(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044221
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】貴金属粒子含有電解質膜の製造方法、貴金属含有電解質膜、膜電極複合体、電気化学セル、スタック、電解装置
(51)【国際特許分類】
C25B 13/08 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
C25B13/08 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149624
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】中野 義彦
(72)【発明者】
【氏名】吉永 典裕
(57)【要約】
【課題】実施形態は、水素のリーク又はクロスオーバーを少なくする電解質膜を提供する。
【解決手段】 実施形態の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法は、カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液をカチオン交換膜にスプレーし、乾燥させる処理を行って、カチオン交換膜の一方の面の第1領域にカチオン性貴金属錯体イオンを含浸させる工程と、カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜に還元処理を行う工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液をカチオン交換膜にスプレーし、乾燥させる処理を行って、前記カチオン交換膜の一方の面の第1領域にカチオン性貴金属錯体イオンを含浸させる工程と、
前記カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜に還元処理を行う工程と、
を有する貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
【請求項2】
前記カチオン性貴金属錯体イオンは、Pt、Re、Rh、Ir、Pd及びRuからなる群より選ばれる1種以上の貴金属のイオン及び配位子として中性分子を含む請求項1に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
【請求項3】
前記中性分子は、NH3又はアミンである請求項1に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
【請求項4】
前記スプレーと乾燥を交互に複数回繰り返す請求項1に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
【請求項5】
前記にカチオン性貴金属錯体イオンを含浸させる工程において、30℃以上120℃以下の温風を前記カチオン交換膜にあてる請求項1に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
【請求項6】
前記カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液の前記カチオン性貴金属錯体イオン濃度は、0.05[wt%]以上5[wt%]以下である請求項1に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
【請求項7】
前記還元処理を行う工程において、
還元性溶液に浸漬して請求項1に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
【請求項8】
前記還元処理を行う工程において、前記前記カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜を加温した水素ガス雰囲気中で処理する請求項1に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
【請求項9】
主面である第1面を有するカチオン交換膜と
前記カチオン交換膜の外周側を除く前記第1面側に貴金属粒子を含む貴金属粒子分散電解質膜。
貴金属粒子分散電解質膜。
【請求項10】
前記貴金属粒子は、Pt、Re、Rh、Ir、Pd及びRuからなる群より選ばれる1種以上を含む金属粒子であり、
前記貴金属粒子の平均外接円直径は、0.5[nm]以上1000[nm]であり、
前記第1面側の貴金属粒子量は0.01[mg/cm2]以上1[mg/cm2]以下である請求項9に記載の貴金属粒子含有電解質膜。
【請求項11】
前記カチオン交換膜は、スルホン酸基を有する請求項9に記載の貴金属粒子含有電解質膜。
【請求項12】
第1基材と、前記第1基材上に設けられた第1触媒層とを有する第1電極と、
第2基材と、前記第2基材上に設けられた第2触媒層とを有する第2電極と、
前記請求項9ないし11のいずれか1項に記載の前記貴金属粒子含有電解質膜を用いた膜電極複合体。
【請求項13】
請求項12に記載の前記膜電極複合体を用いた電気化学セル。
【請求項14】
請求項12に記載の膜電極複合体を用いたスタック。
【請求項15】
請求項14に記載のスタックを用いた電解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、貴金属粒子含有電解質膜の製造方法、貴金属含有電解質膜、膜電極複合体、電気化学セル、スタック、電解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気化学セルは盛んに研究されている。電気化学セルのうち、例えば、固体高分子型水電解セル(PEMEC:Polymer Electrolyte MembraneElectrolysis Cell)は、大規模エネルギー貯蔵システムの水素生成としての利用が期待されている。十分な耐久性と電解特性を確保するため、PEMECの陰極には白金(Pt)ナノ粒子触媒が、陽極にはイリジウム(Ir)ナノ粒子触媒のような貴金属触媒が、一般に使用されている。また、アンモニアからも水素を得る方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、水素のリーク又はクロスオーバーを少なくする電解質膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法は、カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液をカチオン交換膜にスプレーし、乾燥させる処理を行って、カチオン交換膜の一方の面の第1領域にカチオン性貴金属錯体イオンを含浸させる工程と、カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜に還元処理を行う工程と、を有する
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の貴金属含有電解質膜の模式断面図。
【
図2】実施形態の貴金属含有電解質膜の製造方法のフローチャート。
【
図4】実施形態に膜電極複合体(MEA)の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明では、同一部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
明細書中の物性値は、温度が25[℃]で、圧力が1[atom]における値である。各部材の厚さは、積層方向の距離の平均値である。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態は、貴金属粒子含有電解質膜と貴金属粒子含有電解質膜の製造方法に関する。
図1本発明の一実施形態に係る貴金属粒子含有電解質膜100の模式断面図を示す。貴金属粒子含有電解質膜100は、カチオン交換膜1及び貴金属粒子2を有する。カチオン交換膜1の主面である第1面A側に位置する破線で囲った領域1Aは、第1領域1Aである。第1領域1Aの領域の大きさは貴金属粒子含有電解質膜100によって異なり一定ではないことを複数の破線で囲うことで表している。カチオン交換膜1の、例えば、外周側を除く第1面A側に貴金属粒子2が含まれる。貴金属粒子含有電解質膜は、水素発生装置の膜電極複合体(MEA)の電解質膜として用いられることが好ましい。貴金属粒子分散電解質膜100に関する説明は、貴金属粒子分散電解質膜100の製造方法の説明に適用される。
【0010】
カチオン交換膜1は、プロトン伝導性で、第1面A側から第2面B側に向かって電気的に絶縁された膜である。カチオン交換膜1としては、スルホン酸基、スルホンイミド基及び硫酸基からなる群より選ばれる1種以上を有するフッ素系ポリマー又は芳香族炭化水素系ポリマーが好ましい。カチオン交換膜1としては、スルホン酸基を有するフッ素系ポリマーが好ましい。スルホン酸基を有するフッ素系ポリマーとしては、例えば、ナフィオン(商標 デュポン社製)、フレミオン(商標 旭化成社製)、セレミオン(商標 旭化成社製)、アクイビオン(aquivion)(商標;Solvay Specialty Polymers社)およびアシプレックス(商標 旭硝子社製)などを使用することができる。
【0011】
カチオン交換膜1の厚さは、膜の透過特性や耐久性などの特性を考慮して適宜決定することができる。強度、耐溶解性およびMEAの出力特性の観点から、カチオン交換膜1の厚さは、20[μm]以上500[μm]以下が好ましく、50[μm]以上300[μm]以下がより好ましく、80[μm]以上200[μm]以下がさらにより好ましい。
【0012】
貴金属粒子2は、カチオン交換膜1に含まれる。貴金属粒子2は、Pt、Re、Rh、Ir、Pd及びRuからなる群より選ばれる1種以上の貴金属の粒子が好ましい。貴金属粒子2は、Pt、Re、Rh、Ir、Pd及びRuからなる群より選ばれる1種以上を含む合金の粒子を含んでもよい。貴金属粒子2は、Pt、Re、Rh、Ir、Pd及びRuからなる群より選ばれる1種の貴金属の粒子が好ましい。貴金属粒子は、Pt粒子が好ましい。貴金属粒子は、Re粒子が好ましい。貴金属粒子は、Rh粒子が好ましい。貴金属粒子は、Ir粒子が好ましい。貴金属粒子は、Pd粒子が好ましい。貴金属粒子は、Ru粒子が好ましい。
【0013】
カチオン交換膜1を用いたMEAにおいて、カチオン交換膜1を水素がカソード側からアノード側にクロスオーバーすると水素濃度が上昇し、水素濃度が爆発下限界の4%を超える可能性がある。貴金属粒子含有電解質膜100を用いると貴金属粒子含有電解質膜100を透過しようとする水素がアノード側からクロスオーバーする酸素と貴金属粒子2と接して水素が酸化されて水が生成する。貴金属粒子2が酸化の触媒として働き、水素がクロスオーバーしても水素を除去することができる。貴金属粒子含有電解質膜100によって、貴金属粒子含有電解質膜100を回り込んでリークした水素の酸化も行うことができる。貴金属粒子含有電解質膜100は、水素のクロスオーバーを防ぎ、クロスオーバーした水素を酸化させることで、装置内の水素濃度を効率的に下げることができる。
【0014】
貴金属粒子2の平均外接円直径は、0.2[nm]以上1000[nm]以下が好ましく、0.5[nm]以上300[nm]以下がより好ましく、1[nm]以上30[nm]以下がさらにより好ましい。貴金属粒子2がサブナノメートルオーダーと小さいと、量子効果により水素の酸化効率が低下するためより多くの貴金属粒子2が求められる。貴金属粒子2が大きいと、水素を効率よく酸化させるためにより多くの貴金属粒子2が求められる。貴金属粒子2の平均外接円直径は、
図1のような断面をSEM(走査型電子顕微鏡)又はTEM(透過型電子顕微鏡)で観察して求められる。
【0015】
貴金属粒子2はカチオン交換膜1の第1領域1Aは、表面から膜厚の50%未満のところに偏在していることが望まし。さらに、表面から膜厚の30%に偏って存在していることが好ましい。第1領域1A(アノード側)は、カチオン交換膜1の第1面A(起点;アノード電極)から第2面B側に向かって膜厚の50%の深さの位置(終点)未満までの領域である。例えば、第1領域1Aが狭い場合は、
図1の小さい破線の領域が第1領域1Aになる。例えば、第1領域1Aが広い場合には、
図1の大きい帆船の領域が第1領域1Aになる。貴金属粒子2はカチオン交換膜1の表面近傍の膜内に含まれることが好ましい。
【0016】
図1において、第1領域1Aは、カチオン交換膜1の外周側が省かれている。貴金属粒子含有電解質膜100に限らずMEAに用いられる電解質膜の外周部分は電極と接していない場合がある。例えば、電解質膜がガスケットと接する面からは水素がクロスオーバーしにくい。そこで、貴金属粒子含有電解質膜100においてもカチオン交換膜1の外周部分は第1領域1Aから除外されてもよい。カチオン交換膜1の貴金属粒子2が存在しない外周部分を第1領域1Aから除外する。例えば、1辺が5cmの正方形のカチオン交換膜1を例に説明する。カチオン交換膜1の外周から中心側に4000[μm]内側の領域に貴金属粒子2が存在する。すると、第1領域1Aは、カチオン交換膜1の中心の4[cm]×4[cm]の範囲内で、かつ、第1面Aから第2面B側に膜厚の30%の深さの領域である。第1面A側に全体的に貴金属粒子2が存在する場合、第1領域1Aは、カチオン交換膜1の中心の5[cm]×5[cm]の範囲内で、かつ、第1面A(アノード側)から第2面B側に膜厚の30%の深さの領域である。
【0017】
カチオン交換膜1中に含まれる貴金属粒子2の80[wt%]以上100[wt%]が第1領域1Aに含まれることが好ましく、90[wt%]以上100[wt%]が第1領域1Aに含まれることがより好ましく、95[wt%]以上100[wt%]が第1領域1Aに含まれることがさらにより好ましい。貴金属粒子2が全体的に分布していると、クロスオーバーではない水素まで酸化してしまいやすい。リークする水素を選択的に酸化させるために貴金属粒子2は、第1面A側(アノード側)に偏って存在していることが好ましい。
【0018】
カチオン交換膜1中に含まれる貴金属粒子2の量は、0.01[mg/cm2]以上1[mg/cm2]以下であることが好ましく、0.05[mg/cm2]以上0.2[mg/cm2]以下であることがより好ましい。
【0019】
第1領域1A中の貴金属粒子2は、均一に分散していることが好ましい。実施形態の製造方法で貴金属粒子含有電解質膜100を作製することによって大きさが狭い第1領域1A中に貴金属粒子2が集中的に含まれ、貴金属粒子2の分散性が高くなる。貴金属粒子2の分散については、
図1のような断面をSEM(走査型電子顕微鏡)又はTEM(透過型電子顕微鏡)で観察する。カチオン交換膜1の長辺と平行でカチオン交換膜1の中心を通る断面を観察し、第1領域1A中の貴金属粒子2をマッピングする。マッピングには、EDX(エネルギー分散型分光分析装置)を用いることができる。そして、隣接する2つの貴金属粒子2の中間を通る線を結んでできた多角形(ボロノイ多角形)を定める。観察した断面の全ての貴金属粒子2のボロノイ多角形を定める。定められたボロノイ多角形の面積の標準偏差を求める。ボロノイ多角形の面積から求められた標準偏差が所定範囲内の場合を第1領域1A中の貴金属粒子2が均一に分散している状態とする。
【0020】
貴金属粒子含有電解質膜100の製造方法について説明する。
図2に実施形態の貴金属粒子含有電解質膜100の製造方法のフローチャートを示す。貴金属粒子含有電解質膜100の製造方法は、カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液をカチオン交換膜1にスプレーし、乾燥させる処理を行って、カチオン交換膜1の一方の面の第1領域1Aにカチオン性貴金属錯体イオンを含浸させる工程(S01)と、カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜1に還元処理を行う工程(S02)を含む。
【0021】
カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液をカチオン交換膜1にスプレーし、乾燥させる処理を行って、カチオン交換膜1の一方の面の第1領域1Aにカチオン性貴金属錯体イオンを含浸させる工程(S01)について説明する。
【0022】
カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液は、カチオン性貴金属錯体塩を水又は/及び水と水溶性有機溶媒と混合溶媒に溶解させた溶液である。
【0023】
カチオン性貴金属錯体塩は、溶液中でカチオン性貴金属錯体イオンとカウンターイオンに電離している。カチオン性貴金属錯体イオンは、カチオン性貴金属錯体イオンは、Pt、Re、Rh、Ir、Pd及びRuからなる群より選ばれる1種以上の貴金属のイオン及び中性分子を含む。
【0024】
カチオン性貴金属錯体塩は、[MA1x]a・[A2y
b]で表すことができる。カチオン性貴金属錯体塩が水分子を含む場合、実施形態の説明において水分子は無視する。Mは、Pt、Re、Rh、Ir、Pd及びRuからなる群より選ばれる1種以上の貴金属である。A1は、中性分子であり、NH3又はアミンである。A2は、カウンターイオン(アニオン)であり、例えば、ハロゲンである。aは、カチオン性貴金属錯体イオンのイオン価数である。aは、+2以上+6以下の整数が好ましい。bは、カウンターイオンのイオン価数である。bは、1以上2以下が好ましい。
【0025】
カチオン性貴金属錯体塩は、具体的には、[Pt(NH3)4]Cl2、、[Pt(NH3)6]Cl4、[Pd(NH3)4]Cl2、[Pd(NH3)4]Br2、[Pd(C2H8N2)2]Cl2、[Ru(NH3)6]Cl3、[Ir(NH3)6]Cl3、[Ir(NH3)5]Cl2、[Ru(NH3)6]Cl3及び[Rh(NH3)6]Cl3からなる群より1種以上があげられるが限定されるわけではない、アンミン錯体及びアミン錯体からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0026】
水溶性有機溶媒は、アルコール類及び非プロトン性極性溶媒からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。アルコール類は、具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどがあげられるが限定されるわけではない。 また、非プロトン性溶極性溶媒の具体例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、N-メチルピロリドンなどがあげられるが限定されるわけではない。一方、カチオン性貴金属錯体塩は水溶性有機溶媒に溶解しにくいため、水溶性有機溶媒を多量に加えると錯体塩が析出しくるので、添加する水溶性有機溶媒は、添加溶媒の種類により適量を添加することが好ましい。
【0027】
カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液のカチオン性貴金属錯体イオン濃度(溶媒に溶かしたカチオン性貴金属錯体塩濃度)は、0.05[wt%]以上5[wt%]以下が好ましい。
【0028】
カチオン交換膜1に連続してスプレーをするとカチオン交換膜1の表面への含浸が不十分である場合がある。そこで、実施形態では、カチオン交換膜1にカチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液のスプレーと乾燥を交互にそれぞれ複数回実施することが好ましい。一度に全量をスプレーすると、還元処理後の貴金属粒子2の分散性が低い場合がある。そこで、スプレーと乾燥を交互に行うことが好ましい。一度にスプレーする量を少なくし、スプレーする毎に乾燥させることで狭い領域に偏らないように貴金属錯体イオンを含浸させることができる。そして、スプレーと乾燥を複数回繰り返すことが好ましい。
【0029】
スプレー塗布装置及び方法は各種あるが、ここでは、具体例として回転ドラム(電解質膜を固定)と回転ドラムに対して平行に往復できるスプレーノズルを配置したスプレー装置を挙げるがこの方法限定されるわけではない。スプレーと乾燥を交互に複数回行う観点から、
図3のスプレー装置の模式図に示すように、カチオン交換膜1を回転ドラム11に設置して、カチオン交換膜1を回転させることが好ましい。回転しているカチオン交換膜1にスプレー装置12(スプレーノズルはスプレーが塗布している間、ドラムの右端から左端を往復移動する)からスプレーして、カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液を噴霧する。また、スプレー装置12とは別位置に位置する乾燥装置13から温風をあててカチオン交換膜1を乾燥させる。
【0030】
温風の温度は、30[℃]以上120[℃]以下が好ましく、40[℃]以上80[℃]以下がより好ましい。温度が低いと乾燥が不十分でほとんど乾いていないカチオン交換膜1の面に再度スプレーすることになり、さらに乾燥が不十分になり易い。温度が高すぎると、電解質膜の乾燥が進み、膜への液の浸透が難しくなるため好ましくない。
【0031】
温風で暖められたカチオン交換膜1の表面温度は、例えば30[℃]以上60[℃]以下である。
【0032】
回転ドラム11の表面を加熱してカチオン交換膜1を加熱することができる。カチオン交換膜1を両面から温めることで、スプレーによるカチオン交換膜1の表面へのカチオン性貴金属錯体イオンの含浸を効率良く行うことができる。
【0033】
スプレー及び乾燥が終了した後のカチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液が塗布された面のカチオン交換膜1の貴金属イオン量(貴金属原子に換算)は、0.01[mg/cm2]以上1[mg/cm2]以下であることが好ましく、0.05[mg/cm2]以上0.2[mg/cm2]以下であることがより好ましい。
【0034】
カチオン交換膜1にカチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液を含浸させると、カチオン交換膜1のプロトンとカチオン性貴金属錯体イオンが交換される。イオン交換、スプレー及び乾燥の繰り返しによって、カチオン性貴金属錯体イオンがカチオン交換膜1の表面に均一に含浸される。カチオン性貴金属錯体イオンがカチオン交換膜1の例えばスルホン酸基とイオン結合するため、分散性がよい。分散性の良さに起因して、還元後に形成される貴金属粒子2の粒径のばらつきが少なく、分散性も良くなる。少量のスプレーと乾燥を繰り返し行うことと、カチオン交換が相乗作用して貴金属粒子2が第1領域1Aに偏在し、その分散性が高くなる。
【0035】
なお、回転ドラム11に設置したカチオン交換膜1にマスクを設けてスプレーすることで、カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液を含浸させない(含浸させにくい)領域を形成することができる。
【0036】
カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液中にカチオン交換膜1全体を浸漬させると、毎回カチオン性貴金属錯体イオンの濃度を調整しなければ、貴金属粒子2の比率が異なった膜が得られる。特性のことなる膜が得られると、信頼性が低下するため好ましくない。また、カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液中にカチオン交換膜1全体を浸漬させるとカチオン交換膜1にカチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液を局所的に浸漬させることが困難である。カチオン交換膜1中のカチオン交換膜1の分布と分散性を考慮すると、スプレーと乾燥を繰り返す方法が好ましい。
【0037】
カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜1に還元処理を行う工程(S02)について説明する。還元処理を行うことで、カチオン性貴金属錯体イオンが還元され貴金属粒子2が形成される。
【0038】
還元方法としては、カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜1と還元性溶液を接触させる方法とカチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜1を還元性ガス雰囲気で処理する方法が挙げられる。
【0039】
実施形態の方法で貴金属粒子含有電解質膜100を作成すると、スプレーで用いた多くの貴金属が貴金属粒子2としてカチオン交換膜1の表面に存在する。貴金属粒子2の担持率([第1領域1Aの貴金属粒子2の存在量[mg/cm2]]/[第1領域1Aにスプレー塗布した貴金属錯体中の貴金属量[mg/cm2])が非常に高い。カチオン交換膜1にアニオン性貴金属錯体塩を用いた場合では、担持率が非常に低いため、実施形態のスプレー塗布、カチオン交換膜1とカチオン性貴金属錯体イオンの組み合わせが第1領域1Aに選択的に高分散な貴金属粒子2の形成に寄与している。
【0040】
還元性溶液に含まれる還元剤としては、ヒドラジン塩類、アンモニア、NaBH4、LiAlH、次亜リン酸塩類、ホルマリン、亜硫酸塩及びアスコルビン酸塩からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。還元性溶液に含まれる還元剤としては、ヒドラジン塩類、アンモニア、NaBH4 、次亜リン酸塩類、ホルマリン、亜硫酸塩及びアスコルビン酸塩からなる群より選ばれる1種が好ましい。
【0041】
カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜1と還元性溶液を接触させる場合、カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜1を還元性溶液に浸漬させることが好ましい。浸漬する場合、カチオン交換膜1を枠に固定し、第1面Aと還元性溶液の液面が垂直又は略垂直になるように角度を調整することが適切である。第1面Aと還元性溶液の液面が垂直又は略垂直であると、還元の際に発生した水素がカチオン交換膜1の表面にとどまりにくいため、十分に還元されやすい。また、還元溶液の撹拌を実施することが好ましい。
【0042】
還元性溶液への浸漬後、イオン交換水などで洗浄する。還元後、カチオン交換膜1の例えばスルホン酸基には、還元性溶液のカチオン(例えばNa+)が結合している。洗浄後、酸に浸漬させて、カチオン交換膜1のカチオン交換を行う(例えば、Na+とプロトンを交換する)。また、この酸の浸漬に加温してもよい。 さらに、イオン交換水などで洗浄すると、貴金属粒子含有電解質膜100が得られる。
【0043】
カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜1を還元性ガス雰囲気で処理する場合、還元性ガス(例えば水素ガス)雰囲気の容器内にカチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜1を入れて、還元処理を行う。還元性ガスは、室温(25[℃])よりも加温されていることが好ましく、容器内の温度は、30[℃]以上80[℃]以下が好ましい。還元性ガスを用いて還元処理を行うと、カチオン交換膜1全体を液中に浸漬させることなく貴金属粒子含有電解質膜100を作製することができる。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態は、膜電極接合体(Membrane Electrode assembly; MEA)に関する。
図4にMEA200の断面模式図を示す。
【0045】
MEA200は、第1電極21と、第2電極22と、第1電極21と第2電極22の間に設けられた電解質膜23とを含む。MEA200は水電解などの水素発生装置に利用できる。第1電極21は基材21Aと第1触媒層21Bを含む。第2電極22は、基材22Aと第2触媒層22Bを含む。
【0046】
実施形態の膜電極接合体200は、アンモニアを電解生成にも利用可能である。実施形態の膜電極接合体200は、アンモニア合成用の電解装置の膜電極接合体として利用可能である。以下、第2実施形態及び他の実施形態において、水電解を例に説明するが、水電解以外に例えば、超純水をアノードに供給し、アノードで水を分解してプロトンおよび酸素を生成し、電解質膜を生成したプロトンが通り、カソードに供給した窒素とプロトン、電子が結びつきアンモニアが生成するアンモニア合成用の電気分解に用いられる膜電極接合体に利用可能である。実施形態の膜電極接合体200は、アンモニアを電解して水素を生成する膜電極接合体としても利用可能である。実施形態の膜電極接合体は、水素発生装置に利用可能である。以下、第2実施形態及び他の実施形態において、水電解を例に説明するが、水電解以外に例えば、アンモニアをカソードに供給し、カソードでアンモニアを分解してプロトンおよび窒素を生成し、電解質膜を生成したプロトンが通り、アノードでプロトンと電子が結びつき水素が生成するアンモニア分解用の電気分解に用いられる膜電極接合体に実施形態の膜電極接合体200を利用可能である。
【0047】
第1電極21は例えばアノード電極である。第1電極21の第1触媒層21Bには、例えば、Ir及び又はRuを含む酸化物を含む。
【0048】
第2電極22は例えばカソード電極である。第2電極22の第2触媒層22Bには、例えば、Ptを含む。
【0049】
電解質膜23に貴金属粒子含有電解質膜100を用いる。例えば、アノード電極である第1電極21側に貴金属粒子含有電解質膜100の第1面Aが位置していることが好ましい。
【0050】
第1電極21は、電解質膜23の一方の面と隣接し、電解質膜23と隣接する触媒層24と、触媒層と隣接する基材とを含む。
【0051】
第2電極22は、電解質膜23の他方の面と隣接し、電解質膜23と隣接する触媒層と、触媒層と隣接する基材とを含む。
【0052】
貴金属粒子含有電解質膜100を用いたMEAは水素リークを抑えることができる。
【0053】
(第3実施形態)
第3実施形態は、電気化学セルに関する。
図5に第3実施形態の電気化学セル300の断面図を示す。
【0054】
図4に示すように実施形態3の電気化学セル300は、第1電極(カソード)22と、第2電極(アノード)21と、電解質膜23と、カソード給電体31と、セパレーター32と、アノード給電体33と、セパレーター34と、ガスケット(シール)35と、ガスケット(シール)36と、を有する。例えば、電解質膜23に実施形態の貴金属粒子含有電解質膜100を用いる。カソード給電体31及びアノード給電体33は、ガスや水を通すものであれば良い。また、カソード給電体31及びアノード給電体33は、セパレーター32、34と一体化してもよい。具体的には、セパレーターに水などの水素源やガスが流れる流路を持つものや、多孔質体をもつものなどであり、これに限定されるわけではない。実施形態の貴金属粒子含有電解質膜100を用いた電気化学セル300は、水素リークを抑え、信頼性が高い。
【0055】
図5の電気化学セル300は、図示しない電極がカソード給電体31とアノード給電体33と接続し、カソード22とアノード21で反応が生じる。アノード21には、例えば、水が供給され、アノード電極21で、水が、プロトン、酸素と電子に分解される。電極の支持体と給電体が多孔質体であり、この多孔質体が流路板として機能する。生成した水と未反応の水は、排出され、プロトンと電子はカソード反応に利用される。カソード反応は、プロトンと電子が反応し、水素を生成する。生成した、水素及び酸素のいずれか一方又は両方は、例えば、燃料電池用燃料として利用される。セパレーター32、34で膜電極接合体200は保持され、ガスケット(シール)8、9で気密性を保たれている。
【0056】
(第4実施形態)
第4実施形態は、スタックに関する。
図6は、実施形態4のスタックを示す図である。
図6に示す実施形態4のスタック400は、MEA200又は電気化学セル300を複数個、直列に接続したものである。MEAや電気化学セルの両端に締め付け板41、42が取り付けられている。
【0057】
1枚のMEA200又は電気化学セル300による電圧は低いため、MEA200又は電気化学セル300を複数個、直列に接続したスタック400を構成すると、高い電圧を得ることができる。一枚のMEA200からなる電気化学セル300での水素生成量は少ないため、電気化学セル300を複数、直列に接続したスタック400を構成すると、大量の水素を得ることができる。
【0058】
(第5実施形態)
第5実施形態は、電解装置に関する。
図7に、第5実施形態の電解装置の概念図を示す。電解装置500には、電気化学セル300又はスタック400が用いられる。
図7の電解装置は水電解装置である。水電解装置を例に電解装置について説明する。例えば、アンモニアから水素を発生させる場合は、貴金属粒子含有電解質膜100を用いた別構成の装置を採用することが好ましい。
【0059】
図7に示すように水電解用単セルを直列に積層したものを水電解スタック400として用いる。水電解スタック400には、電源51取り付けられ、アノード・カソード間に電圧が印可される。水電解スタック400のアノード側には、発生したガスと未反応の水を分離する気液分離装置52、混合タンク53がつながっており、混合タンク53には、水を供給するイオン交換水製造装置54からポンプ56で送液し、気液分離装置52から逆止弁57を通して、混合タンク53混合してアノードへ循環させる。アノードで生成した酸素は、気液分離装置52を経て、酸素ガスが得られる。一方、カソード側には、気液分離装置58に連続して水素精製装置59を接続して、高純度水素を得る。水素精製装置59と接続した弁60を有する経路を経て不純物が排出される。運転温度を安定に制御するためスタックおよび混合タンクの加熱や、熱分解時の電流密度等の制御することができる。
【0060】
以下、実施形態の実施例を説明する。
(塗布溶液の調整)
塗布溶液の調整は貴金属粒子の前駆体であるのカチオン性貴金属錯体塩の溶液を所定の濃度に作成したのち、その水溶液を所定の量を測り、水及び水溶性有機溶媒(特にアルコール類)を添加し調整した。調整した各種溶液は、表1に示した。表1のIPAは、イソプロピルアルコールを表している。
【0061】
【0062】
(カチオン性貴金属錯体塩の溶液のスプレー塗布)
カチオン交換膜として、nafion115(デュポン社製)をスプレー塗布装置にセットして、作成したカチオン性貴金属錯体塩の溶液をスプレーに入れた。回転ドラムにnafion115を設置して回転ドラムを回転させた。熱風で乾燥させながら、調整した溶液の全量を塗布した。回転ドラムは直径が10cmで、回転数は450[rpm]とした。スプレー塗布したカチオン交換膜の表面に液滴がついていないことを確認後、イオン交換水でカチオン交換膜を洗浄した。スプレー条件などを表2に示す。
【0063】
(貴金属粒子への還元)
洗浄後のnafion115膜を室温(25[℃])で1M NaBH4水溶液に所定時間浸漬してカチオン性貴金属錯体イオンから貴金属ナノ粒子へ還元して貴金属ナノ粒子分散nafion115膜が得られた。貴金属ナノ粒子分散nafion115膜をイオン交換水で洗浄した。
【0064】
(カチオン交換(ナトリウムイオンをプロトンに交換))
貴金属ナノ粒子分散nafion115膜を40℃に加熱した10%硝酸に浸漬し2時間後に取り出し、イオン交換水でよく洗浄して貴金属ナノ粒子分散nafion115膜を作製した。実施例のスプレーと乾燥をこの膜を水電解装置のMEAの電解質膜に使用することで、水素のリークを抑えることができる。
【0065】
【0066】
明細書中、元素の一部は元素記号のみで表している。
【0067】
以下、明細書中の技術案を付記する。
[技術案1]
カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液をカチオン交換膜にスプレーし、乾燥させる処理を行って、前記カチオン交換膜の一方の面の第1領域にカチオン性貴金属錯体イオンを含浸させる工程と、
前記カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜に還元処理を行う工程と、
を有する貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
[技術案2]
前記スプレーし、乾燥させる処理を繰り返す技術案1に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
[技術案3]
前記カチオン性貴金属錯体イオンは、Pt、Re、Rh、Ir、Pd及びRuからなる群より選ばれる1種以上の貴金属のイオン及び配位子として中性分子を含む技術案1又は2に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
[技術案4]
前記中性分子は、NH3又はアミンである技術案1ないし3のいずれか1案に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
[技術案5]
前記スプレーと乾燥を交互に複数回繰り返す技術案1ないし4のいずれか1案に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
[技術案6]
前記にカチオン性貴金属錯体イオンを含浸させる工程において、30℃以上120℃以下の温風を前記カチオン交換膜にあてる技術案1ないし5のいずれか1案に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
[技術案7]
前記カチオン性貴金属錯体イオンを含む溶液の前記カチオン性貴金属錯体イオン濃度は、0.05[wt%]以上5[wt%]以下である技術案1ないし6のいずれか1案に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
[技術案8]
前記還元処理を行う工程において、
還元性溶液に浸漬して技術案1ないし7のいずれか1案に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
[技術案9]
前記還元処理を行う工程において、前記前記カチオン性貴金属錯体イオンが含浸したカチオン交換膜を加温した水素ガス雰囲気中で処理する技術案1ないし8のいずれか1案に記載の貴金属粒子含有電解質膜の製造方法。
[技術案10]
主面である第1面を有するカチオン交換膜と
前記カチオン交換膜の外周側を除く前記第1面側に貴金属粒子を含む貴金属粒子分散電解質膜。
[技術案11]
前記貴金属粒子は、Pt、Re、Rh、Ir、Pd及びRuからなる群より選ばれる1種以上を含む金属粒子であり、
前記貴金属粒子の平均外接円直径は、0.5[nm]以上1000[nm]
前記第1面側の貴金属粒子量は0.01[mg/cm2]以上1[mg/cm2]以下である技術案10に記載の貴金属粒子含有電解質膜。
[技術案12]
前記カチオン交換膜は、スルホン酸基を有する技術案10又は11に記載の貴金属粒子含有電解質膜。
[技術案13]
第1基材と、前記第1基材上に設けられた第1触媒層とを有する第1電極と、
第2基材と、前記第2基材上に設けられた第2触媒層とを有する第2電極と、
前記技術案10ないし12のいずれか1案に記載の前記貴金属粒子含有電解質膜を用いた膜電極複合体。
[技術案14]
技術案13に記載の前記膜電極複合体を用いた電気化学セル。
[技術案15]
技術案13に記載の膜電極複合体を用いたスタック。
[技術案16]
技術案14に記載の電気化学セル又は技術案15に記載のスタックを用いた電解装置。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。水電解セルとして、PEMECを挙げたが、これ以外の電解セルでも、同様に本発明を適用できる。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 :カチオン交換膜
1A :第1領域
2 :貴金属粒子
11 :回転ドラム
12 :スプレー装置
13 :乾燥装置
21 :第1電極
21A :基材
21B :第1触媒層
22 :第2電極
22A :基材
22B :第2触媒層
23 :電解質膜
24 :触媒層
31 :カソード給電体
32 :セパレーター
33 :アノード給電体
34 :セパレーター
41 :締め付け板
42 :締め付け板
51 :電源
52 :気液分離装置
53 :混合タンク
54 :イオン交換水製造装置
56 :ポンプ
57 :逆止弁
58 :気液分離装置
59 :水素精製装置
60 :弁
100 :貴金属粒子含有電解質膜
200 :膜電極接合体
300 :電気化学セル
400 :スタック
500 :電解装置