(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044293
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】液状水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/68 20060101AFI20240326BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240326BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240326BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20240326BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240326BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K8/68
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/63
A61Q19/00
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149731
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】591230619
【氏名又は名称】株式会社ナリス化粧品
(72)【発明者】
【氏名】井上(中野) 千尋
(72)【発明者】
【氏名】中村 徹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB212
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC262
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC682
4C083AC852
4C083AC902
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD212
4C083AD252
4C083AD282
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD572
4C083AD622
4C083AD662
4C083BB45
4C083CC02
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD23
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保湿力とハリ感が良好で、かつべたつきが抑えられた使用感をもち、経時安定性に優れた液状水中油型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)~(D)を含む液状水中油型乳化化粧料。
成分(A):スフィンゴ糖脂質
成分(B):炭素数12~22の高級アルコールを0.1~10質量%
成分(C):ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体、脂肪酸ステロールエステル及びN-アシルアミノ酸エステルから選択される1種又は2種以上の油剤を0.1~15質量%
成分(D):成分(C)以外の、少なくとも一部にヒドロキシステアリン酸を有する油剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D)を含む液状水中油型乳化化粧料。
成分(A):スフィンゴ糖脂質
成分(B):炭素数12~22の高級アルコールを0.1~10質量%
成分(C):ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体、脂肪酸ステロールエステル、及びN-アシルアミノ酸エステルから選択される1種又は2種以上の油剤を0.1~15質量%
成分(D):成分(C)以外の、少なくとも一部にヒドロキシステアリン酸を有する油剤
【請求項2】
前記成分(C)がダイマージリノール酸ジリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)及びマカデミアナッツ油脂肪酸フィトステロールエステルから選ばれる1種又は2種以上を含む請求項1に記載の液状水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
前記成分(D)がポリヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル及びポリヒドロキシステアリン酸エチルヘキシルから選ばれる1種又は2種以上を含む請求項1または請求項2に記載の液状水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状水中油型乳化化粧料に関し、更に詳しくはハリ感と保湿力に優れながら、べたつきを抑えた使用感で、流動性を維持しつつも経時安定性に優れる液状水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
人の肌は、加齢に伴い、部分的に弾力が失われて、いわゆる肌のたるみ等が現れてくる。このような症状が現れてきた人を対象に、肌に水分を補い、肌のたるみを引き上げる化粧料が多数発売されている。水中油型乳化化粧料においては、固形油やペースト油を多量に配合する方法(特許文献1)等が用いられていた。
【0003】
しかしながら、固形油やペースト油を多量に配合する方法では、油剤の特性上べたつきが生じるとともに、粘度が上昇し、満足できる使用感を十分に得られないという課題があった。また、乳化滴の凝集や合一、結晶析出等を生じる場合があり、特に液状水中油型乳化化粧料における経時安定性の確保が困難であった。
【0004】
従来このような経時安定性を向上させる場合、水溶性高分子で外相の水をゲル化させ粘性を高めて乳化粒子が合一しにくくする方法が用いられていた。しかしながら、液状を維持するためには、水溶性高分子を多量に配合ができず、かつ肌のべたつき、肌のつっぱり感などの使用感上問題があった(特許文献2)。
【0005】
また、界面活性剤を配合することで水性成分と油性成分を安定的に混合せしめたり、乳化膜を強固にして合一しにくくする方法等が用いられていたが、べたつきの強い物質であるため、良好な使用感を得るには、この配合量を減らす、または抜去することが望ましい(特許文献3)。
【0006】
一方、細胞間脂質の一種であるスフィンゴ糖脂質で乳化できることも知られているが、乳化力が界面活性剤に比べて低いため、スフィンゴ糖脂質で固形油やペースト油をはじめとする油を乳化した場合、乳化滴の合一、低温での結晶析出等を生じ、経時安定性の確保が困難であった。さらに、特に低温において固化しやすく、液状乳化化粧料の場合は流動性を維持することが難しいため、使用性が悪化するという問題もある。
【0007】
以上のことから、肌のハリ感と保湿力に優れながら、べたつきを抑えた使用感で、経時安定性に優れる液状水中油型乳化化粧料が求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-62382号公報
【特許文献2】特開2001-226250号公報
【特許文献3】特開2006-199598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、保湿力とハリ感が良好で、かつべたつきが抑えられた使用感をもち、経時安定性に優れた液状水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明者らが鋭意研究した結果、特定の成分組み合わせを有する液状水中油型乳化化粧料において、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、次の(A)~(D)を含有する液状水中油型乳化化粧料を提供するものである。
(A)スフィンゴ糖脂質
(B)炭素数12~22の高級アルコールを0.1~10質量%
(C)ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体、脂肪酸ステロールエステル、及びN-アシルアミノ酸エステルから選択される1種又は2種以上の油剤を0.1~15質量%
(D)(C)以外の少なくとも一部にヒドロキシステアリン酸を有する油剤
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保湿力、ハリ感、およびべたつかない良好な使用感を両立し、かつ経時安定性に優れ、さらに流動性が良好で使用性が良い液状水中油型乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について更に詳しく説明する。なお、特段注釈のない限り、以下で成分の配合量を「%」で表示する場合は質量%を意味する。
【0014】
本発明における成分(A)スフィンゴ糖脂質は、アミノ基を持つ長鎖アルコールであるスフィンゴイド類(スフィンゴイド塩基)を含む脂質に脂肪酸及び糖類が結合した複合糖脂質を指し、以下の化学式(式1)で表される。
【0015】
【0016】
式1中、R1は、飽和又は不飽和のアルキル基であり、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、水酸基などで置換されていてもいなくてもよい。アルキル基の炭素数は、通常1~50の範囲内であり、10~25の範囲内であるのが好ましい。
R2は、糖類である。糖類としては、単糖類、二糖類及び多糖類などが挙げられる。また、糖におけるヒドロキシル基やヒドロキシメチル基を他の基で置き換えた糖誘導体であっても構わない。このような糖誘導体としては、例えば、グルコサミンやグルクロン酸、N-アセチルグルコサミンなどがある。これらの中でも、ガラクトース、マンノース、グルクロン酸、グルコサミンの内少なくとも1種を構成単糖として含まれるのが好ましい。
R3は、シクロアルキル基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。R3の炭素数はとくに限定されないが、15~25の範囲内であるのが好ましい。R3のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は直鎖であっても分枝鎖であってもよく、また、水酸基やメチル基などで置換されていてもいなくてもよい。とくに、アルキル基の鎖中にシクロプロピル基などのシクロアルキル基が存在していてもよい。アルケニル基の二重結合の位置や、アルキニル基の三重結合の位置はとくに限定されない。
スフィンゴ糖脂質としては、市販されているものを用いることができ、例えば、大日本化成社製のビオセラG及びビオセラQD、キッコーマンバイオケミファ社製のバイオスフィンゴ等を用いることができる。
【0017】
成分(A)の配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されないが、通常、液状水中油型乳化化粧料全量に対し0.05~3%、好ましくは0.14~1%の範囲で用いられる。この範囲では乳化力、保湿感および使用感が非常に優れている。
【0018】
本発明における成分(B)の高級アルコールは、炭素数12~22の脂肪族アルコールであり、炭素数16~22が好ましい。通常の化粧料に用いられる高級アルコールであれば特に限定されない。具体的には、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデシノール、バチルアルコールなどが挙げられる。必要に応じて脂肪酸部分を水素添加した脂肪族アルコールも有用であり、例えば水添ナタネ油アルコール等が挙げられる、これらを1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール、水添ナタネ油アルコールが好適であり、ハリ感や保湿感を得易く、経時安定性が特に良好な液状水中油型乳化化粧料を得ることができる。
【0019】
成分(B)の配合量は0.1~10%であり、1~6%が好ましい。成分(B)の含有量がこの範囲であると、より乳化性が良好であり、経時安定性に優れる液状水中油型乳化化粧料を得ることができる。0.1%未満の場合は、ハリ感や保湿感が不十分になる傾向があり、10%を超える場合は、べたつきを生じやすく、流動性が悪くなる傾向があるため好ましくない。
【0020】
本発明における成分(C)は、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体、脂肪酸ステロールエステル及びN-アシルアミノ酸エステルから選択される。なお、成分(C)にはダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体であり、かつ脂肪酸ステロールエステルでもある成分や、N-アシルアミノ酸エステルであり、かつ脂肪酸ステロールエステルでもある成分も含まれる。
【0021】
本発明における成分(C)のダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体は、モノ-或いはジ-不飽和脂肪酸を2量体化させた後、必要に応じて水素添加して得られるダイマー酸と種々のアルコールとのエステル体、さらにはダイマー酸を還元して得られるダイマージオールと種々の脂肪酸とのエステル体、ダイマー酸とダイマージオールとのエステル体などを指し、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)などが例示できる。
【0022】
本発明における成分(C)の脂肪酸ステロールエステルは、フィトステロールを脂肪酸でエステル化して得られる脂肪酸フィトステロールエステル、またはコレステロールを脂肪酸でエステル化して得られる脂肪酸コレステロールエステル等を指し、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、コメヌカ油脂肪酸フィトステリル、オレイン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸コレステリル、コメヌカ油脂肪酸コレステリルなどが例示できる。
【0023】
本発明における成分(C)のN-アシルアミノ酸エステルはN-アシルアミノ酸と高級アルコール類とのエステルを指し、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)などが例示できる。
【0024】
成分(C)として特に好ましくは、ダイマージリノール酸ジリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリルが挙げられる。成分(C)を配合すると、ハリ感や保湿感を得易く、べたつきが抑えられた使用感の良好な液状水中油型乳化化粧料を得ることができる。
【0025】
成分(C)の配合量は、全組成中0.1~15%であり、好ましくは1~10%である。15%を超える場合は、肌に塗布した場合の感触がべたつくなど使用感が悪くなる傾向があるため好ましくなく、0.1%未満の場合は、保湿効果やハリ感が十分に発揮されない場合があり好ましくない。
【0026】
成分(C)は、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体、脂肪酸ステロールエステル及びN-アシルアミノ酸エステルから選択される1種又は2種以上を用いることができるが、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体、脂肪酸ステロールエステル及びN-アシルアミノ酸エステルを併用して用いることにより、さらにしっとり感とハリ感を両立させることが可能となる。
【0027】
本発明における成分(D)は少なくとも一部にヒドロキシステアリン酸を有する油剤である。例えば、ポリヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ポリヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、ジペンタエリトリットヒドロキシステアリン酸エステル等が挙げられる。中でも好ましくは、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ポリヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ポリヒドロキシステアリン酸エチルヘキシルが挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これらを用いると、特に低温における粘度上昇を抑えることができるため、液状水中油型乳化化粧料として良好な使用性を維持できる。
【0028】
成分(D)の配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されないが、通常、液状水中油型乳化化粧料全量に対し、0.1~5%、好ましくは0.1~3%の範囲で用いられる。この範囲では、安定性及び流動性が非常に優れている。
【0029】
本発明において液状とは、流動性を有するものをいう。具体的には、No.7スクリュー管((株)マルエム)に30ml充填し、5℃で18時間静置した後、スクリュー管を開栓し、135度傾けたとき30秒以内に流出するものを、流動性を有する基準とした。
【0030】
本発明の組成物には、上記の必須成分のほかに、必要に応じ一般的に通常乳化化粧料などに用いられる成分を配合することも可能である。例えば、パール剤、保湿剤、成分(B)および成分(C)以外の油剤、成分(D)以外の増粘剤、水溶性高分子、香料、殺菌剤、防腐剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、低級アルコール類、粉体、スクラブ剤、生体由来成分、抗炎症剤、抗酸化剤、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類等の添加物を適時配合することができる。これら成分を含有させる場合の配合割合は、その種類や目的に応じて適宜選択することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【実施例0031】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に説明する。なお、これら実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0032】
実施例の評価方法について述べる。
<経時安定性の評価>
製剤は調整後25℃で3ヶ月静置し、熟練した技術者が目視により下記の基準で評価した。
[経時安定性の評価基準]
「○」:分離がなく均一である
「△」:一部不均一である
「×」:結晶または分離が認められる
【0033】
<使用感評価>
乳化化粧料調製1日後の化粧料を基礎化粧品官能評価員10名が実際に使用し、それぞれ下記基準に基づいて評価した。10名の評価点の平均値を算出し、3.0点未満を×、3.0点以上4.0点未満を△、4.0点以上4.5点未満を○、4.5点以上を◎とした。
[しっとり感の評価基準]
5点:非常に満足
4点:やや満足
3点:ふつう
2点:やや不満
1点:非常に不満
[肌へのハリ感の評価基準]
5点:非常に満足
4点:やや満足
3点:ふつう
2点:やや不満
1点:非常に不満
[べたつきの評価基準]
5点:全くべたつかない
4点:ほとんどべたつかない
3点:ふつう
2点:ややべたつく
1点:非常にべたつく
【0034】
[流動性の評価]
乳化化粧料の調製後、それぞれの流動性を評価した。No.7スクリュー管((株)マルエム)に30ml充填し、5℃で18時間静置した。その後、スクリュー管を開栓し、135度傾けたときの流動性を下記の基準にて評価した。
「○」:30秒以内に流出する
「×」:30秒経過後に流出する、又は流出しない
【0035】
【0036】
【0037】
表1の結果から明らかなように、実施例1~17の液状水中油型乳化化粧料は、経時安定性、しっとり感、肌のハリ感、およびべたつきの全ての評価項目において良好なものであった。実施例1~3では成分Aについてその配合量を変更しても本発明の効果を奏することが確認できた。実施例4~5では成分Bについてその種類を問わず本発明の効果を満たすことがわかる。実施例6および実施例8では成分Bが多く、実施例7および実施例9では成分Bが少なくなっているが、当該配合量範囲では問題なく本発明の効果を奏する結果であった。実施例10~14では成分Cについてその種類を問わず本発明の効果を満たすこと、成分Cの各実施例範囲内では問題なく本発明の効果を奏することがわかる。実施例15~17成分Dについてその種類を問わず本発明の効果を満たすこと、成分Dの各実施例範囲内では問題なく本発明の効果を奏することがわかる。
【0038】
一方、表2の結果から、成分Aの類似成分である比較例1及び2では、調製直後はなめらかに調製されているように見えたが、25℃3ヵ月保存後は、結晶や分離が確認された。また、成分Bに対して炭素数が範囲外である比較例5及び6では、ハリ感やしっとり感において満足できる使用感を得られなかった。比較例3ではしっとり感・ハリ感が不十分であり、比較例4では安定性が悪く、べたつきが増加した。さらに流動性は非常に低かった。比較例7及び8の結果からも、成分Cが少ないとハリ感やしっとり感が不十分であり、成分Cが多いとべたつきが増え、流動性が低下した。また、成分Cをショ糖脂肪酸エステルに置き換えた比較例9及び10では、べたつきが多く使用感が悪かった。成分Dをミリスチン酸を含む油剤に置き換えた比較例11では、流動性が低く使用性が悪かった。
【0039】
常法にて、以下に示す各処方を作製した。いずれの処方においても本発明の効果を奏することが確認された。
【0040】
(1)乳液
配合成分 配合量(%)
水添ポリイソブテン 1.5
ジメチコン 2.5
ホホバ種子油 1
リンゴ酸ジイソステアリル 1
野菜油 1
セタノール 2
ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
1.5
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 0.5
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル 0.8
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル) 0.8
ポリヒドロキシステアリン酸 1
オクチルドデカノール 3
イソステアリルアルコール 5
トリエチルヘキサノイン 1
コレステロール 0.4
スフィンゴ糖脂質 3
1,3-ブチレングリコール 10
グリセリン 8
PEG-400 1.5
メチルグルセス-10 2
PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン 0.5
ペンチレングリコール 0.5
ソルビトール 0.7
カルボマー 0.08
キサンタンガム 0.2
プルラン 0.05
ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル 0.02
シメチコン 0.03
ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.0235
オウレンエキス 0.004
水酸化K 0.019
トコフェロール 0.1
ローマカミツレ花油 0.001
ジラウロイルグルタミン酸リシンNa 0.0001
レチノール 0.0001
リン脂質 0.0001
リン酸セチル 0.0001
ヒアルロン酸Na 0.001
ナイアシンアミド 3
エチルヘキシルグリセリン 0.2
フェノキシエタノール 0.15
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル 0.003
水 残余
合計 100
【0041】
(2)乳液
配合成分 配合量(%)
水添ポリイソブテン 1.5
スクワラン 3
ジメチコン 2.5
メドウフォーム油 2.8
リンゴ酸ジイソステアリル 2
野菜油 1
ミリスチルアルコール 1
ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
1.5
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 2.5
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル 1.5
マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 1
ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル 5
スフィンゴ糖脂質 3
1,3-ブチレングリコール 8
グリセリン 8
PEG-400 1.5
メチルグルセス-10 2
PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン 0.5
ソルビトール 0.7
カルボマー 0.1
キサンタンガム 0.3
シメチコン 0.03
ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.0235
水酸化K 0.019
トコフェロール 0.07
セラミドNP 0.0001
セラミドNG 0.0001
セラミドEOP 0.0001
レチノール 0.0001
ナイアシンアミド 3
エチルヘキシルグリセリン 0.2
フェノキシエタノール 0.15
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル 0.003
水 残余
合計 100
【0042】
(3)サンスクリーン
配合成分 配合量(%)
水添ナタネ油アルコール 0.3
酸化亜鉛 3.125
イソステアリン酸 0.125
ポリヒドロキシステアリン酸 2
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 0.7
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル 0.3
水添ポリイソブテン 1.65
ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 2
ジメチコン 1
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 10
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 2
エタノール 5
1,3-ブチレングリコール 6
グリセリン 9
キサンタンガム 0.1
シロキクラゲ多糖体 0.02
PEG-50水添ヒマシ油 1.5
スフィンゴ糖脂質 0.05
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー 0.28
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.07
t-ブタノール 0.013
アクリレーツコポリマー 0.9
メタクリル酸メチルクロスポリマー 3
トコフェロール 0.05
ヒドロキシプロピルシクロデキストリン 0.024
エチルヘキシルグリセリン 0.2
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル 0.003
キレート剤 適量
水 残量
合計 100