(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004437
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】呼吸を可能とするマスク
(51)【国際特許分類】
B63C 11/16 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B63C11/16
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022203867
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】63/356,230
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508126022
【氏名又は名称】誠加興業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】薛志誠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】硬質レンズ部の適切なエリアに支持装置が一体的に設置された呼吸を可能とするマスクを提供する。
【解決手段】呼吸を可能とするマスクであって、本体及びシュノーケルを含み、シュノーケルと本体の内部は流体が通過可能となっており、本体は、メインフレーム21、レンズモジュール及び防水密封スカートを含み、レンズモジュールはレンズ部及び支持装置を有し、支持装置は、レンズ部の最外縁から内側に向かって一定の距離に、レンズ部と一体的に成形されるとともに、防水密封スカートの一部に相互接続されて、当該部分付近のエリアの剛性を向上させる。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸を可能とするマスクであって、本体及びシュノーケルを含み、前記シュノーケルと前記本体の内部は流体が通過可能となっており、前記本体は、
メインフレームと、
前記メインフレーム内に篏合するレンズモジュールと、
少なくとも一部が前記メインフレーム及び前記レンズモジュールに嵌合し、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカート、を含み、
前記レンズモジュールはレンズ部及び支持装置を有し、前記支持装置は、前記レンズ部の最外縁から内側に向かって一定の距離に、前記レンズ部と一体的に成形されるとともに、前記防水密封スカートの一部に相互接続されて、当該部分付近のエリアの剛性を向上させる呼吸を可能とするマスク。
【請求項2】
前記防水密封スカートは、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有し、前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着する際に、前記スペーサーは前記使用者の鼻上に座し、前記使用者の目は前記上室に収容され、且つ、前記使用者の鼻、又は鼻及び口は前記下室に収容される請求項1に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項3】
前記レンズモジュールは、前記上室内に対応するよう位置する請求項2に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項4】
前記上室と前記下室の間は一方向に流体を通過させるようになっており、前記上室のガスは、一方向吸気弁を経由して前記下室に進入することのみが許容される請求項2に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項5】
前記一方向吸気弁は枢動逆止弁であり、前記防水密封スカートには、前記上室の外周縁に沿って延伸する排気通路が形成されており、前記使用者の呼気を排出するために、前記下室は、前記排気通路を通じて外部との間で流体を通過させることのみが許容され、前記支持装置は弁座を有し、前記排気通路は排気通路入口及び内辺壁を有し、前記内辺壁は、前記排気通路入口に近接する箇所に、吸気口と、前記吸気口を遮蔽する揺動式フィルムが設けられており、前記弁座及び前記揺動式フィルムは、前記吸気口の両側に別々に設けられ、共同で前記枢動逆止弁を形成する請求項4に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項6】
前記支持装置は、遮断壁を更に含み、前記排気通路が前記メインフレームと前記遮断壁の間に位置し、前記遮断壁は、少なくとも一部が連続状となっており、且つ少なくとも一部が前記排気通路の内辺壁に密接して設置される請求項5に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項7】
前記遮断壁が前記排気通路から分離しないよう、前記遮断壁は複数のメス留め具を含み、前記排気通路の内辺壁の外側には、前記複数のメス留め具に対応して適切に緊合可能な複数のオス留め具が設けられている請求項6に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項8】
前記シュノーケル内には、吸気管と、前記吸気管とは独立して配置される排気管が備わっており、前記排気通路は、前記上室の外周縁に沿って延伸するとともに、前記シュノーケルの排気管と連通しており、これにより、前記下室は、前記排気通路及び前記排気管を通じて外部との間で流体の通過が許容される請求項5に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項9】
前記一方向吸気弁は枢動逆止弁であり、前記支持装置は弁座を有し、前記防水密封スカートは、前記スペーサー上に、吸気口及び前記吸気口を遮蔽する揺動式フィルムが設けられており、前記弁座及び前記フィルムは、前記吸気口の両側に別々に設けられ、共同で前記枢動逆止弁を形成する請求項4に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項10】
前記一方向吸気弁は枢動逆止弁であり、前記防水密封スカートは、前記スペーサー上に、吸気口及び前記吸気口を遮蔽する揺動式フィルムが設けられており、前記フィルムは前記吸気口の内側に設けられ、これにより、前記揺動式フィルムと共同で前記枢動逆止弁が形成され、前記防水密封スカートには、前記上室の外周縁に沿って延伸する排気通路が形成されており、前記使用者の呼気を排出するために、前記下室は、前記排気通路を通じて外部との間で流体を通過させることのみが許容され、前記排気通路は、排気通路入口及び内辺壁を有し、前記支持装置は、第1リブ及び第2リブを有し、前記第1リブは、前記枢動逆止弁の上方において前記防水密封スカートに嵌設され、前記第2リブは、前記内辺壁における前記排気通路入口に接近する箇所において、前記防水密封スカートに嵌設され、これにより、前記枢動逆止弁が強化される請求項4に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項11】
前記一方向吸気弁はマッシュルーム型の逆止弁であり、前記防水密封スカートには、前記上室の外周縁に沿って延伸する排気通路が形成されており、前記使用者の呼気を排出するために、前記下室は、前記排気通路を通じて外部との間で流体を通過させることのみが許容され、前記支持装置は弁座を有し、前記排気通路は、排気通路入口及び内辺壁を有し、前記内辺壁における前記排気通路入口に接近する箇所には吸気口が設けられており、前記弁座が前記吸気口に装着され、且つ、前記弁座の下方の中央には、前記吸気口を遮蔽するフィルムが固設されており、これにより、前記マッシュルーム型の逆止弁が共同で形成される請求項4に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項12】
前記支持装置は、遮断壁を更に含み、前記排気通路が前記メインフレームと前記遮断壁の間に位置し、前記遮断壁は、少なくとも一部が連続状となっており、且つ少なくとも一部が前記排気通路の内辺壁に密接して設置される請求項11に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項13】
前記遮断壁が前記排気通路から分離しないよう、前記遮断壁は複数のメス留め具を含み、前記排気通路の内辺壁の外側には、前記複数のメス留め具に対応して適切に緊合可能な複数のオス留め具が設けられている請求項12に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項14】
前記請求項2に記載の呼吸を可能とするマスクに用いられる、一体的に成形されたレンズモジュール。
【請求項15】
前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記レンズモジュールは、前記使用者の目に対応してこれを覆う請求項14に記載のレンズモジュール。
【請求項16】
前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記レンズモジュールは、前記使用者の目、鼻及び口に対応してこれらを覆う請求項14に記載のレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルフェイスマスクに関し、特に、シュノーケリング用の呼吸を可能とするマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
口及び鼻で自在に呼吸可能であり、且つ、使用者が可能な限り清潔な空気を吸い込むことができ、吐き出される汚れた空気に可能な限り清潔な空気を混合させないようにしたあと、再び次の吸気の循環に進めるようにするために、現在のフルフェイスシュノーケルマスク(即ち、いわゆるFull Face Snorkel Mask,FFSM)の多くは、マスク本体内を、顔を覆う上室と、口及び鼻を覆う下室に区分している。これにより、吸い込まれた清潔な空気は、上室を経由して一方向に下室へと進入可能となる。また、吐き出される汚れた空気は、一部が下室の排水弁を経由して排出され、残りの部分は独立した排気通路を経由して排出される。上記の排気通路は、いずれも独立して上室の周縁に装着されるとともに、シュノーケルと連通している。排出される空気は、上室に滞ることなく、シュノーケルを経由して外部に直接到達可能であり、次の吸気時に再び下室に進入して吸い込まれる。このような吸排気が分離された構成はむろん実行可能であるが、製品コストや信頼性の双方において明らかに不足がある。
【0003】
まず、吸気の面では、上室から下室に進入させるうえで、吸気逆止弁を設置する必要がある。吸気逆止弁の多くはマッシュルーム型をなしており(即ち、硬質の円形ハブ弁座に軟質の円形弁体が組み合わされている)、上室と下室を区画する軟質スペーサーに装設される。使用者がマスクを装着したあと、使用者の顔型の違いによって、スペーサーはきつく装着されすぎ、引っ張られて押圧変形することがある。この場合、吸気逆止弁が正しい位置とならずに漏気するか、確実に働くことができなくなる。また、装着にゆとりがありすぎる場合、このような問題は生じないが、水漏れしやすくなる。且つ、このような構造は組立部品が多く、手順も複雑である。
【0004】
そのほか、排気の面では、むろん、排気通路に軟質の材質を使用して防水スカート部と一緒に成形するのが大いに都合がよい。しかし、軟質の通路もまた、使用者の違いによって装着時に引っ張られることが多く(特に、きつく装着されすぎる場合)、使用時或いは長期間を経るうちに劣化及び変形して排気経路を妨害してしまう。そのため、大多数の排気通路は、主に硬質のメインフレーム、レンズ部又はこれらの組み合わせにより構成される。しかし、このような構造は、最後に防水スカート部に篏合する必要があり、コストが増加し、且つ防水性の効果的な制御が難しい。そのほか、硬質の排気通路は、衝突時に破損しやすく、製品の信頼性が不足している。軟質の排気通路を使用する際の欠点については、特許文献1の内容を参照すればよい。また、メインフレームを硬質の排気通路とする場合の欠点については、特許文献2の内容を参照すればよい。
【0005】
以上に鑑みて、上記の課題を同時に或いは部分的に解決し、吸排気の働きを円滑にするとともに、製造及び組立コストの双方を効果的に制御可能とすることが、業界の統一の目標となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10793239号明細書
【特許文献2】米国特許第10566654号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主たる目的は、硬質レンズ部の適切なエリアに支持装置が一体的に設置された呼吸を可能とするマスクを提供することである。組立時に、支持装置は、軟質の機能性部材(例えば、一方向吸気弁、排気通路又は双方)の剛性を適宜強化可能として、その働きを的確且つ確実とすることが可能である。こうすることで、依然として、低コストで構造が複雑でない軟質の防水材料(例えば、シリコーン)を使用して上記の機能性部材を作製可能となり、ひいては、シリコーン製の防水スカート部を作製する際に一緒に成形を完了させられるため、製造及び組立コストが大幅に低下する。より具体的には、硬質のレンズ部と軟質の防水スカート部は組み付けが必要なため、本発明では、レンズ部にいくつかの補強部材を一体的に増設することを想定した。これらの補強部材は、別途必要な部品(例えば、軟質の排気通路を支持する遮断壁、又は逆止弁構造を安定させる硬質のリブ)としてもよいし、元々必要な部品(例えば、逆止弁の硬質弁座)としてもよい。こうすることで、レンズ部は、防水スカート部との組み付け時に別の部品を追加しなくともよいため、コストが大幅に低下するとともに、組み付けが容易となり、強度もより良好となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的に基づき、本発明は、具体的に、本体及びシュノーケルを含む呼吸を可能とするマスクを提供する。前記シュノーケルと前記本体の内部は流体が通過可能となっている。前記本体は、メインフレームと、前記メインフレーム内に篏合するレンズモジュールと、少なくとも一部が前記メインフレーム及び前記レンズモジュールに嵌合し、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカート、を含む。特徴として、前記レンズモジュールはレンズ部及び支持装置を有する。前記支持装置は、前記レンズ部の最外縁から内側に向かって一定の距離に、前記レンズ部と一体的に成形されるとともに、前記防水スカート部の一部に相互接続されて、当該部分付近のエリアの剛性を向上させる。前記支持装置は、一方向吸気弁の硬質弁座、一方向吸気弁付近のエリアの補強リブ、排気通路を支持する遮断壁とすることができる。
【0009】
本発明の副次的な目的は、呼吸を可能とするマスクに用いられる上記支持装置を有するレンズモジュールを提供することである。前記レンズ部は、使用者の目のみを覆う形態としてもよいし、使用者の目、鼻及び口を覆う形態としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、従来のフルフェイスシュノーケルマスクの外観図である。
【
図1B】
図1Bは、使用者が従来のシュノーケリング装備を装着した場合の概略図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の別の一実施例におけるレンズモジュールの斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aの実施例に対応する斜視図であり、ヘッドバンド及びシュノーケルを省略している。
【
図4A】
図4Aは、本発明の更なる一実施例におけるレンズモジュールの斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aの実施例に対応する斜視図であり、ヘッドバンド及びシュノーケルを省略している。
【
図5A】
図5Aは、本発明のもう一つの実施例におけるレンズモジュールの斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aの実施例に対応する斜視図であり、ヘッドバンド及びシュノーケルを省略している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明が主張する技術的特徴は、主として、マスクのレンズ構造の変更である。レンズ面を利用して支持部材(最適には一体的に成形する)を増設することで、防水スカート部の既存部品の一部とし、及び/又は、強度不足の防水スカート部を補助する。レンズ面と防水スカート部を組み付けたあと、支持部材は防水スカート部に相互接続(interconnected)可能となる。これにより、防水スカート部における一部のより強い支持を要する部位の剛性を強化できる。この技術は、硬質のレンズ面と軟質の防水スカート部を有するあらゆるマスクに応用可能である。当該マスクには、既存の「フルフェイスシュノーケルマスク(即ち、Full Face Snorkel Mask,FFSM)1」(
図1A参照)、つまり、レンズ部2が使用者の目、鼻、口を覆うマスクが含まれる。また、目及び鼻のみを覆う別の「ダイビングマスク3」(
図1B参照)に応用しても良いし、その他の派生的な態様に応用してもよい。そのほか、本件の発明者が新たに創造した「呼吸を可能とするマスク10」(
図2A参照)、つまり、レンズ部が使用者の目のみを覆い、鼻及び口はフレーム及び防水スカート部の双方で覆うシュノーケルマスクに応用してもよい。なお、構造的に互いに援用が可能なことから、以下では、「呼吸を可能とするマスク10」のみを構成として、各種変形態様につき順に説明する。
【0012】
図2A及び
図2Bに示すように、呼吸を可能とするマスク10は、本体20及びシュノーケル30を含み、前記シュノーケル30と前記本体20の内部は流体が通過可能となっている。前記本体20は、メインフレーム21、レンズモジュール22及び防水密封スカート23を含む。レンズモジュール22は前記メインフレーム21内に篏合する。防水密封スカート23は、少なくとも一部が前記メインフレーム21及び前記レンズモジュール22に嵌合する。本実施例では、防水密封スカート23の前方目部領域231のみが前記メインフレーム21及び前記レンズモジュール22に嵌合する。前記防水密封スカート23の後方は、使用者(図示しない)の顔部に適切に密着可能である。そのほか、使用者がマスク10を装着したあと、メインフレーム21における対向する2つの側に接続されるヘッドバンド40が使用者の頭部を適切に締め付け可能である。また、防水密封スカート23の下方に設けられるあごバンド41は、使用者の下あごを適切に締め付けて、ヘッドバンド40の両側と3点で固定可能とする。
【0013】
好ましくは、前記レンズモジュール22の上方にコネクタ221が一体的に設置されている。コネクタ221の上端は、シュノーケル30と本体20内部の気流を伝達する仲介役を担うよう、シュノーケル30に接続される。本実施例において、コネクタ221は、互いに独立した中央吸気管222及び両側の排気管223に分割される。また、シュノーケル30の内部も、互いに独立した中央吸気管322及び両側の排気管323に分割されて、それぞれ中央吸気管222及び排気管223と連通する。ただし、シュノーケル30によって集中的に吸排気を同時に担うものは一実施例にすぎず、これに限らない。例えば、シュノーケル30が吸気のみを司り、排気についてはその他の方式で行うものも、本発明の適用可能な構成に属する。
【0014】
図2Cを合わせて参照する。防水密封スカート23は、前記本体20の内部を上室25と下室26に分割するスペーサー235を有する。前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着する際に、前記スペーサー235は当該使用者の鼻上に座し、当該使用者の目は前記上室25に収容される。且つ、当該使用者の鼻、又は鼻及び口は前記下室26に収容される。
図2Cに示す実施例において、使用者の鼻及び口は同時に前記下室26に収容される。また、前記レンズモジュール22は、前記上室25内に対応するよう位置する。排水弁27は、下室26に対応しており、硬質の口フレーム31と防水スカート部23の間に挟設されて使用者に排水させるとともに、一部排気の機能も兼ね備える。
【0015】
引き続き、
図2Dを参照する。吸気については、前記上室25と下室26の間が一方向に流体を通過させるようになっており、前記上室25の新鮮なガスは、一方向吸気弁50を経由して前記下室26に進入することのみが許容される。下室26の汚れた呼気については、上室25に戻るダクトが存在しない。また、排気については、通常、防水密封スカート23に、前記上室25の外周縁に沿って延伸する排気通路232が形成されており、前記下室26の汚れた空気は、当該排気通路232を通過して外部に排出されることのみが許容される。更に、
図2Dの中空の点線で示すように、使用者が吸気する際には、新鮮な空気がシュノーケル30の吸気管322からコネクタ221の吸気管222を経由して上室25に進入し、レンズモジュール22に発生し得る曇りを一掃したあと、一方向吸気弁50を通じて下室26に進入し、使用者に吸入させる。使用者が口又は鼻で息を吐く際には、
図2Dの実践で示すように、汚れた空気が、排気通路232に沿ってコネクタ221の排気管223及びシュノーケル30の排気管323を通過し、外部に排出される。このようにして、吸気と排気を分流させる構成が形成される。
【0016】
レンズモジュール22は、どのようなものであっても防水スカート部23に組み付ける必要がある。そのため、本発明では、レンズモジュール22にいくつかの補強部材を増設するか、一体的に成形して、軟質の防水スカート部23を支持することを想定した。これにより、部品数が削減されて部品コストが低下するだけでなく、組立コストも大幅に節約される。そこで、本発明の技術的特徴を形成した。具体的に、レンズモジュール22はレンズ部224及び支持装置を有する。前記支持装置は、前記レンズ部224の最外縁から内側に向かって一定の距離に、前記レンズ部224と一体的に成形されるとともに、前記防水スカート部23の一部に相互接続されて、当該部分付近のエリアの剛性を向上させる。前記支持装置は、防水スカート部23に設けられる一方向吸気弁の弁座、一方向吸気弁の両側の補強リブ、及び/又は、排気通路を支えて固定する遮断壁等を含み得るがこれらに限らない。以下に、順に説明する。
【0017】
図2C、
図2D及び
図2Eに示すように、前記一方向吸気弁50は枢動逆止弁である。前記支持装置は弁座225を有する。また、前記排気通路232は、排気通路入口234及び内辺壁233を有する。当該内辺壁233は、前記排気通路入口234に近接する箇所に、吸気口236と、当該吸気口236を遮蔽する揺動式フィルム237が設けられている。前記弁座225及び前記フィルム237は、前記吸気口236の両側に別々に設けられて、共同で新鮮な空気を上室25から下室26に進入させる前記枢動逆止弁を形成する。最適には、前記揺動式フィルム237の一方の側(最適には、息を吐く際に確実に一方向吸気弁50を閉止し得るよう、スペーサー235に近接する側とする)が、前記内辺壁233における前記排気通路入口234に近接する箇所に一体的に成形され、弁座225がレンズ部224に一体的に成形される。
図2Eに明確な構造関係を図示している。
【0018】
次に、
図2B、
図2D及び
図2Eに示すように、支持装置は、遮断壁238を更に含み、前記排気通路232が前記メインフレーム21と前記遮断壁238の間に位置する。前記遮断壁238は、少なくとも一部が連続状となっており、且つ少なくとも一部が前記排気通路232の内辺壁233に密接して設置される。より好ましくは、前記遮断壁238は複数のメス留め具239を含む。また、前記排気通路232の内辺壁233の外側には、前記複数のメス留め具239に対応して適切に緊合可能な複数のオス留め具240が設けられている。これにより、前記遮断壁238は前記排気通路232から分離しなくなる。
【0019】
同様に、枢動逆止弁が配置されている
図3A、
図3B及び
図3Cを参照する。レンズモジュール42はレンズ部424及び支持装置を有する。前記支持装置は、前記レンズ部424に一体的に成形される。本実施例では、上室45から下室46に吸気を供給する枢動逆止弁をスペーサー435に設置するよう変更しているだけであり、その他の上記実施例と同様の部分については改めて詳述しない。本実施例において、前記支持装置は弁座425を有する。また、前記防水密封スカート43は、前記スペーサー435上に、吸気口436及び当該吸気口436を遮蔽する揺動式フィルム437が設けられている。前記弁座425及び前記フィルム437は、前記吸気口436の両側に別々に設けられ、共同で前記枢動逆止弁を形成する。また、同様に、支持装置は、排気通路432を支えるか固定するための遮断壁438を更に有してもよい。本実施例におけるフィルム437は、スペーサー435とは別々の部材であり、一体的には成形されない。
【0020】
図4A、
図4B及び
図4Cはもう一つの実施例であり、同様に枢動逆止弁が配置されているが、支持装置は必ずしも逆止弁の弁座ではなく、前記逆止弁を支持する補強リブである。詳述すると、防水密封スカート53は、スペーサー535上に、吸気口536及び当該吸気口536を遮蔽する揺動式フィルム537が設けられている。前記フィルム537は前記吸気口536の内側に設けられる。これにより、前記揺動式フィルム537と共同で前記枢動逆止弁が形成される。前記防水密封スカート53には、前記上室55の外周縁に沿って延伸する排気通路532が形成されている。前記使用者の呼気を排出するために、前記下室56は、前記排気通路532を通じて外部との間で流体を通過させることのみが許容される。また、同様に、前記排気通路532は、排気通路入口534及び内辺壁533を有する。前記支持装置は、第1リブ51及び第2リブ52を有する。前記第1リブ51は、前記枢動逆止弁の上方において前記防水スカート部53に嵌設される。一方、前記第2リブ52は、前記内辺壁533における前記排気通路入口534に接近する箇所において、前記防水スカート部53に嵌設される。これにより、前記枢動式逆止弁を強化して、構造の陥没を防止する。
【0021】
図2A~
図2Eの実施例と類似して、
図5A、
図5B及び
図5Cは本発明のもう一つの実施例であるが、吸気逆止弁に枢動逆止弁は採用せず、マッシュルーム型の逆止弁を採用している。また、支持装置には、同様に、防水スカート部との組み付けが容易且つ安定的となるよう、一体的に成形された弁座が予め設けられている。具体的に、本実施例において、前記一方向吸気弁はマッシュルーム型の逆止弁である。前記防水密封スカート63には、前記上室65の外周縁に沿って延伸する排気通路632が形成されている。前記使用者の呼気を排出するために、前記下室66は、前記排気通路632を通じて外部との間で流体を通過させることのみが許容される。前記支持装置は弁座625を有する。また、前記排気通路632は、排気通路入口634及び内辺壁633を有する。前記内辺壁633における前記排気通路入口634に接近する箇所には吸気口636が設けられており、前記弁座625が当該吸気口636に装着される。且つ、前記弁座625の下方の中央には、前記吸気口636を遮蔽するフィルム637が固設されている。これにより、共同で、新鮮な空気が上室65から下室66に向かってのみ流動可能となるよう、前記マッシュルーム型の逆止弁が形成される。
図2A~
図2Eの実施例と同様に、前記支持装置は、遮断壁638を更に含み、前記排気通路632が前記メインフレーム21と前記遮断壁638の間に位置する。前記遮断壁638は、少なくとも一部が連続状となっており、且つ少なくとも一部が前記排気通路632の内辺壁633に密接して設置される。好ましくは、前記遮断壁638は複数のメス留め具639を含む。また、前記排気通路632の内辺壁633の外側には、前記複数のメス留め具639に対応して適切に緊合可能な複数のオス留め具640が設けられている。これにより、前記遮断壁638は前記排気通路632から分離しなくなる。
【0022】
上記の好ましい実施例では、本発明の技術を実現する構造及び働きについて詳細に記載したが、それ以外にも、例えば、枢動式、マッシュルーム型又はその他の形式の吸気逆止弁や、吸気逆止弁の設置位置及び数、遮断壁の形式及び排気通路との接続方式といった本発明の概念に基づき変更される任意の形態は、いずれも制限されることなく、本発明の均等範囲に属する。且つ、末尾の特許請求の範囲で主張する文字記載に制限すべきではない。
【符号の説明】
【0023】
1 フルフェイスシュノーケルマスク
2 レンズ部
3 ダイビングマスク
10 呼吸を可能とするマスク
20 本体
21 メインフレーム
22 レンズモジュール
221 コネクタ
222 吸気管
223 排気管
224 レンズ部
225 弁座
23 防水密封スカート
231 目部領域
232 排気通路
233 内辺壁
234 排気通路入口
235 スペーサー
236 吸気口
237 揺動式フィルム
238 遮断壁
239 メス留め具
240 オス留め具
25 上室
26 下室
27 排水弁
30 シュノーケル
31 口フレーム
322 吸気管
323 排気管
40 ヘッドバンド
41 あごバンド
42 レンズモジュール
424 レンズ部
425 弁座
43 防水密封スカート
432 排気通路
435 スペーサー
436 吸気口
437 揺動式フィルム
438 遮断壁
45 上室
46 下室
50 一方向吸気弁
51 第1リブ
52 第2リブ
53 防水密封スカート
55 上室
56 下室
532 排気通路
533 内辺壁
534 排気通路入口
535 スペーサー
536 吸気口
537 揺動式フィルム
625 弁座
63 防水密封スカート
632 排気通路
633 内辺壁
634 排気通路入口
636 吸気口
637 フィルム
638 遮断壁
639 メス留め具
640 オス留め具
65 上室
66 下室
【外国語明細書】