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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044217
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】プリフォーム
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/06 20060101AFI20240326BHJP
   B29B 11/08 20060101ALI20240326BHJP
   B29B 11/14 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B29C49/06
B29B11/08
B29B11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149619
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 紗奈
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 量哉
【テーマコード(参考)】
4F201
4F208
【Fターム(参考)】
4F201AG07
4F201AH55
4F201AR12
4F201BA03
4F201BC02
4F201BD04
4F201BD06
4F201BM05
4F201BM12
4F208AG07
4F208AG24
4F208AH55
4F208AR12
4F208AR15
4F208LA08
4F208LG03
4F208LG13
4F208LG16
4F208LG19
4F208LG29
4F208LG30
(57)【要約】
【課題】 ブロー成形した後にプラスチックボトルの口部が変形せず、底部のヒール部が薄くなりすぎないようにすることが可能な、プリフォームを提供することを目的とする。
【解決手段】 プリフォーム10は口部11と、変形部20とを備える。変形部20は、口部11に連結された首部21と、肉厚が変化する肉厚変化部22と、胴部23と、底部24と、を備える。肉厚変化部22は、首部21から下方に向かい肉厚を最も薄肉である薄肉部22cを形成するとともに、薄肉部22cから下方に向かい漸次肉厚になる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポートリングを有する口部と、変形部とを備え、
前記変形部は、前記口部に連結された首部と、
前記首部に連結され、肉厚が変化する肉厚変化部と、
前記肉厚変化部に連結され、前記首部よりも外径が小さい胴部と、
前記胴部に連結された底部と、を備え、
前記肉厚変化部は、前記首部から下方に向かい肉厚を最も薄肉である薄肉部を形成するとともに、前記薄肉部から下方に向かい漸次肉厚になる、プリフォーム。
【請求項2】
前記変形部の重量は、9.4g以上14.4g以下であり、
前記首部の第1外径をD3とし、前記胴部の第2外径をD7としたときに、前記首部の第1外径に対する前記胴部の第2外径の割合は、0.80<D7/D3<0.92の関係であり、
前記変形部の長さをLとし、前記サポートリングの下部から前記薄肉部までの長さをL0としたときに、前記変形部の長さLに対する前記サポートリングの下部から前記薄肉部までの長さL0の割合は、0.095<L0/L<0.14の関係としてなる、請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項3】
前記変形部の長さは、60mm以上、65mm以下であり、
前記サポートリングの下部から前記薄肉部までの長さは、6mm以上、10mm以下である、請求項1または請求項2に記載のプリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックボトル用プリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】

従来、例えば射出成形法により作製したポリエチレンテレフタレート製プリフォームを二軸延伸ブロー成形し、プラスチックボトルを作製することが行われている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】

【特許文献1】特開2016-13664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、容量の異なるプラスチックボトルの製造に別々のプリフォームを準備しなければならず、経済性が悪いという問題があった。
【0005】
同一のプリフォームを用いて容量の異なるプラスチックボトルを製造する際、いずれのプラスチックボトルの口部も同一の大きさであるが、従来の小容量のプリフォームを用いて、ブロー成形により大容量のプラスチックボトルを作製した際に、底部のヒール部が薄くなりすぎ、白化及び破裂とよばれる現象が発生するおそれがある。一方、このような白化現象及び破裂現象を防止するために、ブロー成形時のプリフォームの加熱温度を上昇させることも考えられるが、この場合、プリフォームの口部も必要以上に加熱されてしまい、口部が変形してしまうおそれがある。また、プラスチックボトルの重量を重くすればこのような問題は改善されるが、プラスチックボトルの軽量化が阻害される。
【0006】
本開示は、同一のプリフォームから容量280ml以上600ml以下の異なる容量のペットボトルを成形可能なプリフォームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】

本実施の形態によるプリフォームは、容量280ml以上の小型ボトルから600ml以下のプラスチックボトルに対応可能な成形用プリフォームを提供することを目的とする。
【0008】
すなわち、本実施の形態によるプラスチックボトル用プリフォーム10は、サポートリング14を有する口部11と、変形部20とを備え、変形部20は、口部11に連結された首部21と、首部21に連結され、肉厚が変化する肉厚変化部22と、肉厚変化部22に連結され、首部21よりも外径が小さい胴部23と、胴部23に連結された底部24と、を備え、肉厚変化部22は、首部21から下方に向かい肉厚が最も薄肉である薄肉部22cを形成するとともに、薄肉部22cから下方に向かい漸次肉厚になる。
【0009】
また、本実施の形態によるプリフォーム10において、変形部20の重量は、9.4g以上14.4g以下であり、首部21の外径D3(第1外径)に対する胴部23の外径D7(第2外径)の割合は、0.80<D7/D3<0.92の関係であり、前記変形部の長さをLとし、前記サポートリングの下部から前記薄肉部までの長さをL0としたときに、変形部20の長さLに対するサポートリング14の下部から肉厚変化部22の薄肉部22cまでの長さL0の割合は、0.095<L0/L<0.14の関係であってもよい。
【0010】
また、本実施の形態によるプリフォーム10において、変形部20の長さLは、60mm以上、65mm以下であり、サポートリング14の下部から肉厚変化部22の薄肉部22cまでの長さL0は、6mm以上、10mm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本実施の形態によれば、同一のプリフォームから容量280ml以上600ml以下の異なる容量のプラスチックボトルを成形可能なプリフォームを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施の形態によるプリフォームを示す正面図。
図2図2は、一実施の形態によるプリフォームを示す垂直断面図(プリフォームの中心軸を通る断面図)。
図3図3は、一実施の形態によるプリフォームにより作製されるプラスチックボトルを示す正面図。
図4図4は、一実施の形態によるプリフォームにより作製されるプラスチックボトルの別の例を示す正面図。
図5図5は、実施例1のプリフォームを示す正面図。
図6図6は、比較例1のプリフォームを示す正面図。
図7図7は、実施例および比較例のプリフォームの肉厚測定結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。図1乃至図4は一実施の形態を示す図である。
【0014】
本明細書中、「上方」及び「下方」とは、それぞれプリフォーム10の口部11を鉛直方向上方に向け、プリフォーム10の底部24を鉛直方向下方に向けた状態(図1及び図2)における上方及び下方のことをいう。本明細書中、プリフォーム10の「中心軸CL」とは、プリフォーム10の口部11の内面を構成する円筒の中心軸をいう。
【0015】
また本明細書中、「高さ方向」とは、プリフォーム10の中心軸CLに沿う方向をいい、「半径方向」とは、プリフォーム10の中心軸CLに対して直交する方向をいう。また、「周方向」とは、プリフォーム10の中心軸CLを中心とする円の円周方向をいう。また、「水平断面」とは、プリフォーム10の中心軸CLに対して直交する平面で切断した断面をいう。「垂直断面」とは、プリフォーム10の中心軸CLを含む平面で切断した断面をいう。
【0016】
図1及び図2により本実施の形態によるプリフォームの概要について説明する。
【0017】
図1に示すプリフォーム10は、開口部15を有する口部11と、口部11に連結された首部21と、首部21に連結された肉厚変化部22と、肉厚変化部22に連結された胴部23と、胴部23に連結された底部24とを備えている。なお、底部24と胴部23との境界には、第1境界部26が存在する。肉厚変化部22と胴部23との境界には、第2境界部27が存在する。首部21と肉厚変化部22との境界には、第3境界部28が存在する。
【0018】
ここで、首部21と肉厚変化部22と胴部23と底部24とを有する範囲を変形部20とも呼ぶこととする。ブロー成形時には、この変形部20が主に変形する。
首部21と肉厚変化部22と胴部23と底部24との高さ方向の合計長さ、すなわちプリフォーム10のうち、底部24の先端から首部21と口部11との境界部までの長さ(変形部20の高さ方向の長さ)は、Lである。この変形部20の長さLは、上述した長さL2、L3、L4、及びL5の合計である(L=L2+L3+L4+L5)。
【0019】
図1に示すプリフォーム10は、全体の樹脂重量が20.0g以下で、容量280ml以上600ml以下のプラスチックボトルに対応可能な成形用プリフォームである。変形部20の樹脂重量は、9.4g以上14.4g以下としてよい。
【0020】
肉厚変化部22は、首部21の下部に連結されており、首部21側から胴部23側に向けて肉厚が変化する形状となっている。肉厚変化部22は、略円錐台形の筒状であり、外面22aと内面22bとを有する。なお、口部11はブロー成形で肉厚がほとんど変化しない。
【0021】
肉厚変化部22の高さ方向の長さL3は、例えば9mm以上16mm以下である。肉厚変化部22の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形状であってもよい。肉厚変化部22の外面22aは、高さ方向に沿って変化する外径D5を有し、肉厚変化部22の内面22bは、高さ方向に沿って変化する内径D6を有している。肉厚変化部22の外径D5及び内径D6は、それぞれ首部21側から胴部23側に向けて徐々に小さくなっている。
【0022】
肉厚変化部22の肉厚T2は、首部21側から胴部23側に向けて下方に向かい肉厚を最も薄肉である薄肉部22cを形成するとともに、薄肉部22cから下方に向かい漸次肉厚になる。
【0023】
プリフォーム10の変形部20の長さLは、60mm以上、65mm以下が好ましい。上記範囲内であると、ブロー成形により大容量のプラスチックボトルを作製した際に、底部のヒール部が薄くなりすぎず、白化現象を抑えることができる。
また、プリフォーム10の全長は、L6であり、この全長L6は、上述した変形部20の長さLとL1との合計である(L6=L1+L)。プリフォーム10の全長L6は、80mm以上90mm以下としてもよい。
【0024】
薄肉部22cの長さは、1mm以上6mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下が好ましい。上記範囲内であると、成形されたプラスチックボトルの首付け根の肉溜まりの発生を抑えることができる。
【0025】
肉厚変化部22の外面22a及び内面22bは、それぞれプリフォーム10の中心軸CLに対して傾斜している。具体的には、図2に示すように垂直断面において、肉厚変化部22は、首部21から薄肉部22cに向けて、肉厚変化部22の外面22aの中心軸CLに対する傾斜角θ1に対して、薄肉部22cから胴部23に向けて、肉厚変化部22の外面22aの中心軸CLに対する傾斜角θ1が大きくなるように形成される。また、肉厚変化部22は、首部21から薄肉部22cに向けて、肉厚変化部22の内面22bの中心軸CLに対する傾斜角θ2に対して、薄肉部22cから胴部23に向けて、肉厚変化部22の内面22bの中心軸CLに対する傾斜角θ2が大きくなるように形成される。
【0026】
また、肉厚変化部22の肉厚T2において、薄肉部22cの肉厚を肉厚部T20と呼ぶ。サポートリング14下から薄肉部22cの下端までの長さL0は、例えば、6mm以上、10mm以下が好ましい。上記範囲内であると、成形されたプラスチックボトルの首付け根の肉溜まりの発生を抑えることができる。
【0027】
本実施の形態によるプリフォーム10において、変形部20の重量は、9.4g以上14.4g以下とすることができる。首部21の外径D3(第1外径)に対する胴部23の外径D7(第2外径)の割合は、0.80<D7/D3<0.92の関係であることが好ましい。上記範囲内であると、成形されたプラスチックボトルの首付け根の肉溜まりの発生を抑えることができる。
【0028】
変形部20の長さLに対するサポートリング14の下部から肉厚変化部22の薄肉部22cまでの長さL0の割合は、0.095<L0/L<0.14の関係であることが好ましい。上記範囲内であると、上記範囲内であると、成形されたプラスチックボトルの首付け根の肉溜まりの発生を抑えることができる。
【0029】
口部11は、円筒状の口部本体12と、口部本体12の外周に設けられたねじ部13と、ねじ部13の下方に設けられたサポートリング14とを有している。ねじ部13は、プリフォーム10を二軸延伸ブロー成形してプラスチックボトル30、40(図3図4)を作製した後、図示しないキャップを螺合するためのものである。また、口部本体12は、高さ方向の長さL1と、外径D1と内径D2とを有している。口部本体12の外径D1は、20mm以上40mm以下としてもよく、口部本体12の内径D2は、15mm以上30mm以下としてもよく、20mm以上25mm以下としてもよい。また口部11の高さ方向の長さL1は、例えば9mm以上26mm以下としてもよい。
【0030】
また、サポートリング14は、口部11の下部に設けられており、全周にわたって円環状に突設されている。サポートリング14の下方には、首部21が連結されている。
【0031】
首部21は、サポートリング14の下部に連結されており、高さ方向の長さL2を有している。中心軸CLに沿って切断した断面図で見たとき、首部21の外径側は中心軸CLと略平行となっている。首部21は、全体として略円筒形状であり、外面21aと内面21b、外径D3と内径D4、肉厚T1を有している。首部21の外径D3は、上述した口部本体12の外径D1と略同一であってもよい。また、首部21の内径D4は、上述した口部本体12の内径D2と略同一であってもよい。首部21の肉厚T1は、サポートリング14直下における肉厚を指す。なお首部21の高さ方向全体にわたって肉厚T1と略均一の肉厚であってもよいし、肉厚が変化していてもよい。なお、プリフォーム10を射出成形等により作製するとき、金型から抜き取りやすくするための抜き勾配を設けるため、内径D4は、内径D2よりも若干細くなるように作られていてもよい。
【0032】
胴部23は、肉厚変化部22の下部に連結されており、円筒状に形成された部分である。中心軸CLに沿って切断した断面図で見たとき、胴部23の外径側は中心軸CLと略平行となっている。胴部23は、外面23aと内面23bと、高さ方向の長さL4と、胴部外径D7と胴部内径D8とを有している。胴部外径D7は、15mm以上25mm以下としてよく、20mm以上23mm以下がより好ましい。
胴部23の外面23aは、プリフォーム10の中心軸CLに対して略平行な円筒面である。胴部23の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形状である。したがって胴部23の肉厚である胴部肉厚T3は略均一である。
【0033】
底部24は、胴部23の下部に連結されており、円筒状の胴部23の開口を塞ぐようにして設けられている。底部24は、外面24aと内面24bとを有する。底部24は、全体として略半球形状である。垂直断面において、底部24の外面24aは全体として半円形状であるが、底部24の外面24aが非円弧の部分を含む曲線形状であってもよい。同様に、垂直断面において、底部24の内面24bは全体として半円形状である。
【0034】
プリフォーム10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましく、植物由来のバイオマス系プラスチック、例えばPLA(ポリ乳酸)を用いることも可能である。あるいは、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いてもよい。PETにおいては、メカニカルリサイクル材やケミカルリサイクル材であってもよい。また植物由来原料を用いて製造したPETやPEF(ポリエチレンフラノエート)であってもよい。また、プリフォーム10は、2層以上の多層成形プリフォームとして形成することもできる。すなわち射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10として形成してもよい。
【0035】
プリフォームがPETやPENなどのポリエステル樹脂で構成される場合、ポリエステルは、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルから選択されてもよい。本明細書において、例えば、アンチモン触媒ポリエステルとは、ポリエステルの製造時に、重合触媒として、アンチモン触媒が用いられたポリエステルを意味する。したがって、上記列挙したポリエステルは、重合触媒として、それぞれの触媒が用いられたポリエステルを意味する。
【0036】
アンチモン触媒としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、トリフェニルアンチモン、アンチモングリコールなどが挙げられる。
【0037】
マンガン触媒としては、例えば、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩、水酸化マンガンなどが挙げられる。
【0038】
チタン触媒としては、例えば、テトラ-n-プロピルチタネート、テトラ-i-プロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートテトラマー、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、酢酸チタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸-水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン-塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム及びチタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。
【0039】
アルミニウム触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)及びエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0040】
リチウム触媒としては、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びフェニルリチウムなどが挙げられる。
【0041】
ゲルマニウム触媒としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラプロポキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムテトラペンタキシド及びゲルマニウムテトラヘキソキシドなどが挙げられる。
これら触媒の中でも、アルミニウム触媒が望ましい。
【0042】
次に、図3から図4を用いて、本実施形態のプリフォーム10を二軸延伸ブロー成形することにより作製可能な2種類のプラスチックボトルの例について説明する。
【0043】
図3に示すプラスチックボトル30は、容量が280mlであり、不図示の蓋を含まない全高132mm、最大胴径φ66mm、満注容量は295mlである。
プラスチックボトル30は、口部31と、口部31下方に設けられた本体部32とを備えている。さらに本体部32は、肩部32a、胴部32b、底部32cから構成されている。また口部31のサポートリング37下方と、肩部32aの上部の間には、首部35が形成されている。
【0044】
プラスチックボトル30の首部35は、ほぼ円筒形状でありサポートリング37の下方に向かってほぼ直線状に伸び、径が拡大して肩部32aとなる。
さらに口部31の外周には、キャップを螺合するためのねじ部36(上述したプリフォーム10のねじ部13に対応する)が設けられ、口部31の外周のうちねじ部36下方部分には、外方に突出する環状のサポートリング37(上述したプリフォーム10のサポートリング14に対応する)が設けられている。
【0045】
胴部32bは、略円筒状であり、周囲には複数の圧力吸収パネル34が設けられている。圧力吸収パネル34は、プラスチックボトルが加温されて内部圧力が上昇した場合に、外方へ膨張する。胴部32bの圧力吸収パネル34を有さない部分の水平断面は、略円形状である。さらに、肩部32aは、略球形状であり、この肩部32aの水平断面は略円形状であり、その面積は、首部35側から胴部32b側へ向けて徐々に大きくなっている。
【0046】
底部32cは、プラスチックボトル30の内方へ向けて円錐台形状を基本とした形状で凹んでいる。
【0047】
図4に示すプラスチックボトル40は、容量が600mlであり、不図示の蓋を含まない全高223mm、対面の最大胴径φ61mm、対角の最大胴径φ70mm、満注容量は620mlである。
プラスチックボトル40は、口部41と、口部41下方に設けられた本体部42とを備えている。さらに本体部42は、肩部42a、胴部42b、底部42cから構成されている。また口部41のサポートリング47下方と、肩部42aの上部の間には、首部45が形成されている。
【0048】
プラスチックボトル40の首部45は、ほぼ円筒形状であり、サポートリング47の下方に向かってほぼ直線状に伸び、径が拡大して肩部42aとなる。
さらに口部41の外周には、キャップを螺合するためのねじ部46(上述したプリフォーム10のねじ部13に対応する)が設けられ、口部41の外周のうちねじ部46下方部分には、外方に突出する環状のサポートリング47(上述したプリフォーム10のサポートリング14に対応する)が設けられている。
【0049】
胴部42bは、略四角柱状であり、周囲には複数の圧力吸収パネル44が設けられている。圧力吸収パネル44は、プラスチックボトルが加温されて内部圧力が上昇した場合に、外方へ膨張する。胴部42bの圧力吸収パネル44を有さない部分の水平断面は、略四角形状である。さらに、肩部42aは、略角錐台形状であり、この肩部42aの水平断面は略四角形状であり、その面積は、首部45側から胴部42b側へ向けて徐々に大きくなっている。
【0050】
底部42cは、プラスチックボトル40の内方へ向けて円錐台形状を基本とした形状で凹んでいる。
【0051】
次に、このような構成からなるプラスチックボトル30、40の製造方法について述べる。
まず図1及び図2に示すプリフォーム10を準備する。この場合、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂製ペレットを射出成形機に投入し、このペレットが射出成形機によって加熱溶融される。その後、ペレットは溶融プラスチックとなって、プリフォーム10に対応する内部形状を有する射出成形金型内に射出される。所定時間の経過後、射出成形金型内で溶融プラスチックが硬化し、プリフォーム10が形成される。その後、射出成形金型を分離し、射出成形金型内から図1及び図2に示すプリフォーム10を取り出す。なお、プリフォーム10の製作は射出成形法に限定するものではなく、例えば圧縮成形法等の他の成形法であってもよい。
【0052】
次に、プリフォーム10は、加熱装置によって加熱される。このとき、プリフォーム10は、回転しながら、加熱装置によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10の加熱温度は、例えば90℃~130℃としてもよい。
【0053】
続いて、加熱装置によって加熱されたプリフォーム10は、ブロー成形金型に送られ、このブロー成形金型を用いてプラスチックボトル30、40が成形される。この場合、ブロー成形金型は互いに分割された一対の胴部金型と、底部金型とからなる。これらの金型内にプリフォーム10が装着される。次に図示しない延伸ロッドによってプリフォーム10が長手方向に伸ばされ、さらに、プリフォーム10内に空気が圧入され、プリフォーム10に対して二軸延伸ブロー成形が施される。
【0054】
以上の工程によって、ブロー成形金型内でプリフォーム10からプラスチックボトル30、40が得られる。この間、胴部金型は20℃~75℃に温度調整され、底部金型は8℃~20℃に温度調整される。この際、ブロー成形金型内では、プリフォーム10が膨張され、ブロー成形金型の内面に対応する形状に賦形される。このようなブロー成形によって、図3図4に示すプラスチックボトル30、40が得られる。
【実施例0055】
次に、上記実施の形態における具体的実施例について説明する。
【0056】
(実施例1)
図5に示す構成をもつポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム(17.82g)を作製した。この場合、変形部20の重量は12.72gであった。変形部20の長さLは、63.99mmであった。サポートリング14下から肉厚変化部22までの長さL0は、8mmであった。薄肉部22cの厚みT20は、1.97mmであった。薄肉部22cの長さは、5mmであった。胴部23の外径D7は、22.23mmであった。首部21の外径D3は、25.65mmであった。
【0057】
(実施例2)
変形部20の重量を12.69gすること、サポートリング14下から肉厚変化部22までの長さL0を7mm以外は、実施例1と略同様にしてプリフォームを作製した。なお、薄肉部22cの長さは、3mmであった。
【0058】
(実施例3)
薄肉部22cの厚みT20を1.88mmすること、以外は、実施例1と略同様にしてプリフォームを作製した。なお、薄肉部22cの長さは、2mmであった。
【0059】
(比較例1)
図6に示すポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム(18.09g)を作製した。この場合、変形部20の重量は12.99gであった。変形部の長さLは、63.49mmであった。薄肉部22cの厚みT20は、1.77mmであった。胴部23の外径D7は、24mmであった。首部21の外径D3は、25.16mmであった。
【0060】
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム(18.3g)を作製した。この場合、変形部20の重量は13.2gであった。変形部の長さLは、58.99mmであった。薄肉部22cの厚みT20は、2.00mmであった。胴部23の外径D7は、22.24mmであった。首部21の外径D3は、25.65mmであった。
【0061】
なお、実施例1-実施例3と、比較例1-比較例2のプリフォーム10は、いずれもPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いて作製した。口部11の形態は、口部規格であるPCO1810に準拠した形態とした。
【0062】
実施例1-3および比較例1-2のプリフォームの肉厚変化部22の肉厚測定結果を図7に示す。なお、横軸にサポートリンング14下から下方(胴部23方向)への長さ(mm)を示す。縦軸に肉厚変化部22の肉厚(mm)を示す。
【0063】
図7に示すように、実施例1-3のプリフォームは、首部21と肉厚変化部22の第3境界部28と、肉厚変化部22と胴部23の境界線の間の肉厚が最も薄かった(薄肉部22c)。これに対し、比較例1-2は、サポートリング14下の位置(21C)の肉厚が最も薄かった。
【0064】
[評価]
上記5種類のプリフォーム(実施例1-3、比較例1-2)をそれぞれ10000本ずつ作製し、ブロー成形金型を変えることにより、図3図4に示すプラスチックボトル30、40を1種類のプリフォーム10によって作り分けることができることを目的として、各種評価を行った。
【0065】
(ボトル首付け根の肉溜まりの評価)
ボトル首付け根の肉溜まりの評価として、ボトルを横から見た時の首の付け根の見えを評価した。この評価は目視による官能評価であり、22℃の環境下で行った。この評価の結果、首の付け根に輪が見えない場合には、〇の評価とし、首の付け根に輪が見える場合は、×の評価とした。この結果を下記表1に示す。
【0066】
(ボトルヒール部の白化の評価)
ボトルヒール部の白化の評価として、ボトルを底部から見たときのヒール部の見えを評価した。この評価は目視による官能評価であり、22℃の環境下で行った。この評価の結果、このとき、ヒール部に白化が生じたプラスチックボトルが0本である場合は、〇の評価とし、ヒール部に白化が生じた場合は、×の評価とした。この結果を下記表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
ここで、表1中の「変形部重量」とは、プリフォーム10において口部11を除く部分の重量であり、首部21の重量と肉厚変化部22の重量と胴部23の重量と底部24の重量とを合計した重量(変形部20の重量)である。
【0069】
表1に示すように、実施例1-3、比較例2のプリフォームは、10000本ブロー成形した後、容量が280mlおよび600mlボトルで首付け根の肉溜まりが生じたプラスチックボトルが存在しなかった。比較例1のプリフォームは、10000本ブロー成形したとき、容量が280mlのボトルで首付け根の肉溜まりが生じた。これは、首部外径D3と胴部外径D7の寸法差が小さいことに加え、サポートリング下21cの肉厚が最も薄い形状なので、ブロー成形時に首部が伸びづらかったためと考えられる。
【0070】
表1に示すように、実施例1-3、比較例1のプリフォームは、10000本ブロー成形した後、ヒール部に白化が生じたプラスチックボトルが存在しなかった。比較例2プリフォームは、10000本ブロー成形したとき、600mlボトルでヒール部に白化が生じたプラスチックボトルが生じた。これは、変形部20の長さLが、60mm以下であり、プラスチックボトル40のヒール部49(図4参照)は、ブロー成形後に延伸されて薄くなりやすい部分であるので、ヒール部49に白化が生じたためと考えられる。
【0071】
以上説明した実施例1-3は、前記変形部の重量は、14.4g以下であり、サポートリング14下から下方に向かい肉厚を最も薄肉である薄肉部22cを形成するとともに、薄肉部22cから胴部23に向けて漸次肉厚になる変曲点を有することにより、容量が280ml~600mlのプラスチックボトルの成形に適した軽量のプリフォームとすることができた。
【0072】
なお、本開示は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0073】
10 プリフォーム
11 口部
12 口部本体
13 ねじ部
14 サポートリング
15 開口部
20 変形部
21 首部
21a 外面
21b 内面
21c サポートリング下
22 肉厚変化部
22a 外面
22b 内面
22c 薄肉部
23 胴部
23a 外面
23b 内面
24 底部
24a 外面
24b 内面
26 第1境界部
27 第2境界部
28 第3境界部
30、40 プラスチックボトル
31、41 口部
32、42 本体部
32a、42a 肩部
32b、42b 胴部
32c、42c 底部
34、44 圧力吸収パネル
35、45 首部
36、46 ねじ部
37、47 サポートリング
39、49 ヒール部
D3 首部外径(第1外径)
D7 胴部外径(第2外径)
L 変形部の長さ
L0 サポートリングから薄肉部までの長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7