧縮成形し固形物1(表2では、圧縮成形体と表記)を作製した。固形物1の形状は、原料を重量1g、円盤状とし、表2の各実施例の直径、厚みとなるように打錠した。また、溶媒は、40℃の水(温水)を3ml用いて評価した。
【0039】
(持ちやすさ)
10人の専門のパネリスト(パネラー)が下記の3段階で評価を行い、その平均値が、2.7以上は◎、2.7未満2.4以上は○、2.4未満2.0以上は●、2.0未満1.6以上は△、1.6未満は×として評価を行った。なお、評価が1.6以上の「△」であれば、トリートメント組成物の製品として適用可能な状態である。
3:とても持ちやすく圧をかけ易かった
2:持ちやすく圧をかけ易かった
1:持ちにくく圧をかけにくかった
【0040】
(滑りにくさ)
10人の専門のパネリストが下記の3段階で評価を行い、その平均値が、2.7以上は◎、2.7未満2.4以上は○、2.4未満2.0以上は●、2.0未満1.6以上は△、1.6未満は×として評価を行った。なお、評価が1.6以上の「△」であれば、トリートメント組成物の製品として適用可能な状態である。
3:滑ることなくとても圧をかけ易かった
2:滑ることなく圧をかけ易かった
1:滑って圧をかけにくかった
【0041】
(パネラーコメント)
パネラーコメントは、10人の専門のパネリストに表2の実施例のそれぞれの固形物1に対し溶媒を含ませて手で圧を加えて使用した際の意見や感想を記載した。
【0042】
【0043】
実施例1、実施例8及び実施例9を比較すると、錠剤の形状を平板状又は凹状とすることで、滑りにくさが向上する。
実施例1、実施例3及び実施例4を比較すると厚みが厚くなると、押しつぶす際に硬さを感じるようになる傾向が見て取れる。
実際例1、実施例5、実施例6及び実施例7を比較すると、圧縮成形体の直径が適度な大きさでないと、潰しにくくなる傾向がある。
【0044】
本実施の例では、トリートメント組成物の場合を例示したが、圧縮成形して固形物1とすることができる組成であれば、各成分の含有量の変更及び又は各成分の変更が可能である。
また、下記の表3にシャンプー組成物の処方例と、下記表4に毛髪染料の処方例を示す。これらの表3、表4の処方例も表1及び2と同様の効果を得ることができた。
また、表3及び表4の処方例においても、圧縮成形して固形物1とすることができる組成であれば、各成分の含有量の変更及び又は各成分の変更が可能である。表3及び表4の処方例の単位は質量%である。
【0045】
【0046】