(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044231
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23C 9/08 20060101AFI20240326BHJP
F23D 14/64 20060101ALI20240326BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20240326BHJP
F23D 14/22 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F23C9/08 402
F23D14/64 Z
F23K5/00 303
F23D14/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149640
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000154668
【氏名又は名称】株式会社ヒラカワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平川 亮一
(72)【発明者】
【氏名】野村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】川端 朋子
(72)【発明者】
【氏名】七里 敦哉
(72)【発明者】
【氏名】木下 正成
【テーマコード(参考)】
3K017
3K019
3K065
3K068
【Fターム(参考)】
3K017CA06
3K017CB08
3K019AA06
3K019BA05
3K019BB04
3K065TA01
3K065TC01
3K065TD05
3K065TL04
3K068AA01
(57)【要約】
【課題】排ガス再循環を行ってNOxの低減を図るときにおいて、省スペース化を図ることができるとともに再循環のための大きな圧損が生じないようにする。
【解決手段】燃焼装置である。気体燃料30がバーナ15によって燃焼されることで発生する燃焼排ガス44の一部を、バーナ15に供給される気体燃料30に混合させる混合装置41を有する。また燃焼排ガス44の一部を混合装置41へ供給させる燃焼排ガス供給路42を有する。燃焼排ガス供給路42は、バーナ15の内部に設けられている。バーナは15円筒形状であることが好適であり、燃焼排ガス供給路42は、バーナ15の中心部に設けられた管によって構成されていることが好適である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体燃料がバーナによって燃焼されることで発生する燃焼排ガスの一部を前記バーナに供給される気体燃料に混合させる混合装置と、
前記燃焼排ガスの一部を前記混合装置へ供給させる燃焼排ガス供給路とを有し、
前記燃焼排ガス供給路は、前記バーナの内部に設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
バーナは円筒形状であり、燃焼排ガス供給路は、バーナの中心部に設けられた管によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
混合装置は、バーナに気体燃料を供給するための燃料供給路の内部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項4】
混合装置がエジェクタであることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項5】
エジェクタを動作させるための駆動流体が、気体燃料と燃焼用空気との少なくともいずれかであることを特徴とする請求項4記載の燃焼装置。
【請求項6】
混合装置が、円錐状の内面を有した漏斗形筒体と、この漏斗形筒体の内部に配置される球殻状部材と、漏斗形筒体の内面と球殻状部材の外面との隙間とを有し、
燃焼排ガス供給路は前記球殻状部材の内部に連通されており、
前記球殻状部材の内部が前記隙間に連通されており、
前記隙間は、前記球殻状部材の内部の燃焼排ガスを前記燃焼装置に供給される気体燃料に混合させるための駆動流体が流されるものであることを特徴とする請求項4記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼装置に関し、たとえばボイラなどにおいて用いられる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラなどにおいて用いられる燃焼装置では、窒素酸化物(NOx)の排出量を低減することが課題となっている。低NOx化を図るための各種の燃焼技術が、これまで知られている。たとえば、薄膜火炎や分割火炎による燃焼を行わせたり、燃料と燃焼用空気とをあらかじめ混合させた状態で燃焼を行わせる予混合燃焼の手法を採用したり、一部予混合燃焼を行わせたりしている。また、燃焼装置の外部から燃焼装置の内部の火炎の部分に水蒸気や水などを噴射する手法が知られている。さらに、燃焼排ガスを気体燃料に混入させる排ガス再循環(FGR:Flue Gas Recirculation)も行われている(たとえば特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のボイラ用の排ガス再循環システムでは、気体燃料によって駆動されるエゼクタを用いて燃焼排ガスの再循環を行っているが、水管を用いた熱交換系を出た後の燃焼排ガスを、熱交換系とは別の場所に設けられた排ガス再循環経路を通して、エゼクタに供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の排ガス再循環システムでは、上記のように排ガス再循環経路は熱交換系とは別の場所に設けられており、このような循環経路は一般的に管路によって構成されるものであるところ、その設置のための特別なスペースが必要になるうえに、管路を通過することで配管抵抗にもとづく相応の圧損が発生することから、この圧損を補填するための排ガス流動エネルギが別途必要になってしまう。
【0006】
そこで本発明は、排ガス再循環を行ってNOxの低減を図るときにおいて、省スペース化を図ることができるとともに再循環のための大きな圧損が生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明の燃焼装置は、
気体燃料がバーナによって燃焼されることで発生する燃焼排ガスの一部を前記バーナに供給される気体燃料に混合させる混合装置と、
前記燃焼排ガスの一部を前記混合装置へ供給させる燃焼排ガス供給路とを有し、
前記燃焼排ガス供給路は、前記バーナの内部に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の燃焼装置によれば、バーナは円筒形状であり、燃焼排ガス供給路は、バーナの中心部に設けられた管によって構成されていることが好適である。
【0009】
本発明の燃焼装置によれば、混合装置は、バーナに気体燃料を供給するための燃料供給路の内部に設けられていることが好適である。
【0010】
本発明の燃焼装置によれば、混合装置がエジェクタであることが好適であり、またエジェクタを動作させるための駆動流体が、気体燃料と燃焼用空気との少なくともいずれかであることが好適である。
【0011】
本発明の燃焼装置によれば、
混合装置が、円錐状の内面を有した漏斗形筒体と、この漏斗形筒体の内部に配置される球殻状部材と、漏斗形筒体の内面と球殻状部材の外面との隙間とを有し、
燃焼排ガス供給路は前記球殻状部材の内部に連通されており、
前記球殻状部材の内部が前記隙間に連通されており、
前記隙間は、前記球殻状部材の内部の燃焼排ガスを前記燃焼装置に供給される気体燃料に混合させるための駆動流体が流されるものであることが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、排ガス供給路がバーナの内部に設けられていることから、排ガスの供給のためにバーナの外部に配管などを設置する場合に比べて、省スペース化を図ることができるとともに、排ガス供給路を短く構成することができて、排ガスの再循環のために大きな圧損が生じることがないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態の燃焼装置の構造を示す図である。
【
図2】
図1におけるエジェクタの拡大断面図である。
【
図4】
図1の燃焼装置に用いることができる他のエジェクタの拡大断面図である。
【
図5】本発明にもとづくさらに他のエジェクタの断面構造を示す図である。
【
図6】
図5のエジェクタの要部の構成を示す図である。
【
図7】本発明の他の実施の形態の燃焼装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1はボイラ11の燃焼装置12を示す。燃焼装置12は、ボイラ11の内部に設置された燃焼室13と、燃焼室13において火炎14を発生させるバーナ15とを備える。バーナ15は、ボイラ11の外部に設けられた風箱16から、ボイラ11の壁体17と、燃焼室13の壁体18とを貫通して、燃焼室13の内部に達している。
【0015】
バーナ15は、二重円筒構造とされ、二重円筒の外筒を構成するファンネル20と、二重円筒の内筒を構成するガスノズル21とが同心状に配置されている。ファンネル20は、一端22が燃焼室13において開口するとともに、他端23が風箱16の内部において開口した構成である。ガスノズル21は、一端24が、ファンネル20の一端22に対応して位置されるとともにフロントプレート25にて塞がれている。図示の例では、フロントプレート25は、ガスノズル21の外径よりも大きな直径の円板にて構成されるとともに、ファンネル20およびガスノズル21と同心状に配置されている。フロントプレート25の外周縁とファンネル20の一端22との間には、環状の噴出口26が形成されている。ガスノズル21の他端27は、風箱16の外面に取り付けられたガスチャンバ28を介して、燃料供給路29に連通されている。燃料供給路29によって気体燃料30の供給が行われる。
【0016】
風箱16には、空気供給路32が連通されている。空気供給路32は、送風機33からの空気34を、風箱16の内部へ供給する。空気供給路32には、供給空気量を調節するためのダンパ39が設けられている。
【0017】
ガスノズル21には、多数の貫通孔31が、ガスノズル21の周方向及び長さ方向に沿ってそれぞれ形成されている。ファンネル20とガスノズル21との間には環状の混合空間35が形成されている。混合空間35における噴出口26の近傍の位置であって、フロントプレート25よりも噴出口26から離れた位置に、保炎板37が設けられている。保炎板37は、混合空間35に対応した環状に形成されており、ガスノズル21の外周面からファンネル20の内周面にわたってバーナ15の径方向に設けられている。保炎板37には、その径方向及び周方向に複数の空気孔38が貫通状態で形成されている。
【0018】
図示のように、ガスノズル21に形成された貫通孔31には、保炎板37よりも上流側において混合空間35に向けて開孔するものと、保炎板37よりも下流側において噴出口26の近傍に向けて開孔するものとが存在する。
【0019】
ガスチャンバ28の内部に、混合装置としてのエジェクタ41が設けられている。また燃焼室13で生成した燃焼排ガス44をエジェクタ41に送り込むための燃焼排ガス供給路としての排ガス配管42が、バーナ15を構成するガスノズル21の内部の中心部において、ガスノズル21すなわちバーナ15と同心状に設けられている。つまり、エジェクタ41は、燃焼室13で発生した燃焼排ガスの供給を受けることができるように構成されている。詳細には、図示のように、フロントプレート25の中央部には排ガス吸い込み口65が形成され、筒状の排ガス配管42が、排ガス吸い込み口65とエジェクタ41とを連通させている。
【0020】
より詳細には、
図2に示すように、エジェクタ41を構成する円筒状のケーシング66が、ガスチャンバ28の内部に取り付けられている。ケーシング66は、駆動流体導入室67と、排ガスチャンバ室68とに区画されている。駆動流体導入室67は、ガスチャンバ28に設けられた駆動流体導入口69に連通されている。エジェクト作用を達成するための排ガスチャンバ室68には、排ガス配管42が連通されている。そして、駆動流体導入室67と排ガスチャンバ室68とは複数のノズル57によって連通され、排ガスチャンバ室68とガスノズル21の内部とは複数のミキサ58によって連通されている。ノズル57は、ケーシング66の周方向に沿って複数が設置されている。各ミキサ58は、各ノズル57に対応した位置で各ノズル57から距離をおいて設置されている。
【0021】
以上の構造にもとづき、エジェクタ41に供給される駆動流体43の作用によって、燃焼排ガス44を
図1に示すバーナ15のガスノズル21の内部に噴出するように構成されている。すなわち、エジェクタ41は、燃焼排ガス44を再循環させることができるように構成されている。
【0022】
図3は、
図1に示される燃焼装置12の配管系の詳細を示す。ガスチャンバ28に連通される燃料供給路29には、ガス遮断弁45と、ガス調量弁46とが設けられている。図示のようにガス調量弁46は、自力式の弁であって、ガス調量弁46よりも下流側における燃料供給路29の圧力と、風箱16の内部における空気34の圧力とにもとづくガスの調量が可能である。
図1~
図3に示された燃焼装置12では、燃料供給路29を流れる気体燃料30を、エジェクタ41の駆動流体43として用いている。
図3に示すように、そのための駆動流体供給路47が、燃料供給路29と
図1に示されるエジェクタ41との間に渡されている。駆動流体供給路47には、駆動流体遮断弁48と、駆動流体調量弁49とが設けられている。
【0023】
図1に示される燃焼装置12のバーナ15には、
図3に示すように、バーナ15の点火を行うためのパイロットバーナ51が設けられている。パイロットバーナ51には、燃料供給路29から分離した別の燃料供給路52が接続されている。燃料供給路52には、パイロット電磁弁53と、パイロットガス減圧弁54とが設けられている。パイロットガス減圧弁54は、自力式の弁である。
【0024】
このような構成において、
図1に示す燃焼装置12のバーナ15を運転するときには、まず
図3に示すパイロットバーナ51を点火する。そして、そのうえで、
図1および
図3に示す送風機33を運転して風箱16に空気34を供給するとともに、燃料供給路29からバーナ15のガスノズル21の内部に気体燃料30を供給する。すると、
図1に示すように、風箱16に供給された空気34は、バーナ15のファンネル20の他端23の開口から環状の混合空間35の内部に入り込んで混合空間35を噴出口26に向けて通過する。そのとき、燃料供給路29からバーナ15のガスノズル21の内部に送り込まれた気体燃料30は、ガスノズル21の貫通孔31を通って混合空間35へ噴出される。
【0025】
混合空間35では、噴出された気体燃料30が、この混合空間35を流れる空気34と混合される。そして、気体燃料30と空気34とは、保炎板37の空気孔38を通過したうえで、噴出口26から燃焼室13に向けて噴出される。噴出された気体燃料30は、パイロットバーナ51によって点火される。これによりバーナ15が燃焼を開始する。
【0026】
バーナ15が燃焼することで生じた燃焼排ガス44は、その一部が排ガス配管42を通ってエジェクタ41へ送られる。詳細には、バーナ15の燃焼開始と同時に
図3に示す駆動流体供給路47の遮断弁48を開き、調量弁49および、または図示を省略した調圧弁を調節する。これにより、
図3および
図2に示すように気体燃料30の一部が駆動流体供給路47を通ってエジェクタ41のノズル57に駆動流体43として供給され、ノズル57からミキサ58に向けて噴出される。すると、噴出流がミキサ58に流入するときにその圧力が低くなることで、噴出流によって燃焼排ガス44が吸引され、駆動流体43すなわち気体燃料30と、燃焼排ガス44との混合気が、エジェクタ41からバーナ15のガスノズル21の内部の気体燃料30に向けて噴出され、ガスノズル21の内部において気体燃料30と混合される。このときの、駆動流体43すなわち燃料供給路29から分岐した気体燃料30の圧力は、0.1~0.3MPa程度である。
【0027】
その後は、燃焼排ガス44が再循環により混入された状態の気体燃料30が、貫通孔31から混合空間35に向けて噴出することで、保炎板37よりも上流側における混合空間35にて空気供給路32からの空気34と混合され、また保炎板37よりも下流側における噴出口26の近傍にて、保炎板37の空気孔38を通過してきた空気34と混合されたうえで、バーナ15の噴出口26から噴出されて燃焼に供される。
【0028】
燃焼排ガス44の循環量の例について説明する。たとえば定格燃焼量つまり定格気体燃料供給量が140m3N/hであった場合に、空気に混入する場合と同率の5~20体積%の燃焼排ガス44を再循環させる場合には、再循環させる燃焼排ガスの量は、
140×(0.05~0.20)=7~28m3N/h
【0029】
となる。これに対し、定格気体燃料供給量が140m3N/hである場合には、そのときに必要となる燃焼用空気量は1960m3N/hとなる。このとき、燃焼用空気に燃焼排ガスを再循環させると、そのときに再循環させる燃焼排ガスの量は、
1960×(0.05~0.20)=98~392m3N/h
にもなってしまう。
【0030】
この計算例からも理解できるように、燃焼排ガス44を燃焼用空気34ではなく気体燃料30に再循環させることで、燃焼排ガス44の再循環量を少なくすることができる。また、このため、燃焼排ガス44を再循環させることによる燃焼装置12の燃焼効率の低下を、改善することができる。特に、燃焼装置12がボイラに設置されている場合には、燃焼排ガス44を再循環させることによるボイラ効率の低下を最小限に抑制することができる。
【0031】
図1~
図3に示す実施の形態においては、排ガス配管42はバーナ15の内部に設置されており、バーナ15や風箱16の外部には排ガス配管は設置されていない。このため、排ガスの供給のためにバーナ15の外部に配管などを設置する場合に比べて、省スペース化を図ることができる。しかも、バーナ15の外部に配管などを設置する場合に比べて排ガス供給路を短く構成することができ、その結果、燃焼排ガス44の再循環のために大きな圧損が生じることがないという利点がある。
【0032】
また、排ガスの供給のためにバーナ15の外部に配管などを設置する場合は、この配管が排ガスにより高温になるために、安全上の観点から保温材を巻くなどの対策が必要になるが、万全ではない。これに対し排ガス配管42をバーナ15の内部に設置したことで、良好な安全性を確保することができる。
【0033】
しかも、排ガス配管42をバーナ15の内部に設置したことで、バーナ15の外部に配管を施工する場合に比べてコストを低減することができ、また上記した保温材のコストも考慮する必要がないという利点がある。
【0034】
図2の構成のエジェクタ41の作用を詳しく説明する。エジェクタ41に所定の圧力の駆動流体43すなわち気体燃料30を供給すると、この駆動流体43は、駆動流体導入口69からケーシング66内の駆動流体流入室67に入り、複数のノズル57に分散されたうえで、各ノズル57から各ミキサ58に向けて噴出される。これにより、燃焼排ガス44が、排ガス配管42と排ガスチャンバ室68とを経てミキサ58に吸引され、ミキサ58から、駆動流体43である気体燃料30とともに混合気の状態でガスノズル21の内部に噴出される。
【0035】
すると、ガスノズル21の内部にはガスチャンバ28からの気体燃料30が流れているため、駆動流体43すなわち気体燃料30と、燃焼排ガス44との混合気は、ガスノズル21の内部の気体燃料30と混合される。
【0036】
これによれば、ガスノズル21の内部に均一に燃焼排ガス44を導入することができ、ガスノズル21の内部において気体燃料30と再循環された燃焼排ガス44とをそれぞれ均等に分布させることができる。
【0037】
図4は、
図2に示されるエジェクタ41の変形例を示す。この
図4に示されるエジェクタ41は、ミキサ58の構成が、
図2に示されるエジェクタ41と相違する。すなわち、
図4に示されるエジェクタ41では、ノズル57は
図2に示されるエジェクタ41と同様にケーシング66の周方向に沿って複数が設けられているが、ミキサ58は、大形の単一のものが設置されている。
【0038】
詳細には、
図4に示されるミキサ58は、その吸引側の開口70の部分がケーシング66に内接している。そして全体すなわち筒部71が、ガスノズル21の内部にある程度入り込んだ状態で、ガスノズル21と排ガス配管42との間において、ガスノズル21と排ガス配管42とに対して同心状に設置されている。その結果、ガスノズル21と筒部71との間には、ガスチャンバ28からガスノズル21の内部に流れ込む気体燃料30のための気体燃料用環状通路72が形成される。また、筒部71と排ガス配管42との間には、駆動流体43すなわち気体燃料30と、再循環された燃焼排ガス44との混合気のための混合気用環状通路73が形成される。
【0039】
このような構成であると、エジェクタ41に所定の圧力の駆動流体43すなわち気体燃料30を供給すると、この駆動流体43は、駆動流体導入口69からケーシング66内の駆動流体流入室67に入り、複数のノズル57に分散されたうえで、各ノズル57から排ガスチャンバ室68におけるミキサ58に向けて、ミキサ58の周方向に沿って均一な状態で噴出される。このとき、排ガスチャンバ室68には排ガス配管42が開口しいるため、燃焼排ガス44がミキサ58の内部へ吸引される。その結果、駆動流体43である気体燃料30と燃焼排ガス44とが、混合気用環状通路73を通りながら互いに混合された状態で、ミキサ58からガスノズル21の内部へ噴出される。
【0040】
燃料供給路29からガスチャンバ28の内部に供給された気体燃料30は、気体燃料用環状通路72を通って、ガスノズル21におけるエジェクタ41よりも下流側で、ガスノズル21と排ガス配管42との間の環状のガスノズル本管内ガス通過空間74に向けて噴出される。そして気体燃料30は、このガスノズル21と排ガス配管42との間のガスノズル本管内ガス通過空間74において、ミキサ58からの混合気と良好に混合される。これによって、燃焼排ガス44が気体燃料30に再循環される。
【0041】
このような構成であると、ガスチャンバ28の内部に設けられるエジェクタ41を単一のミキサ58にて構成することができる。
【0042】
図5および
図6(a)(b)は、ガスチャンバ28の内部に設けられる他のエジェクタ41の構成を示す。このエジェクタ41は、駆動流体導入口69に連通された漏斗形筒体76をガスチャンバ28の内部に備える。漏斗形筒体76は円錐形状の内面77を有する。排ガス配管42は、同様にガスノズル21の内部に配置されるとともに、その先端に、球殻状部材としての、球殻構造の球形ノズル78を備える。
【0043】
球形ノズル78は、漏斗形筒体76と同心状に配置され、かつ、漏斗形筒体76の内面77との間に最小隙間Wを保った状態で配置される。最小隙間Wは、球形ノズル78の中心から漏斗形筒体76の内面77におろした垂線の位置に形成される。球形ノズル78は、最小隙間Wが形成される位置における周方向に沿った複数の位置に、噴出孔79が貫通状体で形成されている。
図6に記載された符号「θ」は、球形ノズル78における一対の噴出孔79が球形ノズル78の中心に対してなす角を表す。
【0044】
このような構成であると、駆動流体43としての気体燃料30がガスチャンバ28の駆動流体導入口69に導かれると、この駆動流体43は、漏斗形筒体76の内部に向かって噴出され、最小隙間Wを通過したうえで、ガスチャンバ28からガスノズル21の内部へ送り出される。このとき、最小隙間Wでは圧力が低下するため、それによって球形ノズル78の内部の燃焼排ガス44が最小隙間Wに向けて噴出される。結果的に、駆動流体43と燃焼排ガス44との混合気が、ガスチャンバ28からガスノズル21の内部へ送り出される。
【0045】
ガスノズル21の内部では、駆動流体43と燃焼排ガス44との混合気が気体燃料30と混合されることで、燃焼排ガス44が気体燃料30に再循環される。なお、複数の噴出孔79の開口面積の合計は、排ガス配管42の管路断面積以上であることが、良好な再循環を行う点で好適である。
【0046】
上述したように、本発明においては、エジェクタ41の具体的な構成は問わない。圧力を低下させて排ガス配管42の内部の燃焼排ガス44を吸引するものであれば、本発明におけるエジェクタ41の範囲に含めることができる。
【0047】
上記においては、燃焼排ガス41を気体燃料30に再循環させるための駆動流体43として、気体燃料30自体を用いる場合について説明した。気体燃料30がある程度以上のガス圧を有する場合には、そのガス圧に基づくエネルギによって、良好な再循環を行うことができる。駆動流体47が気体燃料30であることで、気体燃料30に燃焼排ガス44を再循環させるという趣旨に即したものとなるためである。
【0048】
しかしながら、本発明においては、燃焼用の空気34を駆動流体43として利用することもできる。たとえば、燃焼装置12に供給される気体燃料30のガス圧が低い場合には、十分な再循環が困難となることがあるので、そのような場合には燃焼用の空気34の保有する圧力を利用することが好適である。
【0049】
図7および
図8に示すように、送風機33からの空気供給路32から駆動流体配管81が分岐され、この駆動流体配管81は、ガスチャンバ28の内部に設けられたエジェクタ41のための駆動流体導入口69に連通されている。駆動流体配管81には、駆動流体遮断弁82と、駆動流体調量弁83とが設けられている。
【0050】
このような構成によっても、同様にして、燃焼排ガス44を気体燃料30に再循環させることができる。また駆動流体43として気体燃料30を使用する場合と同様に、燃焼装置12がボイラに設置されている場合にも、良好に適用することができる。
【0051】
さらに、場合によっては、駆動流体43として、気体燃料30と燃焼用の空気34とを併用することもできる。
【符号の説明】
【0052】
11 ボイラ
12 燃焼装置
15 バーナ
16 風箱
28 ガスチャンバ
30 気体燃料
34 空気
41 エジェクタ(混合装置)
42 排ガス配管(燃焼排ガス供給路)
43 駆動流体
44 燃焼排ガス
47 駆動流体供給路
57 ノズル
58 ミキサ
76 漏斗形筒体
78 球形ノズル(球殻状部材)
81 駆動流体配管