(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044237
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システム
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240326BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240326BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240326BHJP
B64D 1/18 20060101ALI20240326BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20240326BHJP
B64F 3/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B08B3/02 F
B64C27/08
B64C39/02
B64D1/18
B64D27/24
B64F3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149649
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 修也
(72)【発明者】
【氏名】赤松 利昭
(72)【発明者】
【氏名】石黒 登
(72)【発明者】
【氏名】今井 俊介
(72)【発明者】
【氏名】藤村 修
(72)【発明者】
【氏名】廣井 千陽
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA31
3B201AA46
3B201AB56
3B201BB21
3B201CD42
3B201CD43
(57)【要約】
【課題】長時間に亘ってソーラーパネルを清掃できる飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システムを提供すること。
【解決手段】本開示の一態様は、ソーラーパネル清掃システム1において、散水部22を備えるドローン11と、ドローン11とソーラーパネルSPとを接続する有線ケーブル12と、を有し、ドローン11を飛行させながら散水部22からソーラーパネルSPに散水を行って、ソーラーパネルSPを清掃する。そして、ソーラーパネルSPを用いて発電された電力が、有線ケーブル12を介してドローン11に供給される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水部を備える飛行体と、
前記飛行体とソーラーパネルとを接続する有線ケーブルと、を有し、
前記飛行体を飛行させながら前記散水部から前記ソーラーパネルに散水を行って、前記ソーラーパネルを清掃するものであり、
前記ソーラーパネルを用いて発電された電力が前記有線ケーブルを介して前記飛行体に供給されること、
を特徴とする飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システム。
【請求項2】
請求項1の飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システムにおいて、
前記飛行体は、農薬散布部を備え、
前記飛行体を飛行させながら前記農薬散布部から前記ソーラーパネルの周辺に農薬の散布を行って、前記ソーラーパネルが草木に覆われないようにすること、
を特徴とする飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソーラーパネルに付着した汚れやほこりを除去して清掃する飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソーラーパネルを清掃モジュールに備わるブラシにより清掃する飛翔ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屋外に設けられているソーラーパネルは、雨風の影響により汚れやほこりなどが付着するので、定期的に清掃する必要があるが、ある敷地内に複数設けられたソーラーパネルを清掃するためには、多くの労力と時間を要することになる。ここで、特許文献1に開示された飛翔ロボットは、太陽光発電部を有するが、その発電量には限界があり、また、太陽光発電部を有する分、飛翔ロボットの重量が多くなってしまう。そのため、特許文献1に開示された飛翔ロボットでは、長時間に亘って、多くのソーラーパネルを清掃することができないおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、長時間に亘って多くのソーラーパネルを清掃できる飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システムにおいて、散水部を備える飛行体と、前記飛行体とソーラーパネルとを接続する有線ケーブルと、を有し、前記飛行体を飛行させながら前記散水部から前記ソーラーパネルに散水を行って、前記ソーラーパネルを清掃するものであり、前記ソーラーパネルを用いて発電された電力が前記有線ケーブルを介して前記飛行体に供給されること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、散水によりソーラーパネルを清掃することにより、ソーラーパネルを清潔に維持でき、ソーラーパネルの発電効率を維持できる。そして、飛行体は、その駆動電力として、ソーラーパネルを用いて発電した電力を有線給電によりソーラーパネルから得ることができるので、長時間に亘って多くのソーラーパネルを清掃できる。
【0008】
上記の態様においては、前記飛行体は、農薬散布部を備え、前記飛行体を飛行させながら前記農薬散布部から前記ソーラーパネルの周辺に農薬の散布を行って、前記ソーラーパネルが草木に覆われないようにすること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、除草剤などの農薬の散布によりソーラーパネルの周辺の草木を除草してソーラーパネルが草木に覆われないようにするので、安定してソーラーパネルに太陽光を当てて発電することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システムによれば、長時間に亘って多くのソーラーパネルを清掃できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態のソーラーパネル清掃システムの構成図である。
【
図3】散水してソーラーパネルを清掃することを示す図である。
【
図4】ソーラーパネルの周辺に農薬を散布することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の飛行体を用いたソーラーパネルの清掃システムの実施形態の一例であるソーラーパネル清掃システム1について説明する。
【0013】
<ソーラーパネル清掃システムの構成>
本実施形態のソーラーパネル清掃システム1は、
図1と
図2に示すように、ドローン11と、有線ケーブル12を有する。
【0014】
ドローン11は、無人航空機であって、本開示の「飛行体」の一例である。このドローン11は、バッテリ21と、カメラ22と、散水部23と、農薬散布部24と、制御部25を備えている。
【0015】
バッテリ21は、ドローン11の飛行用の電力や、散水部23や農薬散布部24の駆動用の電力を蓄電する蓄電池である。また、バッテリ21から制御部25への電力の供給も行われる。
【0016】
カメラ22は、屋外などに設置されているソーラーパネルSPやその周辺を撮影するための撮影部である。
【0017】
散水部23は、ドローン11に設けられた不図示の水用タンクに貯留されている水を用いて、ソーラーパネルSPに散水を行う装置である。
【0018】
農薬散布部24は、ドローン11に設けられた不図示の農薬用タンクに貯留されている除草剤などの農薬を用いて、ソーラーパネルSPの周辺に、農薬の散布を行う装置である。
【0019】
制御部25は、ドローン11の全体を制御する装置であり、ドローン11の飛行や、カメラ22による撮影や、散水部23による散水や、農薬散布部24による農薬の散布を制御する。なお、制御部25には、カメラ22で撮影される画像が取り込まれる。
【0020】
有線ケーブル12は、ドローン11のバッテリ21とソーラーパネルSPとを接続するケーブルである。
【0021】
<ソーラーパネルの清掃方法>
このような構成のソーラーパネル清掃システム1において、ドローン11の制御部25は、ドローン11を飛行させながらカメラ22の撮影画像をもとにソーラーパネルSPの汚れ具合を確認する。
【0022】
そして、制御部25は、清掃が必要であると判断したソーラーパネルSPを見つけ出し、
図3に示すように、ドローン11を飛行させながら散水部23からソーラーパネルSPに散水を行って、ソーラーパネルSPに付着した汚れやほこりなどを除去して、ソーラーパネルSPを清掃する。
【0023】
なお、ドローン11は、ソーラーパネルSPとの距離を測定する距離センサ(例えば反射式の距離計、不図示)を備えていてもよい。そして、ソーラーパネルSPを清掃するときに、制御部25は、距離センサによるドローン11とソーラーパネルSPとの間の距離の測定値をもとに、ソーラーパネルSPとドローン11との間の距離を、散水によりソーラーパネルSPを効率的に清掃できる最適な距離に制御しながら、散水部23からソーラーパネルSPに散水を行ってもよい。
【0024】
また、制御部25は、散水部23からソーラーパネルSPに散水を行いながら、ドローン11のプロペラ26の回転により発生する風をソーラーパネルSPに当てるようにドローン11の飛行を制御してもよい。そして、このときも、距離センサによるドローン11とソーラーパネルSPとの間の距離の測定値をもとに、ソーラーパネルSPとドローン11との間の距離を、最適な距離に制御しながら、プロペラ26の回転により発生する風をソーラーパネルSPに当てるようにしてもよい。これにより、プロペラ26の回転により発生する風により、ソーラーパネルSPに付着した汚れやほこりなどを除去して、ソーラーパネルSPを清掃できる。
【0025】
また、制御部25は、清掃が必要であるか否かに関わらず、タイマー機能により、定期的に、ドローン11を飛行させながら散水部23からソーラーパネルSPに散水を行って、ソーラーパネルSPを清掃してもよい。
【0026】
また、制御部25は、ソーラーパネルSPの発電効率の高い晴天の日中の時間を避けて、夜間の時間帯にソーラーパネルSPを清掃するようにして、ソーラーパネルSPの発電効率への影響を抑制してもよい。
【0027】
また、本実施形態では、ソーラーパネルSPを用いて発電された電力は、その一部が、有線ケーブル12を介してドローン11のバッテリ21に供給される。このようにして、ドローン11は、ソーラーパネルSPを清掃するために飛行する電力を、清掃対象のソーラーパネルSPから得ることができる。
【0028】
電力を得るソーラーパネルSPは、例えば、予め特定されたソーラーパネルSPでもよく、あるいは、ドローン11の制御部25により清掃が必要であると判断されたソーラーパネルSPの近隣にあるソーラーパネルSPであってもよい。そして、ソーラーパネルSPから電力を得るために、ソーラーパネルSPには有線ケーブル12の接続部が形成されている。なお、複数設けられたソーラーパネルSPの間で電力のやりとりができるようにしておけば、有線ケーブル12が接続されたソーラーパネルSPにて発電量が少ない場合でも、それ以外のソーラーパネルSPで発電した電力を、有線ケーブル12が接続されたソーラーパネルSPを介して、ドローン11が得ることができる。
【0029】
また、有線ケーブル12は伸縮可能であり、ドローン11は、有線ケーブル12を介してソーラーパネルSPから電力を得ながら広範囲に亘って飛行することができるので、敷地内に設けられる全てのソーラーパネルSPを清掃することができる。
【0030】
また、ソーラーパネルSPは、山間部などの草木が生い茂る場所に設けられることが多い。そこで、制御部25は、
図4に示すように、ドローン11を飛行させながらカメラ22の撮影画像をもとにソーラーパネルSPの周辺の草木の生育状態を確認する。そして、制御部25は、除草が必要であると判断したソーラーパネルSPの周辺箇所を見つけ出し、ドローン11を飛行させながら農薬散布部24からソーラーパネルSPの周辺箇所に、除草剤などの農薬の散布を行って、除草を行うことにより、ソーラーパネルSPが草木に覆われないようにする。
【0031】
なお、有線ケーブル12は伸縮可能であり、ドローン11は、有線ケーブル12を介してソーラーパネルSPから電力を得ながら広範囲に亘って飛行することができるので、複数のソーラーパネルSPが設けられる敷地内の全体に亘って、農薬散布部24からソーラーパネルSPの周辺箇所に農薬の散布を行うことができる。
【0032】
また、ドローン11は、ソーラーパネルSPの清掃や、ソーラーパネルSPの周囲の農薬の散布を行わない時は、任意のソーラーパネルSPの下で待機するようにして、雨風の影響を受け難くしてもよい。
【0033】
<本実施形態の作用効果>
本実施形態のソーラーパネル清掃システム1は、散水部23を備えるドローン11と、ドローン11とソーラーパネルSPとを接続する有線ケーブル12と、を有する。そして、制御部25は、ドローン11を飛行させながら散水部23からソーラーパネルSPに散水を行って、ソーラーパネルSPを清掃する。そして、ソーラーパネルSPを用いて発電された電力は、その一部が、有線ケーブル12を介してドローン11に供給される。
【0034】
このようにして、散水によりソーラーパネルSPを清掃することにより、ソーラーパネルSPを清潔に維持でき、発電効率を維持できる。そして、ドローン11は、その駆動電力として、ソーラーパネルSPを用いて発電した電力を有線給電によりソーラーパネルSPから得ることができるので、長時間に亘って多くのソーラーパネルSPを清掃できる。また、ドローン11は、ソーラーパネルSPを搭載していないので、重量化および大型化することを防止できる。
【0035】
また、ドローン11は、農薬散布部24を備えている。そして、制御部25は、ドローン11を飛行させながら農薬散布部24からソーラーパネルSPの周辺に農薬の散布を行って、ソーラーパネルSPが草木に覆われないようにする。
【0036】
このようにして、農薬散布によりソーラーパネルSPの周辺の草木を除草してソーラーパネルSPが草木に覆われないようにするので、安定してソーラーパネルSPに太陽光を当てて発電することができる。
【0037】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0038】
例えば、ドローン11は、散水部23と農薬散布部24のうちの一方のみ備えていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ソーラーパネル清掃システム
11 ドローン
12 有線ケーブル
21 バッテリ
22 カメラ
23 散水部
24 農薬散布部
25 制御部
26 プロペラ
SP ソーラーパネル