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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044344
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B61G 1/02 20060101AFI20240326BHJP
   B61G 1/32 20060101ALI20240326BHJP
   B61G 3/00 20060101ALI20240326BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B61G1/02
B61G1/32
B61G3/00
B61B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149819
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】508079304
【氏名又は名称】愛知機械テクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】伴 宜敬
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BB43
3D101BB48
(57)【要約】
【課題】台車に対して複数の方向から無人搬送車を接近させて、牽引ピンを台車に係合することができ、かつ、牽引ピンを確実に台車に係合させること。
【解決手段】牽引ピン12を凹部42まで案内可能な4本の通路と、4本の通路の考査部に配置された凹部42と、各通路の凹部42の直前に揺動可能に配置されたアンチバックブロック50a,50b,50c,50dと、を有するストライカー20を台車1に配置する。この結果、4方向から前側牽引ピン12を凹部42に係合することができる。また、前側牽引ピン12が進行する通路に配置されたアンチバックブロックは、前側牽引ピン12に押圧されて、先端が凹部42の奥側に向かう方向に揺動し、他の通路に配置されたアンチバックブロックは、先端が自重によって凹部42の奥側から遠ざかる方向に揺動する。この結果、前側牽引ピン12が、凹部42を超えて他の通路へ進入することを良好に防止することができる。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出方向に付勢された牽引ピンを有する無人搬送車によって牽引される台車であって、
車枠と、
前記車枠に配置されると共に前記牽引ピンが係合可能な凹部を有する係合部と、
前記車枠に配置されると共に前記牽引ピンを前記凹部まで案内可能に第1方向に延在する第1経路を有する第1案内部と、
前記車枠に配置されると共に前記牽引ピンを前記凹部まで案内可能に第2方向に延在する第2経路を有する第2案内部と
前記第1経路上であって前記凹部に隣接した位置に配置され、前記凹部の深さ方向および前記第1方向の両方向に直交する方向に延在する第1揺動軸を有すると共に、該第1揺動軸の軸線方向の一方側から見たときの第1仮想投影面上における前記第1揺動軸の中心に関して、前記第1仮想投影面上における前記凹部寄りの位置に重心を有する第1駒部材と、
前記第2経路上であって前記凹部に隣接して配置され、前記凹部の深さ方向および前記第2方向の両方向に直交する方向に延在する第2揺動軸を有すると共に、該第2揺動軸の軸線方向の一方側から見たときの第2仮想投影面上における前記第2揺動軸の中心に関して、前記第2仮想投影面上における前記凹部寄りの位置に重心を有する第2駒部材と、
前記第1駒部材の揺動を規制可能なよう、該第1駒部材の揺動軌跡上であって、前記第1仮想投影面上における前記第1揺動軸に関して前記第1仮想投影面上における前記凹部とは反対側に配置された第1ストッパーと、
前記第2駒部材の揺動を規制可能なよう、該第2駒部材の揺動軌跡上であって、前記第2仮想投影面上における前記第2揺動軸に関して前記第2仮想投影面上における前記凹部とは反対側に配置された第2ストッパーと、
を備える台車。
【請求項2】
前記第1案内部は、前記牽引ピンが当接可能な第1当接面を有しており、
前記第2案内部は、前記牽引ピンが当接可能な第2当接面を有しており、
前記第1および第2当接面は、それぞれ前記凹部に近付くのに伴って、該凹部の深さ方向において該凹部から遠ざかる方向への傾斜を有しており、
前記第1駒部材は、前記牽引ピンが当接可能な第3当接面を有しており、
前記第2駒部材は、前記牽引ピンが当接可能な第4当接面を有しており、
前記第1ストッパーは、前記第3当接面が前記第1当接面と略同じ傾斜を有する状態で前記第1駒部材の揺動を規制可能であり、
前記第2ストッパーは、前記第4当接面が前記第2当接面と略同じ傾斜を有する状態で前記第2駒部材の揺動を規制可能である
請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記第1駒部材は、前記牽引ピンが当接可能な第5当接面をさらに有しており、
前記第2駒部材は、前記牽引ピンが当接可能な第6当接面をさらに有しており、
前記第5当接面は、前記第1方向において、前記第3当接面よりも前記凹部寄りに配置されると共に、前記第3当接面よりも前記凹部の深さ方向において該凹部寄りに配置されており、
前記第6当接面は、前記第2方向において、前記第4当接面よりも前記凹部寄りに配置されると共に、前記第4当接面よりも前記凹部の深さ方向において該凹部寄りに配置されている
請求項2に記載の台車。
【請求項4】
前記第5および第6当接面は、それぞれ前記第3および第4当接面と平行である
請求項3に記載の台車。
【請求項5】
前記牽引ピンを前記凹部まで案内可能に、前記凹部に関して前記第1経路とは反対側に配置されると共に前記第1方向に延在する第3経路を有する第3案内部と、
前記牽引ピンを前記凹部まで案内可能に、前記凹部に関して前記第2経路とは反対側に配置されると共に前記第2方向に延在する第4経路を有する第4案内部と、
前記第3経路上であって前記凹部に隣接した位置に配置され、前記凹部の深さ方向および前記第1方向の両方向に直交する方向に延在する第3揺動軸を有すると共に、該第3揺動軸の軸線方向の一方側から見たときの第3仮想投影面上における前記第3揺動軸の中心に関して、前記第3仮想投影面上における前記凹部寄りの位置に重心を有する第3駒部材と、
前記第4経路上であって前記凹部に隣接して配置され、前記凹部の深さ方向および前記第2方向の両方向に直交する方向に延在する第4揺動軸を有すると共に、該第4揺動軸の軸線方向の一方側から見たときの第4仮想投影面上における前記第4揺動軸の中心に関して、前記第4仮想投影面上における前記凹部寄りの位置に重心を有する第4駒部材と、
前記第3駒部材の揺動を規制可能なよう、該第3駒部材の揺動軌跡上であって、前記第3仮想投影面上における前記第3揺動軸に関して前記第3仮想投影面上における前記凹部とは反対側に配置された第3ストッパーと、
前記第4駒部材の揺動を規制可能なよう、該第4駒部材の揺動軌跡上であって、前記第4仮想投影面上における前記第4揺動軸に関して前記第3仮想投影面上における前記凹部とは反対側に配置された第4ストッパーと、
をさらに備え、
前記第1方向と前記第2方向とは、交差する
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の台車。
【請求項6】
前記第3案内部は、前記牽引ピンが当接可能な第7当接面を有しており、
前記第4案内部は、前記牽引ピンが当接可能な第8当接面を有しており、
前記第7および第8当接面は、それぞれ前記凹部に近付くのに伴って、該凹部の深さ方向において該凹部から遠ざかる方向への傾斜を有しており、
前記第3駒部材は、前記牽引ピンが当接可能な第9当接面を有しており、
前記第4駒部材は、前記牽引ピンが当接可能な第10当接面を有しており、
前記第3ストッパーは、前記第9当接面が前記第7当接面と略同じ傾斜を有する状態で前記第3駒部材の揺動を規制可能であり、
前記第4ストッパーは、前記第10当接面が前記第8当接面と略同じ傾斜を有する状態で前記第4駒部材の揺動を規制可能である
請求項5に記載の台車。
【請求項7】
前記第3駒部材は、前記牽引ピンが当接可能な第11当接面をさらに有しており、
前記第4駒部材は、前記牽引ピンが当接可能な第12当接面をさらに有しており、
前記第11当接面は、前記第1方向において前記第9当接面よりも前記凹部寄りに配置されると共に、前記第9当接面よりも前記凹部の深さ方向において該凹部寄りに配置されており、
前記第12当接面は、前記第2方向において前記第10当接面よりも前記凹部寄りに配置されると共に、前記第10当接面よりも前記凹部の深さ方向において該凹部寄りに配置されている
請求項6に記載の台車。
【請求項8】
前記第11および第12当接面は、それぞれ前記第9および第10当接面と平行である
請求項7に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引ピンを有する無人搬送車によって牽引される台車に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-162399号公報(特許文献1)には、牽引ピンを有する無人搬送車によって牽引される台車が記載されている。当該台車は、牽引ピンが係合可能な連結器を備えている。当該連結器は、牽引ピンが係合可能な差し込み部と、当該差し込み部に牽引ピンを案内可能に第1方向に延在する案内部と、差し込み部の深さ方向および第1方向の両方向に直交する方向に延在する揺動軸と、差し込み部に関して揺動軸が配置された側とは反対側に配置された錘と、を備えている。連結器は、揺動軸を支点に台車に揺動可能に支持されている。
【0003】
当該台車によれば、台車に揺動可能に支持された連結器が、差し込み部および案内部を備える構成であるため、牽引ピンを差し込み部に確実に係合させることできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-162399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、工場の生産ラインなどのように限られたスペースにおいては、台車を牽引するに際して、台車に対して複数の方向から無人搬送車を接近させて、牽引ピンを差し込み部に係合可能な構成を有することが望まれる場合がある。この場合、案内部を複数方向に延在するように構成する必要がある。しかしながら、上述した公報に記載の台車では、台車に揺動可能に支持された連結器が、差し込み部および案内部を備える構成であるため、案内部を複数方向に延在するように構成することができない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、台車に対して複数の方向から無人搬送車を接近させて、牽引ピンを台車に係合することができると共に、当該牽引ピンの台車への係合を確実に実現可能な技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の台車は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る台車の好ましい形態によれば、牽引ピンを有する無人搬送車によって牽引される台車が構成される。当該台車は、車枠と、当該車枠に配置されると共に牽引ピンが係合可能な凹部を有する係合部と、車枠に配置されると共に牽引ピンを凹部まで案内可能に第1方向に延在する第1経路を有する第1案内部と、車枠に配置されると共に牽引ピンを凹部まで案内可能に第2方向に延在する第2経路を有する第2案内部と、第1経路上であって凹部に隣接した位置に配置された第1駒部材と、第2経路上であって前記凹部に隣接して配置された第2駒部材と、第1および第2駒部材の揺動を規制可能な第1および第2ストッパーと、を備えている。第1駒部材は、凹部の深さ方向および第1方向の両方向に直交する方向に延在する第1揺動軸を有している。また、第1駒部材は、第1揺動軸の軸線方向の一方側から見たときの第1仮想投影面上における前記第1揺動軸の中心に関して、第1仮想投影面上における凹部寄りの位置に重心を有している。第2駒部材は、凹部の深さ方向および第2方向の両方向に直交する方向に延在する第2揺動軸を有している。また、第2駒部材は、第2揺動軸の軸線方向の一方側から見たときの第2仮想投影面上における第2揺動軸の中心に関して、第2仮想投影面上における凹部寄りの位置に重心を有している。そして、第1ストッパーは、第1駒部材の揺動を規制可能なように、当該第1駒部材の揺動軌跡上であって、第1仮想投影面上における第1揺動軸に関して第1仮想投影面上における凹部とは反対側に配置されている。また、第2ストッパーは、第2駒部材の揺動を規制可能なように、当該第2駒部材の揺動軌跡上であって、第2仮想投影面上における第2揺動軸に関して第2仮想投影面上における凹部とは反対側に配置されている。ここで、本発明における「車枠に配置される」とは、車枠に直接配置される態様の他、車枠に間接的に配置される態様を好適に包含する。なお、車枠に間接的に配置される態様としては、例えば、別部材を介して車枠に配置される態様がこれに該当する。また、本発明における「凹部」は、底面を有する有底孔のみならず、深さ方向に貫通する(深さ方向の両側が開口された)貫通孔を好適に包含する。
【0009】
本発明によれば、台車に対して第1方向から無人搬送車を接近させて、牽引ピンを凹部に係合することができると共に、台車に対して第2方向から無人搬送車を接近させて、牽引ピンを凹部に係合することができる。ここで、牽引ピンは、バネ力によって突出する方向に付勢された状態で凹部に係合する。より具体的には、牽引ピンは、第1経路や第2経路上にあるときには、バネ力に抗して引っ込む方向に押圧された状態となり、凹部に到達したときに、バネ力によって突出して凹部に係合する。したがって、牽引ピンが第1案内部によって凹部まで案内されるときには、第1駒部材は、突出方向に付勢された牽引ピンに押圧されて、第1駒部材の先端が凹部の奥側に向かう方向に揺動する。これにより、第1方向からの牽引ピンの凹部への係合を円滑に行うことができる。一方、第2駒部材は、当該第2駒部材の先端が自重によって凹部の奥側から遠ざかる方向に揺動した状態となっているため、第1方向から凹部へ向かう牽引ピンが、凹部を超えて第2方向へ逸れることを良好に防止することができる。また、牽引ピンが第2案内部によって凹部まで案内されるときには、第2駒部材は、突出方向に付勢された牽引ピンに押圧されて、第2駒部材の先端が凹部の奥側に向かう方向に揺動する。これにより、第2方向からの牽引ピンの凹部への係合を円滑に行うことができる。一方、第1駒部材は、当該第1駒部材の先端が自重によって凹部の奥側から遠ざかる方向に揺動した状態となっているため、第2方向から凹部へ向かう牽引ピンが、凹部を超えて第1方向へ逸れることを良好に防止することができる。ここで、凹部の奥側とは、牽引ピンが凹部に係合する際に、牽引ピンの先端が向く側であって、凹部が有底の場合には底面側がこれに該当する。
【0010】
本発明に係る台車の更なる形態によれば、第1案内部は、牽引ピンが当接可能な第1当接面を有している。第2案内部は、牽引ピンが当接可能な第2当接面を有している。第1および第2当接面は、それぞれ凹部に近付くのに伴って、当該凹部の深さ方向において当該凹部から遠ざかる方向への傾斜を有している。また、第1駒部材は、牽引ピンが当接可能な第3当接面を有している。第2駒部材は、牽引ピンが当接可能な第4当接面を有している。そして、第1ストッパーは、第3当接面が第1当接面と略同じ傾斜を有する状態で第1駒部材の揺動を規制可能である。第2ストッパーは、第4当接面が第2当接面と略同じ傾斜を有する状態で第2駒部材の揺動を規制可能である。ここで、本発明における「凹部から遠ざかる方向」とは、凹部の奥側から遠ざかる方向がこれに該当する。なお、凹部の奥側とは、牽引ピンが凹部に係合する際に、牽引ピンの先端が向く側であって、凹部が有底の場合には底面側がこれに該当する。
【0011】
本形態によれば、第1、第2、第3および第4当接面が、凹部に近付くのに伴って、当該凹部の深さ方向において当該凹部から遠ざかる方向への傾斜を有しているため、バネ力に抗して当該牽引ピンの引っ込み度合いを徐々に増加させながら(牽引ピンを無人搬送車側に押し込みながら)、当該牽引ピンを凹部まで案内することができる。これにより、牽引ピンが凹部に到達したときに、当該牽引ピンの突出方向への付勢力(バネの復元力)をより大きなものとすることができる。この結果、牽引ピンの凹部への係合をより確実なものとすることができる。なお、第1および第2ストッパーによって、第1および第2駒部材の揺動を規制するのみという簡易な構成で、第3および第4当接面を第1および第2当接面と略同じ傾斜を有する状態にすることができる。
【0012】
本発明に係る台車の更なる形態によれば、第1駒部材は、牽引ピンが当接可能な第5当接面をさらに有している。また、第2駒部材は、牽引ピンが当接可能な第6当接面をさらに有している。そして、第5当接面は、第1方向において、第3当接面よりも凹部寄りに配置されると共に、第3当接面よりも凹部の深さ方向において当該凹部寄りに配置されている。また、第第6当接面は、第2方向において、第4当接面よりも凹部寄りに配置されると共に、第4当接面よりも凹部の深さ方向において当該凹部寄りに配置されている。なお、第5および第6当接面は、それぞれ第3および第4当接面と平行であるものとすることができる。
【0013】
本形態によれば、牽引ピンが第5および第6当接面に当接する際、即ち、牽引ピンが凹部に係合する直前に、牽引ピンが第3および第4当接面に当接している状態よりも、当該牽引ピンの突出量を若干増加させることができる。換言すれば、牽引ピンの突出を二段階で行うことができる。これにより、牽引ピンの凹部への係合をより円滑に行うことができる。
【0014】
本発明に係る台車の更なる形態によれば、牽引ピンを凹部まで案内可能な第3案内部と、牽引ピンを凹部まで案内可能な第4案内部と、第3経路上であって凹部に隣接した位置に配置された第3駒部材と、第4経路上であって凹部に隣接して配置された第4駒部材と、第3および第4駒部材の揺動を規制可能な第3および第4ストッパーと、をさらに備えている。第3経路は、凹部に関して第1経路とは反対側に配置されると共に第1方向に延在している。第4経路は、凹部に関して第2経路とは反対側に配置されると共に第2方向に延在している。第3駒部材は、凹部の深さ方向および第1方向の両方向に直交する方向に延在する第3揺動軸を有すると共に、当該第3揺動軸の軸線方向の一方側から見たときの第3仮想投影面上における第3揺動軸の中心に関して、第3仮想投影面上における凹部寄りの位置に重心を有している。また、第4駒部材は、凹部の深さ方向および第2方向の両方向に直交する方向に延在する第4揺動軸を有すると共に、当該第4揺動軸の軸線方向の一方側から見たときの第4仮想投影面上における第4揺動軸の中心に関して、第4仮想投影面上における凹部寄りの位置に重心を有している。第3ストッパーは、第3駒部材の揺動を規制可能なように、当該第3駒部材の揺動軌跡上であって、第3仮想投影面上における第3揺動軸に関して第3仮想投影面上における凹部とは反対側に配置されている。また、第4ストッパーは、第4駒部材の揺動を規制可能なように、当該第4駒部材の揺動軌跡上であって、第4仮想投影面上における第4揺動軸に関して第4仮想投影面上における凹部とは反対側に配置されている。そして、第1方向と第2方向とは、交差している。
【0015】
本形態によれば、台車に対して交差する2方向から無人搬送車を接近させて、牽引ピンを凹部に係合することができる。しかも、牽引ピンが第1、第2、第3および第4案内部のいずれかによって凹部まで案内されるときには、当該牽引ピンを案内する案内部(以下、「牽引案内部」という。)に配置された駒部材(以下、「牽引駒部材」という。)は、突出方向に付勢された牽引ピンに押圧されて、当該牽引駒部材の先端が凹部の奥側に向かう方向に揺動するため、牽引案内部による牽引ピンの凹部への係合を円滑に行うことができる。一方、牽引案内部以外の案内部(以下、「非牽引案内部」という。)に配置された駒部材(以下、「非牽引駒部材」という。)は、当該非牽引駒部材の先端が自重によって凹部の奥側から遠ざかる方向に揺動した状態となっているため、牽引案内部によって凹部へ案内される牽引ピンが、凹部を超えて非牽引案内部の経路へ逸れることを良好に防止することができる。
【0016】
本発明に係る台車の更なる形態によれば、第3案内部は、牽引ピンが当接可能な第7当接面を有している。また、第4案内部は、牽引ピンが当接可能な第8当接面を有している。第7および第8当接面は、それぞれ凹部に近付くのに伴って、当該凹部の深さ方向において当該凹部から遠ざかる方向への傾斜を有している。第3駒部材は、牽引ピンが当接可能な第9当接面を有している。また、第4駒部材は、牽引ピンが当接可能な第10当接面を有している。そして、第3ストッパーは、第9当接面が第7当接面と略同じ傾斜を有する状態で第3駒部材の揺動を規制可能である。また、第4ストッパーは、第10当接面が第8当接面と略同じ傾斜を有する状態で第4駒部材の揺動を規制可能である。
【0017】
本形態によれば、第7、第8、第9および第10当接面が、凹部に近付くのに伴って、当該凹部の深さ方向において当該凹部から遠ざかる方向への傾斜を有しているため、バネ力に抗して当該牽引ピンの引っ込み度合いを徐々に増加させながら(牽引ピンを無人搬送車側に押し込みながら)、当該牽引ピンを凹部まで案内することができる。これにより、牽引ピンが凹部に到達したときに、当該牽引ピンの突出方向への付勢力(バネの復元力)をより大きなものとすることができる。この結果、牽引ピンの凹部への係合をより確実なものとすることができる。なお、第3および第4ストッパーによって、第3および第4駒部材の揺動を規制するのみという簡易な構成で、第9および第10当接面を第7および第8当接面と略同じ傾斜を有する状態にすることができる。
【0018】
本発明に係る台車の更なる形態によれば、第3駒部材は、牽引ピンが当接可能な第11当接面をさらに有している。また、第4駒部材は、牽引ピンが当接可能な第12当接面をさらに有している。そして、第11当接面は、第12方向において第9当接面よりも凹部寄りに配置されると共に、第9当接面よりも凹部の深さ方向において当該凹部寄りに配置されている。第12当接面は、第2方向において第10当接面よりも凹部寄りに配置されると共に、第10当接面よりも凹部の深さ方向において当該凹部寄りに配置されている。なお、第11および第12当接面は、それぞれ第9および第10当接面と平行であるとすることもできる。
【0019】
本形態によれば、牽引ピンが第11および第12当接面に当接する際、即ち、牽引ピンが凹部に係合する直前に、牽引ピンが第9および第10当接面に当接している状態よりも、当該牽引ピンの突出量を若干増加させることができる。換言すれば、牽引ピンの突出を二段階で行うことができる。これにより、牽引ピンの凹部への係合をより円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、台車に対して複数の方向から無人搬送車を接近させて、牽引ピンを台車に係合することができると共に、当該牽引ピンの台車への係合を確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係る台車1の構成の概略を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る台車1を上方から見た平面図である。
図3】無人搬送車AGVが本発明の実施の形態に係る台車1を牽引する様子を示す説明図である。
図4】ストライカー20を斜め上方から見た斜視図である。
図5】ストライカー20を斜め下方から見た斜視図である。
図6】ストライカー20を上方から見た平面図である。
図7】ストライカー20を下方から見た裏面図である。
図8】ストライカー本体30を斜め下方から見た斜視図である。
図9】ストライカー本体30を上方から見た平面図である。
図10】アンチバックブロック50a,50b,50c,50dを除いたストライカー本体30を斜め下方から見た斜視図である。
図11】アンチバックブロック50a,50b,50c,50dを除いたストライカー本体30を下方から見た裏面図である。
図12図11のB-B断面を示す断面図である。
図13】アンチバックブロック50a,50b,50c,50dの外観を示す斜視図である。
図14】アンチバックブロック50a,50b,50c,50dを揺動軸57a,57b,57c,57dの軸線方向の一方がから見た側面図である。
図15】ストライカー本体30を揺動軸57a,57b,57c,57dの軸線方向の一方がから見た側面図である。
図16図15のC-C断面を示す断面図である。
図17】ストライカー導入部60を斜め下方から見た斜視図である。
図18】ストライカー導入部60を斜め上方から見た斜視図である。
図19図6の断面A-Aを示す断面図である。
図20】ストライカー20の台車1への組み付けの様子を示す説明図である。
図21】ストライカー20を図11のB-B断面に相当する断面で見た断面図である。
図22図21のD部を拡大して示す要部拡大図である。
図23】無人搬送車AGVの外観を示す外観図である。
図24】台車1の牽引に向けて無人搬送車AGVが台車1に接近する様子の一例を示す説明図である。
図25】無人搬送車AGVが台車1の牽引準備を開始する位置に到達した様子を裏側から見た説明図である。
図26】前側牽引ピン12が傾斜板70dに到達した様子を裏側から見た説明図である。
図27】前側牽引ピン12が傾斜板70dに到達した様子を図7のE-E断面に相当する断面で見た断面図である。
図28】前側牽引ピン12が傾斜板36dに到達した様子を裏側から見た説明図である。
図29】前側牽引ピン12が傾斜板36dに到達した様子を図7のE-E断面に相当する断面で見た断面図である。
図30】前側牽引ピン12がアンチバックブロック50dに到達した様子を裏側から見た説明図である。
図31】前側牽引ピン12がアンチバックブロック50dに到達した様子を図7のE-E断面に相当する断面で見た断面図である。
図32】アンチバックブロック50dが凹部構成壁40dに当接するまで揺動した様子を図7のE-E断面に相当する断面で見た断面図である。
図33】前側牽引ピン12が凹部42に係合する直前の様子を図7のE-E断面に相当する断面で見た断面図である。
図34】前側牽引ピン12が凹部42に係合した状態を図7のE-E断面に相当する断面で見た断面図である。
図35】アンチバックブロック50dがアンチバックブロック50b(アンチバックブロック50a,50c)によって、通路35b(通路35a,35c)に進入することを防止される様子を図7のE-E断面に相当する断面で見た断面図である。
図36】前側牽引ピン12が凹部42に係合した状態を裏側から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0023】
本実施の形態に係る台車1は、図1および図2に示すように、ラダーフレーム構造を有する平面視四角形状の車枠2と、当該車枠2の下面であって四隅に配置された4つのキャスター4,4,4,4と、当該車枠2の下面であって中央に配置されたストライカー20と、を備えている。台車1は、図3に示すように、当該台車1の下方に潜り込んだ無人搬送車AGV(図3参照)によって牽引される。
【0024】
ストライカー20は、図4ないし図7に示すように、ストライカー本体30と、当該ストライカー本体30の外周に配置されるストライカー導入部60と、を備えている。
【0025】
ストライカー本体30は、図8に示すように、天板32と、当該天板32に一体にされた牽引ピンガイド34と、当該牽引ピンガイド34に配置された4つのアンチバックブロック50a,50b,50c,50dと、当該アンチバックブロック50a,50b,50c,50dそれぞれの揺動を規制可能なストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4と、を有している。
【0026】
天板32は、図9に示すように、平面視正方形状を有している。また、天板32は、中央に開口32aを有している。
【0027】
牽引ピンガイド34は、図10および図11に示すように、4つの通路壁34a,34b,34c,34dと、当該通路壁34a,34b,34c,34dに一体にされた4つの傾斜板36a,36b,36c,36dと、通路壁34a,34b,34c,34dに一体にされた4つの凹部構成壁40a,40b,40c,40dと、を有している。
【0028】
通路壁34a,34b,34c,34dは、図10および図11に示すように、平面視十字状の通路を構成している。具体的には、通路壁34a,34dによって通路35aが構成され、通路壁34a,34bによって通路35bが構成され、通路壁34b,34cによって通路35cが構成され、通路壁34c,34dによって通路35dが構成されると共に、通路35aと通路35cとが同一直線上となるよう配置され、通路35bと通路35dとが同一直線上となるよう配置されており、通路35a,35cと通路35b,35dとが十字に交差している。通路35a,35b,35c,35dの通路幅は、それぞれ同じ大きさを有しており、無人搬送車AGVの後述する前側牽引ピン12および後側牽引ピン14の直径よりも若干大きな値に設定されている。通路35dは、本発明における「第1経路」に対応し、通路35aは、本発明における「第2経路」に対応し、通路35bは、本発明における「第3経路」に対応し、通路35cは、本発明における「第4経路」に対応する実施構成の一例である。
【0029】
また、通路壁34a,34b,34c,34dは、図10および図11に示すように、それぞれ長手方向(通路35a,35b,35c,35dの延在方向)の一端(天板32の外縁部側に配置される端部)に傾斜部340a,341a,340b,341b,340c,341c,340d,341dを有している。傾斜部340aと傾斜部341d、傾斜部341aと傾斜部340b、傾斜部341bと傾斜部340c、及び、傾斜部341cと傾斜部340dは、それぞれ互いに離れる方向、換言すれば、通路幅が広がる方向の傾斜を有している。
【0030】
傾斜板36a,36b,36c,36dは、図10および図11に示すように、それぞれ通路35a,35b,35c,35dに配置されている。より具体的には、傾斜板36aは、通路壁34aと通路壁34d間に配置され、傾斜板36bは、通路壁34aと通路壁34b間に配置され、傾斜板36cは、通路壁34bと通路壁34c間に配置され、傾斜板36dは、通路壁34cと通路壁34d間に配置されている。傾斜板36a,36b,36c,36dは、天板32の外縁部(傾斜部340a,341a,340b,341b,340c,341c,340d,341dが配置された位置近傍)から各通路35a,35b,35c,35dが交差する交差部(凹部構成壁40a,40b,40c,40d)に向かって、通路35a,35b,35c,35dの通路長さの概ね半分(ストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4の手前)まで延在している。また、傾斜板36a,36b,36c,36dは、図10および図12に示すように、各通路35a,35b,35c,35dが交差する交差部(凹部構成壁40a,40b,40c,40d)に近く付くのに伴って、天板32から遠ざかる方向の傾斜を有している。傾斜板36a,36b,36c,36dにおける天板32を向く側とは反対側の面には、無人搬送車AGVの後述する前側牽引ピン12の先端面が当接する。換言すれば、傾斜板36a,36b,36c,36dにおける天板32を向く側とは反対側の面は、牽引ピン当接面を構成すると言うことができる。通路35dを構成する通路壁34c,34dおよび傾斜板36dは、本発明における「第1案内部」に対応し、通路35aを構成する通路壁34a,34dおよび傾斜板36aは、本発明における「第2案内部」に対応し、通路35bを構成する通路壁34a,34bおよび傾斜板36bは、本発明における「第3案内部」に対応し、通路35cを構成する通路壁34b,34cおよび傾斜板36cは、本発明における「第4案内部」に対応する実施構成の一例である。
【0031】
凹部構成壁40a,40b,40c,40dは、図9ないし図11に示すように、それぞれ各通路35a,35b,35c,35dが交差する交差部に配置されている。凹部構成壁40aは、通路壁34aと通路壁34d間に配置され、凹部構成壁40bは、通路壁34aと通路壁34b間に配置され、凹部構成壁40cは、通路壁34bと通路壁34c間に配置され、凹部構成壁40dは、通路壁34cと通路壁34d間に配置されている。これにより、交差部に凹部42が構成されている。換言すれば、凹部構成壁40a,40b,40c,40dによって囲まれた領域が凹部42であると言うことができる。凹部構成壁40a,40b,40c,40dは、通路壁34a,34b,34c,34dよりも天板32からの突出量が小さい(図12参照)。換言すれば、凹部構成壁40a,40b,40c,40dは、通路壁34a,34b,34c,34dよりも高さが低いと言うことができる。凹部構成壁40a,40b,40c,40dの先端(天板32との接続端部とは反対側の端部)は、詳細は後述するが、アンチバックブロック50a,50b,50c,50dの凹部42側への揺動量を規制する規制部として機能する(図12および図14参照)。凹部42を構成する凹部構成壁40a,40b,40c,40dは、本発明における「係合部」に対応する実施構成の一例である。
【0032】
アンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、図13および図14に示すように、それぞれ、第1規制面51a,51b,51c,51dおよび第2規制面52a,52b,52c,52dと、第1当接面53a,53b,53c,53dおよび第2当接面54a,54b,54c,54dと、軸挿通孔56a,56b,56c,56dと、を有している。アンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、図14に示すように、軸挿通孔56a,56b,56c,56dの軸線方向の一方側からみたときに、軸挿通孔56a,56b,56c,56dに関して、第1当接面53a,53b,53c,53dが配置された側(図14の左側)の第1部分と、第2当接面54a,54b,54c,54dが配置された側(図14の右側)の第2部分と、から構成されていると言うことができる。そして、アンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、第2部分に重心Grvを有している。アンチバックブロック50dは、本発明における「第1駒部材」に対応し、アンチバックブロック50a,50b,50cは、それぞれ本発明における「第2駒部材」、「第3駒部材」および「第4駒部材」に対応する実施構成の一例である。また、第1当接面53dは、本発明における「第3当接面」に対応し、第1当接面53a,53b,53cは、それぞれ本発明における「第4当接面」、「第9当接面」および「第10当接面」に対応し、第2当接面54dは、本発明における「第5当接面」に対応し、第2当接面54a,54b,54cは、それぞれ本発明における「第6当接面」、「第11当接面」および「第12当接面」に対応する実施構成の一例である。
【0033】
第1規制面51a,51b,51c,51dは、図14に示すように、それぞれストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4に当接可能な平面である。第2規制面52a,52b,52c,52dは、それぞれ凹部構成壁40a,40b,40c,40dに当接可能な平面である。第2規制面52a,52b,52c,52dは、第1規制面51a,51b,51c,51dに対して下り傾斜(図14の右側に向かうのに伴って下る方向の傾斜)を有している。
【0034】
第1当接面53a,53b,53c,53dと第2当接面54a,54b,54c,54dとは、図14に示すように、段差面55a,55b,55c,55dを介して段差上に接続されている。より具体的には、第2当接面54a,54b,54c,54dは、第1当接面53a,53b,53c,53dよりも第1規制面51a,51b,51c,51dおよび第2規制面52a,52b,52c,52dよりに配置されている。換言すれば、第2当接面54a,54b,54c,54dは、第1当接面53a,53b,53c,53dよりも軸挿通孔56a,56b,56c,56dに距離が近いと言うことができる。
【0035】
第1当接面53a,53b,53c,53dおよび第2当接面54a,54b,54c,54dは、無人搬送車AGVの後述する前側牽引ピン12の先端面が当接可能な平面であり、図14に示すように、互いに平行である。また、第1当接面53a,53b,53c,53dおよび第2当接面54a,54b,54c,54dは、第1規制面51a,51b,51c,51dに対して傾斜している。換言すれば、第1当接面53a,53b,53c,53dおよび第2当接面54a,54b,54c,54dは、第1規制面51a,51b,51c,51dに対して、第2規制面52a,52b,52c,52dと同じ方向の傾斜(図14の右側に向かうのに伴って下る方向の傾斜)を有しているということができる。
【0036】
こうして構成されたアンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、図14および図16に示すように、それぞれ揺動軸57a,57b,57c,57dによって、通路壁34a,34b,34c,34dに揺動可能に支持される。より具体的には、アンチバックブロック50aは、揺動軸57aによって通路壁34a,34dに揺動可能に支持され、アンチバックブロック50bは、揺動軸57bによって通路壁34a,34bに揺動可能に支持され、アンチバックブロック50cは、揺動軸57cによって通路壁34b,34cに揺動可能に支持され、アンチバックブロック50dは、揺動軸57dによって通路壁34c,34dに揺動可能に支持される。なお、揺動軸57a,57b,57c,57dは、図14に示すように、それぞれ通路35a,35b,35c,35dの延在方向(図14の左右方向)および凹部42の深さ方向(図14の上下方向)の両方向に直交する方向(図14の紙面に直交する方向)に延在する。また、揺動軸57a,57b,57c,57dは、それぞれ揺動軸57a,57b,57c,57dの軸線方向の一方側から見たときの仮想投影面上における傾斜板36a,36b,36c,36dと凹部構成壁40a,40b,40c,40dとの間の領域に配置される。これにより、アンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、それぞれ、各通路35a,35b,35c,35d上であって、傾斜板36a,36b,36c,36dと凹部構成壁40a,40b,40c,40dとの間に揺動可能な状態で配置される。なお、ここで、アンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、第1部分(第1規制面51a,51b,51c,51dおよび第1当接面53a,53b,53c,53dを含む部分)が傾斜板36a,36b,36c,36d側に配置され、第2部分(第2規制面52a,52b,52c,52dおよび第2当接面54a,54b,54c,54dを含む部分)は、凹部構成壁40a,40b,40c,40d側に配置される。揺動軸57dは、本発明における「第1揺動軸」に対応し、揺動軸57a,57b,57cは、それぞれ本発明における「第2揺動軸」、「第3揺動軸」および「第
4揺動軸」に対応する実施構成の一例である。
【0037】
こうして揺動軸57a,57b,57c,57dを介して通路壁34a,34b,34c,34dに揺動可能に支持されたアンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、第2部分に重心Grvを有しているため、図14に示すように、通常は、第1規制面51a,51b,51c,51dが、それぞれストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4に当接した状態となる(図14の実線)。このとき、第1当接面53a,53b,53c,53dおよび第2当接面54a,54b,54c,54dは、傾斜板36a,36b,36c,36dの牽引ピン当接面(傾斜板36a,36b,36c,36dにおける天板32を向く側とは反対側の面)とほぼ同じ傾斜となっている(図21および図22参照)。
【0038】
ストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4は、図10および図11に示すように、それぞれ通路35a,35b,35c,35dに配置されている。より具体的には、ストッパーロッドSR1は、通路壁34aと通路壁34dに支持さ、ストッパーロッドSR2は、通路壁34aと通路壁34bに支持され、ストッパーロッドSR3は、通路壁34bと通路壁34cに支持され、ストッパーロッドSR4は、通路壁34cと通路壁34dに支持されている。ストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4は、それぞれ通路35a,35b,35c,35dの延在方向(図14の左右方向)および凹部42の深さ方向(図14の上下方向)の両方向に直交する方向(図14の紙面に直交する方向)に延在している。即ち、ストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4は、揺動軸57a,57b,57c,57dと平行である(図16参照)。また、ストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4は、図12に示すように、アンチバックブロック50a,50b,50c,50dの揺動軌跡上であって、ストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4それぞれの軸線方向(揺動軸57a,57b,57c,57dの軸線方向)の一方側から見たときの仮想投影面上における揺動軸57a,57b,57c,57dに関して、当該仮想投影面上における凹部構成壁40a,40b,40c,40dとは反対側に配置されている。ストッパーロッドSR4は、本発明における「第1ストッパー」に対応し、ストッパーロッドSR1,SR2,SR3は、それぞれ本発明における「第2ストッパー」、「第3ストッパー」および「第4ストッパー」に対応する実施構成の一例である。
【0039】
こうして構成されたストライカー本体30は、通路壁34a,34b,34c,34dの突出方向が台車1の車枠2とは反対側を向くように配置され、天板32が台車1の車枠2に固定される(図20参照)。
【0040】
ストライカー導入部60は、図17および図18に示すように、ベースプレート62a,62b,62c,62dと、当該ベースプレート62a,62b,62c,62dに一体にされた通路壁64a,65a,64b,65b,64c,65c,64d,65dと、通路壁64a,65a,64b,65b,64c,65c,64d,65dに一体にされた傾斜板70a,70b,70c,70dと、を有している。
【0041】
ベースプレート62a,62b,62c,62dは、図17および図18に示すように、それぞれ平面視略L字状を有している。これにより、ストライカー導入部60が平面視四角形状の開口60aを中央部に有することになる。開口60aは、平面視において、ストライカー本体30の平面視における外形寸法よりも大きい寸法を有している(図7参照)。
【0042】
通路壁64a,65aは、図17に示すように、ベースプレート62aに一体となっており、通路壁64b,65bは、ベースプレート62bに一体となっており、通路壁64c,65cは、ベースプレート62cに一体となっており、通路壁64d,65dは、ベースプレート62dに一体となっている。通路壁64a,65dによって通路68aが構成され、通路壁65a,64bによって通路68bが構成され、通路壁65b,64cによって通路68cが構成され、通路壁65c,64dによって通路68dが構成される。通路68aと通路68cとが同一直線上となるよう配置され、通路68bと通路68dとが同一直線上となるよう配置されている。通路68dは、本発明における「第1経路」に対応し、通路68aは、本発明における「第2経路」に対応し、通路68bは、本発明における「第3経路」に対応し、通路68cは、本発明における「第4経路」に対応する実施構成の一例である。
【0043】
また、通路壁64a,65a,64b,65b,64c,65c,64d,65dは、図17に示すように、それぞれ長手方向(通路68a,68b,68c,68dの延在方向)の一端(ベースプレート62a,62b,62c,62dの外縁部側に配置される端部)に傾斜部640a,650a,640b,650b,640c,650c,640d,650dを有している。傾斜部640aと傾斜部650d、傾斜部650aと傾斜部640b、傾斜部650bと傾斜部640c、及び、傾斜部650cと傾斜部640dは、それぞれ互いに離れる方向、換言すれば、通路幅が広がる方向の傾斜を有している。なお、通路壁64a,65a,64b,65b,64c,65c,64d,65dの他端(開口60a側に配置される端部)は、開口60a内に突出している。
【0044】
傾斜板70a,70b,70c,70dは、図17に示すように、それぞれ通路68a,68b,68c,68dに配置されている。より具体的には、傾斜板70aは、通路壁64a,65d間であって通路壁64a,65dの他端(開口60a側に配置される端部)に配置され、傾斜板70bは、通路壁65a,64b間であって通路壁65a,64bの他端(開口60a側に配置される端部)に配置され、傾斜板70cは、通路壁65b,64c間であって通路壁65b,64cの他端(開口60a側に配置される端部)に配置され、傾斜板70dは、通路壁65c,64d間であって通路壁65c,64dの他端(開口60a側に配置される端部)に配置されている。通路68dを構成する通路壁65c,64dおよび傾斜板70dは、本発明における「第1案内部」に対応し、通路68aを構成する通路壁64a,65dおよび傾斜板70aは、本発明における「第2案内部」に対応し、通路68bを構成する通路壁65a,64bおよび傾斜板70bは、本発明における「70第3案内部」に対応し、通路68cを構成する通路壁65b,64cおよび傾斜板36cは、本発明における「第4案内部」に対応する実施構成の一例である。
【0045】
また、傾斜板70a,70b,70c,70dは、図17に示すように、開口60a側からベースプレート62a,62b,62c,62dの外縁部側に向かって当該ベースプレート62a,62b,62c,62dから遠ざかる方向の傾斜を有している。傾斜板70a,70b,70c,70dにおけるベースプレート62a,62b,62c,62dを向く側とは反対側の面には、無人搬送車AGVの後述する前側牽引ピン12の先端面が当接する。換言すれば、傾斜板70a,70b,70c,70dにおけるベースプレート62a,62b,62c,62dを向く側とは反対側の面は、牽引ピン当接面を構成すると言うことができる。なお、傾斜板70a,70b,70c,70dの端部のうちベースプレート62a,62b,62c,62dの外縁部側の端部は、図19に示すように、傾斜板36a,36b,36c,36dにおける天板32の外縁部側の端部と同じ高さ位置となるように配置されている。即ち、傾斜板70a,70b,70c,70dから傾斜板36a,36b,36c,36dを経てアンチバックブロック50a,50b,50c,50dの第1当接面53a,53b,53c,53dまで、概ね同一平面となる牽引ピン当接面が構成される。傾斜板36d,70dの牽引ピン当接面は、本発明における「第1当接面」に対応し、傾斜板36a,70aは、本発明における「第2当接面」に対応し、傾斜板36b,70bの牽引ピン当接面は、本発明における「第7当接面」に対応し、傾斜板36c,70cの牽引ピン当接面は、本発明における「第8当接面」に対応する実施構成の一例である。
【0046】
こうして構成されたストライカー導入部60は、通路壁64a,65a,64b,65b,64c,65c,64d,65dの突出方向が台車1の車枠2側を向くように配置され、ベースプレート62a,62b,62c,62dに一体にされたブラケット(図示せず)を介して車枠2に固定される(図20参照)。このとき、ストライカー本体30は、開口60a内に配置される。これにより、ストライカー20の台車1の車枠2への取り付けが完了する。そして、通路68aと通路35aとが凹部42までの一本の通路を構成し、通路68bと通路35bとが凹部42までの一本の通路を構成し、通路68cと通路35cとが凹部42までの一本の通路を構成し、通路68dと通路35dとが凹部42までの一本の通路を構成する(図7参照)。即ち、通路35a,35c,68a,68cと、通路35b,35d,68b,68cと、が十字に交差する平面視十字状の通路が構成する。これにより、無人搬送車AGVは、台車1に対して、4つの方向(十字方向)から接近して、前側牽引ピン12を凹部42に係合させることができる(図6参照)。通路35b,35d,68b,68dの延在方向は、本発明における「第1方向」に対応し、通路35a,35c,68a,68cの延在方向は、本発明における「第2方向」に対応する実施構成の一例である。
【0047】
無人搬送車AGVは、予め設定された走行経路に沿って床面に設置された誘導帯(例えば、磁気テープなど。図示せず)を検知することによって、当該走行経路に沿って自走する搬送車として構成されている。無人搬送車AGVは、図23に示すように、車体6と、当該車体6に支持された駆動ユニット8および固定輪10と、車体6に配置された前側牽引ピン12および後側牽引ピン14と、無人搬送車AGV全体をコントロールする図示しない制御装置と、を備えている。なお、説明の便宜上、以下では、図23の上方向を「上方向」、「上方」または「上側」と規定し、図23の下方向を「下方向」、「下方」または「下側」と規定する。また、図23の左右方向を「走行方向」と称する。特に、図4の左方向を「前進走行方向」と称し、図23の右方向を「後進走行方向」と称する。前側牽引ピン12は、本発明における「牽引ピン」に対応する実施構成の一例である。
【0048】
前側牽引ピン12は、図4に示すように、車体6の上部(図23の上方部分)であって、走行方向のほぼ中央に配置されている。後側牽引ピン14は、車体6の上部(図23の上方部分)であって、前進走行方向に向かって後端部(後進走行方向に向かって前端部)に配置されている。前側牽引ピン12および後側牽引ピン14は、図示しないバネによって、上方(前側牽引ピン12および後側牽引ピン14が車体6の上面(車体6の上方を向く面)から突出する方向)に付勢されている。前側牽引ピン12および後側牽引ピン14は、台車1を牽引しない「非牽引状態」では、図示しないアクチュエータによって、車体6の上面(車体6の上方を向く面)から突出しないように、バネ力に抗して押し下げられた状態となる(図23の実線)。一方、台車1を牽引する「牽引状態」では、アクチュエータ(図示せず)による前側牽引ピン12および後側牽引ピン14の押し下げが解除されて、バネ力によって、前側牽引ピン12および後側牽引ピン14が、車体6の上面(車体6の上方を向く面)から突出した状態となる。
【0049】
次に、こうして構成された台車1が無人搬送車AGVによって牽引される際の動作、特に、前側牽引ピン12がストライカー20の凹部42に係合される際の動作について説明する。なお、以下では、無人搬送車AGVが、図24に示すように、右方向、即ち、ストライカー20の通路壁65c,64d側から走行して、台車1を牽引する場合を一例にとって説明する。
【0050】
無人搬送車AGVが走行を開始すると、図示しない制御装置が走行センサ(図示せず)からの検出信号やマーカーセンサからのコマンド信号を読み込み、無人搬送車AGVが誘導帯に沿って走行するように駆動ユニット8を駆動制御する処理を実行する。そして、図25に示すように、無人搬送車AGVが台車1の牽引準備を開始するべき位置まで到達したときに、マーカーセンサが、押し下げ解除指示コマンド(アクチュエータ(図示せず)による前側牽引ピン12および後側牽引ピン14の押し下げを解除するコマンド)が記憶されたマーカーを検出すると共に当該押し下げ解除指示コマンド信号を出力する。このとき、前側牽引ピン12は、ストライカー20の傾斜部640d,650cの内側領域に配置されている。
【0051】
続いて、制御装置(図示せず)は、マーカーセンサからの押し下げ解除指示コマンド信号が入力されると、前側牽引ピン12および後側牽引ピン14の押し下げを解除するべくアクチュエータ(図示せず)を駆動制御する。これにより、前側牽引ピン12および後側牽引ピン14は、「非牽引状態」から「牽引状態」となる。即ち、前側牽引ピン12および後側牽引ピン14は、車体6の上面(車体6の上方を向く面)から突出していない状態から、車体6の上面(車体6の上方を向く面)から突出した状態となる。
【0052】
無人搬送車AGVが当該「牽引状態」で、さらに走行を続けると、前側牽引ピン12は、傾斜部640d,650cによって通路68dに案内される。ここで、ストライカー20が傾斜部650c,640dを有するため、前側牽引ピン12の通路68dへの案内を円滑に行うことができる。
【0053】
そして、前側牽引ピン12は、無人搬送車AGVの走行に伴って、図26図28および図30に示すように、通路68d、通路35dの順に進行して、アンチバックブロック50dまで到達する。ここで、傾斜板70dの牽引ピン当接面、傾斜板36dの牽引ピン当接面、および、アンチバックブロック50dの第1当接面53dが、凹部42に向かって下り傾斜を有しているため、前側牽引ピン12は、図27図29および図31に示すように、傾斜板70dの牽引ピン当接面、傾斜板36dの牽引ピン当接面、および、第1当接面53dに当接しながら進行する際に、バネ力に抗して徐々に押し下げられる。ここで、アンチバックブロック50dの第1規制面51dがストッパーロッドSR4に当接しているため、アンチバックブロック50dの反時計回り(図27において反時計回り)の揺動が規制されている。これにより、前側牽引ピン12が第1当接面53dに当接したときに、アンチバックブロック50dが反時計回り(図27において反時計回り)に揺動することないため、アンチバックブロック50dによって前側牽引ピン12が確実に押し下げられる。なお、傾斜板70dの牽引ピン当接面、傾斜板36dの牽引ピン当接面、および、第1当接面53dが、概ね同一平面となっているため、前側牽引ピン12の押し下げ、および、前側牽引ピン12の凹部42までの案内を円滑に行うことができる。
【0054】
そして、前側牽引ピン12が、無人搬送車AGVの走行に伴って、通路35dをさらに進行して、図32および図33に示すように、アンチバックブロック50dの第1当接面53dから第2当接面54dに達すると、アンチバックブロック50dおよびストッパーロッドSR4によって、前側牽引ピン12を突出させる方向に作用するバネ力を抑えることができなくなるため、前側牽引ピン12が突出方向に移動して、アンチバックブロック50dが、凹部構成壁40dに当接するまで時計回り(図32において時計回り)に揺動する。このとき、前側牽引ピン12は、図32ないし図34に示すように、アンチバックブロック50dの第2当接面54dに当接しながら凹部42に円滑に案内され得る。なお、
【0055】
第2当接面54a,54b,54c,54dは、第1当接面53a,53b,53c,53dよりも第1規制面51a,51b,51c,51dおよび第2規制面52a,52b,52c,52dよりに配置されている、換言すれば、第2当接面54a,54b,54c,54dは、第1当接面53a,53b,53c,53dよりも凹部42の深さ方向において、凹部42に近い位置に配置されているため、前側牽引ピン12が凹部42に係合する直前に、第1当接面53a,53b,53c,53dに当接していた状態よりも、その突出量を増加させることができる。換言すれば、前側牽引ピン12の突出を二段階で行うことができる。これにより、前側牽引ピン12の凹部42への係合をより円滑に行うことができる。
【0056】
ここで、前側牽引ピン12が当接しているアンチバックブロック50d以外のアンチバックブロック50a,50b,50cは、図35に示すように、その重心Grvの位置によって、第1規制面51a,51b,51cがそれぞれストッパーロッドSR1,SR2,SR3に当接するまで揺動した状態、即ち、先端(第2部分)が凹部42から遠ざかる方向に揺動した状態となっているため、通路35dを進行してきた前側牽引ピン12がその慣性によって、通路35aや通路35b、通路35cに進入しようとしても、これらアンチバックブロック50a,50b,50cによって阻止される。これにより、前側牽引ピン12の凹部42への係合を確実に実現し得る。なお、前側牽引ピン12が凹部42に係合したとき、後側牽引ピン14は通路68d内に進入しているため、台車1が前側牽引ピン12を中心として、牽引走行方向(図36の左方向)に向かって左右方向(図36の上下方向)に振られることを良好に防止し得る。
【0057】
また、台車1の牽引を停止するときは、前側牽引ピン12および後側牽引ピン14が車体6の上面から突出しないように、アクチュエータによって前側牽引ピン12および後側牽引ピン14を押し下げて「非牽引状態」にすれば良い。
【0058】
以上説明した本実施の形態に係る台車1によれば、ストライカー20が、前側牽引ピン12を凹部42まで案内する4本の通路(例えば、通路35a,68a、通路35b,68b,通路35c,68c、および、通路35d,68d)を有するため、無人搬送車AGVを台車1に対して4方向から接近させて、前側牽引ピン12を凹部42に係合することができる。また、4本の通路(通路35a,68a、通路35b,68b,通路35c,68c、および、通路35d,68d)それぞれの凹部42の直前にアンチバックブロック50a,50b,50c,50dを揺動可能に配置するため、前側牽引ピン12が進行する通路(例えば、通路35d,68d)に配置されたアンチバックブロック(例えば、アンチバックブロック50d)は、バネ力によって突出方向に付勢された前側牽引ピン12に押圧されて、先端(第2部分)が凹部42の奥側に向かう方向に揺動する一方、前側牽引ピン12が進行する通路以外の通路(例えば、通路35a,68a、通路35b,68b、および、通路35c,68c)に配置されたアンチバックブロック(例えば、アンチバックブロック50a,50b,50c)は、先端(第2部分)が自重によって凹部42の奥側から遠ざかる方向に揺動した状態となっているため、前側牽引ピン12が、凹部42へ向かって進行中の通路(例えば、通路35d,68d)から、凹部42を超えて他の通路(例えば、通路35a,68a、通路35b,68b、および、通路35c,68c)へ進入することを良好に防止することができる。これにより、前側牽引ピン12の台車1への係合を確実に実現することができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る台車1によれば、通路35a,68a、通路35b,68b、および、通路35c,68cそれぞれに、凹部42に近付くのに伴って当該凹部42の深さ方向において当該凹部42から遠ざかる方向への傾斜を有する(凹部42に向かって下り傾斜を有する)傾斜板36a,70a、傾斜板36b,70b、傾斜板36c,70c、および、傾斜板36d,70dを配置するため、バネ力に抗して前側牽引ピン12を徐々に押し下げながら(前側牽引ピン12を無人搬送車AGVの車体6に押し込みながら)、当該前側牽引ピン12を凹部42まで案内することができる。これにより、前側牽引ピン12が凹部42に到達したときに、当該前側牽引ピン12の突出方向への付勢力(バネの復元力)をより大きなものとすることができるため、前側牽引ピン12の凹部42への係合をより確実なものとすることができる。なお、ストッパーロッドSR1,SR2,SR3,SR4によって、それぞれアンチバックブロック50a,50b,50c,50dの揺動を規制するのみという簡易な構成で、第1当接面53a,53b,53c,53dおよび第2当接面54a,54b,54c,54dを傾斜板36a,36b,36c,36dの牽引ピン当接面および傾斜板70a,70b,70c,70dの牽引ピン当接面と略同じ傾斜を有する状態にすることができる。
【0060】
さらに、本実施の形態に係る台車1によれば、第2当接面54a,54b,54c,54dを、第1当接面53a,53b,53c,53dよりも凹部42の深さ方向において、凹部42に近い位置に配置するため、前側牽引ピン12が凹部42に係合する直前に、第1当接面53a,53b,53c,53dに当接していた状態よりも、その突出量を増加させることができる。換言すれば、前側牽引ピン12の突出を二段階で行うことができる。これにより、前側牽引ピン12の凹部42への係合をより円滑に行うことができる。
【0061】
本実施の形態では、ストライカー20は、ストライカー本体30と、ストライカー導入部60と、を有する構成としたが、これに限らない。例えば、ストライカー20は、ストライカー本体30のみを有する構成としても良い。
【0062】
本実施の形態では、アンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、二つの当接面(第1当接面53a,53b,53c,53dおよび第2当接面54a,54b,54c,54d)を有する構成としたが、これに限らない。例えば、アンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、一つの当接面(例えば、第1当接面53a,53b,53c,53d)のみを有する構成としても良い。あるいは、アンチバックブロック50a,50b,50c,50dは、三つ以上の当接面を有する構成としても良い。この場合、当接面は、凹部42に近付くのに伴って、凹部42の深さ方向において、凹部42に近付く配置とすることができる。
【0063】
本実施の形態では、傾斜板36a,36b,36c,36dおよび傾斜板70a,70b,70c,70dを有する構成としたが、36a,36b,36c,36dおよび傾斜板70a,70b,70c,70dは無くても良い。この場合、アンチバックブロック50a,50b,50c,50dの第1当接面53a,53b,53c,53dおよび第2当接面54a,54b,54c,54dは、通路35a,35b,35c,35dの牽引ピン当接面および通路68a,68b,68c,68dの牽引ピン当接面と同じ傾斜を有する構成とすることができる。また、制御装置は、前側牽引ピン12が通路68a,68b,68c,68dの牽引ピン当接面に当接したときに、前側牽引ピン12の押し下げを解除するように、アクチュエータを駆動制御する構成とすることができる。
【0064】
本実施の形態では、ストライカー20は、平面視十字状の通路()を有する構成としたが、これに限らない。例えば、ストライカー20は、平面視X字状の通路を有する構成とすることができる。
【0065】
本実施の形態では、ストライカー20は、4本の通路(通路35a,68a、通路35b,68b、通路35c,68c、および、通路35d,68d)を有する構成としたが、これに限らない。ストライカー20は、2本以上の通路であればいくつの通路を有する構成としても良い。
【0066】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。なお、本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。
【符号の説明】
【0067】
1 台車(台車)
2 車枠(車枠)
4 キャスター
6 車体
8 駆動ユニット
10 固定輪
12 前側牽引ピン12(牽引ピン)
14 後側牽引ピン
20 ストライカー
30 ストライカー本体
32 天板
32a 開口
34 牽引ピンガイド
34a 通路壁(第2案内部、第3案内部)
34b 通路壁(第3案内部、第4案内部)
34c 通路壁(第1案内部、第4案内部)
34d 通路壁(第1案内部、第2案内部)
35a 通路(第2経路)
35b 通路(第3経路)
35c 通路(第4経路)
35d 通路(第1経路)
36a 傾斜板(第2案内部)
36b 傾斜板(第3案内部)
36c 傾斜板(第4案内部)
36d 傾斜板(第1案内部)
40a 凹部構成壁(係合部)
40b 凹部構成壁(係合部)
40c 凹部構成壁(係合部)
40d 凹部構成壁(係合部)
42 凹部(凹部)
50a アンチバックブロック(第2駒部材)
50b アンチバックブロック(第3駒部材)
50c アンチバックブロック(第4駒部材)
50d アンチバックブロック(第1駒部材)
51a 第1規制面
51b 第1規制面
51c 第1規制面
51d 第1規制面
52a 第2規制面
52b 第2規制面
52c 第2規制面
52d 第2規制面
53a 第1当接面(第4当接面)
53b 第1当接面(第9当接面)
53c 第1当接面(第10当接面)
53d 第1当接面(第3当接面)
54a 第2当接面(第6当接面)
54b 第2当接面(第11当接面)
54c 第2当接面(第12当接面)
54d 第2当接面(第5当接面)
56a 軸挿通孔
56b 軸挿通孔
56c 軸挿通孔
56d 軸挿通孔
57a 揺動軸(第2揺動軸)
57b 揺動軸(第3揺動軸)
57c 揺動軸(第4揺動軸)
57d 揺動軸(第1揺動軸)
60 ストライカー導入部
60a 開口
62a ベースプレート
62b ベースプレート
62c ベースプレート
62d ベースプレート
64a 通路壁(第2案内部)
64b 通路壁(第3案内部)
64c 通路壁(第4案内部)
64d 通路壁(第1案内部)
65a 通路壁(第3案内部)
65b 通路壁(第4案内部)
65c 通路壁(第1案内部)
65d 通路壁(第2案内部)
68a 通路(第2経路)
68b 通路(第3経路)
68c 通路(第4経路)
68d 通路(第1経路)
70a 傾斜板(第2案内部)
70b 傾斜板(第3案内部)
70c 傾斜板(第4案内部)
70d 傾斜板(第1案内部)
340a 傾斜部
340b 傾斜部
340c 傾斜部
340d 傾斜部
341a 傾斜部
341b 傾斜部
341c 傾斜部
341d 傾斜部
640a 傾斜部
640b 傾斜部
640c 傾斜部
640d 傾斜部
650a 傾斜部
650b 傾斜部
650c 傾斜部
650d 傾斜部
AGV 無人搬送車(無人搬送車)
SR1 ストッパーロッド(第2ストッパー)
SR2 ストッパーロッド(第3ストッパー)
SR3 ストッパーロッド(第4ストッパー)
SR4 ストッパーロッド(第1ストッパー)
Grv 重心(重心)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図30
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図32
図33
図34
図35
図36