(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044338
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】包装用容器の中蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20240326BHJP
B65D 81/34 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149797
(22)【出願日】2022-09-21
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】507119928
【氏名又は名称】ベンダーサービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古川 浩汰
(72)【発明者】
【氏名】西川 瑛将
【テーマコード(参考)】
3E013
3E035
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BB08
3E013BC04
3E013BD01
3E013BD02
3E013BE01
3E035AA20
3E035BA02
3E035BC02
3E035CA02
(57)【要約】
【課題】食材どうしが混ざり合うことなく容器本体内に収容でき、かつ手を汚さずに食することができる包装用容器の中蓋を提供する。
【解決手段】食材が収容される包装用容器1に収容される中蓋2であって、容器本体4に収容された米飯5(一の食材)を覆う覆体部21と、具材6(他の食材)の混入を防ぐと共に蓋の浮き上がりを防止するフランジ部22と、中蓋2のずれを防止するための長突起部23および短突起部24が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用容器の容器本体に収容される中蓋であって、
一の食材を覆う覆体部と、
上記覆体部の下端周縁に設けられたフランジ部と、
上記覆体部を上記容器本体内に固定するための一対の突起部を備えることを特徴とする包装用容器の中蓋。
【請求項2】
前記フランジ部は、長手方向中程の幅が前記突起部の終端近傍にある周縁端の幅よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器の中蓋。
【請求項3】
前記突起部は、長手方向において、一方の突起が他方の突起よりも長いことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器の中蓋。
【請求項4】
前記覆体部は、前記覆体部の一部に切れ目を設けることにより形成された弁部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の包装用容器の中蓋。
【請求項5】
上方に開口した開口部を有する容器本体と、
上記容器本体の開口部を閉じるように装着される着脱自在な蓋体と、
包装用容器の上記容器本体に収容される中蓋と、を備え、
上記中蓋は、一の食材を覆う覆体部と、
上記覆体部の下端周縁に設けられたフランジ部と、
上記覆体部を上記容器本体内に固定するための一対の突起部、を備えることを特徴とする包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁当、麺類、パスタ、惣菜などの複数の食材からなる食品を収容する包装用容器に使用される中蓋およびそれを備える包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の食材からなる食品を収容する包装用容器として、以下の特許文献1がある。
【0003】
特許文献1の包装容器は、米飯を収容した容器本体内に納豆を収容した小容器を収容するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示されている包装用容器は、使用者が小容器を取り出すためのツマミが設けられていないので、食事の際に使用者が手を汚してしまうという問題があった。また、小容器の上方が開口したままなので、包装用容器が傾いた際に、食材どうしが混ざり合うことを完全に防ぐことができないという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、食材どうしが混ざり合うことなく収容でき、かつ手を汚さずに食することができる包装用容器の中蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の中蓋は、包装用容器の容器本体に収容される中蓋であって、一の食材を覆う覆体部と、覆体部の下端周縁に設けられたフランジ部と、覆体部を容器本体内に固定するための一対の突起部を備える、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の中蓋は、フランジ部が、長手方向中程の幅が突起部の終端近傍にある周縁端の幅よりも広い、ことが好ましい。
【0009】
本発明の中蓋は、突起部は、長手方向において、一方の突起が他方の突起よりも長い、ことが好ましい。
【0010】
本発明の中蓋は、覆体部の一部に切れ目を設けることにより形成された弁部が設けられている、ことが好ましい。
【0011】
本発明の包装用容器は、上方に開口した開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を閉じるように装着される着脱自在な蓋体と、包装用容器の容器本体に収容される中蓋と、を備え、中蓋は、一の食材を覆う覆体部と、覆体部の下端周縁に設けられたフランジ部と、覆体部を容器本体内に固定するための一対の突起部を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、食材どうしが混ざり合うことなく収容でき、かつ手を汚さずに食することができる包装用容器の中蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る中蓋、蓋体、容器本体を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、中蓋の平面図、同(b)は図(a)のA-A線で切った状態の断面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2の領域Bの拡大図、同(b)は
図2の領域Cの拡大図である。
【
図4】
図4(a)は、蓋の平面図、同(b)は蓋の正面図である。
【
図5】
図5(a)は、容器本体の平面図、同(b)は容器本体の正面図である。
【
図6】
図6は、容器本体に具材等を盛り付けて中蓋を被せた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る中蓋および包装用容器の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
図2(b)において、中蓋の断面のハッチングを省略する。
【0015】
(実施形態に係る中蓋、容器本体および蓋体の説明)
図1~
図5は、本発明に係る中蓋、蓋体および容器本体からなる包装用容器の実施形態を示す。以下では、この実施形態に係る中蓋、蓋体、容器本体の構成について説明する。
【0016】
(実施形態に係る包装用容器1の説明)
包装用容器1は、
図1~
図5に示すように、中蓋2と、蓋体3と、容器本体4と、を備える。また、包装用容器1は、電子レンジで加熱することができる米飯5および具材6を収容することができる食品用の包装用容器である。この米飯5および具材6は、食事をする者が食する際に、包装用容器1ごと電子レンジに入れて加熱できる食品が好ましく、たとえば、弁当、麺類、パスタ、惣菜などが挙げられる。
【0017】
(実施形態に係る中蓋2の説明)
中蓋2は、容器本体4に収容される中蓋であって、熱可塑性合成樹脂シートの成形体からなる。中蓋2は、この例では、ポリプロピレンが用いられており、他にも透明性が高く成形の容易な熱可塑性合成樹脂シートからなるものであれば好ましい。なお、中蓋2の厚さは、特に限定されない。
【0018】
中蓋2は、覆体部21と、フランジ部22aおよびフランジ部22bからなるフランジ部22と、長突起部23と、短突起部24と、を備える。また、覆体部21の天面の一部には、弁部25が形成されている。
【0019】
フランジ部22aおよびフランジ部22bの縁には細かな凹凸であるフランジ小凹凸部22a1およびフランジ小凹凸部22a2、フランジ小凹凸部22b1、フランジ小凹凸部22b2が夫々設けられている。また、フランジ部22aおよびフランジ部22bにおいては、フランジ部の中央幅L1がフランジ部の周縁端幅L2よりも幅が広い。換言すると、フランジ部22の端から中程度に向かって、その幅が広くなるように形成されている。
【0020】
長突起部23は、覆体部21の下端と連結されている蛇腹部231と、覆体部21とつまみ部233をつなぐ胴部232と、食事をする者が中蓋2を取り外すためのつまみ部233と、小溝群234と、中蓋2を外す向きを示す向き表示235と、を備える。蛇腹部231は、山折りと谷折りの繰り返し構造となっており、伸縮や折り曲げが可能である。
【0021】
短突起部24は、長突起部23に対向する位置に設けられるものであって、そのほぼ全体が蛇腹部241からなる。蛇腹部241は、山折りと谷折りの繰り返し構造となっており、伸縮や折り曲げが可能である。
【0022】
弁部25は、覆体部21の一部に切れ目26を設けることにより形成され、接続部27を介して覆体部21に連結されている。これにより、包装用容器1が加熱された際に、弁部25が上方に上がり、弁部25と切れ目26からなる隙間(図示省略)から中蓋2に覆われた食材から生じる蒸気を排する。
【0023】
(実施形態に係る蓋体3の説明)
蓋体3は、容器本体4の開口部43に被せられる蓋であって、熱可塑性合成樹脂シートの成形体からなる。蓋体3は、この例では、ポリプロピレンが用いられており、他にも透明性が高く成形の容易な熱可塑性合成樹脂シートからなるものであれば好ましい。なお、蓋体3の厚さは、特に限定されない。
【0024】
蓋体3は、天面部31と、フランジ部36の一部に設けられたつまみ部32と、切れ目34および接続部35からなる弁部33と、フランジ部36と、壁部37と、嵌合凸部38と、を備えるものである。
【0025】
蓋体3が容器本体4の開口部43を閉じる際に、フランジ部36は容器本体4のフランジ部44と接触し、嵌合凸部38は容器本体4の嵌合凹部45に嵌合される。これにより、中蓋2の意図しない外れによる包装用容器1に収容された食材が漏れ出すことを防止することができる。なお、本実施形態では、弁部33は、切れ目34aおよび接続部35aからなる弁部33aと、切れ目34bおよび接続部35bからなる弁部33bの2つが設けられている。
【0026】
(容器本体4の説明)
容器本体4は、包装用容器1容の容器本体であって、熱可塑性合成樹脂シートの成形体からなる。容器本体4は、この例では、ポリスチレンが用いられている。なお、容器本体4の厚さは、特に限定されない。
【0027】
容器本体4は、底部41と、周壁部42と、開口部43と、フランジ部44と、嵌合凹部45と、を備える。容器本体4は、凹形状、すなわち、皿様の円形状をなしていて、底部41と周壁部42からなる空間(凹形状の空間)の中に所望の食材が収容される。フランジ部44の直下(周壁部42の上方)には、嵌合凹部45が設けられている。また、上述したように、容器本体4の嵌合凹部45が、蓋体3の嵌合凸部38と相互に着脱可能に嵌合される。
【0028】
(実施形態に係る包装用容器の使用方法等の説明)
以下、この実施形態に係る中蓋2、蓋体3および容器本体4からなる包装用容器1の使用方法について
図6を基に説明する。なお、ここでの例では、米飯とカレールーを主な食材とする。
【0029】
図6における例では、中蓋2を被せる一の食材として米飯5を、他の食材としてカレールー6a、惣菜6b、惣菜6cおよび惣菜6dからなる具材6が夫々容器本体4の中に収容されている。
【0030】
米飯5および具材6を容器本体4に盛り付ける者は、中蓋2を天地(上下)逆にして米飯5を中蓋2に盛り付ける。次に、米飯5が収納され中蓋2を容器本体1に天地(上下)を元に戻して容器本体4内に載置する。その後に、カレールー6aを容器本体4の空いた領域に流し入れる。また、カレールー6aの上に惣菜6bを置く。さらに、容器本体4の空いた領域に惣菜6cおよび惣菜6dを並べ置く。最後に蓋体3を容器本体4の開口部43に被せて完成とする。なお、カレールー6a、惣菜6b、惣菜6cおよび惣菜6dを容器本体4に入れる順序は、食品としての見た目や味を損なわないものであれば、上述した順序に限定されない。
【0031】
食事をする者は、概ね、逆の手順で食事をすることができる。最初に、米飯5および具材6が冷めている際には、電子レンジで包装用容器1を加熱することにより、米飯5および具材6を温める。次に、蓋体3のつまみ部32を指でつまんで持ち上げることにより、蓋体3を容器本体4から取り外す。これにより、容器本体4の開口部43が開口する。さらに、長突起部23のつまみ部233をつまんで、中蓋2を取り外す。これにより、食事をする者は、米飯5および具材6のいずれも覆われていないため、食事をすることができる。
【0032】
(実施形態に係る中蓋2および包装用容器1の効果の説明)
この実施形態係る中蓋2および包装用容器1は、以上の構成、作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0033】
この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、覆体部21、フランジ部22、長突起部23および短突起部24を備えるものである。この結果、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、特許文献1の包装容器と比較して、食材どうしが混ざり合うことなく包装用容器内に収容することができ、かつ手を汚さずに食することができる。
【0034】
しかも、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、覆体部21が米飯5全体を覆うものである。この結果、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、米飯5が乾燥することを防止すると共に、米飯5を蒸らすことも可能である。
【0035】
また、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、長突起部23とそれに対向する位置に短突起部24が設けられている。この結果、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、中蓋2がずれることを確実に防止することができる。
【0036】
この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、中蓋2のフランジ部22が、周縁の長手方向中程のフランジ部の中央幅L1が突起部の終端にあるフランジ部の周縁端幅L2よりも広いものである。この結果、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、フランジ部22の幅が中程に向かって広くなることから、中蓋2の周りに収容される食材の重量がより大きくフランジ部22にかかることになる。したがって、中蓋2が浮き上がることなく、より確実に中蓋2を閉じることにより中蓋2が被せられた米飯5が収容された領域内に中蓋2の周りに収容される食材6が混入することを防止することができる。
【0037】
しかも、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、長突起部23が短突起部24よりも長いものである。この結果、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、食事をする者が、長突起部23のつまみ部233を上側(容器本体4の開口部43側)に常態的に向けておくことが可能なので、食事をする者は、確実につまみ部233をつまんで中蓋2を外すことができる。
【0038】
また、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、中蓋2の長突起部23のつまみ部233が、その表裏面に格子状の小溝群234が形成されている。この結果、食事をする者は、食事の際に、つまみ損なうことなく、つまみ部233を確実につまむことができる。
【0039】
また、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、中蓋2の短突起部24に蛇腹部241が設けられている。この結果、短突起部24を容器本体4の周壁部42の形状に沿って折り曲げること可能なので、長突起部23の蛇腹部231と相まって容器本体4内で中蓋2がずれることをより確実に防止することができる。
【0040】
この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、覆体部21の一部に切れ目26を設けることにより形成された弁部25を設けるものである。この結果、この実施形態に係る中蓋2および包装用容器1は、覆体部21内部の余分な蒸気を滞りなく排出することができる。
【0041】
(実施形態以外の例の説明)
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的思想の範囲内であれば、様々な変形が可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態における中蓋2の形状として半楕円形状の中蓋を示したが、形状はこれに限定さない。食材または包装用容器の形状に応じた様々な形状を採用することができる。
【0043】
また、上記実施形態における中蓋2、蓋体3および容器本体4の材質について上述したが、材質はこれに限定されない。食材を収容しての使用ならびに加熱に耐えうること、および人体に害をなさないこと等の所望の条件を満たすものであれば、別の材質を採用することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、料理として米飯5と具材6からなるものを示した。これらについても、限定されるものではない。カレールー6aとは異なる別の食材、または米飯5ではなく、中華麺やパスタ等の麺類にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 包装用容器
2 中蓋
21 覆体部
22、22a、22b フランジ部
22a1、22a2、22b1、22b2 フランジ小凹凸部
23 長突起部
231 蛇腹部
232 胴部
233 つまみ部
234 小溝群
235 向き表示
24 短突起部
241 蛇腹部
25 弁部
26 切れ目
27 接続部
3 蓋体
31 天面部
32 つまみ部
33、33a、33b 弁部
34、34a、34b 切れ目
35、35a、35b 接続部
36 フランジ部
37 壁部
38 嵌合凸部
4 容器本体
41 底部
42 周壁部
43 開口部
44 フランジ部
45 嵌合凹部
5 米飯
6 具材
6a カレールー
6b、6c、6d 惣菜
L1 フランジ部の中央幅
L2 フランジ部の周縁端幅