(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044211
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】商品収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/02 20060101AFI20240326BHJP
B65D 75/00 20060101ALI20240326BHJP
B65D 5/36 20060101ALI20240326BHJP
B65D 5/52 20060101ALI20240326BHJP
B65D 3/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65D5/02 Z
B65D75/00
B65D5/36 G
B65D5/52 H
B65D3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149611
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】390002370
【氏名又は名称】大塚包装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板東 弘敬
【テーマコード(参考)】
3E060
3E067
【Fターム(参考)】
3E060AA13
3E060AB03
3E060BA03
3E060CA02
3E060CA25
3E060CB06
3E060CB16
3E060CE03
3E060CE13
3E060CE18
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA01
3E067AB01
3E067AB81
3E067AC01
3E067BA01B
3E067BA14B
3E067BA15C
3E067BB01C
3E067BC03B
3E067EA04
3E067EB03
3E067EB11
3E067EE19
3E067EE40
3E067FA04
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】被収納物の抜け落ちを阻止する。
【解決手段】商品収納容器100の第一フラップ50は、第二フラップ22に接合される第一折曲片51と、第三フラップ33に接合される第二折曲片52と、第一折曲片51及び第二折曲片52を左右に連接した第一フラップ本体53とを備える。第三フラップ33は、第三胴板30の、第二辺12側に偏在して設けられている。底部1は、収納容器を畳んだ状態から拡開した状態で、収納空間SPに連通される挿入穴3を形成し、底部1の挿入穴3から、被収納物GDを収納空間SPに収納可能としている。底部1は、第一フラップ50と、該第一フラップ50と対向する第二フラップ22、第三フラップ33でもって、挿入穴3に被収納物GDを収納した状態で、該挿入穴3から被収納物GDが飛び出さない戻り止め機構を構成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物を収納する紙製の商品収納容器であって、
第一辺と、前記第一辺と対向する第二辺を有する第一胴板と、
前記第一辺に接合された第二胴板と、
前記第二辺に接合された第三胴板と、
を備え、
前記第二胴板の、前記第一辺と対向する第三辺側を、前記第三胴板の、前記第二辺と対向する第四辺側と接合した接合板と、前記第一胴板との間でピロー形の収納空間を形成すると共に、
前記第一胴板と前記接合板とで囲まれた前記収納空間の一方の端部である天部と、
前記天部と反対側の端部である底部と、
を形成しており、
前記底部は、
前記第一胴板の下端と接続された第一フラップと、
前記第二胴板の下端と接続された第二フラップと、
前記第三胴板の下端と接続された第三フラップと、
を備え、
前記第一フラップは、
前記第二フラップに接合される第一折曲片と、
前記第三フラップに接合される第二折曲片と、
前記第一折曲片及び第二折曲片を左右に連接した第一フラップ本体と、
を備え、
前記第三フラップは、前記第三胴板の、前記第二辺側に偏在して設けられており、
前記底部は、収納容器を畳んだ状態から拡開した状態で、前記収納空間に連通される挿入穴を形成し、
前記底部の挿入穴から、被収納物を前記収納空間に収納可能としており、
前記底部は、前記第一フラップと、該第一フラップと対向する前記第二フラップ、第三フラップでもって、前記挿入穴に被収納物を収納した状態で、該挿入穴から被収納物が飛び出さない戻り止め機構を構成している商品収納容器。
【請求項2】
請求項1に記載の商品収納容器であって、
前記第三胴板が、被収納物の取り出し時に破断する破断線を、前記第三胴板の、前記第四辺の中間から、前記第二辺側に延長している商品収納容器。
【請求項3】
請求項1に記載の商品収納容器であって、
前記第三フラップの最大幅が、前記第三胴板の下端の1/2以下の幅に形成されており、
前記第二胴板の横幅が、前記第三胴板の1/2以下であり、
前記第二フラップの最大幅が、前記第二胴板の下端と同じ幅に形成されており、
前記第一フラップの最大幅が、前記第一胴板の下端と同じ幅に形成されている商品収納容器。
【請求項4】
請求項1に記載の商品収納容器であって、
前記第一フラップ本体は、
その幅方向の中央に第一貫通口を形成すると共に、
該第一貫通口から、
前記第一フラップ本体の端縁であって前記第一折曲片側に向かって延長される第一折曲線と、
前記第一フラップ本体の端縁であって前記第二折曲片側に向かって延長される第二折曲線と、
前記第一折曲線と第二折曲線との間から前記第一フラップ本体の端縁に向かって延長される第一中間折曲線と、
を形成し、
前記挿入穴から被収納物を収納することで、前記第一中間折曲線が谷折りで、前記第一折曲線及び第二折曲線が山折りで、前記第一折曲線と第二折曲線が近接するよう構成されている商品収納容器。
【請求項5】
請求項4に記載の商品収納容器であって、
前記第一中間折曲線と前記第一折曲線との成す角度が、前記第一中間折曲線と前記第二折曲線との成す角度と等しく、20°以上である商品収納容器。
【請求項6】
請求項1に記載の商品収納容器であって、
前記第一フラップが、前記第一折曲片との第一境界線に、第一貫通スリットを形成しており、
前記第一貫通スリットと前記第一フラップの端縁との間に第一破断領域を形成しており、
前記第一フラップが、前記第二折曲片との第二境界線に、第二貫通スリットを形成しており、
前記第二貫通スリットと前記第一フラップの端縁との間に第二破断領域を形成しており、
被収納物を前記底部から挿入する際に、前記第一破断領域、第二破断領域を破断するよう構成している商品収納容器。
【請求項7】
請求項2に記載の商品収納容器であって、
前記天部は、
前記第一胴板の上端と接続された第四フラップと、
前記第二胴板の上端と接続された第五フラップと、
前記第三胴板の上端と接続された第六フラップと、
を備え、
前記第六フラップは、前記第三胴板の、前記第二辺側に偏在して設けられており、
前記第六フラップの最大幅が、前記第三胴板の上端の1/2以下の幅に形成されており、
前記第二胴板の横幅が、前記第三胴板の1/2以下であり、
前記第五フラップの最大幅が、前記第二胴板の上端と同じ幅に形成されており、
前記第四フラップの最大幅が、前記第一胴板の上端と同じ幅に形成されている商品収納容器。
【請求項8】
請求項7に記載の商品収納容器であって、
前記破断線が、前記第三胴板の上端において、前記第六フラップの端縁の近傍から前記第四辺に向かって延長されている商品収納容器。
【請求項9】
請求項7に記載の商品収納容器であって、
前記第四フラップは、
前記第五フラップに接合される第三折曲片と、
前記第六フラップに接合される第四折曲片と、
前記第三折曲片及び第四折曲片を左右に連接した第四フラップ本体と、
を備え、
前記第四フラップは、
その幅方向の中央に第二貫通口を形成すると共に、
該第二貫通口から延長される、
前記第三折曲片の端縁と連なる第三折曲線と、
前記第四折曲片の端縁と連なる第四折曲線と、
前記第三折曲線と第四折曲線との間に設けられた第二中間折曲線と、
を備え、
前記挿入穴から被収納物を収納することで、前記第二中間折曲線が谷折りで、前記第三折曲線及び第四折曲線が山折りで、前記第三折曲線と第四折曲線が近接するよう構成されている商品収納容器。
【請求項10】
請求項9に記載の商品収納容器であって、
前記第二中間折曲線と前記第三折曲線との成す角度が、前記第二中間折曲線と前記第四折曲線との成す角度と等しく、20°以上である商品収納容器。
【請求項11】
請求項10に記載の商品収納容器であって、
前記第一フラップ本体は、
その幅方向の中央に第一貫通口を形成すると共に、
該第一貫通口から、
前記第一フラップ本体の端縁であって前記第一折曲片側に向かって延長される第一折曲線と、
前記第一フラップ本体の端縁であって前記第二折曲片側に向かって延長される第二折曲線と、
前記第一折曲線と第二折曲線との間から前記第一フラップ本体の端縁に向かって延長される第一中間折曲線と、
を形成し、
前記挿入穴から被収納物を収納することで、前記第一中間折曲線が谷折りで、前記第一折曲線及び第二折曲線が山折りで、前記第一折曲線と第二折曲線が近接するよう構成されており、
前記第一中間折曲線と前記第一折曲線との成す角度が、前記第一中間折曲線と前記第二折曲線との成す角度と等しく、
前記第二中間折曲線と前記第三折曲線との成す角度が、前記第一中間折曲線と前記第一折曲線との成す角度よりも小さい商品収納容器。
【請求項12】
請求項9に記載の商品収納容器であって、
前記第四フラップが、
前記第三折曲片との第三境界線に、第一胴板側に湾曲させた第一切り込みを形成しており、
前記第四折曲片との第四境界線に、第一胴板側に湾曲させた第二切り込みを形成しており、
前記第一切り込みの裏面側を、前記第三折曲片を前記第五フラップに接合する第一接合面としており、
前記第二切り込みの裏面側を、前記第四折曲片を前記第六フラップに接合する第二接合面としている商品収納容器。
【請求項13】
請求項9に記載の商品収納容器であって、
前記挿入穴から被収納物を収納した状態で、前記天部の端面よりも、前記第三折曲片及び第四折曲片は奥側に折曲されており、
前記挿入穴から被収納物を収納した状態で、被収納物の太さが太くなるほど、前記第三折曲片及び第四折曲片と、前記天部の端面との角度が浅くなるよう構成している商品収納容器。
【請求項14】
請求項9に記載の商品収納容器であって、
前記第一胴板の下端を、前記第二胴板の下端、及び前記第三胴板の下端と揃え、
前記第二胴板の上端を、前記第三胴板の上端と揃えつつ、
前記第一胴板の上端を、前記第二胴板及び第三胴板の上端よりも突出させており、
前記第一胴板は、その上端と、前記第二胴板及び第三胴板の上端との中間で、ヘッダ折り曲げ線を形成しており、
前記第一胴板は、前記ヘッダ折り曲げ線で山折りし、前記第一胴板上端の第四フラップ折り曲げ線で谷折りして、前記接合板よりも突出させたヘッダ部を形成してなる商品収納容器。
【請求項15】
請求項14に記載の商品収納容器であって、
前記第一胴板は、
前記ヘッダ折り曲げ線から下方に離間した位置に第四貫通口を形成しており、
前記ヘッダ折り曲げ線から上方に離間した位置に第五貫通口を形成しており、
前記第一胴板は、前記ヘッダ折り曲げ線で折り返すことで、前記第四貫通口と第五貫通口を重ねて、吊り下げ穴を形成している商品収納容器。
【請求項16】
請求項15に記載の商品収納容器であって、
前記第五貫通口を長穴状に形成して、その一部を前記第二貫通口と共用してなる商品収納容器。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の商品収納容器であって、
前記第一胴板は、その中間に、被収納物を収納した状態でその一部を表出させる開口窓を形成している商品収納容器。
【請求項18】
請求項17に記載の商品収納容器であって、
前記開口窓は、その左右に、それぞれガイドパネルを形成しており、
各ガイドパネルを折曲させた状態で、前記挿入穴から被収納物を収納することにより、被収納物の左右を各ガイドパネルで押圧して保持するよう構成している商品収納容器。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載の商品収納容器であって、
前記第二フラップは、前記収納空間内において前記第三フラップと対向する側に、第二フラップ段差部を形成しており、
前記第三フラップは、前記収納空間内において前記第二フラップと対向する側に、第三フラップ段差部を形成しており、
前記第二フラップ段差部と第三フラップ段差部の間で、被収納物の下端を両側から挟み込む下挟み込み空間を形成してなる商品収納容器。
【請求項20】
請求項7~16のいずれか一項に記載の商品収納容器であって、
前記第五フラップは、前記収納空間内において前記第六フラップと対向する側に、第五フラップ段差部を形成しており、
前記第六フラップは、前記収納空間内において前記第五フラップと対向する側に、第六フラップ段差部を形成しており、
前記第五フラップ段差部と第六フラップ段差部の間で、被収納物の上端を両側から挟み込む上挟み込み空間を形成してなる商品収納容器。
【請求項21】
請求項1~16のいずれか一項に記載の商品収納容器であって、
前記天部は、第二挿入穴を形成している商品収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商品等の被収納物を収納する収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品等の商品を収納し、展示及び販売に適する包装容器が利用されている。従来は台紙に透明なフィルムや容器などで商品を貼付した商品包装容器が用いられてきたが、近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染などの懸念から、プラスチック等の樹脂を用いない包装が好まれている。このため、紙製の包装容器に商品を収納するスタイルが普及し始めている。
【0003】
紙製の商品収納容器として、箱状に組み立てるタイプのものが利用されているが、箱を組み立てて、商品を収納し、封緘するという封緘作業が必要となり、手間が掛かるという問題がある。そこで、予め商品収納容器を作製しておき、封緘時には容器を折り畳んだ状態から立体的になるように起こして、商品を挿入するようにした商品収納容器が提案されている(例えば特許文献1)。このような商品収納容器の一例を
図24の展開図及び
図27の斜視図に示す。この商品収納容器900は、
図28に示すように商品収納容器900の底に形成された挿入穴903から商品GDを圧入することで、
図29に示すように商品GDを収納することができる。またこの商品収納容器900は、
図30に示すように、背面に取り出し用の破断部945を設けており、
図31に示すように破断部945を破断することで商品GDを上から取り出す構成としている。
【0004】
この商品収納容器900は、
図24の展開図に示すように、2枚の胴板910、930の下端にそれぞれフラップ950、960を設けて、
図25に示すように2枚のフラップ950、960を接合して底部を形成している。組み上げられた商品収納容器900は、
図26に示すように折り畳んだ状態において、下端の2枚のフラップ950、960がそれぞれ山折りされて折り返される。この商品収納容器は、2枚の胴板910、930の間を、中央を拡開することでピロー状の収納空間が形成され、この収納空間に
図28に示すような円筒状の商品GDを収納する。収納された商品GDは、
図29の断面図に示すように、その下面をフラップ950、960で支えることで、商品GDが抜け落ちることを阻止するとされている。具体的には、胴板910、930の下端で折り返されたフラップ950、960に、元に戻ろうとする反発力が働き、
図29において垂直姿勢から水平姿勢に変形しようとする結果、挿入穴903を塞ぐ方向に変形して商品GDの下面を支持するとされている。
【0005】
しかしながら、このタイプの商品収納容器では、実際には商品GDを挿入した後に、商品GDが抜け易い問題があることが、本発明者の試験により判明した。上述の通り、この商品収納容器は、2枚の胴板910、930の間で、中央を拡開してピロー状の収納空間を形成して商品GDを収納している。このような収納空間に商品を収納すると、
図32に示すように胴板910、930の長手方向に沿って折れ目FD1が形成される。この折れ目FD1は、2枚のフラップ950、960を山折りした折り線FD2とは直交する方向に形成されることになる。このように元々あった折り線FD2に交差する折れ目FD1が形成されると、折り線FD2が元に戻ろうとする反発力は大幅に削減される。この結果、実際には
図29のように商品圧入後にフラップ950、960が綺麗に閉じず、開いたままとなってしまい、商品GDが抜け落ちやすくなるという問題が発生することが判明した。特に
図28のように商品収納容器900の下面から商品GDを挿入する構成においては、底面側に挿入穴903が形成されるため、構造上、商品GDの自重によって自然に抜け易くなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的の一は、被収納物の抜け落ちを阻止して確実に保持できるようにした商品収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明の第1の形態に係る商品収納容器は、被収納物を収納する紙製の商品収納容器であって、第一辺と、前記第一辺と対向する第二辺を有する第一胴板と、前記第一辺に接合された第二胴板と、前記第二辺に接合された第三胴板と、を備え、前記第二胴板の、前記第一辺と対向する第三辺側を、前記第三胴板の、前記第二辺と対向する第四辺側と接合した接合板と、前記第一胴板との間でピロー形の収納空間を形成すると共に、前記第一胴板と前記接合板とで囲まれた前記収納空間の一方の端部である天部と、前記天部と反対側の端部である底部と、を形成しており、前記底部は、前記第一胴板の下端と接続された第一フラップと、前記第二胴板の下端と接続された第二フラップと、前記第三胴板の下端と接続された第三フラップと、を備え、前記第一フラップは、前記第二フラップに接合される第一折曲片と、前記第三フラップに接合される第二折曲片と、前記第一折曲片及び第二折曲片を左右に連接した第一フラップ本体と、を備え、前記第三フラップは、前記第三胴板の、前記第二辺側に偏在して設けられており、前記底部は、収納容器を畳んだ状態から拡開した状態で、前記収納空間に連通される挿入穴を形成し、前記底部の挿入穴から、被収納物を前記収納空間に収納可能としており、前記底部は、前記第一フラップと、該第一フラップと対向する前記第二フラップ、第三フラップでもって、前記挿入穴に被収納物を収納した状態で、該挿入穴から被収納物が飛び出さない戻り止め機構を構成している。上記構成により、第一フラップ及びこれと対向する第二フラップ、第三フラップで構成された底部の挿入穴から被収納物を圧入した状態で、収納空間に挿入された被収納物が挿入穴から抜ける事態を戻り止め機構で効果的に阻止できる。
【0009】
また、第2の形態に係る商品収納容器は、上記形態において、前記第三胴板が、被収納物の取り出し時に破断する破断線を、前記第三胴板の、前記第四辺の中間から、前記第二辺側に延長している。上記構成により、被収納物の取り出しを、第二胴板を破断して側面から行える。
【0010】
さらに、第3の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第三フラップの最大幅が、前記第三胴板の下端の1/2以下の幅に形成されており、前記第二胴板の横幅が、前記第三胴板の1/2以下であり、前記第二フラップの最大幅が、前記第二胴板の下端と同じ幅に形成されており、前記第一フラップの最大幅が、前記第一胴板の下端と同じ幅に形成されている。上記構成により、第三胴板と第二胴板を接合して接合板を形成した際、底部には第二フラップと第三フラップが重なり合うことなく隣接して、第一フラップと対向する姿勢で底部を形成できる。
【0011】
さらにまた、第4の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第一フラップ本体は、その幅方向の中央に第一貫通口を形成すると共に、該第一貫通口から、前記第一フラップ本体の端縁であって前記第一折曲片側に向かって延長される第一折曲線と、前記第一フラップ本体の端縁であって前記第二折曲片側に向かって延長される第二折曲線と、前記第一折曲線と第二折曲線との間から前記第一フラップ本体の端縁に向かって延長される第一中間折曲線と、を形成し、前記挿入穴から被収納物を収納することで、前記第一中間折曲線が谷折りで、前記第一折曲線及び第二折曲線が山折りで、前記第一折曲線と第二折曲線が近接するよう構成されている。上記構成により、第一フラップ本体の中間で左右を分離して、第一フラップ本体を第一短辺側で折り返した反発力が、被収納物を挿入した際に毀損される事態を抑制できる。
【0012】
さらにまた、第5の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第一中間折曲線と前記第一折曲線との成す角度が、前記第一中間折曲線と前記第二折曲線との成す角度と等しく、20°以上である。
【0013】
さらにまた、第6の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第一フラップが、前記第一折曲片との第一境界線に、第一貫通スリットを形成しており、前記第一貫通スリットと前記第一フラップの端縁との間に第一破断領域を形成しており、前記第一フラップが、前記第二折曲片との第二境界線に、第二貫通スリットを形成しており、前記第二貫通スリットと前記第一フラップの端縁との間に第二破断領域を形成しており、被収納物を前記底部から挿入する際に、前記第一破断領域、第二破断領域を破断するよう構成している。上記構成により、商品収納容器を製函する際は、第一破断領域、第二破断領域でもって第一フラップと第一折曲片、第二折曲片との連結強度を発揮させつつ、被収納物の収納時には圧入して第一破断領域、第二破断領域を破断させることができる。これにより挿入穴の大きさを小さくして強度を発揮させつつも、大きめの被収納物でも収納させることが可能となる。
【0014】
さらにまた、第7の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記天部は、前記第一胴板の上端と接続された第四フラップと、前記第二胴板の上端と接続された第五フラップと、前記第三胴板の上端と接続された第六フラップと、を備え、前記第六フラップは、前記第三胴板の、前記第二辺側に偏在して設けられており、前記第六フラップの最大幅が、前記第三胴板の上端の1/2以下の幅に形成されており、前記第二胴板の横幅が、前記第三胴板の1/2以下であり、前記第五フラップの最大幅が、前記第二胴板の上端と同じ幅に形成されており、前記第四フラップの最大幅が、前記第一胴板の上端と同じ幅に形成されている。上記構成により、第三胴板と第二胴板を接合して接合板を形成した際、天部には第五フラップと第六フラップが重なり合うことなく隣接して、第四フラップと対向する姿勢で天部を形成できる。
【0015】
さらにまた、第8の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記破断線が、前記第三胴板の上端において、前記第六フラップの端縁の近傍から前記第四辺に向かって延長されている。
【0016】
さらにまた、第9の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第四フラップは、前記第五フラップに接合される第三折曲片と、前記第六フラップに接合される第四折曲片と、前記第三折曲片及び第四折曲片を左右に連接した第四フラップ本体と、を備え、前記第四フラップは、その幅方向の中央に第二貫通口を形成すると共に、該第二貫通口から延長される、前記第三折曲片の端縁と連なる第三折曲線と、前記第四折曲片の端縁と連なる第四折曲線と、前記第三折曲線と第四折曲線との間に設けられた第二中間折曲線と、を備え、前記挿入穴から被収納物を収納することで、前記第二中間折曲線が谷折りで、前記第三折曲線及び第四折曲線が山折りで、前記第三折曲線と第四折曲線が近接するよう構成されている。上記構成により、被収納物を底部の挿入穴から挿入することで、天部の第一折曲線と第二折曲線が合わさって閉塞され、天部の蓋を閉めるといった封緘作業を不要とできる利点が得られる。
【0017】
さらにまた、第10の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第二中間折曲線と前記第三折曲線との成す角度が、前記第二中間折曲線と前記第四折曲線との成す角度と等しく、20°以上である。
【0018】
さらにまた、第11の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第一フラップ本体は、その幅方向の中央に第一貫通口を形成すると共に、該第一貫通口から、前記第一フラップ本体の端縁であって前記第一折曲片側に向かって延長される第一折曲線と、前記第一フラップ本体の端縁であって前記第二折曲片側に向かって延長される第二折曲線と、前記第一折曲線と第二折曲線との間から前記第一フラップ本体の端縁に向かって延長される第一中間折曲線と、を形成し、前記挿入穴から被収納物を収納することで、前記第一中間折曲線が谷折りで、前記第一折曲線及び第二折曲線が山折りで、前記第一折曲線と第二折曲線が近接するよう構成されており、前記第一中間折曲線と前記第一折曲線との成す角度が、前記第一中間折曲線と前記第二折曲線との成す角度と等しく、前記第二中間折曲線と前記第三折曲線との成す角度が、前記第一中間折曲線と前記第一折曲線との成す角度よりも小さい。上記構成により、底部での収納空間を、第一胴板と接合板とをより拡開させると共に、天部では第一胴板と接合板との拡開を相対的に抑えて、被収納物を収納した商品収納容器を自立させ易くし、見栄えを良くする効果が得られる。
【0019】
さらにまた、第12の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第四フラップが、前記第三折曲片との第三境界線に、第一胴板側に湾曲させた第一切り込みを形成しており、前記第四折曲片との第四境界線に、第一胴板側に湾曲させた第二切り込みを形成しており、前記第一切り込みの裏面側を、前記第三折曲片を前記第五フラップに接合する第一接合面としており、前記第二切り込みの裏面側を、前記第四折曲片を前記第六フラップに接合する第二接合面としている。上記構成により、第一接合面、第二接合面の面積を広くして、接着材等を塗布する糊代の面積を確保して、第三境界線、第四境界線を鋭角にしつつも強度を維持できる。
【0020】
さらにまた、第13の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記挿入穴から被収納物を収納した状態で、前記天部の端面よりも、前記第三折曲片及び第四折曲片は奥側に折曲されており、前記挿入穴から被収納物を収納した状態で、被収納物の太さが太くなるほど、前記第三折曲片及び第四折曲片と、前記天部の端面との角度が浅くなるよう構成している。上記構成により、被収納物が薄いものであっても、天部で傾斜角度を異ならせることにより吸収して、安定的に保持することができる。
【0021】
さらにまた、第14の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第一胴板の下端を、前記第二胴板の下端、及び前記第三胴板の下端と揃え、前記第二胴板の上端を、前記第三胴板の上端と揃えつつ、前記第一胴板の上端を、前記第二胴板及び第三胴板の上端よりも突出させており、前記第一胴板は、その上端と、前記第二胴板及び第三胴板の上端との中間で、ヘッダ折り曲げ線を形成しており、前記第一胴板は、前記ヘッダ折り曲げ線で山折りし、前記第一胴板上端の第四フラップ折り曲げ線で谷折りして、前記接合板よりも突出させたヘッダ部を形成している。上記構成により、第一胴板を接合板よりも突出させたヘッダ部を設けて、商品収納容器の正面側の面積を広く確保して見栄えを向上できると共に、ヘッダ部の裏面側に天部を形成できる。
【0022】
さらにまた、第15の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第一胴板は、前記ヘッダ折り曲げ線から下方に離間した位置に第四貫通口を形成しており、前記ヘッダ折り曲げ線から上方に離間した位置に第五貫通口を形成しており、前記第一胴板は、前記ヘッダ折り曲げ線で折り返すことで、前記第四貫通口と第五貫通口を重ねて、吊り下げ穴を形成している。上記構成により、ヘッダ部に吊り下げ穴を形成して、商品収納容器を吊り下げることが可能となる。
【0023】
さらにまた、第16の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第五貫通口を長穴状に形成して、その一部を前記第二貫通口と共用している。
【0024】
さらにまた、第17の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第一胴板は、その中間に、被収納物を収納した状態でその一部を表出させる開口窓を形成している。上記構成により、被収納物の一部を表出させて内容物を外部から視認可能とした商品収納容器を実現できる。
【0025】
さらにまた、第18の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記開口窓は、その左右に、それぞれガイドパネルを形成しており、各ガイドパネルを折曲させた状態で、前記挿入穴から被収納物を収納することにより、被収納物の左右を各ガイドパネルで押圧して保持するよう構成している。上記構成により、収納された被収納物を確実に保持できる利点が得られる。
【0026】
さらにまた、第19の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第二フラップは、前記収納空間内において前記第三フラップと対向する側に、第二フラップ段差部を形成しており、前記第三フラップは、前記収納空間内において前記第二フラップと対向する側に、第三フラップ段差部を形成しており、前記第二フラップ段差部と第三フラップ段差部の間で、被収納物の下端を両側から挟み込む下挟み込み空間を形成している。上記構成により、被収納物をピロー形の収納空間に収納した状態で、第二フラップ段差部と第三フラップ段差部で被収納物を挟み込むことで、被収納物を安定的に保持できる利点が得られる。
【0027】
さらにまた、第20の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記第五フラップは、前記収納空間内において前記第六フラップと対向する側に、第五フラップ段差部を形成しており、前記第六フラップは、前記収納空間内において前記第五フラップと対向する側に、第六フラップ段差部を形成しており、前記第五フラップ段差部と第六フラップ段差部の間で、被収納物の上端を両側から挟み込む上挟み込み空間を形成している。上記構成により、被収納物をピロー形の収納空間に収納した状態で、第五フラップ段差部と第六フラップ段差部で被収納物の上端を挟み込むことで、被収納物を安定的に保持できる利点が得られる。
【0028】
さらにまた、第21の形態に係る商品収納容器は、上記いずれかの形態において、前記天部は、第二挿入穴を形成している。上記構成により、被収納物を天部又は底部から挿入し、第二胴板を破断して側面から取り出し可能とした商品収納容器を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態1に係る商品収納容器の展開図である。
【
図2】実施形態1に係る商品収納容器に商品を収納した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図2の商品収納容器に被収納物を収納する状態を示す分解斜視図である。
【
図10】実施形態1に係る商品収納容器を畳んだ状態を示す底面図である。
【
図12】
図11の状態から商品収納容器を拡開した斜視図である。
【
図13】
図12のXIII-XIII線における斜視図である。
【
図14】
図2の商品収納容器を天面から見た斜視図である。
【
図15】
図14の状態から商品収納容器を拡開した斜視図である。
【
図17】実施形態2に係る商品収納容器の展開図である。
【
図18】実施形態3に係る商品収納容器の展開図である。
【
図19】実施形態4に係る商品収納容器の展開図である。
【
図20】
図19の商品収納容器を組み立てて、被収納物を収納する様子を示す斜視図である。
【
図21】実施形態5に係る商品収納容器の展開図である。
【
図22】実施形態6に係る商品収納容器の展開図である。
【
図23】実施形態7に係る商品収納容器の展開図である。
【
図24】比較例に係る商品収納容器の展開図である。
【
図25】
図24の商品収納容器を組み上げる状態を示す斜視図である。
【
図26】
図24の商品収納容器を組み上げて折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図27】
図24の商品収納容器を組み上げて商品を収納した状態を示す斜視図である。
【
図28】
図27の商品収納容器に商品を収納する様子を示す分解断面図である。
【
図29】
図27の商品収納容器に商品を収納した状態を示す断面図である。
【
図31】
図30の商品収納容器から商品を取り出す状態を示す斜視図である。
【
図32】
図28の商品収納容器に商品を収納した状態を底面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0031】
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
[実施形態1]
【0032】
実施形態1に係る商品収納容器100を
図1~
図16に示す。これらの図において、
図1は実施形態1に係る商品収納容器100の展開図、
図2は実施形態1に係る商品収納容器100に商品を収納した状態を示す斜視図、
図3は
図2を背面から見た斜視図、
図4は
図2の側面図、
図5は
図2のV-V線における断面図、
図6は
図2を斜め下方から見た斜視図、
図7は
図2の商品収納容器100に被収納物GDを下方の挿入穴3からから収納する状態を示す分解斜視図、
図8は
図2の底面図、
図9は
図2の平面図、
図10は実施形態1に係る商品収納容器100を畳んだ状態を示す底面図、
図11は
図2の商品収納容器100を底面から見た斜視図、
図12は
図11の状態から商品収納容器100を拡開した斜視図、
図13は
図12のXIII-XIII線における斜視図、
図14は
図2の商品収納容器100を天面から見た斜視図、
図15は
図14の状態から商品収納容器100を拡開した斜視図、
図16は
図15のXVI-XVI線における斜視図を、それぞれ示している。
【0033】
商品収納容器100は、
図2に示すようにその内部に商品等の被収納物GDを収納する容器である。材質は非プラスチックで、白板紙、黄板紙、チップボール等の紙製とすることができる。
図1の展開図に示すように、紙製の商品収納容器100を印刷、打ち抜きなどにより展開図の状態で作成し、これを各部位で山折り、谷折りして接着し組み立てる。組み立てた商品収納容器100は、
図10に示すように折り畳んだ状態とすることで、容積を少なくして保管、運搬等に有利となる。一方で、商品等の被収納物GDを収納する際には、
図11、
図12のように底部1を拡開して、
図7に示すように商品等を収納する。この商品収納容器100は、従来必要であった、商品等の収納前には蓋を開け、収納後は蓋を閉めるといった製函作業を不要とできる。また被収納物GDの取り出しは、第二胴板20を破断して側面から行う(詳細は後述)。
【0034】
被収納物GDとしては化粧品などのボトルやチューブ、目薬などの医薬品、食品、雑貨等が挙げられる。商品収納容器100に商品を収納した状態で、展示や販売し易いよう、自立式としたり、フック等にぶら下げ可能としている。
図2~
図4、
図6~
図9に示す例では、円筒状のボトルを収納した自立式の商品収納容器100を示している。
(第一胴板10)
【0035】
商品収納容器100は、
図1の展開図に示すように、第一胴板10と、第二胴板20と、第三胴板30を備える。第一胴板10は縦長の矩形状で、図において左側の長辺を第一辺11、右側の長辺の第二辺12、下側の短辺を第一短辺13、上側の短辺を第二短辺14と呼ぶ。この第一胴板10の左右には、第二胴板20と第三胴板30をそれぞれ連接している。
図1の例では、第一胴板10の左側の第一辺11に第二胴板20を、右側の第二辺12に第三胴板30を、それぞれ設けている。これら第一辺11、第二辺12を山折りにし、第二胴板20板の、第一辺11と対向する第三辺21、及び第三胴板30の、第二辺12と対向する第四辺31側を接合する。例えば第二胴板20に合成接着剤や糊など(以下、まとめて接着材と呼ぶ。)を塗布して、第二胴板20に第三胴板30を接着する。これにより、第二胴板20に第三胴板30を接着した接合板30’と、第一胴板10とが、胴状あるいは筒状に形成されて、第二胴板20と接合板30’が面する内部に、ピロー形あるいは瞳形の収納空間SPが形成される。
【0036】
図1の例では、第一胴板10と第三胴板30の横幅を等しくし、第二胴板20の横幅を第一胴板10などよりも短く、例えば半分として、第二胴板20を糊代として利用している。これにより、第三胴板30の全面が表出されて、第二胴板20と第三胴板30の継ぎ目を目立たなくし、見栄えを良くできる。ただ本発明はこの構成に限定せず、第二胴板と第三胴板の横幅は、任意に設計できる。
(破断線40)
【0037】
また第三胴板30には、被収納物の取り出し時に破断する破断線40を形成している。破断線40で破断することで接合板30’を破断できるように、破断される領域にのみ接着材を塗布する。
図1の例では、破断線40を第三胴板30の長辺の右辺の中央近傍から、上下の短辺の中間に向かって、それぞれ斜めに2本形成している。したがって第二胴板20に接着材を塗布する際には、第三胴板30と接合される領域の内、破断線40で破断される直角三角形の第一破断片45、第二破断片46と対応する部位に塗布される。これにより、破断線40で破断することにより、第二胴板20と第三胴板30の接合が解除されて、収納空間SPを表出させ、被収納物を取り出すことが可能となる。この構成によれば、被収納物を天部2や底部1から取り出す必要をなくし、すなわち被収納物の収納後はこれらを閉塞することとして、被収納物が天面や底面から抜け落ちることを阻止する構造に特化させて、安定的な被収納物の保持に注力することができる。
【0038】
図1の例では、破断線40は、第三胴板30の右側の第四辺31の中央から、下端の短辺の中央に向かって斜めに形成した第一破断線41と、第三胴板30の右側の第四辺31の中央から、上端の短辺の中央に向かって斜めに形成した第二破断線42の2本で構成される。また第四辺31の中央には、破断時に指をかけて引き裂き易くするための指掛け部43として、第四辺31の中央をドーム状とするように周囲を切り欠いた切り欠き部44を形成している。第一破断線41及び第二破断線42は、ドーム状の指掛け部43の端縁から連続して形成されている。これにより、破断時には指掛け部43に指をかけて、直線状の第一破断線41と第二破断線42に沿って、連続的に一気に破断できる。
【0039】
上述の通り第二胴板20と第三胴板30を接合する接着材は、第二胴板20の全面でなく、
図1の展開図において、第三胴板30の左下と右上に、それぞれ第一破断線41、第二破断線42で破断される第一破断片45、第二破断片46と対応して接合される領域に塗布される。これにより、破断線40に沿って第三胴板30を破断することで、第二胴板20と第三胴板30の接合を解除できる。さらに指掛け部43に指をかけたまま、第一破断線41と第二破断線42の破断に続いて、第三胴板30の第三フラップ33折り曲げ線FF3、第六フラップ36折り曲げ線FF6を破断することで、第三胴板30を横方向に開いて内部の収納空間SPを表出させることができる。必要に応じて、第三フラップ33折り曲げ線FF3、第六フラップ36折り曲げ線FF6に沿って破断し易いように、破断線やハーフカット線を付加してもよい。
【0040】
上述した比較例に係る商品収納容器900は、
図30に示すように、背面に取り出し用の破断部945を設けており、
図31に示すように破断部945を破断することで商品を上から取り出す構成としている。この構成では、破断部945が小さく、破断が面倒で、商品を取り出し難いという問題があった。これに対し本実施形態に係る商品収納容器100では、第三胴板30を破断して収納空間SPを大きく表出させることができ、被収納物GDの取り出しを容易に行える利点が得られる。
【0041】
なお
図1の展開図に示した例では、第一破断線41を、第三胴板30の第四辺31の中間から下端の第三フラップ折り曲げ線FF3の中間に向かって、斜めに延長している。ただ本発明は破断線をこのようなパターンに限定するものでなく、商品収納容器の側面を破断し易い任意のパターンに形成できる。例えば第一破断線41を、第三胴板30の第四辺31の中間から、第三フラップ折り曲げ線FF3の中間に向かって斜めに延長しながら、その先端を第三フラップ折り曲げ線FF3に至る手前までに止めてもよい。あるいは第一破断線を、同じく第三胴板の第四辺の中間から、第三フラップ折り曲げ線でなく第二辺12の下方に向かって延長してもよい。また第一破断線を直線状とせず、下端の第三フラップ折り曲げ線の中間に向かって途中まで延長させた後、第二辺側に向かうように折曲させてもよい。また第二破断線についても、上述した第一破断線と同様に、第三胴板30の長手方向を二分する水平線に対して対称に形成できる。あるいは、第一破断線と非対称に第二破断線を設けてもよい。
(底部1)
【0042】
第一胴板10と接合板30’で囲まれたピロー形の収納空間SPの両端面の内、天面側を天部2、底面側を底部1と呼ぶ。底部1は、
図7に示すように被収納物GDを収納空間SPに挿入するための挿入穴3を形成している。挿入穴3は、
図10に示すように収納容器を畳んだ状態から、
図11、
図12に示すように拡開した状態とすることで、挿入穴3も同様に拡開されて、ここから被収納物GDを収納空間SPに挿入可能とできる。
【0043】
第一胴板10は、その下部に第一フラップ50を連設している。また第二胴板20は、その下部に第二フラップ22を連設している。さらに第三胴板30は、その下部に第三フラップ33を連設している。これら第一フラップ50、第二フラップ22、第三フラップ33は、第一胴板10、第二胴板20、第三胴板30の下端との間で、それぞれ山折りされて、底部1を構成する。ここで、第一フラップ50を第一胴板10下端の第一短辺13で折り返した折り曲げ線を第一フラップ折り曲げ線FF1、第二フラップ22を第二胴板20の下端で折り返した折り曲げ線を第二フラップ折り曲げ線FF2、第三フラップ33を第三胴板30の下端で折り返した折り曲げ線を第三フラップ折り曲げ線FF3と呼ぶ。
(第三フラップ33)
【0044】
第三フラップ33は、第三胴板30の下端で、第二辺12側に偏在して設けられている。好ましくは第三フラップ33は、第三胴板30の下端の幅の約1/2以下に形成される。すなわち第三フラップ折り曲げ線FF3の長さは、第三胴板30の横幅の約1/2以下となる。さらに好ましくは第三胴板30の下端において、第二辺12から第三胴板30下端の幅中央の位置に、第三フラップ33が設けられる。すなわち第三フラップ33は、第一胴板10と第三胴板30の境界である第二辺12に接して設けられる。
【0045】
一方、第二胴板20の横幅は、第三胴板30の約1/2以下に形成される。また第二フラップ22の上端は、第二胴板20の下端と同じ幅に形成されている。さらに第一フラップ50の上端は、第一胴板10の下端と同じ幅に形成されている。このような構成により、第三胴板30と第二胴板20を接合して接合板30’を形成した際、底部1には第二フラップ22と第三フラップ33が重なり合うことなく隣接して、第一フラップ50と対向する姿勢で底部1を形成できる。
(第一フラップ50)
【0046】
また第一フラップ50は、第一フラップ本体53と、第一折曲片51と、第二折曲片52を備える。第一フラップ本体53は、その左右に第一折曲片51と第二折曲片52を連接している。第一フラップ本体53と第一折曲片51、第一フラップ本体53と第二折曲片52とは、それぞれ谷折りされる。第一フラップ本体53から谷折りされた第一折曲片51は、第二フラップ22に貼付される。同じく第一フラップ本体53から谷折りされた第二折曲片52は、第三フラップ33に貼付される。この底部1は、
図6、
図8に示すように、商品収納容器100を拡開することで、挿入穴3を形成する。第一フラップ本体53は、挿入穴3を形成するために、
図1の展開図において、第一折曲片51及び第二折曲片52との間を広く離間させ、さらに下端を面取りした等脚台形状に形成している。
(戻り止め機構)
【0047】
さらに底部1は、挿入穴3に被収納物GDを収納した状態で、この挿入穴3から被収納物GDが飛び出さないよう戻り止め機構を有している。戻り止め機構は、第二フラップ22及び第三フラップ33と、第一フラップ50で構成される。具体的には、第二フラップ22、第三フラップ33をそれぞれ第二胴板20、第三胴板30の下端の第二フラップ折り曲げ線FF2、第三フラップ折り曲げ線FF3で山折りして設けたことで、第二フラップ22と第三フラップ33とは別部材となる。これら第二フラップ22、第三フラップ33を、第一フラップ50と対向させて底部1を構成する。この結果、第二フラップ22と第三フラップ33は別部材であるため、相互に作用せず、跳ね上がりが大きくなって、挿入穴3を閉じる方向に変形するように作用し、被収納物GDの抜け落ちを阻止する。
【0048】
例えば
図24の展開図に示した比較例に係る商品収納容器900では、2枚の胴板910、930の下端をそれぞれ折り線FD2で山折りに折り曲げた2枚のフラップ950、960で底部1を形成している。このような2枚の胴板910、930の間に収納空間SPを形成する商品収納容器900に、円筒状の商品を収納すると、
図32に示すように2枚の胴板910、930がピロー状に膨れ上がって、中央部分が内面から押し上げられて圧力がかかり、商品収納容器900の長手方向に折れ目FD1が付くような状態となる。
【0049】
一般に胴板910、930の下端を折り曲げたフラップ950、960は、折り返し部分が元の折り返す前の状態に戻ろうとする反発力が働く。この反発力を利用することで、
図28、
図29に示すように、商品を収納空間SPに圧入した後は、フラップ950、960が挿入穴903を閉じる方向に付勢されて、商品が挿入穴903からに抜け落ちることを阻止する。
【0050】
しかしながら本願発明者の行った試験によれば、上述の通りピロー形の収納空間SPでは、商品を収納することで胴板910、930の下端は中央部分を拡開される結果、商品収納容器900の長手方向に折れ目FD1が付き易い状態となる。この折れ目FD1は、胴板910、930の下端を折り曲げた折り線FD2とは直交する方向となる。このように折目が交差する状態となると、折り線FD2で折り曲げたフラップ950、960が元に戻ろうとする反発力は大幅に軽減される。なお、商品収納容器の長手方向に沿って折れ目が明確に形成されなくとも、湾曲された状態であっても同様に反発力は毀損される。いいかえると、反発力が削がれる結果、実際には
図29のように商品圧入後にフラップ950、960が綺麗に閉じることなく、開いたままとなってしまい、商品が抜け落ちやすくなる問題があることが判明した。特に
図28のように商品収納容器900の下面から商品を挿入する構成においては、底面側に挿入穴903が形成されるため、構造上、重力で商品が自然に抜け易くなるという問題があった。
【0051】
これに対して本実施形態に係る商品収納容器100では、上述の通り底部1を、2枚のフラップを対向させるのでなく、一方のフラップを別部材で構成した3枚のフラップとしている。この構成であれば、
図10のように商品収納容器100を畳んだ状態から、
図11、
図12に示すように底部1を拡開して、第二胴板20と第三胴板30を接合した接合板30’の長手方向に折れ目FD1が形成されても、あるいは湾曲されても、第二フラップ22と第三フラップ33を別部材に分割し、かつ分割位置を、折れ目FD1にあたる中央部分としていることから、フラップを折り返した第二フラップ折り曲げ線FF2、第三フラップ折り曲げ線FF3と直接交差することを避けて、反発力の毀損を回避できる。この結果、第二フラップ22と第三フラップ33の反発力を発揮させて、被収納物GDを収納空間SPに圧入した後、第二フラップ22と第三フラップ33が元に戻ろうとする反発力によって、接合板30’に対して直角の方向に曲がろうとする。すなわち、挿入穴3を狭くする方向に第二フラップ22と第三フラップ33を変形させ、戻り止め機構として作用させることができ、もって被収納物GDを収納空間SP内に安定的に保持して、信頼性を高めることができる。
(第一貫通口54)
【0052】
加えて
図1の商品収納容器100は、第一フラップ50側にも、戻り止め機構を付加している。すなわち第一フラップ本体53は、第一貫通口54を形成すると共に、この第一貫通口54から延長された第一折曲線56、第二折曲線57、第一中間折曲線55を設けている。第一貫通口54は、第一フラップ50の横幅方向の中央に形成される。折り曲げ線の角があると、突っ張ってしまい反発力が軽減されるところ、貫通口を形成することで、角をなくして突っ張りを低減する効果が得られる。ここでは第一貫通口54は、半円状で、縁の直径が第二短辺14と一致するように形成されている。
【0053】
第一折曲線56は、第一貫通口54から、第一フラップ本体53の端縁の、第一折曲片51側に向かって延長されている。
図1の例では、第一貫通口54の円弧の左側より、左斜め下に延長されている。
【0054】
一方、第二折曲線57は、第一貫通口54から、第一フラップ本体53の端縁の、第二折曲片52側に向かって延長されている。
図1の例では、第一貫通口54の円弧の右側より、右斜め下に延長されている。
【0055】
さらに第一中間折曲線55は、第一貫通口54から、第一フラップ本体53の端縁の、中央に向かって延長されている。
図1の例では、第一貫通口54の円弧の頂点より、鉛直方向に延長されている。この第一中間折曲線55は、第一折曲線56と第二折曲線57との間に設けられる。好ましくは、第一中間折曲線55に対して、第一折曲線56と第二折曲線57は線対称に設けられる。また第一折曲線56と第二折曲線57は山折りとなり、一方第一中間折曲線55は谷折りとなる。
【0056】
また第一フラップ本体53は、第一貫通口54から延長された第一中間折曲線55の端縁の位置で、V字状に窪ませるよう、その端縁の形状を切り欠いている。
図1の例では、第一フラップ50の下端が、水平線から、面取りした等脚台形状に窪ませ、さらにその中央では山形に突出させて、頂部が第一フラップ50の幅方向の中心となり、かつこの頂部に第一中間折曲線55を設けている。第一フラップ50の形状は、第一折曲片51及び第二折曲片52を含めて、第一中間折曲線55で線対称に形成されている。ここで、第一中間折曲線55を境に、第一フラップ50の左側を第一フラップ左領域50a、右側を第一フラップ右領域50bと呼ぶ。第一フラップ左領域50aと第一フラップ右領域50bとは、一枚で連続的に形成されているところ、第一中間折曲線55で折曲されており、予め折り目が形成されていると共に、この第一中間折曲線55は、上端は第一貫通口54となり、また下端に頂部でV字状に窪ませており、上下で幅狭にされている結果、第一中間折曲線55では折り曲げの抵抗力が弱められて、折り曲げ易い状態となっている。換言すると、第一フラップ50自体を一枚物として構成しつつも、第一フラップ左領域50aと第一フラップ右領域50bとを第一中間折曲線55でもって分断したような構成となっている。このような第一フラップ50は、第一フラップ左領域50aと第一フラップ右領域50bとの相互作用が及び難くなるため、第一フラップ左領域50aと第一フラップ右領域50bそれぞれで、第一フラップ折り曲げ線FF1に沿って折り返した状態で、元の折り返す前の状態に戻ろうとする反発力を発揮させ易くなる。換言すると、反発力は、折り線が折れ線と直交している状態で、折り線に沿って一枚のフラップが左右で一体的に連続していることで、左右の相互作用によって阻害される。これに対して、左右の相互作用を弱めることで、左右を独立して動き易くし、もって阻害効果を抑制できる。
【0057】
このような商品収納容器100の挿入穴3から被収納物GDが収納されて内部空間がピロー状に拡開されると、第一中間折曲線55が谷折りされて、山折りされた第一折曲線56と第二折曲線57が近接するよう移動される。この状態では、
図11、
図12に示すように第一胴板10の長手方向に沿って折れ目が形成されても、これら逆方向に折曲された第一中間折曲線55、第一折曲線56、第二折曲線57によって第一フラップ左領域50aと第一フラップ右領域50bが分断される結果、各第一フラップ左領域50a、第一フラップ右領域50bが折り返し前の状態に戻ろうとする反発力を発揮させ易くできる。この結果、第一フラップ本体53側においても、被収納物GDの収納後に、収納空間SPから抜け落ちる事態を阻止する戻り止め機構を発揮させることができる。
【0058】
また第一中間折曲線55と第一折曲線56との成す角度は、第一中間折曲線55と第二折曲線57との成す角度と等しくすることが好ましい。より好ましくは20°以上とする。このような構成により、近接した折曲線である第一中間折曲線55と第一折曲線56、及び第一中間折曲線55と第二折曲線57とを、それぞれ折り込みやすくでき、加工精度を維持できる。
(天部2)
【0059】
一方で、天部2は商品収納容器100を拡開しても閉塞されて、収納空間SP内への異物の侵入などを防ぎ、被収納物GDを保護する。
(ヘッダ部70)
【0060】
また第一胴板10の天部2側には、ヘッダ部70を設けることもできる。
図1の展開図に示す例では、第一胴板10の下端は、第二胴板20の下端、及び第三胴板30の下端と揃えている。また第二胴板20の上端は、第三胴板30の上端と揃えている。つまり第二胴板20と第三胴板30は、高さを等しくしている。その一方で第一胴板10の上端は、第二胴板20や第三胴板30の上端よりも突出させている。つまり第一胴板10は、第二胴板20や第三胴板30よりも縦方向に長く形成している。この第一胴板10は、その上端と、第二胴板20や第三胴板30の上端の延長線との中間で、ヘッダ折り曲げ線HF1を形成している。このヘッダ折り曲げ線HF1で山折りし、第一胴板10上端の第四フラップ折り曲げ線FF4で谷折りすることで、
図2~
図3等に示すように接合板30’よりも突出させたヘッダ部70が形成される。このように第一胴板10を接合板30’よりも突出させたヘッダ部70を設けることで、商品収納容器100の正面側の面積を広く確保できる。例えば商品収納容器100の正面側に、商品説明用の印刷面を大きく取って見栄えを向上できる。また、ヘッダ部70の裏面側には、上述するように第四フラップ60、第五フラップ25、第六フラップ36で天部2を形成できる。
【0061】
ヘッダ部70を形成し易いように、第一胴板10の上部でヘッダ折り曲げ線HF1を設けた位置の左右には、切り欠きが形成される。これにより、第一胴板10の上端を折り返し易くできる。ここでは
図1の展開図において、ヘッダ折り曲げ線HF1から上の、第四フラップ折り曲げ線FF4より下の領域を、ヘッダ裏パネル72、ヘッダ折り曲げ線HF1から下で、ヘッダ裏パネル72と重なる領域を、ヘッダ表パネル71と呼ぶ。これらヘッダ表パネル71の裏側にヘッダ裏パネル72を重ねることで、ヘッダ部70を二重に構成して強度を増すことができる。
【0062】
第一胴板10は、その上部に第四フラップ60を連接している。また第二胴板20は、その上部に第五フラップ25を連接しており、第三胴板30はその上部に第六フラップ36を連接している。これら第五フラップ25、第六フラップ36は、第二胴板20、第三胴板30の上端でそれぞれ山折りされ、一方第四フラップ60は、第一胴板10の上部で既にヘッダ折り曲げ線HF1で山折りされているため、上端では谷折りされて、天部2を構成する。ここで、第四フラップ60を第一胴板10上端の第二短辺14で折り返した折り曲げ線を第四フラップ折り曲げ線FF4、第五フラップ25を第二胴板20の上端で折り返した折り曲げ線を第五フラップ25折り曲げ線FF5、第六フラップ36を第三胴板30の上端で折り返した折り曲げ線を第六フラップ36折り曲げ線FF6と呼ぶ。底部1では第一フラップ折り曲げ線FF1、第二フラップ折り曲げ線FF2、第三フラップ折り曲げ線FF3は一直線状に並んでいたが、天部2では第五フラップ25折り曲げ線FF5と第六フラップ36折り曲げ線FF6は一直線状に並ぶ一方で、第四フラップ折り曲げ線FF4は、第五フラップ25折り曲げ線FF5及び第六フラップ36折り曲げ線FF6よりも突出している。
(第六フラップ36)
【0063】
第六フラップ36も、第三胴板30の上端で、第二辺12側に偏在して設けられている。好ましくは第六フラップ36は、第三胴板30の上端の幅の約1/2以下に形成される。すなわち第六フラップ36折り曲げ線FF6の長さは、第三胴板30の横幅の約1/2以下となる。
図1の例では、第三胴板30は等幅の長方形状に形成されているので、第六フラップ36折り曲げ線FF6の長さは、第三フラップ折り曲げ線FF3と等しくなる。さらに好ましくは第三胴板30の上端において、第二辺12から第三胴板30状上端の幅中央の位置に、第六フラップ36が設けられる。すなわち第六フラップ36は、第一胴板10と第三胴板30の境界である第二辺12に接して設けられる。
【0064】
一方、第二胴板20の上端に設けられた第五フラップ25の下端は、第二胴板20の下端と同じ幅に形成されている。さらに第四フラップ60の下端は、第一胴板10の上端と同じ幅に形成されている。このような構成により、第三胴板30と第二胴板20を接合して接合板30’を形成した際、天部2には第五フラップ25と第六フラップ36が重なり合うことなく隣接して、第四フラップ60と対向する姿勢で天部2を形成できる。
(第四フラップ60)
【0065】
また第四フラップ60は、第四フラップ本体63と、第三折曲片61と、第四折曲片62を備える。第四フラップ本体63は、その左右に第三折曲片61と第四折曲片62を連接している。第四フラップ本体63と第三折曲片61、第四フラップ本体63と第四折曲片62とは、それぞれ山折りされる。第四フラップ本体63から山折りされた第三折曲片61は、第五フラップ25に貼付される。同じく第四フラップ本体63から山折りされた第四折曲片62は、第六フラップ36に貼付される。この天部2は、
図14、
図15に示すように、商品収納容器100を拡開することで、閉塞される。
(閉塞機構)
【0066】
底部1に設けた戻り止め機構と同様に、被収納物GDを収納空間SPに収納した状態で、天部2を閉塞して異物等が収納空間SPに入らないよう、天面を閉塞する閉塞機構を有している。閉塞機構は、第五フラップ25及び第六フラップ36と、第四フラップ60で構成される。具体的には、第五フラップ25、第六フラップ36をそれぞれ第二胴板20、第三胴板30の上端の第五フラップ25折り曲げ線FF5、第六フラップ36折り曲げ線FF6で山折りして設けたことで、第五フラップ25と第六フラップ36は別部材となる。これら第五フラップ25、第六フラップ36を、第四フラップ60と対向させて天部2を構成する。この結果、第五フラップ25と第六フラップ36は別部材であるため、相互に作用せず、跳ね上がりが大きくなって、天面を閉じる方向に変形するように作用して、天面からの異物の侵入を阻止する。
(第二貫通口64)
【0067】
加えて
図1の商品収納容器100は、第四フラップ60側にも、閉塞機構を付加している。すなわち第四フラップ本体63は、第二貫通口64を形成すると共に、この第二貫通口64から延長された第三折曲線66、第四折曲線67、第二中間折曲線65を設けている。第二貫通口64は、第四フラップ60の横幅方向の中央に形成される。第二貫通口64は、第一貫通口54と同様に、半円状に形成してもよい。
図1の展開図の例では、第二貫通口64は長穴状として、後述する第五貫通口74と兼用している。すなわち、ヘッダ表パネル71の裏側にヘッダ裏パネル72を重ねることで、第四貫通口73と重なるように、第二貫通口64が形成される。
【0068】
第三折曲線66は、第二貫通口64から、第四フラップ本体63の端縁の、第三折曲片61の端縁に沿うように延長されている。
図1の例では、第二貫通口64の円弧の左側より、左斜め上に延長されている。
【0069】
一方、第四折曲線67は、第二貫通口64から、第四フラップ本体63の端縁の、第四折曲片62側に向かって延長されている。
図1の例では、第二貫通口64の円弧の右側より、右斜め上に延長されている。
【0070】
さらに第二中間折曲線65は、第二貫通口64から、第四フラップ本体63の端縁の、中央に向かって延長されている。
図1の例では、第二貫通口64の上端の円弧の頂点より、鉛直方向に延長されている。この第二中間折曲線65は、第三折曲線66と第四折曲線67との間に設けられる。好ましくは、第二中間折曲線65に対して、第三折曲線66と第四折曲線67は線対称に設けられる。また第三折曲線66と第四折曲線67は山折りとなり、一方第二中間折曲線65は谷折りとなる。
【0071】
また第四フラップ本体63は、第二貫通口64から延長された第二中間折曲線65の端縁の位置で、V字状に窪ませるよう、その端縁の形状を切り欠いている。
図1の例では、第四フラップ60の上端は、その左右に設けた第三折曲片61、第四折曲片62を山状に突出させて、これら第三折曲片61と第四折曲片62の中間を逆等脚台形状に窪ませ、その中央でさらにV字状に窪ませて、頂部が第四フラップ60の幅方向の中心となり、かつこの頂部に第二中間折曲線65の上端を一致させている。第四フラップ60の形状は、第三折曲片61及び第四折曲片62を含めて、第二中間折曲線65で線対称に形成されている。ここで、第二中間折曲線65を境に、第四フラップ60の左側を第四フラップ左領域60a、右側を第四フラップ右領域60bと呼ぶ。第四フラップ左領域60aと第四フラップ右領域60bとは、一枚で連続的に形成されているところ、第二中間折曲線65で折曲されており、予め折り目が形成されていると共に、この第二中間折曲線65は、下端は第二貫通口64となり、また上端は頂部でV字状に窪ませており、上下で幅狭にされている結果、第二中間折曲線65では折り曲げの抵抗力が弱められて、折り曲げ易い状態となっている。換言すると、第四フラップ60自体を一枚物として構成しつつも、第四フラップ左領域60aと第四フラップ右領域60bとを第二中間折曲線65でもって分断したような構成となっている。このような第四フラップ60は、第四フラップ左領域60aと第四フラップ右領域60bとの相互作用が及び難くなるため、第四フラップ左領域60aと第四フラップ右領域60bそれぞれで、第四フラップ折り曲げ線FF4に沿って折り返した状態で、元の折り返す前の状態に戻ろうとする反発力を発揮させ易くなる。上述の通り反発力は、折り線が折れ線と直交している状態で、折り線に沿って一枚のフラップが左右で一体的に連続していることで、左右の相互作用によって阻害されるところ、左右の相互作用を弱めることで、左右を独立して動き易くし、もって阻害効果を抑制できる。
【0072】
また第二中間折曲線65と第三折曲線66との成す角度も、第二中間折曲線65と第四折曲線67との成す角度と等しくすることが好ましい。より好ましくは20°以上である。このような構成により、近接した折曲線である第二中間折曲線65と第三折曲線66、及び第二中間折曲線65と第四折曲線67とを、それぞれ折り込みやすくでき、加工精度を維持できる。
【0073】
さらに、第二中間折曲線65と第三折曲線66との成す角度よりも、第一中間折曲線と第一折曲線56との成す角度を大きくすることが好ましい。このようにすることで、底部1側をより拡開して被収納物を収納し易くできると共に、収納後も底部1側を天部2側よりも拡開させて、
図4に示すように底部1側を幅広として商品収納容器を側面視において三角形状に近付け、安定的に自立させ易くできる。
【0074】
このように、天部2と底部1の両方にフラップを設けて、各面を閉塞する構成とすることで、底面のみにフラップを設ける構成と比べて、収納空間SPを底部1のみならず天部2側でも同様に拡開して、被収納物GDを収納し易い利点が得られる。特に
図27等に示した比較例に係る商品収納容器100では、下面にのみフラップを設けており、上部は貼り合わせ式となっているため、上部がピロー型とならずに歪な形となる。これに対して本実施形態に係る商品収納容器100では、上下共にピロー形として、見栄えを良くできる。
【0075】
一方で、商品収納容器100を自立させる観点からは、底部1側を、天部2側よりもより拡開させる方が好ましい。これによって
図4に示したように、底部1を広くして三角形状に近付けて重心を安定させることができる。このため、挿入穴3から被収納物GDを収納した状態で、天部2の端面よりも、第三折曲片61及び第四折曲片62は奥側に折曲されている。また被収納物の太さが太くなるほど、第三折曲片61及び第四折曲片62と、天部2の端面との角度が浅くなるよう構成している。このような構成により、被収納物が薄いものであっても、天部2で傾斜角度を異ならせることにより吸収して、安定的に保持することができる。また被収納物の太さに応じて、第三折曲片61及び第四折曲片62と、天部2の端面との角度を調整するように変化させてもよい。
(挟み込み機構)
【0076】
さらに被収納物GDを収納空間SP内に収納した状態で安定的に保持するため、挟み込み機構を構成してもよい。挟み込み機構として、実施形態1に係る商品収納容器100は、
図13に示すように底部1に下挟み込み空間76を形成している。具体的には第二フラップ22は、収納空間SP内において第三フラップ33と対向する側に、第二フラップ段差部22aを形成している。また第三フラップ33は、収納空間SP内において第二フラップ22と対向する側に、第三フラップ段差部33aを形成している。これら第二フラップ段差部22aと第三フラップ段差部33aの間で、被収納物GDの下端を両側から挟み込む下挟み込み空間76を形成している。下挟み込み空間76は、被収納物GDの下端の大きさに応じて設計される。すなわち第二フラップ段差部22aと第三フラップ段差部33aで被収納物GDの下端を左右から挟み込むことで、安定的に保持できる。特に断面をピロー形とする収納空間SPに円筒状の被収納物GDを収納すると、被収納物GDの左右に空間が形成されて、左右にずれやすくなって位置が安定しなくなる。そこで第二フラップ22と第三フラップ33を利用して、第二フラップ段差部22aと第三フラップ段差部33aで被収納物GDの左右を挟み込むことにより、被収納物GDを安定的に保持できる利点が得られる。
【0077】
第二フラップ段差部22aと第三フラップ段差部33aは、
図1の展開図に示すように第二フラップ22と第三フラップ33の端縁を切り欠いて形成される。これら第二フラップ段差部22aと第三フラップ段差部33aは、第一胴板10に対して線対称に形成される。
【0078】
また挟み込み機構は、底部1に代えて、又はこれに加えて天部2に設けてもよい。実施形態1に係る商品収納容器100は、
図16に示すように天部2にも上挟み込み空間77を形成している。具体的には第五フラップ25は、収納空間SP内において第六フラップ36と対向する側に、第五フラップ段差部25aを形成している。また第六フラップ36は、収納空間SP内において第五フラップ25と対向する側に、第六フラップ段差部36aを形成している。これら第五フラップ段差部25aと第六フラップ段差部36aの間で、被収納物GDの上端を両側から挟み込む上挟み込み空間77を形成している。このような構成により、被収納物GDをピロー形の収納空間SPに収納した状態で、第五フラップ段差部25aと第六フラップ段差部36aで被収納物GDの上端を挟み込むことで、被収納物GDを安定的に保持できる。第五フラップ段差部25aと第六フラップ段差部36aも、
図1の展開図に示すように第五フラップ25と第六フラップ36の端縁を切り欠いて形成される。これら第五フラップ段差部25aと第六フラップ段差部36aも、第一胴板10に対して線対称に形成される。
【0079】
このように底部1と天部2にそれぞれ挟み込み機構を設けることで、被収納物GDを一層安定的に収納空間SP内に保持できる。なお底部1と天部2の挟み込み機構は、同一の形状に形成してもよいし、異ならせてもよい。各挟み込み機構は、被収納物GDの形状等に応じて設計される。
図1の展開図に示す例では、底部1の第二フラップ22、第三フラップ33と、天部2の第五フラップ25、第六フラップ36の形状を異ならせている。
(接合面)
【0080】
第四フラップ60は、上述の通りその一部を第五フラップ25、第六フラップ36と貼付して、天部2を形成している。ここで、第四フラップ60の、第五フラップ25と貼付する第三折曲片61、及び第六フラップ36と貼付する第四折曲片62の、面積をそれぞれ大きくすることで、第四フラップ60を第五フラップ25、第六フラップ36と接合するための接着材の塗布面積を大きくして、より安定的に接合できる。
【0081】
このため第四フラップ60は、第四フラップ本体63と第三折曲片61との第三境界線68を、直線状とせず、第一胴板10側に湾曲させた第一切り込み68aを形成している。また第四フラップ本体63と、第四折曲片62との第四境界線69も同様に直線状とせず、第一胴板10側に湾曲させた第二切り込み69aを形成している。そして第一切り込み68aの裏面側を、第三折曲片61を第五フラップ25に接合する第一接合面68bとし、第二切り込み69aの裏面側を、第四折曲片62を第六フラップ36に接合する第二接合面69bとする。このように第一接合面68b、第二接合面69bの面積を広くすることで、接着材を塗布する糊代の面積を確保して、第三境界線68、第四境界線69を鋭角にしつつも強度を維持できる。
(破断領域)
【0082】
また底部1は、被収納物GDの収納し易さと、底部1の成形時の強度維持を両立させるべく、判断領域を設けている。底部1に形成する挿入穴3は、大きいほど、被収納物GDを挿入し易く、またより大きな被収納物GDを収納できる。一方で、挿入穴3を大きくすると、底部1を構成する第一フラップ50が相対的に小さくなり、成形ミスが生じ易くなる上、十分な強度を持たせて成形することが困難となる。このように、挿入穴3を底部1に形成する際には、被収納物GDの収納し易さと、底部1の成形時の強度維持とが相反し、これらを両立させることが困難であった。
【0083】
これに対し実施形態1に係る商品収納容器100では、成形時には挿入穴3を小さく形成する一方で、被収納物GDの挿入時には挿入穴3を大きくするように、破断領域を設けている。具体的には、
図1、
図6等に示すように、第一フラップ50は、第一折曲片51との第一境界線58に、第一貫通スリット58aを形成している。また第一貫通スリット58aと第一フラップ50の端縁との間には、第一破断領域58bを形成している。第一破断領域58bは、好ましくはハーフカットを設けたり、切り取り線を付加する等して、破断され易くする。
【0084】
一方で第一フラップ50は、第二折曲片52との第二境界線59に、第二貫通スリット59aを形成している。また第二貫通スリット59aと第一フラップ50の端縁との間には、第二破断領域59bを形成している。第二破断領域59bも第一破断領域58bと同様、好ましくはハーフカットを設けたり、切り取り線を付加する等して、破断され易くする。
【0085】
そして被収納物GDを底部1から挿入する際に、第一破断領域58b、第二破断領域59bを破断するように構成している。このような構成により、商品収納容器100を製函する際は、第一破断領域58b、第二破断領域59bでもって第一フラップ50と第一折曲片51、第二折曲片52との連結強度を発揮させつつ、被収納物GDの収納時には圧入して第一破断領域58b、第二破断領域59bを破断させることができる。これにより挿入穴3の大きさを小さくして強度を発揮させつつも、大きめの被収納物GDでも収納させることが可能となる。
(開口窓75)
【0086】
さらに第一胴板10は、その中間に、被収納物GDを収納した状態でその一部を表出させる開口窓75を形成してもよい。これにより、
図2等に示すように開口窓75から被収納物GDの一部を表出させて、被収納物GDを外部から視認可能とした商品収納容器100を実現できる。
[実施形態2]
【0087】
開口窓75は、縦長のトラック形状とする他、矩形状や台形状、菱形等の多角形状、楕円状、星形、ハート型など、任意の形状が利用できる。多角形状とする場合は、隅部を面取りすることが好ましい。
図17に示す実施形態2に係る商品収納容器200は、開口窓75Bを面取りした縦長の逆等脚台形状としている。この図において、上述した実施形態1と同様の部材については、同じ符号を付して詳細説明を省略する。
[実施形態3]
【0088】
なお開口窓75の形成は任意であり、第一胴板10に開口窓を設けない構成としてもよい。このような例を実施形態3に係る商品収納容器300として、
図18の展開図に示す。この図において、上述した実施形態1と同様の部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。実施形態3に係る商品収納容器300は、第一胴板10を一様な平板状としている。
【0089】
なお、上述した挟み込み機構についても、必須でなく、天部又は底部のいずれか一方のみに設けてもよいし、いずれも省略してもよい。
図18の例では、底部にのみ下挟み込み空間を形成し、天部には上挟み込み空間を設けない例を示している。
(ガイドパネル75b)
[実施形態4]
【0090】
また開口窓75は、その左右に、それぞれガイドパネルを形成してもよい。このような例を実施形態4に係る商品収納容器400として、
図19の展開図に示す。この図においても、上述した実施形態1と同様の部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。実施形態4に係る商品収納容器400は、第一胴板10の中央近傍に、上方を半円、下方をフラットとした縦長の開口窓75Dを形成するとともに、開口窓75Dの中間から下方にかけて、開口窓75Dの内形の左右から中心方向に延伸されたガイドパネル75bをそれぞれ形成している。各ガイドパネル75bは、第一胴板10の中央で当接している。この開口窓75Dは、第一胴板10の中間に、第六貫通口75Daを形成し、その下方に離間させて第七貫通口75Dbを形成し、第六貫通口75Daの幅方向の中心から第七貫通口75Dbの幅方向の中心に切り込み線75Dcを形成して、さらに第六貫通口75Daの右下、左下から、第七貫通口75Dbの右上、左上に折り曲げ線75Ddを形成して設けられる。
【0091】
実施形態4に係る商品収納容器400は、
図20に示すように、被収納物GDを挿入する前に予め、切り込み線75Dcで左右のガイドパネル75bに分離されて、左右の折り曲げ線75Ddでそれぞれ山折りに観音開き状に折り曲げられて、開口窓75Dの左右をガイドする。この状態で被収納物GDを挿入穴3から収納空間SPに挿入し、ガイドパネル75bで両側をガイドされたガイド空間に挿入される。この状態で被収納物GDは、その左右を各ガイドパネル75bで押圧されて安定的に保持される。
(吊り下げ穴)
【0092】
またヘッダ部70に、商品収納容器100を吊り下げるための吊り下げ穴を設けることもできる。
図1の展開図に示す例では、第一胴板10は、ヘッダ折り曲げ線HF1から下方に離間した位置に第四貫通口73を形成している。またヘッダ折り曲げ線HF1から上方に離間した位置に第五貫通口74を形成している。第四貫通口73は、ヘッダ表パネル71に形成される。また第五貫通口74は、ヘッダ裏パネル72に形成される。この第一胴板10の上部をヘッダ折り曲げ線で折り返して、ヘッダ表パネル71の裏側にヘッダ裏パネル72を重ねることで、第四貫通口73と第五貫通口74が重ねられて、貫通口となる吊り下げ穴が形成される。この吊り下げ穴をフック等に吊り下げて、商品収納容器100を吊り下げ展示することが可能となる。特にヘッダ部70をヘッダ表パネル71とヘッダ裏パネル72を重ねた二重構造としているため、吊り下げ穴も二重となって、吊り下げ時の強度を向上できる。
【0093】
さらに第五貫通口74を長穴状に形成して、その一部を第二貫通口64と共用することが好ましい。これにより、吊り下げ穴と閉塞機構の穴を共通化して、構成を簡素化できる。
【0094】
なおヘッダ部70に吊り下げ穴を設ける必要は必ずしもない。例えば上述した実施形態4に係る商品収納容器400では、ヘッダ部70に吊り下げ穴を設けない例を示している。
[実施形態5]
【0095】
さらに、商品収納容器にヘッダ部70に設ける必要も必ずしもない。例えば
図21の平面図に示す実施形態5に係る商品収納容器500では、ヘッダ部を設けていない。この構成では、第一胴板10E、第二胴板20E、第三胴板30Eの高さが等しくなる。また底部1Eで第一フラップ折り曲げ線FF1、第二フラップ折り曲げ線FF2、第三フラップ折り曲げ線FF3は一直線状に並ぶと共に、天部2Eでも第五フラップ25折り曲げ線FF5、第四フラップ折り曲げ線FF4、第六フラップ36折り曲げ線FF6が一直線状に並ぶ。
[実施形態6]
【0096】
以上のように、天部2と底部1の両方にフラップを設けて、各面を閉塞する構成においては、挿入穴3を底部1のみに設ける他、天部2に設けることもできる。このような例を実施形態6に係る商品収納容器600として、
図22の展開図に示す。この図においても、上述した実施形態1等と同様の部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。
【0097】
実施形態6に係る商品収納容器600は、天部2Fに第二挿入穴3’を形成している。このため第四フラップ本体63Fは、第三折曲片61F及び第四折曲片62Fとの間を広く離間させ、さらに上端を面取りした逆等脚台形状に形成している。第四フラップ60Fは、第一フラップ50と同様の形状に形成してもよいし、異ならせてもよい。天部2Fに第二挿入穴3’を形成することで、被収納物を底部1の挿入穴3からのみならず、天部2Fからも挿入可能とでき、製函機や自動充填機などに対する自由度が高まる。
[実施形態7]
【0098】
また挿入穴に破断領域を設ける必要は必ずしもなく、破断領域を省略してもよい。このような例を実施形態7に係る商品収納容器700として、
図23の展開図に示す。この図においても、上述した実施形態1等と同様の部材については、同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。
【0099】
実施形態7に係る商品収納容器700では、底部1Gにおいて第一フラップ50Gは、第一フラップ本体53Gと第一折曲片51Gとの第一境界線58Gを、第一貫通スリットを形成せず、谷折り線としている。同様に第一フラップ本体53Gと第二折曲片52Gとの第二境界線59にも、第二貫通スリットを形成せず、谷折り線としている。さらに天部2Gにおいても第四フラップ本体63Gは、第三折曲片61Gとの第三境界線68Gや第四折曲片62Gとの第四境界線69Gにおいても、貫通スリットを形成せずに谷折り線としている。これにより、挿入穴3G及び第二挿入穴3’Gでそれぞれ規定された大きさの被収納物を挿入することが可能となる。
【0100】
さらに、挿入穴を底部に設けず、天部にのみ設けた商品収納容器としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の商品収納容器は、化粧品や衣料品、食品等のパッケージとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0102】
100、200、300、400、500、600、700…商品収納容器
1、1E、1G…底部
2、2E、2F、2G…天部
3…挿入穴;3’…第二挿入穴
10、10E…第一胴板
11…第一辺
12…第二辺
13…第一短辺
14…第二短辺
20、20E…第二胴板
21…第三辺
22…第二フラップ;22a…第二フラップ段差部
25…第五フラップ;25a…第五フラップ段差部
30’…接合板
31…第四辺
33…第三フラップ;33a…第三フラップ段差部
36…第六フラップ;36a…第六フラップ段差部
40…破断線
41…第一破断線
42…第二破断線
43…指掛け部
44…切り欠き部
45…第一破断片
46…第二破断片
50、50G…第一フラップ
50a…第一フラップ左領域;50b…第一フラップ右領域
51、51G…第一折曲片
52、52G…第二折曲片
53、53G…第一フラップ本体
54…第一貫通口
55…第一中間折曲線
56…第一折曲線
57…第二折曲線
58、58G…第一境界線;58a…第一貫通スリット;58b…第一破断領域
59、59G…第二境界線;59a…第二貫通スリット;59b…第二破断領域
60、60F、60G…第四フラップ;60a…第四フラップ左領域;60b…第四フラップ右領域
61、61F、61G…第三折曲片
62、62F、62G…第四折曲片
63、63F、63G…第四フラップ本体
64…第二貫通口
65…第二中間折曲線
66…第三折曲線
67…第四折曲線
68、68G…第三境界線;68a…第一切り込み;68b…第一接合面
69、69G…第四境界線;69a…第二切り込み;69b…第二接合面
70…ヘッダ部
71…ヘッダ表パネル
72…ヘッダ裏パネル
73…第四貫通口
74…第五貫通口
75、75B、75D…開口窓;75Da…第六貫通口;75Db…第七貫通口;75Dc…切り込み線;75Dd…折り曲げ線;75b…ガイドパネル
76…下挟み込み空間
77…上挟み込み空間
900…商品収納容器
910…胴板
930…胴板
945…破断部
950…フラップ
960…フラップ
GD…被収納物
SP…収納空間
FF1…第一フラップ折り曲げ線
FF2…第二フラップ折り曲げ線
FF3…第三フラップ折り曲げ線
FF4…第四フラップ折り曲げ線
FF5第五フラップ折り曲げ線
FF6第六フラップ折り曲げ線
HF1…ヘッダ折り曲げ線
FD1…折れ目
FD2…折り線