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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004438
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】静電クラッチ
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/04 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
H04R19/04
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204652
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】17/852,255
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】パテル,アヌップ
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,ジェームズ・ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ケルヴラン,ヤニック・ピエール
【テーマコード(参考)】
5D021
【Fターム(参考)】
5D021CC02
5D021CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マイクロフォンが顧客の所望可能な広範囲の大気圧力で動作することを許容する静電クラッチを提供する。
【解決手段】静電クラッチ100は、剛性可動体を形成する複数の接地された高インピーダンスノード電極アレイ101と、別の剛性可動体を形成するバイアス電極アレイ102とを含み、複数のバイアス電極アレイ102と複数の高インピーダンスノード電極アレイ101との間に相対変位が存在するときに静電気力が生じる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電クラッチであって、
複数の接地された高インピーダンスノード電極アレイと、複数のバイアス電極アレイとを含み、
複数の接地された高インピーダンスノード電極アレイが剛性可動体を形成し、
複数のバイアス電極アレイが別の剛性可動体を形成することにより、複数のバイアス電極アレイと複数の高インピーダンスノード電極アレイとの間には、相対変位が存在するときに静電気力が生じることを特徴とする静電クラッチ。
【請求項2】
櫛状構造の複数のHIN電極アレイのうちの2つのアレイと複数のバイアス電極アレイとの間には、対応する通過通路が形成され、複数のバイアス電極アレイのそれぞれは、対応する通過通路を往復移動することを特徴とする請求項1に記載の静電クラッチ。
【請求項3】
前記高インピーダンスノード電極アレイの抵抗部分と、隣接するバイアス電極アレイ間に形成された容量とは、カットオフ周波数を有するRC回路を構成することを特徴とする請求項1に記載の静電クラッチ。
【請求項4】
前記高インピーダンスノード電極アレイは、複数の高インピーダンスノード電極及び接地部材を含み、隣接する前記高インピーダンスノード電極の間には、絶縁酸化ケイ素層が設けられ、前記接地部材は、複数の前記高インピーダンスノード電極に電気的に接続された後で接地を維持することを特徴とする請求項1に記載の静電クラッチ。
【請求項5】
前記高インピーダンスノード電極は、第1導電性ポリシリコン層、抵抗ブリッジ層及び第2導電性ポリシリコン層を含み、前記第1導電性ポリシリコン層は、前記抵抗ブリッジ層を介して前記第2導電性ポリシリコン層に電気的に接続され、前記接地部材は、複数の前記第2導電性ポリシリコン層に電気的に接続された後で接地を維持することを特徴とする請求項4に記載の静電クラッチ。
【請求項6】
各前記バイアス電極アレイ内では、複数のバイアス電極のうちの2つの隣接する前記バイアス電極が、逆の極性を有し、且つ絶縁機械ブラケットによって接続されることを特徴とする請求項1に記載の静電クラッチ。
【請求項7】
各バイアス電極アレイは、複数のバイアス電極アレイのそれぞれの両端に設けられる2つの接地シールド電極を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の静電クラッチ。
【請求項8】
前記高インピーダンスノード電極アレイは、同調抵抗材料と多結晶シリコン導電性材料とを複合してなることを特徴とする請求項1に記載の静電クラッチ。
【請求項9】
前記高インピーダンスノード電極アレイは、同調抵抗材料の全体ブロックで形成され、前記同調抵抗材料は、接地された導電性材料に接続されることを特徴とする請求項1に記載の静電クラッチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロフォン技術分野に関し、特に静電クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、全ての商用MEMSマイクロフォンは、薄膜の裏側にバックチャンバを有する。これは、半密封の空気体積であり、音波が入力された場合に、圧縮したり膨張したりする。定められた包装寸法について、このバックチャンバが必要であり、それにより膜が外部圧力波で移動可能である。しかしながら、このバックチャンバは、現在の最大の音響ノイズ源であるため、マイクロフォンにおける最大の音響信号対雑音比リミッタでもある。裏面の音量が小さければ小さいほど、それからの音響ノイズは、高くなる。したがって、パッケージサイズが大きくない限り、約74dBの信号対雑音比以上の高信号対雑音比のマイクロフォンは、実現不可能である。真空でバックチャンバを代替し、且つMEMSのセンシング部分を真空内部に含めると、バックチャンバノイズを効果的に除去することができるだけでなく、膜運動に関連するダンピングノイズ(例えば、バックプレートノイズ)も除去することができる。一般的又は小さいサイズのパッケージにおいて非常に高い信号対雑音比を実現する唯一の方法は、裏面の体積を真空にすることである。
【0003】
このようなタイプの真空バックチャンバマイクロフォンに2つの重大な挑戦がある。(1)空気と真空との間の1atmの差圧により、正常な膜が崩壊するため、非常に硬い膜を必要とする。これにより、感度が非常に低い。(2)環境圧力の顕著な変化により膜の変位の直流オフセットが変化し、従来の回転子―固定子の設計が効かない。
【0004】
それとともに、従来のマイクロフォンは、バックチャンバを必要として、これは最大のノイズ源の1つの国の技術であり、商業的に利用可能なマイクロフォンである。これにより、信号対雑音比が制限され、非常に大きなパッケージサイズを使用しないと、モバイル応用は、実行不可能である。従来のパッケージサイズでは、真空チャンバを使用しない限り、非常に高いマイクロフォン信号対雑音比、例えば80デシベルを実現する可能性がない。
【0005】
1つの真空又は低圧チャンバを使用し、且つ大気に面する薄膜で密封すると、基本的な測定チャレンジは、発生する。大気圧力の変化は、ユーザーとデバイスとが位置する環境に依存し、約100kPaである。このような緩やかな直流圧力変化に加えて、該デバイスは、更に1パスカルオーダーの音響圧力信号も測定する必要がある。
【0006】
従来の技術における1つの解決策は、大気に面する膜とセンサ装置の回転子部分との間に結合を有し、該センサ装置は、交流オーディオ信号に対して「オン」とされ、大気圧力の低周波変化又は直流変化に対して「オフ」とされる。このようなクラッチ式の結合挙動は、周波数依存の静電気力によって実現され得る。本発明における静電クラッチは、回転子と固定子との間において、交流音圧信号へ力の結合を実現するが、大気圧の緩やかな「DC」変化へ如何なる力も結合しないように設計される。該変化は、一般的にμm範囲内で大気に面する膜の中心変形を変更する。直流圧力範囲において回転子と固定子との間の剛性は、ゼロ又は最小であるべきであり、交流オーディオ圧力の剛性は、大きいべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の技術における技術課題を解決するために、2つの機械部品を含み、それらの間に静電気力結合が存在し、いずれか一方の部品の運動が他方の部品に力を発生させる静電クラッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、静電クラッチを提供する。該静電クラッチは、複数の接地された高インピーダンスノード電極アレイと、複数のバイアス電極アレイとを含み、
複数の接地された高インピーダンスノード電極アレイが剛性可動体を形成し、
複数のバイアス電極アレイが別の剛性可動体を形成することにより、複数のバイアス電極アレイと複数の高インピーダンスノード電極アレイとの間には、相対変位が存在するときに静電気力が生じる。
【0009】
前記のような静電クラッチであって、ここで、好ましくは、櫛状構造の複数のHIN電極アレイのうちの2つのアレイと複数のバイアス電極アレイとの間には、対応する通過通路が形成され、複数のバイアス電極アレイのそれぞれは、対応する通過通路を往復移動する。
【0010】
前記のような静電クラッチであって、ここで、好ましくは、前記高インピーダンスノード電極アレイの抵抗部分と、隣接するバイアス電極アレイ間に形成された容量とは、カットオフ周波数を有するRC回路を構成する。
【0011】
前記のような静電クラッチであって、ここで、好ましくは、前記高インピーダンスノード電極アレイは、複数の高インピーダンスノード電極及び接地部材を含み、隣接する前記高インピーダンスノード電極の間には、絶縁酸化ケイ素層が設けられ、前記接地部材は、複数の前記高インピーダンスノード電極に電気的に接続された後で接地を維持する。
【0012】
前記のような静電クラッチであって、ここで、好ましくは、前記高インピーダンスノード電極は、第1導電性ポリシリコン層、抵抗ブリッジ層及び第2導電性ポリシリコン層を含み、前記第1導電性ポリシリコン層は、前記抵抗ブリッジ層を介して前記第2導電性ポリシリコン層に電気的に接続され、前記接地部材は、複数の前記第2導電性ポリシリコン層に電気的に接続された後で接地を維持する。
【0013】
前記のような静電クラッチであって、ここで、好ましくは、各前記バイアス電極アレイ内では、複数のバイアス電極のうちの2つの隣接する前記バイアス電極が、逆の極性を有し、且つ絶縁機械ブラケットによって接続される。
【0014】
前記のような静電クラッチであって、ここで、好ましくは、各バイアス電極アレイは、複数のバイアス電極アレイのそれぞれの両端に設けられる2つの接地シールド電極を更に含む。
【0015】
前記のような静電クラッチであって、ここで、好ましくは、前記高インピーダンスノード電極アレイは、同調抵抗材料と多結晶シリコン導電性材料とを複合してなる。
【0016】
前記のような静電クラッチであって、ここで、好ましくは、前記高インピーダンスノード電極アレイは、同調抵抗材料の全体ブロックで形成され、前記同調抵抗材料は、接地された導電性材料に接続される。
【発明の効果】
【0017】
従来の技術に比べて、本発明の利点は、マイクロフォンが顧客の所望可能な広範囲の大気圧力で動作することを許容する。これは、純粋な受動的方式で静電的に実現され、複雑な電子及び能動的な制御を必要とする他の設計よりも優位性を有する。回転子の位置の直流電の変化を考慮しない場合に、回転子の微小交流干渉のみを考慮すればよいため、膜と感知構造物とを物理的に非干渉化することが可能であり、それにより感知構造の設計が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】接地された高インピーダンスノード電極アレイと単一のバイアス電極とで構成された静電クラッチの構成を示す模式図である
図2】シリコンプロセスで堆積して形成された高インピーダンス電極アレイの構成を示す模式図である。
図3】高インピーダンスノード電極アレイの一層の電気的な接続の平面図である。
図4】複数のバイアス電極が交番極性を有する場合の静電クラッチの構成を示す模式図である。
図5】バイアス電極アレイの端部に接地シールド電極が設けられて剛性を補強する場合の静電クラッチの構成を示す模式図である。
図6a】本発明の第1種の構造MEMSコンデンサ型マイクロフォンの構成を示す模式図であり、ここで、静電クラッチは、異なる大気圧と音圧の組み合わせを有するヒンジカンチレバー式トランスデューサを有するヒンジカンチレバートランスデューサの一部である。
図6b】本発明の第1種の構造MEMSコンデンサ型マイクロフォンの構成を示す模式図であり、ここで、静電クラッチは、異なる大気圧と音圧の組み合わせを有するヒンジカンチレバー式トランスデューサを有するヒンジカンチレバートランスデューサの一部である。
図6c】本発明の第1種の構造MEMSコンデンサ型マイクロフォンの構成を示す模式図であり、ここで、静電クラッチは、異なる大気圧と音圧の組み合わせを有するヒンジカンチレバー式トランスデューサを有するヒンジカンチレバートランスデューサの一部である。
図6d】本発明の第1種の構造MEMSコンデンサ型マイクロフォンの構成を示す模式図であり、ここで、静電クラッチは、異なる大気圧と音圧の組み合わせを有するヒンジカンチレバー式トランスデューサを有するヒンジカンチレバートランスデューサの一部である。
図7】本発明に係る高インピーダンスノード電極アレイの別の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して説明した実施例は、例示的なものであり、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものと解釈することができない。
【0020】
本実施例をよりよく説明するために、3次元座標系を特に作成し、ここでXY平面は、堆積MEMS層のシリコンダイ面に平行であると考えられ、Z軸は、この面に垂直であると考えられる。
【0021】
図1図5に示すように、本発明の実施例は、静電クラッチ100を提供し、静電クラッチ100の設計は、回転子と固定子との間の結合力交流音圧信号を実現するが、任意の力の緩やかな「直流」変化の大気圧力を結合せず、これは一般的に変化する中心変形の大気が振動膜203に対してμm範囲内にある。直流電圧の範囲について、回転子と固定子との間の剛性は、ゼロ又は最小であるべきであり、静電クラッチ100は、高インピーダンスノード電極アレイ101とバイアス電極アレイ102とを含む。
【0022】
高インピーダンスノード電極アレイ101は、前記静電クラッチ100の第1部材として、一般的にクラッチ固定子として機能し、2つの前記高インピーダンスノード電極アレイ101の間には、通過通路が形成され、本実施例において、高インピーダンスノード電極アレイ101は、好ましくは、複数の高インピーダンスノード電極1011及び接地部材1012を含み、高インピーダンスノード電極1011が多ければ多いほど、性能が高く、しかしながら、z軸回転子変位を有する実施例に対して、高インピーダンスノード電極1011の数は、実際にプロセス制約の制限を受ける。隣接する前記高インピーダンスノード電極1011の間には、絶縁酸化ケイ素層1013が設けられ、前記接地部材1012は、複数の前記高インピーダンスノード電極1011に電気的に接続された後で接地を維持する。
【0023】
バイアス電極アレイ102は、前記静電クラッチ100の第2部材として、一般的にクラッチ回転子として機能し、当然のことながら、当業者であれば分かるように、高インピーダンスノード電極アレイ101は、クラッチ回転子として機能してもよく、バイアス電極アレイ102は、クラッチ固定子として機能し、ここで限定しない。バイアス電極アレイ102は、一端が振動膜203に接続され、振動膜203のオフセットに伴い、他端が前記通過通路内を往復移動するため、前記バイアス電極アレイ102と前記高インピーダンスノード電極アレイ101との間に静電気力が生じる。
【0024】
前記高インピーダンスノード電極アレイ電極101の抵抗部分と、隣接するバイアス電極アレイ102間に形成された容量とは、カットオフ周波数を有するRC回路を構成する。該カットオフ周波数は、該周波数以上において静電クラッチ100が複数のバイアス電極アレイ102と高インピーダンスノード電極アレイ電極101との間に結合力を伝達する一方、該周波数以下において静電結合力が顕著に減少するか又は無視することができるように定められる。
【0025】
静電クラッチ100は、オーディオ周波数帯域の周波数で効果的に「オン」にされ、低周波で効果的に「オフ」にされ、該クラッチは、RCハイパスフィルタとして機能し、該RCハイパスフィルタは、オーディオ信号に対応する振動膜203の交流運動を結合するが、大気圧の緩やかな変化による振動膜203の緩やかな動きを濾過し、一般的には0.5~1atmの範囲内にあり、例えば、天気、高度又はゲスト内部の変化に伴ってこのような変化が発生可能である。
【0026】
バイアス電極アレイ102が移動しないか又はカットオフ周波数より低い周波数で運動する時に、電荷は、高インピーダンスノード電極1011の面から自由に流れるか又は高インピーダンスノード電極1011の面に流れる。これはバイアス電極アレイ102が高インピーダンスノード電極アレイ101に対して徐々に移動する時に、周波数がカットオフ値よりも低く、クラッチ固定子とクラッチ回転子との間に力結合又は相互作用がないことを意味する。この場合に、クラッチ剛性は、ほぼゼロである。しかしながら、クラッチ回転子がカットオフ周波数よりも高い周波数で運動する時に、バイアス電極1021がヒンジで誘導された電荷がキャプチャされる。一般的に、各高インピーダンスノード電極1011のサイズは、バイアス電極1021よりもはるかに小さく、それによりクラッチ回転子の交流変位に対して顕著な復元力を生成する。これは顕著な結合剛性に対応する。したがって、フィルタは、大気に面する振動膜203と容量感知構造300の回転子部分との間の周波数依存の静電剛性によって実現される。
【0027】
図2及び図3に示すように、前記高インピーダンスノード電極1011は、第1導電性ポリシリコン層1014、抵抗ブリッジ層1015及び第2導電性ポリシリコン層1016を含み、前記第1導電性ポリシリコン層1014は、前記抵抗ブリッジ層1015を介して前記第2導電性ポリシリコン層1016に電気的に接続され、前記接地部材1012は、複数の前記第2導電性ポリシリコン層1016に電気的に接続された後で接地を維持する。各層の地面に接続された抵抗ブリッジ層1015材料は、ドープされたポリシリコン、ダイオードを製造するための材料又はショットキー材料であってもよい。このような材料の抵抗率及び抵抗ブリッジ層1015は、ロールオフ周波数を調整するために用いられ、ロールオフ周波数は、クラッチがセンサのセンシング部分を駆動しない周波数を決定し、ロールオフ周波数は、1/RCに正比例し、ここで、Rは、抵抗ブリッジ層1015の抵抗であり、Cは、単一の高インピーダンスノード電極1011とそれに対向するバイアス電極1021との間の容量である。
【0028】
図7に示すように、高インピーダンスノード電極アレイ101は、同調抵抗材料1017と多結晶シリコン導電性材料1018とを複合してなってもよく、多結晶シリコン導電性材料1018は、接地され、これは多くのプロセス層を回避する主な利点を有する。高インピーダンスノード電極アレイ101に対して、このような状況で、同調抵抗材料1017の抵抗率は、バイアス電極アレイ102が移動する時に電荷が局所的に捕捉される周波数を決定し、単一の抵抗ブリッジ層の抵抗がロールオフ周波数を決定することではなく。該材料の接地は、同調抵抗材料1017の抵抗率よりも小さい多結晶シリコン層又はその他の導電性材料により提供することができる。多結晶シリコン導電性材料1018は、z軸に同調抵抗材料1017との界面を有し、且つバイアス電極に向かわない面に同調抵抗材料1017のz軸の長さに沿ってゼロ電位を実現するという目的を有する。また、クラッチのz軸の剛性を小さくする効果を有する絶縁層を含んでもよい。
【0029】
図4及び図5に示すように、前記バイアス電極アレイ102は、複数のバイアス電極1021を含み、複数のバイアス電極1021は、交互に極性配列され、隣接する前記バイアス電極1021の極性は、逆であり、且つそれらの間が絶縁機械ブラケット1022によって接続される。前記バイアス電極アレイ102は、接電シールド電極1023を更に含み、前記接電シールド電極1023は、前記バイアス電極アレイ102の首尾両端に設けられている。それにより2つの前記高インピーダンスノード電極アレイ101の間の通過通路のバイアス電極1021から離れた電界を最小化する。浮遊電界は、クラッチ回転子と固定子との間でその直流変位の範囲内で非ゼロ直流電力を発生させる起因である。オーディオ信号がない場合に、非ゼロ直流電力駆動センサのセンサ部分は、不要である。接電シールド電極1023は、大気圧力の変化に必要なμmの広い距離の範囲内で、非常に効果的に直流力をほぼゼロにする。
【0030】
上記静電クラッチ100に基づいて、本実施例は、MEMSコンデンサ型マイクロフォン200を更に提供し、ベース201、支持部202及び振動膜203を含み、ここで、前記振動膜203は、前記支持部202によって前記ベース201の上方に支持され、前記ベース201、前記支持部202、前記振動203は、真空チャンバ204を囲み、前記振動膜203の前記真空チャンバ204に近接する側は、接続ロッド205によって静電クラッチ100に接続され、前記静電クラッチ100は、容量感知構造300に接続される。
【0031】
ベース201は、単結晶シリコン又は当業者に周知の他の材質を採用することができ、且つ層ごとに堆積し、パターン化し、犠牲のプロセスによって支持部202及び支持部202を介してベース201に支持された振動膜203を形成可能である。必要に応じて、支持部202とベース201との間には、絶縁層が更に設けられ、ここで具体的に説明しない。
【0032】
真空チャンバ204は、例えば低圧プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)により200~350℃で密封可能である。このようなMEMSプロセスは、当業者の技術常識に属し、ここで具体的に説明しない。ここで真空チャンバ204は、好ましくは、1kPaよりも小さく、これにより真空チャンバ204内の残留ガスの粘度は、標準圧力での空気粘度よりも大幅に低い。
【0033】
振動膜203とベース201との間に大気圧力よりも低い真空チャンバ204が形成されるため、振動膜203は、大気圧力で且つ音圧が無い時に静的偏向を発生し、すなわち振動膜203は、ベース201の方向に向かって静的偏向を発生し、電荷は、高インピーダンスノード電極1011の面から自由に流れるか又は高インピーダンスノード電極1011の面に流れる。これはバイアス電極アレイ102が高インピーダンスノード電極アレイ101に対して徐々に移動する時に、周波数がカットオフ値よりも低く、クラッチ固定子とクラッチ回転子との間に力結合又は相互作用がなく、容量感知構造300内の容量構造から出力された電気信号が変化しないことを意味する。振動膜203がカットオフ周波数よりも高い周波数で運動する時に、静電クラッチ100は、静電気力を生成し、容量構造が変化した電気信号を出力するように駆動する。
【0034】
本発明は、様々な構造形式のMEMSコンデンサ型マイクロフォン200を提供し、当業者であれば提供されたマイクロマイクロフォンに基づいて、より多くの変形実施例を推定可能であることができ、ここで限定しない。
【0035】
図6a、6b、6c及び6dに示すように、示されたものは、本発明の第1種の構造MEMSコンデンサ型マイクロフォン200であり、静電クラッチ100及び容量感知構造300は、いずれも真空チャンバチャンバ204内に設けられ、前記静電クラッチ100は、第1接続部103及び第2接続部104を更に含み、前記第1接続部103は、一端が前記接続ロッド205に接続され、他端が複数の前記バイアス電極アレイ102に接続され、複数のバイアス電極アレイ102は、静電クラッチ100の回転子を構成し、振動膜203のオフセットは、バイアス電極アレイ102の同期変位を引き起こす。
【0036】
前記第2接続部104は、2つ設けられ、2つの前記第2接続部104は、前記第1接続部103の対向する両側に対称的に設けられ、各前記第2接続部104は、一端がいずれも複数の前記高インピーダンスノード電極アレイ101を設け、他端がいずれも前記容量感知構造300に接続され、複数の高インピーダンスノード電極アレイ101は、静電クラッチ100の固定子を構成する。
【0037】
複数の前記高インピーダンスノード電極アレイ101と複数の前記バイアス電極アレイ102は、いずれも櫛歯状に配置され、複数の前記高インピーダンスノード電極アレイ101と複数の前記バイアス電極アレイ102は、空間的に分離され、且つ前記高インピーダンスノード電極アレイ101と前記バイアス電極アレイ102とは、互いに交差する。これにより、相対的に大きな変位を与え、音響ノイズを低減して高い感度を提供する。
【0038】
前記容量感知構造300は、第1レバー301、第1支持部302、第1検知可動電極303及び第1検知静電電極304を含み、前記第1レバー301のレバー本体は、前記第1支持部302に枢着され、前記第1レバー301は、一端が前記第2接続部104に接続され、他端が前記第1検知可動電極303に接続され、前記第1検知静電電極304は、前記第1検知可動電極303に対向し、第1検知静電電極304と第1検知可動電極303は、変化した電気信号を出力可能なコンデンサ構造を構成する。
【0039】
振動膜203が振動することにより、静電クラッチ100が活性化され、静電気力を生成し、クラッチ固定子がクラッチ回転子の交流変位でオフセットが発生し、それにより第1レバー301の一端を活性化し、第1レバー301が静電クラッチ100の変位を増幅することにより機械の感度を増加させる。第1レバー301の第1検知可動電極303は、同期して移動し、第1検知静電電極304と第1検知可動電極303との間の正対面積が変化するため、コンデンサ構造のは、変化した電気信号を出力可能である。コンデンサ構造の動作原理は、当業者の技術常識に属する。
【0040】
図6a、図6b、図6c及び図6dの間の相違点は、本発明の動作原理を説明する。図6aにおいて、相対的に高いDC大気圧が存在するがAC音圧がないため、静電クラッチの回転子が相対的に低い位置に存在し且つ第1検知可動電極303が変位しない。図6aと同じ大気圧を有する音圧信号に対して、図6bは、AC音響信号の低圧部分での変位を示す。この場合に、静電クラッチは、可動であり、第1検知可動電極303の変位を引き起こし、それによって信号を生成する。図6cは、相対的に低いDC大気圧によって静電クラッチの回転子が相対的に高い位置に存在するという代替状況を示し、しかしながら、静電クラッチが非アクティブ状態にあるため、第1検知可動電極303の位置は、図6aにおける位置と同じである。AC音圧を印加した時に、感知電極及び生成された信号の移動は、図6bにおける移動と同じである。このような交流音圧のみを測定して直流大気圧力の能力を測定しないことにより、感知構造が簡単であり、且つ高い感度を有する。
【0041】
1つの実施例において、高インピーダンスノード電極アレイ101は、任意の絶縁スペーサがない同調抵抗材料の全体ブロックで形成され、同調抵抗材料は、接地された導電性材料に直接接続され、抵抗ブリッジ1015を有さない。
【0042】
以上は、本発明の構造、特徴及び作用効果を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明したが、上記したのは、本発明の好ましい実施例だけであり、本発明は、図面に示される実施範囲を限定せず、本発明の思想に加えられた変更、又は同等の変化である同等の実施例への修正は、依然として明細書及び図面に含まれる精神を超えない場合、いずれも本発明の保護範囲内にあるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7