(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044388
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】モデル生成支援装置、モデル生成支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240326BHJP
G06F 11/07 20060101ALI20240326BHJP
G06F 11/34 20060101ALI20240326BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240326BHJP
【FI】
G05B23/02 301X
G06F11/07 151
G06F11/34 147
G06N20/00 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149878
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】森居 数広
(72)【発明者】
【氏名】加茂 和史
(72)【発明者】
【氏名】富山 浩行
(72)【発明者】
【氏名】高原 弘明
(72)【発明者】
【氏名】宇野 久史
(72)【発明者】
【氏名】小渡 晃平
【テーマコード(参考)】
3C223
5B042
【Fターム(参考)】
3C223AA11
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB03
3C223FF03
3C223FF06
3C223FF13
3C223FF16
3C223FF22
3C223FF25
3C223FF26
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH04
5B042GB06
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC08
(57)【要約】
【課題】モデル生成支援装置を提供する。
【解決手段】モデル生成支援装置は、産業機械に設置されたセンサにより検出された時系列データを取得するデータ取得部と、時系列データから区間データを抽出する抽出条件をユーザから受付ける条件受付部と、抽出条件に基づいて、時系列データから区間データを抽出する区間抽出部と、区間データに基づいて、教師なし学習により異常検知モデルを生成するモデル生成部と、異常検知モデルにより算出される異常度の分布を示すグラフを表示する分布表示部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械に設置されたセンサにより検出された時系列データを取得するデータ取得部と、
前記時系列データから区間データを抽出する抽出条件をユーザから受付ける条件受付部と、
前記抽出条件に基づいて、前記時系列データから前記区間データを抽出する区間抽出部と、
前記区間データに基づいて、教師なし学習により異常検知モデルを生成するモデル生成部と、
前記異常検知モデルにより算出される異常度の分布を示すグラフを表示する分布表示部と、
を備える、モデル生成支援装置。
【請求項2】
前記抽出条件に基づいて抽出された前記区間データを表示する抽出表示部をさらに備える、
請求項1に記載のモデル生成支援装置。
【請求項3】
前記抽出表示部は、複数種類の前記時系列データから前記区間データの抽出対象となる時系列データの選択を受付けるためのデータ選択受付領域をさらに表示する、
請求項2に記載のモデル生成支援装置。
【請求項4】
前記抽出表示部は、前記抽出条件の入力を受付けるための条件入力受付領域をさらに表示する、
請求項2に記載のモデル生成支援装置。
【請求項5】
前記条件入力受付領域は、前記区間データの抽出に利用される、前記産業機械の制御に係る補助データの選択をさらに受付ける、
請求項4に記載のモデル生成支援装置。
【請求項6】
前記抽出表示部は、前記時系列データを表示する抽出対象表示領域と、前記時系列データから抽出された前記区間データを表示する抽出結果表示領域とをさらに表示する、
請求項2に記載のモデル生成支援装置。
【請求項7】
前記抽出結果表示領域は、前記区間データの抽出に利用された、前記産業機械の制御に係る補助データをさらに表示する、
請求項6に記載のモデル生成支援装置。
【請求項8】
前記分布表示部は、前記グラフ内の前記区間データの表示の切り替えを受付けるためのデータ選択受付領域をさらに表示する、
請求項1に記載のモデル生成支援装置。
【請求項9】
前記分布表示部は、前記異常検知モデルのパラメータの設定を受付けるためのパラメータ設定受付領域をさらに表示する、
請求項1に記載のモデル生成支援装置。
【請求項10】
前記区間抽出部は、前記時系列データの変化点を検出し、各々の前記変化点における傾向を表す符号を特定し、前記符号の変化パターンをクラスタリングすることで、前記区間データを抽出する、
請求項1に記載のモデル生成支援装置。
【請求項11】
前記分布表示部は、前記異常度が所定の階調数で区分されたコンター図を前記グラフとして表示する、
請求項1に記載のモデル生成支援装置。
【請求項12】
前記分布表示部は、前記グラフ内に前記区間データを表示し、
前記区間データの修正をユーザから受付ける修正受付部をさらに備え、
前記モデル生成部は、修正された前記区間データに基づいて前記異常検知モデルを再学習する、
請求項1に記載のモデル生成支援装置。
【請求項13】
前記モデル生成部は、異常検知のための判定境界を算出し、
前記分布表示部は、前記グラフ内に前記判定境界を表示し、
前記判定境界の修正をユーザから受付ける修正受付部をさらに備える、
請求項1に記載のモデル生成支援装置。
【請求項14】
産業機械に設置されたセンサにより検出された時系列データを取得し、
前記時系列データから区間データを抽出する抽出条件をユーザから受付け、
前記抽出条件に基づいて、前記時系列データから前記区間データを抽出し、
前記区間データに基づいて、教師なし学習により異常検知モデルを生成し、
前記異常検知モデルにより算出される異常度の分布を示すグラフを表示する、
モデル生成支援方法。
【請求項15】
産業機械に設置されたセンサにより検出された時系列データを取得すること、
前記時系列データから区間データを抽出する抽出条件をユーザから受付けること、
前記抽出条件に基づいて、前記時系列データから前記区間データを抽出すること、
前記区間データに基づいて、教師なし学習により異常検知モデルを生成すること、及び、
前記異常検知モデルにより算出される異常度の分布を示すグラフを表示すること、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モデル生成支援装置、モデル生成支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラントまたは設備の異常を早期に検知するために、時間的なデータの振舞いに着目し、時間を追って軌跡をクラスタに分割し、分割した前記クラスタ群に対して、部分空間法でモデル化し、はずれ値を異常候補として算出する異常検知方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業機械に設置されたセンサにより検出された時系列データを用いる異常検知では、複雑な操業パターンに異常兆候が埋もれることによる見逃しや、操業状況の変化を異常兆候と捉えてしまうことによる過検知が生じやすいため、時系列データに適切な前処理を施す必要がある。しかしながら、時系列データから異常検知に適した区間データを抽出し、精度の良い異常検知モデルを得ることは困難である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ユーザが、自身が指定した抽出条件で抽出された区間データにより生成された異常検知モデルを評価することが容易なモデル生成支援装置、モデル生成支援方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様のモデル生成支援装置は、産業機械に設置されたセンサにより検出された時系列データを取得するデータ取得部と、前記時系列データから区間データを抽出する抽出条件をユーザから受付ける条件受付部と、前記抽出条件に基づいて、前記時系列データから前記区間データを抽出する区間抽出部と、前記区間データに基づいて、教師なし学習により異常検知モデルを生成するモデル生成部と、前記異常検知モデルにより算出される異常度の分布を示すグラフを表示する分布表示部と、を備える。これによれば、ユーザが、自身が指定した抽出条件で抽出された区間データにより生成された異常検知モデルを評価することが容易となる。
【0007】
上記態様において、前記抽出条件に基づいて抽出された前記区間データを表示する抽出表示部をさらに備えてもよい。これによれば、抽出された区間データを視覚的に把握することが容易となる。
【0008】
上記態様において、前記抽出表示部は、複数種類の前記時系列データから前記区間データの抽出対象となる時系列データの選択を受付けるためのデータ選択受付領域をさらに表示してもよい。これによれば、時系列データの選択が容易となる。
【0009】
上記態様において、前記抽出表示部は、前記抽出条件の入力を受付けるための条件入力受付領域をさらに表示してもよい。これによれば、抽出条件の入力が容易となる。
【0010】
上記態様において、前記条件入力受付領域は、前記区間データの抽出に利用される、前記産業機械の制御に係る補助データの選択をさらに受付けてもよい。これによれば、補助データの選択が容易となる。
【0011】
上記態様において、前記抽出表示部は、前記時系列データを表示する抽出対象表示領域と、前記時系列データから抽出された前記区間データを表示する抽出結果表示領域とをさらに表示してもよい。これによれば、抽出対象の時系列データと抽出結果の区間データを比較することが容易となる。
【0012】
上記態様において、前記抽出結果表示領域は、前記区間データの抽出に利用された、前記産業機械の制御に係る補助データをさらに表示してもよい。これによれば、区間データと補助データの関係を視覚的に把握することが容易となる。
【0013】
上記態様において、前記分布表示部は、前記グラフ内の前記区間データの表示の切り替えを受付けるためのデータ選択受付領域をさらに表示してもよい。これによれば、区間データの表示の切り替えが容易となる。
【0014】
上記態様において、前記分布表示部は、前記異常検知モデルのパラメータの設定を受付けるためのパラメータ設定受付領域をさらに表示してもよい。これによれば、パラメータの設定が容易となる。
【0015】
上記態様において、前記区間抽出部は、前記時系列データの変化点を検出し、各々の前記変化点における傾向を表す符号を特定し、前記符号の変化パターンをクラスタリングすることで、前記区間データを抽出してもよい。これによれば、符号の変化パターンのクラスタリングにより区間データを抽出することが可能となる。
【0016】
上記態様において、前記分布表示部は、前記異常度が所定の階調数で区分されたコンター図を前記グラフとして表示してもよい。これによれば、異常度の分布を視覚的に把握することが容易となる。
【0017】
上記態様において、前記分布表示部は、前記グラフ内に前記区間データを表示し、前記区間データの修正をユーザから受付ける修正受付部をさらに備え、前記モデル生成部は、修正された前記区間データに基づいて前記異常検知モデルを再学習してもよい。これによれば、ユーザにより修正された区間データに基づいて異常検知モデルを再学習することが可能となる。
【0018】
上記態様において、前記モデル生成部は、異常検知のための判定境界を算出し、前記分布表示部は、前記グラフ内に前記判定境界を表示し、前記判定境界の修正をユーザから受付ける修正受付部をさらに備えてもよい。これによれば、ユーザから判定境界の修正を受付けることが可能となる。
【0019】
また、本発明の他の態様のモデル生成支援方法は、産業機械に設置されたセンサにより検出された時系列データを取得し、前記時系列データから区間データを抽出する抽出条件をユーザから受付け、前記抽出条件に基づいて、前記時系列データから前記区間データを抽出し、前記区間データに基づいて、教師なし学習により異常検知モデルを生成し、前記異常検知モデルにより算出される異常度の分布を示すグラフを表示する。
【0020】
また、本発明の他の態様のプログラムは、産業機械に設置されたセンサにより検出された時系列データを取得すること、前記時系列データから区間データを抽出する抽出条件をユーザから受付けること、前記抽出条件に基づいて、前記時系列データから前記区間データを抽出すること、前記区間データに基づいて、教師なし学習により異常検知モデルを生成すること、及び、前記異常検知モデルにより算出される異常度の分布を示すグラフを表示すること、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザが、自身が指定した抽出条件で抽出された区間データにより生成された異常検知モデルを評価することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】モデル生成支援装置の構成例を示す図である。
【
図6】モデル生成支援方法の手順例を示す図である。
【
図7】セグメンテーション手法の例を示す図である。
【
図8】セグメンテーション手法の例を示す図である。
【
図9】セグメンテーション手法の例を示す図である。
【
図10】セグメンテーション手法の例を示す図である。
【
図11】セグメンテーション手法の例を示す図である。
【
図15】モデル生成支援方法の手順例を示す図である。
【
図17】モデル生成支援方法の手順例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、モデル生成支援装置1の構成例を示すブロック図である。モデル生成支援装置1は、制御部10、記憶部2、操作部3、及び表示部4を備えている。モデル生成支援装置1は、産業機械100の異常を検知する異常検知モデルの生成を支援する装置である。
【0025】
制御部10は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース等を含むコンピュータである。制御部10のCPUは、ROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行する。
【0026】
プログラムは、例えば光ディスク又はメモリカード等の情報記憶媒体を介して供給されてもよいし、例えばインターネット又はLAN等の通信ネットワークを介して供給されてもよい。
記憶部2は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等である。操作部3は、例えばキーボード、マウス、又はタッチパネル等である。表示部4は、例えば液晶表示装置又は有機EL表示装置等である。
【0027】
記憶部2には、産業機械100に設置されたセンサ102により検出されたセンサ信号が記憶される。センサ信号は、センサ102により検出された物理量を表すデジタル信号であり、時系列データの例である。
【0028】
産業機械100は、例えば工場などで使用される機械である。産業機械100には、複数種類のセンサ102が設置されており、記憶部2には、複数種類のセンサ信号が記憶される。
【0029】
センサ102により検出されたセンサ信号は、記憶部2から制御部10に供給される。これに限らず、センサ信号は、センサ102から制御部10に直接供給されてもよいし、遠隔の記憶装置から通信ネットワークを介して制御部10に供給されてもよい。
【0030】
ところで、複雑な操業パターン、負荷変動、及び回転制御などを伴う産業機械の異常検知では、センサ信号に対して機械学習による教師なし異常検知手法を単に適用するだけでは、精度の良い異常検知モデルを得ることは困難である。
【0031】
これは、機械学習による教師なし異常検知手法は、通常、単一の操業状態やデータの周期性・定常性など、比較的単純な操業パターンの存在を前提としているためである。そのような手法を複雑な操業パターンのセンサ信号にそのまま適用すると、複雑な操業パターンに異常兆候が埋もれることによる見逃しや、単なる操業状況の変化を異常兆候と捉えてしまう過検知が生じやすくなる。
【0032】
このため、離散的な補助信号によるデータ分割や部分時系列クラスタリングを用いることで、センサ信号を複数のデータ部位に分割し、各々のクラスタに対して異常検知手法を適用する従来例もあるが、データ部位が類似のパターンを示しても、実際には操業状況が異なる場合もあり、ドメイン知識を加味せずに特定の動作モード・操業状況を切り出す手法には限界がある。
【0033】
特に、産業機械に含まれる駆動モータの電流値は、操業状況の微妙な違いに左右されやすく、細やかな変動の中に異常兆候が現れることが想定されるため、ドメイン知識の活用が必須である。
【0034】
加えて、モデル調整にも課題がある。機械学習による教師なし異常検知モデルを調整する際には、通常は異常データが少数は採れていることを前提に、見逃し率・過検知率・F1スコア等の指標をベースにチューニングを行うことが通例である。また、異常データが採れていない場合は、正常データに確率的ノイズを付加した疑似異常データが広く用いられている。
【0035】
しかし、操業状況が複雑であると、異常事例となる過去の操業状況が特殊なため、採れている異常データを基にモデル調整を行うのが適切でない場合や、疑似異常データが異常時の実態とはかけ離れたものとなり、モデル評価に用いるのが難しい場合も多く、ドメイン知識を用いずに指標ベースのモデル調整を実施するだけでは、高い検知精度を実現することは困難である。
【0036】
このような状況に対処するためには、ドメイン知識を活用した、想定故障シナリオに基づく仮説駆動でのデータ前処理(例えば、異常時の特徴を判別しやすいと想定される無負荷運転時のデータ抽出)や、産業機械に関する知識が豊富な操業スタッフによるモデル挙動の評価が不可欠である。
【0037】
そこで、本実施形態では、以下に説明するようにして、機械学習やプログラミングに明るくない操業スタッフであっても容易にデータ前処理及びモデル生成・評価が可能な仕組みを実現している。
【0038】
図2及び
図3は、モデル生成支援装置1の表示部4の表示例を示す図である。
図2は、センサ信号の前処理を行うためのデータ前処理画面5の例を示す図である。
図3は、異常検知モデルの生成・評価を行うためのモデル評価画面6の例を示す図である。
【0039】
図2に示すように、データ前処理画面5は、データ選択受付領域51、抽出対象表示領域52、条件入力領域53、及び抽出結果表示領域54を有している。データ前処理画面5では、ボタン操作による前処理の実施と処理結果の可視化が可能である。
【0040】
データ選択受付領域51は、複数種類のセンサ信号からセグメンテーション対象となるセンサ信号の選択を受付けるための領域である。セグメンテーションは、区間データの抽出の例である。データ選択受付領域51は、ファイル選択領域511、処理設定領域512、及び選択調整領域513を含んでいる。
【0041】
ファイル選択領域511は、センサ信号を含むファイルを選択するための領域である。処理設定領域512は、センサ信号に対する平滑化及びダウンサンプリングを設定するための領域である。選択調整領域513は、異常検知に用いるセンサ信号の選択、時刻ずらし・差分計算の設定のための領域である。
【0042】
抽出対象表示領域52は、セグメンテーション対象のセンサ信号を可視化するための領域である。抽出対象表示領域52は、セグメンテーション対象のセンサ信号の時間変化を示す抽出対象グラフ521,522を含んでいる。
【0043】
条件入力領域53は、セグメンテーション手法の入力を受付けるための領域である。セグメンテーション手法は、抽出条件の例である。条件入力領域53は、セグメンテーションに利用される補助信号を受付けるための領域でもある。補助信号は、産業機械100の制御に関するデジタル信号であり、補助データの例である。
【0044】
条件入力領域53は、抽出手法選択領域531及び手法詳細設定領域532を含んでいる。抽出手法選択領域531は、複数のセグメンテーション手法の中から1つを選択するための、さらには補助信号を選択するための領域である。手法詳細設定領域532は、セグメンテーション手法の詳細を設定するための領域である。
【0045】
抽出結果表示領域54は、セグメンテーション結果を可視化するための領域である。抽出結果表示領域54は、セグメンテーションによってセンサデータから抽出されたセグメントを示す抽出結果グラフ541,542を含んでいる。セグメントは、区間データの例である。
【0046】
抽出結果グラフ541,542は、セグメントの色又は太さ等を変えることで、セグメントを識別表示する。抽出結果グラフ541,542は、セグメンテーションに利用された補助信号をさらに表示してもよい。
【0047】
抽出対象表示領域52及び抽出結果表示領域54を表示することで、セグメンテーション対象のセンサ信号とセグメンテーション結果のセグメントとの関係を視覚的に把握することが容易となる。
【0048】
図3に示すように、モデル評価画面6は、データ選択受付領域61、パラメータ設定受付領域62、及びグラフ表示領域63を有している。モデル評価画面6では、ボタン操作による異常検知モデルの生成及び評価が可能である。
【0049】
データ選択受付領域61は、教師なし学習による異常検知モデルの生成に使用するセグメント及びその対象期間の選択を受付けるための領域である。また、データ選択受付領域61は、グラフ表示領域63に表示される異常度グラフ631内のセグメントの表示の切り替えを受付けるための領域でもある。
【0050】
パラメータ設定受付領域62は、教師なし学習による異常検知モデルの生成に使用するハイパーパラメータの設定を受付けるための領域である。
【0051】
グラフ表示領域63は、教師なし学習により生成された異常検知モデル及びその生成に使用されたセグメントを可視化するための領域である。グラフ表示領域63は、異常検知モデルにより算出される異常度の分布を示す異常度グラフ631を含んでいる。
【0052】
図4に示すように、異常度グラフ631は、異常度が所定の階調数で区分されたコンター図である。また、異常度グラフ631は、異常度の階調を色又は濃淡で表現したヒートマップでもある。
【0053】
異常度グラフ631内には、異常検知モデルの生成に使用されたセグメントを表す学習データ点632と、異常検知の閾値となる判定境界633とが表示される。異常度グラフ631は、学習データ点632がプロットされた散布図とも言える。
【0054】
図5は、モデル生成支援装置1の制御部10の機能構成例を示すブロック図である。制御部10は、データ取得部11、条件受付部12、区間抽出部13、抽出表示部14、設定受付部15、修正受付部16、モデル生成部17、分布表示部18、及びモデル保存部19を備えている。
【0055】
これらの機能部は、制御部10のCPUがROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行することによって実現される。
【0056】
データ取得部11は、産業機械100に設置されたセンサ102により検出されたセンサ信号(時系列データの例)を、記憶部2から取得する。
【0057】
条件受付部12は、セグメンテーション手法(抽出条件の例)の入力を受付ける。セグメンテーション手法は、操作部3を操作するユーザによって、表示部4に表示されるデータ前処理画面5(
図2参照)の条件入力領域53に入力される。
【0058】
また、条件受付部12は、セグメンテーション対象となるセンサ信号の選択を受付ける。センサ信号の選択は、操作部3を操作するユーザによって、データ前処理画面5のデータ選択受付領域51に入力される。
【0059】
区間抽出部13は、条件受付部12が受け付けたセグメンテーション手法に基づいてセグメンテーションを実施し、センサ信号からセグメント(区間データの例)を抽出する。
【0060】
抽出表示部14は、データ前処理画面5の抽出対象表示領域52に、セグメンテーション対象のセンサ信号を表示する。また、抽出表示部14は、データ前処理画面5の抽出結果表示領域54に、セグメンテーションによりセンサ信号から抽出されたセグメントを表示する。
【0061】
設定受付部15は、異常検知モデルの生成に使用するセグメントの選択及び表示の切り替えを受付ける。セグメントの選択及び表示の切り替えは、操作部3を操作するユーザによって、モデル評価画面6(
図3参照)のデータ選択受付領域61に入力される。
【0062】
また、設定受付部15は、異常検知モデルの生成に使用するハイパーパラメータの設定を受付ける。ハイパーパラメータの設定は、操作部3を操作するユーザによって、モデル評価画面6のパラメータ設定受付領域62に入力される。
【0063】
修正受付部16は、異常度グラフ631内に表示された学習データ点632又は判定境界633(
図4参照)の修正を受付ける。学習データ点632又は判定境界633の修正は、操作部3を操作するユーザによって、モデル評価画面6のグラフ表示領域63に入力される。
【0064】
モデル生成部17は、区間抽出部13によりセンサ信号から抽出されたセグメントに基づいて、教師なし学習により異常検知モデルを生成する。
【0065】
分布表示部18は、モデル評価画面6のグラフ表示領域63に、異常検知モデルにより算出される異常度の分布を示す異常度グラフ631を表示する。
【0066】
モデル保存部19は、モデル生成部17により生成された異常検知モデルを記憶部2に保存する。また、モデル保存部19は、セグメンテーションに用いられた前処理ロジックも記憶部2に保存する。
【0067】
図6は、モデル生成支援装置1において実現されるモデル支援方法の手順例を示すフロー図である。モデル支援装置1の制御部10は、プログラムに従って同図に示す情報処理を実行する。
【0068】
S11において、制御部10は、異常検知モデルの生成に使用するセンサ信号を選択する。具体的には、制御部10は、データ前処理画面5(
図2参照)のデータ選択受付領域51への入力内容に基づいて、記憶部2からセンサ信号を含むファイルを取得し、異常検知に使用する複数(例えば2つ)のセンサ信号を選択する。また、制御部10は、平滑化処理又はダウンサンプリングを任意で行う。また、制御部10は、選択されたセンサ信号又は平滑化後のセンサ信号をデータ前処理画面5の抽出対象表示領域52に表示する。また、制御部10は、センサ信号に対して時刻ずらし(ラグ特徴量を作成し、例えばt秒前の値を現在値と考える)又は差分(微分)処理を行ってもよい。
【0069】
S12において、制御部10は、セグメンテーションに使用する補助信号を選択する。具体的には、制御部10は、データ前処理画面5の条件入力領域53への入力内容に基づいて、セグメンテーションに使用する補助信号を選択する。補助信号の選択は、特定の操業パターンに該当するデータを抽出することを目的としている。なお、選択されるセグメンテーション手法によっては、補助信号は選択されなくてもよい。
【0070】
S13において、制御部10は、セグメンテーションのロジックを構築する。具体的には、制御部10は、データ前処理画面5の条件入力領域53への入力内容に基づいて、セグメンテーション手法を決定する。また、制御部10は、決定されたセグメンテーション手法によってセンサデータから抽出されたセグメントを、データ前処理画面5の抽出結果表示領域54に表示する。
【0071】
セグメンテーション手法は、例えば(イ)閾値処理による離散化(
図7参照)、(ロ)変化点における微分値の符号のパターンを基にした部分時系列クラスタリング(
図8参照)、(ハ)補助信号のon/off(
図9参照)、及び(ニ)前記手法+タイマーを利用した抽出(
図10参照)等がある。また、これらの手法は、適宜組み合わされてもよい。
【0072】
図7は、センサ信号又は補助信号に閾値処理を適用する手法の例を示す図である。センサ信号又は補助信号の信号値yと閾値A~Cの関係に応じてセグメント1~4が抽出される。例えば、センサ信号のうち、y≧Aである区間がセグメント1として抽出され、A≧y≧Bである区間がセグメント2として抽出され、B≧y≧Cである区間がセグメント3として抽出され、C≧yである区間がセグメント4として抽出される。
【0073】
図8は、センサ信号の変化点における微分値のパターンを基にした部分時系列クラスタリングの例を示す図である。具体的には、
図11に示すように、(a)センサ信号の変化点を検出し、(b)各々の変化点における微分値の符号を特定し、(c)符号の変化パターンをクラスタリングすることで、セグメントを抽出する。
【0074】
(a)において、変化点の検出は、例えば、局所定常ARモデル等の既知の変化点検出手法により行われてもよいし、センサ信号の微分値(差分値)に対する閾値処理により行われてもよい。変化点とは、時系列データの特性が急激に変化する時点を意味する。
【0075】
(b)において、微分値の符号は、例えば正負の2値で特定される。微分値は、変化点における変化の傾向を表す。又は、微分値の符号は、各変化点近傍の任意の要約特徴量を閾値で2値化したものを用いてもよい。
【0076】
(c)では、隣接する変化点における微分値の符号の変化パターンがクラスタリングされる。隣接する変化点の間のセグメントのクラスタは、当該隣接する変化点(すなわち、セグメント前後の変化点)における微分値の符号の変化パターンによって決定される。
【0077】
例えば、センサ信号のうち、隣接する変化点における微分値の符号の変化パターンが「+→-」である区間がセグメント1として抽出され、「-→-」である区間がセグメント2として抽出され、「-→+」である区間がセグメント3として抽出され、「+→+」である区間がセグメント4として抽出される。
【0078】
本例では、隣接する変化点における微分値の符号の変化パターンをクラスタリングしたが、これに限らず、3以上の変化点における微分値の符号の変化パターンをクラスタリングしてもよい。クラスタの割り当て方式としては、微分値の符号の変化パターンとクラスタとを一対一で割り当ててもよいし、一般のクラスタリング手法を用いてもよい。
【0079】
また、次のようにして構成した2進数の2進距離を基に、階層型クラスタリングを行ってもよい。セグメントに近い変化点から順に正負(0,1)を1の位、2の位、4の位と定めた2進数を、当該セグメントの周辺n点に対して構成する。但し、ここで一般にxとyのp進距離(pは素数、x,yは整数)とは、「(x-y)=pV×m」(mとpは互いに素)と書けたとすると、p-Vによって定義される距離である。
【0080】
この距離尺度を用いることで、当該セグメントと比較対象のセグメントとで最近傍の変化点の微分値の正負が一致しない場合、距離が大きくなるので、当該セグメントから遠方の状況を軽視し、近傍の状況の一致を重視することができる。さらに、この手法は、変化点(及びその近傍)から抽出する特徴量が離散値であれば、差分値の正負以外でもよく、特徴量が3値以上の場合に対しても適用可能である。
【0081】
図9は、補助信号のon/offを利用する手法の例を示す図である。例えば、センサ信号のうち、補助信号がonである区間がセグメント1として抽出され、補助信号がeffである区間がセグメント2として抽出される。
【0082】
図10は、タイマーを利用した抽出を組み合わせる手法の例を示す図である。例えば、補助信号がonとなるタイミングで所定の開始タイマー及び終了タイマーが開始され、開始タイマーが停止したタイミングから終了タイマーが停止したタイミングまでの間の区間がセグメント1として抽出され、それ以外の区間がセグメント2として抽出される。
【0083】
なお、
図10の例は、補助信号のon/offを利用する手法(
図9参照)にタイマーを利用した抽出を組み合わせた例を示したが、これに限らず、閾値処理を適用する手法(
図7参照)にタイマーを利用した抽出を組み合わせてもよい。
【0084】
図6の説明に戻る。S14において、制御部10は、異常検知モデルを生成する。具体的には、制御部10は、モデル評価画面6(
図3参照)のデータ選択受付領域61への入力内容に基づいて、異常検知対象のセグメント及び使用する期間を選択する。また、制御部10は、モデル評価画面6のパラメータ設定受付領域62への入力内容に基づいて、異常検知モデルのハイパーパラメータを設定する。そして、制御部10は、選択されたセグメント及び設定された異常検知モデルに基づいて異常度グラフ631を生成し、モデル評価画面6のグラフ表示領域63(
図3参照)に表示する。
【0085】
これにより、異常データが0件であっても、操業スタッフはモデル挙動を確認して、望ましいモデル挙動となるようにハイパーパラメータを調整することが可能となる。
【0086】
異常度グラフ631は、各階調領域の面積が互いに等しくなるようにn分割して(nは予め定められた数)、各階調領域を色分けしたグラフである。言い換えると、各階調領域の面積が互いに等しくなるように、階調の境界が設定されている。
図4の例では、異常度グラフ631は、5つの階調領域に分割されている。
【0087】
また、異常検知に使用するセンサ信号が3つ以上の場合であっても、主成分分析などの次元削減手法による2次元へのデータ圧縮や、可視化する2変数の選択によって、同様のグラフ描画が可能である。例えば、主成分分析を用いる場合、第1及び第2主成分ベクトルが張る平面上のデータ点の異常度を用いてグラフ描画が可能である。
【0088】
また、可視化する2変数を任意に選択した場合は、選択されなかった変数に対しては、最頻値、若しくは選択した2変数を説明変数とした回帰分析による予測値を用いて、縦横軸に選択した2変数を取ったグラフ上の各領域の異常度を計算することで、グラフ描画が可能である。さらに、各変数の線形相関(又は、グラフィカルラッソによるスパース線形相関や、スピアマンの順位相関、若しくはMIC等による非線形系相関係数を用いてもよい)を基に、相関の高いペアを選択する2変数の組み合わせの候補として提示することもできる。
【0089】
図12に示すように、モデル評価画面6のグラフ表示領域63には、複数の異常度グラフ631を表示してもよい。複数の異常度グラフ631は、使用するセグメント、ハイパーパラメータ、及び閾値などの条件が互いに異なる複数の異常検知モデルに基づいてそれぞれ生成されたグラフである。これにより、操業スタッフは、条件が互いに異なる複数の異常検知モデルを比較することが可能となり、最適なセグメンテーション手法、ハイパーパラメータ、及び閾値などを検討できる。
【0090】
ここで、異常検知モデルの評価及び調整の際には、一般に産業機械の操業データは「非i.i.d.(非独立同一分布)」の時系列データであることに注意する。例えば、モータの加減速により、一定のパターンに従ってモータ電流値が変動する部位と、電流値が安定している部位とが交互に入れ替わるなどの操業要因で、変動が小さい区間と変動が大きい区間が同程度存在するデータをグラフに描画すると、グラフ上ではデータの変動が少ない領域の方がデータ密度は高くなる。
【0091】
このような各領域のデータ密度に違いがあるデータに対し、LOF(Local Outlier Factor)のような密な領域をタイトに評価し、疎な領域をルーズに評価する外れ値検知手法を適用し、異常度グラフを描画すると、加減速によりモータ電流値が変動している等の要因でデータ密度が低い領域では、判定境界は正常データ点近傍より相対的に遠くなる。一方、一定負荷部などデータ変動が少なくデータ密度が高い領域では、判定境界は正常データ点近傍に留まる。
【0092】
例えば
図13に示すように、データ密度が比較的低い領域Acでは、LOFモデルの異常度は、学習データ点632の位置から離れるに従って緩やかに変化する。一方、データ密度が比較的高い領域Arでは、LOFモデルの異常度は、学習データ点632の位置から離れると急激に変化する。
【0093】
しかしながら、データ密度が比較的低い領域であっても、一定の操業パターンに沿って操業を行っている場合、グラフ上のデータのパターン自体は安定しており、判定境界をルーズに設定する必要はない場合がある。その場合、グラフ上の各領域と産業機械の運転状態との関係を把握している操業スタッフは、自身の知見を基に、グラフを見ただけで、疎な領域の判定境界をルーズに設定することは不適切であると容易に判断できる。
【0094】
このため、本実施形態では、セグメンテーション手法、セグメントの使用、及びハイパーパラメータの設定などを、データ前処理画面5(
図2参照)及びモデル評価画面6(
図3参照)上で操業スタッフが容易に変更できるようにしている。また、本実施形態では、後述するように、操業スタッフの操作が学習データ点及び判定境界を修正できるようにしている。
【0095】
操業スタッフは、グラフ上に不要な学習データ点があると判断することができるため、不完全なセグメンテーションにより、本来除外したいデータ(例えば、負荷変動時のモーター電流値)が、選択したセグメント(例えば、定負荷時のモーター電流値)に混入しているとグラフから判断できる場合、該当データを画面操作により削除し、異常度分布及び判定境界の変化を確認可能とする機能を備えてもよい(詳細は後述する)。
【0096】
また、学習データ点の局所的な密度に基づいて、不要な領域(例えば、LOF等の密度ベースの異常検知ロジックの挙動を不安定にする、密度が高すぎる領域)を学習対象や評価対象から自動的に除去するようにしてもよい。
【0097】
さらに、操業スタッフが、機械学習を用いずにフリーハンドによる判定境界の修正を実施したり、新たに描画し直し、異常検知ロジックを組むことを可能にする機能を備えてもよい(詳細は後述する)。これにより、操業スタッフが直観的な画面操作によってモデル挙動の確認や改良を実施することができる。
【0098】
図6の説明に戻る。S15において、制御部10は、異常検知モデルをデプロイする。すなわち、異常検知モデルを実装する。具体的には、制御部10は、モデル保存画面7(
図14参照)への入力内容に基づいて、異常検知モデルの保存ないし実装を行う。また、制御部10は、セグメンテーションに用いられた前処理ロジックの保存も行う。
【0099】
これによれば、操業スタッフが自身の知見を基に、セグメンテーション結果及びモデル挙動がともに問題ないことを確認した上で、前処理ロジック及び異常検知モデルを保存することが可能となる。
【0100】
図14に示すように、モデル保存画面7は、保存先設定領域71、過去データ処理領域72、設定保存領域73、及びファイル読込領域74を有している。モデル保存画面7は、ボタン操作による前処理ロジック及び異常検知モデルの保存などが可能である。
【0101】
保存先設定領域71は、前処理ロジック及び異常検知モデルの保存先を設定するための領域である。過去データ処理領域72は、過去データの前処理及び異常検知処理の操作を行うための領域である。
【0102】
設定保存領域73は、前処理ロジック及び異常検知モデルの保存ないし実装の操作を行うための領域である。「実装」をチェックすることによって、前処理ロジック及び異常検知モデルの保存と同時に、異常検知モデルがオンライン実装される。
【0103】
ファイル読込領域74は、保存済ファイルの読込・編集・削除を行うための領域である。保存済みの前処理ロジック及び異常検知モデルを読み込み、修正又は削除を行うことが可能となる。
【0104】
図15は、学習データ点の修正に係る処理の手順例を示すフロー図である。
図16は、学習データ点の修正を説明するための図である。
【0105】
まず、制御部10は、モデル評価画面6(
図3参照)のデータ選択受付領域61及びパラメータ設定受付領域62への入力内容に基づいて、セグメントの選択及びパラメータの設定を受付ける(S21、設定受付部15としての処理)。
【0106】
次に、制御部10は、受付けたセグメントの選択内容及びパラメータの設定内容に基づいて、異常検知モデルを生成し、異常度及び判定境界を算出する(S22、モデル生成部17としての処理)。
【0107】
次に、制御部10は、異常度及び判定境界の算出結果に基づいて異常度グラフ631を作成し、モデル評価画面6のグラフ表示領域63に表示する(S23、分布表示部18としての処理)。
【0108】
次に、制御部10は、セグメント又はパラメータの修正を受付けたか否か判定する(S24、修正受付部16としての処理)。セグメントの修正は、データ選択受付領域61への入力内容に基づいて受付けられる。また、パラメータの修正は、パラメータ受付領域62への入力内容に基づいて受付けられる。
【0109】
これに限らず、セグメントの修正は、例えば、グラフ表示領域63に表示される異常度グラフ631内の学習データ点632を、表示部4の画面に表示され、操作部3の操作に連動するポインタで直接的に指示することによって受付けられてもよい。
【0110】
セグメント又はパラメータの修正を受付けた場合(S24:YES)、制御部10は、修正されたセグメント又はパラメータに基づいて異常検知モデルを再学習し、異常度及び判定境界を再度算出する(S25、モデル生成部17としての処理)。
【0111】
次に、制御部10は、異常度及び判定境界の算出結果に基づいて異常度グラフ631を再度作成し、モデル評価画面6のグラフ表示領域63に表示する(S26、分布表示部18としての処理)。修正後の異常度グラフ631は、修正前の異常度グラフ631と並べて表示されてもよい。
【0112】
その後、制御部10は、モデル保存画面7(
図14参照)への入力内容に基づいて、異常検知モデルを保存する(S27、モデル保存部19としての処理)。以上により、学習データ点の修正に係る処理が終了する。
【0113】
図16に示すように、修正前の異常度グラフ631dにおいて、ユーザが不要と判断する学習データ点632e(図中で直線状に並んだ点群)が存在するとした場合、ユーザが不要な学習データ点632eを削除する操作を行うことによって、不要な学習データ点632eが除かれた学習データ点632に基づいて修正後の異常度グラフ631nが生成される。
【0114】
ここでは、セグメントの修正の例として学習データ点632eの削除を挙げたが、これに限らず、例えば異常度グラフ631内に学習データ点632を追加してもよいし、ポインタで学習データ点632を移動させてもよい。
【0115】
図17は、判定境界の修正に係る処理の手順例を示すフロー図である。
図18は、判定境界の修正を説明するための図である。上記の例と重複するステップについては、同番号を付して詳細な説明を省略する。
【0116】
制御部10は、異常度グラフ631を表示すると(S23)、判定境界633の修正を受付けたか否か判定する(S34、修正受付部16としての処理)。
【0117】
判定境界633の修正は、例えば、グラフ表示領域63に表示される異常度グラフ631内において、表示部4の画面に表示され、操作部3の操作に連動するポインタで直接的に指示することによって受付けられる。
【0118】
次に、制御部10は、修正された判定境界633を含むよう異常度グラフ631を修正し、グラフ表示領域63に表示する(S35、S36、分布表示部18としての処理)。その後、異常検知モデルを保存して(S27)、判定境界の修正に係る処理が終了する。
【0119】
図18に示すように、例えば、ユーザがポインタ34で異常度グラフ631内に新たな判定境界633nを描く操作を行うことによって、新たな判定境界633nが適用され、修正前の判定境界633dは削除される。新たな判定境界633nは、例えば、学習データ点632と修正前の判定境界633dの間に設定されてもよいし、修正前の判定境界633dよりも外側に設定されてもよい。
【0120】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0121】
1 モデル生成支援装置、2 記憶部、3 操作部、4 表示部、10 制御部、11 データ取得部、12 条件受付部、13 区間抽出部、14 抽出表示部、15 設定受付部、16 修正受付部、17 モデル生成部、18 分布表示部、19 モデル保存部、5 データ前処理画面、51 データ選択受付領域、52 条件入力領域、53 抽出対象表示領域、54 抽出結果表示領域、6 モデル評価画面、61 データ選択受付領域、62 パラメータ設定受付領域、63 グラフ表示領域、631 異常度グラフ、632 学習データ点、633 判定境界、100 産業機械、102 センサ