IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タツノの特許一覧

<>
  • 特開-安全継手用収容装置 図1
  • 特開-安全継手用収容装置 図2
  • 特開-安全継手用収容装置 図3
  • 特開-安全継手用収容装置 図4
  • 特開-安全継手用収容装置 図5
  • 特開-安全継手用収容装置 図6
  • 特開-安全継手用収容装置 図7
  • 特開-安全継手用収容装置 図8
  • 特開-安全継手用収容装置 図9
  • 特開-安全継手用収容装置 図10
  • 特開-安全継手用収容装置 図11
  • 特開-安全継手用収容装置 図12
  • 特開-安全継手用収容装置 図13
  • 特開-安全継手用収容装置 図14
  • 特開-安全継手用収容装置 図15
  • 特開-安全継手用収容装置 図16
  • 特開-安全継手用収容装置 図17
  • 特開-安全継手用収容装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044261
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】安全継手用収容装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
F17C13/00 301C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149686
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 正浩
(72)【発明者】
【氏名】鶫 雄太
(72)【発明者】
【氏名】大戸 淑生
(72)【発明者】
【氏名】大内 敏彦
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BD05
3E172EA02
3E172EA35
3E172EA45
3E172EA46
(57)【要約】
【課題】安全継手が分離した場合に、プラグ或いは水素充填用ホースがケーシング先端の開口部に係止してしまうことを防止して、水素充填装置の転倒、破損を防止することが出来る安全継手用収容装置の提供。
【解決手段】本発明の安全継手用収容装置(100)は、水素充填ホース(61)に接続されたプラグ(10)と水素充填装置側の部材であるソケット(20)を含む安全継手(101)を収容する機能を有しており、プラグ(10)とソケット(20)は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、ケーシングを有し、当該ケーシングの水素充填装置(200)の本体側には基板(80)が設けられ、前記ケーシング(320)の先端(充填用ホース61のFCV側)の開口には、プラグ(10)或いは水素充填ホース(61)と接触すると変形する部材(30)が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素充填ホースに接続されたプラグと水素充填装置側の部材であるソケットを含む安全継手を収容する機能を有しており、当該安全継手におけるプラグとソケットは所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、当該ケーシングの水素充填装置の本体側には基板が設けられ、
前記ケーシングの先端の開口には、プラグ或いは水素充填ホースと接触すると変形する部材が設けられていることを特徴とする安全継手用収容装置。
【請求項2】
前記変形する部材は一対の第1及び第2の板材を含み、第1の板材は第2の板材の内方に位置しており、
第1の板材と第2の板材を接続する弾性部材を有し、当該弾性部材は、第1の板材を第2の板材に対して相対移動を許容し且つ相対移動後に第1の板材を第2の板材と平行な位置に復位する機能を有しており、
前記変形する部材をケーシングに支持する支持機構に第2の板材が固定されており、第2の板材には長手方向に延在する長孔と外方に突出した突起が形成されており、
第1の板材には外方に突出した突起が形成されており、第1の板材の突起は第2の板材の長孔を貫通しており、
前記弾性部材は第1及び第2の板材の突起を接続する請求項1の安全継手用収容装置。
【請求項3】
水素充填ホースに接続されたプラグと水素充填装置側の部材であるソケットを含む安全継手を収容する機能を有しており、当該安全継手におけるプラグとソケットは所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシングを有し、当該ケーシングの水素充填装置の本体側には基板が設けられ、
前記ケーシングの先端の開口には、複数の回転可能な部材が設けられており、当該複数の回転可能な部材は相対的な位置を変更可能に構成されていることを特徴とする安全継手用収容装置。
【請求項4】
前記複数の回転可能な部材は、中心軸両端側の径寸法が大きく、中心軸中央部の径寸法が小さい鼓状の2個の回転体で構成されており、
一方の回転体はケーシングの基板側に設けられ、回転可能に軸支されており、
他方の回転体はケーシングの正面側に設けられ、その中心軸はL字状部材の一端に回転可能に軸支されており、当該L字状部材の他端は回動可能に軸支されており、当該他端を中心に前記L字状部材が回動することにより、一方の回転体と他方の回転体の距離が変動する機能を有している請求項3の安全継手用収容装置。
【請求項5】
前記複数の回転可能な部材は、中心軸両端側の径寸法が大きく中心軸中央部の径寸法が小さい鼓状の回転体と、中心軸(回転軸)両端側の径寸法が小さく中心軸中央部の径寸法が大きい回転体で構成されており、
一方の回転体はケーシングの基板側に設けられ、回転可能に軸支されており、
他方の回転体はケーシングの正面側に設けられ、その中心軸はL字状部材の一端に回転可能に軸支されており、当該L字状部材の他端は回動可能に軸支されており、当該他端を中心に前記L字状部材が回動することにより、一方の回転体と他方の回転体の距離が変動する機能を有しており、
一方の回転体と他方の回転体が最接近した際に隙間が形成され、当該隙間は水素充填ホースの径と同一幅或いは同一径である請求項3の安全継手用収容装置。
【請求項6】
前記複数の回転可能な部材は2個の部材により構成されており、当該2個の部材は軸方向端部で接続されており、当該接続された端部は相対的に回動可能である請求項3の安全継手用収容装置。
【請求項7】
前記複数の回転可能な部材は、3個の部材により構成されており、
基板側に固定された部材と他の2個の部材は、各々の端部において相対的に回動できるように接続されている請求項3の安全継手用収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃料として用いられる水素ガス等の気体を充填するための充填装置(水素充填装置)で用いられる管継手であって、緊急時に水素充填装置と充填用ホースとを分離する機能を有する管継手(安全継手)を収容する安全継手用収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水素を燃料として走行する車両A(例えば燃料電池自動車FCV)では、図17で示す様に、水素充填設備において、充填用ホース201先端に設けた充填ノズル202と車両側充填口203を接続して、車両Aに搭載された水素タンク204に水素ガスを充填する。
極めて稀なケースではあるが、例えば水素充填作業をしている作業員の意識していない状態で車両A(FCV)が何らかの理由で発進してしまう場合が存在する。同様に極めて稀なケースではあるが、水素充填作業をしている車両A(FCV)に他の車両が衝突して、水素充填作業中の車両Aが作業員の意識しない状態で移動してしまう場合が存在する。水素充填中の車両Aが作業員の意識しない状態で発進し或いは移動してしまうと充填用ホース201が引っ張られてしまい、水素充填装置200が転倒し破損して、可燃性の水素ガスが噴出して危険な状態になる。その様な事態を回避するため、緊急離脱用の管継手300(安全継手)を水素充填装置200と充填用ホース201の間の領域に設け、充填用ホース201に一定以上の引張荷重が作用すると管継手300を分離して、水素充填装置200の転倒と破損を防止している。
なお、管継手300の分離は極めて稀な事象であり、日常的に生じる事象ではない。
【0003】
ところで、充填用ホース201に一定以上の引張荷重が掛からない場合であっても、充填用ホース201が揺動すると、当該揺動によるモーメントが管継手300の車両側部材(プラグ)の充填用ホース取付け部に作用し、当該取付け部を破損して、破損箇所から水素ガスが漏出してしまう恐れがある。
それに対して、出願人は、充填用ホース201の揺動によるモーメントにより安全継手300のプラグが破損してしまうことを防止する対策を提案している(特許文献1参照)。
【0004】
図18において、上述した管継手300(図18では破線の引き出し線のみで図示)は水素充填装置200のケーシング320内に内蔵されている。符号205は水素充填装置のケーシングの一部を示す。
ここで管継手300は、水素充填ホース201に接続されたプラグ(管継手のFCV側の部材:図18では図示せず)と、水素充填装置側の部材であるソケット(図18では図示せず)を含み、所定以上の引張荷重が作用した時にはプラグがソケットから分離する(管継手300が分離する)。上述した従来技術(特許文献1参照)では、管継手300が分離した場合に、充填用ホース201及びそれに結合されたプラグが通過するガイド部材70(図1参照:図18では図示せず)の中空部を経由して移動し、ケーシング320の下方の開口320Aから抜け出す様に構成されている。
しかし、FCVが予期せぬ発進や移動をする場合には、水素充填ホースを引っ張る力は垂直方向ではなく、水平方向(横方向)に作用する。そのため、管継手300が分離した場合に、車両側部材(プラグ)がケーシング320先端の開口320Aに引っ掛かる(係止する)恐れが存在する。そして、プラグがケーシング320先端の開口320Aに係止してしまうと、その係止箇所を介して、FCVが水素充填ホース201を引っ張る力が水素充填装置に伝達され、水素充填装置の転倒という事態を生じる恐れも存在する。
【0005】
また、水素充填用ホース201のホース外周部には、スプリング、赤外線ファイバー、メッシュ等が配置されており、充填用ホース201のカバーも存在するため、ケーシング先端開口320Aと係止し易い(引っ掛かり易い)。
すなわち、水素充填用ホース201先端のプラグがケーシング320先端の開口320Aに係止することに加えて、充填用ホース201がケーシング先端開口320Aに係止する事態が生じる可能性がある。
係る理由により、FCVの予期せぬ発進や移動に際して管継手300が分離しても、水素充填用ホース201がケーシング先端開口320Aに係止して、FCVが充填用ホース201及び水素充填装置200を引っ張り、水素充填装置200を転倒、損傷させてしまう恐れが存在する。
そして上述した従来技術(特許文献1)では、その様な事態に対処することは意図されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6590159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、安全継手が分離した場合に、安全継手のプラグ或いは水素充填用ホースがケーシング先端の開口部に係止してしまうことを防止して、水素充填装置の転倒、破損を防止することが出来る安全継手用収容装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の安全継手用収容装置(100)は、
水素充填ホース(61)に接続されたプラグ(10)と水素充填装置側の部材であるソケット(20)を含む安全継手(101)を収容する機能を有しており、当該安全継手(101)におけるプラグ(10)とソケット(20)は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシング(320)を有し、当該ケーシングの水素充填装置(200)の本体側には基板(80)が設けられ、
前記ケーシング(320)の先端(充填用ホース61のFCV側の端部:図1図2では下端部)の開口(320A:図3図4図18参照)には、プラグ(10)或いは水素充填ホース(61)と接触すると変形する部材(30)が設けられていることを特徴としている。
【0009】
本発明において、
前記変形する部材(30)は一対の第1及び第2の板材(31、32)を含み、第1の板材(31)は第2の板材(32)の内方(ケーシングの内側)に位置しており、
第1の板材(31)を第2の板材(32)に対して相対移動を許容し且つ相対移動後に第1の板材(31)を第2の板材(32)と平行な位置に復位する機能を有する弾性部材(33:例えば弦巻バネ)を備えている。
前記変形する部材(30)をケーシングに支持する支持機構(50)に第2の板材(32)が固定されており、第2の板材(32)には長手方向に延在する溝(32A)と外方(第1の板材31とは反対側)に突出した突起(32B)が形成されており、
第1の板材(31)には第2の板材(32)の溝(32A)を貫通する突起(31A)が形成されており、
前記弾性部材(33)は第1及び第2の板材(31、32)の突起(31A、32B)を接続するのが好ましい。
【0010】
また本発明の安全継手用収容装置(100-1)は、
水素充填ホース(61)に接続されたプラグ(10)と水素充填装置側の部材であるソケット(20)を含む安全継手(101)を収容する機能を有しており、当該安全継手(101)におけるプラグ(10)とソケット(20)は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しており、
ケーシング(320)を有し、当該ケーシングの水素充填装置(200)の本体側には基板(80)が設けられ、
前記ケーシング(320)の先端(充填用ホース61のFCV側端部:図1図2では下端部)の開口(320A:図3図4図18参照)には、複数の回転可能な部材(40:ローラー)が設けられており、当該複数の回転可能な部材(40)は相対的な位置を変更可能に構成されていることを特徴としている。
【0011】
係る本発明において、前記複数の回転可能な部材(40:ローラー)は、中心軸(回転軸)両端側の径寸法が大きく、中心軸中央部の径寸法が小さい鼓状の2個の回転体(41、42)で構成されており、
一方の回転体(41)はケーシングの基板(80)側に設けられ、回転可能に軸支されており、
他方の回転体(42)はケーシングの正面側(基板80から離隔した側)に設けられ、その中心軸はL字状部材(60)の一端(60A)に回転可能に軸支されており、当該L字状部材(60)の他端(60B)は(ケーシング或いはケーシングに取り付けられた部材に)回動可能に軸支されており、当該他端を中心に前記L字状部材(60)が回動することにより、一方の回転体(41)と他方の回転体(42)の距離が変動する機能を有しているのが好ましい。
【0012】
或いは、前記複数の回転可能な部材(40:ローラー)は、中心軸(回転軸)両端側の径寸法が大きく中心軸中央部の径寸法が小さい鼓状の回転体(41-1、42-1)と、中心軸(回転軸)両端側の径寸法が小さく中心軸中央部の径寸法が大きい回転体(42-1、42-2)で構成されており、
一方の回転体(41)はケーシングの基板(80)側に設けられ、回転可能に軸支されており、
他方の回転体(42)はケーシングの正面側(基板80から離隔した側)に設けられ、その中心軸はL字状部材(60)の一端(60A)に回転可能に軸支されており、当該L字状部材(60)の他端(60B)は(ケーシング或いはケーシングに取り付けられた部材に)回動可能に軸支されており、当該他端を中心に前記L字状部材(60)が回動することにより、一方の回転体(41-1、42-1)と他方の回転体(42-1、42-2)の距離が変動する機能を有しており、
一方の回転体(41-1、41-2)と他方の回転体(42-1、42-2)が最接近した際に隙間(4S-1、4S-2)が形成され、当該隙間(4S-1、4S-2)は水素充填ホース(61)の径と同一幅或いは同一径であるのが好ましい。
【0013】
また、係る本発明において、前記複数の回転可能な部材(40)は2個の回転部材(43、44)により構成されており、当該2個の回転部材(43、44)は軸方向端部で接続されており、当該接続された端部は(例えばヒンジHGにより)相対的に回動可能であるのが好ましい。
或いは、前記複数の回転可能な部材(40)は、3個の回転部材(45、46、47)により構成されており、
基板側に固定された回転部材(45)と他の2個の回転部材(46、47)は、各々の端部において相対的に回動できるように(例えばヒンジHGにより)接続されているのが好ましい。
なお、本明細書において、安全継手を管継手と記載する場合がある。
【発明の効果】
【0014】
上述の構成を具備する本発明によれば、プラグ(10)とソケット(20)は所定以上の引張荷重が作用した時に分離する機能を有しているので、例えば水素充填作業中に燃料電池車両(FCV)が発進しても、プラグ(10)とソケット(20)が分離して、水素充填装置本体には水素充填ホース(61)の引張力が作用しない。
そして、水素充填ホース(61)或いはその先端のプラグ(10)が前記ケーシング(320)の先端(充填用ホース61のFCV側端部:図1図2では下方端部)の開口(320A:図3図4図18参照)における前記変形する部材(30)と接触すると、当該変形する部材(30)が変形し、プラグ(10)や水素充填ホース(61)は、前記変形する部材(30)との係合が解除される(引っ掛からなくなる)位置まで移動することが出来る。そのため、プラグ(10)或いは水素充填ホース(61)が前記ケーシング(320)の先端(充填用ホース61のFCV側:図1図2では下方)の開口(320A)に係合しても(引っ掛かっても)、その係合状態(引っ掛かった状態)は直ちに解除され(引っ掛からなくなり)、水素充填装置本体が引っ張られることが防止される。
【0015】
ここで、前記変形する部材(30)が一対の第1及び第2の板材(31、32)を含み、第1の板材(31)は第2の板材(32)の内方(ケーシングの内側)に位置しており、第2の板材(32)は、前記変形する部材(30)をケーシングに支持する支持機構(50)に固定されている。第2の板材(32)には長手方向に延在する溝(32A)と外方(第1の板材31とは反対側)に突出した突起(32B)が形成されており、第1の板材(31)には外方(第2の板材32側)に第2の板材(32)の長孔(32A)を貫通して突出した突起(31A)が形成されており、第1及び第2の板材(31、32)の突起(31A、32B)は弾性部材(33:例えば弦巻バネ)を介して接続している。
当該弾性部材(33)は、第1の板材(31)を第2の板材(32)に対して相対移動を許容し且つ相対移動後に第1の板材(31)を第2の板材(32)と平行な位置に復位する機能を有しているため、プラグ(10)或いは水素充填ホース(61)が前記ケーシング(320)の先端開口(320A:図3図4図18参照)の第1の板材と係合しても(引っ掛かっても)、係合状態(引っ掛かった状態)を解除する位置(引っ掛からなくなる位置)に第1の板材(31)が移動するため、係合状態(引っ掛かった状態)は解除され、水素充填装置本体に引張力が作用することはない。
【0016】
本発明において、複数の回転可能な部材(40)が中心軸(回転軸)両端側の径寸法が大きく、中心軸中央部の径寸法が小さい鼓状の2個の回転体(41、41-1、41-2、42、42-1、42-2)で構成されており、一方の回転体(41、41-1、41-2)はケーシングの基板側に設けられ、回転可能に軸支されており、他方の回転体(42、42-1、42-2)はケーシングの正面側に設けられ、その中心軸はL字状部材(60、60-2)の一端(60A)に回転可能に軸支されており、当該L字状部材(60、60-2)の他端(60B)は(ケーシング或いはケーシングに取り付けられた部材)に回転可能に軸支されている。当該他端(60B)を中心に前記L字状部材(60)が回動することにより、一方の回転体(41、41-1、41-2)と他方の回転体(42、42-1、42-2)の距離が変動する機能を有しているため、水素充填ホース(61)或いはその先端のプラグ(10)が前記回転体(41、41-1、41-2、42、42-1、42-2)の何れかに係合しても(引っ掛かっても)、一方の回転体(41)と他方の回転体(42)の距離(間隔)が長くなり、水素充填ホース(61)或いはその先端のプラグ(10)と前記回転体(41)、(42)との係合が解除される(引っ掛からなくなる)。
また、一方の回転体(41、41-1、41-2)と他方の回転体(42、42-1、42-2)が最接近した際に、水素充填ホース(61)の径と同一幅或いは同一径の隙間(隙間部4S-1、4S-2)が形成される様に構成されていれば、水素充填ホース(61)の揺動を抑制し安全継手(300のプラグ10)が破損することを防止出来る。
【0017】
或いは本発明において、複数の回転可能な部材(40)が2個の回転部材(43、44)により構成されており、当該2個の回転部材(43、44)は、端部で接続されており、当該接続された端部は(例えばヒンジHGにより)相対的に回動可能であれば、水素充填ホース(61)或いはその先端のプラグ(10)が前記回転部材(43、44)の何れかに係合しても(引っ掛かっても)、回転部材(43、44)が相対的に回動することにより、回転部材(43、44)同士の相対的な位置が変動して、回転部材(43、44)間の間隔(距離)が長くなり、水素充填ホース(61)或いはその先端のプラグ(10)との係合が解除される(引っ掛からなくなる)。
また本発明において、複数の回転可能な部材が3個の回転部材(45、46、47)により構成されていても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態の概要を示す説明図である。
図2】本発明の第1実施形態の説明側面図である。
図3】第1実施形態において、プラグがソケットから分離する以前の可動部を示す部分説明拡大図である。
図4図3と同様な第1実施形態における可動部を示す部分説明拡大図であって、プラグがソケットから分離した際の可動部を示す図である。
図5】第1実施形態における可動部の説明拡大図である。
図6】本発明の第2実施形態の概要を示す説明図である。
図7】第2実施形態において、プラグが通過する際のローラーの作動を示す部分説明図である。
図8】第2実施形態の第1変形例において、形状の異なる2個の回転体を示す説明斜視図である。
図9図8の第1変形例において、回転体同士が最接近した状態を示す説明図である。
図10】第2実施形態の第2変形例の説明斜視図である。
図11図10の第2変形例において、回転体同士が離隔している状態を示す説明図である。
図12図10図11の第2変形例において、回転体同士が最接近した状態の説明斜視図である。
図13図10図12の第2変形例において、回転体同士が最接近した状態を示す説明図である。
図14】本発明の第3実施形態の要部を示す部分説明図である。
図15】本発明の第4実施形態の要部を示す部分説明図である。
図16】本発明の実施形態におけるプラグの形状を示す説明図である。
図17】水素充填設備の概要を示す説明図である。
図18】安全継手が水素充填装置に取り付けられている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図示の煩雑を防止するため、図1では安全継手用収容装置におけるケーシング320の本体(矩形のケーシング本体であって、水素充填装置200側の基板80を除く部分)の図示を省略し、図2図15ではケーシング320(図18参照)の図示を省略している。
最初に図1図5を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
図1において、第1実施形態に係る安全継手用収容装置100は、水素充填ホース61に接続されたプラグ10(安全継手の車両側の部材)と、水素充填装置200(図17図18参照)側の部材であるソケット20を含む安全継手101を備えている。換言すると、安全継手用収容装置100は、その内部に安全継手101を収容している。
安全継手101は、水素充填ホース61に所定以上の引張荷重が作用した時にプラグ10がソケット20から分離する(安全継手101が分離する)機能を有している。例えば水素充填作業中に燃料電池車両(FCV)が発進すると、プラグ10とソケット20は分離する。そのため、水素充填装置200には引張力が作用しない。
また、安全継手用収容装置100はケーシング320(図18図1図5では図示せず)を有しており、プラグ10とソケット20はケーシング320内に収容されている。ケーシング320の水素充填装置200の本体側には基板80が設けられている。
図1において、ソケット20に結合されたプラグ10は破線の引き出し線で示されており、プラグ10はソケット20のプラグ収容部により覆われている。なお、例えば図7では、ソケット20から分離したプラグ10が実線で示されている。
【0020】
水素ガスは水素充填装置200(図1では図示せず)から水素ガス配管21を介してソケット20に供給され、その後、プラグ10、水素充填ホース61を通過して図示しない充填ノズル(図17の符号202)を介してFCVの水素タンク(図17の符号204)内に充填される。
安全継手101が分離すると、充填用ホース61及びプラグ10はガイド部材70の中空部を経由して移動し、ケーシングの下方の開口(図18におけるケーシング320先端の開口320A)から抜け出す様に構成されている。
ガイド部材70は、充填用ホース61の揺れを抑制するとともに、プラグ10が所定の引張荷重で分離することを確実にする。
ケーシング320(図18を参照)の先端(充填用ホース61のFCV側端部:図1では下端部)の開口320A(図3図4図18参照)には部材30が設けられ、部材30は、ソケット20から分離したプラグ10或いは水素充填ホース61と接触する。また、開口320(図18)には、回転自在の正面ローラー35が配置されている。正面ローラー35は、支持機構50の正面部51において、軸支部35Aにより回転可能に支持されている。正面ローラー35の下端は正面部51の下縁51Eよりも下方に位置している。
【0021】
プラグ10がソケット20から分離し、水素充填ホース61或いはプラグ10が変形する部材30或いは正面ローラー35に接触しても、変形する部材30の変形或いは正面ローラー35の回転により係合する(引っ掛かる)ことはないので、プラグ10と水素充填ホース10は円滑にケーシング320(図18参照:図1図5では図示せず)を抜け出し、引張力が作用する方向へ容易に移動し、水素充填装置200が転倒して破損することは無い。
変形する部材30の構成、機能は、図2図5を参照して後述する。
【0022】
ここで、変形する部材30及び正面ローラー35は基板80の裏側には設けられていない。FCVに水素充填をする際には、水素充填装置の正面側或いはそれよりも側方にFCVを停車して水素充填を行い、基板80の裏側すなわち水素充填装置の裏側のFCVに水素充填を行うことはない。そのため、水素充填ホース61或いはプラグ10が基板80側に引っ張られることは想定する必要が無い。
【0023】
ケーシング320の開口部320A(図3図4図18)に変形する部材30及び正面ローラー35を設けることに代えて、開口部320Aの断面積を大きくし、水素充填ホース61或いはプラグ10が先端開口部320Aに係止しない(引っ掛からない)様にすることも考えられる。
しかし、ケーシング320(図18)は基本的に小さくしたいという要請が存在する。ローラー支持構造50を設けず、かつケーシング320が大き過ぎると、FCVにより引っ張られる充填ホース61の角度はケーシング中心軸(鉛直軸)に対して大きくなる。これにより管継手300(図10)に作用する水平方向の力が大きくなり、所定の引張荷重ではプラグがソケットから分離しない可能性がある。そのため、ケーシングは可能な限り小さいことが望ましく、ケーシングの先端開口320を大きくすることは妥当ではない。
また、ケーシング320の開口部320A(図3図4図18)を構成する部材の先端に滑らかなアールを付けることも考えられるが、ケーシングを構成する板材の厚さ寸法が小さいので、曲率を小さくすることができない。その上、ホース外周部には、スプリング、赤外線ファイバー、メッシュ等が配置されているため、充填ホース61の表面には凹凸が存在する。したがって、アールを付けただけではプラグ10及び水素充填ホース61がケーシング320の開口部320Aと引っ掛かることは十分に防止出来ない。
【0024】
また、ケーシング320は分離した充填ホース61の撓み、湾曲を抑制し、プラグ10がローラー支持構造50の外側に落下して充填ホース61がローラー支持構造50に引っ掛かる事態を防止しているが、ガイド部材70をローラー支持構造50近傍まで延在すれば、ガイド部材70がケーシング320の役割を果たすことができる。このような場合、本発明ではケーシング320を設けても良いが、省略することも可能である。
【0025】
図1に加えて、図2図2のAA矢視である図3、可動部の拡大図である図5を参照して、変形する部材30の構成、機能を説明する。図2図5ではプラグ10は図示しない。
変形する部材30は2組の第1の板材31及び第2の板材32で構成される。第1の板材31は第2の板材32の内方(ケーシング320の内側)に配置される。一対の第1の板材31、第2の板材32の間の空間はケーシングの下方の開口320Aにおいて、ソケット20から分離したプラグ10及び充填用ホース61が通過する通路となる。図1図5では当該通路には水素充填ホース61が延在している。
第2の板材32は垂直部32Vと水平部32Hを有している(図3)。垂直部32Vは(図1図5の)垂直方向に延在し、第1の板材31と平行である。水平部32Hは垂直部32Vの下端から(図1図5の)水平方向で外方(第1の板材31とは反対側)に向けて延在している。水平部32Hにおいて、第2の板材32は支持機構50に固定され(図3)、その結果、第2の板材32は支持機構50に固定される。
図2で示されている様に、第2の板材32には、その上端近傍において2箇所に突起32Bが設けられ、突起32Bは外方(第1の板材31とは反対側:第1の板材31から離隔する側)に突出している(図3図4)。また、突起32Bの下方から第2の板材32の垂直部32Vの下端近傍まで長手方向(鉛直方向)に延在する長さL(図5)を有する長孔32Aが形成されている。
【0026】
第1の板材31には平行に配置されている第2の板材32における長孔32Aに対応する位置の2箇所に突起31Aが設けられている。この突起31Aは第2の板材32に形成された長孔32Aを貫通して、第2の板材32より外方(第1の板材31の反対側)に突出している(図2図4)。
第1の板材31の下端部近傍は、外方(第2の板材32側)に向かって僅かに傾斜していても良い。
【0027】
図2図4において、変形する部材30は、第1の板材31と第2の板材32を接続する弾性部材33(例えば弦巻バネ)を有している。弾性部材33の一端は第2の板材32に設けられた突起32Bに係止され、弾性部材33の他端は第1の板材31に設けられた突起31Aに係止される。図3図4において弾性部材33は、右側の第1の板材31、第2の板材32の組と、左側の第1の板材31、第2の板材32の組では異なる表示方法で表現されているが、双方の弾性部材33には差異はなく、その構成、機能は同一である。
上述した様に、第2の板材32は支持機構50に固定されている。一方、第1の板材31は弾性部材33により第2の板材32に接続されている。そして、弾性部材33は、第1の板材31が第2の板材32に対して相対移動することを許容し、且つ、相対移動後に第1の板材31を第2の板材32と平行な元の位置に復位せしめる機能を有している。なお、第1の板材31の第2の板材32に対する相対移動範囲は、第2の板材32の長孔32Aの長さL(図5)である。
図3図4において、支持機構50には第1の板材31が相対移動した際の当該移動をコントロールするガイド部材50Aが設けられる。
【0028】
プラグ10がソケット20から分離する以前の状態を示す図3において、(プラグ10に接続された)水素充填ホース61には引張力は作用しておらず、水素充填ホース61は一対の第1の板材31、第2の板材32の間の空間に延在している。
水素充填ホース61には引張力は作用していない図3の状態では、水素充填ホース61は第1の板材31(図3で右側に配置された第1の板材31)に接触しておらず、水素充填ホース61は第1の板材31を押圧していないので、第1の板材31は変形しない。
一方、プラグ10がソケット20から分離した状態を示す図4において、水素充填ホース61にはFCVにより引っ張られる方向(図1の矢印F1方向)の引張力が作用し、水素充填ホース61は第1の板材31(図4で右側に配置された第1の板材31)に接触し、第1の板材31を押圧している。
水素充填ホース61により押圧された第1の板材31(図4で右側に配置された第1の板材31)は押圧方向(図4では右方)に移動する。その際、押圧された第1の板材31は、水素充填ホース61とガイド部材50Aにより挟まれるので、水素充填ホース61が引っ張られる方向F1に移動する。
第1の板材31が矢印F1方向に移動する移動量、弾性部材33の弾性変形に許容され、規制されつつ、第1の板材31の突起31Aが挿入されている第2の板材32の長孔32Aによりガイドされる。また、その際、支持機構50に配置されたガイド部材50Aにより、第1の板材31は右方向の動作範囲を規制され、適正に右下方向にガイドされる。
【0029】
図4において、水素充填ホース61(或いはプラグ10)が第1の板材31と係合しても(引っ掛かっても)、弾性部材33が弾性変形(伸長)することにより、第1の板材31は第2の板材32に対して相対移動して、水素充填ホース61(或いはプラグ10)との係合状態(引っ掛かった状態)を解除する位置(引っ掛からなくなる位置)に移動する。
そのため、水素充填ホース61(或いはプラグ10)がケーシング320の先端開口の第1の板材31と係合した状態(引っ掛かった状態)は解除され、水素充填ホース61(或いはプラグ10)はFCVにより引っ張られる方向(矢印F1方向)に抜け出ることが出来る。そのため、水素充填装置200に引張力が作用することは無く、水素充填装置200が転倒して破損することを防止出来る。
なお、水素充填ホース61及びプラグ10がケーシング320の先端開口を通過した後、弾性部材33の弾性反撥力(収縮)により、第1の板材31は第2の板材32と平行な元の位置(図3の位置)に復位する。
【0030】
図1において、プラグ10がソケット20から分離して、水素充填ホース61がFCVにより水平方向(横方向、矢印F1の方向)に引っ張られる場合を想定して説明したが、水素充填ホース61がFCVにより正面方向(矢印F2の方向)に引っ張られる場合も存在する。
水素充填ホース61がFCVにより正面方向(矢印F2の方向)に引っ張られる場合は、プラグ10或いは水素充填ホース61は、変形する部材30ではなく、正面ローラー35と接触する。プラグ10或いは水素充填ホース61が接触することにより正面ローラー35が回転して、プラグ10或いは水素充填ホース61は、ケーシング開口或いは正面ローラー35と係合せずに移動し、円滑にケーシングを抜け出し、引張力が作用する方向へ容易に移動する。
【0031】
次に、主として図6図7を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態については、第1実施形態と相違する内容を中心に説明する。
図6図7において、第2実施形態に係る安全継手用収容装置100-1は、その主要な構成である回転可能な部材40を主として示している。そして安全継手用収容装置100-1は、水素充填ホース61に接続されたプラグ10と、水素充填装置200側の部材であるソケット20を含む安全継手101(図1参照)を収容している。
図6図7では図示しないが、安全継手用収容装置100-1はケーシング320(図18参照)を有しており、プラグ10とソケット20はケーシング320内に収容されている。ケーシング320の水素充填装置200側には基板80(図1)が設けられる。
安全継手101が分離すると、充填用ホース61及びプラグ10はガイド部材70(図1参照)の中空部を経由して移動し、ケーシング320の下方の開口(図18におけるケーシング320先端の開口320A:図3図4参照)から抜け出す様に構成されている。
【0032】
図6において、ケーシング320(図18)の先端(図6では下方)の開口320A(図3図4図18)には、複数の回転可能な部材40として、2個の回転体41、42が設けられている。回転体41、42は全体が鼓状であり、それぞれ中心軸(回転軸)両端側41A、42Aの径寸法が大きく、中心軸中央部41B、42Bの径が小さい。2個の回転体41、42の間を水素充填ホース61及びプラグ10が通過し、ケーシング300の開口320から抜け出す様に構成されており、図6では当該間隙に水素充填ホース61が延在している。
回転体41はケーシングの基板80側(図6図7では右方:基板80は図6図7では図示せず)に設けられ、その中心軸(回転軸)は図示しない支持部材を介して、軸支部41Cにより基板80側に回転可能に軸支されている。
一方、回転体42はケーシング320(図6図7では図示せず)の正面側(図6図7では左方)に設けられ、その中心軸(回転軸)はL字状部材60の一端60Aにおいて軸支部42Cにより回転可能に軸支されている。L字状部材60の他端60Bはケーシング320の正面側において、図示しない支持部材を介してケーシング320側に軸支部60Cにより回動可能に軸支されている。
L字状部材60が軸支部60Cを中心にケーシング320の正面側に対して回動することにより、L字状部材60の一端60Aに回転可能に軸支された回転体42は、回転体41との相対的な位置を変動することが出来て、回転体41と回転体42の間の距離を変更することが出来る。
【0033】
図6の状態は、ソケット20(図1参照)からプラグ10(図1参照)が分離していない状態で、2個の回転体41、42間に水素充填ホース61が位置している。
ソケット20からプラグ10が分離して、水素充填ホース61が2個の回転体41、42間の隙間から抜け出ようとする際に、水素充填ホース61は2個の回転体41、42の径が小さい領域、すなわち2個の回転体41、42間の隙間の大きい中心軸方向中央部41B、42Bの領域に円滑に移動する。そして水素充填ホース61が2個の回転体41、42に接触した場合、2個の回転体41、42は回転するので、水素充填ホース61は2個の回転体41、42間の隙間から、FCVにより引っ張られる方向(矢印F3方向)抜け出ることが出来る。
【0034】
図7を参照して、ソケット20からプラグ10が分離した状態を説明すると、水素充填ホース61が接続されたプラグ10が2個の回転体41、42間に到達する。
水素充填ホース61よりも径の大きいプラグ10がこの回転体41、42間の隙間を抜け出す際に、プラグ10(或いは水素充填ホース61)が回転体41、42の何れかに係合しても(引っ掛かっても)、回転体42を回転可能に軸支(軸支部42C)したL字状部材60は端部60B(ケーシング320の正面側の軸支部60C)を中心に回動する(矢印G)。L字状部材60の矢印G方向に回動により、回転体41と回転体42の相対的な位置が変動し、回転体41、42間の間隔が長くなり、プラグ10も回転体41、42と係合しない。
プラグ10及び水素充填ホース61は、回転体41、42間の隙間から、FCVにより引っ張られる方向(矢印F3方向)抜け出ることが出来て、水素充填装置200が引っ張られることが防止される。
なお、図6図7の第2実施形態においては、第1実施形態で示した正面ローラーは設けていない。
図6図7の第2実施形態におけるその他の構成、作用効果は、図1図5の第1実施形態と同様である。
【0035】
図8図9を参照して、第2実施形態の第1変形例を説明する。
図6図7の第2実施形態では2個の回転体41、42は同一形状であるが、図8図9の第1変形例では、一対の回転体41-1、42-1の形状が相違している。
図8図9において、回転体41-1は図6図7の第2実施形態における回転体41、42と概略同一の形状であり、中心軸(回転軸)41Cの両端における径寸法が大きく、中心軸41Cの中央部の径が小さい。一方、回転体42-1は回転体41-1とは異なる形状(回転体41-1と相補的な形状)であり、中心軸(回転軸)42Cの両端における径寸法が小さく、中心軸41Cの中央部の径が大きい。ただし、特に図9で明示されている様に、回転体42-1はその中心軸42C方向における両端部近傍の部分(最小径寸法部分)42ENにおける径寸法が最も小さく、最小径寸法部分42ENから両端部42-1Eに向かって径寸法が増加している。
【0036】
図9で示す様に回転体41-1と回転体42-1とが最接近している場合には、回転体41-1の端部41-1E(鍔部)と回転体42-1の端部42-1E(鍔部)とが当接する。上述した様に、回転体42-1は最小径寸法部分42ENにおける径寸法が最も小さく、最小径寸法部分42ENから両端部42-1Eに向かって径寸法が増加しているため、図9で示す様に回転体41-1の端部41-1Eと回転体42-1の端部42-1Eとが当接すると、隙間部4S-1が形成される。
隙間部4S-1の幅寸法を、水素充填ホース61の径寸法と同一に設定することにより、図9で示す状態では回転体41-1、42-1により水素充填ホース61を挟持し、以て、充填用ホース61の揺動によるモーメントで安全継手300のプラグ10が破損してしまうことを防止することが出来る。
図8図9の変形例におけるその他の構成、作用効果は、図6図7の第2実施形態と同様である。
【0037】
図8図9の第1変形例と同様に、図10図13の第2変形例でも、一対の回転体41-2、42-2の相互の形状が相違している。
第1変形例と同様に、第2変形例における回転体41-2は第2実施形態における回転体41、42(図6図7)と概略同一の形状であり、中心軸(回転軸)41Cの両端における径寸法が大きく、中心軸41Cの中央部の径が小さい。一方、回転体42-2は回転体41-1とは異なる形状であり、第1変形例における回転体42-1(図8図9)と同様に、他方の回転体41-2と相補的な形状であって、中心軸(回転軸)42Cの両端における径寸法が小さく、中心軸41Cの中央部の径が大きい。
第2変形例では、図11で示す様に、一対の回転体41-2、42-2の中心軸方向中央部には、径寸法の小さな溝状領域41-2R、42-2Rが形成されており、溝状領域41-2R、42-2Rのそれぞれの断面形状は半円形である。
【0038】
第2実施形態において一対の回転体41-2、42-2が最接近して接触した状態(図12図13の状態)では、互いに相補的な形状をしている回転体41-2、42-2は密着するが、断面半円形の溝形状領域41-2R、42-2Rは円形の空間4S-2(隙間部)を構成する。
隙間部4S-2の径寸法を、水素充填ホース61の径寸法と同一に設定すれば、図12図13で示す状態において、回転体41-1、42-1が形成する空間4S-2により水素充填ホース61を挟持し、充填用ホース61の揺動によるモーメントで安全継手300のプラグ10が破損することを防止出来る。
図10図13の第2変形例におけるその他の構成、作用効果は、図6図9の第2実施形態及びその第1変形例と同様である。
【0039】
図14を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図14の第3実施形態は、図6図7の第2実施形態とは、ケーシング320(図18)先端の開口320A(図3図4図18参照)に配置される回転可能な部材40が相違する。図14の第3実施形態の説明は、図6図7の第2実施形態と相違する部分を中心に行う。
【0040】
第3実施形態に係る安全継手用収容装置100-2は、プラグ10とソケット20を含む安全継手101(図1参照)を収容している。
図14において、ケーシング320(図18)の先端の開口320A(図3図4図18参照)には、複数の回転可能な部材40として、2個の回転部材43、44が設けられている。
2個の回転部材43、44は、それぞれ中空ローラー43A、44Aと中心軸43B、44B(回転軸)を備えており、中空ローラー43A、44Aはそれぞれ中心軸43B、44Bに対して回転可能に構成される。
2個の回転部材43、44の中心軸43B、44Bは、それぞれ一端43B1、44B1が図示しない支持部材を介して基板80に接続されている。中心軸43B、44Bの端部43B1、44B1は、基板80に対して、図14の矢印SL方向へスライド可能に支持されている。回転部材43、44の中心軸43B、44Bの他端43B2、44B2は、ヒンジHGにより、相互に回動可能に接続されている。
【0041】
図14において、ソケット20(図1参照)から分離した図示しないプラグ10(図1参照)及び水素充填ホース61(図1参照)は、回転部材43、44、基板80で包囲された領域R1を通過して、FCVにより引っ張られる方向に移動する。
水素充填ホース61及びプラグ10が領域R1を通過する際、回転部材43、44(中空ローラー43A、44A)の何れかに係合しても(引っ掛かっても)、回転部材43、44が相対的に回動して、回転部材43、44の一端43B1、44B1が基板80に対し矢印SL方向にスライドすることにより、回転可能な部材43、44同士の相対的な位置が変動して、回転部材43、44間の間隔が変動する(例えば長くなる)ため、(水素充填ホース61或いはその先端のプラグ10との)係合が解除される(引っ掛からなくなる)。それに加えて、回転部材43、44の中空ローラー43A、44Aが回転することも、水素充填ホース61或いはプラグ10と回転部材43、44との係合解除に寄与している。
回転部材43、44との係合が解除された水素充填ホース61或いはプラグ10は領域R1を通過して、FCVにより引っ張られる方向に抜け出るため、水素充填装置200が引っ張られることが防止される。
図14の第3実施形態におけるその他の構成、作用効果は、図1図7の実施形態と同様である。
【0042】
次に、図15を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
図14の第3実施形態では、ケーシング320先端の開口320Aに設けられた複数の回転可能な部材40として、2個の回転部材43、44が設けられている。それに対して、図15の第4実施形態では、3個の回転部材45、46、47が設けられている。
第4実施形態の安全継手用収容装置100-3は、プラグ10とソケット20を含む安全継手101を収容している。
【0043】
図15において、ケーシング320先端の開口320Aには、複数の回転可能な部材40として、3個の回転部材45、46、47が設けられている。
3個の回転部材45、46、47は、それぞれ中空ローラー45A、46A、47Aと中心軸45B、46B、47B(回転軸)を備えており、中空ローラー45A、46A、47Aはそれぞれ中心軸45B、46B、47Bに対して回転可能に構成されている。
回転部材45の中心軸45Bは、例えば両端近傍において、図示しない支持部材を介して、基板80(図1)に固定されている。
また、回転部材46、47の中心軸46B、47Bの端部46B1、47B1は、それぞれ、回転部材45の中心軸45Bの両端45B1、45B2とヒンジHGにより相対回動可能に接続されている。回転部材46、47の中心軸46B、47Bの他端46B2、47B2は、弾性部材48(例えば弦巻バネ)により接続されている。
【0044】
図15において、ソケット20から分離した図示しないプラグ10及び水素充填ホース61は、回転部材45、46、47で包囲された領域R2を通過して、FCVにより引っ張られる方向に移動する。
回転部材45、46及び回転部材45、47は、それぞれヒンジHGにより相互に回動可能に接続されているので、回転部材45、46の相対的な位置及び回転部材45、47の相対的な位置を変動して、回転部材45、46間及び回転部材45、47間の接続された角度を変動することが出来る。また、回転部材46と回転部材47は、それぞれの端部を弾性部材48(例えば弦巻バネ)により接続されているので、回転部材46、47間の間隔(距離)を長くすることが可能である。
そのため、水素充填ホース61及びプラグ10が領域R2を通過する際、回転部材45、46、47における中空ローラー45A、46A、47Aの何れかに係合しても(引っ掛かっても)、回転部材45、46、47は水素充填ホース61或いはプラグ10と係合しない状態に変動することが出来て、係合が解除される(引っ掛からなくなる)。
【0045】
また、回転部材45、46、47の中空ローラー45A、46A、47Aが回転することも、中空ローラー45A、46A、47Aの何れかと水素充填ホース61或いはプラグ10との係合を解除するのに寄与する。
回転部材45、46、47との係合が解除された水素充填ホース61或いはプラグ10は、領域R2を通過して、FCVにより引っ張られる方向に抜け出る。その結果、水素充填装置200が引っ張られることが防止される。
水素充填ホース61或いはプラグ10が領域R2を抜け出ると、弾性部材48の弾性反撥力により、回転部材46、47は元の位置に復位する。
図15の第4実施形態におけるその他の構成、作用効果は、図1図14の実施形態と同様である。
【0046】
図16は、図示の実施形態のプラグ10の変形例が示されており、図16におけるプラグ10は、本体部10A、中間部10B、テーパー部10C、ソケットとの接続側のロッド10Dを有している。テーパー部10Cは、中間部10Bから下端部(図16で下側端部)に向けて径寸法が徐々に減少しており、テーパー部10Cの下端部に水素充填ホース61が接続されている。
プラグ10における充填ホース側をテーパー部10Cで構成することにより、プラグ10側と水素充填ホース61側に段部が存在しなくなり、プラグ10がケーシング320の開口320Aの部材30、40、44、45と接触しても、テーパー部10Cにより、係合することが防止される。
【0047】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0048】
10・・・プラグ(安全継手の車両側の部材)
20・・・ソケット(安全継手の水素充填装置側の部材)
30・・・変形する部材
31・・・第1の板材
31A・・・突起
32・・・第2の板材
32A・・・長孔
32B・・・突起
33・・・弾性部材(例えば弦巻バネ)
40・・・回転可能な部材(ローラー等)
41、41-1、41-2、42、42-1、42-2・・・回転体
4S-1、42-2・・・隙間部
43、44、45、46、47・・・回転部材
50・・・支持機構
60・・・L字状部材
60A・・・L字状部材の一端
60B・・・L字状部材の他端
61・・・水素充填ホース
80・・・基板
100・・・安全継手用収容装置
101・・・安全継手
200・・・水素充填装置
320・・・ケーシング
320A・・・ケーシング下方の開口
HG・・・ヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18