(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044225
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】出所保証システム、出所保証方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/01 20230101AFI20240326BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
G06Q30/00 300
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149631
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】522373127
【氏名又は名称】朝比奈 将平
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 将平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
5L049BB21
(57)【要約】
【課題】現実の物品が正規品か非正規品かの判断を容易にする。
【解決手段】出所保証システム1は、現実の物品Gの出所を保証し、物品に配置され、固有の識別情報を示す識別情報配置部10と、識別情報に、少なくとも現実の物品に関する物品情報と、現実の物品の所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成する出所保証情報生成手段120と、現実の物品Gの所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を所有者情報に加えた出所保証情報に更新する出所保証情報更新手段130と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実の物品の出所を保証する出所保証システムであって、
前記物品に配置され、固有の識別情報を示す識別情報配置部と、
前記識別情報に、少なくとも現実の前記物品に関する物品情報と、現実の前記物品の所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成する出所保証情報生成手段と、
現実の前記物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を前記所有者情報に加えた前記出所保証情報に更新する出所保証情報更新手段と、を備えることを特徴とする出所保証システム。
【請求項2】
前記識別情報を受信した場合に、当該識別情報に対応付けられた前記所有者情報を提供する提供手段と、
前記識別情報を受信した場合に、現実の前記物品の所有者に操作される端末に、前記識別情報を受信したことを示す識別情報受信情報を送信する通知手段と、を更に備える請求項1の出所保証システム。
【請求項3】
前記識別情報配置部は、前記物品から除去された場合、前記物品に痕跡が残ることを特徴とする請求項1又は2に記載の出所保証システム。
【請求項4】
現実の物品の出所を保証し、前記物品に配置され、固有の識別情報を示す識別情報配置部を備える出所保証システムが実行する方法であって、
前記識別情報に、少なくとも現実の前記物品に関する物品情報と、現実の前記物品の所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成するステップと、
現実の前記物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を前記所有者情報に加えた前記出所保証情報に更新するステップと、を含むことを特徴とする出所保証方法。
【請求項5】
現実の物品の出所を保証し、前記物品に配置され、固有の識別情報を示す識別情報配置部を備える出所保証システムを、
前記識別情報に、少なくとも現実の前記物品に関する物品情報と、現実の前記物品の所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成する出所保証情報生成手段、
現実の前記物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を前記所有者情報に加えた前記出所保証情報に更新する出所保証情報更新手段、として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現実の物品の出所を保証する出所保証システム、出所保証方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、NFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)を利用して、インターネットを介して流通可能な画像、動画、データ等のデジタルデータの出所を保証するシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ブロックチェーンに記録されているデジタルコンテンツに対応する非代替性トークンの発行条件に基づいて、ブロックチェーン上の第一のアドレスで管理されている非代替性トークンの所有権を、移転先となる第二のアドレスに移転する法的権利又は発行条件に基づいて非代替性トークンを第二のアドレスに発行する法的権利を、デジタルコンテンツの取引を希望するユーザに保証する非代替性トークン所有権移転保証情報を、ユーザを識別するユーザアカウントに付与し、デジタルコンテンツの取引時に非代替性トークン所有権移転保証情報に基づいて、非代替性トークンに対応するデジタルコンテンツについての情報の変更を、ブロックチェーンとは異なる記憶手段に記録する非代替性トークン管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、現実の物品も、インターネット上で取引されている。このようなインターネット上の取引では、例えば、購入者は、販売者の販売ページに掲載している物品の写真や、物品の説明を読み、物品を購入する。ところが、近年、このようなインターネット上の取引において、不正な手段で取得された正規品や、正規品を模倣した模倣品(以下、「非正規品」ともいう。)が、正規品として販売されていることも多い。
【0006】
購入者は、販売ページに掲載された物品の写真や、物品の説明等を参考に、正規品か非正規品かを判断しているが、巧妙に販売ページが作成されていた場合、もしくは盗品の場合、その判断は極めて困難である。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、現実の物品が正規品か非正規品かの判断を容易にする出所保証システム、出所保証方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 現実の物品の出所を保証する出所保証システムであって、
前記物品に配置され、固有の識別情報を示す識別情報配置部と、
前記識別情報に、少なくとも現実の前記物品に関する物品情報と、現実の前記物品の所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成する出所保証情報生成手段と、
現実の前記物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を前記所有者情報に加えた前記出所保証情報に更新する出所保証情報更新手段と、を備えることを特徴とする出所保証システム。
【0009】
(1)の構成によれば、現実の物品の出所を保証する出所保証システムは、識別情報配置部と、出所保証情報生成手段と、出所保証情報更新手段と、を備える。
識別情報配置部は、物品に配置され、固有の識別情報を示す。
出所保証情報生成手段は、識別情報に、少なくとも現実の物品に関する物品情報と、現実の物品の所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成する。
出所保証情報更新手段は、現実の物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を所有者情報に加えた出所保証情報に更新する。
【0010】
これにより、物品に配置された固有の識別情報に、少なくとも現実の物品の所有者に関する所有者情報を対応付けた出所保証情報を生成し、そして、現実の物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を所有者情報に加えた出所保証情報に更新することが可能となる。
【0011】
よって、出所保証情報には、物品に配置された固有の識別情報に、少なくとも現実の物品の所有者に関する所有者情報が対応付けられているため、物品に識別情報が配置されていれば、当該物品の所有者が管理されており、出所が保証されていることが視認できる。
したがって、現実の物品が正規品か非正規品かの判断が容易になる。
【0012】
(2) 前記識別情報を受信した場合に、当該識別情報に対応付けられた前記所有者情報を提供する提供手段と、
前記識別情報を受信した場合に、現実の前記物品の所有者に操作される端末に、前記識別情報を受信したことを示す識別情報受信情報を送信する通知手段と、を更に備えることを特徴とする(1)に記載の出所保証システム。
【0013】
(2)の構成によれば、出所保証システムは、提供手段と、通知手段と、を更に備える。
提供手段は、識別情報を受信した場合に、当該識別情報に対応付けられた所有者情報を提供する。
通知手段は、識別情報を受信した場合に、現実の物品の所有者に操作される端末に、識別情報を受信したことを示す識別情報受信情報を送信する。
【0014】
これにより、識別情報を受信した場合に、現実の物品の所有者に操作される端末に、識別情報を受信したことを示す識別情報受信情報を送信できる。このため、現実の物品の所有者は、例えば、自分で保管していると認識しており、他者が当該物品の識別情報を取得して、出所保証システムに送信できない状況で、識別情報受信情報を受信した場合、現実の物品が盗難等の不正の手段によって持ち出されていることを認識できる。また、このような状況で、当該物品を自分で保管していることを確認できた場合には、当該物品の非正規品が流通していることを認識できる。
したがって、現実の物品の正規品が不正の手段により持ち出されていることや、非正規品が流通していることを、正規品の所有者に通知する不正通知機能を実現することができる。
【0015】
(3) 前記識別情報配置部は、前記物品から除去された場合、前記物品に痕跡が残ることを特徴とする(1)又は(2)に記載の出所保証システム。
【0016】
(3)の構成によれば、識別情報配置部は、物品から除去された場合、物品に痕跡が残る。
これにより、例えば、現実の物品の正規品が不正の手段により持ち出され、識別情報配置部が当該物品から除去された場合に痕跡が残るので、このような物品が流通された場合、痕跡により、当該物品が不正の手段により持ち出されたことが明らかとなる。すなわち、物品を取得しようとする者は、当該物品に識別情報配置部が配置されていれば、正規の所有者を問い合わせることが可能であり、当該物品に識別情報配置部の痕跡しかない場合には、不正の手段により持ち出され、正規の所有者を分からなくしている蓋然性が高いことを認識できる。
したがって、現実の物品が正規品か非正規品かの判断がより容易になる。
【0017】
(4) 現実の物品の出所を保証し、前記物品に配置され、固有の識別情報を示す識別情報配置部を備える出所保証システムが実行する方法であって、
前記識別情報に、少なくとも現実の前記物品に関する物品情報と、現実の前記物品の所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成するステップと、
現実の前記物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を前記所有者情報に加えた前記出所保証情報に更新するステップと、を含むことを特徴とする出所保証方法。
【0018】
(5) 現実の物品の出所を保証し、前記物品に配置され、固有の識別情報を示す識別情報配置部を備える出所保証システムを、
前記識別情報に、少なくとも現実の前記物品に関する物品情報と、現実の前記物品の所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成する出所保証情報生成手段、
現実の前記物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を前記所有者情報に加えた前記出所保証情報に更新する出所保証情報更新手段、として機能させることを特徴とするプログラム。
【0019】
(4)及び(5)の構成によれば、(1)の出所保証システムと同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、現実の物品が正規品か非正規品かの判断が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る出所保証システムの概要を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る出所保証システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る識別情報配置部を説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る出所保証情報を説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る出所保証装置が実行する出所保証設定処理フローを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る出所保証装置が実行する所有者情報通知処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。
【0023】
[出所保証システムの概要]
図1は、本発明の実施形態に係る出所保証システムの概要を説明する図である。
出所保証システム1の概要について説明する。出所保証システム1は、現実の物品Gに配置される識別情報配置部10と、出所保証装置100と、を備える。
【0024】
本実施形態において、現実の物品Gとは、デジタルコンテンツ以外の物であり、物理的に存在する物品である。物品Gは、例えば、車両、車両等に着脱可能なバッテリー、各種道具、美術品、貴金属、カード、プレミアが付いたチケット等であり、これらを収容する容器も含まれる。
【0025】
出所保証システム1による出所保証サービスにおいて、自己が保有する物品Gの出所保証を希望する所有者は、本サービスの運用者から、固有の識別情報を示す識別情報配置部10を受領する。識別情報配置部10は、例えば、固有の識別情報(例えば、番号や、記号や、これらを示す2次元バーコード等)が印刷されたシール等である。
【0026】
所有者は、受領した識別情報配置部10を、出所保証を望む物品Gに配置する(例えば、貼り付ける。)。また、所有者は、自己の名前や住所等の所有者情報、物品Gの製品名やメーカー名や製品番号や外観写真等の物品Gに関する物品情報を、本サービスの運用者に提供する(例えば、所有者が操作する端末から、出所保証装置100に送信したり、所有者情報や物品情報を記載した紙を運用者に郵送する。)。
【0027】
出所保証装置100は、所有者から提供された所有者情報や物品Gの物品情報を、当該所有者に提供した識別情報配置部10に示される固有の識別情報に対応付けた出所保証情報を生成して記憶する。出所保証装置100は、出所保証情報を内部に備える記憶手段に記憶してもよいし、出所保証装置100にネットワーク(例えば、インターネット、社内LAN等)を介して接続され、例えばブロックチェーンを構成する格納手段に分散して記憶してもよい。
【0028】
また、出所保証装置100は、例えば、端末から、識別情報とともに、物品Gの所有者の所有者情報や物品情報を要求する出所保証情報要求情報を受信した場合、当該識別情報に対応付けられている所有者情報や物品情報を、当該端末に送信する。
【0029】
また、出所保証装置100は、出所保証情報を生成済みの物品Gについて、新たな所有者の所有者情報が提供された場合、当該物品Gの出所保証情報に新たな所有者の所有者情報を追加して、当該出所保証情報を更新する。
【0030】
このような出所保証システム1によれば、物品Gに配置された固有の識別情報に、少なくとも現実の物品の所有者に関する所有者情報を対応付けた出所保証情報を生成し、そして、現実の物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を所有者情報に加えた出所保証情報に更新することが可能となる。
【0031】
よって、出所保証情報には、物品に配置された固有の識別情報に、少なくとも現実の物品Gの所有者に関する所有者情報が対応付けられているため、物品Gに識別情報が配置されていれば、当該物品の所有者が管理されており、出所が保証されていることが視認できる。
したがって、現実の物品が正規品か非正規品かの判断が容易になる。
【0032】
[出所保証システム1の機能構成]
次に、出所保証システム1の機能構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る出所保証システムの機能構成を示すブロック図である。
【0033】
出所保証システム1は、識別情報配置部10と、出所保証装置100と、を備える。出所保証システム1は、例えば、ブロックチェーンを構成する格納手段200や、物品Gの所有者や物品Gの所有者情報や物品情報を要求する者等であるユーザに操作される端末300と、ネットワーク(例えば、インターネット、社内LAN等)を介して接続されている。なお、複数の格納手段200は、本システム外の装置であってもよいし、出所保証装置100が備える記憶手段における複数の記憶領域であってもよい。
【0034】
(識別情報配置部)
識別情報配置部10は、現実の物品Gに配置され、固有の識別情報(例えば、番号や、記号、これらを示す2次元バーコード等)を示す。具体的には、識別情報配置部10は、固有の識別情報(
図2に示す例では、固有の番号を2次元バーコードで示している。なお、この2次元バーコードには、識別情報に加え、出所保証装置100にインターネット上でアクセスするためのアドレスや、後述する出所保証情報要求情報等が含まれていてもよい。)が表面に印刷され、裏面に接着剤が塗布されたシール形状に形成される。
【0035】
図3は、本発明の実施形態に係る識別情報配置部を説明する図である。
識別情報配置部10は、着脱自在なシールにより構成してもよいし、物品Gから除去された場合、物品Gに痕跡Mが残るように形成してもよい。この場合、識別情報配置部10は、公知の任意の手段により痕跡Mが残るように形成されているが、例えば、識別情報配置部10の裏面に配置されている接着剤を物品Gの表面を変質させる材料を用いたり、識別情報配置部10を剥がした場合に識別情報配置部10の一部が物品Gの表面に残るように構成されている。
【0036】
また、識別情報配置部10は、物品Gから除去された場合、物品Gに残る痕跡Mが、所定形状(
図3に示す例では、所定文字形状(「非正規」)や、所定形状(例えば、記号形状等)を形成してもよい。なお、
図3に示す例では、識別情報配置部10の一部の痕跡が残るように形成しているが、これに限らず、識別情報配置部10の全面の痕跡が残るように形成してもよい。
【0037】
(出所保証装置)
図2に戻って、出所保証装置100は、受付手段110と、出所保証情報生成手段120と、出所保証情報更新手段130と、提供手段140と、通知手段150を備える。
【0038】
受付手段110は、現実の物品Gの所有者に関する所有者情報(例えば、所有者の名前や名称、所有者の住所、所有者の連絡先(メールアドレスや電話番号やSNS(Social Networking Service)のID等))や、所有者に提供した識別情報配置部10に示された固有の識別情報や、物品Gに関する物品情報(物品Gの製品名やメーカー名や製品番号や外観写真等)を受け付ける。また、受付手段110は、識別情報とともに、物品Gの所有者の所有者情報や物品情報を要求する出所保証情報要求情報を受け付ける。この場合、受付手段110は、出所保証情報要求情報とともに、出所保証情報要求情報を送信した端末300が、識別情報配置部10の識別情報を取得した時の位置情報、当該端末300のIPアドレスや電話番号を受け付けてもよい。
【0039】
受付手段110は、例えば、これらの情報を、物品Gの所有者や物品Gの所有者情報や物品情報を要求する者等であるユーザに操作される端末300から受信する。なお、受付手段110は、別の装置(例えば、所有者情報や物品情報を記憶したサーバ等)から受け付けてもよいし、出所保証装置100を操作する者による入力手段(例えば、マウスやキーボード等)の操作に基づき、所有者情報や物品情報を受け付けてもよい。
【0040】
出所保証情報生成手段120は、識別情報に、少なくとも現実の物品Gに関する物品情報と、現実の物品Gの所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成し、記憶手段に記憶する。また、出所保証情報生成手段120は、所有者毎に所有者識別情報を付与し、所有者情報に付与した所有者識別情報を含め、出所保証情報を生成する。また、出所保証情報生成手段120は、物品G毎に物品識別情報を付与し、物品情報に付与した物品識別情報を含め、出所保証情報を生成する。
【0041】
図4は、本発明の実施形態に係る出所保証情報を説明する図である。
出所保証情報は、識別情報(
図4に示す例では「5245・・・」)に、物品情報と所有者情報とが対応付けられ、記憶手段に記憶されている。物品情報には、例えば、物品識別情報、物品Gの製品名、製造メーカ、製品番号、外観写真等が含まれる。所有者情報は、所有者識別情報、物品Gの所有者の名前(所有者が法人であれば当該法人の名称)、住所、連絡先(メールアドレスや電話番号やSNSのID等))が含まれる。また、出所保証情報には、物品Gの所有者であった者と現所有者の所有者情報が対応付けられている。すなわち、出所保証情報には、所有者の推移の履歴が記憶されている。
【0042】
出所保証情報生成手段120は、このような出所保証情報を、出所保証装置100が備える記憶手段に記憶してもよいし、例えば、非代替性トークン化して、ブロックチェーンを構成する複数の格納手段200に分散して記憶してもよい。
【0043】
図2に戻って、出所保証情報更新手段130は、現実の物品Gの所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を所有者情報に加えた出所保証情報に更新する。具体的には、出所保証情報更新手段130は、物品Gの所有者が、ある所有者から別の所有者に変更された場合、出所保証情報生成手段120が物品Gのある所有者の所有者情報で生成された出所保証情報に、別の所有者の所有者情報を追加して、記憶手段に記憶する。
【0044】
例えば、
図4に示す例では、物品Gの所有者が「名前:XXX・・・」(所有者履歴:1)の場合、出所保証情報生成手段120は、「名前:XXX・・・」の所有者情報のみが対応付けられた出所保証情報を生成する。
【0045】
そして、物品Gの所有者が、「名前:XXX・・・」から「名前:YYY・・・」に変更された場合、出所保証情報更新手段130は、出所保証情報生成手段120が生成した出所保証情報(所有者履歴:1のみ)に、「名前:YYY・・・」(所有者履歴:2)の所有者情報を追加して、記憶手段に記憶する。このように、
図4には、物品Gの所有者が「名前:XXX・・・」から「名前:YYY・・・」に変更された場合に、出所保証情報更新手段130に更新された出所保証情報の一例を示している。
【0046】
提供手段140は、識別情報を受信した場合に、当該識別情報に対応付けられた所有者情報を提供する。具体的には、提供手段140は、受付手段110が、識別情報とともに、物品Gの所有者の所有者情報や物品情報を要求する出所保証情報要求情報を、端末300から受け付けた場合、当該識別情報に対応付けられた所有者情報や物品情報を、当該端末300に送信する。
【0047】
また、提供手段140は、受付手段110が、物品Gの所有者以外の者から出所保証情報要求情報を受信した場合(例えば、所有者情報として登録されている所有者の連絡先のメールアドレスとは異なるメールアドレスで、出所保証情報要求情報を受信した場合)、物品Gの所有者の端末300に、出所保証情報要求情報を送信した者の連絡先等(出所保証情報要求情報を送信してきたメールアドレスや、SNSのID等)を提供(送信)する。
【0048】
通知手段150は、受付手段110が物品Gの所有者以外の者から出所保証情報要求情報を受信した場合(例えば、所有者情報として登録されている所有者の連絡先のメールアドレスとは異なるメールアドレスで、出所保証情報要求情報を受信した場合)、物品Gの所有者に操作される端末300(出所保証情報に登録されている連絡先)に、出所保証情報要求情報を受信したことを示す出所保証情報要求情報受信情報を送信する。また、通知手段150は、受付手段110が出所保証情報要求情報とともに、出所保証情報要求情報を送信した端末300が識別情報を取得した時の位置情報、当該端末300のIPアドレスや電話番号を受け付けていた場合、出所保証情報要求情報受信情報とともに、これらの情報も、物品Gの所有者の端末300に提供(送信)してもよい。
【0049】
(端末)
端末300は、それぞれのユーザに操作される、例えば、任意のスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成され、それぞれ出所保証装置100とネットワークを介して情報を送受信可能に接続されている。
【0050】
端末300は、例えば、二次元バーコードを読み取り、二次元バーコードに示された出所保証装置100のアドレスに、識別情報や出所保証情報要求情報を、連絡先(メールアドレスや、SNSのID等)とともに送信する。
【0051】
また、端末300は、出所保証装置100から提供された物品Gの所有者の所有者情報や物品情報を、タッチパネル等の表示手段に表示する。
【0052】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶手段)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0053】
(処理フロー)
図5は、本発明の実施形態に係る出所保証装置が実行する出所保証設定処理フローを示す図である。出所保証装置100は、例えば、端末300から所有者情報を受信した場合、出所保証情報設定処理を開始する。
【0054】
ステップS11において、受付手段110は、現実の物品Gの所有者に関する所有者情報と、識別情報配置部10に示された固有の識別情報とを受け付ける(例えば、端末300から受信したり、出所保証装置100を操作する者による入力を受け付ける。)。また、受付手段110は、本ステップにおいて、物品Gに関する物品情報を受け付けてもよい。
【0055】
ステップS12において、出所保証情報生成手段120は、ステップS11で受け付けた識別情報に対応付けられた出所保証情報が、記憶手段に記憶されているか否かを判定し、記憶手段に記憶されていなかった場合には出所保証情報が無いと判定しステップS13に処理を移し、記憶手段に記憶されていた場合には出所保証情報が有ると判定しステップS14に処理を移す。
【0056】
ステップS13において、出所保証情報生成手段120は、識別情報に、少なくとも現実の物品Gに関する物品情報と、現実の物品Gの所有者に関する所有者情報とを対応付けた出所保証情報を生成し、記憶手段に記憶する。
【0057】
ステップS14において、出所保証情報生成手段120は、所有者情報が示す所有者が、既に記憶手段に記憶されている出所保証情報において、ステップS11で受け付けた識別情報に対応付けられた所有者と同一か否かを判定し、同一と判定した場合には出所保証設定処理を終了し、同一と判定した場合にはステップS15に処理を移す。
【0058】
ステップS15において、出所保証情報更新手段130は、ステップS11で受け付けた識別情報の記憶手段に記憶された出所保証情報を読み出し、この出所保証情報の所有者情報に、ステップS11で受け付けた新たな所有者の所有者情報を追加して、記憶手段に記憶する。
【0059】
図6は、本発明の実施形態に係る出所保証装置が実行する所有者情報通知処理フローを示す図である。出所保証装置100は、例えば、端末300から出所保証情報要求情報を受信した場合、所有者情報通知処理を開始する。
【0060】
ステップS21において、受付手段110は、出所保証情報要求情報と、識別情報配置部10に示された固有の識別情報とを受け付ける(例えば、端末300から受信する。)。
【0061】
ステップS22において、提供手段140は、ステップS21で受付手段110が受け付けた識別情報の記憶手段に記憶された出所保証情報を読み出し、この出所保証情報に記憶されている所有者と、ステップS21で受付手段110が受け付けた出所保証情報要求情報の提供者が同一か否かを判定する。
【0062】
例えば、提供手段140は、ステップS21において受付手段110が所有者識別情報を受け付けていた場合には、当該所有者識別情報が、出所保証情報に記憶されている所有者識別情報と同一であれば、出所保証情報要求情報の提供者が物品Gの所有者と同一と判定し、ステップS21で受け付けた所有者識別情報が、出所保証情報に記憶されている所有者識別情報と異なる場合や、ステップS21で所有者識別情報を受け付けていない場合には、出所保証情報要求情報の提供者が物品Gの所有者と同一でないと判定する。また、提供手段140は、受付手段110が、物品Gの所有者以外の者から出所保証情報要求情報を受信した場合(例えば、所有者情報として登録されている所有者の連絡先のメールアドレスとは異なるメールアドレスで、出所保証情報要求情報を受信した場合)に、出所保証情報要求情報の提供者が物品Gの所有者と同一でないと判定してもよい。
【0063】
提供手段140は、出所保証情報要求情報の提供者が物品Gの所有者と同一でないと判定した場合にはステップS23に処理を移し、出所保証情報要求情報の提供者が物品Gの所有者と同一であると判定した場合にはステップS24に処理を移す。
【0064】
ステップS23において、通知手段150は、物品Gの所有者に操作される端末300(出所保証情報に登録されている連絡先)に、出所保証情報要求情報を受信したことを示す出所保証情報要求情報受信情報を送信する。
【0065】
ステップS24において、提供手段140は、ステップS21で受付手段110が受け付けた識別情報に対応付けられた所有者情報や物品情報を、ステップS21で出所保証情報要求情報と識別情報を提供してきた端末300に送信する。
【0066】
このような出所保証システム1によれば、物品に配置された固有の識別情報に、少なくとも現実の物品Gの所有者に関する所有者情報を対応付けた出所保証情報を生成し、そして、現実の物品の所有者が変更された場合、新たな所有者に関する情報を所有者情報に加えた出所保証情報に更新することが可能となる。
【0067】
よって、出所保証情報には、物品に配置された固有の識別情報に、少なくとも現実の物品Gの所有者に関する所有者情報が対応付けられているため、物品Gに識別情報が配置されていれば、当該物品Gの所有者が管理されており、出所が保証されていることが視認できる。
したがって、現実の物品が正規品か非正規品かの判断が容易になる。
【0068】
また、出所保証システム1によれば、識別情報を受信した場合に、現実の物品の所有者に操作される所有者の端末300に、識別情報を受信したことを示す識別情報受信情報を送信できる。このため、現実の物品Gの所有者は、例えば、自分で保管していると認識しており、他者が当該物品Gの識別情報を取得して、出所保証システム1に送信できない状況で、識別情報受信情報を受信した場合、現実の物品Gが盗難等の不正の手段によって持ち出されていることを認識できる。また、このような状況で、当該物品Gを自分で保管していることを確認できた場合には、当該物品Gの非正規品が流通していることを認識できる。
したがって、現実の物品の正規品が不正の手段により持ち出されていることや、非正規品が流通していることを、正規品の所有者に通知する不正通知機能を実現することができる。
【0069】
また、出所保証システム1によれば、例えば、現実の物品Gの正規品が不正の手段により持ち出され、識別情報配置部10が当該物品Gから除去された場合に痕跡が残るので、このような物品Gが流通された場合、痕跡により、当該物品Gが不正の手段により持ち出されたことが明らかとなる。すなわち、物品Gを取得しようとする者は、当該物品Gに識別情報配置部10が配置されていれば、正規の所有者を問い合わせることが可能であり、当該物品Gに識別情報配置部10の痕跡しかない場合には、不正の手段により持ち出され、正規の所有者を分からなくしている蓋然性が高いことを認識できる。
したがって、現実の物品が正規品か非正規品かの判断がより容易になる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の内容に限定されないことはいうまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者にとって明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0071】
1 出所保証システム
10 識別情報配置部
100 出所保証装置
110 受付手段
120 出所保証情報生成手段
130 出所保証情報更新手段
140 提供手段
150 通知手段
200 格納手段
300 端末
G 物品