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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044223
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/00 20060101AFI20240326BHJP
   G11C 5/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G11C29/00 476
G11C5/04 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149626
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長島 良樹
【テーマコード(参考)】
5L206
【Fターム(参考)】
5L206AA19
5L206EE08
5L206HH02
(57)【要約】
【課題】好適に製造可能な半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、積層方向に積層され、第1メモリダイ及び第2メモリダイを含む複数のメモリダイと、第1メモリダイに電源電圧を供給可能な第1電圧供給線と、第1電圧供給線に接続された第1スイッチ素子と、第2メモリダイに電源電圧を供給可能な第2電圧供給線と、第2電圧供給線に接続された第2スイッチ素子と、第1スイッチ素子を介して第1電圧供給線に電気的に接続され第2スイッチ素子を介して第2電圧供給線に電気的に接続された電源配線と、を備える。第1電圧供給線は、第1メモリダイに接続され、第2メモリダイに接続されていない。第2電圧供給線は、第2メモリダイに接続され、第1メモリダイに接続されていない。第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子は、独立して制御可能に構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に積層され、第1メモリダイ及び第2メモリダイを含む複数のメモリダイと、
前記第1メモリダイに接続され、前記第2メモリダイに接続されておらず、前記第1メモリダイに電源電圧を供給可能な第1電圧供給線と、
前記第1電圧供給線に接続された第1スイッチ素子と、
前記第2メモリダイに接続され、前記第1メモリダイに接続されておらず、前記第2メモリダイに前記電源電圧を供給可能な第2電圧供給線と、
前記第2電圧供給線に接続された第2スイッチ素子と、
前記第1スイッチ素子を介して前記第1電圧供給線に電気的に接続され、前記第2スイッチ素子を介して前記第2電圧供給線に電気的に接続された電源配線と
を備え、
前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子が、独立して制御可能に構成されている
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数のメモリダイは、それぞれ、複数のボンディングパッド電極を備え、
前記第1電圧供給線は、前記複数のボンディングパッド電極のうちの1つであり、前記第1メモリダイに含まれるものに接続された第1ボンディングワイヤであり、
前記第2電圧供給線は、前記複数のボンディングパッド電極のうちの1つであり、前記第2メモリダイに含まれるものに接続された第2ボンディングワイヤである
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
基板を更に備え、
前記基板は、
前記第1ボンディングワイヤに接続された第1ボンディングパッド電極と、
前記第2ボンディングワイヤに接続された第2ボンディングパッド電極と
を備え、
前記第1ボンディングパッド電極及び前記第2ボンディングパッド電極は、前記第1メモリダイ及び前記第2メモリダイに対して、前記積層方向と交差する第1方向の一方側に設けられている
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1ボンディングワイヤの前記積層方向から見た延伸方向は、前記第2ボンディングワイヤの前記積層方向から見た延伸方向と異なる
請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
基板を更に備え、
前記基板は、
前記第1ボンディングワイヤに接続された第1ボンディングパッド電極と、
前記第2ボンディングワイヤに接続された第2ボンディングパッド電極と
を備え、
前記第1ボンディングパッド電極は、前記第1メモリダイに対して、前記積層方向と交差する第1方向の一方側に設けられ、
前記第2ボンディングパッド電極は、前記第2メモリダイに対して、前記第1方向の他方側に設けられている
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1ボンディングワイヤ及び前記第2ボンディングワイヤは、前記積層方向から見て、前記第1方向に延伸する
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子に電気的に接続されたスイッチ制御回路と、
前記第1メモリダイ、前記第2メモリダイ及び前記スイッチ制御回路に電気的に接続された第1信号供給線と、
前記第1メモリダイ、前記第2メモリダイ及び前記スイッチ制御回路に電気的に接続された第2信号供給線と
を備える請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1信号供給線は、前記スイッチ制御回路を制御するイネーブル信号を転送し、
前記第2信号供給線は、前記複数のメモリダイの少なくとも1つに対応するアドレス信号を転送する
請求項7記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記複数のメモリダイに電気的に接続されたコントローラダイを備え、
前記コントローラダイは、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子に電気的に接続されている
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記複数のメモリダイは、第3メモリダイ及び第4メモリダイを含み、
前記第1電圧供給線は、前記第3メモリダイに接続され、前記第4メモリダイに接続されておらず、前記第3メモリダイに前記電源電圧を供給可能であり、
前記第2電圧供給線は、前記第4メモリダイに接続され、前記第3メモリダイに接続されておらず、前記第4メモリダイに前記電源電圧を供給可能である
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
積層方向に積層され、第1メモリダイ及び第2メモリダイを含む複数のメモリダイと、
前記複数のメモリダイに電気的に接続された電源配線と
を備える半導体記憶装置に対して、
前記第1メモリダイ及び前記第2メモリダイの一方に対して電源電圧を供給し、且つ、他方に前記電源電圧を供給しない状態で、前記電源配線に流れる電流を測定し、
前記電流の大きさに応じて、前記第1メモリダイ及び前記第2メモリダイの一方又は双方を、前記電源配線から電気的に切り離された状態に維持する
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
前記複数のメモリダイの一部に対して前記電源電圧を供給し、且つ、それ以外のメモリダイに前記電源電圧を供給しない状態で、前記電源配線に流れる電流を測定し、
前記電流がしきい値よりも大きい場合には、前記複数のメモリダイの一部を、前記電源配線から電気的に切り離された状態に維持する
請求項11記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項13】
前記複数のメモリダイに前記電源電圧を供給している状態で、前記電源配線に流れる第1電流を測定し、
前記複数のメモリダイの一部に対して前記電源電圧を供給せず、且つ、それ以外のメモリダイに前記電源電圧を供給している状態で、前記電源配線に流れる第2電流を測定し、
前記第1電流と前記第2電流との差がしきい値よりも大きい場合には、前記複数のメモリダイの一部を、前記電源配線から電気的に切り離された状態に維持する
請求項11記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項14】
前記複数のメモリダイのうち、前記電源配線から電気的に切り離された状態に維持されたものの数、又は、前記電源配線から電気的に切り離された状態に維持されていないものの数に応じて、前記半導体記憶装置を分類する
請求項11記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項15】
複数のメモリダイと、
前記複数のメモリダイに電気的に接続された電源配線と
を備え、
前記複数のメモリダイのうちの一部を前記電源配線から電気的に切り離す第1動作を実行可能に構成され、
前記複数のメモリダイから、前記第1動作を実行するものを少なくとも一つ指定する第1アドレス情報を含む第1のコマンドセットと、
前記複数のメモリダイから、前記第1動作によって前記電源配線から電気的に切り離されるものを少なくとも一つ指定する第2アドレス情報を含む第2のコマンドセットと
の入力に応じて、前記第1動作を実行する
半導体記憶装置。
【請求項16】
前記複数のメモリダイのうちの一部を前記電源配線と導通させる第2動作を実行可能に構成され、
前記複数のメモリダイから、前記第2動作を実行するものを少なくとも一つ指定する第3アドレス情報を含む第3のコマンドセットと、
前記複数のメモリダイから、前記第2動作によって前記電源配線と導通するものを少なくとも一つ指定する第4アドレス情報を含む第4のコマンドセットと
の入力に応じて、前記第2動作を実行する
請求項15記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実装基板と、実装基板に積層方向に積層された複数のメモリダイと、これら複数のメモリダイに電気的に接続され、これら複数のメモリダイに電源電圧を供給可能なボンディングワイヤ等の電圧供給線と、を備える半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-091930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に製造可能な半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、積層方向に積層され、第1メモリダイ及び第2メモリダイを含む複数のメモリダイと、第1メモリダイに電源電圧を供給可能な第1電圧供給線と、第1電圧供給線に接続された第1スイッチ素子と、第2メモリダイに電源電圧を供給可能な第2電圧供給線と、第2電圧供給線に接続された第2スイッチ素子と、第1スイッチ素子を介して第1電圧供給線に電気的に接続され第2スイッチ素子を介して第2電圧供給線に電気的に接続された電源配線と、を備える。第1電圧供給線は、第1メモリダイに接続され、第2メモリダイに接続されていない。第2電圧供給線は、第2メモリダイに接続され、第1メモリダイに接続されていない。第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子は、独立して制御可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るメモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
図2】第1実施形態に係るメモリパッケージPKGの構成例を示す模式的な側面図である。
図3】同構成例を示す模式的な平面図である。
図4】同構成例を示す模式的な平面図である。
図5】同メモリパッケージPKGの一部の構成を示す模式的なブロック図である。
図6】第1実施形態に係る半導体記憶装置のスイッチ動作について説明するための模式的な波形図である。
図7】第1実施形態に係る半導体記憶装置のスイッチ動作について説明するための模式的な波形図である。
図8】第1実施形態に係る半導体記憶装置のスイッチ動作について説明するための模式的な波形図である。
図9】待機電流の大きいメモリダイMDの特定方法について説明するための模式的なフローチャートである。
図10】待機電流の大きいメモリダイMDの他の特定方法について説明するための模式的なフローチャートである。
図11】メモリパッケージPKGの製造工程において、出荷前に行われるテスト方法について説明するための模式的なフローチャートである。
図12】同テスト方法について説明するための模式的なフローチャートである。
図13】第2実施形態に係るメモリシステム20の構成を示す模式的なブロック図である。
図14】第2実施形態に係るメモリパッケージPKG2の構成例を示す模式的な側面図である。
図15】同構成例を示す模式的な平面図である。
図16】第3実施形態に係るメモリパッケージPKG3の一部の構成を示す模式的なブロック図である。
図17】第4実施形態に係るメモリパッケージPKG4の構成例を示す模式的な平面図である。
図18】メモリパッケージPKG4の一部の構成を示す模式的なブロック図である。
図19】第5実施形態に係るメモリパッケージPKG5の構成例を示す模式的な側面図である。
図20】同構成例を示す模式的な平面図である。
図21】メモリパッケージPKG5の一部の構成を示す模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを含むメモリパッケージを意味することがある。メモリパッケージは、コントローラダイを含んでいても良いし、コントローラダイを含んでいなくても良い。また、SSD(Solid State Drive)等の、メモリパッケージと、メモリパッケージの外部に設けられたコントローラダイと、を含む構成を意味することもある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はスイッチ素子等を介して接続されていても良い。例えば、3つのスイッチ素子を直列に接続した場合には、2つ目のスイッチ素子がOFF状態であったとしても、1つ目のスイッチ素子は3つ目のスイッチ素子に「電気的に接続」されている。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0011】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がスイッチ素子等を含んでおり、このスイッチ素子等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このスイッチ素子等がON状態となることを意味する事がある。
【0012】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「電気的に切り離す」と言った場合には、例えば、この回路等がスイッチ素子等を含んでおり、このスイッチ素子等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このスイッチ素子等がOFF状態となることを意味する事がある。
【0013】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0014】
また、本明細書においては、基板の表面と交差する方向を積層方向と呼ぶ場合がある。また、積層方向と交差する所定の面に沿った方向を第1方向、この面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向と呼ぶことがある。積層方向は、Z方向と一致していても良いし、一致していなくても良い。また、第1方向及び第2方向は、X方向及びY方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0015】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0016】
また、本明細書においては、一部の信号を、ハイアクティブ信号(正論理信号)又はローアクティブ信号(負論理信号)として示している。ローアクティブ信号は、信号の名前の1文字目が、スラッシュ(“/”)である。本明細書において、どの信号をハイアクティブ信号とし、どの信号をローアクティブ信号とするかは、例として示すものであり、具体的な態様は適宜調整可能である。例えば、一部又は全部のハイアクティブ信号をローアクティブ信号としたり、一部又は全部のローアクティブ信号をハイアクティブ信号としたりすることも可能である。
【0017】
[第1実施形態]
[全体構成]
図1は、第1実施形態に係るメモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【0018】
メモリシステム10は、ホストコンピュータ11から送信された信号に応じて、ユーザデータの読出動作、書込動作、消去動作等を行う。メモリシステム10は、例えば、メモリカード、SSD又はその他のユーザデータを記憶可能なシステムである。メモリシステム10は、少なくとも一つのメモリパッケージPKGと、コントローラダイCDと、を備える。
【0019】
メモリパッケージPKGは、複数のメモリダイMDを含む。メモリダイMDは、ユーザデータを記憶する。
【0020】
コントローラダイCDは、複数のメモリダイMD及びホストコンピュータ11に接続される。コントローラダイCDは、例えば、プロセッサ、RAM等を備える。コントローラダイCDは、論理アドレスと物理アドレスの変換、ビット誤り検出/訂正、ガベージコレクション(コンパクション)、ウェアレベリング等の処理を行う。コントローラダイCDの各部の機能は、専用ハードウェア、プログラムを実行するプロセッサ、又はこれらの組み合わせ、のいずれかにより実現され得る。
【0021】
図2は、本実施形態に係るメモリパッケージPKGの構成例を示す模式的な側面図である。図3は、同構成例を示す模式的な平面図である。説明の都合上、図2及び図3では一部の構成を省略する。例えば、図2及び図3では、説明の都合上、電源電圧の供給に用いるボンディングパッド電極P等を省略している。
【0022】
図2に示す様に、本実施形態に係るメモリパッケージPKGは、実装基板(基板)MSBと、実装基板MSBにZ方向に積層された4つのメモリダイMDと、を備える。尚、図示の例では、4つのメモリダイMDとして、メモリダイMD0~MD3を例示している。実装基板MSBの上面のうち、Y方向の負側の端部の領域にはボンディングパッド電極Pが設けられる。実装基板MSBの上面のうち、Z方向から見てメモリダイMD0と重なる領域は、接着剤等を介してメモリダイMD0の下面に接着される。メモリダイMD0~MD3の上面のうち、Y方向の負側の端部の領域にはボンディングパッド電極Pが設けられる。メモリダイMD0~MD2の上面のうち、Y方向の負側の端部以外の領域は、接着剤等を介して、他のメモリダイMD1~MD3の下面に、それぞれ接着される。
【0023】
図3に示す様に、実装基板MSB及び4つのメモリダイMD0~MD3は、それぞれ、X方向に並ぶ複数のボンディングパッド電極Pを備える。実装基板MSB及び4つのメモリダイMD0~MD3に設けられた複数のボンディングパッド電極Pは、それぞれ、ボンディングワイヤBに接続される。
【0024】
図示の例では、4つのメモリダイMD0~MD3の間で共通の信号線等に対応する4つのボンディングパッド電極P、及び、これらに対応する実装基板MSB上の1つのボンディングパッド電極Pが、Z方向から見て、Y方向に並んでいる。また、これに対応するボンディングワイヤBは、これら5つのボンディングパッド電極Pに、共通に接続されている。これらのボンディングワイヤBは、Z方向から見て、Y方向に延伸する。
【0025】
尚、図2及び図3に示したメモリパッケージPKGの構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、実装基板MSB上に積層されるメモリダイMDの数は、4つより多くても良いし、少なくても良い。また、メモリパッケージPKGは、コントローラダイCD(図1)を含んでいても良い。この様な場合、コントローラダイCDは、最も上方に設けられたメモリダイMDの上面に積層されても良い。また、複数のメモリダイMD及びコントローラダイCDは、ボンディングワイヤBではなく、貫通電極等を介してお互いに接続されても良い。
【0026】
[メモリダイMDの待機電流]
4つのメモリダイMD0~MD3に対する電源電圧の供給は、複数のボンディングパッド電極Pの一部を介して行われる。従って、例えば、これら4つのメモリダイMD0~MD3に対応する4つのボンディングパッド電極Pに共通にボンディングワイヤBを接続し、このボンディングワイヤBを介して電源電圧を供給することも考えられる。
【0027】
ここで、メモリパッケージPKGの製造工程には、メモリパッケージPKGの出荷前に行われるテストが含まれる。このテストでは、メモリパッケージPKGの電源配線に流れる待機電流を測定する。この際、しきい値電流を上回る大きさの待機電流が検出されてしまうと、例えば、1つのメモリダイMDにおける待機電流のみが大きく、残り3つのメモリダイMDにおける待機電流が小さい場合であっても、メモリパッケージPKG全体が出荷不可と判定されてしまう。
【0028】
また、この様な構成においては、電源配線に流れる待機電流を測定しても、どのメモリダイMDの待機電流がどの程度大きいのかを測定することが出来ず、不良解析に時間がかかってしまう場合がある。
【0029】
また、この様な構成においては、メモリダイMD単位で電源電圧の供給を停止することが出来ないため、待機状態における消費電力が、比較的大きくなってしまう場合がある。
【0030】
そこで、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、メモリパッケージPKG内に含まれる4つのメモリダイMD0~MD3に、別々に電源電圧を供給可能な構成を採用している。以下、この点について説明する。
【0031】
[電源電圧の供給経路]
図4は、本実施形態に係るメモリパッケージPKGの構成例を示す模式的な平面図である。説明の都合上、図4では一部の構成を省略する。ただし、図4には、図3において省略した、電源電圧の供給に用いるボンディングパッド電極P(P(VCC),P(VCCQ))等を図示している。
【0032】
尚、図4には、複数のボンディングパッド電極Pのうち、メモリダイMD0~MD3への電源電圧VCCの供給に使用されるものを、ボンディングパッド電極P(VCC)として示している。また、複数のボンディングパッド電極Pのうち、メモリダイMD0~MD3への電源電圧VCCQの供給に使用されるものを、ボンディングパッド電極P(VCCQ)として示している。尚、以下の説明では、電源電圧VCC,VCCQを例示するが、メモリダイMD0~MD3には、電源電圧VCC,VCCQ以外の電源電圧が供給されても良い。
【0033】
また、図4には、複数のボンディングワイヤBのうち、メモリダイMD0~MD3への電源電圧VCCの供給に使用されるもの(電圧供給線として機能するもの)を、ボンディングワイヤB(VCC)として示している。また、複数のボンディングワイヤBのうち、メモリダイMD0~MD3への電源電圧VCCQの供給に使用されるもの(電圧供給線として機能するもの)を、ボンディングワイヤB(VCCQ)として示している。
【0034】
図示の例では、4つのメモリダイMD0~MD3のボンディングパッド電極P(VCC)が、Z方向から見て、Y方向に並んでいる。また、実装基板MSB上には、メモリダイMD0~MD3に対してY方向の負側に設けられ、Z方向から見てX方向に並ぶ4つのボンディングパッド電極P(VCC)が設けられている。また、図示の例では、これらに対応して、4つのボンディングワイヤB(VCC)が設けられている。ボンディングワイヤB(VCC)は、それぞれ、実装基板MSBに設けられた1つのボンディングパッド電極P(VCC)と、4つのメモリダイMD0~MD3のうちの1つに設けられた1つのボンディングパッド電極P(VCC)との、合計2つのボンディングパッド電極Pのみに接続されており、残り3つのメモリダイMDには接続されていない。図示の例では、4つのボンディングワイヤB(VCC)のうちの1つが、Z方向から見て、Y方向に延伸する。また、4つのボンディングワイヤB(VCC)のうちの3つは、Z方向から見た斜め方向(Z方向から見て、X方向ともY方向とも交差する方向)に延伸する。また、これら4つのボンディングワイヤB(VCC)のZ方向から見た延伸方向は、全て異なる。
【0035】
また、図示の例では、4つのメモリダイMD0~MD3のボンディングパッド電極P(VCCQ)が、Z方向から見て、Y方向に並んでいる。また、実装基板MSB上には、メモリダイMD0~MD3に対してY方向の負側に設けられ、Z方向から見てX方向に並ぶ4つのボンディングパッド電極P(VCCQ)が設けられている。また、図示の例では、これらに対応して、4つのボンディングワイヤB(VCCQ)が設けられている。ボンディングワイヤB(VCCQ)は、それぞれ、実装基板MSBに設けられた1つのボンディングパッド電極P(VCCQ)と、4つのメモリダイMD0~MD3のうちの1つに設けられた1つのボンディングパッド電極P(VCCQ)との、合計2つのボンディングパッド電極Pのみに接続されており、残り3つのメモリダイMDには接続されていない。図示の例では、4つのボンディングワイヤB(VCCQ)のうちの1つが、Z方向から見て、Y方向に延伸する。また、4つのボンディングワイヤB(VCCQ)のうちの3つは、Z方向から見た斜め方向に延伸する。また、これら4つのボンディングワイヤB(VCCQ)のZ方向から見た延伸方向は、全て異なる。
【0036】
図5は、本実施形態に係るメモリパッケージPKGの一部の構成を示す模式的なブロック図である。
【0037】
図5に示す様に、実装基板MSBには、ボンディングパッド電極P(VCC)に電気的に接続されたスイッチ回路SWと、スイッチ回路SWに接続された電源配線WVCCと、スイッチ回路SWを制御するスイッチ制御回路PCと、が設けられている。
【0038】
スイッチ回路SWは、4つのメモリダイMD0~MD3に対応して設けられた4つのスイッチ素子swを備える。これら4つのスイッチ素子swは、お互いに、独立して制御可能に構成されている。スイッチ素子swは、それぞれ、ボンディングパッド電極P(VCC)に電気的に接続された端子と、電源配線WVCCに電気的に接続された端子と、を備え、制御信号SMD0~SMD3に応じて、これら2つの端子を導通させ、又は、これら2つの端子を電気的に切り離す。例えば、制御信号SMD0が“H”状態である場合、メモリダイMD0に対応するスイッチ素子swはON状態となる。これにより、メモリダイMD0に設けられたボンディングパッド電極P(VCC)は、電源配線WVCCと導通する。また、制御信号SMD0が“L”状態である場合、メモリダイMD0に対応するスイッチ素子swはOFF状態となる。これにより、メモリダイMD0に設けられたボンディングパッド電極P(VCC)は、電源配線WVCCから、電気的に切り離される。
【0039】
電源配線WVCCは、メモリダイMD0~MD3への電源電圧VCCの供給に使用される配線である。例えば、メモリダイMD0が電源配線WVCCと導通する場合、メモリダイMD0には電源電圧VCCが供給される。一方、メモリダイMD0が電源配線WVCCから電気的に切り離された場合、メモリダイMD0には電源電圧VCCが供給されない。
【0040】
スイッチ制御回路PCは、スイッチ回路SWに、制御信号SMD0~SMD3を出力する。スイッチ制御回路PCは、外部からの操作等に応じて、制御信号SMD0~SMD3を“H”状態又は“L”状態に制御する。
【0041】
スイッチ制御回路PCは、ボンディングワイヤB(PC_ADD)を介して、メモリダイMD0~MD3のボンディングパッド電極P(PC_ADD)に共通に接続されている。ボンディングパッド電極P(PC_ADD)は、複数のボンディングパッド電極Pのうちの1つであり、後述するアドレス信号PC_ADDの転送に使用される信号供給線として機能する。ボンディングワイヤB(PC_ADD)は、複数のボンディングパッド電極P(PC_ADD)に共通に接続されている。
【0042】
また、スイッチ制御回路PCは、ボンディングワイヤB(/PC_EN_VCC)を介して、メモリダイMD0~MD3のボンディングパッド電極P(/PC_EN_VCC)に共通に接続されている。ボンディングパッド電極P(/PC_EN_VCC)は、複数のボンディングパッド電極Pのうちの1つであり、後述するイネーブル信号/PC_EN_VCCの転送に使用される信号供給線として機能する。ボンディングワイヤB(/PC_EN_VCC)は、複数のボンディングパッド電極P(/PC_EN_VCC)に共通に接続されている。
【0043】
ボンディングワイヤB(/PC_EN_VCC)と電源配線WVCCとの間には、プルアップ回路PUが接続されている。プルアップ回路PUは、必要に応じて、ボンディングワイヤB(/PC_EN_VCC)に、電源電圧VCCを供給する。プルアップ回路PUは、不適切なタイミングで後述するイネーブル信号/PC_EN_VCCが“L”状態となってしまい、これによって誤動作が生じることを抑制する。
【0044】
また、スイッチ制御回路PCは、ヒューズ回路FSを備えていても良い。図示のヒューズ回路FSは、4つのメモリダイMD0~MD3に対応する4つのヒューズ素子fsを備える。これら4つのヒューズ素子fsは、メモリダイMDの無効化に使用される。無効化されたメモリダイMDは、電源配線WVCCから電気的に切り離された状態に維持される。例えば、メモリダイMD0に対応するヒューズ素子fsが切断された場合、制御信号SMD0は、“L”状態に維持される。
【0045】
尚、図5には、電源電圧VCCに対応するスイッチ回路SWを例示した。しかしながら、電源電圧VCCQ又はその他の電源電圧に対応してスイッチ回路SWと同様の構成を設けても良い。この場合、実装基板MSB上に、電源電圧VCC,VCCQ又はその他の電源電圧に対応する1つのスイッチ制御回路PCを設け、これによって、電源電圧VCC,VCCQ又はその他の電源電圧に対応する複数のスイッチ回路SWを制御しても良い。また、実装基板MSB上に、電源電圧VCC,VCCQ又はその他の電源電圧に対応する複数のスイッチ制御回路PCを設けても良い。
【0046】
また、電源電圧VCC,VCCQ等に対応して複数のスイッチ回路SWを設ける場合、スイッチ制御回路PCから出力される制御信号SMD0~SMD3は、電源電圧VCC,VCCQ等毎に独立して制御されても良いし、共通に制御されても良い。前者の場合、例えば、メモリダイMD0の電源電圧VCCに対応するスイッチ素子swをON状態とし、且つ、メモリダイMD0の電源電圧VCCQに対応するスイッチ素子swをOFF状態とすることも可能である。また、制御信号SMD0~SMD3を、電源電圧VCC,VCCQ等毎に独立して制御するモードと、共通に制御するモードと、を切り替えられるようにすることも可能である。
【0047】
また、図示は省略するものの、メモリダイMDには、同一の電源電圧に対応して、複数のボンディングパッド電極P及びボンディングワイヤBが設けられていても良い。この場合、実装基板MSB上に、1つのスイッチ制御回路PCを設け、これによって、複数のボンディングワイヤBに対応する複数のスイッチ回路SWを制御しても良い。また、実装基板MSB上に、同一の電源電圧に対応する複数のボンディングワイヤBに対応して、複数のスイッチ制御回路PCを設けても良い。
【0048】
また、複数のボンディングワイヤBに対応して複数のスイッチ回路SWを設ける場合、スイッチ制御回路PCから出力される制御信号SMD0~SMD3は、ボンディングワイヤB毎に独立して制御されても良いし、共通に制御されても良い。また、制御信号SMD0~SMD3を、ボンディングワイヤB等毎に独立して制御するモードと、共通に制御するモードと、を切り替えられるようにすることも可能である。
【0049】
また、図5の例では、プルアップ回路PUが、電源電圧VCCに対応する電源配線WVCCに接続されている。しかしながら、プルアップ回路PUは、電源電圧VCCQ又はその他の電源電圧に対応する電源配線に接続されていても良い。
【0050】
[スイッチ動作]
第1実施形態に係る半導体記憶装置は、スイッチ素子swのON状態/OFF状態を適宜切り替えることにより、メモリダイMD0~MD3のいずれかを、電源配線WVCCから電気的に切り離したり、電源配線WVCCと導通させたりすることが可能である。以下、この様な動作を、「スイッチ動作」と呼ぶ。
【0051】
スイッチ動作は、メモリダイMD0~MD3のうちの1つによって実行される。これにより、メモリダイMD0~MD3のうちの他の1つに対応するスイッチ素子swのON状態/OFF状態が切り替わる。以下、メモリダイMD0によってスイッチ動作を実行し、メモリダイMD2のON状態/OFF状態が切り替わる例について説明する。
【0052】
図6は、第1実施形態に係る半導体記憶装置のスイッチ動作について説明するための模式的な波形図である。
【0053】
図示の例では、スイッチ動作の実行前に、イネーブル信号/PC_EN_VCCが“H”状態であり、アドレス信号PC_ADDが“L”状態である。
【0054】
スイッチ動作のタイミングt1では、イネーブル信号/PC_EN_VCCが“L”状態となる。これにより、スイッチ制御回路PCは、アドレス信号PC_ADDの入力が可能な状態となる。
【0055】
スイッチ動作のタイミングt2~t4では、それぞれ、アドレス信号PC_ADDが立ち上がっている。スイッチ制御回路PCは、アドレス信号PC_ADDが1回立ち上がる度に、スイッチ動作の対象となるメモリダイMDを切り替える。例えば、スイッチ動作の対象は、タイミングt2において、なし(メモリダイMD0~MD3のいずれも選択されていない状態)からメモリダイMD0に切り替わり、タイミングt3においてメモリダイMD1に切り替わり、タイミングt4においてメモリダイMD2に切り替わる。
【0056】
スイッチ動作のタイミングt5では、イネーブル信号/PC_EN_VCCが“H”状態となる。これにより、スイッチ制御回路PCは、アドレス信号PC_ADDの入力が不可能な状態となる。また、このタイミングでスイッチ動作の対象となっているメモリダイMD(図示の例では、メモリダイMD2)に対応する制御信号SMD2図5)が、“H”状態から“L”状態、又は、“L”状態から“H”状態に切り替わる。
【0057】
図7は、第1実施形態に係る半導体記憶装置のスイッチ動作について説明するための模式的な波形図である。
【0058】
メモリダイMD0~MD3のうちの1つを、電源配線WVCCから電気的に切り離す場合、図1を参照して説明したコントローラダイCDは、メモリダイMD0~MD3に、図7に示す様なコマンドセットCmd11,Cmd12を入力する。
【0059】
コマンドセットCmd11は、スイッチ動作を実行するメモリダイMD(例えば、メモリダイMD0)の指定に用いられる。コマンドセットCmd11は、コマンド信号C1OFFと、アドレス信号A1と、を含む。アドレス信号A1は、スイッチ動作を実行するメモリダイMD(例えば、メモリダイMD0)のチップアドレスを含む。
【0060】
コマンドセットCmd12は、電源配線WVCCから電気的に切り離されるメモリダイMD(例えば、メモリダイMD2)の指定に用いられる。コマンドセットCmd12は、コマンド信号C2OFFと、アドレス信号A2と、を含む。アドレス信号A2は、電源配線WVCCから電気的に切り離されるメモリダイMD(例えば、メモリダイMD2)のチップアドレスを含む。
【0061】
コマンドセットCmd11,Cmd12の入力後、期間T1において、図6を参照して説明したスイッチ動作が実行される。
【0062】
図8は、第1実施形態に係る半導体記憶装置のスイッチ動作について説明するための模式的な波形図である。
【0063】
メモリダイMD0~MD3のうちの1つを、電源配線WVCCと導通させる場合、図1を参照して説明したコントローラダイCDは、メモリダイMD0~MD3に、図8に示す様なコマンドセットCmd21,Cmd22を入力する。
【0064】
コマンドセットCmd21は、スイッチ動作を実行するメモリダイMD(例えば、メモリダイMD0)の指定に用いられる。コマンドセットCmd21は、コマンド信号C1ONと、アドレス信号A1と、を含む。
【0065】
コマンドセットCmd22は、電源配線WVCCと導通させるメモリダイMD(例えば、メモリダイMD2)の指定に用いられる。コマンドセットCmd22は、コマンド信号C2ONと、アドレス信号A2と、を含む。
【0066】
コマンドセットCmd21,Cmd22の入力後、期間T2において、図6を参照して説明したスイッチ動作が実行される。
【0067】
[待機電流の大きいメモリダイMDの特定]
上述の通り、メモリパッケージPKGの製造工程には、メモリパッケージPKGの出荷前に行われるテストが含まれる。このテストでは、メモリパッケージPKGの電源配線に流れる待機電流を測定する。この工程において、しきい値電流を上回る大きさの待機電流が検出されてしまった場合、例えば、スイッチ素子swを操作して、4つのメモリダイMD0~MD3を順次電源配線WVCCから電気的に切り離し、又は、順次電源配線WVCCと導通させつつ、電源配線に流れる待機電流を測定することにより、どのメモリダイMDの待機電流がどの程度大きいのかを測定することが可能である。以下、この様な方法について説明する。
【0068】
図9は、待機電流の大きいメモリダイMDの特定方法について説明するための模式的なフローチャートである。図9に例示する方法では、4つのメモリダイMD0~MD3を順次、電源配線WVCCから電気的に切り離し、電源配線WVCCに流れる電流ICCの減少量を監視することにより、待機電流の大きいメモリダイMDを特定する。
【0069】
尚、以下の説明では、電源電圧VCCに対応する電流ICCの例について説明する。しかしながら、電源電圧VCCQに対応する電流についても、同様の方法を採用可能である。
【0070】
ステップS100では、電流ICCを測定する。電流ICCは、4つのメモリダイMD0~MD3が全て電源配線WVCCと導通している場合に、電源配線WVCCに流れる待機電流である。
【0071】
ステップS101では、メモリダイMD0~MD3のいずれか1つを選択する。
【0072】
ステップS102では、図6及び図7を参照して説明したスイッチ動作を実行して、ステップS101において選択されたメモリダイMDを、電源配線WVCCから電気的に切り離す。
【0073】
ステップS103では、電流ICCを測定する。電流ICCは、4つのメモリダイMD0~MD3のうちの1つがOFF状態であり、且つ、残りの3つがON状態である場合に、電源配線WVCCに流れる待機電流である。
【0074】
ステップS104では、電流ICCから電流ICCを減じた大きさが、しきい値電流ITHよりも大きいか否かを判定する。大きい場合には、ステップS105に進む。大きくない場合には、ステップS106に進む。
【0075】
ステップS105では、ステップS101において選択されたメモリダイMDを特定する情報を記録して、ステップS106に進む。
【0076】
ステップS106では、図6及び図8を参照して説明したスイッチ動作を実行して、ステップS101において選択されたメモリダイMDを、電源配線WVCCと導通させる。
【0077】
ステップS107では、4つのメモリダイMD0~MD3が全て選択されたか否かを判定する。選択されている場合には、処理を終了する。選択されていない場合には、ステップS101に戻る。
【0078】
図10は、待機電流の大きいメモリダイMDの他の特定方法について説明するための模式的なフローチャートである。図10に例示する方法では、4つのメモリダイMD0~MD3を順次、電源配線WVCCと導通させ、電流ICCを監視することにより、待機電流の大きいメモリダイMDを特定する。
【0079】
尚、以下の説明では、電源電圧VCCに対応する電流ICCの例について説明する。しかしながら、電源電圧VCCQに対応する電流についても、同様の方法を採用可能である。
【0080】
ステップS201では、メモリダイMD0~MD3のいずれか1つを選択する。
【0081】
ステップS202では、図6及び図7を参照して説明したスイッチ動作を実行して、ステップS201において選択されたメモリダイMD以外のメモリダイMD全てを、電源配線WVCCから電気的に切り離す。
【0082】
ステップS203では、電流ICCを測定する。電流ICCは、電源配線WVCCに流れる待機電流である。
【0083】
ステップS204では、電流ICCが、しきい値電流ITHよりも大きいか否かを判定する。大きい場合には、ステップS205に進む。大きくない場合には、ステップS206に進む。
【0084】
ステップS205では、ステップS201において選択されたメモリダイMDを特定する情報を記録して、ステップS206に進む。
【0085】
ステップS206では、図6及び図8を参照して説明したスイッチ動作を実行して、ステップS201において選択されたメモリダイMD以外のメモリダイMDを、電源配線WVCCと導通させる。
【0086】
ステップS207では、4つのメモリダイMD0~MD3が全て選択されたか否かを判定する。選択されている場合には、処理を終了する。選択されていない場合には、ステップS201に戻る。
【0087】
尚、第1実施形態に係る半導体記憶装置では、4つのメモリダイMDのいずれかから図6を参照して説明した信号を出力し、これによってスイッチ制御回路PCを駆動する。従って、4つのメモリダイMD全てを電源配線WVCCから電気的に切り離してしまうと、スイッチ動作を実行することが出来なくなってしまう。この様な理由から、図10の例では、ステップS203において電流ICCを測定した後、ステップS206において、測定対象以外のメモリダイMDを、一度、電源配線WVCCと導通させる。しかしながら、この様な方法では、ステップS202及びステップS206において、スイッチ動作を3回ずつ実行する必要が生じてしまう場合がある。
【0088】
そこで、例えば、ステップS201とステップS202との間において、スイッチ動作の対象となるメモリダイMDを電源配線WVCCと導通させるステップ(以下、「追加ステップ」と呼ぶ。)を追加し、ステップS206を省略することも可能である。この様な場合、4つのメモリダイMDが全て電源配線WVCCと導通した状態で、処理が開始される。1回目の追加ステップではスイッチ動作が実行されず、1回目のステップS202において、スイッチ動作が3回実行される。また、2回目から4回目の追加ステップ及びステップS202では、スイッチ動作が1回ずつ実行される。この様な方法によれば、スイッチ動作の実行回数を削減して、処理の高速化を図ることが可能である。
【0089】
[テスト方法]
図11及び図12は、メモリパッケージPKGの製造工程において、出荷前に行われるテスト方法について説明するための模式的なフローチャートである。
【0090】
ステップS301では、電源電圧VCCに対応する電源配線WVCCの電流ICC、及び、電源電圧VCCQに対応する電源配線の電流ICCQを測定する。
【0091】
ステップS302では、電流ICC,ICCQの少なくとも一方が、しきい値電流ITHよりも大きいか否かを判定する。大きい場合には、ステップS311(図12)に進む。大きくない場合には、ステップS303に進む。
【0092】
ステップS303では、他のテスト工程を実行する。
【0093】
ステップS304では、他のテスト工程も含め、全てのテスト工程がPASSしたか否かを判定する。PASSした場合にはステップS305に進む。PASSしなかった場合にはステップS306に進む。
【0094】
ステップS305では、メモリパッケージPKGが出荷可能である旨の判定を行い、テストを終了する。
【0095】
ステップS306では、テスト工程をPASSしなかった理由が、特定のメモリダイMDに起因するものであるか否かを判定する。特定のメモリダイMDに起因するものである場合にはステップS313(図12)に進む。特定のメモリダイMDに起因するものでない場合にはステップS307に進む。
【0096】
ステップS307では、メモリパッケージPKGが出荷不能である旨の判定を行い、テストを終了する。
【0097】
ステップS311(図12)では、待機電流の大きいメモリダイMDを特定する。この工程では、例えば、図9を参照して説明した方法、又は、図10を参照して説明した方法を実行する。
【0098】
ステップS312では、待機電流の大きいメモリダイMDが、特定のメモリダイMDのみか否かを判定する。待機電流の大きいメモリダイMDが特定のメモリダイMDのみである場合(即ち、待機電流の小さいメモリダイMDも存在する場合)には、ステップS313に進む。待機電流の大きいメモリダイMDが特定のメモリダイMDのみでない場合(即ち、待機電流の小さいメモリダイMDが存在しない場合)には、ステップS319に進む。
【0099】
ステップS313では、無効化処理を行い、特定のメモリダイMDを無効化する。ステップS313では、例えば、図5を参照して説明したヒューズ素子fsを切断しても良いし、メモリシステム10内のいずれかの構成に、無効化されたメモリダイMDを特定する情報を記録しても良い。
【0100】
ステップS313で無効化されるメモリダイMDは、例えば、図9のステップS105において情報が記録されたメモリダイMD、図10のステップS205において情報が記録されたメモリダイMD、図11のステップS306において不良の原因となったメモリダイMD、及び、図12のステップS318において不良の原因となったメモリダイMDが挙げられる。
【0101】
ステップS314では、他のテスト工程を実行する。
【0102】
ステップS315では、他のテスト工程も含め、全てのテスト工程がPASSしたか否かを判定する。PASSした場合にはステップS316に進む。PASSしなかった場合にはステップS318に進む。
【0103】
ステップS316では、メモリパッケージPKGの製品スペックを緩和する。例えば、メモリパッケージPKGに含まれる4つのメモリダイMDのうち、2つのメモリダイMDが無効化されている場合、メモリパッケージPKGを、2つのメモリダイMDを含む製品として分類する。また、例えば、メモリパッケージPKGに含まれる4つのメモリダイMDのうち、3つのメモリダイMDが無効化されている場合、メモリパッケージPKGを、1つのメモリダイMDを含む製品として分類する。
【0104】
尚、第1実施形態では、4つのメモリダイMDを含むメモリパッケージPKGを例示しているが、上述の通り、メモリパッケージPKGに含まれるメモリダイMDの数は、適宜調整可能である。また、ステップS316における分類分けの方法は、メモリパッケージに含まれる複数のメモリダイのうち、無効化されたものの数、又は、無効化されていないものの数に応じて、適宜調整可能である。
【0105】
ステップS316では、例えば、メモリパッケージPKGに対して分類情報を印字しても良いし、メモリパッケージPKGに分類情報のデータを記録しても良い。
【0106】
ステップS317では、メモリパッケージPKGが出荷可能である旨の判定を行い、テストを終了する。
【0107】
ステップS318では、テスト工程をPASSしなかった理由が、特定のメモリダイMDに起因するものであるか否かを判定する。特定のメモリダイMDに起因するものである場合にはステップS313に戻る。特定のメモリダイMDに起因するものでない場合にはステップS319に進む。
【0108】
ステップS319では、メモリパッケージPKGが出荷不能である旨の判定を行い、テストを終了する。
【0109】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態に係る半導体記憶装置によれば、メモリパッケージPKGに含まれる4つのメモリダイMD0~MD3から、待機電流の大きいものを容易に特定し、且つ、無効化することが可能である。これにより、この様なメモリパッケージPKGを、例えば2つのメモリダイMDを含むメモリパッケージ等として使用することが可能となる。
【0110】
また、第1実施形態に係る半導体記憶装置によれば、メモリパッケージPKGに含まれる4つのメモリダイMD0~MD3から、待機電流の大きいものを容易に特定可能であるため、不良解析の効率化を図ることが可能である。
【0111】
また、第1実施形態に係る半導体記憶装置によれば、メモリダイMD単位で待機電流をOFFすることが出来るため、メモリパッケージPKG全体として、待機電流を小さくすることが可能である。
【0112】
[第2実施形態]
図1を参照して説明したメモリパッケージPKGには、コントローラダイCDが含まれていない。しかしながら、上述の通り、メモリパッケージPKGには、コントローラダイCDが含まれていても良い。以下、この様な例について説明する。
【0113】
図13は、第2実施形態に係るメモリシステム20の構成を示す模式的なブロック図である。
【0114】
メモリシステム20は、基本的には、第1実施形態に係るメモリシステム10と同様に構成されている。ただし、メモリシステム20は、メモリパッケージPKG及びコントローラダイCDのかわりに、メモリパッケージPKG2を備える。
【0115】
メモリパッケージPKG2は、基本的には、第1実施形態に係るメモリパッケージPKGと同様に構成されている。ただし、メモリパッケージPKG2は、コントローラダイCD2を含む。コントローラダイCD2は、コントローラダイCDと同様に構成されている。
【0116】
図14は、本実施形態に係るメモリパッケージPKG2の構成例を示す模式的な側面図である。図15は、同構成例を示す模式的な平面図である。説明の都合上、図14及び図15では一部の構成を省略する。例えば、図15には、メモリダイMD0~MD3を図示していない。図15には、Z方向から見てメモリダイMD0~MD3と重なる領域を、点線によって示している。
【0117】
図14に示す様に、第2実施形態に係るメモリパッケージPKG2においては、コントローラダイCD2が、実装基板MSB上に4つのメモリダイMDと共にZ方向に積層されている。コントローラダイCD2は、実装基板MSBと、4つのメモリダイMDと、の間に設けられている。
【0118】
図15に示す様に、コントローラダイCD2は、X方向に並ぶ複数のボンディングパッド電極Pを備える。コントローラダイCD2に設けられた複数のボンディングパッド電極Pは、それぞれ、ボンディングワイヤBに接続される。尚、図15には、コントローラダイCD2に、電源電圧VCC,VCCQが供給される例を示している。しかしながら、コントローラダイCD2には、電源電圧VCC,VCCQの一方又は双方が供給されなくても良い。また、コントローラダイCD2には、電源電圧VCC,VCCQと異なる電源電圧が供給されても良い。
【0119】
第2実施形態に係る半導体記憶装置は、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に、図5を参照して説明した構成を備える。また、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に、図6図10を参照して説明した様な動作を実行可能である。即ち、第1実施形態において説明した様な構成及び動作は、図1を参照して説明した様なメモリシステム10にも、図13を参照して説明した様なメモリシステム20にも適用可能である。
【0120】
[第3実施形態]
図16は、第3実施形態に係るメモリパッケージPKG3の一部の構成を示す模式的なブロック図である。
【0121】
第3実施形態に係るメモリパッケージPKG3は、基本的には、第2実施形態に係るメモリパッケージPKG2と同様に構成されている。ただし、メモリパッケージPKG3は、実装基板MSB、4つのメモリダイMD0~MD3及びコントローラダイCD2のかわりに、実装基板MSB3、4つのメモリダイMD30~MD33及びコントローラダイCD3を備える。
【0122】
実装基板MSB3は、基本的には、実装基板MSBと同様に構成されている。ただし、実装基板MSB3には、図5を参照して説明したスイッチ制御回路PCが設けられていない。
【0123】
4つのメモリダイMD30~MD33は、基本的には、4つのメモリダイMD0~MD3と同様に構成されている。ただし、4つのメモリダイMD30~MD33には、図5を参照して説明した様なボンディングパッド電極P(PC_ADD),P(/PC_EN_VCC)が設けられていない。
【0124】
コントローラダイCD3は、基本的には、コントローラダイCD2と同様に構成されている。ただし、コントローラダイCD3は、スイッチ回路SWに、制御信号SMD0~SMD3を出力する。
【0125】
第3実施形態に係る半導体記憶装置では、コントローラダイCD3によってスイッチ回路SWを駆動する。従って、4つのメモリダイMD全てを電源配線WVCCから電気的に切り離しても、スイッチ動作を実行することが可能である。従って、第3実施形態に係る半導体記憶装置において図10を参照して説明した様な動作を実行する場合、例えば、予め、4つのメモリダイMD30~MD33全てを電源配線WVCCから電気的に切り離し、ステップS202のかわりに、選択された1つのメモリダイMDのみを電源配線WVCCと導通させるステップを実行し、ステップS206のかわりに、選択された1つのメモリダイMDを電源配線WVCCから電気的に切り離すステップを実行することも可能である。
【0126】
[第4実施形態]
図4を参照して説明した様に、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、ボンディングワイヤB(VCC),B(VCCQ)が、それぞれ、1つのメモリダイMDに接続されている。この様な構成によれば、メモリダイMDを1つずつ電源配線WVCCと導通させ、又は、1つずつ電源配線WVCCから電気的に切り離すことが可能である。
【0127】
しかしながら、この様な構成においては、実装基板MSB上に、複数のボンディングパッド電極P(VCC),P(VCCQ)及びスイッチ素子swを設ける必要がある。従って、メモリパッケージPKG中のメモリダイMDの数が大きいほど、実装基板MSB上における、ボンディングパッド電極P(VCC),P(VCCQ)及びスイッチ素子swの面積が増大してしまうおそれがある。
【0128】
そこで、第4実施形態においては、メモリパッケージ中の複数のメモリダイMDを、2以上のグループにグループ分けして、同一のグループに含まれるメモリダイMDを、共通のボンディングワイヤB(VCC),B(VCCQ)に接続する。この様な構成によれば、実装基板MSB上のボンディングパッド電極P(VCC),P(VCCQ)の数、及び、スイッチ素子swの数を削減可能である。
【0129】
図17は、本実施形態に係るメモリパッケージPKG4の構成例を示す模式的な平面図である。説明の都合上、図17では一部の構成を省略する。
【0130】
メモリパッケージPKG4は、基本的には、メモリパッケージPKGと同様に構成されている。
【0131】
ただし、メモリパッケージPKG4は、実装基板MSBのかわりに、実装基板MSB4を備える。実装基板MSB4は、基本的には、実装基板MSBと同様に構成されている。
【0132】
また、図示の例では、4つのメモリダイMD0~MD3のうち、メモリダイMD0,MD1の2つが、メモリグループMG0にグループ分けされている。また、メモリダイMD2,MD3の2つが、メモリグループMG1にグループ分けされている。
【0133】
また、図示の例では、4つのメモリダイMD0~MD3のボンディングパッド電極P(VCC)に対応して、実装基板MSB4上に、Z方向から見てX方向に並ぶ2つのボンディングパッド電極P(VCC)が設けられている。また、図示の例では、これらに対応して、2つのボンディングワイヤB(VCC)が設けられている。ボンディングワイヤB(VCC)は、それぞれ、実装基板MSB4に設けられた1つのボンディングパッド電極P(VCC)と、メモリグループMG0及びメモリグループMG1の一方に対応する2つのボンディングパッド電極P(VCC)との、合計3つのボンディングパッド電極Pに接続されており、他方に含まれる2つのメモリダイMDには接続されていない。
【0134】
また、図示の例では、4つのメモリダイMD0~MD3のボンディングパッド電極P(VCCQ)に対応して、実装基板MSB4上に、Z方向から見てX方向に並ぶ2つのボンディングパッド電極P(VCCQ)が設けられている。また、図示の例では、これらに対応して、2つのボンディングワイヤB(VCCQ)が設けられている。ボンディングワイヤB(VCCQ)は、それぞれ、実装基板MSB4に設けられた1つのボンディングパッド電極P(VCCQ)と、メモリグループMG0及びメモリグループMG1の一方に対応する2つのボンディングパッド電極P(VCCQ)との、合計3つのボンディングパッド電極Pに接続されており、他方に含まれる2つのメモリダイMDには接続されていない。
【0135】
図18は、本実施形態に係るメモリパッケージPKG4の一部の構成を示す模式的なブロック図である。
【0136】
図18に示す様に、実装基板MSB4には、スイッチ回路SW、スイッチ制御回路PC及びヒューズ回路FSのかわりに、スイッチ回路SW4、スイッチ制御回路PC4及びヒューズ回路FS4が設けられている。
【0137】
スイッチ回路SW4は、2つのボンディングワイヤB(VCC)に対応して設けられた2つのスイッチ素子swを備える。これら2つのスイッチ素子swは、お互いに、独立して制御可能に構成されている。
【0138】
スイッチ制御回路PC4は、基本的には、スイッチ制御回路PCと同様に構成されている。
【0139】
ただし、スイッチ制御回路PC4は、スイッチ回路SW4に、制御信号SMG0,SMG1を出力する。スイッチ制御回路PC4は、外部からの操作に応じて、制御信号SMG0,SMG1を“H”状態又は“L”状態に制御する。
【0140】
また、スイッチ制御回路PC4は、ヒューズ回路FS4を備えていても良い。図示のヒューズ回路FS4は、2つのボンディングワイヤB(VCC)に対応する2つのヒューズ素子fsを備える。
【0141】
尚、図18には、電源電圧VCCに対応するスイッチ回路SW4を例示した。しかしながら、電源電圧VCCQに対応してスイッチ回路SW4と同様の構成を設けても良い。この場合、実装基板MSB4上に、電源電圧VCC,VCCQに対応する1つのスイッチ制御回路PC4を設け、これによって、電源電圧VCC,VCCQに対応する2つのスイッチ回路SW4を制御しても良い。また、実装基板MSB4上に、電源電圧VCC,VCCQに対応する2つのスイッチ制御回路PC4を設けても良い。
【0142】
尚、第4実施形態に係るメモリパッケージPKG4は、第2実施形態に係るメモリパッケージPKG2(図13図15)と同様に、コントローラダイCD2を含んでいても良い。
【0143】
また、第4実施形態に係るメモリパッケージPKG4は、第3実施形態に係るメモリパッケージPKG3(図16)と同様に、メモリダイMD0~MD3のかわりに、メモリダイMD30~MD33及びコントローラダイCD3を備えていても良い。また、スイッチ制御回路PC4を省略し、コントローラダイCD3によってスイッチ回路SW4を制御しても良い。
【0144】
また、図18の例では、ボンディングワイヤB(PC_ADD),B(/PC_EN_VCC)が、4つのメモリダイMD0~MD3全てに接続されている。しかしながら、ボンディングワイヤB(PC_ADD),B(/PC_EN_VCC)は、メモリグループMG0に含まれるいずれか一つのメモリダイMD、及び、メモリグループMG1に含まれるいずれか一つのメモリダイMDに接続されていれば良い。
【0145】
また、第4実施形態に係るメモリパッケージPKG4において、図6図8を参照して説明したスイッチ動作、図9若しくは図10を参照して説明した方法、又は、図11及び図12を参照して説明したテスト方法を実行する場合、第1実施形態においてメモリダイMD単位で実行される動作は、メモリグループ単位で実行される。
【0146】
例えば、図6を参照して説明したスイッチ動作を実行する場合、電源配線WVCCからの電気的な切り離し、及び、電源配線WVCCとの導通は、メモリダイMD単位ではなく、メモリグループ単位で実行される。
【0147】
また、スイッチ動作の実行に際して、コントローラダイCDからメモリパッケージPKG4に、図7又は図8を参照して説明した様なコマンドセットを入力する場合、このコマンドセットに含まれるアドレス信号A1,A2は、上述した様なチップアドレスでも良いし、メモリグループを指定する他の情報であっても良い。
【0148】
また、図9又は図10を参照して説明した方法を実行する場合、ステップS103又はステップS203における待機電流の測定は、メモリダイMD単位ではなく、メモリグループ単位で実行される。例えば、一部のメモリダイMD0,MD1に対して電源電圧VCCを供給し、且つ、それ以外のメモリダイMD2,MD3に対して電源電圧VCCを供給しない状態で、電源配線WVCCに流れる電流を測定する。
【0149】
また、図11及び図12を参照して説明したテスト方法を実行する場合、ステップS313(図12)の無効化処理は、メモリダイMD単位ではなく、メモリグループ単位で実行される。
【0150】
[第5実施形態]
上述の様に、実装基板上に積層されるメモリダイMDの数は、4つより多くても良いし、少なくても良い。以下、実装基板上に積層されるメモリダイMDの数が8つである例について説明する。
【0151】
図19は、第5実施形態に係るメモリパッケージPKG5の構成例を示す模式的な側面図である。図20は、同構成例を示す模式的な平面図である。説明の都合上、図19及び図20では一部の構成を省略する。
【0152】
図19に示す様に、第5実施形態に係るメモリパッケージPKG5は、実装基板MSB5と、実装基板MSB5にZ方向に積層された8つのメモリダイMDと、を備える。尚、図示の例では、8つのメモリダイMDとして、メモリダイMD0~MD7を例示している。図示の例では、メモリダイMD0~MD3が、メモリグループMG10にグループ分けされている。また、メモリダイMD4~MD7が、メモリグループMG11にグループ分けされている。
【0153】
実装基板MSB5の上面のうち、Y方向の正側及び負側の端部の領域にはボンディングパッド電極Pが設けられる。図19には、ボンディングパッド電極Pとして、ボンディングパッド電極P(VCC)を例示している。実装基板MSB5の上面のうち、Z方向から見てメモリダイMD0と重なる領域は、接着剤等を介してメモリダイMD0の下面に接着される。
【0154】
メモリダイMD0~MD3の上面のうち、Y方向の負側の端部の領域にはボンディングパッド電極Pが設けられる。メモリダイMD0~MD3の上面のうち、Y方向の負側の端部以外の領域は、接着剤等を介して、他のメモリダイMD1~MD4の下面に、それぞれ接着される。また、図示の例では、実装基板MSB5、及び、メモリダイMD0~MD3に対応する5つのボンディングパッド電極P(VCC)が、共通のボンディングワイヤB(VCC)に接続されている。
【0155】
メモリダイMD4~MD7の上面のうち、Y方向の正側の端部の領域にはボンディングパッド電極Pが設けられる。メモリダイMD4~MD6の上面のうち、Y方向の正側の端部以外の領域は、接着剤等を介して、他のメモリダイMD5~MD7の下面に、それぞれ接着される。また、図示の例では、実装基板MSB5、及び、メモリダイMD4~MD7に対応する5つのボンディングパッド電極P(VCC)が、共通のボンディングワイヤB(VCC)に接続されている。
【0156】
図20の例において、実装基板MSB5上の、メモリダイMD0~MD7に対してY方向の正側及び負側の領域には、それぞれ、ボンディングパッド電極P(VCC),P(VCCQ)が設けられている。また、図示の例では、これらに対応して、2つのボンディングワイヤB(VCC)と、2つのボンディングワイヤB(VCCQ)と、が設けられている。これらのボンディングワイヤB(VCC),B(VCCQ)は、Z方向から見てY方向に延伸する。
【0157】
ここで、図4を参照して説明した様に、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、一部のボンディングワイヤBが、Z方向から見た斜め方向に延伸する。一方、第5実施形態に係る半導体記憶装置は、この様なボンディングワイヤBを備えていない。この様な構成は、Z方向から見た斜め方向に延伸するボンディングワイヤBを含む構成と比較して、容易に製造可能である。
【0158】
図21は、本実施形態に係るメモリパッケージPKG5の一部の構成を示す模式的なブロック図である。図21に示す様に、実装基板MSB5は、実装基板MSB4と同様に構成されている。ただし、実装基板MSB5に設けられたスイッチ制御回路PC4は、スイッチ回路SW4に、制御信号SMG10,SMG11を出力する。
【0159】
第5実施形態に係るメモリパッケージPKG5は、第2実施形態に係るメモリパッケージPKG2(図13図15)と同様に、コントローラダイCD2を含んでいても良い。
【0160】
また、第5実施形態に係るメモリパッケージPKG5は、第3実施形態に係るメモリパッケージPKG3(図16)と同様に、メモリダイMD0~MD3のかわりに、メモリダイMD30~MD33及びコントローラダイCD3を備えていても良い。また、スイッチ制御回路PC4を省略し、コントローラダイCD3によってスイッチ回路SW4を制御しても良い。
【0161】
また、図21の例では、ボンディングワイヤB(PC_ADD),B(/PC_EN_VCC)が、8つのメモリダイMD0~MD7全てに接続されている。しかしながら、ボンディングワイヤB(PC_ADD),B(/PC_EN_VCC)は、メモリグループMG10に含まれるいずれか一つのメモリダイMD、及び、メモリグループMG11に含まれるいずれか一つのメモリダイMDに接続されていれば良い。
【0162】
また、第5実施形態に係るメモリパッケージPKG5において、図6図8を参照して説明したスイッチ動作、図9若しくは図10を参照して説明した方法、又は、図11及び図12を参照して説明したテスト方法を実行する場合、第1実施形態においてメモリダイMD単位で実行される動作は、メモリグループ単位で実行される。
【0163】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第5実施形態に係る半導体記憶装置について説明した。しかしながら、これらの実施形態に係る半導体記憶装置はあくまでも例示であり、具体的な構成、動作等は適宜調整可能である。
【0164】
例えば、第1実施形態~第5実施形態において説明した様な構成及び製造方法は、実装基板を有しない構成に対しても、適用可能である。
【0165】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0166】
MSB…実装基板、MD0~MD3…メモリダイ、B…ボンディングワイヤ、P…パッド電極、VCC,VCCQ…電源電圧、SW…スイッチ回路、sw…スイッチ素子、WVCC…電源配線、PC…スイッチ制御回路、FS…ヒューズ回路、fs…ヒューズ素子、PU…プルアップ回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図21