(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044202
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】圧縮成形体キット
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240326BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240326BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240326BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q5/00
A61Q5/12
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149602
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 由季
(72)【発明者】
【氏名】小林 爽季
(72)【発明者】
【氏名】松林 潤
(72)【発明者】
【氏名】片桐 沙や香
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB312
4C083AC292
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD132
4C083AD212
4C083AD222
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD282
4C083AD352
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD21
4C083DD47
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、容易に溶解させることができる利便性のよい圧縮成形体キットを提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、圧縮成形体と、圧縮成形体の溶解に使用される容器とを備えたことを特徴とする、圧縮成形体キットを提供する。この圧縮成形体キットによれば、使用時に容器の準備をする必要のない利便性のよい圧縮成形体キットとすることができる効果がある。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮成形体と、圧縮成形体の溶解に使用される容器とを備えることを特徴とする、圧縮成形体キット。
【請求項2】
前記容器は、溶媒を計量する計量手段を備えたことを特徴とする、請求項1記載の圧縮成形体キット。
【請求項3】
圧縮成形体の体積(A)に対する容器に収容される溶媒の体積(B)の比(B/A)が、5以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧縮成形体キット。
【請求項4】
前記圧縮成形体の最大径は、5mm以上、50mm以下であり、最も厚みのある部分の厚みが2mm以上、20mm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧縮成形体キット。
【請求項5】
圧縮成形体は、毛髪化粧料であることを特徴とする、請求項2に記載の圧縮成型体キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形体キットに関する。より詳しくは、化粧料の分野の圧縮成形体と圧縮成形体の溶解時に使用される容器を備えたキットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮成形体を使用者が使用時に水に溶解させて使用する毛髪化粧料等が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、圧縮成形された固形物(圧縮成形体)が開示されており、使用時に水に溶解させる毛髪洗浄剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮成形体は、原料である組成物が押し固められて塊となった状態であることから、輸送時や使用者等が取り扱いがしやすい特徴がある一方、圧縮された塊となっていることから、粉末状態よりも表面積が小さいため、液体に溶解させる際に溶解させるための手間がかかる。また、液体を留めておくことができる容器が必要な点や圧縮成形体を溶解させる際に適切な液体の量で溶解させる必要があることから、圧縮成形体だけを市場に流通させるだけでは、使用者の利便性に欠ける。よって、これらの圧縮成形された固形物を容易に溶解させることができることが望まれていた。
したがって、本発明の課題は、容易に溶解させることができる利便性のよい圧縮成形体キットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、圧縮成形体と、圧縮成形体の溶解時に使用される容器とを備えることで、容易に溶解させることができる利便性のよい圧縮成形体キットとすることができるという知見に至り、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、上記課題を解決するための本発明の圧縮成形体キットは、圧縮成形体と、圧縮成形体の溶解時に使用される容器とを備えたことを特徴とする。
この圧縮成形体キットによれば、圧縮成形体の溶解時に使用する容器を用いて圧縮成形体を溶解させることができることから、使用時に容器の準備をする必要のない利便性のよい圧縮成形体キットとすることができる効果がある。
【0008】
また、本発明の圧縮成型体キットの一実施態様としては、容器は、溶媒を計量する計量手段を備えたことを特徴とする。
この特徴によれば、容器で溶媒を計量することができることで、適切な溶媒量で圧縮成形体を溶解でき、設計された適切な溶液濃度とすることができる効果がある。
【0009】
また、本発明の圧縮成型体キットの一実施態様としては、圧縮成形体の体積(A)に対する容器に収容される溶媒の体積(B)の比(B/A)が、5以上であることを特徴とする。
この特徴によれば、圧縮成形体1として扱いやすい大きさ(体積)を確保でき、溶解させた溶液も適度な量に調製しやすい効果がある。
【0010】
本発明の圧縮成型体キットの一実施態様としては、前記圧縮成形体の最大径は、5mm以上、50mm以下であり、最も厚みのある部分の厚みが2mm以上、20mm以下であることを特徴とする。
この特徴によれば、圧縮成形体を一定の大きさにすることにより、圧縮成形体に手で圧を加えやすく、取り扱いをしやすい大きさとすることができ、容器と流通する圧縮成形体キットとして携帯性の観点から好ましい。さらに、容器が袋の場合、袋の上から潰したり、容器11がアプリケーターのような一定の形状を維持できるものの場合、振とう撹拌して容器の内壁に衝突させたりしやすくなり、圧縮成形体を容易に均一に溶解させることが可能となる効果がある。
【0011】
また、本発明の圧縮成形体キットの一実施態様としては、圧縮成形体は、毛髪化粧料であることを特徴とする特徴とする。
この特徴によれば、圧縮成形体が毛髪化粧料であることから、設計した均一な溶液として、毛髪に適用しやすい効果がある。
具体的には、圧縮成型体に対して適当な溶媒量を計測できる容器と販売することで、圧縮成型体を適当な溶媒量で溶解できることから、圧縮成形体がシャンプー組成物であれば、毛髪全体に均一に適用でき、均一な泡立ちで洗髪が可能なシャンプー組成物の溶液となる。また、圧縮成形体がトリートメント組成物であれば、粘度のムラがなく、均一に毛髪に適用しやすくなるトリートメント組成物の溶液となる効果がある。さらに、圧縮成形体がカラートリートメントであれば、染毛ムラがなく、均一に毛髪に適用が可能なカラートリートメント溶液となる効果がある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、圧縮成形体の溶解時に使用する容器を用いて圧縮成形体を溶解させることができることから、使用時に容器の準備をする必要のない利便性のよい圧縮成形体キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)図、(b)図及び(c)図は、本発明の実施態様の圧縮成形体キットに使用される円盤状の圧縮成形体を平面視した状態を示す概要図である。(d)図は、(a)図のA-A断面を示す概要図である。(e)図は、(b)図のA-A断面を示す概要図である。(f)図は、(c)図のA-A断面を示す概要図である。
【
図2】(a)図、(b)図及び(c)図は、本発明の実施態様の圧縮成形体キットに使用される角型板状の圧縮成形体を平面視した状態を示す概要図である。(d)図は、(a)図のA-A断面を示す概要図である。(e)図は、(b)図のA-A断面を示す概要図である。(f)図は、(c)図のA-A断面を示す概要図である。
【
図3】(a)図は、本発明の実施態様の圧縮成形体キットに使用される円盤状の圧縮成形体を平面視した状態を示す概要図である。(b)図は、(a)図のA-A断面を示す概要図である。
【
図4】(a)図は、本発明の圧縮成形体キットを示す概要図である。(b)図は、本発明の圧縮成形体キットの容器で計量した状態を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る圧縮成型体キットの実施形態を詳細に説明する。
なお、実施形態に記載する圧縮成型体キットについては、本発明に係る圧縮成型体キットを説明するために例示したに過ぎず、これに制限されるものではない。
【0015】
[圧縮成型体キット]
図4を参照し、本発明の圧縮成形体キット10について説明する。本発明の圧縮成形体キット10は、圧縮成形体1と圧縮成形体1を溶解させるための容器11を備える。圧縮成形体1は、使用者により容器11を使用して溶媒12に溶解させられて溶液としてから使用されるものである。
【0016】
(容器)
容器11は、圧縮成形体1の溶解時に使用されるものであり、溶媒12である液体を溜めておくことができるものであれば特に制限されるものではないが、
図4(a)図に示すように、容器11には、圧縮成形体1の溶解に必要な溶媒量を計量するための計量手段13が設けられていることが好ましい。容器11で溶媒12を計量することができることで、適切な溶媒量で圧縮成形体1を溶解でき、設計された適切な溶液濃度とすることができる効果がある。
具体的には、計量手段13は、容器11に溶媒12を注ぎ込む量を示す計量線や目盛り等の目印を設けることが例示できる。なお、計量手段13が設けられた容器11の内部に圧縮成形体1を投入し溶解させるための容器11として使用してもよく、容器11は溶媒12を計量するためにのみ使用され、圧縮成形体1を溶解させるための容器11として使用しない場合のどちらであってもよい。
圧縮成形体1を溶解させるための容器11として使用しない場合は、例えば、圧縮成形体キット10は、使用者の手のひらで圧縮成形体1に容器11で計量した溶媒12を加え、指先で圧を加えて崩壊させた後に溶解して使用する方法が例示できる。
【0017】
容器11は、外圧が加えられても容器11の内部空間14の体積が変化しない又は、外圧が加えられた場合に内部空間14の体積が変化するが、内部空間14内の圧縮成形体1が押しつぶせるまで変形させることができない一定の形状を維持できる容器11や外圧が加えられると内部空間14内の圧縮成形体1が押しつぶすことができるまで体積が変化可能な袋のような容器11が例示できる。容器11の材質は特に限定されることなく、樹脂や金属が例示できる。
容器11が一定の形状を維持できるものの場合、圧縮成形体1と溶媒12を振とう撹拌する際に圧縮成形体1が容器11の内壁に衝突して崩壊するため、圧縮成形体1の表面積を大きくでき、容易に溶解させることができることから好ましい。また、圧縮成形体1が溶解された溶液の状態で保存するよりも、圧縮成形体1の状態で保存することにより、保存安定性も向上する。
また、容器11が袋の場合、圧縮成形体1を溶解させる際に、袋に溶媒12を入れた状態で袋の外側から圧縮成型体1に対し手で圧を加えることができる。よって、圧縮成形体1を崩壊させて表面積を大きくすることができる効果がある。また、袋の外側から圧縮成形体1に圧を加えることから、指先で直接圧縮成形体1に圧を加えた場合と比較して、爪の間に砕けた圧縮成形体1が入り込むことを抑制でき、使用者に不快感を与えることを抑制できる。なお、圧縮成形体1に圧を加えて崩壊させた後に、袋の口を塞いて振とう撹拌してもよい。
なお、容器11が袋の場合、包装された圧縮成形体1と容器11としての袋とが組み合わされた圧縮成形体キット10として市場に流通させてもよい。この場合、圧縮成形体キット10の体積を小さくできることから輸送効率の観点から好適であり、環境負荷を小さくできる。また、圧縮成型体1を袋で包装し、その包装の袋を容器11として使用できるようにすることで、圧縮成形体キット10の部品数が少なくでき効率よく流通させることができる点でより好ましい。この場合、包装の袋を利用することで、廃棄物を少なくできるという環境負荷の低減の観点から、さらに特に好ましい。
【0018】
圧縮成形体1を投入し溶解させるための容器11として使用する場合、容器11には圧縮成形体1と溶媒12を振とう撹拌しやすいように、内部空間14を密閉及び開放することができるジッパーのような開閉部を有する容器であることが好ましい。
また、容器11の内部空間14の体積は、特に制限されるものではなく、例えば、5ml以上、500ml以下である。下限値としては、好ましくは10ml、より好ましくは15mlであり、更に好ましくは20mlである。一方、上限値としては、好ましくは100mlであり、より好ましくは50mlであり、更に好ましくは25mlである。
容器11の内部空間14の体積を上記範囲とすることにより、撹拌がしやすい大きさである観点と圧縮成形体キット10としての携帯性の観点から好ましい。
なお、容器11が袋の場合、袋の内の最大体積が内部空間14に相当し、水を満水に入れた場合の体積が該当する。
また、容器11が開閉部を備える場合、水を満水に入れ密閉された状態の空間が内部空間14に該当する。
【0019】
また、容器11が計量手段13を備えかつ容器11に圧縮成型体1を投入して溶解させる場合、計量した溶媒12に圧縮成形体1を投入した合計体積よりも容器1の内部空間14の体積が大きいことが好ましい。容器11の内部に残部空間15を確保した状態であることから、袋の外側から指で押しつぶしても溶液がこぼれにくかったり、振とう撹拌し易かったりする効果がある。
図4(b)図に示すように、残部空間15は、内部空間14の体積から溶媒12の体積と圧縮成形体1の体積を差し引いた空間体積をいう。
残部空間15の体積は、特に制限されるものではなく、例えば、容器11の内部空間14の体積(C)に対する溶液(圧縮成形体1の体積(A)と溶媒12(B)の体積の合計)の体積(A+B)の比(C/(A+B))が、1.0を超え、10.0以下である。下限値としては、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上であり、更に好ましくは2.0以上である。一方、上限値としては、好ましくは9.0以下であり、より好ましくは8.0以下であり、更に好ましくは7.0以下である。
なお、比率が1.0とは、容器11の内部空間14の体積(C)と溶液の体積(A+B)が同じことを意味し、残部空間15のない状態である。
上記の比率の範囲とすることで、残部空間15を確保し振とう撹拌しやすく、容器11が過度に大きくならず、圧縮成形体キット10全体を適度な大きさとすることができる観点から好ましい。
【0020】
(圧縮成形体)
本発明の圧縮成形体1は、使用者により溶媒12に溶解させられて液体組成物(溶液)としてから使用されるものである。圧縮成形体1は、使用時に圧縮成形体1に溶媒12を含ませて手で圧を加えて使用されたり、容器内で振とう撹拌されたりして溶解させられる。なお、溶媒12に圧縮成形体1が溶解された液体組成物(溶液)には、粘度を有する溶液も含み、クリーム状や泡状の状態も含むものである。
したがって、圧縮成形体1は、溶媒12を含んでいない状態で輸送や保管がされることから輸送コストの削減でき、保管時の利便性も向上する効果がある。また、使用時に溶媒12を含ませて手で圧を加えることで、圧縮成形体1が崩れ、溶媒12との表面積を大きくできることから、圧縮成形体1を溶解させることが容易になる効果がある。
【0021】
(圧縮成形体の形状)
圧縮成形体1は、所望の形状となるように粉末の組成物を圧縮成形したものであり、形状としては、特に制限されるものではないが、例えば、円盤状、円柱状、角型板状、角柱状、球状、楕円形状(カプセル形状)、花形錠などが挙げられる。なお、角型板状の角型とは、三角形、四角形、五角形以上の形状を含む。
図2では、四角形の角型板状の場合を例示している。また、圧縮成形体1は、必要に応じて2分割、4分割等するための1本以上の割線を設けることができる。なお、打錠のしやすさから、圧縮成形体の形状は、円盤状であることが好ましい。
【0022】
(圧縮成形体の大きさ)
また、圧縮成形体1の大きさは、特に制限されるものではなく、例えば、圧縮成形体1の最大径r1が、5mm以上、50mm以下である。下限値としては、好ましくは10mm、より好ましくは12mmであり、更に好ましくは14mmである。一方、上限値としては、好ましくは30mmであり、より好ましくは18mmであり、更に好ましくは16mmである。
なお、本明細書では、圧縮成形体1の最大径r1は、圧縮成形体1が円盤状の場合は直径が該当し、その他の形状の場合は、圧縮成形体1中で最も長さのある部分が該当する。例えば、
図2に示すように、圧縮成形体1の形状が四角形の場合は、平面視上の対角線が最大径r1に該当する。
圧縮成形体1の大きさが5mm以上の場合、手のひらの上で圧縮成形体1に溶媒12を加えて圧を加える場合、指の間に入り込みにくくかつ押しつぶしやすく、また、容器11が袋の場合、袋の外側から圧を加える際に圧を掛けやすい効果がある。また、圧縮成形体1の大きさが50mm以下の場合、手のひらで圧縮成形体1に溶媒12を加えて圧を加える場合、手からこぼれにくくすることができ、容器11が一定の形状を維持できるものの場合、容器11と流通する圧縮成形体キット10として携帯性の観点から好ましい。
【0023】
圧縮成形体1の厚さtは、特に制限されるものではなく、例えば、2.0mm以上20.0mm以下である。下限値としては、より好ましくは2.5mmであり、更に好ましくは3.0mmであり、特に好ましくは3.5mmである。一方、上限値としては、より好ましくは15.0mmであり、更に好ましくは12.0mm、特に好ましくは10.0mmである。
なお、本明細書では、圧縮成形体の厚さtは、最も厚みのある部分の厚みが該当する。
【0024】
圧縮成形体1の大きさ、厚さtを上記範囲とすることにより、圧縮成形体1に手で圧を加えやすく、取り扱いをしやすい大きさとすることができ、容器と流通する圧縮成形体キットとして携帯性の観点から好ましい。さらに、容器11が袋の場合、袋の上から潰したり、容器11が一定の形状を維持できるものの場合、振とう撹拌して容器11の内壁に衝突させたりしやすくなり、圧縮成形体1を容易に均一に溶解させることが可能となる効果がある。
【0025】
(圧縮成形体の断面形状)
また、圧縮成形体1の断面の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、
図1及び
図2に示すように、中央部分が膨らむように凸状曲面4を有する形状(
図1の(c)図及び
図2の(c)図を参照)よりも平らな平面部2を有する平板状(
図1の(a)図及び
図2の(a)図を参照)または圧縮成形体1の中心に凹む窪み部3を有する凹形状(
図1の(b)図及び
図2の(b)図を参照)であることが好ましい。
なお、
図1及び
図2では、平面部2及び窪み部3は、両方の面に設けられた場合を例示したが、少なくとも一方の面に設けられていればよく、
図3に示すように平面部2と窪み部3は、組み合わせてもよい。
【0026】
また、断面形状が凹形状の場合、
図3の(a)図に示すように圧縮成形体1を平面視した場合の凹形状の平面視形状5は、特に限定されないが、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形以上の角形状が適用可能である。
凹形状の平面視形状5の凹形状の最大径r2は、特に制限されるものではなく、例えば、凹形状の最大径r2が、5.0mm以上、20mm以下である。下限値としては、より好ましくは5mmであり、更に好ましくは10.0mmである。一方、上限値としては、より好ましくは18mmであり、更に好ましくは16mmである。
なお、本明細書では、凹形状の平面視形状5が円形の場合は直径が該当し、その他の形状の場合は、凹形状の平面視形状5の中で最も長さのある部分が該当する。例えば、
図3に示すように、圧縮成形体1の形状が円盤状であり、凹形状の平面視形状5が四角形の場合は、平面視上の対角線が凹形状の最大径r2に該当する。
【0027】
凹形状の深さ6は特に制限されるものではなく、0.5mm以上、10mm以下である。下限値としては、より好ましくは0.8mmであり、更に好ましくは1.0mmである。一方、上限値としては、より好ましくは5.0mmであり、更に好ましくは3.0mmである。
なお、本明細書では、凹形状の深さ6は、最も深い場所が該当する。
【0028】
圧縮成形体1を平板状、凹形状、凹形状の平面視形状5及び凹形状の深さ6を上記の範囲とすることにより、溶媒12を含んだ圧縮成形体1に手で圧を加えた際に、圧縮成形体1が滑って動いてしまうことを抑制できる効果がある。特に指先は曲面となっていることから、指先で圧を加える際に圧縮成形体1が動きにくく効率よく圧縮成形体1を崩すことができる効果がある。なお、この効果は、手のひらで溶解させる場合と容器11として袋を用いその袋の外側から圧を加える場合の両方の場合で発揮される効果である。
【0029】
(圧縮成形体の硬度)
圧縮成形体1が溶媒12を含有する前の硬度は、圧縮成形体1としての形態が保てていればよく、特に制限されるものではないが、例えば、25℃、湿度が75%の条件下において、硬度が、0.001kgf以上、10.0kgf以下である。下限値としては、より好ましくは0.005kgfであり、更に好ましくは0.01kgfである。一方、上限値としては、より好ましくは5.0kgfであり、更に好ましくは0.5kgfであり、更により好ましくは0.1kgfである。
【0030】
また、圧縮成形されたシャンプー組成物を水(25℃)に浸し3秒後の硬度は、特に制限されるものではなく、例えば、硬度が、0.0kgf以上、3.0kgf以下である。下限値としては、より好ましくは0.5kgfであり、更に好ましくはkgfである。一方、上限値としては、より好ましくは1.0kgfであり、更に好ましくは0.5kgfであり、更により好ましくは0.1kgfである。 なお、硬度が0.0kgfとは、圧縮成形体1が溶媒12に崩壊した状態をいう。
また、硬度の測定は、アズワン株式会社製の錠剤硬度計アナログタイプTH-1にて行った測定値であり、最小測定数値は、0.1kgfである。
【0031】
圧縮成形体1の硬度を上記範囲とすることにより、溶媒12を含む前の輸送や保管時等の利便性の観点と、圧縮成形体1の使用時に溶媒12に浸して袋の上から手で圧を加えた際に崩しやすく振とう撹拌にも優れるという観点の利便性の両立を備えることができる効果がある。
【0032】
次に、圧縮成形体1の製造方法について説明する。
圧縮成形体1の製造方法は、化粧料、医薬部外品、医薬品などの技術分野において使用されている通常の手段を用いることができる。圧縮成形体1の製造工程としては、混合した各成分と添加剤を直接打錠してもよいし、造粒処理した各成分と添加剤を混合して打錠してもよい。
造粒方法は、特に制限されるものではなく、例えば、乾式造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、撹拌造粒法、噴霧造粒法などが挙げられる。
混合工程に用いる混合機は、特に制限されるものではなく、例えば、タンブラー混合機、V型混合機、ダブルコーン混合機、無限ミキサーなどが挙げられる。
打錠工程に用いる打錠機は、特に制限されるものではなく、例えば、単発打錠機、ロータリー式打錠機が挙げられる。
【0033】
(圧縮成形体の成分)
本発明の圧縮成形体1の組成物の含有成分については、特に制限されるものではなく、例えば、化粧料、医薬部外品、医薬品に適用可能である。具体的には、毛髪化粧料に適用でき、シャンプー組成物、カラーシャンプー組成物、トリートメント組成物、カラートリートメント組成物、ヘアカラー組成物及び染毛剤組成物が例示できる。なお、シャンプーとは、界面活性剤が配合された洗浄目的のための組成物であり、トリートメントとは、毛髪に感触を向上させる成分が配合された組成物をいう。
これらの毛髪化粧料1は、溶媒に溶解し始めると圧縮成形体1の表面が滑りやすくなる界面活性剤や増粘剤を含むことから、容器11が袋の場合、袋の外側から手で圧を加えた際に圧縮成形体1が滑って動いてしまうことを抑制でき、効率よく圧縮成形体1を崩すことができる効果ができる。特に、容器11が溶媒の計量に使用され、湿気のある浴室や洗面所等で手の平の上で溶解して使用される場合、これらの組成物に特に優れた効果を発揮する。
また、本発明の圧縮成形体キット10とし、圧縮成型体1に対して適当な溶媒量を計測できる容器11と販売することで、圧縮成型体1を適当な溶媒量で溶解できることから、圧縮成形体1がシャンプー組成物であれば、毛髪全体に均一に適用でき、均一な泡立ちで洗髪が可能なシャンプー組成物の溶液となる。また、圧縮成形体1がトリートメント組成物であれば、粘度のムラがなく、均一に毛髪に適用しやすくなるトリートメント組成物の溶液となる効果がある。さらに、圧縮成形体1がカラートリートメントであれば、染毛ムラがなく、均一に毛髪に適用が可能なカラートリートメント溶液となる効果がある。
また、原料となる組成物は、粉末状であり、常温で固体のもののほか、スプレードライ等で液体を粉末状にしたものであってもよく、圧縮成形をし、圧縮成形体1を成形することができれば、液体の原料を含有していてもよい。
【0034】
圧縮成形体1の体積(A)に対する容器に収容される溶媒の体積(B)の比(B/A)は、特に限定されることはないが、例えば、5.0以上である。下限値としては、好ましくは40.0以上、より好ましくは60.0以上であり、更に好ましくは70.0以上である。一方、上限値としては、好ましくは200以下であり、より好ましくは150以下であり、更に好ましくは100以下である。
上記の比率を5.0以上とすることで、圧縮成形体1として扱いやすい大きさ(体積)を確保でき、溶解させた溶液も適度な量に調製しやすい観点から好ましく、比率を200以下とすることで、容器11が大きくなりすぎず、適度な大きさの容器11にできることから、圧縮成形体キット10全体の携帯性の観点から好ましい。
【0035】
[溶媒]
溶媒12は、圧縮成形体1を溶解させることができる液体であればよく、水、油及び有機溶媒等が例示できる。溶媒12は、取り扱いと入手のしやすさの観点から水や、シャワー等から供給されるお湯(例えば、20℃以上、60℃以下。好ましくは、35℃以上、42℃以下)であることが好ましい。
また、溶媒は粘度1mPa・s以上の粘度を有していてもよく、例えば、200mPa・s以上のシャンプー組成物に固形物1を溶解させて、カラーシャンプーとしたり、5000mPa・s以上のトリートメント組成物に固形物1を溶解させて、カラートリートメントとしたりしてもよい。
特に、粘度のある溶媒に溶解させる場合、固形物1の形状が平板状または凹形状とすることで、固形物1に手で圧を掛けた際に動いてしまうことを抑制でき、圧をかけやすくなる効果がある。
溶媒12は、使用者が圧縮成形体1を使用する際に自ら入手したものを利用させる場合、圧縮成形体1と溶媒12を組み合わせ一つの商品として市場に流通させる場合のどちらであってもよい。
使用者が自ら入手したものを使用させる場合は、溶媒12を流通させる必要がなく、圧縮成形体1の商品の輸送コスト削減の観点及び圧縮成形体1を輸送するだけとなるため輸送効率がよく、環境負荷の低減から好ましい。また、圧縮成形体1と溶媒12と容器11を組み合わせ一つの圧縮成型体キット10として市場に流通させる場合は、入手のしにくい溶媒12や圧縮成形体1用に調製された溶媒12を合わせて使用者の手元に届けることができ、使用者の利便性が向上する。なお、溶媒12を圧縮成形体1と共に流通させる場合、溶媒12の入れられた容器(袋)を本発明の容器11としてもよい。
【0036】
また、本発明の圧縮成形体1は、粉末の組成物を圧縮成形したものであることから、顧客に合わせた処方が行いやすい。よって、例えば、顧客の毛髪の状況(例えば、毛髪の長さ、白髪量や毛髪の明度等)や生活習慣(毛髪を切る頻度、外出することが多い等)の情報が、データベースを備えた情報端末に入力されることで、その顧客に合わせた適切な処方や圧縮成形体1の使用量を提示できる診断方法(顧客サービス方法)が可能となる。
具体的には、顧客の毛髪の状況や生活習慣などの顧客情報が顧客本人又は店員等の第三者により情報端末に入力される入力ステップと、
入力された顧客情報に基づいて、情報端末のデータベースから顧客に最適な圧縮成形体の処方や圧縮成形体の使用量などの診断結果の情報を表示(情報端末の他、紙媒体での表示も含む)する結果表示ステップと、と備えた顧客サービス方法が例示できる。
なお、データベースを有する情報端末が他の情報端末(顧客や店舗に備えられた携帯端末等)と通信可能とし、顧客情報が他の情報端末から入力されてデータベースを有する情報端末に送信され、その診断結果が通信回線を経由して送信されて他の情報端末に表示されるようにしてもよい。
また、診断結果に基づいて、組成物が処方され、圧縮成形体1が作製されるようにしてもよい。
【実施例0037】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0038】
(トリートメントの組成)
表1に示す処方のトリートメント組成物の圧縮成形体1を作製した。圧縮成形体1は、原料を重量1g、平板状の円盤状としφ15mm、圧力5KNで打錠した。打錠に使用した装置は、島津製作所(SHIMADZU)SSP-10A 油圧式 ハンドプレス機である。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。また、溶媒は、40℃の水(温水)を用いて評価した。
【0039】
【0040】
(振とう撹拌時の溶けやすさ)
10人の専門のパネリストが容器であるアプリケーターに圧縮成形体と水(40℃)を加え、容器を振とう撹拌させて溶解をした際の使いやすさを下記の3段階で評価を行った。その平均値が、2.7以上は◎、2.7未満2.4以上は○、2.4未満2.0以上は●、2.0未満1.6以上は△、1.6未満は×として評価を行った。なお、評価が1.6以上の「△」であれば、トリートメント組成物の製品として適用可能な状態である。
3:容易に溶解させることができた
2:溶解させやすかった
1:溶解させにくかった
【0041】
(溶解時の均一性)
容器に圧縮成形体と水を加え、振とう撹拌して溶解させた際、10人の専門のパネリストが目視にて、凝集(いわゆるダマ)の発生の有無の評価を3段階で行った。その平均値が、その平均値が、2.7以上は◎、2.7未満2.4以上は○、2.4未満2.0以上は●、2.0未満1.6以上は△、1.6未満は×として評価を行った。なお、評価が1.6以上の「△」であれば、トリートメント組成物の製品として適用可能な状態である。 3:凝集の発生が全くない
2:凝集の発生が少なく目立たない
1:凝集の発生が目立つ
【0042】
(携帯性)
10人の専門のパネリストに圧縮成形体キットを携帯する際の利便性についてアンケートし、下記の3段階の評価を行った。その平均値が、2.7以上は◎、2.7未満2.4以上は○、2.4未満2.0以上は●、2.0未満1.6以上は△、1.6未満は×として評価を行った。なお、評価が1.6以上の「△」であれば、トリートメント組成物の製品として適用可能な状態である。
3:とても携帯性に優れる
2:携帯性に優れる
1:携帯しにくいと感じる
【0043】
(パネラーコメント)
パネラーコメントは、10人の専門のパネリストに表4の成分で作製した圧縮成型体キットを使用した際の意見や感想を記載した。
【0044】
(感触の評価)
10人の専門のパネリストが、仕上がり後(洗い流して乾燥させた後)の毛髪について、なめらか感を中心として、つるつる感、しっとり感、サラサラ感も加味した、総合的なバランスの良い感触を、感触が非常に優れる(5)、感触が優れる(4)、感触が良好である(3)、感触がやや劣る(2)、感触が劣る(1)の5段階で採点し、各専門のパネリストの採点結果について平均値を算出した。なお、評価が1.6以上の「△」であれば、トリートメント組成物の製品として適用可能な状態である。
4.6点以上:◎
3.6点以上4.6点未満:○
2.6点以上4.6点未満:●
1.6点以上2.6点未満:△
1.6点未満:×
【0045】
【0046】
内部空間(容器の内部空間の体積と溶液の体積)が3以上あると、振とう撹拌しやすく、扱いやすい圧縮成型体キットにできる傾向があるといえる。
【0047】
【0048】
容器の容量が小さいと携帯性が向上する。また、圧縮成形体の体積に対して容器の体積が大きくなると振とう撹拌時の溶けやすさの評価が向上する。
【0049】
本実施の例では、圧縮成形体として表1の処方のトリートメント組成物の場合を例示したが圧縮成形体1とすることができる組成であれば、各成分の含有量の変更及び又は各成分の変更が可能である。
また、本実施の例では、圧縮成形体としてトリートメント組成物とし、容器として一定の形状を維持できる容器を用いた場合を例示したが、圧縮成形体としてトリートメント組成物とし、容器として袋を用いた場合であっても同様に適用可能である。
【0050】
また、下記表4にシャンプー組成物の処方例及び表5にカラートリートメントの処方例を示す。表4及び表5の処方例も表1~3と同様の効果を得ることができた。なお、使用した溶媒は、表4にシャンプー組成物の処方例の場合は温水(40℃)を使用し、表5にカラートリートメントの処方例の場合は、25℃において粘度200mPa・s以上の溶媒(具体的にはホーユー社製のビゲントリートメントリンスを使用)した。
また、表4及び表5の処方例においても、圧縮成形して圧縮成形体1とすることができる組成であれば、各成分の含有量の変更及び又は各成分の変更が可能である。なお、表4及び表5の処方例の単位は質量%である。
【0051】
【0052】
本発明により、圧縮成形体と、圧縮成形体の溶解時に使用される容器とを備えることにより、容器の準備をする必要のない利便性のよい圧縮成形体キットを提供することができる。
本発明の圧縮成形体キットは、化粧料の分野、特に毛髪化粧料の分野に適用可能である。また、医薬部外品、医薬品、食品分野にも適用可能である。
なお、医療分野においての使用とは、飲んだり、塗布したりすることも含み、食品分野においての使用とは、食することも含まれる。
1 圧縮成形体、2 平面部、3 窪み部、4 凸状曲面、5 凹形状の平面視形状、6凹形状の深さ、11 容器、12 溶媒、13 計量手段、14 内部空間、15 残部空間、r1 最大径、r2 凹形状の最大径、t 厚み