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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004425
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】食品原料の裏ごし機
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/14 20060101AFI20240109BHJP
   B07B 1/18 20060101ALI20240109BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B30B9/14 Z
B07B1/18
B07B1/46 K
B07B1/46 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022113540
(22)【出願日】2022-06-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】309001724
【氏名又は名称】株式会社和田機械
(72)【発明者】
【氏名】和田 義臣
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021AA15
4D021AB01
4D021CA01
4D021DA01
4D021DA13
4D021DA20
4D021EA10
(57)【要約】
【課題】 この発明は、蒸かした栗やサツマイモ等々の食品原料から実ペーストを裏ごしする際に、圧力のかかり過ぎによる実ペーストの品質低下を防ぐとともに、上質な実ペースト回収の効率を高めることのできる裏ごし機を提供することにある。
【解決手段】 実ペースト裏ごしのために外周面に多数の透孔2が設けられ、かつ一端が閉塞され、他端が着脱可能又は開閉可能に閉塞された裏ごしドラム1に、角ねじ状の螺旋軸8が回転自在に内装され、その螺旋軸8の角部には面取りされた緩やかな傾斜面9が連続して形成され、螺旋軸8の回転に伴い食品原料Wを下流方向へ移送する間に緩やかな傾斜面9で食品原料Wを前記透孔2から外側へ押し出して実ペースト化するようにしたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通した多数の透孔を外周面に有する円筒形状の裏ごしドラムの内側に、その裏ごしドラムと軸線を一致させた角ねじ状の螺旋軸が設けられ、裏ごしドラムの一端はボス部で閉塞されるとともに、螺旋軸の一端側がボス部に内装された軸受けで回転自在に支承され、螺旋軸は駆動源であるモータに連動して回転自在に設けられ、
裏ごしドラム内における移送の上流側の外周面に食品原料の投入口が設けられ、下流側の終端は、複数個所の皮排出孔が設けられた端板で開閉自在に閉塞され、
螺旋軸はその外周面が裏ごしドラムの内周面と微小な隙間を保って裏ごしドラムに内装され、外周面の移送方向下流側の角部が緩やかな傾斜となるように連続して面取りされていることを特徴とする食品原料の裏ごし機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、栗やさつまいも等々の食品原料を裏ごしして実ペーストを製造する食品原料の裏ごし機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
栗やさつまいも等々の食品原料は、裏ごし機でペースト状に裏ごしされて和菓子や洋菓子に広く利用されている。食品原料を裏ごしする機械として実開昭63-66598号公報記載の食品砕解漉し機が知られている。
この公報に記載された「食品砕解漉し機1」は、螺旋状のスクリュー3を内装した筒状ケーシング2の一端に食品原料である被処理物Wの投入口12が設けられ、他端に多数の孔を有する多孔板4が設けられ、ケーシング2に内装されたスクリュー3の前端にスクリュー3とともに回転する押圧羽根5と剥離羽根6が取り付けられている。投入口12から投入された被処理物Wをスクリュー3でケーシング2内の前端部へ圧送し、スクリュー3の前端に取り付けられた押圧羽根5で撹拌するとともに、剥離羽根6で多孔板4の内面に固着した食品原料Wを掻き落としながら多孔板4の外側へ押し出して裏ごしするようにしたものである。(特許文献1)
【0003】
この発明は、貫通した多数の透孔を有する多孔板4に食品原料である被処理物Wを軸線方向から押し付け、その多孔板4に形成された孔から所定の大きさの被処理物Wとして押し出すようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-66598
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された「食品砕解漉し機」は、ホッパーに投入された被処理物Wがスクリュー3で圧送された後に押圧羽根5で撹拌されるため、徐々に食品が固く締まって、ふんわり感に欠ける問題や、粘り気が強くなり風味に欠ける問題があった。特に、食品原料が栗の場合、スクリュー3からより大きな圧力が作用する状態で裏ごしされると、圧送と撹拌中に粘りが強くなるとともに、摩擦により生じた熱で風味が落ち、風味を大切にする和菓子には不向きとなることがあった。
また、食品原料に混入している栗の皮が多孔板4の孔径よりも大きいと多孔板の内側において目詰まりしやすく、機械に対する負荷が増大し、駆動源である電動モータ15に過負荷となり、機械の停止に繋がる恐れがあった。剥離羽根6で多孔板4の内面に固着した食品原料を掻き落としても、多孔板4の孔径よりも大きな皮を排出することはできず、目詰まりを防止できない。
そして目詰まりした皮を除去するために機械の運転を度々停止させて分解し、内部の掃除に手間をかけなければならなかった。
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、裏ごし中に発生する摩擦による熱の発生を最小限に押えることにより食品の風味を保持し、皮が混入した食品原料も実ペーストと皮(残滓)とに簡単に分離できるようにし、さらには、実ペースト回収の歩留りや生産効率を向上させた機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明では、
1.貫通した多数の透孔を外周面に有する円筒形状の裏ごしドラムの内側に、その裏ごしドラムと軸線を一致させた角ねじ状の螺旋軸が設けられ、裏ごしドラム内における移送の上流側の一端がボス部で閉塞されるとともに、螺旋軸の一端がボス部に内装された軸受けで支承され、螺旋軸は駆動源であるモータに連動して所定方向へ回転自在となっている。ボス部は裏ごしドラムに一体化してもよいし、分離できるようにしてもよい。
2.裏ごしドラムの移送の下流側の開口端は端板で脱着又は開閉自在に閉塞されており、その端板の数か所に食品原料に混入している皮(残滓)を排出するための皮排出孔が設けられている。この皮排出孔は常時
開口のままでもよいし、開閉自在であってもよい。
3.前記螺旋軸は、裏ごし機を構成する台座において水平に保持されており、移送の下流側の角部が緩やかに傾斜するように連続して面取りされ、傾斜面が形成されている。
4.螺旋軸の外周面と裏ごしドラムの内周面とは僅かな隙間を保つように保持されている。
5.裏ごしドラムの上流側には食品原料の投入口が設けられ、その投入口から投入された食品原料は裏ごしドラム内で上流から下流へ移送するように回転する螺旋軸によって下流方向へと移送される。
6.螺旋軸の外周には所定の角度で面取りが形成されているので、その傾斜面において食品原料は下流方向へ移送されるとともに、斜め外周方向へ押し付けられ、裏ごしドラムに設けられた多数の透孔から押し出され、裏ごしドラムの下方に設置されたコンテナに落下する。
7.食品原料に混入している皮は、裏ごしドラムの透孔よりもサイズが大きいので透孔から押し出され難く、螺旋軸によってさらに下流方向へ移送される。裏ごしドラムの終端は端板で閉塞されているが、数か所に皮排出孔が設けられているのでその皮排出孔から押し出される。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成とすることにより、実ペーストは螺旋軸の回転に伴う下流方向への移送中に徐々に裏ごしドラムの透孔から押し出されて裏ごしされるのであり、移送の終端まで圧送されて強圧で裏ごしされる従来と異なり、実ペーストが固く締まることや、熱の発生が少ないため品質が向上する。
実ペーストが下流方向に進みながら透孔から徐々に押し出されて裏ごしされるので粘り気も出にくく、ふんわり感に富んだ風味に優れた実ペーストが効率よく得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】は本発明の実施例の軸線に平行な断面図である。
図2】は図1の右側面図である。
図3】は図1における主要部の拡大図である。
図4】は図1における裏ごし機の作動要領を示す断面図である。
図5】は図4における主要部の作動要領を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施例を図1ないし図3に示す図面に基づいて説明する。
【実施例0011】
蒸かした栗、さつまいも、カボチャ等々の実と皮が一体のまま押し潰された食品原料Wを裏ごしするために使用される裏ごし機における裏ごしドラム1は、厚さが2ミリから3ミリ程度の矩形の板材にパンチングマシン等々で加工された小径の透孔2が多数形成されている。この透孔2の直径は例えば1ミリから5ミリ程度であり、食品原料Wの種類及び裏ごしされた実ペーストPの用途などの諸条件に合致したサイズのものが選択される。透孔2が多数形成された矩形の板材を円形に丸めて接合部を溶着し、中空の円筒状に形成したものが裏ごしドラム1である。
【0012】
この裏ごしドラム1は、図1において移送の上流側となる左端がボス部3で閉塞され、そのボス部3が枠組みされた台座4に保持されている。裏ごしドラム1の移送の下流側となる右端は開口されているが、端板5が着脱可能又は開閉可能に取り付けられている。端板5には複数個の皮排出孔穴6が設けられており、食品原料Wに混入している栗や芋などの皮がこの皮排出孔6から排出されるようになっている。この端板5は裏ごしドラム1の内部の掃除の際に開閉自在又は取り外し可能に構成される。皮排出孔6は常時全開または、一部開閉自在とし、状況に応じて選択される。
裏ごしドラム1の移送方向の上流側の近辺の上側には、食品原料Wの投入口7が一体に又は着脱可能に設けられている。
【0013】
裏ごしドラム1には螺旋軸8が回転自在に内装されている。この螺旋軸8の外周面11は裏ごしドラム1の内周面と微小な隙間に保持される。螺旋軸8は荒いピッチの角ねじ状のもので、外周面11の移送方向下流側の角部は緩やかな角度に連続して面取りされ、螺旋状の傾斜面9が形成されている。面取りの角度は食品原料Wの硬さや粒の大きさなどにより異なるが、10度から40度程度が選択される。その角度は上記角度に限定されるものではなく、食品原料Wの性質に対応させる。
螺旋軸8の面取りされた傾斜面9が食品原料Wを裏ごしドラム1の透孔2から外側へ押し出す働きを担う。側面の螺旋面10は食品原料Wを下流方向へ移送する働きを担う。螺旋軸8の面取りされない外周面11は裏ごしドラム1の内周面と適度な隙間を保っており、食品原料Wがこの隙間から移送方向と反対の上流側へ漏れ出さないようになっている。
【0014】
螺旋軸8の上流側に形成された軸部12は、裏ごしドラム1に内装された軸受け13で回転自在に支承され、さらに台座4に設けられた軸受け14で回転自在に支承されている。軸部12は軸受け14から突出し、カップリング15でモータ16の出力軸17に連結されている。モータ16の回転で螺旋軸8は裏ごしドラム1の内部で食料原料Wを下流方向へ移送するように回転する。
【0015】
裏ごしドラム1の下側には、多数の透孔2から排出される実ペーストPを収容するためのコンテナCが設置され、端板5の外側には傾斜した皮排出シュート18が設置され、その皮排出シュート18の出口には残滓箱Dが設置されている。
【0016】
上記装置において、モータ16を始動して螺旋軸8を回転させ、投入口7へ食品原料Wを順次投入すると、食品原料Wは裏ごしドラム1の内部へ落下し、裏ごしドラム1と螺旋軸8とによって形成された螺旋溝の空間部Sに充満し、螺旋軸8の回転に伴って矢印X方向(下流方向)へ移送される。このとき食品原料Wの下流方向への移送は主として螺旋軸8側面の螺旋面10が担い、傾斜面9は食品原料Wを透孔2から外側へ実ペーストPとして押し出す作用を担う。
【0017】
螺旋軸8に形成された螺旋溝の空間部Sに充満した食品原料Wは、その空間部Sを連続して下流方向へ移送される。螺旋軸8の傾斜面9と裏ごしドラム1内面との間に形成されるくさび状空間部S1に入り込んだ食品原料Wは、傾斜面9の働きにより、下流方向への移送とともに透孔2から外側へ押し出されるようになり、透孔2から実ペーストPとして押し出される。食品原料Wが投入口7から落下して空間部Sに充填されると、すぐに傾斜面9の作用で透孔2から徐々に押し出される。
螺旋軸8の終端付近まで移送されたのち強圧でペーストとして裏ごしされるのではなく、移送の途中で徐々に透孔2から裏ごしされるので、粘りの発生や発熱が少なくなる。
空間部Sにある食品原料Wは、下流方向への移送に伴って透孔2から順次排出されるため、その容量は徐々に減少する。
【0018】
駆動軸8の下流終端では、透孔2から押し出されずに移送されてきた食品原料Wに混入している皮Hが端板5の皮排出孔6から押し出される。皮排出孔6は、常時開口していてもよいが、必要に応じて開口するように開閉自在に設けることも可能である。
食品原料Wに混入する皮Hは、前記透孔2の径よりも大きいもがほとんどであり、透孔2より大きなものは移送途中に透孔2から押し出されることはない。従って、皮Hは下流まで移送され、端板5から押し出された皮Hは、端板5に近接して設けられた傾斜した皮排出シュート18を介して残滓箱Dに収容される。
【0019】
投入口7の下部に振動装置(図示略す)を設け、投入された食品原料Wの塊を細分化すれば、裏ごしドラム1内における食品原料Wの分散が可能となり、螺旋軸8の傾斜面9と裏ごしドラム1の内面との間に形成されたくさび状の空間へ入り込みやすくなり、透孔2から押し出されやすくなる。
【符号の説明】
【0020】
1・・・裏ごしドラム
2・・・透孔
5・・・端板
6・・・皮排出孔
7・・・投入口
8・・・螺旋軸
9・・・傾斜面
10・・螺旋面
11・・外周面
12・・軸部
P・・・実ペースト
S・・・空間部
S1・・くさび状空間部
W・・・食品原料
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-03-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通した多数の透孔を外周面に有する円筒形状の裏ごしドラムの内側に、その裏ごしドラムと軸線を一致させた角ねじ状の螺旋軸が設けられ、裏ごしドラムの一端はボス部で閉塞されるとともに、螺旋軸の一端側がボス部に内装された軸受けで回転自在に支承され、螺旋軸は駆動源であるモータに連動して回転自在に設けられ、
裏ごしドラム内における移送の上流側の外周面に食品原料の投入口が設けられ、下流側の終端は、複数個所の皮排出孔が設けられた端板で開閉自在に閉塞された食品原料の裏ごし機において、
螺旋軸は角ねじ状に所定幅の螺旋部が形成され、螺旋部の移送方向下流側の角部には緩やかな傾斜となるように連続して面取りされた傾斜面が形成され、面取りされない部分の螺旋部はその外周面が裏ごしドラムの内周面と微小な隙間を保って裏ごしドラムに内装されていることを特徴とする食品原料の裏ごし機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、栗やさつまいも等々の食品原料を裏ごしして実ペーストを製造する食品原料の裏ごし機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
栗やさつまいも等々の食品原料は、裏ごし機でペースト状に裏ごしされて和菓子や洋菓子に広く利用されている。食品原料を裏ごしする機械として実開昭63-66598号公報記載の食品砕解漉し機が知られている。
この公報に記載された「食品砕解漉し機1」は、螺旋状のスクリュー3を内装した筒状ケーシング2の一端に食品原料である被処理物Wの投入口12が設けられ、他端に多数の孔を有する多孔板4が設けられ、ケーシング2に内装されたスクリュー3の前端にスクリュー3とともに回転する押圧羽根5と剥離羽根6が取り付けられている。投入口12から投入された被処理物Wをスクリュー3でケーシング2内の前端部へ圧送し、スクリュー3の前端に取り付けられた押圧羽根5で撹拌するとともに、剥離羽根6で多孔板4の内面に固着した食品原料Wを掻き落としながら多孔板4の外側へ押し出して裏ごしするようにしたものである。(特許文献1)
【0003】
この発明は、貫通した多数の透孔を有する多孔板4に食品原料である被処理物Wを軸線方向から押し付け、その多孔板4に形成された孔から所定の大きさの被処理物Wとして押し出すようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-66598
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された「食品砕解漉し機」は、ホッパーに投入された被処理物Wがスクリュー3で圧送された後に押圧羽根5で撹拌されるため、徐々に食品が固く締まって、ふんわり感に欠ける問題や、粘り気が強くなり風味に欠ける問題があった。特に、食品原料が栗の場合、スクリュー3からより大きな圧力が作用する状態で裏ごしされると、圧送と撹拌中に粘りが強くなるとともに、摩擦により生じた熱で風味が落ち、風味を大切にする和菓子には不向きとなることがあった。
また、食品原料に混入している栗の皮が多孔板4の孔径よりも大きいと多孔板の内側において目詰まりしやすく、機械に対する負荷が増大し、駆動源である電動モータ15に過負荷となり、機械の停止に繋がる恐れがあった。剥離羽根6で多孔板4の内面に固着した食品原料を掻き落としても、多孔板4の孔径よりも大きな皮を排出することはできず、目詰まりを防止できない。
そして目詰まりした皮を除去するために機械の運転を度々停止させて分解し、内部の掃除に手間をかけなければならなかった。
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、裏ごし中に発生する摩擦による熱の発生を最小限に押えることにより食品の風味を保持し、皮が混入した食品原料も実ペーストと皮(残滓)とに簡単に分離できるようにし、さらには、実ペースト回収の歩留りや生産効率を向上させた機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明では、
1.貫通した多数の透孔を外周面に有する円筒形状の裏ごしドラムの内側に、その裏ごしドラムと軸線を一致させた角ねじ状の螺旋軸が設けられ、裏ごしドラム内における移送の上流側の一端がボス部で閉塞されるとともに、螺旋軸の一端がボス部に内装された軸受けで支承され、螺旋軸は駆動源であるモータに連動して所定方向へ回転自在となっている。ボス部は裏ごしドラムに一体化してもよいし、分離できるようにしてもよい。
2.裏ごしドラムの移送の下流側の開口端は端板で脱着又は開閉自在に閉塞されており、その端板の数か所に食品原料に混入している皮(残滓)を排出するための皮排出孔が設けられている。この皮排出孔は常時開口のままでもよいし、開閉自在であってもよい。
3.前記螺旋軸は、裏ごし機を構成する台座において水平に保持されており、移送の下流側の角部が緩やかに傾斜するように連続して面取りされ、傾斜面が形成されている。
4.螺旋軸の外周面と裏ごしドラムの内周面とは僅かな隙間を保つように保持されている。
5.裏ごしドラムの上流側には食品原料の投入口が設けられ、その投入口から投入された食品原料は裏ごしドラム内で上流から下流へ移送するように回転する螺旋軸によって下流方向へと移送される。
6.螺旋軸の外周には所定の角度で面取りが形成されているので、その傾斜面において食品原料は下流方向へ移送されるとともに、斜め外周方向へ押し付けられ、裏ごしドラムに設けられた多数の透孔から押し出され、裏ごしドラムの下方に設置されたコンテナに落下する。
7.食品原料に混入している皮は、裏ごしドラムの透孔よりもサイズが大きいので透孔から押し出され難く、螺旋軸によってさらに下流方向へ移送される。裏ごしドラムの終端は端板で閉塞されているが、数か所に皮排出孔が設けられているのでその皮排出孔から押し出される。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成とすることにより、実ペーストは螺旋軸の回転に伴う下流方向への移送中に徐々に裏ごしドラムの透孔から押し出されて裏ごしされるのであり、移送の終端まで圧送されて強圧で裏ごしされる従来と異なり、実ペーストが固く締まることや、熱の発生が少ないため品質が向上する。
実ペーストが下流方向に進みながら透孔から徐々に押し出されて裏ごしされるので粘り気も出にくく、ふんわり感に富んだ風味に優れた実ペーストが効率よく得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】は本発明の実施例の軸線に平行な断面図である。
図2】は図1の右側面図である。
図3】は図1における主要部の拡大図である。
図4】は図1における裏ごし機の作動要領を示す断面図である。
図5】は図4における主要部の作動要領を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施例を図1ないし図3に示す図面に基づいて説明する。
【実施例0011】
蒸かした栗、さつまいも、カボチャ等々の実と皮が一体のまま押し潰された食品原料Wを裏ごしするために使用される裏ごし機における裏ごしドラム1は、厚さが2ミリから3ミリ程度の矩形の板材にパンチングマシン等々で加工された小径の透孔2が多数形成されている。この透孔2の直径は例えば1ミリから5ミリ程度であり、食品原料Wの種類及び裏ごしされた実ペーストPの用途などの諸条件に合致したサイズのものが選択される。透孔2が多数形成された矩形の板材を円形に丸めて接合部を溶着し、中空の円筒状に形成したものが裏ごしドラム1である。
【0012】
この裏ごしドラム1は、図1において移送の上流側となる左端がボス部3で閉塞され、そのボス部3が枠組みされた台座4に保持されている。裏ごしドラム1の移送の下流側となる右端は開口されているが、端板5が着脱可能又は開閉可能に取り付けられている。端板5には複数個の皮排出孔穴6が設けられており、食品原料Wに混入している栗や芋などの皮がこの皮排出孔6から排出されるようになっている。この端板5は裏ごしドラム1の内部の掃除の際に開閉自在又は取り外し可能に構成される。皮排出孔6は常時全開または、一部開閉自在とし、状況に応じて選択される。
裏ごしドラム1の移送方向の上流側の近辺の上側には、食品原料Wの投入口7が一体に又は着脱可能に設けられている。
【0013】
裏ごしドラム1には螺旋軸8が回転自在に内装されている。この螺旋軸8の螺旋部11の外周面は裏ごしドラム1の内周面と微小な隙間に保持される。螺旋軸8は荒いピッチの角ねじ状のもので、螺旋部11の移送方向下流側の角部は緩やかな角度に連続して面取りされ、螺旋状の傾斜面9が形成されている。面取りの角度は食品原料Wの硬さや粒の大きさなどにより異なるが、10度から40度程度が選択される。その角度は上記角度に限定されるものではなく、食品原料Wの性質に対応させる。
螺旋軸8の面取りされた傾斜面9が食品原料Wを裏ごしドラム1の透孔2から外側へ押し出す働きを担う。螺旋部側面10は食品原料Wを下流方向へ移送する働きを担う。螺旋軸8の面取りされない螺旋部11の外周面は裏ごしドラム1の内周面と適度な隙間を保っている。螺旋軸8が回転すると、面取りされない部分の螺旋部11の外周面が透孔2の上流側において連続して透孔2を塞ぐことにより、透孔2において食品原料Wが移送方向と反対の上流側へ逆流するのを防ぎ、透孔2における排出効率を向上させている。螺旋部11は裏ごしドラム1の内周面と微小な隙間を保っているので逆流しにくいが、透孔2においては微小な隙間が解消されるので、逆流が発生しやすい。
【0014】
螺旋軸8の上流側に形成された軸部12は、裏ごしドラム1に内装された軸受け13で回転自在に支承され、さらに台座4に設けられた軸受け14で回転自在に支承されている。軸部12は軸受け14から突出し、カップリング15でモータ16の出力軸17に連結されている。モータ16の回転で螺旋軸8は裏ごしドラム1の内部で食料原料Wを下流方向へ移送するように回転する。
【0015】
裏ごしドラム1の下側には、多数の透孔2から排出される実ペーストPを収容するためのコンテナCが設置され、端板5の外側には傾斜した皮排出シュート18が設置され、その皮排出シュート18の出口には残滓箱Dが設置されている。
【0016】
上記装置において、モータ16を始動して螺旋軸8を回転させ、投入口7へ食品原料Wを順次投入すると、食品原料Wは裏ごしドラム1の内部へ落下し、裏ごしドラム1と螺旋軸8とによって形成された螺旋溝の空間部Sに充満し、螺旋軸8の回転に伴って矢印X方向(下流方向)へ移送される。このとき食品原料Wの下流方向への移送は主として螺旋軸8の螺旋部側面10が担い、傾斜面9は食品原料Wを透孔2から外側へ実ペーストPとして押し出す作用を担う。
【0017】
螺旋軸8に形成された螺旋溝の空間部Sに充満した食品原料Wは、その空間部Sを連続して下流方向へ移送される。螺旋軸8の傾斜面9と裏ごしドラム1内面との間に形成されるくさび状空間部S1に入り込んだ食品原料Wは、傾斜面9の働きにより、下流方向への移送とともに透孔2から外側へ押し出されるようになり、透孔2から実ペーストPとして押し出される。食品原料Wが投入口7から落下して空間部Sに充填されると、すぐに傾斜面9の作用で透孔2から徐々に押し出される。
螺旋軸8の終端付近まで移送されたのち強圧でペーストとして裏ごしされるのではなく、移送の途中で徐々に透孔2から裏ごしされるので、粘りの発生や発熱が少なくなる。
空間部Sにある食品原料Wは、下流方向への移送に伴って透孔2から順次排出されるため、その容量は徐々に減少する。
【0018】
駆動軸8の下流終端では、透孔2から押し出されずに移送されてきた食品原料Wに混入している皮Hが端板5の皮排出孔6から押し出される。皮排出孔6は、常時開口していてもよいが、必要に応じて開口するように開閉自在に設けることも可能である。
食品原料Wに混入する皮Hは、前記透孔2の径よりも大きいもがほとんどであり、透孔2より大きなものは移送途中に透孔2から押し出されることはない。従って、皮Hは下流まで移送され、端板5から押し出された皮Hは、端板5に近接して設けられた傾斜した皮排出シュート18を介して残滓箱Dに収容される。
【0019】
投入口7の下部に振動装置(図示略す)を設け、投入された食品原料Wの塊を細分化すれば、裏ごしドラム1内における食品原料Wの分散が可能となり、螺旋軸8の傾斜面9と裏ごしドラム1の内面との間に形成されたくさび状の空間へ入り込みやすくなり、透孔2から押し出されやすくなる。
【符号の説明】
【0020】
1・・・裏ごしドラム
2・・・透孔
5・・・端板
6・・・皮排出孔
7・・・投入口
8・・・螺旋軸
9・・・傾斜面
10・・螺旋部側面
11・・螺旋部
12・・軸部
P・・・実ペースト
S・・・空間部
S1・・くさび状空間部
W・・・食品原料