(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044282
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/00 20060101AFI20240326BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A45D40/00 P
B65D77/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149712
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】遠山 良
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA04
3E067AB81
3E067AC01
3E067BA10B
3E067BA10C
3E067BB08C
3E067BB12B
3E067BB14B
3E067BB25B
3E067BC02B
3E067BC02C
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067CA04
3E067CA15
3E067EB27
3E067FA04
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】容器の操作性を向上する。
【解決手段】外容器20、前記外容器20に着脱可能に収納される内容器30、および前記外容器20と前記内容器30の間に位置する容器用部材40を有する容器であって、前記外容器20は、前記内容器30を収納する第1空間23に繋がる開口を有する環状部を備え、前記容器用部材40は、筒形状を有する外筒部46を有し、前記外筒部46の内周面と前記環状部の外周面が嵌合し、前記内容器30は、化粧料を収容する第2空間33を形成し、前記第1空間23に収納される化粧料収容部32と、前記化粧料収容部32の外側方向に張り出している内容器フランジ34と、前記内容器フランジ34から前記第2空間の深さ方向側である第1方向側に延出し、前記外筒部46の外周面側に重なる周壁部36と、を備える、容器。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器、前記外容器に着脱可能に収納される内容器、および前記外容器と前記内容器の間に位置する容器用部材を有する容器であって、
前記外容器は、前記内容器を収納する第1空間に繋がる開口を有する環状部を備え、
前記容器用部材は、筒形状を有する外筒部を有し、前記外筒部の内周面と前記環状部の外周面が嵌合し、
前記内容器は、
化粧料を収容する第2空間を形成し、前記第1空間に収納される化粧料収容部と、
前記化粧料収容部の外側方向に張り出している内容器フランジと、
前記内容器フランジから前記第2空間の深さ方向側である第1方向側に延出し、前記外筒部の外周面側に重なる周壁部と、
を備える、容器。
【請求項2】
前記周壁部の前記第1方向側の端部は、前記外筒部よりも前記第1方向側に位置する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器用部材は、前記環状部の内周側に位置する内筒部を有し、
前記内筒部と前記環状部との間には隙間が存在する、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記隙間の径方向における長さは0.7mm以上である、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記容器用部材は、前記外筒部の前記第1方向側と反対側である第2方向側の端部から内周側に延出しており、前記環状部の前記第2方向側の端面に対向する部材フランジを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記部材フランジの前記第1方向側の面には、環状のリブが形成されている、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記部材フランジの前記第2方向側の面には、環状のリブが形成されている、請求項5または6に記載の容器。
【請求項8】
前記内容器の前記化粧料収容部の外周面には突起が形成されており、
前記内筒部の内周面は、
前記容器用部材に対して前記内容器が回転することにより前記突起が乗り超えるリブ、および、
前記リブの一側において、前記突起の前記第2方向側への移動を制限する第1の段差部、
を有する、請求項3または請求項4に記載の容器。
【請求項9】
前記リブの一側は、前記容器用部材を前記第2方向側から見た場合における反時計回り方向側である、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
前記内筒部の内周面は、前記第2方向側を向き、周方向に対して傾斜している第2の段差部を有する、請求項8または9に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の容器として、内容器と外容器から構成される二重容器が知られている。二重容器にガラス製の外容器を用いることで、透明感、重量感および高級感などが演出される。
【0003】
このような二重容器は、例えば特許文献1に開示されている。具体的には、特許文献1に開示されている二重容器は、内容器と外容器の間に回動部材を有する。使用者が回動部材を回動させると、回動部材に設けられた傾斜面を内容器の外周に設けられた突起が摺動することで、内容器が上方へ移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された二重容器では、使用者が回動部材を回動させられるように、回動部材が露出している必要がある。このため、内容器に、回動部材の外周面に重なるような壁部を設けることが困難である。しかし、使用者はそのような内容器を把持し難い。従って、使用者は、外容器に内容器を収納する操作、および内容器を外容器から取り外す操作を行い難い。
【0006】
本発明は、操作性が向上された容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点は、外容器、前記外容器に着脱可能に収納される内容器、および前記外容器と前記内容器の間に位置する容器用部材を有する容器であって、前記外容器は、前記内容器を収納する第1空間に繋がる開口を有する環状部を備え、前記容器用部材は、筒形状を有する外筒部を有し、前記外筒部の内周面と前記環状部の外周面が嵌合し、前記内容器は、化粧料を収容する第2空間を形成し、前記第1空間に収納される化粧料収容部と、前記化粧料収容部の外側方向に張り出している内容器フランジと、前記内容器フランジから前記第2空間の深さ方向側である第1方向側に延出し、前記外筒部の外周面側に重なる周壁部と、を備える、容器に関する。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、容器の操作性を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による容器10の外観構成を示す説明図である。
【
図2】キャップ40が取り外された状態の容器10を示す説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態による外容器20の
図2に示したI-I線での断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による内容器30の斜視図である。
【
図5】
図4に示したII-II線での内容器30の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による介在部材30の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による介在部材30の断面斜視図である。
【
図8】内容器30が装着される流れを示す説明図である。
【
図9】外容器20に介在部材40および内容器30が装着された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<容器の全体構成>
本発明の一実施形態は、化粧料を収容する容器に関する。まず、
図1を参照し、本発明の一実施形態による容器の全体構成を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による容器10の外観構成を示す説明図である。
図2は、キャップ40が取り外された状態の容器10を示す説明図である。
図1および
図2に示したように、本発明の一実施形態による容器10は、外容器20、内容器30、介在部材40およびキャップ50を有する。
【0013】
外容器20は、内容器30を収容する第1空間を有する。外容器20は、
図1および
図2に示したように、透光性を有してもよい。このような外容器20の材料の代表例はガラスである。ただし、外容器20の材料はガラスに限定されず、陶器のような他の材料であってもよい。また、外容器20には、キャップ50が着脱可能に取り付けられる。キャップ50は、螺合、嵌合、磁力結合またはその他の態様で外容器20に取り付けられてもよい。
【0014】
内容器30は、
図2に示したように、有底の筒形状を有する化粧料収容部32を含む。化粧料収容部32は、化粧料を収容する第2空間33を形成する。化粧料収容部32に収容される化粧料は、例えば、保湿クリーム、クリームファンデーション、エイジングケアクリームなどのクリームであってもよい。このような化粧料収容部32は、
図2に示したように、外容器20に形成されている第1空間に収納される。なお、本明細書においては、化粧料収容部32において化粧料が収容される第2空間33の深さ方向(第2空間33の開口から化粧料収容部32の底部に向かう方向)を下方向と称し、下方向の反対方向を上方向と称する場合がある。下方向は第1方向の一例であり、上方向は第2方向の一例である。
【0015】
また、内容器30は、化粧料収容部32の上端から外側方向に張り出している内容器フランジ34を有する。内容器フランジ34は、環状に形成されている。環状とは、ある領域を取り囲う形状であり、ここでは、内容器フランジ34は第2空間33の開口を取り囲うように形成されている。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記の内容器30は、アルミニウムにより形成される。ただし、内容器30の材質はアルミニウムに限定されず、内容器30は、ステンレスのような他の金属、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系等の合成樹脂から形成されてもよい。
【0017】
介在部材40は、外容器20と内容器30との間に介在する容器用部材の一例である。介在部材40は、例えば、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系等の合成樹脂から形成されてもよい。当該介在部材40の詳細な構成は後述される。
【0018】
キャップ50は、外容器20に着脱可能に取り付けられる。キャップ50が外容器20に取り付けられた状態において、キャップ50と内容器フランジ34とが密着することにより、化粧料を収容する第2空間33の気密性が得られる。
【0019】
このような容器10においては、内容器30に化粧料が無くなった場合に、当該内容器30を新たな内容器30に付け替えることにより、外容器20、介在部材40およびキャップ50を継続して使用し得る。
【0020】
(背景)
ここで、本発明の一実施形態の背景を説明する。上述したように、内容器30は合成樹脂で形成されてもよいが、合成樹脂のリサイクルは現状困難であることから、化粧料が無くなって取り外された内容器30が廃棄されることが懸念される。この点について、内容器30に化粧料が無くなった場合に、チューブ容器から内容器30に化粧料を詰め替える方法が考えられる。しかし、この方法では、チューブ容器が使用後に廃棄されるので、ロスが大きい。
【0021】
これに対し、本発明の一実施形態では、内容器30をアルミニウムのような金属製とし得る。この場合、内容器30の付け替え時に廃棄されるものは、内容器30をシールするために用いられていたシール材に限られるので、環境面でのメリットが大きい。
【0022】
しかし、アルミニウム板を変形させて内容器30を形成することを考えると、内容器30に適用可能な設計は制限される。例えば、内容器30にアンダーカットを形成することは困難である。また、外容器20がガラス製である場合、外容器20の寸法のバラつきが大きくなる。このため、ガラス製の外容器20とアルミニウム製の内容器30を直接嵌合させると、ガタツキ、および削りカスによる異物混入の発生が懸念される。
【0023】
このような観点から、本発明の一実施形態においては、外容器20と内容器30との間に、例えば合成樹脂で形成される介在部材40が設けられる。当該介在部材40は、成形性に優れるので、ガラス製の外容器20の公差を吸収することが可能である。なお、介在部材40は、内容器30の付け替え後にも使用され続けられるので、環境にもやさしい。
【0024】
このような介在部材40は、外容器20へ安定的に装着されることが望ましい。また、介在部材40が設けられても、内容器30の付け替えを行いやすいことが望ましい。
【0025】
本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の一実施形態を創作するに至った。本発明の一実施形態は、外容器20への介在部材40の安定的な装着、および、内容器30の容易な付け替えを実現可能である。以下、このような本発明の一実施形態による容器10が有する外容器20、内容器30および介在部材40の構成を順次詳細に説明する。
【0026】
<外容器20の構成>
図3は、本発明の一実施形態による外容器20の
図2に示したI-I線での断面図である。
図3に示したように、本発明の一実施形態による外容器20は、下段部22、中段部24および上段部26を備える。
【0027】
下段部22、中段部24および上段部26は、それぞれ筒形状を有する。下段部22、中段部24および上段部26の各々の中空領域は、一体的に、内容器30を収容する第1空間23を形成する。なお、
図3に示した例では下段部22が第1空間23を非貫通とする底部を有しているが、下段部22は底部を有していなくてもよい。
【0028】
中段部24の外径は下段部22の外径よりも小さい。中段部24の外周面には、キャップ50の内周面と螺合する螺合部25が形成されている。
【0029】
上段部26は、第1空間23に繋がる開口を有する環状部の一例である。上段部26の外径は中段部24の外径よりも小さい。上段部26の外周面には、周方向に沿って連続的に凸部27が形成されている。
【0030】
<内容器30の構成>
図4は、本発明の一実施形態による内容器30の斜視図である。
図5は、
図4に示したII-II線での内容器30の断面図である。
図4および
図5に示したように、本発明の一実施形態による内容器30は、化粧料収容部32、内容器フランジ34および周壁部36を有する。
【0031】
化粧料収容部32は、上述したように、有底の筒形状を有する。化粧料収容部32は、化粧料を収容する第2空間33を形成する。化粧料収容部32の外周面には、1または2以上の突起35が形成される。1または2以上の突起35は、例えば、同一の高さ位置に等間隔で形成されている3つの突起であってもよい。
【0032】
内容器フランジ34は、化粧料収容部32の上端から外側方向に張り出している。内容器フランジ34における外縁から、周壁部36が下方向側に延出している。
【0033】
<介在部材40の構成>
図6は、本発明の一実施形態による介在部材30の断面図である。
図7は、本発明の一実施形態による介在部材30の断面斜視図である。
図6および
図7に示したように、本発明の一実施形態による介在部材30は、内筒部42と、部材フランジ44と、外筒部46と、を備える。
【0034】
内筒部42は、外容器20の内周側に位置する部分である。内筒部42の内周面には、複数の肉厚部420およびリブ425が形成されている。リブ425は、上下方向に沿って形成されている。肉厚部420は、上側を向き、周方向に対して傾斜している段差部421、および、リブ425の一側に位置し、下側を向くように形成された段差部423を有する。なお、段差部423は第1の段差部の一例であり、段差部421は第2の段差部の一例である。このような複数の肉厚部420およびリブ425は、内容器30の容易な装着に寄与する。以下、
図8を参照して具体的に説明する。
【0035】
図8は、内容器30が装着される流れを示す説明図である。
図8に示したように、介在部材40が装着された外容器20に使用者が内容器30を装着しようとすると、内容器30の外周面に形成された突起35が、介在部材40の段差部421に当接する(位置P1)。そして、使用者は、突起35が段差部421上を摺動するように内容器30を介在部材40および外容器20に対して回転させながら、内容器30の挿入を進める。
【0036】
突起35が段差部421から外れて位置P2に到達すると、使用者は、突起35がリブ425を乗り越えるように内容器30を介在部材40および外容器20に対して回転させる。これにより、突起35が位置P3に到達する。位置P3においては、段差部423が上側に形成されていることにより、突起35の上側への移動が制限されることから、内容器30の抜けが防止される。突起35の上側への移動が制限される位置P3は、
図8に示したように介在部材40を上側から見た場合の平面視においてリブ425の反時計回り方向側であってもよいし、時計回り方向側であってもよい。
【0037】
なお、内容器30の取り外しの際には、使用者は、突起35がリブ425を乗り越えるように内容器30を介在部材40および外容器20に対して回転させ、突起35がリブ425を乗り越えた後に内容器30を介在部材40および外容器20から引き出せばよい。
【0038】
図6および
図7を参照して介在部材40の構成の説明に戻る。介在部材40の部材フランジ44は、内筒部42の上端から外周側に延出しており(すなわち、外筒部46の上端から内周側に延出しており)、外容器20の上段部26の上端面に対向する。部材フランジ44の上面には上面リブ44Uが形成されており、部材フランジ44の下面には下面リブ44Lが形成されている。上面リブ44Uおよび下面リブ44Lは環状のリブである。
図6および
図7に示した例では、上面リブ44Uおよび下面リブ44Lが1つずつであるが、径方向において離隔する複数の上面リブ44Uおよび径方向において離隔する複数の下面リブ44Lが形成されてもよい。
【0039】
外筒部46は、筒形状を有し、部材フランジ44から下側に延出している。外筒部46の内周面には、周方向に沿って連続的に凸部47が形成されている。
【0040】
<装着状態>
次に、
図9を参照し、外容器20に介在部材40および内容器30が装着された状態を説明する。
【0041】
図9は、外容器20に介在部材40および内容器30が装着された状態を示す断面図である。当該状態においては、外容器20の第1空間23に介在部材40の内筒部42が挿入され、外容器20の上段部26の上端面に介在部材40の部材フランジ44が当接し、外容器20の上段部26の外周面と介在部材40の外筒部46の内周面が嵌合している。具体的には、上段部26の外周面に形成されている凸部27と、外筒部36の内周面に形成されている凸部47がアンダーカット嵌合している。ここで、外容器20の内周面と、介在部材40の内筒部42の外周面との間には、隙間が設けられる。当該隙間の径方向における長さdは、0.7mm以上である。
【0042】
また、
図9に示した状態においては、介在部材40の内筒部42の内周側に内容器30の化粧料収容部32が挿入され、介在部材40の部材フランジ44に内容器30の内容器フランジ34が当接している。また、内容器30の周壁部36が、介在部材40の外筒部46の外周面側に重なっている。周壁部36の下端位置は、外筒部46の下端位置よりも下側に位置している。
【0043】
<作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本発明の一実施形態によれば、外容器20と内容器30の間に介在部材40が設けられる。ガラス製の外容器20が用いられる場合でも、当該介在部材40が外容器20の寸法公差の影響を吸収するので、内容器30に用いる材質の自由度が高まる。例えば、内容器30をアルミニウムのような金属製とすることで、合成樹脂の廃棄量を低減できる。介在部材40は内容器30の付け替え後も継続して使用可能である。一方、介在部材40は外容器20から取り外しも可能であるので、容器10の廃棄時には分別が可能である。
【0044】
特に、外容器20の内周面と、介在部材40の内筒部42の外周面との間の隙間の長さdは、0.7mm以上に設計される。ガラス製の外容器20が用いられる場合、内径公差が0.5mm程度となることが想定されるところ、上記の介在部材40は、外容器20の内径公差の影響を受けずに外容器20に装着可能である。
【0045】
また、外容器20と内容器30の間に介在部材40が設けられることにより、外容器20の寸法公差が大きい場合でも、内容器30のガタツキの発生を抑制することが可能である。とりわけ、本発明の一実施形態によれば、部材フランジ44の上面には上面リブ44Uが形成されており、部材フランジ44の下面には下面リブ44Lが形成されている。上面リブ44が内容器フランジ34に当接し、下面リブ44Lが外容器20の上段部27の上端面に当接することにより、内容器30のガタツキの発生を一層抑制し得る。
【0046】
また、本発明の一実施形態によれば、内容器30が内容器フランジ34の外縁から下側に延出する周壁部36を有する。使用者は、周壁部36を持ちながら内容器30の着脱を行えるので、内容器30の着脱に関する操作性が向上される。
【0047】
さらに、周壁部36は、介在部材40の外筒部46の外周面側に重なっている。かかる構成によれば、介在部材40の外筒部46の下端が外側に広がることが抑制されるので、外筒部46の下端が外側に広がることにより外筒部46と外容器20との嵌合が外れてしまうことを防止し得る。当該効果は、周壁部36の下端位置が、外筒部46の下端位置と同じ高さ位置、または外筒部46の下端位置よりも下側に位置していることにより、一層顕著に発揮される。
【0048】
また、本発明の一実施形態による介在部材40には、複数の肉厚部420およびリブ425が形成されている。内容器30の外周面に形成された突起35が、使用者の操作により、段差部421上を摺動しながら移動し、リブ425を乗り越えて位置P3に到達する。位置P3においては、突起35の上側への移動が制限されることから、内容器30の抜けを防止可能である。
【0049】
また、突起35の上側への移動が制限される位置P3は、
図8に示したように介在部材40を上側から見た場合の平面視においてリブ425の反時計回り方向側であってもよい。使用者がキャップ50を開ける際に、キャップ50が反時計回り方向に回転し、当該回転の力が、キャップ50に当接する内容器30に伝わり得る。この時、内筒部30がキャップ50と同じ反時計回り方向に回転しようとしても、リブ425は時計回り方向側に位置していることから、リブ425を突起35が乗り超えることを防止し得る。すなわち、使用者が意図せずに内容器30が介在部材40から外れてしまうことを防止し得る。
【0050】
<補足>
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0051】
例えば、外容器20および介在部材40は、介在部材40が外容器20に対して回転することを防止するための機構を有してもよい。以下、
図10および
図11を参照して、当該機構の具体例を説明する。
【0052】
図10は、外容器20の斜視図である。
図11は、介在部材40の斜視図である。
図10に示したように、外容器20の上段部26の外周面には、上下方向に沿って回転防止リブ28が形成されてもよい。当該回転防止リブ28は、凸部27よりも外側に突出している。また、
図11に示したように、介在部材40の外筒部46の内周面には、上下方向に沿って回転防止溝48が形成されてもよい。介在部材40の回転防止溝48に外容器20の回転防止リブ28が嵌ることにより、介在部材40が外容器20に対して回転することを防止可能である。なお、周方向において等間隔に複数の回転防止リブ28および回転防止溝48が形成されてもよい。また、外容器20側に回転防止溝が形成され、介在部材40側に回転防止リブが形成されてもよい。
【0053】
さらに、上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の容器を開示する。
<1>
外容器、前記外容器に着脱可能に収納される内容器、および前記外容器と前記内容器の間に位置する容器用部材を有する容器であって、
前記外容器は、前記内容器を収納する第1空間に繋がる開口を有する環状部を備え、
前記容器用部材は、筒形状を有する外筒部を有し、前記外筒部の内周面と前記環状部の外周面が嵌合し、
前記内容器は、
化粧料を収容する第2空間を形成し、前記第1空間に収納される化粧料収容部と、
前記化粧料収容部の外側方向に張り出している内容器フランジと、
前記内容器フランジから前記第2空間の深さ方向側である第1方向側に延出し、前記外筒部の外周面側に重なる周壁部と、
を備える、容器。
【0054】
<2>
前記周壁部の前記第1方向側の端部は、前記外筒部よりも前記第1方向側に位置する、前記<1>に記載の容器。
<3>
前記容器用部材は、前記環状部の内周側に位置する内筒部を有し、
前記内筒部と前記環状部との間には隙間が存在する、前記<1>または<2>に記載の容器。
<4>
前記隙間の径方向における長さは0.7mm以上である、前記<3>に記載の容器。
<5>
前記容器用部材は、前記外筒部の前記第1方向側と反対側である第2方向側の端部から内周側に延出しており、前記環状部の前記第2方向側の端面に対向する部材フランジを有する、前記<1>~<4>のいずれか一項に記載の容器。
<6>
前記部材フランジの前記第1方向側の面には、環状のリブが形成されている、前記<5>に記載の容器。
<7>
前記部材フランジの前記第2方向側の面には、環状のリブが形成されている、前記<5>または<6>に記載の容器。
<8>
前記内容器の前記化粧料収容部の外周面には突起が形成されており、
前記内筒部の内周面は、
前記容器用部材に対して前記内容器が回転することにより前記突起が乗り超えるリブ、および、
前記リブの一側において、前記突起の前記第2方向側への移動を制限する第1の段差部、
を有する、前記<3>または前記<4>に記載の容器。
<9>
前記リブの一側は、前記容器用部材を前記第2方向側から見た場合における反時計回り方向側である、前記<8>に記載の容器。
<10>
前記内筒部の内周面は、前記第2方向側を向き、周方向に対して傾斜している第2の段差部を有する、前記<8>または<9>に記載の容器。
<11>
前記外容器、および前記容器用部材は、前記外容器に対して前記容器用部材が回転することを防止するための機構を有する、前記<1>~<10>のいずれか一項に記載の容器。
<12>
前記機構として、
前記外容器の前記環状部の外周面には、前記第2空間の深さ方向に沿う回転防止リブが形成されており、
前記容器用部材の前記外筒部の内周面には、前記第2空間の深さ方向に沿い、前記回転防止リブが嵌る回転防止溝が形成されている、前記<11>に記載の容器。
【符号の説明】
【0055】
10 容器
20 外容器
22 下段部
23 第1空間
24 中段部
26 上段部
27 凸部
28 回転防止リブ
30 内容器
32 化粧料収容部
33 第2空間
34 内容器フランジ
36 周壁部
40 介在部材
42 内筒部
420 肉厚部
421 段差部
423 段差部
425 リブ
44 部材フランジ
44U 上面リブ
44L 下面リブ
46 外筒部
47 凸部
48 回転防止溝