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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044306
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149756
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫紀
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD19
5H607EE31
5H607FF01
5H607GG01
5H607GG08
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モータシャフトと出力シャフトとの間の摩擦を抑制することができる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】モータ軸J1を中心として回転可能な中空のモータシャフト23を有するモータと、モータシャフトに連結される減速機構30と、軸方向に延び、減速機構を介してモータシャフトの回転が減速して伝達される出力シャフト46と、出力シャフトを径方向外側から囲む環状の滑り部材61と、を備える。出力シャフトの少なくとも一部は、モータシャフトの内部に位置する。減速機構は、モータシャフトに連結され、モータシャフトの回転が減速して伝達される環状の外歯ギヤ31と、外歯ギヤの回転を出力シャフトに伝達する環状のフランジ部42と、を有する。フランジ部は、外歯ギヤと軸方向に間隔をあけて配置される。軸方向において、滑り部材は、外歯ギヤとフランジ部との間に配置され、外歯ギヤおよびフランジ部と接触する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸を中心として回転可能な中空のモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトに連結される減速機構と、
軸方向に延び、前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が減速して伝達される出力シャフトと、
前記出力シャフトを径方向外側から囲む環状の滑り部材と、
を備え、
前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置し、
前記減速機構は、
前記モータシャフトに連結され、前記モータシャフトの回転が減速して伝達される環状の外歯ギヤと、
前記外歯ギヤの回転を前記出力シャフトに伝達する環状のフランジ部と、
を有し、
前記フランジ部は、前記外歯ギヤと軸方向に間隔をあけて配置され、
軸方向において、前記滑り部材は、前記外歯ギヤと前記フランジ部との間に配置され、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部と接触する、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記モータ、前記減速機構、前記出力シャフト、および前記滑り部材を内部に収容するケースを備え、
前記モータシャフトは、前記モータ軸と平行な第2軸線を中心とする円形状の外周面を有する偏心軸部を有し、
前記外歯ギヤは、前記偏心軸部の外周面にベアリングを介して連結され、
前記減速機構は、前記外歯ギヤの径方向外側に配置され前記ケースに固定される環状の内歯ギヤを有し、
前記内歯ギヤの内周面に沿って設けられる内歯歯車部の一部は、前記外歯ギヤの外周面に沿って設けられる外歯歯車部の一部と噛み合い、
前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方は、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方を軸方向に貫通し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の貫通孔部を有し、
前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方には、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方から軸方向に突出し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の突出部が設けられ、
前記複数の突出部のそれぞれは、前記複数の貫通孔部のそれぞれに挿入され、
前記滑り部材は、前記複数の突出部よりも径方向内側に配置される、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記滑り部材の径方向外縁部は、前記複数の突出部のうち少なくとも1つの突出部と径方向に接触する、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記モータ、前記減速機構、前記出力シャフト、および前記滑り部材を内部に収容するケースを備え、
前記モータシャフトは、前記モータ軸と平行な第2軸線を中心とする円形状の外周面を有する偏心軸部を有し、
前記外歯ギヤは、前記偏心軸部の外周面にベアリングを介して連結され、
前記減速機構は、前記外歯ギヤの径方向外側に配置され前記ケースに固定される環状の内歯ギヤを有し、
前記内歯ギヤの内周面に沿って設けられる内歯歯車部の一部は、前記外歯ギヤの外周面に沿って設けられる外歯歯車部の一部と噛み合い、
前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方は、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方を軸方向に貫通し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の貫通孔部を有し、
前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方には、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方から軸方向に突出し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の突出部が設けられ、
前記複数の突出部のそれぞれは、前記複数の貫通孔部のそれぞれに挿入され、
前記滑り部材は、前記複数の突出部よりも径方向外側に配置される、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記滑り部材の径方向内縁部は、前記複数の突出部のうち少なくとも1つの突出部と径方向に接触する、請求項4に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータと、モータと連結される減速機構と、減速機構を介してモータの回転が伝達される出力シャフトと、を備えるアクチュエータが知られている。例えば、特許文献1には、モータシャフトが軸受を介して出力シャフトを支持することによって、モータシャフトと出力シャフトとの間の摩擦を抑制する構成の電動アクチュエータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-151347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動アクチュエータにおいては、モータシャフトの回転が減速されて出力シャフトに伝達されるため、モータシャフトと出力シャフトとの間の回転速度差が大きい。そのため、モータシャフトと出力シャフトとの間の摩擦が大きくなり易く、出力効率を高めることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、モータシャフトと出力シャフトとの間の摩擦を抑制することができる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸を中心として回転可能な中空のモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトに連結される減速機構と、軸方向に延び、前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が減速して伝達される出力シャフトと、前記出力シャフトを径方向外側から囲む環状の滑り部材と、を備える。前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置する。前記減速機構は、前記モータシャフトに連結され、前記モータシャフトの回転が減速して伝達される環状の外歯ギヤと、前記外歯ギヤの回転を前記出力シャフトに伝達する環状のフランジ部と、を有する。前記フランジ部は、前記外歯ギヤと軸方向に間隔をあけて配置される。軸方向において、前記滑り部材は、前記外歯ギヤと前記フランジ部との間に配置され、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部と接触する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、モータシャフトと出力シャフトとの間の摩擦を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の伝達機構を上側から見た図である。
図3図3は、第1実施形態の電動アクチュエータの一部を上側から見た図である。
図4図4は、第2実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
図5図5は、第2実施形態の電動アクチュエータの一部を上側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図においてZ軸方向は、正の側(+Z側)を上側とし、負の側(-Z側)を下側とする上下方向である。各図に適宜示すモータ軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、モータ軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。なお、上下方向、上側、および下側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0010】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ1は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ1は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。電動アクチュエータ1は、ケース10と、モータ20と、減速機構30と、出力シャフト46と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、基板80と、回転センサ81と、センサマグネット45と、滑り部材61と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52、および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。
【0011】
ケース10は、モータ20、減速機構30、出力シャフト46、および滑り部材61を含む電動アクチュエータ1の各部材を内部に収容する。ケース10は、ケース本体11と、カバー12と、を有する。ケース本体11は、モータ軸J1を中心とする円筒状である。ケース本体11は、上側に開口する。ケース本体11は、第1収容部11aと、第2収容部11bと、を有する。
【0012】
第1収容部11aは、ケース本体11の下側の部分である。第1収容部11aは、下側に位置する底部11cと、底部11cの径方向外縁部から上側に延びる筒部11dと、を有する。底部11cは、底部11cを軸方向に貫通する孔部11eを有する。孔部11eは、モータ軸J1を中心とする略円形状の孔である。孔部11eの上側の部分は、第1ベアリング51を保持する第1ベアリング保持部11fを構成する。第1ベアリング51は、第1ベアリング保持部11fに保持されることで、ケース本体11に保持される。
【0013】
第2収容部11bは、ケース本体11の上側の部分である。第2収容部11bは、第1収容部11aと軸方向に繋がる。第2収容部11bは、上側に開口する筒状である。第2収容部11bの内周面には、上側を向く段差面11gを有する段差が設けられる。段差面11gは、軸方向と直交する面である。段差面11gには、基板80が固定される。
【0014】
基板80は、径方向に広がる板状である。基板80の板面は軸方向を向く。基板80には、基板80を軸方向に貫通する貫通孔80aが設けられる。貫通孔80aは、モータ軸J1を中心とする略円形状の孔である。図示は省略するが、基板80には、モータ20に電力を供給するインバータ回路が設けられる。
【0015】
基板80には、回転センサ81が取り付けられる。回転センサ81は、出力シャフト46の回転を検出可能なセンサである。本実施形態において回転センサ81は、磁気センサである。回転センサ81は、例えば、ホールICなどのホール素子である。本実施形態において回転センサ81は、基板80の上側を向く面うち貫通孔80aの周縁部に取り付けられる。
【0016】
カバー12は、ケース本体11に固定される。カバー12は、ケース本体11の開口を塞ぐ。カバー12は、ケース本体11の開口を塞ぐカバー本体12aと、カバー本体12aから下側に突出する第2ベアリング保持部12bと、を有する。第2ベアリング保持部12bは、モータ軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。第2ベアリング保持部12bの内周面には、第2ベアリング52が保持される。
【0017】
モータ20は、ロータ21と、ステータ22と、を有する。ロータ21は、モータシャフト23と、ロータ本体24と、を有する。モータシャフト23は、モータ軸J1回りに回転可能である。モータシャフト23は、モータ軸J1を中心とし、軸方向に延びる円筒状である。モータシャフト23は、中空シャフトである。モータシャフト23は、軸方向の両側に開口する。モータシャフト23は、第1収容部11aの内部と第2収容部11bの内部とに跨って延びている。モータシャフト23は、本体部23aと、偏心軸部23bと、を有する。
【0018】
本体部23aは、モータシャフト23の上側の部分である。本体部23aの外周面にはロータ本体24が固定される。本体部23aの上側の端部は、第2収容部11bの内部に位置する。本体部23aのうち上側の端部を除いた部分は、第1収容部11aの内部に位置する。本体部23aの上側の端面は、上側を向く第5対向面23dである。第5対向面23dは、モータシャフト23の上側の端面である。軸方向に見て、第5対向面23dは、モータ軸J1を囲む円環状である。
【0019】
偏心軸部23bは、モータシャフト23の下側の部分である。偏心軸部23bは、本体部23aと軸方向に繋がる。偏心軸部23bは、第1収容部11aの内部に配置される。偏心軸部23bは、ロータ本体24の下側に配置される。軸方向に見て、偏心軸部23bの内周面は、モータ軸J1を中心とする円形状である。軸方向に見て、偏心軸部23bの外周面は、モータ軸J1に対して偏心した第2軸線J2を中心とする円形状である。第2軸線J2は、モータ軸J1と平行である。偏心軸部23bの外周面には、第3ベアリング53の内輪が嵌め合わされて固定される。これにより、第3ベアリング53は、モータシャフト23に固定される。
【0020】
ロータ本体24は、本体部23aの外周面に固定される。ロータ本体24は、第1収容部11aの内部に収容される。ロータ本体24は、本体部23aの外周面に固定される円環状のロータコア24aと、ロータコア24aに固定されるロータマグネット24bと、を有する。
【0021】
ステータ22は、ロータ21と径方向に対向して配置される。ステータ22は、ロータ21の径方向外側に隙間を介して配置される。ステータ22は、第1収容部11aの内部に収容される。ステータ22は、ロータ本体24を径方向外側から囲む環状のステータコア22aと、ステータコア22aに装着されたインシュレータ22bと、インシュレータ22bを介してステータコア22aに装着された複数のコイル22cと、を有する。ステータコア22aの外周面は、筒部11dの内周面に固定されている。これにより、ステータ22は、ケース10に固定される。
【0022】
減速機構30は、第1収容部11aの内部に収容される。減速機構30は、ロータ本体24およびステータ22の下側に配置される。減速機構30は、モータシャフト23および出力シャフト46に連結される。減速機構30は、モータシャフト23の回転を減速して出力シャフト46に伝達する。減速機構30は、外歯ギヤ31と、内歯ギヤ32と、フランジ部42と、複数の突出部43と、を有する。
【0023】
外歯ギヤ31は、第2軸線J2を中心として、軸方向と直交する平面に沿って広がる略円環板状である。外歯ギヤ31は、第3ベアリング53の外輪に嵌め合わされる。これにより、外歯ギヤ31は、モータシャフト23の偏心軸部23bに第3ベアリング53を介して連結される。外歯ギヤ31は、第2軸線J2回りにモータシャフト23と相対的に回転可能である。図2に示すように、外歯ギヤ31は、複数の貫通孔部31bと、外歯歯車部31cと、を有する。
【0024】
複数の貫通孔部31bは、それぞれ、外歯ギヤ31を軸方向に貫通する孔である。図2に示すように、複数の貫通孔部31bは、それぞれ、円形状の孔である。複数の貫通孔部31bは、モータ軸J1を囲んで配置される。より詳細には、複数の貫通孔部31bは、第2軸線J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。本実施形態において、貫通孔部31bは、8個設けられる。
【0025】
外歯歯車部31cは、外歯ギヤ31の外周面に沿って設けられる。外歯歯車部31cは、外歯ギヤ31の外周面に沿って並ぶ複数の外歯歯部31dを有する。
【0026】
図1に示すように、外歯ギヤ31は、第1対向面31eと、第2対向面31fと、を有する。第1対向面31eおよび第2対向面31fは、それぞれ、外歯ギヤ31の下側を向く面の一部である。第1対向面31eは、外歯ギヤ31の下側を向く面のうち、複数の貫通孔部31bの径方向内側に位置する部分である。第2対向面31fは、外歯ギヤ31の下側を向く面のうち、複数の貫通孔部31bの径方向外側に位置する部分である。軸方向に見て、第1対向面31eおよび第2対向面31fは、それぞれ、モータ軸J1を径方向に囲む略円環状である。軸方向において、第1対向面31eおよび第2対向面31fは、互いに同じ位置に配置される。
【0027】
図2に示すように、内歯ギヤ32は、外歯ギヤ31の径方向外側に配置される。内歯ギヤ32は、外歯ギヤ31を径方向外側から囲む。内歯ギヤ32は、モータ軸J1を中心とする環状である。図1に示すように、内歯ギヤ32は、ケース10に固定される。より詳細には、内歯ギヤ32の外周面は、筒部11dの内周面に固定される。図2に示すように、内歯ギヤ32は、内歯歯車部32aを有する。
【0028】
内歯歯車部32aは、内歯ギヤ32の内周面に沿って設けられる。内歯歯車部32aは、内歯ギヤ32の内周面に沿って並ぶ複数の内歯歯部32bを有する。内歯歯車部32aは、外歯歯車部31cと噛み合っている。より詳細には、内歯歯車部32aの一部は、外歯歯車部31cの一部と噛み合っている。
【0029】
図1に示すように、フランジ部42は、外歯ギヤ31の下側に配置される。フランジ部42は、外歯ギヤ31と軸方向に間隔をあけて配置される。フランジ部42は、モータ軸J1を中心として径方向に広がる円環状である。フランジ部42は、出力シャフト46のうちモータシャフト23よりも下側の部分に固定される。フランジ部42には、複数の突出部43が設けられる。
【0030】
複数の突出部43のそれぞれは、フランジ部42から軸方向に突出している。より詳細には、複数の突出部43のそれぞれは、フランジ部42から上側に突出している。本実施形態において、複数の突出部43とフランジ部42とは、同一の単一部材の一部である。複数の突出部43は、それぞれ、円柱状である。図2に示すように、複数の突出部43それぞれの外径は、複数の貫通孔部31bそれぞれの内径よりも小さい。複数の突出部43は、モータ軸J1を囲んで配置される。複数の突出部43は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。本実施形態において、突出部43は、8個設けられる。図1に示すように、複数の突出部43のそれぞれは、複数の貫通孔部31bのそれぞれに下側から挿入される。図2に示すように、各突出部43の外周面は、貫通孔部31bの内周面と接触する。各突出部43は、貫通孔部31bの内周面を介して、外歯ギヤ31をモータ軸J1回りに揺動可能に支持する。
【0031】
図1に示すように、フランジ部42は、第3対向面42aと、第4対向面42bと、を有する。第3対向面42aおよび第4対向面42bは、それぞれ、フランジ部42の上側を向く面の一部である。第3対向面42aは、フランジ部42の上側を向く面のうち、複数の突出部43よりも径方向内側に位置する部分である。第4対向面42bは、フランジ部42の上側を向く面のうち、複数の突出部43よりも径方向外側に位置する部分である。軸方向に見て、第3対向面42aおよび第4対向面42bは、それぞれ、モータ軸J1を径方向に囲む略円環状である。第3対向面42aは、内歯ギヤ32の第1対向面31eと軸方向に間隔をあけて対向する。第4対向面42bは、第2対向面31fと軸方向に間隔をあけて対向する。
【0032】
出力シャフト46は、電動アクチュエータ1の駆動力を出力する。出力シャフト46は、軸方向に延びる。出力シャフト46は、モータ軸J1回りに回転可能である。出力シャフト46は、モータシャフト23の内部を軸方向に通される。出力シャフト46の少なくとも一部は、モータシャフト23の内部に位置する。出力シャフト46は、モータシャフト23よりも軸方向両側に突出している。なお、出力シャフト46とフランジ部42とは、同一の単一部材の一部であってもよい。出力シャフト46は、出力シャフト本体41と、出力シャフト本体41の外周面に固定される取付部材44と、を有する。
【0033】
出力シャフト本体41は、軸方向に延びる。出力シャフト本体41は、第1ベアリング51および第2ベアリング52によって、モータ軸J1回りに回転可能に支持される。出力シャフト本体41は、連結部41aと、延伸部41bと、を有する。
【0034】
連結部41aは、出力シャフト本体41の下側の部分である。連結部41aは、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。連結部41aは、下側に開口する。連結部41aの下側の端部は、孔部11eの内部に挿入されている。連結部41aの上側の端部は、偏心軸部23bの内部に挿入されている。連結部41aは、第1ベアリング51によってモータ軸J1回りに回転可能に支持される。
【0035】
連結部41aの内部には、下側から被駆動シャフトDSが挿入可能である。被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、連結部41aの内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされると、連結部41aと被駆動シャフトDSとが互いに連結される。よって、モータシャフト23の回転が、出力シャフト46を介して、被駆動シャフトDSに伝達される。これにより、電動アクチュエータ1は、被駆動シャフトDSをモータ軸J1回りに回転させることができる。
【0036】
延伸部41bは、出力シャフト本体41の上側の部分である。延伸部41bは、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる円柱状である。延伸部41bは、連結部41aと軸方向に繋がる。延伸部41bは、モータシャフト23の内部を軸方向に通される。延伸部41bの上側の部分は、モータシャフト23よりも上側に突出し、基板80の貫通孔80aを軸方向に通される。延伸部41bの上側の端部は、第2ベアリング52によってモータ軸J1回りに回転可能に支持される。延伸部41bの下側の端部は、偏心軸部23bの内部に位置する。
【0037】
本実施形態において、延伸部41bの外径は、モータシャフト23の本体部23aの内径よりも僅かに小さい。延伸部41bは、本体部23aの内部に隙間嵌めされる。延伸部41bと本体部23aとの間の径方向の隙間は、延伸部41bによって、モータシャフト23をモータ軸J1回りに回転可能に支持できる程度に小さい。なお、延伸部41bと本体部23aとの隙間には、例えば、潤滑油を配置してもよい。
【0038】
取付部材44は、延伸部41bの外周面のうちモータシャフト23よりも上側の部分に固定される。取付部材44は、固定筒部44aと、対向部44bと、を有する。固定筒部44aは、モータ軸J1を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。固定筒部44aは、延伸部41bの外周面に固定される。対向部44bは、固定筒部44aの下端から径方向外側に広がる略円環板状である。対向部44bの板面は、軸方向を向く。対向部44bの下側を向く面は、第6対向面44dである。第6対向面44dは、モータシャフト23の第5対向面23dと軸方向に隙間をあけて対向する。
【0039】
センサマグネット45は、モータ軸J1を囲む環状である。センサマグネット45は、固定筒部44aの外周面に固定される。センサマグネット45の径方向外縁部は、対向部44bよりも径方向外側に位置し、回転センサ81と軸方向に対向する。回転センサ81は、センサマグネット45の磁界を検出することでセンサマグネット45の回転を検出する。これにより、回転センサ81は、出力シャフト46の回転を検出する。
【0040】
本実施形態では、軸方向におけるモータシャフト23の第5対向面23dと出力シャフト46の第6対向面44dとの間に、ワッシャ62が配置される。ワッシャ62は、延伸部41bを径方向外側から囲む円環板状である。本実施形態において、ワッシャ62は、例えば、スリップワッシャである。ワッシャ62の板面は、軸方向を向く。ワッシャ62の下側を向く面は、第5対向面23dと接触する。ワッシャ62の上側を向く面は、第6対向面44dと接触する。これにより、出力シャフト46に対するモータシャフト23の軸方向の位置が決まる。また、第5対向面23dと第6対向面44dとが直接的に接触する場合と比較して、モータシャフト23と出力シャフト46との間の摩擦を抑制することができる。したがって、電動アクチュエータ1の出力効率を高めることができる。
【0041】
軸方向において、滑り部材61は、外歯ギヤ31とフランジ部42との間に配置される。より詳細には、滑り部材61は、外歯ギヤ31の第1対向面31eとフランジ部42の第3対向面42aとの間に配置される。滑り部材61は、出力シャフト46の連結部41aを径方向外側から囲む環状である。本実施形態において、滑り部材61は、例えば、スリップワッシャである。滑り部材61は、シムリングであってもよい。図3に示すように、滑り部材61は、複数の突出部43よりも径方向内側に配置される。滑り部材61の径方向外縁部は、複数の突出部43のうち少なくとも一つの突出部43と径方向に接触する。滑り部材61は、複数の突出部43のそれぞれと隙間嵌めされている。
【0042】
図1に示すように、滑り部材61の上側を向く面は、第1対向面31eと接触する。滑り部材61の下側を向く面は、第3対向面42aと接触する。すなわち、滑り部材61は、外歯ギヤ31およびフランジ部42と接触する。これにより、滑り部材61を介して、外歯ギヤ31に対するフランジ部42の軸方向の位置が決まる。また、上述のように、外歯ギヤ31は、第3ベアリング53を介してモータシャフト23と連結され、フランジ部42は、出力シャフト46と固定される。そのため、滑り部材61を介して、出力シャフト46に対するモータシャフト23の軸方向の位置が決まる。これにより、軸方向において、モータシャフト23と出力シャフト46との間に隙間を設けることができ、モータシャフト23と出力シャフト46とが軸方向に直接的に接触することを抑制できる。なお、本実施形態では、滑り部材61の径方向内縁部の一部は、第3ベアリング53の外輪の下側に位置しているが、滑り部材61の径方向内縁部の一部は、第3ベアリング53の外輪の下側に位置していなくてもよい。また、滑り部材61は、第3ベアリング53の外輪と軸方向に接触してもよい。
【0043】
モータ20に電力が供給されてモータシャフト23がモータ軸J1回りに回転されると、偏心軸部23bは、モータ軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部23bの公転は、第3ベアリング53を介して外歯ギヤ31に伝達され、外歯ギヤ31は、貫通孔部31bの内周面と突出部43の外周面との接触する位置が変化しつつ、揺動する。そのため、外歯ギヤ31の外歯歯車部31cと内歯ギヤ32の内歯歯車部32aとが噛み合う位置が、周方向に変化する。これにより、外歯ギヤ31を介して、内歯ギヤ32にモータシャフト23の駆動力が伝達される。
【0044】
上述のように、内歯ギヤ32は、ケース10に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギヤ32に伝達される駆動力の反力によって、外歯ギヤ31は第2軸線J2回りに回転する。このとき外歯ギヤ31の回転する向きは、モータシャフト23の回転する向きと反対向きになる。また、外歯ギヤ31の回転は、モータシャフト23の回転に対して減速される。すなわち、外歯ギヤ31には、モータシャフト23の回転が減速して伝達される。
【0045】
外歯ギヤ31の第2軸線J2回りの回転は、貫通孔部31bと突出部43とを介して、フランジ部42に伝達される。これにより、フランジ部42がモータ軸J1回りに回転する。このとき、フランジ部42の回転速度は外歯ギヤ31の回転速度とほぼ同じ速度であり、フランジ部42が回転する向きは、外歯ギヤ31が回転する向きと同じ向きである。上述のように、出力シャフト46はフランジ部42と固定されるため、出力シャフト46は、フランジ部42とともにモータ軸J1回りに回転する。すなわち、フランジ部42によって、外歯ギヤ31の回転を出力シャフト46に伝達できる。このようにして、出力シャフト46には、減速機構30を介してモータシャフト23の回転が減速して伝達される。これにより、出力シャフト46の回転トルクは、モータシャフト23の回転トルクよりも大きくなる。また、出力シャフト46が回転する向きは、モータシャフト23が回転する向きと反対向きである。
【0046】
本実施形態によれば、減速機構30は、モータシャフト23に連結され、モータシャフト23の回転が減速して伝達される環状の外歯ギヤ31と、外歯ギヤ31の回転を出力シャフト46に伝達する環状のフランジ部42と、を有する。フランジ部42は、外歯ギヤ31と軸方向に間隔をあけて配置され、軸方向において、滑り部材61は、外歯ギヤ31とフランジ部42との間に配置され、外歯ギヤ31およびフランジ部42と接触する。そのため、滑り部材61によって、フランジ部42に対する外歯ギヤ31の軸方向における相対的な位置を決めることができる。これにより、上述のように、滑り部材61によって、出力シャフト46に対するモータシャフト23の軸方向の相対的な位置を決めることができるため、軸方向において、モータシャフト23と出力シャフト46との間に隙間を設けることができる。よって、モータシャフト23と出力シャフト46とが軸方向に直接的に接触することを抑制できる。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46との間の摩擦を抑制することができる。そのため、電動アクチュエータ1の出力効率を高めることができる。
【0047】
また、本実施形態では、外歯ギヤ31にはモータシャフト23の回転が減速して伝達され、外歯ギヤ31の回転はフランジ部42を介して出力シャフト46に伝達される。したがって、外歯ギヤ31とフランジ部42との間の相対的な回転速度差は、モータシャフト23と出力シャフト46との間の相対的な回転速度差よりも大きい。そのため、滑り部材61を、モータシャフト23と出力シャフトとの間に配置して、モータシャフト23および出力シャフト46の両方と接触させる場合と比較して、滑り部材61に加わる摩擦力を好適に低減できる。したがって、電動アクチュエータ1の出力効率を好適に高めることができる。
【0048】
本実施形態によれば、モータシャフト23は、モータ軸J1と平行な第2軸線J2を中心とする円形状の外周面を有する偏心軸部23bを有し、外歯ギヤ31は、偏心軸部23bの外周面に第3ベアリング53を介して連結され、減速機構30は、外歯ギヤ31の径方向外側に配置されケース10に固定される環状の内歯ギヤ32を有し、内歯ギヤ32の内周面に沿って設けられる内歯歯車部32aの一部は、外歯ギヤ31の外周面に沿って設けられる外歯歯車部31cの一部と噛み合い、外歯ギヤ31は、外歯ギヤ31を軸方向に貫通し、モータ軸J1を囲んで配置される複数の貫通孔部31bを有し、フランジ部42には、フランジ部42から軸方向に突出し、モータ軸J1を囲んで配置される複数の突出部43が設けられ、複数の突出部43のそれぞれは、複数の貫通孔部31bのそれぞれに挿入される。したがって、上述のように、外歯ギヤ31には、モータシャフト23の回転が減速して伝達され、外歯ギヤ31の第2軸線J2回りの回転は、貫通孔部31bと突出部43とを介してフランジ部42に伝達される。これにより、フランジ部42と固定される出力シャフト46をモータ軸J1回りに回転させることができる。つまり、減速機構30を介して、モータシャフト23の回転を減速して出力シャフト46に伝達できる。そのため、出力シャフト46の回転トルクを増大させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、上述のように、外歯ギヤ31の回転が、貫通孔部31bと突出部43とを介して、フランジ部42に伝達されるため、外歯ギヤ31の回転速度とフランジ部42の回転速度はほぼ同じ速度である。一方、出力シャフト46には、モータシャフト23回転が減速して伝達される。これらにより、外歯ギヤ31とフランジ部42との間の相対的な回転速度差は、モータシャフト23と出力シャフト46との間の相対的な回転速度差よりも小さい。そのため、滑り部材61を、モータシャフト23と出力シャフトとの間に配置して、モータシャフト23および出力シャフト46の両方と接触させる場合と比較して、滑り部材61に加わる摩擦力を低減できる。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46とがモータ軸J1回りに相対的に回転する際に生じる摩擦をより好適に抑制できる。そのため、電動アクチュエータ1の出力効率をより好適に高めることができる。
【0050】
また、本実施形態では、上述のように、出力シャフト46が回転する向きは、モータシャフト23が回転する向きと反対向きであり、フランジ部42が回転する向きは、外歯ギヤ31が回転する向きと同じ向きである。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46との間の相対的な回転速度差は、外歯ギヤ31とフランジ部42との間の相対的な回転速度差よりもより大きくなる。そのため、滑り部材61を、モータシャフト23と出力シャフト46との間に配置して、モータシャフト23および出力シャフト46の両方と接触させる場合と比較して、滑り部材61に加わる摩擦力を好適に低減できる。したがって、電動アクチュエータ1の出力効率を好適に高めることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、滑り部材61は、複数の突出部43よりも径方向内側に配置される。よって、滑り部材61を、複数の突出部43よりも径方向外側に配置して、外歯ギヤ31およびフランジ部42と接触させる場合と比較して、滑り部材61の外径を小さくできる。したがって、滑り部材61の体積および重量が増大することを抑制し易いため、滑り部材61の製造コストが増大することを抑制し易い。
【0052】
本実施形態によれば、滑り部材61の径方向外縁部は、複数の突出部43のうち少なくとも1つの突出部43と径方向に接触する。よって、電動アクチュエータ1の駆動時において、滑り部材61が径方向に移動することを抑制できる。これにより、滑り部材61を外歯ギヤ31とフランジ部42との間に安定して配置できるため、外歯ギヤ31とフランジ部42とが直接的に接触することを好適に抑制できる。したがって、外歯ギヤ31とフランジ部42との間の摩擦を抑制することができる。そのため、電動アクチュエータ1の出力効率を安定的に高めることができる。
【0053】
また、本実施形態では、上述のように、滑り部材61が径方向に移動することを抑制できるため、滑り部材61の径方向内縁部が、モータシャフト23の回転速度と略同じ速度でモータ軸J1回りに回転する第3ベアリング53の内輪に接触することを抑制できる。これにより、第3ベアリング53の内輪と滑り部材61との間の摩擦を抑制することができる。そのため、電動アクチュエータ1の出力効率を安定的に高めることができる。
【0054】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態の電動アクチュエータ201を示す断面図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図4に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ201が備える滑り部材261は、軸方向において、外歯ギヤ31とフランジ部42との間に配置される。より詳細には、滑り部材261は、外歯ギヤ31の第2対向面31fとフランジ部42の第4対向面42bとの間に配置される。滑り部材261は、出力シャフト46の連結部41aを径方向外側から囲む環状である。本実施形態において、滑り部材261は、例えば、スリップワッシャである。滑り部材261は、シムリングであってもよい。図5に示すように、滑り部材261は、複数の突出部43よりも径方向外側に配置される。滑り部材261の径方向内縁部は、複数の突出部43のうち少なくとも一つの突出部43と径方向に接触する。
【0056】
図4に示すように、滑り部材261の上側を向く面は、第2対向面31fと接触する。滑り部材261の下側を向く面は、第4対向面42bと接触する。すなわち、滑り部材261は、外歯ギヤ31およびフランジ部42と接触する。これにより、外歯ギヤ31に対するフランジ部42の軸方向の位置が決まる。また、上述の第1実施形態と同様に、滑り部材261を介して、出力シャフト46に対するモータシャフト23の軸方向の位置が決まる。よって、本実施形態によれば、モータシャフト23と出力シャフト46とが軸方向に直接的に接触することを抑制できる。したがって、モータシャフト23と出力シャフト46との間の摩擦を抑制することができる。そのため、電動アクチュエータ201の出力効率を高めることができる。
【0057】
また、本実施形態では、滑り部材261は、複数の突出部43よりも径方向外側に配置される。したがって、滑り部材261の径方向内縁部が、モータシャフト23の回転速度と略同じ速度でモータ軸J1回りに回転する第3ベアリング53の内輪に接触することを好適に抑制できる。これにより、第3ベアリング53の内輪と滑り部材261との間の摩擦を好適に抑制できる。そのため、電動アクチュエータ201の出力効率を安定的に高めることができる。
【0058】
本実施形態によれば、滑り部材261の径方向内縁部は、複数の突出部43のうち少なくとも1つの突出部43と径方向に接触する。よって、電動アクチュエータ201の駆動時において、滑り部材261と外歯ギヤ31およびフランジ部42との間の摩擦力によって、滑り部材261が径方向に移動することを抑制できる。これにより、滑り部材261を外歯ギヤ31とフランジ部42との間に安定して配置できるため、外歯ギヤ31とフランジ部42とが直接的に接触することを抑制できる。したがって、外歯ギヤ31とフランジ部42との間の摩擦を抑制することができる。そのため、電動アクチュエータ201の出力効率を安定的に高めることができる。
【0059】
また、本実施形態では、上述のように、滑り部材261が径方向に移動することを抑制できるため、滑り部材261の径方向外縁部が、ケース10の筒部11dおよびケース10に固定される内歯ギヤ32と接触することを抑制できる。これにより、ケース10および内歯ギヤ32と滑り部材61との間の摩擦を抑制することができる。そのため、電動アクチュエータ201の出力効率を安定的に高めることができる。
【0060】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0061】
例えば、滑り部材の個数は1個に限定されず、2個以上の複数個の滑り部材が設けられてもよい。例えば、滑り部材を突出部の径方向内側および突出部の径方向外側のそれぞれに配置してもよい。この場合、内歯ギヤおよびフランジ部のそれぞれが滑り部材と接触する面積を大きくできるため、滑り部材に加わる圧力を低減することができ、滑り部材が摩耗などにより劣化することを好適に抑制できる。
また、滑り部材は、軸方向に2個以上重ねて配置されてもよい。この場合、滑り部材同士を相対的に回転させることができるため、内歯ギヤとフランジ部との間の摩擦をより好適に抑制できる。
また、滑り部材は、内歯ギヤおよびフランジ部のいずれか一方と固定されていてもよい。この場合、滑り部材が径方向に移動することをより好適に抑制できるため、滑り部材を、内歯ギヤおよびフランジ部により安定して接触させることができる。
【0062】
減速機構の構成は、モータシャフトの回転を減速して出力シャフトに伝達できるならば、特に限定されない。例えば、複数の突出部が外歯ギヤに設けられ、複数の貫通孔部が出力フランジ部に設けられてもよい。この場合、複数の突出部のそれぞれは、外歯ギヤから出力フランジ部に向かって突出し、貫通孔部に挿入される。
【0063】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0064】
1,201…電動アクチュエータ、10…ケース、20…モータ、23…モータシャフト、23b…偏心軸部、30…減速機構、31…外歯ギヤ、31b…貫通孔部、31c…外歯歯車部、32…内歯ギヤ、32a…内歯歯車部、42…フランジ部、43…突出部、46…出力シャフト、53…第3ベアリング(ベアリング)、61,261…滑り部材、J1…モータ軸、J2…第2軸線
図1
図2
図3
図4
図5